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2016年09月28日
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【ツンデレと歯医者に行ったら】

2015年06月18日
気のせいだと思うが、なんか歯が痛い。まさか、まさかね。……いやいや、いやいやいや。ない。ないよ。
「だってほらアレだよアレアレ今どき歯痛とか流行らないしそれにほら案外気のせいかもしれないし実はただの口内炎で放っときゃ治るかもしんないし」ブツブツブツ
「……何やらタカシが挙動不審。だがそれはいつものことなので、結果として不服」ムー
 人が必死で自己暗示してるってのに、例のちっこい娘さんがちょこちょこっと俺の席までやってきて俺を馬鹿にする。
「勝手なことを言うない。あ、そうだ。こんにちは」
「……こんにちは」ペコリン
 きちんとお辞儀して挨拶を返すちなみは偉いなあと思ったので、頭をなでてみる。
「…………」ムー
 不満そうな顔をされたが、言葉にまではしていないので、まあ良しとしたのだろう。これ幸いとなでまくる。
「……やめれ」
「はい」
 言葉が出たのでやめる。まあでも満足。
「……で。……虫歯と聞きましたが」
「ひっ。き、気のせいじゃないカナ? そ、そんな放送禁止用語言った覚えはないよ?」
「……放っておくと手の施しようがなくなるが、よろしいか」
「ひぃ。い、いや、まだ慌てるような時間じゃない。大丈夫、しっかり歯磨きすれば治る。たぶん」
「……昔。……遠い昔。……まだ歯医者という職業がなかった時代。……虫歯が原因で、死んだ人もいたとか」
「ひぃぃ!」
「……あまりの痛みに、全身がひきつり鬼と見まごう顔つきだったとか、そんな」
「う、嘘ですよね?」ブルブル
「……はい」
「…………」
「……えいぷりるふーる」ジャーン
 ちげえ。
「……でも、虫歯が原因で死んだ人がいたのは、本当。……なので、タカシも放置して、その轍を踏むといい。……ちなみの、オススメ」ニッコリ
「俺の知り合いが素敵な笑顔で俺に死ねと言ってくる」
「……だいじょぶ。……葬式には顔出す」
「そんな心配はしてねえ! ええい畜生、そこまで言われたら怖くなってきたじゃねえか……」
「……虫歯で死ぬか、麻酔なしドリルの痛みで死ぬか。……どっちにしても、楽しみ」ワクワク
「勝手に麻酔の使用を禁止しないで!」
「……わがまま」ムー
「女じゃなかったら殴ってる」
「…………」ムフー
 満足気な顔が大変にムカつきます。つむじ押してやれ。
「……やめれ」(不満げ)
「嫌です」グイグイ
「…………」ムー

「そんなわけちなみのでつむじを押したら嫌がらせとばかりに学校にいる間中怖い話(虫歯限定)をされ続けガリガリSAN値を削られたので、帰宅後歯医者に来た」
「……来たー」バーン
「そしてなぜいる、ちなみ」ウニウニ
「……ほっぺをうにうにするな」
「嫌です」ウニウニ
「…………」(迷惑げ)
「ああ楽しい」ウニウニ
「……まあ、どれだけ現実逃避しても、歯医者からは逃れられないのだけど」
「ぐぬぬ」
「……ふふ。……ああ、そしてここにいる理由はと言うと。……高校生が歯医者に怯え、泣き叫ぶ様を間近で見たかったから、としか言い様がない」
「なんていい趣味してやがる。あと怯えてはいますが、泣き叫びはしませんよ?」
「えー」(不服)
「この野郎」
 などとちなみと話したりほっぺを引っ張ったりしてると、俺の名が呼ばれた。来た。ついに来た。
「……骨は回収した後、ちゃんと焼却炉に入れておく」
「やめて。ていうか骨は燃えねえ」
「……じゃあ犬にやる。……食中毒になる可能性が9割を超えているので、今のうちに慰謝料よこせ」
「悪魔か」
 ニヤニヤ笑ってるちなみを待合室に置いて、医師の待つ部屋へ。……ん、なんかちなみと話してたら緊張がほぐれたな。まさか、あいつわざと……?

