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2019年10月15日
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【ツンデレと紅葉狩り】

2010年01月24日
「……聞いた話によると、この地球という星には紅葉狩りなる珍妙な行事があるとか」
「はぁ。まあ、ありますが、あなたも地球人だったように記憶してますが」
「……連れてけ」
「そんな枯れた趣味はないのでお断りします」
「……こんな可愛い女の子の頼みを断るだなんて、タカシはホモに違いない。……ネットに書き込んでやれ。かちかち」
「やめて俺の個人情報ホモスレに流さないでぇぇぇぇ!」
 そんな感じで脅迫に屈したので、とある休日、ちなみを連れて近所の山へ紅葉狩りへ来た。
「おお! こいつぁすごい」
 山は色鮮やかな赤に染まっており、興味がないと言っていた俺でさえ心躍る光景だった。
「…………」
 ちなみに至っては実際に踊る始末。ちょっと離れよう。
「……そこ。他人のフリするな」
「電波を受信してる邪魔してはいけないと思い」
「…………」
「痛い」
 無言で頬を引っ張られた。
「……全く。タカシはいつ何時でも失礼だ」
「いきなり踊る奴から離れるのは、危険回避の観点から見ても問題ないと思うのですが」
「…………」
「すいません」
「……まあ、いい。……もみじが綺麗だから、許してやる」
 落ちてきた葉っぱを手に取り、珍しく殊勝な様子でちなみがつぶやく。
「ふむ。ちなみ」
「?」
 こいこいと手招きすると、ちなみはてこてこ小走りに寄って来た。そして、軽く首をかしげて何か用か問う。
「いや、特に用があるというわけじゃないのだけど」
 そう言いながら、ちなみの手をきゅっと握る。
「!!?」
「あー、その。悔しいことに可愛かったので、手を握りたく」
「……う、うぅ、えと。……あ、え、えと、あの、……犯すの?」
 とりあえずはたく。
「むー」
 ちなみは両手を頭にあて、不満そうにほっぺを膨らませた。
「むーじゃねえ! 超いい感じの雰囲気をこの上なく粉砕しくさりやがって!」
「……雰囲気に耐えられなかった」
 無表情に頭をさすってるちなみを視界に収めながら、深くため息を吐く。折角人が頑張ったってのに……まあ、ちなみらしいと言ったららしいが。
「……怒った?」
「残念ながら、こういった事態に慣れてるので怒ってない」
「……M?」
「殴る」
「きゃー」
 わざとらしい悲鳴をあげながら、ちなみはちょこまか走って俺から逃げた。落ちる紅葉がちなみを隠すその景色は、さながら一枚の絵画のようだった。
「……? 追いかけないの?」
「あ、ああ。どうやって処刑するか考えてた」
 見とれていた、なんて死んでも言いたくないので、適当な言い訳を口にする。
「……まあ、見とれるのも仕方がない」
 なんで見抜かれてますかコンチクショウ。羞恥に顔が赤くなるのを感じる。
「……ふふ。私に勝つだなんて100m早い」
「単位がおかしい!」
「……つまり、100m競争をして、私より速かったら、ちゅー?」
「なんだその適当な話は、と言いたいところだが、その提案には乗らざるをえない!」
「……いかん、犯される」
「しねぇよ!」
 こちらに戻ってきたちなみをはたく。
「……やれやれ、タカシは暴力的だ。……将来は暴力団の組員になるに違いない」
「その時はお前が止めてくれよ」
 少し乱暴にちなみの頭をわしわしなでる。
「……一回100万円で止めてやる」
「暴力団よりあくどいな」
「……こんな可愛い女の子を捕まえてあくどいなんて、タカシはやっぱり組員になるに違いない」
 薄く笑うちなみと手を繋ぎ、その日はゆっくり山を散策した。

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