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2017年11月22日
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【ゆら姉と七瀬 くっつきング】

2012年08月07日
 昨今は夏休みということもあり、毎日が日曜日だ。いや、高田裕三の漫画ではなくて。
 そんなわけで毎日ゆら姉がくっついてきたり七瀬が毎日家にやってきてくっついてきたりと、姉たちにくっつかれている。俺は姉を吸い寄せる何かを持っているのだろうか。
「その辺りどう思う、七瀬?」
「そんなことより、もっと七瀬をぎゅーっと抱っこすべき?」
「あ、はい」
 ゆら姉が外出してる隙をついてやってきた七瀬が、俺を見つけるなりいつものように抱きついてきたので疑問を口にしたのだけど、抱っこ>俺の疑問 のようだ。
「あと、七瀬、ではなく、七瀬お姉ちゃんと呼ぶべき?」
「めんどくせえなあ……」
「生意気な弟だ。でも、そういうところも可愛かったり?」ナデナデ
 基本的に姉という存在は弟を可愛がるようにできているようで、俺の行動を好意的に受け取るフシがある。そんなわけで、何をしても可愛がられる。
「それにしても暑い。彰人、七瀬と一緒にお風呂に入る?」
「入りませんっ! お前、嫁入り前の女性がそういうことを言うなッ!」
「彰人は真面目でいい子だね?」
「勘弁してください」
「ご褒美に将来は七瀬が結婚してあげるね?」
「いや、意味が分からない」
「そうだよっ! アキくんはお姉ちゃんと結婚するって昔っから決まってるし!」
 何者かが俺の頭をがぶあっとかき抱いたと思ったら、ささやかな膨らみに触れた。ゆら姉が帰ってくるなり俺を抱きしめたようだ。七瀬と同じくらいおっぱいが小さい。素敵ね。
「ていうか七瀬ちゃん! 私がいない間にアキくんを誘惑しないの!」
「こんな可愛いのに誘惑しないなんて、無理」
「た、確かに……!」
 このお二人は本来頭がいいハズなのだが、俺が関わるとこんな残念な感じになってしまう。そして二人の日常と俺の日常は大体重なっているので、基本的に残念な感じで申し訳ない。
「ていうか二人とも、暑いのでくっつかないでいただきたいのですが」
 いや本当はぷにぷにほにょほにょでずっとくっついていたいのだが、色々と俺のアレが危ないので、暑さのせいにしてみる。
「彰人はゆらさんに向けて先の台詞を言った。だから、彰人のことは七瀬に任せて、ゆらさんは一人で部屋に戻るべき?」
「違うよ。アキくんは優しいからはぐらかしたけど、さっきのは全部七瀬ちゃんに言ったんだよ?」
「おや、何か空気がぴしぴししますね。修羅場?」
 二人ともふふふと笑っているが、目が笑っていない。怖くて超泣きそう。
「あーーーーーーっ!!!! アキくんが泣いてるーーーーーーーっ!!!!?」
 それを目ざとく見つけたゆら姉が超うるせえ。
「!!? だ、大丈夫、彰人? 七瀬はいるよ、ここにいるよ?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんもいるからね! 大丈夫だからね、ずっと一緒だからね!」(なでなで)
 二人がかりで激しく頭をなでられた。
「い、いや、別に泣いてなんて」
「彰人は優しいから、喧嘩なんて見たら泣いちゃうに決まってる。ゆらさん、とりあえず仲直り?」
「……そうね。アキくんのためだから、一時休戦ね」
 ふたりの益荒女ががっしと握手した。脳内に河原で喧嘩したあとの不良たちの絵が浮かぶ。
「ま、まあ、なんにせよ、喧嘩が終わってよかった。仲が良いに越したことはないからな」
「彰人のハーレム宣言が出た」
「出てねえ!」
「第一婦人はお姉ちゃんだよね! ね!?」
「日本国憲法では重婚は犯罪だよ、ゆら姉。つか、そもそも姉弟だし」
「そうだった!!! 今だけはこの身体に流れる血が憎い……!」
「ふふふ。ここで擬似姉弟の強みが出た。彰人は七瀬と結婚すべき?」(すりすり)
「あああああーっ! ずるい! すっごいずるい! お姉ちゃんもアキくんと結婚したいのに!」(すりすりすり)
「じゃあ間をとってゆら姉と七瀬が結婚したらどうだ? それならみんな幸せになるんじゃないか?」
 二人の姉に左右から頬ずりされながら、一応の折衷案を出してみる。
「何言ってるのアキくん。意味ないし、女同士で結婚なんて無理でしょ」
「彰人は少し頭が悪いね。頑張ろうね?」
 俺の折衷案により、泣かされた。
「ご、ごめんねアキくん! お、お姉ちゃん、言い過ぎちゃったね?」(なでなで)
「よしよし。泣き止んだら七瀬が結婚してあげるから泣き止むべき?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんも! お姉ちゃんもそれ!」
「二人とも、無茶はほどほどに」
「無茶なんて言ってないもん! ね、七瀬ちゃん?」
「はぁはぁ……あ、彰人、あとで七瀬と一緒にお風呂……ね?」
「おや、発情してらっしゃる。ゆら姉、助けて」
「むーっ!」
 助けを求めたのに、どういうわけか頬をつねられた。