「で」
「……どだった。……ちゃんと歯を削られたか。……歯髄までえぐられたか。……歯にフッ酸を塗布されて狂乱死したか」ワクワク
 歯医者からの帰り、ちなみと一緒にてぽてぽ歩いてるのだが、楽しげな同行者から尋ねられっぱなしで少々困っている。
「ねーよ。どんな拷問だ。ただ、来週も来てくださいねーって」
 ちなみの顔が見る見る輝いていく。いや表情は依然無表情のままだが、雰囲気がね。付き合い長いからなんとなく分かるの。
「……それはつまり、来週こそお楽しみが……?」ワクワク
「おまいはどうしても俺に拷問を受けてもらいたいようだね」ギリギリ
「……びっくり。……タカシのくせに聡いなんて生意気だ」
「この野郎」ムニー
 ちなみのほっぺを引っ張って溜飲を下げる。……まあ本当はそんな怒ってないけど。
「……それで、何時から?」
「ん?」
「来週。……歯医者」
「え、今回のと同じだけど……え? 来週もお前来るのか?」
「……幼女が応援するのだ、喜びこそすれどうして嫌がろうか」
「自分で幼女言うな。いやまあ概ねその通りですけど! ただその幼女の性格がなかなかに毒を含んでましてねェ」
「……ふふん?」
 なんで誇らしげなんだ。よく分からん奴。
「いやまあ来てくれるのは待ち時間に話ができて単純に嬉しいけど、俺の治療中、待ってる間ヒマじゃないか?」
「……い、今か今かとタカシの悲鳴を待ってる。これほど楽しい時間はない」
「拷問確定かよ……。ま、俺はお前と話してたらリラックスできるからいいけどな」
「っ! ……な、何を言ってるのか。わ、私は単にタカシをからかって楽しんでるだけにすぎない。や、やれやれ、これだから童貞はすぐに勘違いして困る」
「いや、別に童貞は関係ないかと」
「な、何を冷静に否定しているのか。まったく、これだからタカシは。まったく、まったく」プイッ
「いやはや。んじゃま、来週も頼むな、ちなみ」ポン
「……ふ、ふん。特別に頼まれてやる。か、勘違いするな、優しい私だから一緒に行ってあげるだからな?」
「へーへー」ナデナデ
「……ふん」
 顔はそっぽを向いたままだったが、頭をなでても嫌がらず、語調も柔らかくなったので、たぶんちなみも俺とそう変わらない気持ちでいるのだろう、と勝手な想像をした。
「……手が止まってるが」ムスーッ
「あ、はい」ナデナデ
「……別になでなでしてほしいとかじゃないから。指摘しただけだから」
「何も言ってねえ」ナデナデ
「……貧乳の乳を揉んでも詮ないから頭をなでる方がマシだ、とタカシが言う」
「マジで言ってねえ!」
「…………」ジトーッ
「冤罪だ! 違う、そんなこと言ってねえ!」
 ちょっと前まで俺の優勢だったのに、あっという間に逆転される俺の日常でした。ちくしょう。

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【犬子 リハビリ】

2015年05月16日
「りはびり!」
「わぁ、四文字系萌え漫画!」
 朝っぱらから犬子の野郎が失礼なので失礼なだなあと思ってみる。
「うわ……この顔は、失礼だなあって思ってる顔だよ……」
「エスパーか。エスパー犬か」
「なんで犬って付け足すの!? 折角人になれたのに!」
「という具合に久々の登場で誰か分からない人もいるだろうと思うので一応説明をば。目の前のキャンキャン吠え猛ってるのは犬子という一見可愛い女の子に見えるが、実際は犬だ。マクロスFのランカっぽい髪型っぽい犬耳が特徴だが、もうマクロスFと言われても通じないかもしれないね」
「う、うー……びみょーに怒りにくいラインを付いて来るから符長くんはずるいよ。そしてこれは犬耳じゃなくて髪型なのにね」
「ずるさに定評のある符長彰人です」
「知ってるよ? あ、ずるさに定評はないよ? いじわるさに定評はあるけどね」
「うむ。ちょっとしたいじわるで黒死病を蔓延させたりする」
「極悪人!?」
「無論冗談だ。で、だ。なんか気づいたら四ヶ月くらい放置してたうえに犬子に至っては二年放置しているというZAMA。白骨化しててもおかしくない」
「うわ、意味がわかんないこと言い出した」
「メタ発言はあまりしたくないけど、正直死ぬほど久々で勘がつかめないので習作のつもりで書いてます」
「またしても意味が分かんない……熱でもあるの?」
「愚か者! 俺が意味不明なのはいつものことだろうが!」
「いや、そうだけど……自覚してんだ」
「つーわけでリハビリだ、リハビリ。リハビリって何やんの?」
「何のリハビリ?」
「……ほね?」(適当)
「また漠然としてるなあ……んーと、運動がいいみたい」
「運動……体操服、つまりブルマかッ!」カッ
「カッじゃないよっ! もー! 今日も符長くんはえっちえっちえっち!」ペチペチ
「ぶべらはべら。いや待て、慌てるな。俺は単にブルマ姿の犬子の尻に頬ずりしたいだけだ」
「えっちえっちえっちえっち!」ペチペチペチ
「正直に話したのに。解せぬ」

