【復讐鬼になったタカシ】
2010年03月19日
「許せねえ……この恨み、億倍にして返してやる!」
「ふ、面白い。やってみるがいいのじゃ!」
楽しみに楽しみにしていたプリンをまつりに食べられ、冒頭から怒り心頭な俺です。
「今から俺は復讐鬼! ひどいことしてもまるで良心の呵責に苛まれない復讐鬼! まずはまつりのパンツを奪い、はいてない状態に!」
「ふん、すでにはいておらんのじゃ。貴様の企みなぞ、まるっとお見通しじゃ!」
「パンツはいてないことをここまで堂々と言う人は知りません」
「うるさいのじゃ!」
はいてない人が怒った。
「じゃあ作戦変更、剃ってやる!」
「甘いのう。まだ生えておらんわ!」
「パンツはいてないはまだ生えてないは……散々だな」
「うるさいのじゃ!」
生えてない人が怒った。
「しかし、二手三手先を読むわらわのこの技術……惚れ惚れするじゃろう?」
「普通、先を読んでもパンツを脱ぐという選択肢はないと思う。あと、生えてないのは身体的にロリぃからかと」
「うるさいのじゃ!」
ロリぃ人が怒った。
「うぬう……ばかにしおって! 許さんのじゃ、今からわらわは復讐鬼なのじゃ! 復讐するのじゃ、復讐するのじゃ!」
「待て、復讐するは俺にあり! 勝手に復讐鬼を名乗るな! あとプリン返せ」
「うるさい、わらわの勝手じゃ! ふふ……わらわの智謀でタカシをぎゃふんと言わせるのじゃ! 謝るなら今のう」
「ごめん」
まつりが凍った。
「謝ったからプリン返せ」
「まだなのじゃ! まだ何も復讐してないのに、謝られたら困るのじゃ! 謝るの返すのじゃ、ごめんなさい。ぺこり」
「仕方ない、許してやろう」
ぺこりと言いながらぺこりと頭を下げられたので、許さざるを得ない。
「ち、違うのじゃ! これは返しただけで、謝ったわけではないのじゃ! ごめんではないのじゃ!」
「じゃーじゃーうるさい! なんでもいいから、プリンを返せ!」
「じゃ、じゃーじゃーうるさいとは何事じゃ! これは高貴なわらわのみ使える言葉じゃぞ! そうじゃ、わらわは高貴なる存在なのじゃ。プリンのひとつやふたつ、献上して当然と思わんかえ?」
聞いた話によると、まつりはどっかの国のお姫様らしい。俺の予想では、戦国時代のお姫さんがタイムスリップしてきたとかそんな。
「思わん! たとえまつりが城で『爺、暇だ。罪人の首をはねよ』とか言うくらい偉くて残虐非道な人だとしても、それはそれ! プリンを返せ!」
「そんなこと言わんのじゃ! わらわをなんだと思おておる!」
「姫」
「なんじゃ、分かっておるではないか。そう、わらわは高貴なる姫! 本来、貴様のような下賎な輩がおいそれと口をきけるような者では」
「いかん、プリン分が足りなくなってきた。このままではプリン分を補うため俺の体内で化学反応が起こり、臓器が全部プリンに置き換わる」
「どうして貴様はわらわの話を途中で……な、なんじゃと!」
まさか信じるとは思わなかったが、面白いので騙そう。
「言ってなかったが、俺は奇病、内臓プリンに侵されている。この病気にかかると、一定時間プリンを摂取しなかったら臓器が全てプリンに変わってしまうんだ」
「な、なんと、タカシがそんな大病に侵されていようとは……」
簡単に騙される辺り、姫さんのような気がしないでもない。
「よし、今からコンビニ行ってプリンを買ってくる! それまでプリンになるんじゃないぞ、タカシ!」
「悪い……もう遅いようだ」
ぱったり倒れ、体中の内臓がプリンになったフリをする。難しすぎる。
「た、タカシ!? まだじゃ、まだプリンになってはならん!」
「す、すまない……俺、おまえと会えて、嬉し……か……」
「こ、こうなってはわらわの口内に残るプリンのカスで補うしか……」
いかん、話がおかしな方向に。
「な、なんか奇跡が起きて治ったような」
「気など使わずともよい! こ、これは接吻ではない、ただの人命救助じゃ。……そ、それに、おぬしとなら、わらわは、その、別に……」
いかん、このままでは俺の唇が大変ピンチ! いやそれが嫌とかそういう話でなくてええとええと!
「そうだ、これは体液の交換でうつるという設定……いや、そういう病気なのだ! だからキスすると」
「……設定?」
いかん、俺がピンチ。
結局、芋づる式に嘘が全部ばれた。
「よくもわらわを騙したな! なにが内臓プリンじゃ、莫迦者!」
「すいません」
すごい怒られたが、接吻を回避できたしまぁOK。……こういうことは、騙してとか嫌だし。
「ふ、面白い。やってみるがいいのじゃ!」
楽しみに楽しみにしていたプリンをまつりに食べられ、冒頭から怒り心頭な俺です。
「今から俺は復讐鬼! ひどいことしてもまるで良心の呵責に苛まれない復讐鬼! まずはまつりのパンツを奪い、はいてない状態に!」
「ふん、すでにはいておらんのじゃ。貴様の企みなぞ、まるっとお見通しじゃ!」
「パンツはいてないことをここまで堂々と言う人は知りません」
「うるさいのじゃ!」
はいてない人が怒った。
「じゃあ作戦変更、剃ってやる!」
「甘いのう。まだ生えておらんわ!」
「パンツはいてないはまだ生えてないは……散々だな」
「うるさいのじゃ!」
生えてない人が怒った。
「しかし、二手三手先を読むわらわのこの技術……惚れ惚れするじゃろう?」
「普通、先を読んでもパンツを脱ぐという選択肢はないと思う。あと、生えてないのは身体的にロリぃからかと」
「うるさいのじゃ!」
ロリぃ人が怒った。
「うぬう……ばかにしおって! 許さんのじゃ、今からわらわは復讐鬼なのじゃ! 復讐するのじゃ、復讐するのじゃ!」
「待て、復讐するは俺にあり! 勝手に復讐鬼を名乗るな! あとプリン返せ」
「うるさい、わらわの勝手じゃ! ふふ……わらわの智謀でタカシをぎゃふんと言わせるのじゃ! 謝るなら今のう」
「ごめん」
まつりが凍った。
「謝ったからプリン返せ」
「まだなのじゃ! まだ何も復讐してないのに、謝られたら困るのじゃ! 謝るの返すのじゃ、ごめんなさい。ぺこり」
「仕方ない、許してやろう」
ぺこりと言いながらぺこりと頭を下げられたので、許さざるを得ない。
「ち、違うのじゃ! これは返しただけで、謝ったわけではないのじゃ! ごめんではないのじゃ!」
「じゃーじゃーうるさい! なんでもいいから、プリンを返せ!」
「じゃ、じゃーじゃーうるさいとは何事じゃ! これは高貴なわらわのみ使える言葉じゃぞ! そうじゃ、わらわは高貴なる存在なのじゃ。プリンのひとつやふたつ、献上して当然と思わんかえ?」
聞いた話によると、まつりはどっかの国のお姫様らしい。俺の予想では、戦国時代のお姫さんがタイムスリップしてきたとかそんな。
「思わん! たとえまつりが城で『爺、暇だ。罪人の首をはねよ』とか言うくらい偉くて残虐非道な人だとしても、それはそれ! プリンを返せ!」
「そんなこと言わんのじゃ! わらわをなんだと思おておる!」
「姫」
「なんじゃ、分かっておるではないか。そう、わらわは高貴なる姫! 本来、貴様のような下賎な輩がおいそれと口をきけるような者では」
「いかん、プリン分が足りなくなってきた。このままではプリン分を補うため俺の体内で化学反応が起こり、臓器が全部プリンに置き換わる」
「どうして貴様はわらわの話を途中で……な、なんじゃと!」
まさか信じるとは思わなかったが、面白いので騙そう。
「言ってなかったが、俺は奇病、内臓プリンに侵されている。この病気にかかると、一定時間プリンを摂取しなかったら臓器が全てプリンに変わってしまうんだ」
「な、なんと、タカシがそんな大病に侵されていようとは……」
簡単に騙される辺り、姫さんのような気がしないでもない。
「よし、今からコンビニ行ってプリンを買ってくる! それまでプリンになるんじゃないぞ、タカシ!」
「悪い……もう遅いようだ」
ぱったり倒れ、体中の内臓がプリンになったフリをする。難しすぎる。
「た、タカシ!? まだじゃ、まだプリンになってはならん!」
「す、すまない……俺、おまえと会えて、嬉し……か……」
「こ、こうなってはわらわの口内に残るプリンのカスで補うしか……」
いかん、話がおかしな方向に。
「な、なんか奇跡が起きて治ったような」
「気など使わずともよい! こ、これは接吻ではない、ただの人命救助じゃ。……そ、それに、おぬしとなら、わらわは、その、別に……」
いかん、このままでは俺の唇が大変ピンチ! いやそれが嫌とかそういう話でなくてええとええと!
