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2017年09月21日
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【素直クール へそ】

2014年06月09日
 近頃ちょお暑い。梅雨だからね。しょうがないね。
「どうだ? クーの夏服だぞ? 薄着だぞ? 半袖だぞ?」グイグイ
「もがもが」
 ただ、女性の夏服を口に突っ込まれるのはしょうがなくない。
「む、どうしてクーの服を食う。そんな性癖があったのか? しょうがない、クーの古着を持ってこよう」
「もが……ねーよ! おまーがガンガン服を押し付けてくるからだよ!」
「そうか。少々勘違いした」ペコリ
「コイツは……」
 登校するなりクラスメイトのクーに寄ってこられるのは通例なのだが、登校するなり服を食わされるのは初経験だったので油断した。
「それで、クーの夏服姿はどうだ? ワキや腹の視界占有率も上がり、今すぐにでも押し倒したいだろう?」ワクワク
「いいえ」
「馬鹿なッ!?」ガーン
「頭いいのになあ……」ハァ
「腋巫女のコスプレをした方がいいのか?」
「人の性癖をワキに固定するない。もうちょっとノーマルだよ」
「むう」
「ただ、まあ、へそは嫌いではないね。舐めていい?」
「任せろ!」ガバッ
「冗談です!!!」グイッ
「むう」
 ものすごい勢いで服をまくり上げたので同じ勢いで戻す。びっくりした。びっくりした。
「クーは一向に構わんぞ?」
「俺が一向に構うの! 学校だぞ!?」
「問題ない。クーにはお前しか見えないからな?」
「ぐ」
 ああ、もう。こういうところは本当に。
「だからほら、舐めろ」ガバッ
「ええぇい!」グイッ
 いやもうホントこっちのこういうところは勘弁してください。
「むう」
「むうじゃねえ! TPOを考えろっ!」
「む? では、ここではなければいいのか?」
「そりゃ、まあ」
「分かった!」キラキラ
「もう嫌な予感がするよ」

「へそー!」ガバッ
「ぬああ!? ええい!」グイッ
「む?」
「てめぇこのクー野郎! ここがどこか分かってるのか!? 男子トイレだぞ! 見ろ、何の罪もない男子生徒たちの怯えた顔を!」
 男子だけの安全地帯に現れた闖入者に、誰もが怯えと戸惑いの色を浮かべていた。
「…………。ふむ、クーがちゅーしたいと思えるのはやはりお前だけだな」エッヘン
「そんな話はしてねえ」グリグリ
「ぬああ! つむじを指でぐりぐりするな!」
「いいえ」グリグリ
「ぬああああ!」

「酷い目に遭った……」グスン
 とりあえずクーを小脇に抱えてトイレから緊急脱出し、廊下で息を整える。
「そりゃこっちの台詞だ。よもやクーが男子トイレに入ってくるような痴女だったとは予想だにしなかったよ」
「お前がいる場所ならどこへでも行ける。いつだってお前はクーに力をくれるのだ」エヘン
「台詞だけなら素敵なのに、実際にやったことはただの覗きだからなあ」
「いつだってお前はクーに覗きをする力をくれる」
「俺のせいにしやがった!」
「ということは……クーが知らず覗きをしてしまったのはお前のせいだな。覗きはよくないぞ? 次からはクーの着替えなりトイレなり覗けばいいからな?」
「この野郎!」グリグリ
「つむじがああ!」

「また酷い目に遭った……」グスン
「俺のせいにするからだ」
「お前は狭量だな。だがクーはそんなお前も受け入れるぞ?」
「本当に俺が狭量なら、今ごろクーはDV被害に遭ってるぞ」
「SMか。クーにはそんな趣味はないが、ある程度までなら受け入れるぞ?」
「こいつめげねえなあ」グリグリ
「クーのつむじが消滅する!!?」
 いらぬ心配をするクーだった。