「うー……いつでもいつだって符長くんはえっちだよ。へんたいさーん、だよ」ツンツン
「ふがふが。うーん、どうしよう。変態ってお巡りさんに捕まるかな?」
「内容によってはね」
「そうか。知り合いの女性を体操着に着替えさせて尻に顔をこすりつける行為はセーフなのか」
「どアウトだよっ! 勝手に判定しないでっ!」
「しかし、初対面の女性に頬ずりするのはウブな俺にはハードルが高いのだが」
「知り合いかどうかはどうでも……ウブ!? 言うに事欠いて!? 符長くんが!?」
「シャイな俺ですよ」
「うーわー、明らかな嘘だよ……」シラーッ
「いやいや、こう見えて引っ込み思案ですよ? 超奥手っスよ。テディっス!」(かないみか声)
「余計なことは言わなくていいのっ!」
「っスというとどうしてもあの悠久幻想曲の毛玉野郎が脳裏をよぎる。いやどうでもいい。ええと、なんだっけ。おむすびの好きな具の話だっけ」
「明らかに違うよっ! 符長くんがシャイっていう嘘話だよ」
「俺はタマゴサンドが好き」
「まさかのサンドイッチ話!? せめておむすびの話にしてよ、符長くん!」
「うーん、犬子はそう言うけど、俺はシャイな俺の話がしたいのだけど」
「出た! 符長くんのいじわるが出たよ! もー! 最初から私がそう言ってるのに!」ポカポカ
「えーと、実はシャイで知り合いとしか楽しいおしゃべりできません。おわり」
「しかも短い! そしてどーでもいーよ!」
「という感じであまり間を空けずにボチボチ頑張ろうと思いました。分かんないけど。おわり」
「うー……いつにも増して意味が分かんなかったよ……」
 不満そうだったので鼻をつまんでおいた。
「ふきゅー」
 するとふきゅーって鳴いた。愉快。

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【ツンデレと遅い初詣に行ったら】

2015年01月20日
「初詣に行こう」
「1月も半ばを過ぎて何言ってんのこの人!?」
 冒頭からボクっ娘が人のことを馬鹿にした風なので大変不愉快です。ぷんぷん!
「まあ待て、俺の話を聞いてからでも遅くはないだろう」
「うわー……死ぬほど興味ないのに離してくれないパターンだー……」
 ボクっ娘の野郎がうんざりした顔で俺を見やがる。ちくしょう。
「実は今年俺は初詣に行ってないんだ」
「そなんだ。ボクは行ったよ」エッヘン
「ヤだ、圧倒的普通なことなのに堂々と胸を張れるボクっ娘に思わず胸キュン」キュン
「馬鹿にすんなぁ! あと胸キュンとか古いよっ! 古すぎて逆に新鮮だよっ!」
「古すぎて逆に新鮮……? どういうことだ? 古いが新鮮な感覚……? 漬物か何かか?」
「だーっ! もう、いいから初詣の話しろよなぁ! どーせ最後まで話すまでボクを離さないつもりだろ!?」
「漬物の話題を出したら漬物の話がしたくなった」
「初詣の話をするのっ!」
「ボクっ娘はわがままだなあ」
「ボクが!? 明らかにタカシがわがままだろっ! あとボクっ娘ってゆーなっ!」
「まだその設定残ってたのかよ……」
「人の嗜好を設定とな!?」
「まあいいや。えーと、初詣行ってないので行きたいんだ。しかし今更行ったら初詣じゃなくただの詣でと勘違いされて『ヤだ、詣でよ詣で』とロリ巫女さんたちにひそひそと揶揄されないだろうか。しかしロリ巫女さんに蔑んだ目で見られるのは結構な確率で興奮すると思うので……あっ! いいじゃん!」
「いくないっ!」ガーッ
「わぁ」
「まず! 詣でってなんだよ! 変な言葉作んなよぉ! つぎ! なんで巫女さんがロリって決めつけてんだよ! あと、こんな時期に行っても巫女さんいないよ! あーゆーのは正月だけバイトで学生がやってるの!」
「最後の言葉で勇気がくじけた。もうこの世界に純正な巫女さんはいないのか」
「いるだろーけど、タカシが期待してるよーな巫女さんはいないと思うよ」
「いやいや、梓は勘違いしている。俺が期待している巫女さんなんて、ごくごく普通の巫女さんだぞ」
「……もー既にフラグ臭いけど、いちおー聞いとくよ。どんなの?」
「丈が非常に短くてチラチラおっぱいが見えそうな装束に身を包んだ小学生と見まごう如き肢体の巫女さん。具体例で言うと咲の薄墨初美。俺にだけお兄ちゃんとなつけば尚Good!」
「思ってた以上にタカシの頭がおかしい!」
「ええっ!? セーブしたのだが……」
「それで!?」
「むぅ……一般人と俺様との溝は深まるばかりだ」
「うう……タカシを侮ってたよ。想像以上に業が深かったよ……。あと何が俺様だよ、ばーか」グリグリ
「ちぃぃ、頭痛がする。偏頭痛に違いない」
「あははっ、ボクが頭ぐりぐりしてるからだよ」グリグリ
「ぐぬぬ。まあ残念ながらロリ巫女は諦めるとして、初詣ぐらいは行っておきたいんだよ。でもひとりで行ったらロリ巫女さんに『今更詣でとかありえないですよー。しかも賽銭が五円とか今時ないですー。ほらほら、いいから有り金置いてってくださいねー?』とカツアゲに遭う可能性も否めないので、一人より二人の方が安心できるんだ」
「無駄な危機回避能力だね……。しかも、ロリ巫女さんいないっていいながらまた登場してるし……」
「最悪の場合梓をロリ巫女に仕立てあげるから安心しろ」
「人を勝手に巫女にすんなっ! そもそも、ボクはロリじゃないからロリ巫女にはなんないもんっ!」
「…………。いや、大丈夫。なれる!」
「ボクの胸を見て言った!? タカシすっごくしつれーだよっ!」プンプン
「待て、落ち着け梓! 胸と背と顔と精神年齢を見て『いける!』と踏んだんだ!」
「もーっ! もーっ! もーっ!」ポカポカ
「悪化した。解せぬ」ブベラハベラ