「そうだ、これは体液の交換でうつるという設定……いや、そういう病気なのだ! だからキスすると」
「……設定?」
いかん、俺がピンチ。
結局、芋づる式に嘘が全部ばれた。
「よくもわらわを騙したな! なにが内臓プリンじゃ、莫迦者!」
「すいません」
すごい怒られたが、接吻を回避できたしまぁOK。……こういうことは、騙してとか嫌だし。
【アンパンを投げてくるツンデレ】
2010年03月12日
まつりがアンパンを食べたことがないと言うので、ふぅんと答えたら、買って来いと言うので、断ったら、癇癪を起こしてうるさかったので、買ってきた。
「ふむ、これがあんぱんか。さがってよいぞえ」
「感謝の言葉がまったくないことに言及するのはまた後に回すとして、金よこせ。100円」
「恐喝は犯罪じゃぞ?」
「普通に金を徴収してるだけだ!」
ぶちぶち文句を言われたが、どうにか100円玉を手に入れた。
「さて、味はどんなものかのう」
ビニールを破り、まつりは大きく口を開けてアンパンにかぶりついた。そして次の瞬間、噛み砕いたパンの欠片を勢いよく俺にぶちまけた。
「ああっ、まつりの唾液が付着した小麦粉の粒が俺に! 嬉しいような嬉しくないようなこの微妙な気持ち、分かります?」
「なんじゃ、この味は! わらわにこのようなものを食べさせ、腹を壊させようとは……なんと奸計に長けた奴よ」
買って来いと言われたので、買ってきただけです。
「しかし、貴様の企みもここまでじゃ。ほれ、残りは貴様が食え」
ぽいとアンパンを投げたので、死後かなりの確率でもったいないお化けになる俺としては受け取らざるを得なかった。
「おいおい、食べ物を粗末に扱うな。食べ物を粗末に扱うと、巡り巡って自分が粗末に扱われるぞ」
「ふん。わらわが粗末に扱われるなぞ、ありえんわい。いいから他の菓子を用意せよ」
ええい、無駄に偉そうな奴め。よし、こうなったら俺がまつりを粗末に扱ってやる。粗末に扱われ、身も心もぼろぼろになり、そして最後には誰にも知られず、こっそり息絶え……そんな、そんな!
「にゃーっ!?」
「あんまりだ! いくら傲慢な奴とはいえ、そんなのってない!」
自分の想像したまつりの最後に思わず感極まり、まつりを抱きしめ号泣する。
「きっ、ききき、貴様貴様きさまーっ! 高貴なるわらわに、だだ、抱きつくなど、無礼にもほどが」
「ううう……俺は最後までまつりのこと、見捨てないからな?」
「にゃ……だ、抱きつくなと、言ってるじゃろうが……」
抱きしめながら頭をなでると、まつりの抵抗が小さくなった。
「しかしよく考えると想像の中で非業の最期を遂げただけで、現実のまつりは相も変わらず無駄に傲慢なまま顔を赤らめているなあ」
「む、無駄とはなんじゃ、無駄とは! だいたい、なぜ貴様なんぞに抱きつかれただけで顔を赤らめねばならん! 貴様の目が腐っておるのでそう見えるだけで、わらわの顔は赤くなってない!」
りんごのようにほっぺを赤くしながら言われても、無理があるような。
「ええい、なんでもいいから離せ!」
「なでなで」
「にゃ……な、なでるでない。わらわは子供ではないので、そんなことされても、嬉しくなぞ……」
「なでなでなで」
「……そ、そのじゃな、その……にゃう」
まつりは困ったような一声鳴いた。
「ははーん……さてはお前、猫だな?」
「誰が猫かーっ!」
すごく怒られたので、慌ててなでる。
「なでなでなで」
「にゃう……ぬぬ、な、なでるな! 変な声が出るじゃろうが!」
「……ああ、猫でなくて、化け猫か! 偉そうなのもこれで納得!」
「化け猫じゃないわいっ!」
「馬鹿な! それじゃ、将来は化け猫を娶って幸せに暮らす俺の将来設計はどうなる!」
「貴様の将来設計なぞ知らんし、第一化け猫なぞ存在せん! このど阿呆が!」
「化け猫いないの!? じゃ、じゃあ俺は誰と結婚すればいいんだ!?」
「知るか阿呆!」
「……むぅ、仕方ない。なでるとにゃあと鳴く娘と結婚しよう」
「ふん、勝手に……いや待て。もしかすると、わらわのことかえ?」
「そうかえ」
「なっ、なんで貴様なんぞと結婚せねばならんのじゃ! わらわは嫌じゃぞ!」
まつりは顔を真っ赤にしながら、俺との婚姻を拒んだ。よし、ここはいかに俺がすぐれた男であるかアッピールしてみよう!
「かつおぶし毎日あげるぞ? 猫まっしぐら!」
「だから、わらわは猫じゃないっ!」
「ははっ、またまた。ご冗談を」
「誰かこのど阿呆をどうにかせよっ! ああっ、だからなでるにゃーっ!」
怒鳴る猫をなでる一日でした。
「ふむ、これがあんぱんか。さがってよいぞえ」
「感謝の言葉がまったくないことに言及するのはまた後に回すとして、金よこせ。100円」
「恐喝は犯罪じゃぞ?」
「普通に金を徴収してるだけだ!」
ぶちぶち文句を言われたが、どうにか100円玉を手に入れた。
「さて、味はどんなものかのう」
ビニールを破り、まつりは大きく口を開けてアンパンにかぶりついた。そして次の瞬間、噛み砕いたパンの欠片を勢いよく俺にぶちまけた。
「ああっ、まつりの唾液が付着した小麦粉の粒が俺に! 嬉しいような嬉しくないようなこの微妙な気持ち、分かります?」
「なんじゃ、この味は! わらわにこのようなものを食べさせ、腹を壊させようとは……なんと奸計に長けた奴よ」
買って来いと言われたので、買ってきただけです。
「しかし、貴様の企みもここまでじゃ。ほれ、残りは貴様が食え」
ぽいとアンパンを投げたので、死後かなりの確率でもったいないお化けになる俺としては受け取らざるを得なかった。
「おいおい、食べ物を粗末に扱うな。食べ物を粗末に扱うと、巡り巡って自分が粗末に扱われるぞ」
「ふん。わらわが粗末に扱われるなぞ、ありえんわい。いいから他の菓子を用意せよ」
ええい、無駄に偉そうな奴め。よし、こうなったら俺がまつりを粗末に扱ってやる。粗末に扱われ、身も心もぼろぼろになり、そして最後には誰にも知られず、こっそり息絶え……そんな、そんな!