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【素直クール 醤油】

2013年07月04日
 クーが遊びに来たいと言うのでyes! come on! と流暢な英語で受け入れた結果、俺の部屋の人口が二人になりました。
「来たぞ」
「そうですね」
「どうだ? クーがお前の家にいて嬉しいか?」
「そりゃ可愛い女の子が家に来たら、誰しもが嬉しいだろ」
「クーはお前が嬉しいかどうか聞いているのだ。凡百が好ましく思おうとも、お前が好まなければ何の意味もない」
「ああ……成る程。うん、嬉しいぞ」
「そうか!」
 クーは全力で喜んだ。こういう感情にまっすぐなところは俺にはないので、非常に好感が持てる。が。
「じゃあ、嫁にしろ」
「断る」
 あまりにまっすぐすぎるのも難点だなあ、と思いながら今日もNOな感じの手を出して拒否する。
「……?」
「いや、そこで不思議そうな顔をされても」
「……ああ、聞こえなかったのか。うむ、なら仕方ないな。なら、もう一度だけ言おう。クーを嫁にしろ」
「断る」
「…………」
 クーが悲しそうな顔をした。かわいい。
「どうして断る。何が不満だと言うのか。胸か。胸なんだな。どうして男というのはあんな脂肪の塊に固執する。私に言わせてもらえば、あんなもの重いだけで何の得もないぞ」
「無き者が言っても僻みにしか聞こえないぞ」
「無ではない! 少しはある! ……あるぞ? たぶんある。心眼を用いれば今にも成長せしめん息吹を感じ取れるはずだ」
「気をつけ」
「はっ」キヲツケー
「…………。完全に平らですが」
「気にするな」(半泣き)
「お前が気にしてるだろーが! 泣くほどじゃないだろ!」ナデナデ
「泣いてない。泣いたとしても、少ししか泣いてない。涙もあまり出てないし」コシコシ
「ああもう。ああもう」ナデナデ
「ん。よし。なでなでされたので、少し楽しくなってきた。この調子で嫁にしろ」
「あ、大丈夫です」
「…………」(半泣き)
「だーかーらっ! 泣くなっ!」ナデナデ
「泣いてない。まだ泣いてない。ちょこっとしか涙出てない」グシグシ
「はぁ……なんでこんなのが学年主席かねー。神様の野郎、こいつのパラメーター配分間違えたな」
 不快になったのでクーの頬を押す。
「む。何をする」
「いやがらせ」プニプニ
「しかし、私は楽しいぞ?」
「Mか。俺はSなので、好都合です」プニプニ
「む。……むう。……むむむ」
「嫌な予感しかしねえが、一応聞いておこう。何を悩んでいる」プニプニ
「いや、お前に嬲られるのは覚悟の上だから構わないのだが、器具を用いられるのは少し躊躇があるな、と。これでも女なもので、身体に傷がつくのは少し嫌だな、と。まあ、些末事だ。気にするな」
「色々と突っ込みどころがありますが、とりあえず。なんかとんでもないハードSMを想像しているようですが、そんなことしませんよ? こんなふうに軽い嫌がらせをする程度ですよ? 女性を叩くとか無理です」プニプニ
「なんだ。それは幸いだ。それで、いつまでクーの頬を押しているのだ」
「お、嫌になりましたか?」ワクワク
「いや、永遠にしてもらいたいが?」キョトン
「…………。満足しました」ションボリ
「そうか……」ションボリ
 Wションボリが誕生。クーといると、どうにもペースを崩される。それが嫌というわけじゃないけれど。
「はぁ。なんか疲れたし、何か飲み物でも取ってくるよ。クーは何がいい?」
「口移しをしてくれるなら何でもいい」
「分かった。んじゃ醤油な」
「…………。…………。…………っ! ……わ、分かった」
「熟考したうえで受け入れるなッ! 断れ!」
 苦渋の表情を浮かべるクーのおでこをデコピンする。
「あうっ。何をする」
「馬鹿にはデコピンしていいハウスルールなんだ」
「むぅ。これでも才媛で通ってるのだが、まだお前のお眼鏡には適わないか。引き続き努力を続けねばな」
「いや、クーは頭の出来はいいんだが、馬鹿なんだ」
「……? よく分からん。どういうことだ?」
「俺と関わらなけりゃ普通、いや、かなりの天才なのに、なんで俺といるとこんな残念な感じになるかねェ……?」ナデナデ
「残念とはどういう意味だ? あと、もっといっぱいなでろ」ギュー
「抱っこは許可してません」デコピン
「にゃっ。……? ……ああ! え、えーと、……あ、あててんのよ?」
「古い。あと、あててなかった」
「あてていたぞ?」
「胸骨はあてられた」
「胸の話だ!」
「じゃあオレンヂジュースでも持ってくるよ」
「また胸を馬鹿にするだけして去るのか! ずるいぞ!」
 プンスカしながらも律儀にちょこんと正座して待ってるクーは可愛いなあと思ったので、早めに戻ろうとひそかに思った。