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【ゆら姉と七瀬 鍵】

2012年06月06日
 今日は休日なので寝まくりだ。
「すひゃー……すひゃひゃー……」
 そして当然のようにゆら姉が俺のすぐ隣で間抜け顔を晒したまま寝ている。
「いくら姉とはいえ、気を許しすぎだろ……」
 などと一人ごちていると、突如悪戯心がムクムクと鎌首をもたげ始めた。もたげるなら仕方ないので、ゆら姉の鼻をきゅっとつまんでみる。
「……ん、んん……」
 ゆら姉の顔が苦悶に歪む。そして続けざまにゆら姉の口の前に指を持っていく。
「……ぷはっ。……はむ」
 理想の展開だ。苦しくなったゆら姉は口を開き、そして無意識にだろうが、目の前の俺の指を口に含んだではないか。ゆら姉の口腔内は熱くぬらぬらしている。……快い、快いぞ!
「ふふふ……ふわーっははははっ!」
「ちゅぷ……ん? ふぁ!?」
 思わず高笑いしたらゆら姉が起きてしまった。我ながら馬鹿すぎる。
「え、えと、アキくん、お、おはよ」
「おはようございます」
「……はむ。どしてお姉ちゃん、アキくんの指を咥えてるの?」
「まあ、その、なんというか、想像通りです」
「!? ち、違うんだよアキくん!? そりゃ無意識にアキくんの指をちゅぱちゅぱしちゃったのは悪いとは思うけど、でもアキくんも嫌がらないと!」
「いや、俺がゆら姉の前に持っていったから、嫌がるも何もない」
「……お姉ちゃんがアキくんの指を無理やりしゃぶったんじゃなくて?」
「うぃ」
「……そ、そっか。……も、もー。アキくんは、そんなにお姉ちゃんにぺろぺろされたかったの? もー、もー♪」
「いや、別にそうではなくて」
「もー、もー、もー♪」
 単にイタズラでやったのだけど、と言いたかったのだけど、ゆら姉がもーもー言いながら俺の鼻をふにふに押しまくる超ご機嫌体質になったので黙っておこう。
「さて、それじゃゆら姉も起きたことだし、そろそろ飯でも──」
「…………」
 いる。窓の外、庭。誰かが、じーっと、こっちを見ている。
「…………」ニコリ
 その何かと、目が、合った。
「ん? どしたの、アキく……ふべっ」
 素早くゆら姉をベッドから叩き落とし、暴漢から遠ざける。何かないか……武器になるものは!
「……どしたの、きょろきょろして?」
「武器、武器は!」
「……これなんかお薦め。七瀬印の懐中電灯。大きめなので、棍棒代わりになる?」
「なるほど、こんだけ大きけりゃ暴漢も一撃ってうわあ」
「?」
 暴漢と思ってた人物にマグライトを渡されていた。ていうか暴漢じゃなくて、七瀬だった。窓をどっこいしょとくぐり、部屋の中に入ってきてる。
「七瀬かよ……なんでこんな朝早くに、しかも庭にいるんだ? そして庭には二羽七瀬がいるのか?」
「にわにわにわななせがいる。……これじゃ早口言葉にならない?」
「残念だね」ナデナデ
「…………」(ちょっと嬉しそう)
「んで、どったんだ、こんな朝早くに」
「新参とはいえ姉なので、一秒でも早く弟に会いたかった?」
「なるほど、姉の鑑だな。天晴!」ナデナデ
「…………」(ちょっと嬉しい)
「でも次からは普通に玄関から入って来てください。心臓が止まるかと思ったよ」
「鍵がかかってたから。七瀬に合鍵をくれる?」
「ん、んー……俺だけなら別に構わないんだけど、ゆら姉がなんて言うかなあ。あとで相談してみるよ」
「じゃあ、それまでこうして窓から来るね? ……通い姉?」
 俺の知らない単語だ。
「ところで、ゆら姉どしたんだ? さっきから黙ってるけど……」
「きゅう……」
 ベッドから落ちて目を回してた。