「にゃーっ!?」
「あんまりだ! いくら傲慢な奴とはいえ、そんなのってない!」
自分の想像したまつりの最後に思わず感極まり、まつりを抱きしめ号泣する。
「きっ、ききき、貴様貴様きさまーっ! 高貴なるわらわに、だだ、抱きつくなど、無礼にもほどが」
「ううう……俺は最後までまつりのこと、見捨てないからな?」
「にゃ……だ、抱きつくなと、言ってるじゃろうが……」
抱きしめながら頭をなでると、まつりの抵抗が小さくなった。
「しかしよく考えると想像の中で非業の最期を遂げただけで、現実のまつりは相も変わらず無駄に傲慢なまま顔を赤らめているなあ」
「む、無駄とはなんじゃ、無駄とは! だいたい、なぜ貴様なんぞに抱きつかれただけで顔を赤らめねばならん! 貴様の目が腐っておるのでそう見えるだけで、わらわの顔は赤くなってない!」
りんごのようにほっぺを赤くしながら言われても、無理があるような。
「ええい、なんでもいいから離せ!」
「なでなで」
「にゃ……な、なでるでない。わらわは子供ではないので、そんなことされても、嬉しくなぞ……」
「なでなでなで」
「……そ、そのじゃな、その……にゃう」
まつりは困ったような一声鳴いた。
「ははーん……さてはお前、猫だな?」
「誰が猫かーっ!」
すごく怒られたので、慌ててなでる。
「なでなでなで」
「にゃう……ぬぬ、な、なでるな! 変な声が出るじゃろうが!」
「……ああ、猫でなくて、化け猫か! 偉そうなのもこれで納得!」
「化け猫じゃないわいっ!」
「馬鹿な! それじゃ、将来は化け猫を娶って幸せに暮らす俺の将来設計はどうなる!」
「貴様の将来設計なぞ知らんし、第一化け猫なぞ存在せん! このど阿呆が!」
「化け猫いないの!? じゃ、じゃあ俺は誰と結婚すればいいんだ!?」
「知るか阿呆!」
「……むぅ、仕方ない。なでるとにゃあと鳴く娘と結婚しよう」
「ふん、勝手に……いや待て。もしかすると、わらわのことかえ?」
「そうかえ」
「なっ、なんで貴様なんぞと結婚せねばならんのじゃ! わらわは嫌じゃぞ!」
まつりは顔を真っ赤にしながら、俺との婚姻を拒んだ。よし、ここはいかに俺がすぐれた男であるかアッピールしてみよう!
「かつおぶし毎日あげるぞ? 猫まっしぐら!」
「だから、わらわは猫じゃないっ!」
「ははっ、またまた。ご冗談を」
「誰かこのど阿呆をどうにかせよっ! ああっ、だからなでるにゃーっ!」
怒鳴る猫をなでる一日でした。
【ツンデレが怪我をしたら】
2010年03月07日
まつりと一緒にぽてぽて帰ってる最中、タイヤキ屋の前を通りかかった。
「これタカシ、わらわは小腹が空いた。そこのタイヤキを所望するのじゃ、献上せい」
わがままな姫さんがわがままを言う。普通に買ってやるのもなんだし、何より偉そうなのが気に食わない。……よし、ちょっとイタズラしよう。
「タイヤキは盗み食いするのが市井のルールだ」
「なんと! 下々は物騒じゃのう……仕方ない、やってみるのじゃ」
すんなり信じられた。まさか信じるとは思わなかったが、よく考えるとまつりは一般常識が通用しないお姫様な世界に住んでるので、信じるよね。
なんて思ってる間に、まつりはタイヤキ屋の前に移動してた。慌てて後を追う。
「これ、そこな店主。タイヤキを4つ献上せい」
「4つね。……はい、520円ね」
「うむ、ご苦労」
まつりが袋を受け取り、金を払わずに背を向けた。それを見て、俺は大きく息を吸い込んだ。
「うわあああ! まつりがタイヤキ盗んだあああ!」
「な、なんじゃとお!?」
俺の叫びを聞きつけ、街のみんながわらわらとまつりを囲みました。
「まったく! 貴様は! 余計なことばかり! するのう!」
姫ぱぅわー+俺の謝罪により騒ぎを鎮火させ、その後ちゃんと金を払ってタイヤキを手に入れた。公園に着いたのでここで食うのかと思ったが、まつりは俺の頬を引っ張るのに夢中なようで。
「盗み食いを食い止めた正義の人のほっぺを引っ張るのは、悪ですよ?」
「正義の人は嘘などつかんのじゃっ!」
それもそうだ。それはともかくいい加減頬が痛いので、適当に謝って頬を引っ張るのをやめてもらう。
「まったく……それにしても、街中でタックル喰らうとは思いもせなんだわい」
まつりを取り押さえる際、タックルしてた人がいたので、そのことを言ってるのだろう。
「貴重な体験できてよかったね」
「ちっともよくわいわいっ! ほれ見ろ、わらわの玉のような肌に傷が出来てしもうたのじゃ!」
まつりは髪をかきあげ、おでこをさらした。確かに、ちょっと血が染みていた。
「ありゃ、痛そうだな」
「痛いわいっ! どうにかせい!」
「そうだな……2つあるけど、どっちがいい?」
「……一応、両方言ってみい」
「一つはそれどころじゃなくなる方法、もう一つは痛みすら感じなくなる方法」
「もっと普通の手段を取れっ!」
ちょっと泣きそうになってるので、普通にすることにする。
「じゃ、そこのベンチで待ってろ。あ、タイヤキ先に食っててもいいぞ」
「あっ、タカシ!」
まつりを待たせ、水道を探しに行く。ほどなくして見つけた水道でハンカチを濡らし、ベンチに戻る。
「お待たへー。……ん、まだ食ってなかったのか?」
まつりは膝にタイヤキの袋を乗せたまま、ぼーっとしていた。
「……ふ、ふん。そんなもの、わらわの勝手じゃろう」
「ま、そだけど。んじゃ、ちっとしみるかもしんねーけど、我慢しろ。もしくは、苦痛を快楽に変えろ。……いかん、それではまつりがMに! どうしよう!?」
「うるさい」
怒られたので、それ以上は何も言わずハンカチをまつりのおでこに軽く当てる。
「にゃっ!」
「猫だ」
「猫じゃないわい! 冷たさにびっくりして、声が出ただけじゃ!」
怪しいものだと思いながら、再びちょんちょんとハンカチをおでこに当てる。
「にゃっ、にゃう……」
「やっぱ猫だ」
「だから、猫じゃないわい!」
まったく信じずに、再びちょんちょんと。
「にゅ……の、のう? どうじゃ?」
「血が止まらない。このままじゃヤバイかも」
「にゃんじゃとーっ!?」
「という夢を見そうな今日この頃」
ほっぺを引っ張られて痛い痛い。
「おぬしはいじわるじゃ。もっと優しくせい」
「へーへー」
まつりのおでこをハンカチで少し優しく触る。
「にゃう! ……の、のう、もっと優しく触ってたもれ。まだ痛くて敵わんのじゃ」
「む、エロいぞまつり。略して悶絶わななきまつり」
「略すどころか変な言葉がついてるぞよ!?」
「なんか、エロい祭りみたいで素敵だよね」
「どこが素敵なのじゃ! ちっとも素敵じゃないのじゃ!」
「なんだと!? 貴様、エロ祭りを馬鹿にするか! 謝れ、エロ祭りを心待ちにしてる皆さんに謝れ!」
「な、なんでわらわがそんなものに謝らねばならんのじゃ! 謝らん、わらわは謝らんぞ!」
「…………」(まつりのおでこをハンカチでぐりぐりぐり)
「痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、エロ祭りだーい好き♪」
「へ……変態だーっ!」
「おぬしが言わせたんじゃろうがっ! おのれ……一生恨んでやるのじゃ」
「とりあえずまつりをいじめられたので、満足した俺は再びまつりの傷を治すことにした」
「誰に言ってるのじゃ……にゃっ、いたっ、……うう、もっと優しくしてほしいのじゃ」
汚れや血を落とし、キレイになったところで絆創膏をぺしーんと張る。
「にゃっ! もっと優しく張るのじゃ!」
「へーへー。ともかく、これでよし。ブッチャーに憧れてるのは知ってるけど、これからはヘッドバット自重するんだぞ?」
「タックルされて転んでできた傷じゃと言っとるじゃろうがっ! あんな悪役レスラーに憧れてなどおらんっ!」
「んなっ……き、貴様、ブッチャーを馬鹿にするか!? 謝れ、ブッチャーに謝れ!」
「あ、謝らん、今度こそ謝らんのじゃ! わらわは暴力に屈服せんのじゃ!」
「…………」(絆創膏の上から指でぐりぐりぐり)
「にゃううっ、痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、ブッチャーだーい好き♪」
簡単に屈服した。
「ううう……おでこ痛い……」
まつりは半泣きでおでこを押さえた。このお姫様、弱い。
「だからあれほどヘッドバットするなと言ったのに……」
「しておらんっ! おぬしがわらわのおでこをぐりぐりしたからじゃっ! よくもわらわを傷物にしおって……責任を取れ、責任をっ!」
「ええっ、こんな猫を嫁にするの!? 猫人間との生活に戦々恐々な秋の夕暮れ!」
「誰が猫かーっ! そも、貴様なぞのところに嫁ぐわけなかろうっ!」
「俺に嫁げと言うのか? まったく、姫さんは平気な顔して無茶を言う」
「んなこと言ってないのじゃーッ! ……ぜはーぜはー……」
いっぱい『!』を使ったので、呼吸が乱れた模様。
「まぁ責任の話は後にまわしてうやむやにするとして、とりあえずタイヤキ食おう」
「うやむやにするとはどういう了見……むぐっ」
話を打ち切るように、まつりの口にタイヤキを詰める。
「……ぷはっ。いきなり何するのじゃ!」
「早く食わないと冷めちゃうぞ? 冷めると美味しくなくなる予感」
「ぬ……おぬしなんぞに言われんでも、分かっておるわ!」
そう言って、まつりはタイヤキを口にした。それを横からぼーっと眺める。
「……な、なんじゃ?」
「ん、別に。美味そうに食うなーって思って」
「ぬ……じ、じろじろ見るでない、馬鹿者」
まつりはちょっと恥ずかしそうに頬を染め、タイヤキにかじりついた。それを再びぼーっと眺める。
「……だ、だから、見るでない。食いにくいではないか」
「なんか、お前が食ってるの見てたら小腹が空いた」
「……欲しいのかえ?」
「いや、そういうわけじゃ。お前が食ってる横で恨めしそうにじーっと見てるだけだから、気にするな」
「気になるに決まってるじゃろうがっ!」
「ちなみに、心の中はお前への恨み言でいっぱいです」
「知りたくもない情報じゃっ! ああもう分かったのじゃ、特別にあげるのじゃ! じゃから、恨み言なんて思わないで欲しいのじゃ!」
ふるふる震えながら、まつりは半泣きで俺に食いかけのタイヤキを渡した。
「サンキュ。よもや食いかけの方をくれるとは思いもしなかったぞ」
「? ……あーっ! だ、ダメなのじゃ、それでは、か……間接きっすになるのじゃ! 嫌じゃ、嫌なのじゃ! こっちの新品と交換するのじゃ!」
「別にいいけど、交換の手間賃として直接俺にキスしてください」
「それじゃ悪化してるのじゃ! ううう……なんで貴様なんぞと間接キスをせねばならんのじゃ……」
「むちゅー」
「とか言ってる間にわらわの食いかけの所にちゅーを!? う、うう……最悪なのじゃ」
「まつり、顔赤いぞ」
「ぬな!? こ、これは、そ、その……突発性の風邪じゃっ!」
「…………」
「な、なんじゃ? 疑っておるのかえ? わ、わらわは高貴なる身分じゃから、突発的に風邪をひくのじゃ!」
「…………」
「ほ、ホントじゃぞ? 嘘じゃないぞ?」
「……嘘だったら絶交」(ぼそり)
「嘘! うーそなーのじゃー! タカシを騙すために嘘をついたのじゃー! はっはー、騙されおって、馬鹿な奴なのじゃー!」
「……はぁ。なんつーか、面白いっつーか、馬鹿っつーか」
「な、なんじゃ……わらわは馬鹿じゃないわい!」
「……あーもー可愛いなあ! もう!」
なんかもう愛情が漏れちゃったので、まつりの頭をなでなでする。
「ふにゃっ!? き、貴様、わらわの頭をなでなでするとは、万死に値するぞ!」
「なでなでなで」
「ば、万死に値する……」
「なでなで、なでなで」
「……そ、その、……にゃう」
10分ほどなでてたら、大人しくなった。
「あー……大丈夫か?」
「……にゃふー」(満足げ)
「……大丈夫そうだな。冷めちゃったと思うけど、タイヤキ食うか?」
「……にゅふー」(満足げ)
なんか変な生き物に進化してる。
「ほら、食べろ」
「……にょふー」(満足げ)
まつりの口元にタイヤキを持っていくが、にゃふにょふ言うばかりでちっとも口にしない。
しょうがないので一人で全部食べたら、後で大変叱られた。
「全部食ったじゃと!? ぐぬう……許せんのじゃ! 一生恨むのじゃ、タカシ!」
「困ったねもぐもぐ」
「口ではそう言いながらちっとも思ってないのが丸分かりじゃ! なぜなら、困ったと言ってるその口でタイヤキを食ってるからであり、つまりそれはわらわのタイヤキなので返せばかーっ!」
ぐるぐるぱんちをしてくるまつりの頭を押さえながら食いきりました。
「にゃうう……わらわのタイヤキ……」
「そうしょげるな。そのうちいいことあるさ」
「おぬしのせいでしょげておるのじゃ、ばかーっ!」
慰めたのに怒られた。
「これタカシ、わらわは小腹が空いた。そこのタイヤキを所望するのじゃ、献上せい」
わがままな姫さんがわがままを言う。普通に買ってやるのもなんだし、何より偉そうなのが気に食わない。……よし、ちょっとイタズラしよう。
「タイヤキは盗み食いするのが市井のルールだ」
「なんと! 下々は物騒じゃのう……仕方ない、やってみるのじゃ」
すんなり信じられた。まさか信じるとは思わなかったが、よく考えるとまつりは一般常識が通用しないお姫様な世界に住んでるので、信じるよね。
なんて思ってる間に、まつりはタイヤキ屋の前に移動してた。慌てて後を追う。
「これ、そこな店主。タイヤキを4つ献上せい」
「4つね。……はい、520円ね」
「うむ、ご苦労」
まつりが袋を受け取り、金を払わずに背を向けた。それを見て、俺は大きく息を吸い込んだ。
「うわあああ! まつりがタイヤキ盗んだあああ!」
「な、なんじゃとお!?」
俺の叫びを聞きつけ、街のみんながわらわらとまつりを囲みました。
「まったく! 貴様は! 余計なことばかり! するのう!」
