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2026年03月19日
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【ツンデレにメガネを取られたら】
2010年03月04日
朝の教室。知り合いはまだ誰も登校していなかったので、窓の外をぼーっと見てたら急に視界がぼやけた。
「急激な視力の低下だと!? 畜生、これではエロゲやエロ漫画やエロビデオが見れない! 生きる意味の90%が消失したと言っても過言ではないぞ!」
「タカシさぁ、そういうことあんまり人前で言わない方がいいよ。そのうち捕まるよ?」
わたわたしてる俺の背後で、聞き覚えのある声がした。
「その舌ったらずで馬鹿っぽい声は……近所のポチだな?」
「ポチってわんわんじゃん! わんわんは喋らないっ! ボク超喋ってる!」
「お手」
後ろを向いて手を差し出す。
「お手らないよっ! 人だよ、人!」
「冗談だよ、梓。いーからメガネ返せ」
梓がいると思われる人影に手を出す。手の平にわずかな膨らみが触れた。
「うひゃあっ!? どどどっ、どこ触ってんだよ!」
手をはねのけられた。その弾みに梓がメガネを落としたようで、軽い音が響いた。適当に探ってメガネを拾い、つける。真っ赤な顔をして胸を覆っている梓が視界に映った。
「近視のため、裸眼だと何がなにやらよく分からない、という免罪符を持っているため、多少は乳を揉んでも構わないだろう、という考えからの行為じゃないか?」
「超構うよっ! タカシのえっち変態貧乳まにあ!」
「もちろん貧乳が一番好きだけど、巨乳も好きですよ? あ、もちろん普通のおっぱいも。言うなれば、世界にあまねく乳全てが好きです。あ、人の乳に限りますが」
「うるさいっ! 言っとくけどね、これセクハラだかんね! 警察の人に言ったら、タカシ捕まるんだぞ?」
「先に俺のメガネを取ったお前が悪い。メガネを取らなければ、お前も貧相な乳を触られずに済んだ」
「貧相言うなっ! まったくもう……。ところでさ、タカシってメガネないと結構見れるよね。コンタクトにしないの?」
「コンタクトつけると眼球から緑色の汁が出るんだ」
「それ明らかにヤバい病気だよっ! ……あれ、あれれれ、ひょっとして、つけるの怖いの?」
「怖くない」
顔を逸らす。逸らした先に嬉しそうな顔をした梓がやってきた。
「怖いんだろ?」
「全然」
再び逸らす。またしてもにやにや顔の梓が現れた。
「あは。タカシってば、実は怖がりなんだね。かっこわるー♪」
「……ことりばこ」
「ぎにゃーっ!?」
その言葉を聞いただけで、梓は両耳を塞いでその場に座り込んだ。以前、とあるサイトで見たものを臨場感たっぷりに聞かせたのがトラウマになったようだ。
「ふふん。俺に勝つなぞ100年早い!」
「あーあーあー聞こえない聞こえない聞こえないー」
人がせっかく勝ち誇ってるというのに、梓ときたら両耳を塞いだまま大声でわめくばかり。これはこれで楽しい光景だけど、教室の皆がうるさそうにこっちを見てるので、どうにかしよう。
梓の両手を持ち、力任せに耳から離す。
「あぅあぅあぅ……」
恐怖のためか混乱のためか、梓の目はぐるぐるしてた。ちょっと面白い。
「はいはい、怖くないからなー。あんなの嘘っぱちの作り話だからなー」
「ほ、ホントに……?」
「…………。もちろん!」
「即答しろ、ばかっ! やっぱ実話なんだろっ! 寝る時にあの怖い話思い出しちゃったらどうすんだよっ! 怖くて寝れないじゃんかっ!」
「寝るのが怖ければ、ケーキを食べればいいじゃない」
「アントワネっても解決しないっ! 責任取ってどうにかしろよっ!」
「うるさいなぁ……じゃあ、もっと怖い話をして、ことりばこなんて大した事ないぜーって感じにすれば」
「超却下だようっ!」
まだ話してないのに、もう梓は涙目になっていた。
「今から数ヶ月前の話なんだけどさ」
「却下しただろ! 話すなばかっ!」
梓は俺の唇をむぎゅっと掴んだ。アヒルみたいな口になってしまい、喋れない。