「はーっ、はーっ……もー、ボクが相手だから許したげるけど、ふつーの人なら許してないよ? ぜっこーされててもおかしくないよ?」
「普通の人はそもそもロリくないから、ロリ巫女にさせられる恐れがないので大丈夫だ」
「やっと怒りが治まった人を即座に怒らせるかな、ふつー……?」プルプル
「ふむ。……ゴメンネ☆」キャハ
「わっ、世界一キモい!」
 満面の笑みとアイドルを思わせるKawaii所作で謝罪を試みると、なかなかの言葉が返ってきた。だが、そんなものは想定内。
「よし。キモさで怒りの矛先を失わせる俺の優れた技が成功した。ふひゅー」
「なんで全部言っちゃうかなぁ……?」
「梓の怒りも鎮まったし、改めて。一緒に初詣行きませんか? ひとりじゃ寂しいんです」
「最初っからそーやって素直に誘ったらいーのに……ん、いーよ。ボクもついたったげる」ニコッ
「……ふっ。簡単なもんだ」ニヤッ
「悪い顔した!? また何かたくらんでるだろ!?」
「…………」スタスタスタ
「あっ、こらっ! 何も言わずに行くなよ、ばかっ!」

「……さて!」
「ひゃっ!」ビクッ
「やってきました近所の神社! 神の社とはうまいこと言うね! 近くの犬も俺たちを歓迎しているよ!」ワンワンワン!
「タカシが急におっきな声出したから威嚇してんだよっ! ここに来るまでずーっと黙ってスタスタしてたからボクもびっくりしたよ!」ドキドキ
「吊り橋効果!」ジャーン
「全然違うよっ!」
「難しいな。まあいいや。さて、手水舎で身を清めるか」
「タカシは身だけじゃなく心を清めたほうがいいよ。あっ、でも清めても全身これ邪悪だから消えちゃうね」キシシシ
「なめくじみたいだな。あ、でも全身から粘液出ないんだけど、なめくじとして今後立派にやれるかな?」
「なんでなめくじとしての今後を考えてんだよっ! ちょっとは言い返せっ!」
「なんか怒られた」
 神聖な境内でしばらく探したのだが、それらしきものが見当たらない。代わりと言っては何だが、水道がひとつある。
「まさかとは思うけど……これ?」
 怪訝な様子で梓が水道を指さす。正直別の神社に行きたいが、もうよそに行くの面倒だ。
「しないよりはマシ、かなぁ……。まあいいや。俺は一応やっとくよ」
「あっ、待って待って。ボクもいちおーやるよ」
 両手と口をすすぎ、梓も俺に倣う。……あんま意味ないような気もするが、こういうのは気の持ちようだ。
「ふー……神様ぱわーが注入されたよ!」
「このように、思い込みが強い奴はただの水道でも得体のしれないエネルギーが注入されるので危ないと思われる」
「得体のしれないってなんだよ! 神様ぱわーだよ、神様ぱわー! は~っ!」
 はーと言いながら梓がこちらに手を差し向けた。おそらく梓の脳内では、手からエネルギー波か何かが出て俺を粉砕していることだろう。
「さらに言うなら、手水舎は身を清めるためにあるもので、別に何かのご利益があるとかはないと思うのだが」
「うっ……タカシは細かいの! いーの、こーゆーのは気分なの、気分!」
「水道で気分を出せるのもひとつの才能だよな」
「また馬鹿にしたなあ!? もー! タカシなんて嫌い嫌い!」
「いやはや。んじゃそろそろ詣でるか」
「むーっ」
 むーっと言いながらむーっとした顔をした梓が俺についてくる。怒りながらもちょこちょこついてくる梓はかわいいなあ。
「あっ!」
「ん?」
 鳥居を潜る時、梓が急に声をあげた。何ごとかと梓の方を振り返る。
「んふーっ。あのね、タカシ知ってる? ボクは知ってるけどね!」エッヘン
「そうか。梓は全知全能だなあ」クルッ
「待って待って最後まで聞いて!」ギューッ
「めんどくせえなあ……なんだ?」
「あのね? 鳥居は真ん中通っちゃダメなんだよ? なぜなら! そこは神様の通り道だから!」ズビシーッ
「ああ。だから端を通ってる」
「あ……」
 俺が立っている場所は鳥居の右端で、神様(と思われるもの)が歩く通り道は踏んでいない。
「しっ、知ってたんだ。ま、まあ、これくらいの知識、あってふつーだけどねっ!」フンッ
「最近知ったのか……」