姫ぱぅわー+俺の謝罪により騒ぎを鎮火させ、その後ちゃんと金を払ってタイヤキを手に入れた。公園に着いたのでここで食うのかと思ったが、まつりは俺の頬を引っ張るのに夢中なようで。
「盗み食いを食い止めた正義の人のほっぺを引っ張るのは、悪ですよ?」
「正義の人は嘘などつかんのじゃっ!」
それもそうだ。それはともかくいい加減頬が痛いので、適当に謝って頬を引っ張るのをやめてもらう。
「まったく……それにしても、街中でタックル喰らうとは思いもせなんだわい」
まつりを取り押さえる際、タックルしてた人がいたので、そのことを言ってるのだろう。
「貴重な体験できてよかったね」
「ちっともよくわいわいっ! ほれ見ろ、わらわの玉のような肌に傷が出来てしもうたのじゃ!」
まつりは髪をかきあげ、おでこをさらした。確かに、ちょっと血が染みていた。
「ありゃ、痛そうだな」
「痛いわいっ! どうにかせい!」
「そうだな……2つあるけど、どっちがいい?」
「……一応、両方言ってみい」
「一つはそれどころじゃなくなる方法、もう一つは痛みすら感じなくなる方法」
「もっと普通の手段を取れっ!」
ちょっと泣きそうになってるので、普通にすることにする。
「じゃ、そこのベンチで待ってろ。あ、タイヤキ先に食っててもいいぞ」
「あっ、タカシ!」
まつりを待たせ、水道を探しに行く。ほどなくして見つけた水道でハンカチを濡らし、ベンチに戻る。
「お待たへー。……ん、まだ食ってなかったのか?」
まつりは膝にタイヤキの袋を乗せたまま、ぼーっとしていた。
「……ふ、ふん。そんなもの、わらわの勝手じゃろう」
「ま、そだけど。んじゃ、ちっとしみるかもしんねーけど、我慢しろ。もしくは、苦痛を快楽に変えろ。……いかん、それではまつりがMに! どうしよう!?」
「うるさい」
怒られたので、それ以上は何も言わずハンカチをまつりのおでこに軽く当てる。
「にゃっ!」
「猫だ」
「猫じゃないわい! 冷たさにびっくりして、声が出ただけじゃ!」
怪しいものだと思いながら、再びちょんちょんとハンカチをおでこに当てる。
「にゃっ、にゃう……」
「やっぱ猫だ」
「だから、猫じゃないわい!」
まったく信じずに、再びちょんちょんと。
「にゅ……の、のう? どうじゃ?」
「血が止まらない。このままじゃヤバイかも」
「にゃんじゃとーっ!?」
「という夢を見そうな今日この頃」
ほっぺを引っ張られて痛い痛い。
「おぬしはいじわるじゃ。もっと優しくせい」
「へーへー」
まつりのおでこをハンカチで少し優しく触る。
「にゃう! ……の、のう、もっと優しく触ってたもれ。まだ痛くて敵わんのじゃ」
「む、エロいぞまつり。略して悶絶わななきまつり」
「略すどころか変な言葉がついてるぞよ!?」
「なんか、エロい祭りみたいで素敵だよね」
「どこが素敵なのじゃ! ちっとも素敵じゃないのじゃ!」
「なんだと!? 貴様、エロ祭りを馬鹿にするか! 謝れ、エロ祭りを心待ちにしてる皆さんに謝れ!」
「な、なんでわらわがそんなものに謝らねばならんのじゃ! 謝らん、わらわは謝らんぞ!」
「…………」(まつりのおでこをハンカチでぐりぐりぐり)
「痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、エロ祭りだーい好き♪」
「へ……変態だーっ!」
「おぬしが言わせたんじゃろうがっ! おのれ……一生恨んでやるのじゃ」
「とりあえずまつりをいじめられたので、満足した俺は再びまつりの傷を治すことにした」
「誰に言ってるのじゃ……にゃっ、いたっ、……うう、もっと優しくしてほしいのじゃ」
汚れや血を落とし、キレイになったところで絆創膏をぺしーんと張る。
「にゃっ! もっと優しく張るのじゃ!」
「へーへー。ともかく、これでよし。ブッチャーに憧れてるのは知ってるけど、これからはヘッドバット自重するんだぞ?」
「タックルされて転んでできた傷じゃと言っとるじゃろうがっ! あんな悪役レスラーに憧れてなどおらんっ!」
「んなっ……き、貴様、ブッチャーを馬鹿にするか!? 謝れ、ブッチャーに謝れ!」
「あ、謝らん、今度こそ謝らんのじゃ! わらわは暴力に屈服せんのじゃ!」
「…………」(絆創膏の上から指でぐりぐりぐり)
「にゃううっ、痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、ブッチャーだーい好き♪」
簡単に屈服した。
「ううう……おでこ痛い……」
まつりは半泣きでおでこを押さえた。このお姫様、弱い。
「だからあれほどヘッドバットするなと言ったのに……」
「しておらんっ! おぬしがわらわのおでこをぐりぐりしたからじゃっ! よくもわらわを傷物にしおって……責任を取れ、責任をっ!」
「ええっ、こんな猫を嫁にするの!? 猫人間との生活に戦々恐々な秋の夕暮れ!」
「誰が猫かーっ! そも、貴様なぞのところに嫁ぐわけなかろうっ!」
「俺に嫁げと言うのか? まったく、姫さんは平気な顔して無茶を言う」
「んなこと言ってないのじゃーッ! ……ぜはーぜはー……」
いっぱい『!』を使ったので、呼吸が乱れた模様。
「まぁ責任の話は後にまわしてうやむやにするとして、とりあえずタイヤキ食おう」
「うやむやにするとはどういう了見……むぐっ」
話を打ち切るように、まつりの口にタイヤキを詰める。
「……ぷはっ。いきなり何するのじゃ!」
「早く食わないと冷めちゃうぞ? 冷めると美味しくなくなる予感」
「ぬ……おぬしなんぞに言われんでも、分かっておるわ!」
そう言って、まつりはタイヤキを口にした。それを横からぼーっと眺める。
「……な、なんじゃ?」
「ん、別に。美味そうに食うなーって思って」
「ぬ……じ、じろじろ見るでない、馬鹿者」
まつりはちょっと恥ずかしそうに頬を染め、タイヤキにかじりついた。それを再びぼーっと眺める。
「……だ、だから、見るでない。食いにくいではないか」
「なんか、お前が食ってるの見てたら小腹が空いた」
「……欲しいのかえ?」
「いや、そういうわけじゃ。お前が食ってる横で恨めしそうにじーっと見てるだけだから、気にするな」
「気になるに決まってるじゃろうがっ!」
「ちなみに、心の中はお前への恨み言でいっぱいです」
「知りたくもない情報じゃっ! ああもう分かったのじゃ、特別にあげるのじゃ! じゃから、恨み言なんて思わないで欲しいのじゃ!」
ふるふる震えながら、まつりは半泣きで俺に食いかけのタイヤキを渡した。
「サンキュ。よもや食いかけの方をくれるとは思いもしなかったぞ」
「? ……あーっ! だ、ダメなのじゃ、それでは、か……間接きっすになるのじゃ! 嫌じゃ、嫌なのじゃ! こっちの新品と交換するのじゃ!」
「別にいいけど、交換の手間賃として直接俺にキスしてください」
「それじゃ悪化してるのじゃ! ううう……なんで貴様なんぞと間接キスをせねばならんのじゃ……」
