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2026年03月22日
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【強風なのでツンデレはスカートが気になるようです】

2010年01月25日
 台風が近づいてきたせいか、今日は風の勢いがすげえ。
「……おいす」
 そして、こんな強風吹き荒ぶ日だというのに、顔色一つ変えず無表情に道端に立ってる知り合い。ちなみだ。
「お前はロボットか何かか」
「……人間。なぜなら、ほっぺがふにふにしているから」
 触ってみると、確かにふにふにしている。なるほど、このふにふに感は人間にしか出せないだろう。
「……朝から痴漢された」
「チクショウ、知り合いが朝から美人局を!」
 などと適当なことをやり合いながら学校へ向かってると、不意に突風が吹いた。あまりの風の勢いに、思わず目をつむってやり過ごす。
「ふぅ。なんつー風だ」
「…………」(じーっ)
「む? どうしたちなみ、今更俺様の美貌に気づいたか? さあ、惚れろ」
「無理。……じゃなくて、……見た?」
「うん?」
「……私の、その……ぱ、パンツを。……み、見た?」
「何だと!? そうか、今の突風はパンチラチャンスだったか! 俺としたことが、不覚……!」
「……まあ、この反応だと見てないか。……もしまたさっきみたいな風が吹いても、同じようにすること」
「もももももももももももちろん」
「…………」
 とても疑わしい目で見られた。
「……今のうちに目を潰しておこうか」
「そのやり方は、包丁があると凶器になるから包丁職人を根絶やしにするか、という考えと一緒で危険すぎます」
「……いいじゃん。タカシだし」
 俺にとってはどうでもいいことではないので、必死に抵抗してなんとかやり過ごす。
「……大変不満」
「たかがちなみの尻ひとつで目を潰されてたまるか」
「……私のお尻は、タカシのお尻の500倍だ」
 何が500倍なのか分からないが、凄みだけ伝わった。
「それほど凄い尻なのか」
「すごい。超尻。……まあ、タカシには一生見る機会なんてないけど」
 そう冷たく言って、ちなみは俺に背中を見せた。その瞬間、またさっきのような強い風が。ちなみのスカートがまくりあがり、きゃわいい青白ストライプのパンツが──いわゆる超尻が丸見えに。
「…………」
 くるりとこちらに向き直り、ちなみは俺を無言で見つめた。かすかに頬が赤い。
「いや、あの、ええとですね、ちなみさん」
「……見た」
「そりゃもう! でもですね、その」
「……私の超尻を見た」
「なんでもいいがその超尻ってのやめませんか」
「……うるさい。……私のお尻を見たからには、一生こき使っても100おくまんえんはお釣りが来るくらい貸しができた」
「いやいや、いやいやいや。そこまでお前の尻に価値はない」
「……私のお尻、どだった?」
「超素敵。触りてえ」
「…………」
「しまった、誘導尋問か!」
「……タカシはいつも語るに落ちるので困る」
 じゃあしないでください。
「……そゆことで、今日からタカシは私の下僕」
「何一つ納得がいかない」
「……じゃ、とりあえず、鞄を持て下僕」
「恨みのあまり受け取った鞄を投げ捨てそうだ」
 でもまあ、とりあえず鞄を受け取る。
「……そして、次に、私を持て下僕」
 そう言って、ちなみは両手をあげて俺を見上げた。
「ええと……抱っこ?」
「らっこ」
 意味が分からないが、ラッコなら仕方ない(?)ので、ちなみを抱き上げる。
「俺の鞄&ちなみの鞄&ちなみ本人の重量が一挙に俺の腕にかかり、今にも折れそうだ」
 鞄を両わき挟み、その状態でちなみを腕の力だけで抱き上げるが、大変厳しい。
「……失礼な。私はそこまで重くない」