「もー! なんでアキくんはお姉ちゃんを気絶させるの!」
「ごめんなさい」
 ゆら姉が目を覚ました現在、がっつり怒られています。正座して反省してる感を出すが、一向にゆら姉の勢いは治まらない。
「彰人だけが悪いんじゃない。七瀬も少し悪いから一緒に怒られるべき?」
「ていうか主に貴方が悪いんですっ! 七瀬ちゃんが来なきゃアキくんと一緒にお布団の中でちゅっちゅちゅっちゅできたのにーっ!」
 別に七瀬が来なくてもそんな未来は訪れなかったように思える。
「……!」
 衝撃を受けるな、七瀬。大丈夫、そんなことはありえないから。
「……七瀬も姉だし、ちゅーしていい?」
「しまった、七瀬も馬鹿だったか」
「…………」ムーッ
 機嫌を損ねてしまったようだ。七瀬の頬が膨らんでいく。
「七瀬じゃなくて、七瀬、お姉ちゃん?」
「呼び方で怒ったのか」
「七瀬、お姉ちゃん?」
「……七瀬お姉ちゃん」
「えへへ。彰人は甘えん坊だね?」ナデナデ
 弟扱いというより、どうにもペット扱いされてる気がしてならない。
「こらっ! 先住姉を差し置いて弟を甘やかすなんて許しませんよっ!」ナデナデ
「怒ってる最中じゃなかったっけ?」
 ダブルなでなでを受けながら、一応ゆら姉に訊ねておく。
「だ、だって、お姉ちゃんもアキくんなでたいし……」
 怒りよりなで欲が勝ったか。
「あ、そだ。ゆら姉、またこういうことがあってもなんだし、七瀬に合鍵やっていい?」
「絶対ダメですっっっっっ!!!!!」
 耳元で超絶でかい声出されたので、もう何も聞こえません。
「うぉぉ……なんという音波兵器……」
「こっ、これっ、お姉ちゃんの! お姉ちゃんのだから、彼女とかダメなのっ!」
 ゆら姉は俺をかき抱き、何か叫んだ。だが、耳がキーンとなってるので何を言ってるのか分からない。
「彼女ではなくて、姉だから大丈夫な予感?」
「……うー、じゃ、そういう感情はないんだね?」
「ない。なでたり抱っこしたりぺろぺろしたり一緒に寝たりお風呂入ったりして、一生一緒にいたいだけ?」
「……普通の姉の思考ね。分かった、そういうことなら鍵をあげてもいいわ」
 なんとなくだが、何か頭の悪い会話が交わされている気がする。……っと、ようやく耳が元に戻ってきた。
「ほら、彰人。鍵、もらったよ?」
「おお、ゆら姉に認められたか。よかったな」ナデナデ
 七瀬は軽く頬を染めたまま、小さくコクコク頷いた。なんか可愛い。
「じゃあ次はお姉ちゃんがなでられる番!」
 七瀬の隣に座り、ゆら姉がキラキラしたおめめでこちらを見ている。
「スク水ランドセルで『おなかくるしいからもう出さないでぇ』って辛そうに言ってくれたらなでる」
「アキくんッ!!!」
「はいすいません」
 調子に乗るとすぐ怒られる。それ以前の問題な気がしないでもないが。
「……七瀬がしてあげようか?」
「マジかっ!?」
 思わぬところで俺の夢が叶おうとしている。持つべきものは姉だな!
「七瀬ちゃんっ!!!」
「怒られたから、しない」
 持つべきものは姉だったが、別の姉の介入により夢は夢のままで終わってしまった。チクショウ。