「むちゅー」
「とか言ってる間にわらわの食いかけの所にちゅーを!? う、うう……最悪なのじゃ」
「まつり、顔赤いぞ」
「ぬな!? こ、これは、そ、その……突発性の風邪じゃっ!」
「…………」
「な、なんじゃ? 疑っておるのかえ? わ、わらわは高貴なる身分じゃから、突発的に風邪をひくのじゃ!」
「…………」
「ほ、ホントじゃぞ? 嘘じゃないぞ?」
「……嘘だったら絶交」(ぼそり)
「嘘! うーそなーのじゃー! タカシを騙すために嘘をついたのじゃー! はっはー、騙されおって、馬鹿な奴なのじゃー!」
「……はぁ。なんつーか、面白いっつーか、馬鹿っつーか」
「な、なんじゃ……わらわは馬鹿じゃないわい!」
「……あーもー可愛いなあ! もう!」
なんかもう愛情が漏れちゃったので、まつりの頭をなでなでする。
「ふにゃっ!? き、貴様、わらわの頭をなでなでするとは、万死に値するぞ!」
「なでなでなで」
「ば、万死に値する……」
「なでなで、なでなで」
「……そ、その、……にゃう」
10分ほどなでてたら、大人しくなった。
「あー……大丈夫か?」
「……にゃふー」(満足げ)
「……大丈夫そうだな。冷めちゃったと思うけど、タイヤキ食うか?」
「……にゅふー」(満足げ)
なんか変な生き物に進化してる。
「ほら、食べろ」
「……にょふー」(満足げ)
まつりの口元にタイヤキを持っていくが、にゃふにょふ言うばかりでちっとも口にしない。
しょうがないので一人で全部食べたら、後で大変叱られた。
「全部食ったじゃと!? ぐぬう……許せんのじゃ! 一生恨むのじゃ、タカシ!」
「困ったねもぐもぐ」
「口ではそう言いながらちっとも思ってないのが丸分かりじゃ! なぜなら、困ったと言ってるその口でタイヤキを食ってるからであり、つまりそれはわらわのタイヤキなので返せばかーっ!」
ぐるぐるぱんちをしてくるまつりの頭を押さえながら食いきりました。
「にゃうう……わらわのタイヤキ……」
「そうしょげるな。そのうちいいことあるさ」
「おぬしのせいでしょげておるのじゃ、ばかーっ!」
慰めたのに怒られた。
【ツンデレにお困りの事ありませんか?って聞いたら】
2010年03月06日
まつりが人の弁当を勝手に食うので困っているというのに、こちらが逆に聞けと言うのか。なんというvolunteer精神! 気に入った、言ってやる!
「まつり、何か困ったことあるか?」
「むしゃむしゃ……む? そうじゃのう。この量では到底足りんということくらいじゃの」
「なるほど、人の弁当を勝手に食うだけに飽き足らず、さらに献上しろと言うのだな」
「そうじゃ。ほれ、早う購買に行って何か買ってくるのじゃ」
弁当をむっしむっし食ってるまつりの小柄な身体を背中から抱き上げる。
「む?」
そして、おもむろにジャーマンスープレックス!
「ふん、ワシにそのような見せ技が通用するものぎゃあ!?」
のんびり解説してたせいで成功した。ただ、まつりの身長が俺よりかなり小さかったため、俺の頭部にも均等に多大なるダメージがあり超泣きそう。
「ううう……何をするんじゃ、この莫迦者めが!」
「俺だって超痛いんだし、許せばいいんじゃないだろうか」
「知るか! うう……頭が痛いのじゃ」
まつりは涙目になりながら両手で頭を押さえている。その姿に、少しだけ罪悪感を感じる。
「あー、まあ、いくら勝手に飯を食われたとはいえ女性にジャーマンをかますのはよくないよね。ごめんな」(なでなで)
まつりの手の上から頭をなでる。
「む……そ、その通りじゃ。まったく、貴様は考えが足らなさ過ぎる。ちょっとはワシを見習え、愚か者」
「まつりを見習うと、世界中の食物をその手中に収めなければならなくなり、結果世界征服を目指すことになる。それは大変に面倒くさいので見習いたくない」
「ワシはそんな食いしん坊じゃないわい!」
「飯粒をつけておいて、よくもまあいけしゃあしゃあと」
ほっぺについてたご飯粒をひょいぱく。
「む……き、貴様、そ、そういうことを普通の顔をしてするな!」
まつりはほんのり頬を朱に染めながら、腕組みして俺を睨んだ。
「あ、ごめん。次があるなら超嫌そうな顔をしてやるよ」
「明らかに頭がおかしいのじゃ!」
「さっき頭ぶつけたからおかしくなったのやも」
「昔からおかしいわいっ!」
とても失礼なことを言う奴め。ほっぺ引っ張ってやれ。
「むぎゅーっ! 何をするのじゃっ!」
怒られた。そりゃそうだ。
「それより、さっきの貴様の言い分じゃワシだっておかしくなってるのじゃ。さっき貴様にいきなりじゃーまんをされたからの」
「いや、それはだってお前が人の弁当を食うから罰を与えたまでで」
「うるさいのじゃ! ぬう、思い出したらどんどん腹が立ってきたのじゃ! ふふ……こうなったらこれから毎日貴様の弁当を食い尽くしてやるのじゃ!」
「それは大変にいけない! なぜなら毎日食われると毎日俺のお腹が空くから!」
「……どうして貴様は普通に喋れんのかのう?」
真顔で聞くな。
「ま、まあよい。それが嫌なら、今すぐワシの頭の痛みを取るのじゃ!」
「…………」
「な、なんじゃ、その目は。べ、別に他意なんてないのじゃっ!」
「……あー、うん。そうな。ええと、一応訊ねますが、頭をなでたら多少は痛み取れますか?」
「うんっ!」(満面の笑み)
「…………」
「だから、何なのじゃその目はっ!?」
「いやいや、なんでもないよ。じゃあやりますが、よろしいか?」
「うむ、苦しゅうない。やるがよい」
偉そうなので予定変更、アイアンクロー開始。わっしとまつりの頭をわしづかみし、万力開始。
「む? ……みぎゃあああっ!? 予想だにしていなかった痛みがワシの頭部を襲っておる!?」
「冷静だなコイツ」
「痛い痛い痛いーっ! うぬれ貴様あとで覚えておれよっ、絶対泣かしてやるのじゃ!」
「ふふん、お前にそんなことができるかな? あ、ちなみに俺の弱点はほっぺにちゅーされることだ。おっと、いけないいけない。つい言ってしまった。これではまつりにちゅーされてしまう」
「絶対に嘘なのじゃーっ!」
「ちゅーしてくれたらアイアンクロー解除する予感」
「脅迫っていうのじゃコレ!」
結局、まつりは脅迫に屈した。
「……ちゅ。しっ、したぞっ! ほれ、早く泣くのじゃ! うえーんって!」
「うへへぇ」
「にへにへするだけでちっとも泣かないのじゃ! うえーん!」
お前が泣いてどうする。と思いながら、まつりの頭をなでなでする俺だった。
「まつり、何か困ったことあるか?」
「むしゃむしゃ……む? そうじゃのう。この量では到底足りんということくらいじゃの」
「なるほど、人の弁当を勝手に食うだけに飽き足らず、さらに献上しろと言うのだな」
「そうじゃ。ほれ、早う購買に行って何か買ってくるのじゃ」
弁当をむっしむっし食ってるまつりの小柄な身体を背中から抱き上げる。
「む?」
そして、おもむろにジャーマンスープレックス!