「はっはっは、ご冗談を」
「……がぶがぶがぶ」
 ゆっくり人の鼻を噛まないでください。
「噛むな。それよりちなみ、なんかもう落としそうだから、ちょっとお前降りろ」
「……断る」
「じゃあもうなんでもいいから俺にしがみ付け。マジで落としそうだ」
「……タカシは大胆で困る」
 ちなみはほんのり頬を染め、俺にしがみついた。これで手がフリーになったので、それぞれの手で鞄を持つ。
「ふう、やれやれ。とはいえ、重いものは重い」
「……そうだ。タカシの鞄を捨てれば軽くなる。超名案」
「not名案。何故なら俺の鞄だから」
「……やれやれ、タカシは鞄まで使えない」
「酷いことを言う」
「……まあ、とにかく。今日から毎日こうやって登校するから、筋トレしておくように」
「驚愕すべき事実をさらりと言いおったな!?」
「……楽ちん楽ちん」
「せめて背中に負ぶされよ……」
「……黙れ下僕。……あと、帰りもこのような感じなので、覚悟完了しておくように」
「俺の人生、面白いことになってきたゼ……!」
 ヤケクソ気味な俺を、道行く人たちが奇異の目で見るのだった。

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【ゆずねえと朝の支度】

2010年01月25日
 起床して、登校準備して、行ってきます。でもその前に、隣家へ入る。
 おばさんに挨拶してするりと二階へ。『ゆずこのお部屋』と書かれたネームプレートの部屋にノックなしで入る。
「みょーむみょーむみょーむ」
「奇妙な音してるだろ。寝息なんだぜ、これ」
 そんなみょーむ人を揺すって起こす。
「起きろ、ゆずねえ。起きろ」
「ん……わ、わわ。地震?」
「そうだ。巨大地震で既に世界は崩壊した。早く起きないとゆずねえも崩壊する」
「お姉ちゃんは崩壊しないよ?」
「じゃあ俺が崩壊させてやる」
「うー……朝からアキくんがいやらしいよぉ」
「いや、意味が分からん」
 アキくんという高校生につけるにしては嫌なあだ名の俺こと彰人が答える。
「つまりー、お姉ちゃんにえっちなことをして、お姉ちゃんを前後不覚に陥らせることにより、お姉ちゃんを崩壊させるって寸法なのカナ?」
「俺に聞いてどうする。あとお姉ちゃんを多用しすぎだ。いいから起きれ」
「うー……アキくんが冷たい。でも、そだね。起きるね。はい」
 そう言って、ゆずねえは俺に手を差し出した。
「何ですか、この手は」
「抱き起こして?」
 そっとゆずねえの顔に手を覆い被せる。
「違うよー、抱き起こすのー!」
「一人で起きないと顔の皮剥がす」
「お姉ちゃん、一人で起きられます!」
「とてもよい返事で大満足です」
 手をどけると、怯えた様子のゆずねえの顔が出てきた。
「はわはわはわ……」
「む。そういう萌え媚び言語は嫌いではないので多用するように」
「じゃ、これからはわーはわー言うから、抱き起こしてくれるカナ?」
「顔の皮が不要なのであれば」
「お姉ちゃん、一人で起きられます!」
「早く下りてくるように」
 寝たままびしっと敬礼してるゆずねえを残し、先に階下へ下りる。
「どうだった?」
 淹れたてのコーヒーを俺に渡しながら、おばさんが訊ねてきた。
「後数分で下りてくると思います」
「ごめんね、毎朝毎朝」
「まあ、俺も嫌いじゃないですから、ゆずねえ起こすの。それに、このコーヒーがついてきますし」
 ぐいっとカップを傾け、コーヒーを飲む。おばさんの淹れるコーヒーは何か違うのか、とてもおいしいので好きだ。
「柚子も『アキくんに起こされるの好きー♪ でも寝てるお姉ちゃんのおっぱいに悪戯するのは閉口』って言ってたわよ」
 ぶばーと口内のコーヒーをカップに戻す。
「わ、汚い」
「げほっげほっ……ええと、おばさん。一応訊ねますが、信じました?」