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【ゆら姉と七瀬 夕食の買い出し】

2012年02月05日
 学校も終わったので、部屋でゆっくりしてるとゆら姉が部屋にやってきた。
「アキくん、晩ご飯のお買い物行こ?」
「ん、いいけど、珍しいな。いつもは学校帰りに寄るのに」
「うーん。そうしたかったんだけど、どういうことか女狐が一緒にいたからねー♪」
 ゆら姉が笑顔なのに超怖い。
「しかも、あろうことか、その女狐が可愛い可愛い弟の“姉”になるとか言い出してねー?」
「ゆ、ゆら姉。あ、あの、その、手! 手をつないで一緒にでかけようか?」
 あまりの恐怖にとりあえずおもねる。
「え、えっ? ……も、もー。本当にアキくんはお姉ちゃん離れができなくて困っちゃうね♪」
 それが功を奏したのか、ゆら姉の周囲に渦巻いていたどす黒いオーラは消えた。大変怖かった。
「……そ、それとも、おうちで適当なの食べて、余った時間で、そ、その。……ちゅー、する?」
 違う意味で姉が怖い。
「いや、最近そればっかでもう食材が残ってなかったように思うのだけど」
 そして俺も怖い。
「あ、そ、そだったね。……えへ、毎日ちゅーだったね?」
 どうして俺の姉はこうも可愛いのか。
「ほっぺ! ほっぺだけどね!」
 なぜか分からないが、どこかの誰かに喧伝しなければならない気がしたので大きな声でそう言ってみる。
「え、えと。……そ、それは、お口にして欲しいってことなのカナ?」
 俺の理性が大変ピンチ。
「で、でも、姉弟だし……だ、だけど、弟が望むならそれも……そ、それに、姉弟ならノーカンだよね? ねっ?」
「は、早く買い物に行こう、ゆら姉! 冬は陽が沈むのが早いこと請け合い!」
「あっ、待ってよぉ」
 そんなわけで、姉弟仲良くおてて繋いで近所のスーパーへやってきたのだが。
「あ」
「あ」
 ついさっき見かけた顔と再開したわけで。
「……これはもう運命?」(なでなで&ぎゅっ)
「人の弟を勝手に可愛がらないでいただけますっ!?」
 偶然にも買い物に来ていた七瀬が俺を見るなりハグ&なでなでをしかけた結果、ゆら姉が半泣きになってます。
「ふーふー……あのね、七瀬ちゃん? この弟は“私”の弟なの。勝手に可愛がらないでもらえる?」
「でも、私も彰人の姉だからしょうがない?」
「それあなたが勝手に言ってるだけでしょっ! この女狐め! もー、アキくん! なんとか言ってやってよ!」
「あ、もやしが安い。よし、今日はもやし炒めにしよう」
「お姉ちゃんの話を聞きなさいっ!」
「わひぃっ」
 もやしが1個9円だったのでカゴにわっさわっさと入れてたら、なんか超怒られたので超驚いた超。
「あ、今の声、犬みたいでかわいい。録音しておくので、もう一度鳴いて?」
 そして七瀬は少し変だ。
「嫌です」
「七瀬、しょんぼり……」
 でもちょっと可愛い。
「アキくんっ!」
「いていていて」
 弟の思念を読み取るという姉の基本スキルが発動したため、ゆら姉が機嫌を悪くして俺の耳を引っ張ります。
「ぺろぺろ」
「なっ、七瀬っ!?」
「なっ、何してるんですかあなたはっ!?」
 そのやりとりをぼーっと見ていた七瀬が突如、俺の耳をなめだした。
「……痛そうだったから、治療?」
 姉ってのはどこの姉も舐めて治すのか。
「あ、あの、七瀬? べ、別に舐める必要は」
「お、お姉ちゃんも! お姉ちゃんも舐める!」
「え、いや、ゆら姉、あの」
 どういうことかゆら姉まで俺の耳を舐めだした。
「ゆら姉も七瀬も、その、弟的にはどうかと思うなー?」
「ぺろぺろ。……七瀬、お姉ちゃん?」
「え、えーと。……七瀬お姉ちゃんも、その、舐める必要は」
「ぺろぺろ……はぁはぁ……ちゅーちゅー……はぁはぁ」
「なんか発情してるよこの人ーっ!?」
 スーパーで女の子二人に耳を舐められてる変態がいたら、俺と思っていただいて結構です。