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【瑠璃 観測】

2011年10月10日
 近頃体育祭の練習だとかで毎日放課後に居残りさせられる。とてもしんどいので何かと理由をつけてサボっていたのだけど、とうとう理由も底を突いてしまったので委員長に睨まれる前に屋上に退避。
「お」
「……やあ、彰人。久しいね」
 しかし、そこには先客がいた。瑠璃色の長い髪を風に遊ばせ、金網越しに虚空をぼーっと眺める変人。友人の瑠璃だ。
「久しくねえ。さっきぶりだ」
 瑠璃の隣に並び、金網に軽く背中を預ける。キィ、と金網が小さくきしんだ。
「彰人もサボりかい?」
「も、ってコトは……お前もか。ダメだぞ、ちゃんと練習しないと?」
「彰人はすごいね。サボりにきた当人が恥ずかしげもなくそんなこと言えるんだから」
「ちょお馬鹿にされてる」
「いや、純粋に尊敬しているんだよ?」
 俺の手を握り、にっこり微笑む瑠璃。
「俺に尊敬できるところなんてねーよー」
 瑠璃から視線を逸らし、遠い稜線を眺める。生徒達の声の隙間から、鳥の声が聞こえてくる。今日も世界は平和だ。どこかで世界を守ってる偉い人ありがとう。
「……ん?」
 ふと隣に視線を向けると、瑠璃がじーっとこちらを見ていた。
「どした?」
「彰人といるとね、なんだか自分がとてもちっぽけな人間に感じる時があるよ」
「いやいや、いやいやいや。逆ならともかく、お前がそんなの感じる必要ねーだろ」
 性格は浮世離れしているものの、成績優秀眉目秀麗才色兼備といくつ四文字熟語を連ねればいいんだ的なスペックを誇ってるくせに、何を言ってるのだコイツは。
「うーん……彰人は素直に世界を愛しているよね。私には到底無理な芸当を平気な顔でするところに、私はとても惹かれているんだよ?」
「はい?」
「……いや、そんな彰人だからこそ、世界から祝福されているのか?」
 瑠璃は何事かぶつぶつと呟きだした。俺には分からない世界に生きているようだ。賢すぎるってのも大変だな。
「何を言ってんだ?」
「ん、ああ。簡単に言うと、平行世界を信じるかい、ってことさ」
「唐突だな……パラレルワールドか。面白いけど、信じるかと言われると、うーん」
「なるほど。理想の答えなのかもしれないね?」
「何がだ」
「うーん……やめておくよ。記録はともかく、記憶から消えてしまうのはとても悲しいからね?」
「…………。あの、何の話をしているのだ?」
「ふふ、いいんだよ。彰人はそれで」
 瑠璃はいつものように薄く微笑むだけで、それ以上説明しようとしなかった。
「……ふぅ。たくさん喋ったら疲れてしまったよ」
 何か言いたげに甘い視線を俺に向ける瑠璃。それに気づかないフリをする俺。はい、根性ナシです。
「……彰人は根性ナシだ」
 むぅ、と瑠璃の口が尖っていく。このように、瑠璃にはすぐに看破されてしまうので悲しい。
「もう一度だけ言うよ? ……ふぅ。たくさん喋ったら疲れてしまったよ」
「あーと。よろしければそちらのベンチに座ってはいかが?」
「……20点、かな」
 瑠璃さんは中々に辛口だ。
「疲れたらベンチに座る。人類の共通認識だと思いますが」
「そこに個人の嗜好というノイズが入るから、人間というのは面白い。そんな発言をする人もいるよ?」
「えーと。つまり?」
「よければ一緒にベンチに座らないかい? とスマートに誘ってほしいものだよ」
 少しだけ頬を膨らませ、瑠璃はいつもよりちょっとだけ感情を込めて言った。
「なるほど。じゃあそれをさらに進歩させて……ええと、瑠璃。よければ俺と踊りませんか?」
 間違った方向へ進歩させてしまったため、ベンチに座るはずが夢の中へ行く感じになってしまった。
「……喜んで」
 一瞬目を見開いて驚いた様子を見せた瑠璃だったが、すぐにいつもの薄い空気のベールを纏いなおし、たおやかに自分の手を俺の手に乗せた。
「えーと。自分で言っておいて何だが、踊れません」
「…………」
 瑠璃の頬が膨らむのと比例して、彼女の目に涙がどんどんたまっていく。
「ああごめんごめんなさい俺の知ってる踊りでいいなら踊りますから泣かないで!」
 必死で慰める俺だった。

「……ここかっ!? あーっ、いたっ! ……けど、あの、何やってるの?」
「遅い夏祭りを実施中だ」
「……夏祭り?」
 目を輝かせて俺と一緒に盆踊りをする瑠璃を、怪訝な目で見る委員長だった。