「可愛い娘の言うことを、誰が信じないものか!」
 前から薄々感じてはいたが、やはりゆずねえの親だけあって、この人どこかおかしい。ていうかなんだ、さっきのゆずねえのマネ。巧すぎだろ。
「にゃむにゃむ……」
 カップの中のコーヒーをどうしたものかと思案してると、ゆずねえがパジャマのまま眠そうに目を擦りながら部屋に入ってきた。
「うー、眠いよー……お母さん、コーヒーちょうだい」
「彰人くんのコーヒーもらいなさい」
 さっきの俺の行動の顛末を見ているはずのおばさんがとんでもないことを言った。
「アキくん、ちょーだい?」
「あ、いや、このコーヒーには少々問題が」
「彰人くん成分たっぷりで、柚子もにっこり」
「よく分からないけどお姉ちゃん飲む!」
「ああっ、あああっ!」
 俺からカップを奪い、ゆずねえは一気に飲み干した。
「……げぶはー! ぬるい! もう一杯!」
「ええと、大変申し上げにくいのですが、ゆずねえ」
「うん? なぁに、アキくん?」
 こてりと小首を傾げるゆずねえに、コーヒーの仔細を伝える。
「……というわけで、不可抗力とはいえ俺が一度口に含んだものを飲ましてしまいました。ごめんなさい」
「何を謝る必要があるものか! むしろお姉ちゃんは大喜びです!」
「いや、それはどうかと思う」
「よし! お母さん、もう一杯コーヒーちょうだい! そんで、アキくんはそれを一度口に含んでもどしなさい!」
「任せろ娘! 彰人くん、吐しゃの準備はおーけー?」
「この家の人みんな頭おかしい」
 泣きそうになりながらふと壁にある時計を見ると、いつもなら家を出ている時間だった。
「ゆずねえ、学校行こ。あんまりゆっくりしてたら遅刻する時間だぞ」
「でもまだアキくん特製コーヒーが!」
「そんなものは飲むな。聞き分けないと顔の皮剥がす」
「お姉ちゃん、すぐ準備します!」
 よほど怖かったのか、ゆずねえは慌てて部屋から飛び出した。
「……彰人くん、インディアンみたいな脅し文句ね」
「相手が女性なので頭の皮は剥がさないところに注目してほしいです」
「ジェントルマンね!」
 そもそもジェントルマンは皮を剥がさないよな、と思ってると、ゆずねえが制服に着替えて戻ってきた。
「ふー、ふー……な、何秒!?」
「5年」
「お姉ちゃん、どっかで時空の狭間に迷った!?」
「信じるな。準備できたなら行くぞ、ゆずねえ」
「あー、でもまだご飯食べてないー!」
「コンビニで何か適当に買って、食いながら歩けばいいだろ」
「アキくん、めっ! 食べながら歩いたらお行儀悪いでしょ?」
「滅された」
「漢字が違うよ!? お、お姉ちゃん、アキくんを滅してないよ? お姉ちゃんはアキくんが幽体になっても成仏させないよ?」
 それが愛情なのかどうなのか判断に迷うが、とりあえずそんなことはどうでもいい。
「そんなことよりご飯だよ、ご飯! 朝ごはん食べないと元気が出ないよ、アキくん?」
「いや、だからもうそんな時間が……」
「はい、柚子」
 縄か何かでふんじばって無理やり連行しようかと考えてると、おばさんがゆずねえに何か手渡した。
「……おにぎり?」
「さっき作っておいたの。ぱぱーって食べちゃいなさい、その間に母さんが彰人くんを大人の魅力で篭絡させておくから」
 途中までよき母っぽい台詞だったのに、やはりゆずねえの母親だけあってダメな部分が姿を現した。
「ダメーっ! お姉ちゃんが熟しきらない青い魅力で、何より大きなおっぱいで篭絡させるのー!」
「繰り返すが、この家の人頭おかしい」
 結局遅刻した。

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【お腹痛いツンデレ】

2010年01月25日
 放課後になったのでふらふら部室にやってきたら、既にかなみがいた。
「うぃす。早いな」