「落ち着いてください」
 耳がよだれでべったべたになるまで舐められた後、比較的客の少ない一角までやってきて二人を落ち着かせる。
「お、お姉ちゃんは落ち着いてるもん。この女狐が私のアキくんを舐めるから、お姉ちゃんの聖なる唾液で消毒しただけだもん」
「聖なる唾液……聖なる液……略して聖水?」
「略すな」
「あぅ」
 七瀬の頭をぺこちんと軽く叩く。
「……彰人の耳は聖水まみれ?」
「そういう趣味はない」
「残念……」
「あるのっ、七瀬お姉ちゃんそっちの趣味あるの!?」
 さすがにふるえがとまりません。
「ないけど、弟のためなら頑張る所存?」
 七瀬お姉ちゃんは努力の方向性が間違ってる模様。
「ていうかアキくんっ! 何を普通に七瀬ちゃんのことをお姉ちゃんって呼んでるの! お姉ちゃんはゆら姉一人だけでしょっ!」
「そうなんだけど、呼ばないと無限ループに陥るからしょうがないんだ」
「弟の信頼を勝ち取った七瀬?」
「その勝ち誇った顔がムカツクーっ!」
「ああもう姉たち喧嘩しない」(なでなで)
 俺の手はふたつあるので、両方を用いて二人の姉の頭をなでて落ち着かせる。弟にはそんな技能もあるのです。
「むー。お姉ちゃんなのに、子供扱いするし……」
「…………」(ぽーっ)
「こらそこっ! ぽーっとしない! ていうか私の方が幸せだしっ! ねーっ、アキくん!?」
「分かりません」
「幸せなのっ!」
 などと侃々諤々言い合ってたら、七瀬お姉ちゃんが俺をつんつんとつっついてきた。
「ん、どした七瀬お姉ちゃん?」
「も、もっかい。もっかい」
 何この可愛い生物。
「七瀬を、もっかいなでて?」
 何この可愛い生物。大事なことなので2回言いました。
「お姉ちゃんえくすとりーむりーむーっ!!!」
 そして姉の読弟術により、ゆら姉の機嫌が悪くなって俺の頬が引っ張られる。痛い。
「ていうかそこの新参姉っ! 弟に篭絡されてどうするっ! 弟を篭絡してこそ、姉なのよっ!」
「!!!!!」
 ゆら姉が間違った知識を七瀬お姉ちゃんに伝授している。七瀬は七瀬で無駄に感銘を受けているし。ああもう。
「ちょっとでいいからゆら姉は黙っててください」(なでなで)
「うっ……こ、この程度でお姉ちゃんが黙る……黙るはずが……ふにゃ~」
 黙った。さてと。
「んで、七瀬お姉ちゃんも飯買いに来たのか? 親の手伝いなんて偉いな」
「? ……七瀬は一人暮らし。知らなかった?」
「え、あ、そ、そなのか」
 聞いても大丈夫な話なのだろうか。下手に踏み込んで傷つけてもなあ。かといって「ああそう大変だねじゃあ俺はゆら姉とイチャイチャするのでこれで」と見捨てるのも酷過ぎるし、ううむ。
「……だいじょぶ。親は健在。ちょお元気?」
「そ、そか。……べ、別に心配なんてしてないんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!」
「くぎゅううううう?」
「七瀬お姉ちゃんのレスポンスは素晴らしいな」(なでなで)
「弟に褒められると大変に嬉しい。新発見?」
「はいはい、よかったな。あ、そだ。一人暮らしなんだろ? もしよかったらなんだが、俺んちで一緒に飯食うか? 二人も三人も料理の手間はそう変わら」
「お姉ちゃん、大反対っ!」
「……七瀬、大賛成?」
 軽い気持ちで誘ったら、姉たちの意見が真っ二つに割れた。
「お姉ちゃんが思うに思うにっ、二人から三人に変わったら料理の手間はとんでもないことになるよっ! 料理の時間が30分から5光年になっちゃうよっ!」
「光年は距離の単位だ。そして今日の飯の担当は俺だから大丈夫だ」
「アキくぅぅぅぅん……」
「はいはい」
 ゆら姉が非常に情けない声で泣きそうな顔になっていたので、頭をなでてあげた。
「七瀬を呼んでくれると、あーんしてあげる所存?」
「いや、あの。なんというかそれをされても嬉しいは嬉しいのだけど色々と問題があいててててて」
「がうがうがうっ!」
 自分に不利な雰囲気を感じ取ったのか、ゆら姉が俺の腕を噛みだした。
「じゃあ、夕食に呼んでもらった礼として、背中を流してあげる?」
「がうがうがうがうっ!」
「痛い痛い痛い痛い!」
 七瀬お姉ちゃんが何か言うたびに、俺の腕に歯がめり込みます。
「うーん。……いっそ添い寝?」
「お願いだから何も言わずに家に来てくださいお願いします!」
 このままでは腕が噛み千切られてしまうので、壊れたおもちゃみたいにぺこぺこ頭を下げて懇願する。誘わないって選択肢はナシだしね。
「……いいの?」
 七瀬お姉ちゃんが視線でゆら姉に伺いを立てている。早くも我が家のヒエラルキーを見通したか。やるな、七瀬お姉ちゃん!(誰でも分かることに気づいてない模様)
「はぁ……しょーがないよ、アキくんはこう見えて頑固なところがあるし。あと、非常に不本意だけど、七瀬ちゃんもアキくんの姉的存在になっちゃったみたいだし」
 ゆら姉のお許しが出た。これなら何の問題もない。
「よし。そんなわけで、今日は姉弟そろってもやしパーティーだ!」
「……ふつつか姉ですが、今日からよろしくお願いします?」
「嫁入りを認めたとかじゃないしっ! よろしくしないしっ! 今日だけ特別だしっ! ふしゃー!」
「ふしゃーじゃねえ。んじゃ一緒に行くか、七瀬お姉ちゃん?」
「…………」(こくこくこくこく)
 何やらやけに嬉しそうな七瀬お姉ちゃんと一緒に、レジへ向かうのだった。
「がぶがぶがぶがぶ」
 そして七瀬お姉ちゃんの頷く数と同じだけ、ゆら姉は俺の腕を噛むのだった。痛いです。