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【瑠璃 家の前でぼんにゃり】

2011年03月30日
 春だってのにまだまだ寒い。雪まで降ってやがる。そしてそんな中で空を見上げ、ぼやーっと突っ立ってる変な奴までいる。……ていうか知り合いだ。
「あのな、瑠璃。雪降ってんだから外でぼさーっとするな」
 肩や頭に乗ってる雪を払ってやりながら説教する。何時間ここにいたんだ。
「……ん、やあ、彰人。久しいね」
「昨日ぶりだ」
「うん。久しいね」
 何が楽しいんだか知らないが、瑠璃はニコニコと薄く笑ったまま繰り返した。
 この知り合いは現実感がどうにも希薄で、本当に現実に存在しているのか不安になることがある。そんな不安をかき消すように、瑠璃に積もってる雪を払いのける。
「久しくねえ。ていうかだな、何でまた俺んちの前でぼさーっと突っ立ってるか。普通に電話しろ」
「うーん……散歩してたらね、ここに足が向いたんだ。なんとなくだけどね、彰人が出てくるような気がしたんだよ」
「俺がふとコンビニへ行こうと思い立たなかったら、お前は一日中ここで突っ立ってる羽目になってたんだぞ?」
「でも、実際は出てきたじゃないか。これはもう運命だね?」
「そういうのは信じてません」
「彰人はリアリストだね?」
「いやいや。親方、空から女の子が! というシチュエーションを切望する程度は理想主義者だ」
「私が飛ぼうか?」
「やめてください。本当に。お前は本当にしそうだから怖い」
「あはは」
 ぽんぽんぽんと雪を払い、最後にその名の通り瑠璃色の長い髪をぐしぐしーっとなでて終了。
「はい、綺麗になりました」
「うん、ありがとうね、彰人。……うん、私は彰人に頭をなでられるの好きだな?」
「なんだその目は」
「彰人になでられるの好きだな?」
「…………」
「うーん……ネコミミとかをつけたらいいのかな?」
「つけないでいいです!」
「わ、わ、わ」
 わっしわっしと瑠璃の頭をなでる。まったく、変な奴だ。
「あはは。オタク趣味を公言しているくせに、私がそういう発言をすると彰人は照れるね?」
「客観的に己を見てるようで恥ずかしいんだよ……」
「あはは……はくちゅっ」
「なんだそれ。くしゃみか?」
「あはは。可愛らしいだろ?」
「ちょお可愛い。つか、薄着すぎだろ」
「うん、そうかい?」
 瑠璃は秋の装いといわれれば納得しそうな厚着っぷりを見せていた。見てるこっちが寒い。
「うーん。私はね、暑いとか寒いとか、そういうのはよく分からないんだよ」
「はぁ……分からなくてもいいから、この季節は厚着をしてろ」
 とりあえず、俺の着ているジャンパーを着せてやる。……うぉっ、超寒ぃ!
「うーん……気持ちは嬉しいけど、この服は私の趣味じゃないよ」
「やったんじゃねぇよっ! とりあえずそれで寒さを凌げっての!」
「やっぱりそうなんだね。彰人は優しいね?」
「俺の優しさに惚れろ」
「無理だよ」
「即答は辛いなあ」
「だって、私はもうすでに君に惚れているからね?」
 ニコニコと、嬉しそうな笑顔と一緒に瑠璃の手が俺の手に触れ、そして握られる。
「……まったく。ふらふらしているようで、お前はいつだって真っ直ぐだな」
「その分、彰人の性根が捻じ曲がりまくってるからバランスが取れてるね?」
「お前は本当に俺に惚れているのか」
「証明が欲しいのかい? 私ならいつでもいいよ? ……あ、ただ、一応これでも女子なのでね、それなりの場所を用意して欲しいというか。その、一応、初めてなもので。いや、知識はあるんだよ?」
「黙れ。いいから黙れ」
「ふぎゅっ」
 瑠璃の口唇を指で挟んで黙らせる。
「……ぷはっ。まったく、彰人は酷いね?」
「こんな悪人に惚れたことを後悔しろ」
「それだけは絶対に後悔しない自信があるけどね?」
「変な奴」
「彰人にだけは言われたくないけどね?」
「繰り返すが、お前は本当に俺が好きなのか」
「うーん……どうしてもと言うなら、ここで始めてもいいけど……初めてが屋外、というのはあまりよい記憶になりそうにないね?」
「そろそろ殴るぞ」
「彰人は酷いね?」
 まったくそう思ってない口調で、瑠璃はニコニコしながら俺の手を握るのだった。