「ふー。……怖い話しないなら、離してあげるよ」
アヒル状態は少々恥ずかしいので、コクコク頷く。ようやっと梓は手を離してくれた。
「ふぅ。で、だな。この学校は創立が結構古いだろ?」
「話すなって言ってるだろっ!」
「わーったよ。もう怖い話はしない」
本気で泣きそうになってるので、そろそろやめておく。
「うー……タカシ、すぐボクにいじわるするから嫌いだよ」
「俺はトマトが嫌いだな」
「誰も食べ物の好き嫌いの話なんてしてないよっ!」
「でもケチャップは平気。なんでだろうな?」
「知んないよっ! ううう……もう、ホントにどうしよう。今日寝れないよ……」
「はぁ……ま、俺にも責任の一端があるし、今日は寝るまで電話で愉快な話をしてやるよ」
「えっ、ホントに!?」
よほど怖かったのか、そう言った途端、梓は顔を輝かせた。
「ネットで調べまくっておくから、覚悟しろよ?」
「うん、うん! あはっ、よかったあ」
「猿夢に、錆だらけのドライバー、あと何があったかな……」
喜びに満ちていた梓が停止した。
「……なんか、怖い響きなんだけど」
「寝る前に電話するだなんて、ちょっと恋人同士みたいで照れるな。ははははは」
「誤魔化すなよっ! アレだろ、どーせ怖い話すんだろっ! またボクをいじめる気だろっ!」
「照れ隠しに、ついいじめちゃうんだ。恋愛経験の少なさが露呈してるんだ」
「自分で言ったところで説得力皆無だよっ! いーもん、着信拒否にしておくもん!」
「じゃあお前が帰る前にお前の部屋に忍び込んでおく。で、直接話す」
「それ不法侵入だよ!?」
「お前のおばさんと顔見知りだから大丈夫。ヤッタネ!」
「ちっともヤッタネじゃないっ! こーなったらタカシが帰る前にボクが先に帰って、家に鍵かけてやる……!」
「ふっふっふ。お前の足で、俺より先に帰れるかな?」
「ふっふっふ。……無理だよっ! クラスで一、二を争うくらいボク遅いよ! どうしろって言うんだよ! もー、もー!」
梓はだだっこのように俺をぽこぽこ叩いた。
「あーもう、暴れるでない。冗談だよ、冗談。怖い話なんてしないから。なんか適当な怖くない話してやるよ」
「うー……」
ちっとも信じてない目で俺を見る。
「大丈夫だって。俺を信じろ」
梓の頭に手を置き、ぐりぐりなでる。
「あれだけ怖がらせておいて、よくそんなこと言えるね。信じるなんて無理だよ」
「信じない場合、とてもとても怖い話を仕入れておく」
「ぼぼぼボクがタカシを信じないわけないじゃん! だ、だから怖い話とか、なしだかんねっ! 絶対だかんねッ!」
「…………」
「なんとか言えよっ! なんで薄っすら笑ってるんだよお!?」
怯えまくる梓は可愛いなあ、とか思った。
「急激な視力の低下だと!? 畜生、これではエロゲやエロ漫画やエロビデオが見れない! 生きる意味の90%が消失したと言っても過言ではないぞ!」
「タカシさぁ、そういうことあんまり人前で言わない方がいいよ。そのうち捕まるよ?」
わたわたしてる俺の背後で、聞き覚えのある声がした。
「その舌ったらずで馬鹿っぽい声は……近所のポチだな?」
「ポチってわんわんじゃん! わんわんは喋らないっ! ボク超喋ってる!」
「お手」
後ろを向いて手を差し出す。
「お手らないよっ! 人だよ、人!」
「冗談だよ、梓。いーからメガネ返せ」
梓がいると思われる人影に手を出す。手の平にわずかな膨らみが触れた。
「うひゃあっ!? どどどっ、どこ触ってんだよ!」
手をはねのけられた。その弾みに梓がメガネを落としたようで、軽い音が響いた。適当に探ってメガネを拾い、つける。真っ赤な顔をして胸を覆っている梓が視界に映った。
「近視のため、裸眼だと何がなにやらよく分からない、という免罪符を持っているため、多少は乳を揉んでも構わないだろう、という考えからの行為じゃないか?」
「超構うよっ! タカシのえっち変態貧乳まにあ!」
「もちろん貧乳が一番好きだけど、巨乳も好きですよ? あ、もちろん普通のおっぱいも。言うなれば、世界にあまねく乳全てが好きです。あ、人の乳に限りますが」
「うるさいっ! 言っとくけどね、これセクハラだかんね! 警察の人に言ったら、タカシ捕まるんだぞ?」