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【ゆら姉 と七瀬】

2012年02月05日
 教室にどうにか辿り着く。神の悪戯か悪魔の仕業か、俺とゆら姉は一緒のクラスなので同時に教室に入る。
「むぎゅっ」
 すると入り口で詰まるので注意が必要です。
「もー、アキくん! お姉ちゃんをむぎゅってしないの!」
「さっきしろって言ったじゃん」
「そ、そのむぎゅっとこのむぎゅっは別なの!」
「知ってます」
「アキくんっ!」
「はいっ、すいません」
 姉を怒らせてから席に着く。
「はぁ、やれやれ」
「今日も大騒ぎ?」
 ふぅと息を吐いてると、隣の席の学生が声をかけてきた。友人の七瀬だ。
「俺は好きで騒ぎを起こしているわけではないんだが、姉をからかうのが大好きなため、往々にして大騒ぎになる」
「彰人が騒ぎの原因?」
「客観的に見るとそのようだが、幸いにして俺には自分を客観視する能力に欠けているので気づかないで済んでいるんだ」
「……酷い話?」
「気のせいだ」
 などと軽口を叩き合ってると、HRが終わったようで、先生が入れ替わった。さあ授業授業。

「とか思ってたらあっという間に時間が経って昼休みになっているこの現実を七瀬はどう思うか」
「お弁当忘れた? ……あーん?」
「いや、弁当は持ってきてる。あーんは結構」
「あーん?」
「……あーん」
 この七瀬という奴は結構頑固なので、仕方なく口を開ける。と。
「うちの弟を餌付けしないでもらえます?」
 ゆら姉が俺たちの席へやってきて、非常にトゲのある口調で七瀬を牽制した。
「…………。あーん?」
 七瀬はゆら姉と俺の顔を見比べた後、特に気にせず再び俺にあーん攻勢を仕掛けた。
「こっ、こらっ! 餌付けしちゃダメって言ってるでしょ!」
 もちろんゆら姉がそれをただ手をこまねいているはずもなく、きちんと止めてくれた。さすがは姉、頼りになる!
「そういうのは、姉の仕事ですっ!」
 訂正。敵の増援が現れた。
「ほらほら、アキくん。お姉ちゃんのご飯を食べたいよね? はい、あーん」
「……実は、七瀬は彰人よりも早生まれ。これはもう彰人の姉と言っても過言ではない?」
 何か七瀬が妄言を呟いてる。嫌な予感しかしねぇ。
「彰人は七瀬お姉ちゃんのご飯を食べるべき。はい、あーん」
 姉が増えた。どうしてこうなった。
「落ち着こう。少し落ち着こう。七瀬、お前は自分の言ってることを分かってるのか?」
「七瀬お姉ちゃん」
「いや、だから」
「な・な・せ・お・ね・え・ちゃ・ん」
「……七瀬お姉ちゃん」
 遺伝子に刻み込まれた弟の因子が、姉と銘打たれたものに逆らう力をことごとく奪っていく。
「お、お姉ちゃん……」
 七瀬の目がキラキラ輝きだして見えるのは俺だけなのか。あと、その横で真っ黒なオーラをまとってる姉が超怖い。
「ゆらさん、この弟ください」