「ぐーぐるで知った」
「そうか……」
「お菓子のレシピも教えてくれる。昨日はアップルパイの作り方知った。ぐーぐるはいだい」
「なんか金でももらってんのか。あと口調がおかしい。壊れたか」グニーッ
「あぅーっ! ほっへひっはふはーっ!」(訳:ほっぺひっぱるな)
「ん、大丈夫。よかったよかった」ナデナデ
「うー……タカシってすぐボクをなでるよね。……別にいーケド」
「冬場は寒くてよくくしゃみするからな」
「手についたツバをなすりつけられてる!? もーなでんなっ!」
「わはは。さて、着きましたよ梓さん」
 梓とじゃれてる間に拝殿に着いた。奥行きは木々に邪魔されてよく分からんが、一階建ての極々普通の、いや少々みすぼらしい拝殿だ。年季が入っていると言えば聞こえはいいが、実際は何の手入れもされないまま長年放置され、全てが薄汚れて見える。少しくらい掃除したらいいと思うが……ま、それは他人だから言えることか。
「わー……ちょっと、その、アレだね」
「言葉を濁しつつ、梓の表情は明らかに『ドブみたいな臭いがする』と雄弁に語っていた」
「言ってないよっ! ちょっと汚いなーって思っただけだよっ! ……あっ」
「あーあ、言っちゃったー。神様に聞かれたー」
「あっ、あっ、今のナシ! ナシだかんね、神様!」
 拝殿に向かって必死に訴えてる梓。なんというか、もし俺が神様なら許すどころか全身全霊で一生守護する程度には必死さが伝わってくる。
「……ふー。これくらい言えばだいじょぶかな?」
「神様ってくらいだから懐は広いだろ」
「あっ、そだね。あーよかった」ホッ
「ただ、古事記とか読むと良くも悪くも人間臭いから心が狭い神様がいてもおかしくはないな」
「ボクを安心させたいのか不安にさせたいのかどっちなんだよっ!?」
「わはは。大丈夫大丈夫。んーと……あれ? 梓、お前5円玉ある?」ゴソゴソ
 財布を探ったが、残念ながら5円玉が見つからない。……というか、500円玉がひとつしかない。これは、使いたくない……使いたくないんだ!
「はぁ……お参り行くならそれくらい用意しとけよなー。はい、どーせ用意してないと思ってたから、こっちで用意しといたよ」
「おおっ、サンキュ梓。気が利くなあ」
「付き合い長いからねー」
 梓から賽銭を受け取り、賽銭箱に入れる。鈴を鳴らし、……しまった、作法を知らない!
 えーとえーとえーと……そうだ、梓を真似よう! ちらりと横を見る。ばっつり目が合った。
「てめえ! 人の真似をしようだなんていい度胸だ! すなわちグッド度胸!」
「完全完璧にこっちの台詞だよっ! 明らかにボクのマネしよーとしてたろっ! いーからちゃんとした作法教えろっ!」
「ふふん。俺をアカシックレコードか何かと勘違いしているようだが、こちとらただの高校生! 知らないことだって山とあるわ、たわけっ!」
「はぁ……しょーがない。適当にお願いしよ。きちんと心を込めたらちょっとくらいやり方を間違えても神様は聞いてくれるよ。ね?」
「心か。任せろ、得意だ」
「……いちおー言っとくけど、えっちな心を込めたらダメだかんね」
「人間の三大欲求の一つを封印されただと!? くそぅ、もうこうなっては寝ながら大根をかじる夢を願うしか!」
「どんな夢だよっ!」
「三大欲求とか大上段に構えたために、他の欲求に気をとられた結果です。うーん……よく考えたら願い事考えて来なかった」
「ほらほら、もーお賽銭入れたんだから今更うにゃうにゃ考えても仕方ないよ。目つぶったら何か浮かぶよ。それがタカシのお願いごとだよ」
「そういうもんか……?」
「そーゆーものだよっ。ほらほらっ、早くするのっ」
 梓に促され、手を叩いて目をつむる。俺の願い……?
 うーんうーんうーん。浮かばん。
 仕方ないので薄く目を開けて隣を見る。ちっこいのが一生懸命口元で何かつぶやいてた。ずいぶん一生懸命だな。なんだろ。
 ……うん。特に浮かばないし、これでいいか。
 しばらく願い事をして、目を開ける。ほぼ同じタイミングで梓も目を開けた。
「……ふぅ。お願いごと、できた?」