「先に俺のメガネを取ったお前が悪い。メガネを取らなければ、お前も貧相な乳を触られずに済んだ」
「貧相言うなっ! まったくもう……。ところでさ、タカシってメガネないと結構見れるよね。コンタクトにしないの?」
「コンタクトつけると眼球から緑色の汁が出るんだ」
「それ明らかにヤバい病気だよっ! ……あれ、あれれれ、ひょっとして、つけるの怖いの?」
「怖くない」
顔を逸らす。逸らした先に嬉しそうな顔をした梓がやってきた。
「怖いんだろ?」
「全然」
再び逸らす。またしてもにやにや顔の梓が現れた。
「あは。タカシってば、実は怖がりなんだね。かっこわるー♪」
「……ことりばこ」
「ぎにゃーっ!?」
その言葉を聞いただけで、梓は両耳を塞いでその場に座り込んだ。以前、とあるサイトで見たものを臨場感たっぷりに聞かせたのがトラウマになったようだ。
「ふふん。俺に勝つなぞ100年早い!」
「あーあーあー聞こえない聞こえない聞こえないー」
人がせっかく勝ち誇ってるというのに、梓ときたら両耳を塞いだまま大声でわめくばかり。これはこれで楽しい光景だけど、教室の皆がうるさそうにこっちを見てるので、どうにかしよう。
梓の両手を持ち、力任せに耳から離す。
「あぅあぅあぅ……」
恐怖のためか混乱のためか、梓の目はぐるぐるしてた。ちょっと面白い。
「はいはい、怖くないからなー。あんなの嘘っぱちの作り話だからなー」
「ほ、ホントに……?」
「…………。もちろん!」
「即答しろ、ばかっ! やっぱ実話なんだろっ! 寝る時にあの怖い話思い出しちゃったらどうすんだよっ! 怖くて寝れないじゃんかっ!」
「寝るのが怖ければ、ケーキを食べればいいじゃない」
「アントワネっても解決しないっ! 責任取ってどうにかしろよっ!」
「うるさいなぁ……じゃあ、もっと怖い話をして、ことりばこなんて大した事ないぜーって感じにすれば」
「超却下だようっ!」
まだ話してないのに、もう梓は涙目になっていた。
「今から数ヶ月前の話なんだけどさ」
「却下しただろ! 話すなばかっ!」
梓は俺の唇をむぎゅっと掴んだ。アヒルみたいな口になってしまい、喋れない。
「ふー。……怖い話しないなら、離してあげるよ」
アヒル状態は少々恥ずかしいので、コクコク頷く。ようやっと梓は手を離してくれた。
「ふぅ。で、だな。この学校は創立が結構古いだろ?」
「話すなって言ってるだろっ!」
「わーったよ。もう怖い話はしない」
本気で泣きそうになってるので、そろそろやめておく。
「うー……タカシ、すぐボクにいじわるするから嫌いだよ」
「俺はトマトが嫌いだな」
「誰も食べ物の好き嫌いの話なんてしてないよっ!」
「でもケチャップは平気。なんでだろうな?」
「知んないよっ! ううう……もう、ホントにどうしよう。今日寝れないよ……」
「はぁ……ま、俺にも責任の一端があるし、今日は寝るまで電話で愉快な話をしてやるよ」
「えっ、ホントに!?」
よほど怖かったのか、そう言った途端、梓は顔を輝かせた。
「ネットで調べまくっておくから、覚悟しろよ?」
「うん、うん! あはっ、よかったあ」
「猿夢に、錆だらけのドライバー、あと何があったかな……」
喜びに満ちていた梓が停止した。
「……なんか、怖い響きなんだけど」
「寝る前に電話するだなんて、ちょっと恋人同士みたいで照れるな。ははははは」
「誤魔化すなよっ! アレだろ、どーせ怖い話すんだろっ! またボクをいじめる気だろっ!」
「照れ隠しに、ついいじめちゃうんだ。恋愛経験の少なさが露呈してるんだ」
「自分で言ったところで説得力皆無だよっ! いーもん、着信拒否にしておくもん!」
「じゃあお前が帰る前にお前の部屋に忍び込んでおく。で、直接話す」
「それ不法侵入だよ!?」
「お前のおばさんと顔見知りだから大丈夫。ヤッタネ!」
「ちっともヤッタネじゃないっ! こーなったらタカシが帰る前にボクが先に帰って、家に鍵かけてやる……!」
「ふっふっふ。お前の足で、俺より先に帰れるかな?」
「ふっふっふ。……無理だよっ! クラスで一、二を争うくらいボク遅いよ! どうしろって言うんだよ! もー、もー!」
