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2024年04月27日
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【ツンデレと進級の話をしたら】

2014年03月11日
「3月といえば、卒業のシーズンですね」
「む? まあ、そうじゃな」
 学校帰り、通り道の公園でたい焼きを(俺の金で)買ってベンチでもっちゃもっちゃ食ってるまつりに切り出す。
「まだわらわたちは卒業という歳ではないが、貴様はちゃんと進級できるのかえ? もっとも、わらわ的には落第してもらった方が嬉しいがの」モキュモキュ
「そうなんだ。まあ、まつりは小さいから一つ年下の奴らと一緒の教室でもそんな違和感ないから大丈夫だろ」
「ぬ? 貴様の話じゃろ?」
「え、まつりの一ヶ月後の話じゃ?」
「……え? わらわ、落第なの?」
「はい」
 まつりが綺麗に凍った。それでもたい焼きは落とさないのは、偉いのか食い意地が張ってるのか。
「……えええええっ!? なんでなんでなんで!? わらわ学業優秀じゃよ? 内申もいいよ? ……あっ、貴様、自分が落第なのをわらわと勘違いしとるのじゃろッ! ええい、そうじゃと言えッ!」
「いいえ」
「なんでそこでいいえとか意地悪なこと言うのじゃー……」ウルウル
 まつりが半泣きになった。今日も可愛い。
「ううー……なんでなのじゃー……あっ、ひょっとして担任に袖の下とか渡さないとダメなのかや? でも大谷先生はそういうの嫌いそうじゃし……」ブツブツ
 そうかと思えば何か呟きながら考えたりもしたりと、目まぐるしく変わる表情に頬がゆるむのを禁じ得ない。
「……む? なにわらわを見てニヤニヤしとるかや? 今日も気持ち悪いのじゃ」
「ニコニコしてると言ってください。人聞きの悪い」
「人が落第しそうになって困ってる様を見て笑ってるような悪人は、等しくニヤニヤというおとまのぺなのじゃっ!」
「オノマトペです」ナデナデ
「……そ、そうとも言うのじゃ。……じゃ、じゃって外来語は苦手じゃもんっ!」
「無理して使わなくても」
「うぅー。たまにはそーゆうのも使いたくなるお年ごろなのじゃよ」
「うわ超かわいい。あとでさらって三日三晩犯しまくって孕ませよーっと」(うわ超かわいい。あとで妊娠させよーっと)
「怖すぎるっ!?」
「ああ失敬失敬、言ったことと思ってることが逆だった」
「ほぼ一緒じゃったぞ!?」
「いや、言うつもりの台詞はほら、オブラートだかビブラートに包まれてるおり、震える」ビビビビビ
「オブラートじゃ! ええい、貴様が余計なことを言ったせいで着信したみたいになってるのじゃ!」
「モノマネします。西野カナ」ビビビビビ
「うるさいのじゃ!」
「いやはや。まあなんだ、大丈夫。俺は、俺だけは、まつりが後輩になってもこれまで通り馬鹿にするから安心してくれよ」ナデナデ
「途中まで感動しそうになったが後半で一転、いつも通り貴様の悪辣さが出てきおったのじゃたわけーっ! ふえーんっ!」
「ああ泣かしてしまった。これは良心がうずく。ただ、俺に良心とやらがあるのかはなはだ疑問ですね。まだ良心回路があるキカイダーの方が持ってる信憑性が高そうだ。ただ、ハカイダーよりは良心があるように思えるのですが、その辺りまつりはどうお考えでしょうか?」
「キカイダーの話に行きすぎじゃっ! わらわを慰める方向へ行けっ!」
「それもそうだな。よしよし」ナデナデ
「明らかに子供相手の慰め方なのじゃ……」ズーン
「とにかく、元気を出せ。大丈夫、全部嘘だ」
「そうは言っても……ぬ?」
「嘘」
「なにが?」
「落第関連の話」
「…………」
「エイプリールフール!」ジャーン
「何がじゃーんじゃーっ! まだじゃ、一ヶ月早いわっ!」
「俺の持ちネタなんです」イヤハヤ
「あほーっ! 今日もあほーっ!」ポカスカ
「わはは。まつりは俺と違って品行方正五里霧中なんだから落第なんかするわけないだろ」ナデナデ