「たぶん」
「たぶん、って……まあいいや。んじゃ帰ろ?」
「あー、そだな」
 踵を返し、拝殿を後にする。……と思ったが、梓が何か拾っていた。
「あっ、えへへ。せっかく来たんだし、あんまり汚れてるからちょこっとだけお掃除ってね。簡単にね」
「はぁ……お前は、なんつーか」
「え、えへへ」
 困ったように笑う梓の元まで戻り、近くの木切れやお菓子のビニールなんかを拾う。
「わっ、いいよいいよ! ボクが勝手にしてることだからタカシまでやんなくても!」
「俺もお前に触発されて勝手にやってるだけだ。両手で持てる程度しかやらんから気にするな」
「……もー」
 小さく笑う梓と一緒に、数分だけゴミ拾いをする。
「……ん、これくらいでいっかな。じゃ、これ捨てよ?」
「そだな」
 近くのゴミ箱にゴミを捨てる。数分のことだが、結構な量になった。
「はー……いいことすると気持ちいいね!」
「ご利益たんまりだな!」
「うわ、そういう気持ちでしたら逆にご利益なさそうだけどね」
「しまった! 今のはごりやく、ゴリ薬、すなわちゴリラ薬がたんまりという危険ドラッグをしてると間違われても仕方ない酩酊した俺の精神が発した謎台詞なのでなかったことに!」
「あははっ。ほらほら、手洗って帰ろ?」
 ゴリ薬ってなんだろうと思いながら手水舎モドキで手を洗う。ちべたい。
「そーいえばさ、タカシは何をお願いしたの?」
 梓から借りたハンカチで手を拭いてると、不意にそんなことを聞かれた。
「梓のおっぱいが成長しますようにって」
「ちょー失礼拳!」パンチパンチパンチ
 なぞの拳法が炸裂した。ただ、謎の拳法伝承者はちびっこだったので全く痛くない。
「むー……そりゃ成長してないけどさ。むー」
「冗談だよ。これがちっとも浮かばなかったんで、なんとなく横見たら必死そうな顔した奴がいたんでな。そいつの願い事が叶うような願い事をしたような、してないような」
「えっ? ……ええっ!?」
「そんな嘘をついたような」
「嘘!? えっ、ホントはどーなの? ねー、ねー!」グイグイ
「まあまあ、俺のはどうでもいいじゃあないですか。梓は何をお願いしたんだ?」
「えっ、ボク!? ……えっ、えっと……」チラチラ
「?」
「……ぼ、ボクのことはどーでもいいじゃん。ねー?」
「なんか顔が赤いが、どうかしましたか」
「どっ、どうかしません。……あっ」
「ん?」
「……さっき、タカシはボクのお願いごとが叶うように願ったって言ったよね? え、じゃあ……?」
「加速度的に顔の赤みが増してますが、本当に大丈夫ですか」ナデナデ
「はぅ」
「梓?」ナデナデ
「……はっ! えっ、えへへ、えへへへ。……あっ、あのねっ!」
 何やら意を決した様子で、梓が声を上げた。
「こ、これからさ。……ぼ、ボクの家に来ない? あのね、アップルパイの作り方知ったから、その。……た、食べてほしいんだ。タカシに」
「ほう、なんたる奉仕精神。将来はナイチンゲールに違いない!」
「そ、そゆんじゃないんだけどね? ……えへへ、でも今はそれでいーや。それで、その。来てくれ……る?」クリッ
 梓は軽く首をかしげた。俺は心を撃ち抜かれた。
「女性の誘いをどうして断れようか!」
「わっ、紳士!」
 ──というのをおどけて誤魔化す。なんたる破壊力だコンチクショウ。
「つーかお菓子大好きだし大喜びで行きます」
「あははっ、そだったね」
「梓の作る菓子はなんでもんまいからな。毎日でも食いたいよ」
「っ!? ……い、いーよ。毎日でも」
「マジかっ!? これは俺が肥え太り将来的に魔女と化した梓に食われるフラグが今立ったか?」
「また適当なこと言ってぇ……」
「ていうかいうかていうかですね、そこまでされるのは気を使うからいいよ。たまに気が向いた時に作ってくれたらそれで十分嬉しいよ」
「別にいいのにぃ……」ムー
「いくねぇ」ナデナデ
「がんこ」ムー
「こっちの台詞だ」ナデナデ
「絶対にタカシががんこだもん。ボクはがんこじゃないもん」ムー
 その後、むーむー鳴る変なのと一緒に帰ってアップルパイをごちそうしてもらいました。