梓はだだっこのように俺をぽこぽこ叩いた。
「あーもう、暴れるでない。冗談だよ、冗談。怖い話なんてしないから。なんか適当な怖くない話してやるよ」
「うー……」
ちっとも信じてない目で俺を見る。
「大丈夫だって。俺を信じろ」
梓の頭に手を置き、ぐりぐりなでる。
「あれだけ怖がらせておいて、よくそんなこと言えるね。信じるなんて無理だよ」
「信じない場合、とてもとても怖い話を仕入れておく」
「ぼぼぼボクがタカシを信じないわけないじゃん! だ、だから怖い話とか、なしだかんねっ! 絶対だかんねッ!」
「…………」
「なんとか言えよっ! なんで薄っすら笑ってるんだよお!?」
怯えまくる梓は可愛いなあ、とか思った。
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【ツンデレのほっぺにクリームが付いてたので取ってあげたら】
2010年03月03日
かなみが甘いものが食べたいと言うので、近所の喫茶店にやって来た。
「何にしよっかな……チョコパフェかな、クレープもいいわね。ねータカシ、どっちがいいと思う?」
「どちらにしても贅肉の元だと思うが、クレープの方が贅肉への変換率が低い気がする。いや、カンだが」
そう答えた瞬間、おしぼりが俺の口に突き刺さった。気に食わない答えのようだ。
「お決まりになったで……そっ、それは食べ物じゃありませんっ! 手を拭くものですっ!」
注文を聞きにきたウェイトレスさんが俺の惨状を見て驚いていた。
「気にしないでいいわよ。えっと、あたしチョコパフェ。この乙女心がちっとも分かってない馬鹿には水だけでいいわよ」
「勝手に決めるねい。コーヒー頂戴」
口からおしぼりを取ってから、ウェイトレスさんに注文する。
「は、はい……少々お待ちください」
俺をちらちら見ながら、ウェイトレスさんは去って行った。
「……惚れられたか? ははっ、困ったな」
「アンタみたいな変人に惚れる奴なんて、この地球上にいないわよ」
「目の前にいますが」
「だっ、誰がアンタなんかに惚れてるってのよ! 自惚れてるんじゃないわよ!」
再び口におしぼりを入れられ困惑してると、さっきのウェイトレスさんが再びやってきた。
「ま、また食べてる……。え、えっと、チョコパフェとコーヒーになります」
テーブルの上に注文の品を置き、ウェイトレスさんはなにやら怯えながら一礼して去って行った。
「さって、食べるわよー♪」
「贅肉の元を!」
また俺の口におしぼりを入れ、かなみはパフェを一口食べた。こいつには一度、俺の口はおしぼり入れではないと教えなければならない。
「ん~! たまに食べるとやっぱおいしいわねー♪」
「……ちょっとうまそうだな。俺にも少し」
「あげないわよ」
「…………」
かなみは俺の事なんてちっとも気にせず、ぱくぱく食べ続けた。
パフェの中身が半分ほどなくなった頃だろうか、かなみのほっぺにクリームがついていることに気がついた。
「かなみ、ほっぺにクリームついてるぞ。子供みたいでかーわいい。あと、胸も子供みたいでかーわいい」
「うっさい!」
かなみはクリームがついてるのとは逆のほっぺを拭った。
「こっちだ、こっち」
手でクリームを拭い取ってやる。
「ちょっ、ちょっと! 何すんのよ!」
「クリームを拭った。俺の手で」
「分かってるわよ! そうじゃなくて……あああああ!」
拭った手がべたべたするので舐め取ろうとしたら、かなみがとてもうるさくなった。
「なっ、ななななな、何してんのよアンタ!」
「あー……指の掃除?」
「そっ、そうやって舐めたりしたら、その……、間接キスになるじゃない! ばかばか!」
「気にするな」
「するわよっ! なんでアンタみたいなのとそんなのしなきゃいけないのよ!」
「うーむ……む、名案が浮かんだ! 俺が舐めると間接キスになるので、かなみが舐めてくれれば間接キスにならない!」
言っておいてなんだが、よりやばいような気がする。
「そっ、そうね。……ん?」
かなみもおかしいと思っているようだが、考える前に行動させてしまおう。ほら、指ちゅぱされたいし!