「ふん、ワシにそのような見せ技が通用するものぎゃあ!?」
のんびり解説してたせいで成功した。ただ、まつりの身長が俺よりかなり小さかったため、俺の頭部にも均等に多大なるダメージがあり超泣きそう。
「ううう……何をするんじゃ、この莫迦者めが!」
「俺だって超痛いんだし、許せばいいんじゃないだろうか」
「知るか! うう……頭が痛いのじゃ」
まつりは涙目になりながら両手で頭を押さえている。その姿に、少しだけ罪悪感を感じる。
「あー、まあ、いくら勝手に飯を食われたとはいえ女性にジャーマンをかますのはよくないよね。ごめんな」(なでなで)
まつりの手の上から頭をなでる。
「む……そ、その通りじゃ。まったく、貴様は考えが足らなさ過ぎる。ちょっとはワシを見習え、愚か者」
「まつりを見習うと、世界中の食物をその手中に収めなければならなくなり、結果世界征服を目指すことになる。それは大変に面倒くさいので見習いたくない」
「ワシはそんな食いしん坊じゃないわい!」
「飯粒をつけておいて、よくもまあいけしゃあしゃあと」
ほっぺについてたご飯粒をひょいぱく。
「む……き、貴様、そ、そういうことを普通の顔をしてするな!」
まつりはほんのり頬を朱に染めながら、腕組みして俺を睨んだ。
「あ、ごめん。次があるなら超嫌そうな顔をしてやるよ」
「明らかに頭がおかしいのじゃ!」
「さっき頭ぶつけたからおかしくなったのやも」
「昔からおかしいわいっ!」
とても失礼なことを言う奴め。ほっぺ引っ張ってやれ。
「むぎゅーっ! 何をするのじゃっ!」
怒られた。そりゃそうだ。
「それより、さっきの貴様の言い分じゃワシだっておかしくなってるのじゃ。さっき貴様にいきなりじゃーまんをされたからの」
「いや、それはだってお前が人の弁当を食うから罰を与えたまでで」
「うるさいのじゃ! ぬう、思い出したらどんどん腹が立ってきたのじゃ! ふふ……こうなったらこれから毎日貴様の弁当を食い尽くしてやるのじゃ!」
「それは大変にいけない! なぜなら毎日食われると毎日俺のお腹が空くから!」
「……どうして貴様は普通に喋れんのかのう?」
真顔で聞くな。
「ま、まあよい。それが嫌なら、今すぐワシの頭の痛みを取るのじゃ!」
「…………」
「な、なんじゃ、その目は。べ、別に他意なんてないのじゃっ!」
「……あー、うん。そうな。ええと、一応訊ねますが、頭をなでたら多少は痛み取れますか?」
「うんっ!」(満面の笑み)
「…………」
「だから、何なのじゃその目はっ!?」
「いやいや、なんでもないよ。じゃあやりますが、よろしいか?」
「うむ、苦しゅうない。やるがよい」
偉そうなので予定変更、アイアンクロー開始。わっしとまつりの頭をわしづかみし、万力開始。
「む? ……みぎゃあああっ!? 予想だにしていなかった痛みがワシの頭部を襲っておる!?」
「冷静だなコイツ」
「痛い痛い痛いーっ! うぬれ貴様あとで覚えておれよっ、絶対泣かしてやるのじゃ!」
「ふふん、お前にそんなことができるかな? あ、ちなみに俺の弱点はほっぺにちゅーされることだ。おっと、いけないいけない。つい言ってしまった。これではまつりにちゅーされてしまう」
「絶対に嘘なのじゃーっ!」
「ちゅーしてくれたらアイアンクロー解除する予感」
「脅迫っていうのじゃコレ!」
結局、まつりは脅迫に屈した。
「……ちゅ。しっ、したぞっ! ほれ、早く泣くのじゃ! うえーんって!」
「うへへぇ」
「にへにへするだけでちっとも泣かないのじゃ! うえーん!」
お前が泣いてどうする。と思いながら、まつりの頭をなでなでする俺だった。
【弁当を忘れたツンデレ】
2010年02月23日
お昼休みになったので弁当をぱくついてたら、自称亡国の姫のまつりが視界に入った。何やら鞄をひっくり返しているようだが、一体どうしたのだろう。あ、こっち来た。
「そこな貧相な男。特別にわらわがおぬしのちっぽけで安っぽい弁当を食ってやろう。寄こにゃっ!」
居丈高にそんなこと言って来たので、玉子焼きを咥えたままデコピンしてやったら猫っぽくなった。
「な、何をするのじゃ!」
「もぐもぐ……失礼な輩にやる飯はない」
「な、なんじゃと! 特別にわらわがおぬしの臭くて中国産の野菜たっぷりの超危険な弁当を食ってやろうと言ってやっておるのに、失礼とはなんにゃっ!」
再びデコピンしたらまた猫っぽくなった。痛かったのか、まつりはおでこを押さえている。
「うぐぐ……き、貴様! わらわの珠のような肌に傷がついたらどうするのじゃ!」
「タマのような肌? タマ……ああ、猫か。まつりだしなあ」
「猫じゃないわいっ! タマ違いじゃ、珠じゃ、珠! ほら、真珠とかを表すときに使う方の珠!」
「どうでもいい」
断言してポテトをぱくり。冷えててパサパサだけどおいしい。
「どうでもいいとは……そ、それより、あまり食ってはならんぞ? わらわが食う分がなくなるではないか」
弁当の減る量に危惧の念を抱いたのか、まつりはそんな勝手なことを言った。
「まつりは俺みたいな庶民飯を食べたりする人種じゃないから問題ない」
「……じ、実はのう。わらわ、弁当を忘れたようなのじゃ。だ、だから、特別に献上を許すぞ?」
「いや、まつり様にこんな貧相な弁当を献上だなんて、恐れ多くてとてもとても」
見せ付けるようにご飯をぱくぱく。まつりは羨ましそうな、悔しそうな表情で俺を睨んだ。
「ぐぎぎ……そ、そんな畏まる必要はないぞよ? 庶民の飯を食うのも姫としての勉強じゃからのう」
……うーん、確かに飯抜きだとこの後辛いだろうしなあ。ぼちぼちいじめるのやめようかな。
「ま、いーや。半分くらい食っちまったけど、残りやるよ」
「おおっ、そうか! 褒美として、わらわに仕える事を許してやろう。おぬしのような下賎な輩には身に余る光栄であろう?」
偉そうなので顔面にアイアンクローしてやる。
「痛い痛い痛いのじゃ! 許してたもれ! 言い過ぎましたごめんなさいわらわが悪かったです! わらわが仕えますから手離してお願いします!」
満足したので手を離してやる。まつりは痛そうに顔をさすった。
「うぐぐ……おのれ別府タカシ、許すまじ」
「主君に対しその態度はなんだ」
「そんな口約束守るわけないじゃろうが、ばーか! 誰がおぬしのような阿呆に仕えるものか!」
「…………」(無言で手をわきわき)
「お、怒るでないぞ? 姫とはわがままなものなのじゃ。わらわは姫なのじゃから、怒ってはならぬぞ?」
「…………」(にっこり笑顔)
「……よ、よかったのじゃ。分かってくれて嬉しいのにゃああああ!?」
再びアイアンクロー発動。苦痛にもがいているが、逃れる力より俺の握力の方が強いので逃れられないようだ。
「痛い痛いごめんなさいわらわが悪かったです! やめてくださいご主人様このお仕置きすっごく辛いんです!」