「絶っっっっっっっっっっっっっ対にあげませんっ!!!!!」
 ゆら姉が俺の頭をかき抱きながら半泣きで答えた。ためが長え。すずねえか。
「ていうかアキくんっ! どーして勝手にお姉ちゃんを作っちゃうの! そりゃアキくんは弟力は尋常じゃないからしょうがないかもしんないけど、でもお姉ちゃんは私だけなのっ!」
「もぐもぐ」
「普通にお弁当食べてるー!?」
 なんかもう疲れたので自分の弁当を食ってたら、ゆら姉が驚いてた。
「あーん?」
「だから、人の弟を餌付けしないでーっ! もうっ、お姉ちゃんのお弁当食べなさい! ほらほらっ、アキくん! あーんだよ、あーん!」
「もがもが」
 二人がかりで飯を詰め込まれる昼食だった。

 チャイムが鳴って、ゆら姉が名残惜しげに自分の席へ戻っていった。それを見届けてから、小声で七瀬に話しかける。
「おい、七瀬。どういうことだよ」
「……七瀬お姉ちゃん?」
「……はぁ。どういうことなんだ、七瀬お姉ちゃん?」
「お、お姉ちゃん……はぁはぁ、はぁはぁ」(なでなで)
「いや、分からない。そして怖い」
「……隣の席にずっといたため、前々から七瀬は彰人の弟力にしてやられていた。その結果、姉力が発露した?」
「あの、お前もゆら姉も普通に使ってたが、なんだ、弟力って」
「……簡単に言うと、周囲の人間が甘やかさずにはいられない空気を無意識で作り出す力?」
「あー……」
 非常に不本意だが、納得してしまった。道理で近所のおばちゃん連中やらばあちゃんたちやら商店街の人たちが菓子や野菜や果物を持っていけと俺に渡すはずだ。
「特に、年上の女性に効果絶大?」
「なるほど。思い当たるフシがちらほらというか枚挙に暇がないです」
「だから、七瀬が姉になってしまっても仕方がない?」
「そのだからはおかしい。流石に無理があると思うぞ」
「彰人のせいなのに……わがままな弟を持って、七瀬は困惑してる?」
「早くも姉気取りだ」
「だけど、七瀬は包容力が自慢の姉なので、そんな弟も優しく包んであげる?」
「えっ」
 机の下で、きゅっと手を握られた。同級生の、それも結構なレベルの女子にそんなことされたら、そりゃ、その、照れます。
「はぁはぁ、はぁはぁ……今日は七瀬の家に泊まるといい。明日にでもゆらさんに言っておくから?」
「スーパー遠慮しておきますっ」
 なぜか獲物を狙う目になってる七瀬の手を離す……ってえ、離れねえ! なんて力だ!? しかもなんかこっちに来てるし!?
「大丈夫、天井の染みを数えてるうちに終わるから?」
「明らかに何かされる!? ていうかそれ台詞男女逆じゃ!?」
「あーーーーーーーーーーーっ!!! アキくんが新しい姉に手篭めにされてるーーーーーーーーーーーーっ!!!!?」
 思わず大きな声で突っ込んだら、それに気づいたゆら姉がとんでもないことを教室中に響かせました。
 なんていうか、その。後のことはあまり思い出したくありません。