「ほら早くほら早くほら早く」
「わ、分かったわよ」
俺の言葉に急かされるように、かなみは小さく口を開けて俺の指を咥えた。
「ん……」
舌先でちろちろとクリームを舐め取っているようだ。くすぐったくて、なんだかとても気持ちがいい。
「かなみ、なんかえろい」
「ん……え、えろくなんてないわよ。普通よ、普通」
喋るために出した指をもう一度口に含み、かなみは目をつむって俺の指をしゃぶった。
「あむ……ちゅ、ちゅちゅ……れろ」
舌がまるで別の生き物のように俺の指を蹂躙する。指の上から下まで、順番にゆっくりと舐め回される。ぞくぞくした刺激が背骨を駆け下りた。
「ちゅー……ちゅ。……はい、綺麗になったわよ」
最後に一度大きく吸い込み、かなみは俺の指から口を離した。一筋の涎が指と口とを繋いでいた。
「…………」
「な、何よ。何ぼーっとあたしの口見てんのよ」
「かなみはえろいなあ」
「だから、えろくないって言ってるでしょっ! ……ま、とにかくこれで間接キスはなくなったからいいわ」
「あむ」
「っきゃーーーーっ!!! あ、あ、あ、アンタ! 何してんのよっ!」
おもむろに指を咥えたら、かなみが奇声をあげた。
「へふひ(別に)」
「別に、じゃないっ! なんであたしが口にした指をしゃぶってんのよ! あたしが舐めた意味ないじゃない! こら、口から離しなさい!」
「なんか甘いような気がする」
「いらんこと言うなッッ!!!」
とても怒られた。
「あと、指をキレイにするには別に舐める必要はなく、おしぼりか何かで拭けばよかったと思う」
「あ……アンタ、気づいてたならもっと早く言いなさいッ! アンタが急かすから、気づかなかったじゃないのっ! この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
「計算の内です」
「絶対殺すっ!」
ものすごく怒られた。
さんざっぱら怒られ殴られた後、会計をするためレジに向かう。
「アンタ、あれだけのことしたんだから、ここ奢りなさいよね」
「断るとひどい目に遭うような気がするので、払います」
「当ったり前じゃない」
奢りになった途端、かなみの機嫌が目に見えてよくなった。
レジには、俺たちに接客してくれたウェイトレスさんがいた。何か俺らを見てぼーっとしてるが……。
「はふー……近頃のカップルはすごいですねえ。お姉さん、ちょっとカルチャーショックを受けましたよ」
「カップルじゃないわよっ! ただの友達よ、友達!」
「友達だけど、指ちゅぱをする関係です」
いらんことを言ったので、また殴られた。
「あはは……あ、1000円になります」
お姉さんに1000円札を渡し、外に出る。
「いい? 今日のこと、誰にも言ったらダメだからね」
外に出た途端、かなみが俺にそう言ってきた。
「今日のこと、というと、かなみが突然俺に指ちゅぱしてきたことか?」
「言うなって言ってるでしょうがッ!」
俺を叱りつけて、かなみは小さく咳払いをした。
「そ、その、……言わないならさ、またやってあげるから。……その、指ちゅぱっての」
足を地面にぐりぐり擦りつけながら、かなみは恥ずかしそうに言った。
「絶対に言わない! 墓まで持って行く! なんなら念書も書く!」
「そ、そこまでやらなくていいけど……なに、そんなよかったの?」
「死ぬほど。いや、まさかそこまでしてくれるとは……」
「か、勘違いしないでよ? 別にアンタがしてほしそうだからするんじゃなくて、言いふらされないためにするだけなんだから!」