再び満足したので手を離してやる。まつりは悔しそうに俺を睨んだ。
「くっ……よくもわらわを手篭めに。許さん、許さんぞよ、別府タカシ! いつか必ずこの恨み晴らしてくれようぞ!」
「恨まれてる相手に弁当やるの嫌だなあ」
「……わ、わらわは心が広いので、恨んだりはしないぞよ? じゃから、弁当をよこすのじゃ」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものください』と悩ましく言ったらやる」
たくましく黒光りする海苔弁当片手にして、何を言ってるのだろう、俺は。
「だっ、誰が言うか、阿呆!」
案の定、まつりは顔を真っ赤にして断った。
「じゃああげない」
「お……おぬしはいじわるなうえ、えっちなのじゃ! もー最悪なのじゃ! いいから早くわらわに弁当をよこすのじゃ! 早くせぬと、チャイムが鳴ってしまうではないか!」
「はっはっは、何を言うのやら。まだまだチャイムが鳴るのは先かと」
俺の台詞がチャイムに遮られた。
「ほれ見たことか! もー食べる時間ないのじゃ! おぬしがわらわをいじめるからなのじゃ! 責任を取れ、別府タカシ!」
「しょうがないな……で、式はいつにする?」
「誰も結婚しろとは言ってないのじゃあ!」
教室に響くほどの大声で叫ぶまつりだった。
その後の5時間目、まつりは隠れて俺のやった弁当を食っていたが、先生に見つかり怒られてた。
「怒られたではないか! どうしてくれる、別府タカシ!」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものから出る白濁としたものをください』と悩ましく言ったら謝ってやる」
「言うわけないのじゃっ! そも、もう弁当は食ってしまったのじゃ! というか、もうそれは何か別物なのじゃ!」
「いや、この場合は想像通りのものを指す」
「こやつ、ただの変態じゃっ!」
半泣きで叫ぶまつりだった。
「そこな貧相な男。特別にわらわがおぬしのちっぽけで安っぽい弁当を食ってやろう。寄こにゃっ!」
居丈高にそんなこと言って来たので、玉子焼きを咥えたままデコピンしてやったら猫っぽくなった。
「な、何をするのじゃ!」
「もぐもぐ……失礼な輩にやる飯はない」
「な、なんじゃと! 特別にわらわがおぬしの臭くて中国産の野菜たっぷりの超危険な弁当を食ってやろうと言ってやっておるのに、失礼とはなんにゃっ!」
再びデコピンしたらまた猫っぽくなった。痛かったのか、まつりはおでこを押さえている。
「うぐぐ……き、貴様! わらわの珠のような肌に傷がついたらどうするのじゃ!」
「タマのような肌? タマ……ああ、猫か。まつりだしなあ」
「猫じゃないわいっ! タマ違いじゃ、珠じゃ、珠! ほら、真珠とかを表すときに使う方の珠!」
「どうでもいい」
断言してポテトをぱくり。冷えててパサパサだけどおいしい。
「どうでもいいとは……そ、それより、あまり食ってはならんぞ? わらわが食う分がなくなるではないか」
弁当の減る量に危惧の念を抱いたのか、まつりはそんな勝手なことを言った。
「まつりは俺みたいな庶民飯を食べたりする人種じゃないから問題ない」
「……じ、実はのう。わらわ、弁当を忘れたようなのじゃ。だ、だから、特別に献上を許すぞ?」
「いや、まつり様にこんな貧相な弁当を献上だなんて、恐れ多くてとてもとても」
見せ付けるようにご飯をぱくぱく。まつりは羨ましそうな、悔しそうな表情で俺を睨んだ。
「ぐぎぎ……そ、そんな畏まる必要はないぞよ? 庶民の飯を食うのも姫としての勉強じゃからのう」
……うーん、確かに飯抜きだとこの後辛いだろうしなあ。ぼちぼちいじめるのやめようかな。
「ま、いーや。半分くらい食っちまったけど、残りやるよ」
「おおっ、そうか! 褒美として、わらわに仕える事を許してやろう。おぬしのような下賎な輩には身に余る光栄であろう?」
偉そうなので顔面にアイアンクローしてやる。
「痛い痛い痛いのじゃ! 許してたもれ! 言い過ぎましたごめんなさいわらわが悪かったです! わらわが仕えますから手離してお願いします!」
満足したので手を離してやる。まつりは痛そうに顔をさすった。
「うぐぐ……おのれ別府タカシ、許すまじ」
「主君に対しその態度はなんだ」
「そんな口約束守るわけないじゃろうが、ばーか! 誰がおぬしのような阿呆に仕えるものか!」
「…………」(無言で手をわきわき)
「お、怒るでないぞ? 姫とはわがままなものなのじゃ。わらわは姫なのじゃから、怒ってはならぬぞ?」
「…………」(にっこり笑顔)
「……よ、よかったのじゃ。分かってくれて嬉しいのにゃああああ!?」
再びアイアンクロー発動。苦痛にもがいているが、逃れる力より俺の握力の方が強いので逃れられないようだ。
「痛い痛いごめんなさいわらわが悪かったです! やめてくださいご主人様このお仕置きすっごく辛いんです!」
再び満足したので手を離してやる。まつりは悔しそうに俺を睨んだ。
「くっ……よくもわらわを手篭めに。許さん、許さんぞよ、別府タカシ! いつか必ずこの恨み晴らしてくれようぞ!」
「恨まれてる相手に弁当やるの嫌だなあ」
「……わ、わらわは心が広いので、恨んだりはしないぞよ? じゃから、弁当をよこすのじゃ」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものください』と悩ましく言ったらやる」
たくましく黒光りする海苔弁当片手にして、何を言ってるのだろう、俺は。
「だっ、誰が言うか、阿呆!」
案の定、まつりは顔を真っ赤にして断った。
「じゃああげない」
「お……おぬしはいじわるなうえ、えっちなのじゃ! もー最悪なのじゃ! いいから早くわらわに弁当をよこすのじゃ! 早くせぬと、チャイムが鳴ってしまうではないか!」
「はっはっは、何を言うのやら。まだまだチャイムが鳴るのは先かと」
俺の台詞がチャイムに遮られた。
「ほれ見たことか! もー食べる時間ないのじゃ! おぬしがわらわをいじめるからなのじゃ! 責任を取れ、別府タカシ!」
「しょうがないな……で、式はいつにする?」
「誰も結婚しろとは言ってないのじゃあ!」
教室に響くほどの大声で叫ぶまつりだった。
その後の5時間目、まつりは隠れて俺のやった弁当を食っていたが、先生に見つかり怒られてた。
「怒られたではないか! どうしてくれる、別府タカシ!」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものから出る白濁としたものをください』と悩ましく言ったら謝ってやる」
「言うわけないのじゃっ! そも、もう弁当は食ってしまったのじゃ! というか、もうそれは何か別物なのじゃ!」
「いや、この場合は想像通りのものを指す」
「こやつ、ただの変態じゃっ!」
半泣きで叫ぶまつりだった。