「お前が遅いんだ、ばかー……」
 かなみは席に着いたまま、ぐでーっと頭を机に乗せていた。いつものように悪態は吐いているものの、どこか元気がない。
「どした、どっか痛いのか?」
 頭をもふりながらそう言ったら、途端、かなみはぴんっと背筋を伸ばした。
「ぜっ、ぜんっぜん! どっこも痛くない!」
「…………」
「ほ、ホントだよ? どこも痛くないよ?」
 じーっとかなみを見つめる。頭、顔、鎖骨、胸、……腹。そこに手が添えられていた。
「腹?」
 びびくんっとかなみの身体が跳ねた。
「な、なんで分か……はっ!」
「……はぁ。とっとと保健室行くぞ」
「嫌だー! 注射とか打つんだろ!」
「言うこと聞かないと医師免許を持ってない俺が打つ」
「悪魔だーっ!」
 そんなわけで、引きずるように(というか、後半担ぎ上げた)かなみを保健室へ連行する。
「これこれこういうわけなんで、先生、ここは一つ特大で極太で激痛の注射を」
「そんなのお前が打たれろーっ!」
「お薬飲みましょうね」
 残念なことに注射は打たないようだ。しかし、ここでまた問題が発生。
「嫌だ! 薬なんか飲まなくても、寝てれば治る!」
「断るな。お前のことだ、どうせ苦い薬が嫌なだけだろう」
「そっ、そそそ、そんなことない……ヨ?」
 目が泳いでる。汗も大量に発生している。吹けもしない口笛も吹いている。……ここまでコンボを決められると、逆に感心する。
「はぁ。困ったわねえ、先生ちょっと出ないといけないし」
 先生は頬に手を当て、ため息を吐いた。ちらりとこちらに視線を向ける。
「じゃ、後は俺に任してください。注射器のある場所だけ教えてくれれば、後はなんとかします」
「すぐ注射しようとすんな、ばかーっ!」
 逃げようとするかなみを追いかけ、どうにか捕まえる。
「うーっ! 離せ、ばかーっ!」
「暴れるな。先生、鎮静剤を」
「はいはい。丁度いいからそのまま持っててねー」
「きゃうわっ!?」
 先生はかなみの前へやってくると、めろりと制服をまくった。すわ百合行為が俺の目の前に、と思ったが、違ったみたい。
「……うーん、ね、かなみちゃん。ここ押すと痛い?」
「う、ううん」
「ここは?」
「……うー、ちょっと痛い」
 先生は触診しているようだ。かなみのお腹に手を当て、何か探っている。
「なんだ。それなら俺も触診したかった。胸とか」
 思ったことを言っただけなのに、かなみが獣のような目で睨んできたのでしないことにする。
「……うん、ただの腹痛ね。寝てれば治るわ」
「だから言ったのにぃ……」
 終わったようなので、拘束を解く。かなみは俺を一発蹴ってから慌てて逃げた。
「いちいち蹴るな」
「うっさい、ばか!」
「はいはいはい、喧嘩しない。じゃ、かなみちゃん。そういうことなんで、しばらく休んでおいてね」
「うん!」
 かなみはすっごい笑顔を先生に見せると、ベッドに飛び乗った。そのままぼふぼふスプリングの柔らかさを楽しんでいる。
「跳ねるな」
「お前の言うことなんて聞かないもんねー」
「かなみちゃん、跳ねたりしちゃダメよ」
「はーい!」
 先生の言うことなら素直に聞きやがる。……寝てる間にその馬鹿みたいにでかいリボンを赤から黒にしてやる。
「……? なんだろ、寒気がする」
「じゃ、先生ちょっと出てくるから、別府くん、後は頼むわね」
「えーっ!? コイツいるの? ……いたづらされそうで嫌だなあ」
 先生がぼくを犯罪者を見る目で見ます。
「……うん。分かった、します!」
「先生助けて!」
「……じゃ、後は任せるわね」
 どこか疲れた様子で先生は部屋から出て行った。後に残される我ら二人。
「……ホントにいたづらしたら、教頭せんせーに言って退学にしてもらうかんね」
「じゃあ今のうちに校長に根回ししとく」
「ず、ずるい!」