「て、テンプレだーッ!」
「うっさい!」
怒られた。
「こほん。……で、その、これから……、する?」
首よもげよ、とばかりに激しく首を縦に振る。
「そ、そう。……じゃ、あたしの家、行こっか?」
恥ずかしそうな笑みを浮かべるかなみと一緒に、かなみの家へ行きました。で、色々と。
「何にしよっかな……チョコパフェかな、クレープもいいわね。ねータカシ、どっちがいいと思う?」
「どちらにしても贅肉の元だと思うが、クレープの方が贅肉への変換率が低い気がする。いや、カンだが」
そう答えた瞬間、おしぼりが俺の口に突き刺さった。気に食わない答えのようだ。
「お決まりになったで……そっ、それは食べ物じゃありませんっ! 手を拭くものですっ!」
注文を聞きにきたウェイトレスさんが俺の惨状を見て驚いていた。
「気にしないでいいわよ。えっと、あたしチョコパフェ。この乙女心がちっとも分かってない馬鹿には水だけでいいわよ」
「勝手に決めるねい。コーヒー頂戴」
口からおしぼりを取ってから、ウェイトレスさんに注文する。
「は、はい……少々お待ちください」
俺をちらちら見ながら、ウェイトレスさんは去って行った。
「……惚れられたか? ははっ、困ったな」
「アンタみたいな変人に惚れる奴なんて、この地球上にいないわよ」
「目の前にいますが」
「だっ、誰がアンタなんかに惚れてるってのよ! 自惚れてるんじゃないわよ!」
再び口におしぼりを入れられ困惑してると、さっきのウェイトレスさんが再びやってきた。
「ま、また食べてる……。え、えっと、チョコパフェとコーヒーになります」
テーブルの上に注文の品を置き、ウェイトレスさんはなにやら怯えながら一礼して去って行った。
「さって、食べるわよー♪」
「贅肉の元を!」
また俺の口におしぼりを入れ、かなみはパフェを一口食べた。こいつには一度、俺の口はおしぼり入れではないと教えなければならない。
「ん~! たまに食べるとやっぱおいしいわねー♪」
「……ちょっとうまそうだな。俺にも少し」
「あげないわよ」
「…………」
かなみは俺の事なんてちっとも気にせず、ぱくぱく食べ続けた。
パフェの中身が半分ほどなくなった頃だろうか、かなみのほっぺにクリームがついていることに気がついた。
「かなみ、ほっぺにクリームついてるぞ。子供みたいでかーわいい。あと、胸も子供みたいでかーわいい」
「うっさい!」
かなみはクリームがついてるのとは逆のほっぺを拭った。
「こっちだ、こっち」
手でクリームを拭い取ってやる。
「ちょっ、ちょっと! 何すんのよ!」
「クリームを拭った。俺の手で」
「分かってるわよ! そうじゃなくて……あああああ!」
拭った手がべたべたするので舐め取ろうとしたら、かなみがとてもうるさくなった。
「なっ、ななななな、何してんのよアンタ!」
「あー……指の掃除?」
「そっ、そうやって舐めたりしたら、その……、間接キスになるじゃない! ばかばか!」
「気にするな」
「するわよっ! なんでアンタみたいなのとそんなのしなきゃいけないのよ!」
「うーむ……む、名案が浮かんだ! 俺が舐めると間接キスになるので、かなみが舐めてくれれば間接キスにならない!」
言っておいてなんだが、よりやばいような気がする。
「そっ、そうね。……ん?」
かなみもおかしいと思っているようだが、考える前に行動させてしまおう。ほら、指ちゅぱされたいし!