「ねータカシ、おいしー?」
「超おいしい」モグモグ
「えへへ、よかったー♪」ニコニコ
 その頃はもうむーむー鳴らずにニコニコ鳴る生物になってました。たぶん俺は俺でニヤニヤ鳴る奇怪な生物になってたと思う。

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【暇つぶしに学校へ遊びに来たら】

2014年12月27日
 年の瀬ということで、師走の名の通り師も走りまわっているこの時。
「だというのにちっとも走り回りやがらねえこの師! どういうことだコンチクショウ!」グニーッ
「学校が休みなのにわざわざ来てほっぺを引っ張る極悪生徒を誰か逮捕してくだたいっ! あうーっ!」
 ゲームするのも飽きたので学校まで来てちっこい教師こと大谷先生のほっぺを引っ張る。
「くだたい?」グニグニ
「ほっぺを引っ張られてるからちゃんと言えないだけですっ! 手を離してくださいっ!」
「では屏風から虎を出してください」
「今はちっとも一休さんは関係ないですっ!」
「それはどうかな?」
「いーから手を離すのですっ!」ムキーッ
 先生の中の猿力が膨れ上がったので、素直に手を離す俺は聖人認定されてもおかしくないくらい偉いので誰か一億円くらい寄越せ。
「うー……それで、どしたのですか? 宿題でわからないところでもあったのですか? あっ……わざわざ先生に聞きに来たのですか!? それ、すっごく先生っぽい!」キラキラ
「宿題……?」
「初めて聞く単語みたいな反応!?」
「まあ俺には関係ないだろ。それより先生、暇だし遊ぼうよ」
「超関係ありますよ!? むしろ当事者ですよっ! そして先生は忙しいので遊びませんっ!」
「えー? 折角冬休み初日に徹夜して宿題全部片付けてスッキリした俺を先生は放置すると言うのか」
「意外と優秀な生徒だった! そして宿題ってものすごく知ってましたよ!? また先生を騙したんですかっ!?」
「先生に嘘をついたことなんて一度もないっ」キリッ
「なんでそんな真っ直ぐな目で嘘をつけるんですか……?」
 悲しそうな顔をしてたので頭をなでてあげました。
「うー……。宿題を片付けたのは偉いですが、それはそれとして先生は仕事があるのです。邪魔しちゃダメですよ?」
「でも、職員室に入る前にしばらく観察してたけど、椅子に座ったままクルクル回ってたよ」
「うぐっ! ……み、見てたのですか?」
「うぐぅって言った」
「言ってませんっ! そ、それより、質問に答えてくださいっ!」
「うぐぅって言った」
「もー言ったことでいいですからっ! 質問に答えるのですっ!」
「キッチンミトンでたい焼き食え、たい焼き。……そういやあれ何年前のだ?」
「わけのわからないことを言ってないで、質問にーっ!」
 なんか必死になってる様が面白かったので指さして笑ったら大変に怒られた。
「自分の担任教師を指さして笑うって頭おかしいのですっ!」プンプン
「あとで思い出し笑いにすればよかった」
「それはそれで不愉快なのですっ!」
「この子供は面倒臭いなあ」
「子供&めんどくさい!?」
「いや、この衣は粘土臭いなあと言った」
「今日も別府くんは無茶を通しますっ!」
「いや、急に以前行ったそば屋で食った天ぷらの味を捏造したくなって」
「ほら! 辻褄合わせるために捏造になっちゃってますよ!」
「困ったね」
「ちっとも思ってませんっ! もーっ! そろそろ質問に答えるのですっ! 先生の暇つぶし見てたのですかっ!?」
「自分で言っちゃってるじゃん。一部始終見てましたよ」
「うぐぐ……どしてそういう見てほしくない瞬間だけ見ちゃうのですか!? たまたま、ちょこっとだけ、時間が空いたし、他に誰もいなかったので暇を潰してたのですよ? いつもぼーっとしてるんじゃないですよ?」
「分かってる……俺は全部わかってるよ」ウンウン
「あーっ!? それはちっとも分かってない顔ですっ! なぜならすっごく優しい顔でうなずいてるから! そういう反応は逆に失礼ですよ、別府くんっ!」
「ふむ、では……俺は全部わかってるよ」クワッ
「ひっ!」ビクッ
「どうした、先生?」クワッ
「こ、怖……くはないですけど! なんでそーゆー顔をするですかっ!」ブルブル
「優しい顔はダメと聞いたので」
「だからってそーゆー顔は怖がる人もいるかもしんないのでやんない方がいいと思うのですっ! いえ、先生はちっとも怖くないですがっ!」ブルブル
「阿吽像をいめぇじして頂けると幸いです」カッ
「ぴゃあ!? また変わった!?」
「ぴゃあって言った。先生は今日も萌えキャラだなあ」ナデナデ
「怖い顔のまま頭なでなでしないでくだたいっ!」ウルウル
 嗜虐心が満たされたので怖い顔を解除する。つか、変に強張らせて顔が痛え。
「うー……休みの日でも別府くんはいじわるです。あと、先生は萌えキャラとかじゃないです。萌えとか先生とはちっとも関係ない単語なのです」
「ふむ。そこまで言うなら萌えキャラではなくHENTAIキャラにするか」
「変態? 先生はそんな趣味ないですよ?」
「いや、ローマ字でHENTAIと書くんだ。また日本語の変態とは違う意味合いなんだ。家に帰ったら調べてみてくれ」
「はい……?」
「よし、そろそろ帰るか。今日は楽しかったよ、大谷先生。またな」バイバイ
「え、あ、はい。さよならです、別府くん。気をつけて帰るんですよ? 寒いですからちゃんと上着の前を閉めなくちゃダメですよ?」バイバイ
「はいはい」

 ──大谷家、夜──
「はぁ……まったく、別府くんには困ったものです。冬休みだのにわざわざ学校に来るなんて、どれだけ暇なんですか。……それとも」
「あ、あはは、ないない、ないです、ないですよ///。そ、そいえば何か言ってましたね、えーと……HENTAI、でしたっけ?」
「なんでしょうね。ちょこっと調べてみましょー」カチカチ
「……ひっ!」