 同好の士なので、校長とは仲が良い。たまに泣かすが。
「冗談はともかく、寝てろ。腹痛いんだろ?」
「んー……なんか、お前とぎゃーぎゃー言いあってたら、ちょっと戻った」
「いーから寝てろ」
 起き上がろうとするかなみの頭を押して、ベッドに寝かせる。近くにあったパイプ椅子を持ってきて、そこに座る。
「見ててやるから、安心して寝ろ」
「よけーに寝れないっての……」
 ぶつくさ言ってるかなみの頭をくしゃくしゃっとしてから、持ってた文庫本を取り出し、暇を潰す。
「……うー」
 全体の2割ほど読んだ頃だろうか、かなみが声をあげた。
「どした? 腹痛むのか?」
「……ちょっと」
「だから薬飲めって言ったのに……」
「う、うるさいっ! 過ぎたことをぐにゃぐにゃ言うな、ばかっ!」
「ぐにゃぐにゃは言わんが……しかし、どこに何の薬があるか分からないしなあ」
 勝手に探るのもまずいだろうし……仕方ないか。
「うにゃっ!?」
 布団に手をつっこみ、そのままかなみの腹にも手をつっこむ。
「なななななな、なに!? いたづらするのしてるのされてるの!?」
「落ち着け、ただの手当てだ。何もしないよりマシだろ」
 そのまま、ゆっくりかなみの腹をさする。
「うう……私のお腹が陵辱されてる」
「よくもまぁ人聞きの悪い言葉がポンポン出てくるな」
 言葉は俺を全否定していたが、それ以上嫌がる様子もなかったので、そのまま続けて腹をさすりつづける。
「どうだ? ちょっとはマシか?」
「んー。もうちょっとやんないと分かんないカモ」
「間違って手を上部に動かし、乳を揉みしだく可能性があるが、言われた通りもうちょっとお腹をなでます」
「…………」
 悪魔のような目で見られたので、乳は揉まない。
「……まったく、お前は私の魅惑のぼでぃーに釘付けだな」
「貧乳が大好きだからね!」
「ひっ、貧!?」
「ていせい。無乳が大好きだから!」
「無ーっ!?」
「だって、ほら」
 布団をまくりあげ、さらに制服もまくりあげる。仰向けに寝てるせいか、全くと言っていいほど膨らみのない胸部と、その真中にある桜色の蕾が──って。
「ブラが──ない!?」
「にゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「あぐっ」
 かなみは俺のあごを蹴り上げ、すぐさま布団を被りなおした。
「みっ、みっ、みっ、見ーっ!?」
「あいたたた……いや、あの、まさか直で制服だとは思いませんでしたので」
「うう……うううううー!」
 見る間にかなみの瞳に涙が溜まっていく。大変いけない。
「いやそのあの、ごめんなさい。故意ではないにしろ、許されることではないです」
 地面にぺたーっと土下座する。おでこも床にぐりぐりこすりつける。
「……わざとじゃないのだな?」
「自身に誓って」
「……ぐすっ。じゃ、許す」
「…………」(ニヤリ)
「計算どーり!? やっぱ絶対許さない!」
「冗談だよ。いやはや、よかった」
「私のおっぱい見れてか!?」
「いや、それはもちろんそうですけど、そうじゃなくて、許してもらえて」
「う、にゅ……」
 かなみはしばらく自分の手をこねこねこねていたが、やがてちらりとこちらに視線を向けた。
「……お腹、痛くなくなるまでさすってくれてたら、許す」
「そいつぁ願ってもない命令だ」
「でっ、でも次おっぱい見たら許さないからなっ!? 絶対だかんな!」
「あんま女の子がおっぱいおっぱい連呼するな」
「誰のせいだっ!?」
 依然ぎゃーぎゃーうるさいかなみのお腹を、ずっとさすっていた。

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【もこもこツンデレ】

2010年01月24日
 近頃冷え込んできたせいか、登校途中に発見したボクっ娘が俺の知らない領域に踏み出していた。