「ほら早くほら早くほら早く」
「わ、分かったわよ」
俺の言葉に急かされるように、かなみは小さく口を開けて俺の指を咥えた。
「ん……」
舌先でちろちろとクリームを舐め取っているようだ。くすぐったくて、なんだかとても気持ちがいい。
「かなみ、なんかえろい」
「ん……え、えろくなんてないわよ。普通よ、普通」
喋るために出した指をもう一度口に含み、かなみは目をつむって俺の指をしゃぶった。
「あむ……ちゅ、ちゅちゅ……れろ」
舌がまるで別の生き物のように俺の指を蹂躙する。指の上から下まで、順番にゆっくりと舐め回される。ぞくぞくした刺激が背骨を駆け下りた。
「ちゅー……ちゅ。……はい、綺麗になったわよ」
最後に一度大きく吸い込み、かなみは俺の指から口を離した。一筋の涎が指と口とを繋いでいた。
「…………」
「な、何よ。何ぼーっとあたしの口見てんのよ」
「かなみはえろいなあ」
「だから、えろくないって言ってるでしょっ! ……ま、とにかくこれで間接キスはなくなったからいいわ」
「あむ」
「っきゃーーーーっ!!! あ、あ、あ、アンタ! 何してんのよっ!」
おもむろに指を咥えたら、かなみが奇声をあげた。
「へふひ(別に)」
「別に、じゃないっ! なんであたしが口にした指をしゃぶってんのよ! あたしが舐めた意味ないじゃない! こら、口から離しなさい!」
「なんか甘いような気がする」
「いらんこと言うなッッ!!!」
とても怒られた。
「あと、指をキレイにするには別に舐める必要はなく、おしぼりか何かで拭けばよかったと思う」
「あ……アンタ、気づいてたならもっと早く言いなさいッ! アンタが急かすから、気づかなかったじゃないのっ! この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
「計算の内です」
「絶対殺すっ!」
ものすごく怒られた。
さんざっぱら怒られ殴られた後、会計をするためレジに向かう。
「アンタ、あれだけのことしたんだから、ここ奢りなさいよね」
「断るとひどい目に遭うような気がするので、払います」
「当ったり前じゃない」
奢りになった途端、かなみの機嫌が目に見えてよくなった。
レジには、俺たちに接客してくれたウェイトレスさんがいた。何か俺らを見てぼーっとしてるが……。
「はふー……近頃のカップルはすごいですねえ。お姉さん、ちょっとカルチャーショックを受けましたよ」
「カップルじゃないわよっ! ただの友達よ、友達!」
「友達だけど、指ちゅぱをする関係です」
いらんことを言ったので、また殴られた。
「あはは……あ、1000円になります」
お姉さんに1000円札を渡し、外に出る。
「いい? 今日のこと、誰にも言ったらダメだからね」
外に出た途端、かなみが俺にそう言ってきた。
「今日のこと、というと、かなみが突然俺に指ちゅぱしてきたことか?」
「言うなって言ってるでしょうがッ!」
俺を叱りつけて、かなみは小さく咳払いをした。
「そ、その、……言わないならさ、またやってあげるから。……その、指ちゅぱっての」
足を地面にぐりぐり擦りつけながら、かなみは恥ずかしそうに言った。
「絶対に言わない! 墓まで持って行く! なんなら念書も書く!」
「そ、そこまでやらなくていいけど……なに、そんなよかったの?」
「死ぬほど。いや、まさかそこまでしてくれるとは……」
「か、勘違いしないでよ? 別にアンタがしてほしそうだからするんじゃなくて、言いふらされないためにするだけなんだから!」
「て、テンプレだーッ!」
「うっさい!」
怒られた。
「こほん。……で、その、これから……、する?」
首よもげよ、とばかりに激しく首を縦に振る。
「そ、そう。……じゃ、あたしの家、行こっか?」
恥ずかしそうな笑みを浮かべるかなみと一緒に、かなみの家へ行きました。で、色々と。
【ツンデレの入ってる風呂に入ったら】
2010年03月03日