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【クー 勉強】

2010年06月20日
 クーが勉強を教えろと言う。
「いや、全然構わないけど、お前の方が成績良くなかったか?」
 確か、前のテストで学年一位だったような。つか、学校でも飛び抜けて頭が良かったような。天才と称される人物だったような。
「大丈夫。問題ない」
「いや、何が」
「いいから教えろ。クーに教えろ」
「は、はい」
 ずずずいっと押しきられる形で、クーに勉強を教えることになった。
「えーっと、じゃあ英語でも。不定詞の用法とか」
 ぺらぺらと英語の教科書をめくってると、クーが口を開いた。
「to+動詞の原型だな。名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法がある。それぞれ~すること、~するための、~するために、といった意味になるのだな?」
「…………」
「どうした? もっとクーに教えるがいい」
「……あー。えっと、じゃあ、現在完了とか」
「完了、結果、継続、経験を表すときに使うのだな。have(has)+過去分詞で表される。少々理解し難いが、よくテストに出るので頑張って覚えた方がいいのだな?」
「……あの、クー」
「なんだ? いっぱい勉強を頑張ったクーを褒めるか? いいこいいこするのか?」
「しません」
「馬鹿な!? 不可解だ……」
「そんな力いっぱい驚くことか。ていうかだな、クー。これのどこが勉強だ?」
「クーがオマエにいっぱい教わっている。どこをどう見ても勉強だ」
「俺が教えようとした事柄を、全て即座に説明されることのどこが勉強だ」
「違うのか?」
「違います」
「むぅ。まぁいい、続けろ。クーはもっとオマエに勉強を教わりたい」
「いや、だからこれは勉強でも何でもなくてだな」
「ああ、そうだ。思い出した。勉学の際は、こうした方が能率が上がるというのを以前論文で見たことがあるような気がするということにする」
 クーは突然立ち上がると、てってここちらまで歩み寄り、俺の膝の上に座った。
「うむ。これで能率は格段に向上するに違いない」
「酷すぎる言い訳はともかく、あの。クー?」
「なんだ? ……ああ、そうか。クーも同じ気持ちだ」
 何も言ってないのに、クーは俺にべそっと抱きつき、すりすりとほお擦りした。
「いやいや。いやいやいや。俺が言いたいのはだな」
「……むぅ。クーはちゅーがしたくなってしまった。するぞ?」
「ダメだ」
「不可解だ!?」
「イチイチ叫ぶな。ていうか、なんで俺の方を向いてんだ」
 勉強をするのなら、机の方を向いてなくちゃ当然できない。だというのに、クーは何を血迷ったのか俺の方を向いている。つまり、お互い抱き合った形で収まっている。
「クーはいつだってオマエを見ていたいんだ」
「それは大変にありがたい話ですが、勉強教えろって話じゃなかったっけ?」
「ああ、それはもういい。そもそもクーには不要だ。クーの成績を知らないのか?」
「俺が最初に言いましたよ」
「忘れた」
 しれっと抜かしやがりましたよ、コイツ。でこぴんしてやれ。
「にゃっ。……女の子に暴力を振るうだなんて、オマエは酷い奴だ」
 クーはおでこを押さえ、ちょっぴりうるうるしながら俺を責めた。
「クーだけの特別扱いだ」
「……むう。酷い特別だが、それでも特別という響きが、なんだかちょっぴり嬉しいぞ」
「そいつぁよござんした」
 乱暴にクーの頭をわしゃわしゃなでる。
「おお、おおお。クーはそれ好きだ。オマエになでられると、心がぽわぽわする」
「奇遇だな、俺もクーをなでるとぽわぽわする」
「うむ。一緒で嬉しい限りだ。……クーは嬉しいが、オマエも嬉しいか?」
「そうでもないよ?」
「不可解だ!?」
「だから、叫ぶなっての」
 適当言ったらまた驚かれたので、むにむにとほっぺをこねて叫ぶのを防ぐ。
「うに、うにー。……オマエはクーが理解できない初の生物だ。だから、今日も勉強と銘打ち、オマエを観察しようとしたのだが……どうしてこうなっている?」
 俺にほっぺをむにむにされながら、クーはどこか残念そうな口調で言った。
「俺に抱っこされた時点で狂ったのではないかと思います」
「やはりか。やはりオマエがキーか。うぬぬ、もっともっと観察する必要がある。だから、今日泊めろ。一緒にお風呂も入れ。寝るときも一緒だ。朝もちゅーで起こせ」
「全部お断りします」
「不可解だぞ!?」
 とてもうるさいクーだった。

拍手[14回]

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