 ──別府家──
 自室で存分にほげーとしてたら携帯が鳴った。果たして大谷先生だ。そろそろだと思っていた。
『別府くん別府くん別府くん! どーゆーことですかっ!? パソコンで調べたらなんかえっちな漫画がいっぱい! いっぱい!』
「トラップ」
『先生を罠にかけないでくださいっ!』
「わはは。先生は愉快だなあ」
『こっちはちっとも愉快じゃないですっ! 画面見ないように右上の×押そうと必死ですっ! まったくもうっ! 別府くんはっ!』プンスカ
「おお、こちらまで怒りが届いてきそうだ。怒り……うーん、イカリングが食べたくなった。先生、買ってきて」
『プンプンしてる相手をパシリ扱い!? さらに言うならこっちは先生なのですよ!? イカリングってどこに売ってるんですか!?』
「買うな買うな。冗談だ。イカリングとは言わんが、また今回のお詫びに何かおごるよ」
『そ、そんなの結構です。先生と生徒がおごったりおごられたりするのはダメなのです』
「パフェとかどうだ?」
『行きます』(即答)
「…………」
『……し、仕方ないじゃないですか。パフェには勝てませんっ!』
「クレープとどっちが強い?」
『な、なんて名勝負……!』
「先生は愉快だなあ」
『う、う~……///』
「わはは。んじゃまた明日ね。その時に一緒に食おうな。都合悪かったら連絡くれな」
『え、あ、はい』
 色々考えさせる前に通話を切る。
「……っし。デートの約束成功。やったね」ルンルン
 調子に乗って小躍りしたら本棚の角の野郎が俺の足の小指にクリティカルヒットしたので調子に乗るべきではないなあと思った。

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【ツンデレの首筋に冷たい手を押し当てたら】

2014年11月26日
 近頃めっきり寒くなったので、登校中のかなみの首筋によく冷えた俺の手を背後からぴたりとつけたら悲鳴をあげられたうえ、すげー殴られた。
「解せぬ」
「朝っぱらからもう! こいつは! 本当に!」ゲシゲシ
「うーん。大変に痛いね。これは大変だ。はっはっは」
「笑うなーッ!」ゲシゲシ
 ひと通り殴られて少々泣きそうになりつつも、我慢する俺は大人だと言えよう。誰か褒めろ。
「ったく……んで? なんでいきなり痴漢なんてすんのよ」
「痴漢!? これは異なことを。ただ知り合いの首筋に俺の手をくっつけただけではないか! 本当に痴漢するなら乳なり尻なり触って楽しい箇所を触るわ、たわけ!」
 思いの丈をぶつけたのに、かなみからは冷笑されるわ周囲の学生たちはヒソヒソと囁いてるわで散々だ。
「うーん。どうやら選択肢を誤ったようだ。ちょっとロードしたいんだけど、ボタンが見つからない」
「リセットボタンならあるわよ? 押してあげよっか?」
「これは分かりやすい殺意表明。やめてね?」
「今後の態度次第ね。少なくとも次また同じ事されたら押す」
「軽い挨拶で死に直結とは、なんという死にゲーだ。……でも、まあ、いいか!」
「よくない! アンタのそーゆートコ、よくないかんねっ!」
「あ、はい。ありがとう」
「こっ、こっちは怒ってるんだからねっ!」
「いや、なんか心配してもらったのだし、感謝は当然かと」
「うっ」
「う?」
「……う、うるさいっ!」ギュー
「ひはひ」
 なんか頬を引っ張られたため、呂律が回らず酩酊中のような醜態を晒す羽目に。
「うるさいっ! ばかみたいな顔でこっち見てるからよ、変態!」ギュー
「解せぬ」
「うるさいうるさいうるさいっ!」ギュー
「ひはひ」
 ひと通りつねったら満足したのか、手を離してもらった。痛かったので頬をさすさすする。誰か俺をさすさすしろ。
「むー……」
 それでもまだつねり足りないのか、かなみは不満げに口を尖らせながらこちらを見ている。
「んじゃそろそろ行きましょか。今日の一時間目なんだっけ。昼休みだっけ」
「……ふんっ!」プイッ
 ぷいってされたので残念と思ってたら不意に手が柔らかいので包まれたのでおやと思って見たらかなみのちっこい手が俺の無骨な手を包んでたのでわひゃあ。
「あ」
「アンタを放ってまた冷たい手で首をぴとってされてわってなるのが嫌だから! それを防ぐためにしてるの! 他意はないの!」
「『あ』しか言ってないのに、ものすごい言い訳された」
 鬼が俺の手を締め上げる。顔も赤いし赤鬼に違いない。
「もーいいっ!」パッ
「それはどうかな?」ギュッ
「あっ、こらっ! 勝手に握るな!」
「いやほら、折角だし」ニギニギ
「何が折角よ! ああもう、にぎにぎすんな変態! 顔もにやにやすんなっ! 何笑ってんのよこの変態っ!」
「では顔をにぎにぎして、手をにやにやするなら許してもらえるでしょうか」
「無茶言うなッ!」
「顔をにぎにぎするってどうやんの?」
「あたしに聞くなッ!」
 などと二人してぎゃーぎゃーにやにやしながらおてて繋いで学校まで行きました。

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