「あのー……アキくん、ごめんね? お姉ちゃん、ちょっとだけ混乱しててね?」
「七瀬も申し訳ないと思ってる。許してくれる、彰人?」
 放課後の通学路。心身ともにボロボロになった俺の後を、二人の姉が申し訳なさそうにしながらついてくる。
「……はぁ。もういいよ、済んだことだし」
「そ、そだよね! そもそも、そこの変な女がアキくんを襲わなかったらこんなことならなかったのに!」
「こんな可愛い弟を襲わないなんて、無理」
「ぐ、ぐぅ……確かに!」
 納得するな。
「あ……七瀬の家は、こっちだから」
 そう言って、七瀬は俺たちの進む道から外れた方向を指さした。
「そか。んじゃまた明日な、七瀬」
「……七瀬、お姉ちゃん?」
「い、言わなくていいよ、アキくんっ! ほらほら、本物のお姉ちゃんがいるんだし!」
 そうしたいのは山々なんだが、たぶんきっと絶対に言わないとコイツは帰らない。
「……はぁ。また明日、七瀬お姉ちゃん」
「言っちゃったーーーーっ!!?」
 俺がお姉ちゃんと言うと、七瀬は満足げに微笑んで俺の頭をなでた。実を言うと、満更でもない。
「はぁはぁ……ゆらさん、やっぱりこの弟ください」
「絶対の絶対の絶対にあげませんっ!!!!!」
「どうして俺をなでると興奮すんだ」
 帰宅中もやかましい俺たちだった。

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【ゆら姉 到着】

2012年02月05日
 そんなこんなで学校へ到着。周囲の視線に負けずよく頑張った、感動した!
「アキくん、よく分からないけど古い気がするよ……」
 俺の姉はエスパーに違いない。
「それはそうと、今日もしっかり勉強するんだよ? 授業中に寝たりしちゃダメだからね?」
「じゃあ俺は一体いつ寝ればいいんだ」
「寝ちゃダメなの!」
「姉が連日の徹夜を強要する」
「昼間の話なの! 夜はぐっすり寝てもいいの!」
「なんだ。でも、夜は夜でどういうわけか布団の中が狭かったりするからなあ」
「う。……そ、そんなの、今日だけだもん。偶然だもん。暖かくなったらなくなるもん」
「暗に春までは一緒に寝るって言ってません?」
「い、いーから黙りなさい!」
「はい」
 姉の言うことは絶対なので黙る。
「そ、それから、一緒に寝てることはナイショだからね。絶対だからね」
「そりゃモチロン」
 俺だけならともかく、ゆら姉が奇異の視線にさらされるのは我慢ならないので、それはね。
「ん。分かったらいいの。いーこいーこ」(なでなで)
「わぁい」
「えへへ、かーわいい」
 男子生徒の頭を背伸びしてなでる中学生みたいなのの姿に、周囲の学生たちがひそひそと囁き合ってる。
「えーと。ゆら姉?」
「ん、どしたの? ……あ。え、えっとね、アキくん? あの、流石に学校でちゅーはね、その、そのね? ……お、おうちに帰るまで我慢できる? 無理?」
 姉の間違った方向の気遣いにより、俺へのシスコン&ロリコン疑惑が限りなく高まっていく。
「弟を暴走させて性犯罪者にさせないためには、あ、姉として、それくらいはね? きょ、姉弟だし、それくらい普通だよね? ね?」
「いま暴走しているのはゆら姉だ。頼むから落ち着いてくれ」
「ふきゅっ」
 とりあえずむぎゅっと抱きしめて落ち着かせる。この姉は昔から暴走しがちなので、こうして暴走を沈めるのも割とお手の物だ。
「……はちきゅーじゅっ、と。さて、落ち着いたか?」
「……も、元から落ち着いてるし」
 まだ少し頬に熱は残っているものの、どうにか平常運行に戻ったようだ。
「で、でも、もちょっとだけぎゅーってする?」
 ……もう少しかかる模様。少し恥ずかしそうにしながらこちらに両手を向けるちっこい姉を見ながら、そう思った。

 まあそんなことをしてりゃチャイムも鳴っちゃうわけで。
「余裕を持って学校に来たのに、どーしてこーなちゃうのよ!」
「明らかにゆら姉のせいだろうに……」
「お、お姉ちゃんだけのせいじゃないもん! アキくんがちゃんとお姉ちゃんの暴走を止めないからだもん!」
「今日もうちの姉は無茶を言う」
「アキくんっ!」
「はいっ、すいません。俺が全部悪かったです」
 姉弟仲良く遅刻しました。

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