「うー……最近寒いね、タカシ」
「俺は知らなかったのですが、ボクっ娘って進化したら羊になるのですね」
「違うよ!? これは別に羊に進化じゃなくて、もこもこした服を着込んでるだけだよ!?」
「そりゃそうだ。……いや、普通に納得してもつまらん。よし、いいがかりをつけよう!」
「宣言!?」
「まだ秋だというのに、そんなモコモコした服を着込むはずがない。故に、そのモコモコは進化によって出来た梓の体毛……つまりそれこそが、羊に進化した証拠なのだ!」
「いいがかりってあらかじめ言ってる人に言うのはすっごくすっごく面倒くさいけど、一応言うね。そんなわけないよ」
「もっと乗れ」
「じゃあもっと騙す努力しろっ!」
「されはさておき、暖かそうですね」
「適当に流すしぃ……まぁいいや。あのね、これね、暖かいんだよ。着てみる?」
「でも、着た途端呪いのSEが流れそうだしいいや」
「呪われてないよ!? ……仮に呪われてたとして、どんな呪いなの?」
「俺を好きになる呪い」
「なーんだ。そんなの意味ないよ」
「ほう?」
「だってもう好……な、なななんでもない、なんでもないよ!?」
「なんだと!? じゃあこの話の続きを話すか今すぐ俺の肉奴隷になるか好きな方を選べ!」
「タカシ無茶苦茶だよぅ!?」
「もしくは俺にそのもこもこ服を少し着させてください」
「……寒いの?」
 こっくりうなずく。話してる最中に風が吹いて寒いのなんの。
「もー、しょうがないなあ……はい、ボクも寒いからちょっとの間だけだよ?」
 もこもこ服を脱ごうとする梓だったが、その間だけでも寒いのは可哀想だな。どうしよう。……そうだ!
「超名案が浮かんだので可決!」
 俺内部の内閣がなんやかんや言いあった結果を実行する。
「たっ、たたたっ、タカシ!?」
「うむ。やはりボクっ娘という生き物は子供だけあって体温が高く、大変暖かい」
 ボクっ娘の背中からむぎぅっと抱っこするという法案は、俺も梓も暖かくて誰も悲しまなくてすむのでいいなあ。
「こっ、子供じゃないよ、同級生だよっ!」
「同級生なら胸に膨らみを作ってはどうか」
「……将来に期待だよっ!」
「なるほど、俺が乳を揉みまくり、その結果分泌される女性ホルモンにより乳を巨大化させる目論見か! でも俺は小さい方が好きなので困った」
「み、道端で変なこと叫ぶな、ばかぁ!」
「ぬ、それなら次からは夜にこっそり囁く。主にお前の部屋のクローゼットの中で」
「妖怪クローゼット潜み!?」
 なんだその妖怪。
「それはそうと、大分温まりました。ありがとうございました」
 礼を言って梓から離れる。
「あ……」
 一瞬顔を曇らせたが、次の瞬間梓は偉そうに腰に手をあててふんぞり返った。
「ま、まったくだよ。ボクが相手だからいーけど、これが他の人なら通報されてるよ」
「お前にしかこんなことしねーよ。俺にだって選ぶ権利くらいある」
「う……た、たりゃー!」
 突然梓がチョップしてきた。
「た、タカシになんか選ばれたって嬉しくないよーだ! べろべろばー!」
「べろべろばー怖い! 助けて神様!」
「……いや、脅したわけじゃないんだけど」
「……ふぅ。これで今日の夜にべろべろばーの神が降臨し、お前を惨さ……いや、なんでもない」
「殺される!? ていうかべろべろばーが怖いのに、べろべろばーの神様にお願いするってどういうこと!?」
「ぬう。いかん、また冷えてきた」
「ちっとも聞いてない!? ……そ、そんなダメな奴は、こうだっ!」
 梓は俺の手を掴むと、そのままもこもこ服のポケットに突っ込んだ。
「……あ、暖かいだろ?」
 顔の赤さを誤魔化すためか、ポケットの中で俺の手がきゅっと握られる。
「あ、ああ、その、なんだ、結婚してください」
「なんでプロポーズだよっ!」