「ううーっ。びっくりしたのじゃ。ドキドキしたのじゃ。どうしようどうしようかと思ったのに、この阿呆は……。あと、五里霧中ではないのじゃ」
「いや、ほら、よく俺に惑わされてあわあわしてるので割合ぴったりかと」
「超うるさいのじゃ! そもそも貴様がわらわを騙したりしなければドキドキあわあわしなかったのに……ああもう、不愉快なのじゃ! たい焼きも冷えちゃったのじゃ!」
 食いかけのたい焼きをぐいっと差し出された。
「めろんちょ」ベロリ
「あああああ!?」
 そこで、ちょうど歯形のある箇所を舐めたら奇声をあげられた。そりゃそうだ。
「何をするかや!?」
「めろんちょ」
「意味分からんのじゃ! ああ……わらわの、わらわのたい焼きが、妖怪液に汚染されちゃったのじゃ……」ズーン
「妖怪液じゃなくて、唾液です」
「うるさいのじゃ! ああもう、こんなの絶対に食べられなくなっちゃったのじゃ! 新しいのを要求するのじゃ!」
「へーへー」
「返事は一回なのじゃ! ……それじゃ、次は何にするかの?」
「抹茶は? お前今日選ぶ時に抹茶とそのカスタードと死ぬほど悩んでたじゃん」
「ぬ。……よく見とるのぉ。貴様、わらわのすとーかーかや?」
「していいの? やったぁ!」(天まで届け、とばかりの快哉を叫びつつ)
「ちっ、違う違う違うっ! 許可などしとらんっ! じゃから、わらわをすとーきんぐしてはならんのじゃっ!」
「ちっ。許可が出たなら堂々とまつりの後をつけてさらって三日三晩」
「それはもういいのじゃーっ!!」
 半泣きだったのでこの話題はやめることにする。流石に下衆すぎるか。自重しよう。
「んじゃお詫びをかねて買いに行くか」
「ん!」
 はい、とたい焼きを手渡された。
「なんでしょうか」
「もう食べられなくなっちゃったから、貴様にやるのじゃ」
「えー」
「えー、とはなんじゃ、えー、とは。わらわのほどこしじゃぞ? 喜ばぬか!」
「だって、妖怪液に汚染されてるんだもん」
「貴様の唾液じゃッ!」
「言われみればそうだった。よし、まつりの目の前でこのたい焼きを舐めて間接キスを堪能しよう」
「かんせ……あーっ! い、言われてみれば! か、返すのじゃ!」アワアワ
「妖怪液に汚染されてますが、大丈夫ですか」
「ぐ」
「というか、既に俺がめろんちょした後ですし、間接キス後なのですが。つまり、もしこれを返してまつりが食したとしたら、間接間接キスですな。お、わけが分からん。はっはっは」
「うううーっ。もうそれ食べちゃダメなのじゃ!」
「嫌です」モグモグモグ
「あああーっ!!」
「うーん。うまい。生地は冷えてるが、それでもこのカスタードが」モグモグ
「……そ、その、わらわの味は?」ドキドキ
「人肉を食った経験がないのでちょっと」
「別にわらわの肉が入っとるわけじゃないわいっ! ほ、ほら、わらわが口をつけた箇所があるじゃろ? なんか甘かったり幸せになったりせぬか? の? の?」
「全然」モグモグ
「……貴様と言うやつはーっ!」
「はい」
「もーっ! 本当にーっ! もーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
「うぐぐーっ! 罰なのじゃ、抹茶とあんこを買うのじゃ!」
「あ、それはダメ。そんな食ったら晩飯入らねーだろ」
「うぐぐぐぐーっ! もーっ! わらわのこの『もーっ』て感じはどうしたらいいのじゃーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
 ぽかすか叩かれ続ける俺だった。

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Comment
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楽しみに待っておったがや
No title
新作きてたー
いつも楽しませてもらっています
無題
『わらわの味』は反則w
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