 残念ながら断られたが、そのまま学校まで手を繋いで登校した。

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【ツンデレと紅葉狩り】

2010年01月24日
「……聞いた話によると、この地球という星には紅葉狩りなる珍妙な行事があるとか」
「はぁ。まあ、ありますが、あなたも地球人だったように記憶してますが」
「……連れてけ」
「そんな枯れた趣味はないのでお断りします」
「……こんな可愛い女の子の頼みを断るだなんて、タカシはホモに違いない。……ネットに書き込んでやれ。かちかち」
「やめて俺の個人情報ホモスレに流さないでぇぇぇぇ!」
 そんな感じで脅迫に屈したので、とある休日、ちなみを連れて近所の山へ紅葉狩りへ来た。
「おお! こいつぁすごい」
 山は色鮮やかな赤に染まっており、興味がないと言っていた俺でさえ心躍る光景だった。
「…………」
 ちなみに至っては実際に踊る始末。ちょっと離れよう。
「……そこ。他人のフリするな」
「電波を受信してる邪魔してはいけないと思い」
「…………」
「痛い」
 無言で頬を引っ張られた。
「……全く。タカシはいつ何時でも失礼だ」
「いきなり踊る奴から離れるのは、危険回避の観点から見ても問題ないと思うのですが」
「…………」
「すいません」
「……まあ、いい。……もみじが綺麗だから、許してやる」
 落ちてきた葉っぱを手に取り、珍しく殊勝な様子でちなみがつぶやく。
「ふむ。ちなみ」
「?」
 こいこいと手招きすると、ちなみはてこてこ小走りに寄って来た。そして、軽く首をかしげて何か用か問う。
「いや、特に用があるというわけじゃないのだけど」
 そう言いながら、ちなみの手をきゅっと握る。
「!!?」
「あー、その。悔しいことに可愛かったので、手を握りたく」
「……う、うぅ、えと。……あ、え、えと、あの、……犯すの?」
 とりあえずはたく。
「むー」
 ちなみは両手を頭にあて、不満そうにほっぺを膨らませた。
「むーじゃねえ! 超いい感じの雰囲気をこの上なく粉砕しくさりやがって!」
「……雰囲気に耐えられなかった」
 無表情に頭をさすってるちなみを視界に収めながら、深くため息を吐く。折角人が頑張ったってのに……まあ、ちなみらしいと言ったららしいが。
「……怒った?」
「残念ながら、こういった事態に慣れてるので怒ってない」
「……M?」
「殴る」
「きゃー」
 わざとらしい悲鳴をあげながら、ちなみはちょこまか走って俺から逃げた。落ちる紅葉がちなみを隠すその景色は、さながら一枚の絵画のようだった。
「……? 追いかけないの?」
「あ、ああ。どうやって処刑するか考えてた」
 見とれていた、なんて死んでも言いたくないので、適当な言い訳を口にする。
「……まあ、見とれるのも仕方がない」
 なんで見抜かれてますかコンチクショウ。羞恥に顔が赤くなるのを感じる。
「……ふふ。私に勝つだなんて100m早い」
「単位がおかしい!」
「……つまり、100m競争をして、私より速かったら、ちゅー?」
「なんだその適当な話は、と言いたいところだが、その提案には乗らざるをえない!」
「……いかん、犯される」
「しねぇよ!」
 こちらに戻ってきたちなみをはたく。
「……やれやれ、タカシは暴力的だ。……将来は暴力団の組員になるに違いない」
「その時はお前が止めてくれよ」
 少し乱暴にちなみの頭をわしわしなでる。
「……一回100万円で止めてやる」
「暴力団よりあくどいな」
「……こんな可愛い女の子を捕まえてあくどいなんて、タカシはやっぱり組員になるに違いない」
 薄く笑うちなみと手を繋ぎ、その日はゆっくり山を散策した。

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