かなみと一緒に帰ってる最中、突然の雨に見舞われた。どうにか俺の家に辿り着いたが、二人ともビショビショになってしまったので、かなみに風呂を勧めた。
「覗いたら殺すからね」
それだけ言って、かなみは風呂に入っていった。ふむ、覗くとダメなのか。
「ということで、一緒に入ってみた!」
「っきゃーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
タオルを巻いて風呂場に入ると、かなみは浴槽の中に体を隠して絶叫した。
「どうだこのトンチ! 覗くことに関しては釘を刺されたが、共に風呂に入る事に関してはノータッチだったので罰なし! 恐ろしい……自らの頭脳に戦慄すら覚える!」
「な、な、な、なに考えてんのよ! ダメに決まってるでしょ! いいから出てけっ!」
かなみは顔を真っ赤にして縮こまった。残念なことに風呂に濁り系の入浴剤が入っているため、かなみの幼くも男を惹きつける淫靡な肢体(予想)がまるで見えない。
「せっかくのお風呂イベントなのに何も見えないだなんて……生きる意味すら見失いかねん!」
「勝手に変なイベント発生さすなっ! もーっ、なんでもいいから出てけーっ!」
折角意を決して入ったというのに、このまま出てしまったらつまらない。せめて乳の一つでも拝まなければ、このリビドーを発散することはできないだろう。
「ということで、ちょっと俺の入る場所を空けてくれ」
「なっ、なんで普通に入ろうとしてるのよっ! 出ていきなさいっ! 入ったら殺すわよ!」
「俺に風邪を引けと言うのか」
「だからってなんで一緒に入るって結論になるのよっ! アンタが出て行ったらあたしもすぐ出るから、ちょっと待ってなさい!」
「うーん、急に日本語が分からなくなった」
「メチャメチャ喋ってるじゃないっ! こっ、こら、入るなって言ってるのに!」
阿呆のフリをしながら、無理矢理かなみのいる浴槽に身を沈める。
「あー、いい湯だ」
「何を落ち着いてんのよっ!? 出てけ出てけ出てけーっ!」
「どうしてもダメか?」
得意の子犬っぽい目で哀れっぽく頼んでみる。
「うっ……」
「俺、この銭湯が終わったら、故郷の恋人と結婚するんだ……」
「それ死亡フラグ! あと戦闘違いよっ! あーもう、なんかどうでもいいわ……」
面倒くさくなったのか、かなみはため息をつきながら俺が風呂に入るのを認めてくれた。
「でもね! 絶っっっ対、ここからこっちに来たらダメだからね! 絶対よ!」
かなみは水面の真ん中に境界線を引き、俺を牽制した。
「もうちょっと腕を上げてくれるとおっぱいが見えそうなので、非常に助かります」
首を絞められた。もうちょっとで死ぬという所で、解放される。
「げほっ、げほっ……うう、丁寧に言ったのに」
「丁寧に言われたからって見せる馬鹿がいるわけないでしょっ!」
非常に残念だが、これ以上言うと本当に殺されかねないので我慢しよう。それはそれとして、水中でかなみの腕や体が当たるので、とても嬉しい。
「……ねぇタカシ、もうちょっとそっちに行きなさいよ。アンタの腕が当たって気持ち悪いんだけど」
「これ以上向こうへ行くと、俺の体が“かべのなかにいる”になるのだが」
「ああもうっ、狭い狭いせーまーいっ! アンタ、早く出なさいよ! あたしと一緒に入って満足したでしょ!」
「まだ満足とは程遠い。あと2時間はこうしていたい」
「いいから出なさいっ!」
かなみが俺をぎゅうぎゅう壁際に押す。
「うぐぐ、かなみが俺を“かべのなかにいる”状態にしようとする! 負けん、負けるものか! そう、これは聖戦なのだ!」
これ以上押されると潰されるてしまうので、こちらもかなみ方向に体重をかけて拮抗する。
「何を意味の分からない事を……ひゃっ!?」
かなみの手が滑り、俺に抱きつくような状態になってしまった。かなみの顔が俺の肩に触れる。
「…………」
「…………」
かなみと目が合ったまま、互いに黙る。いや、喋れない。一体この状態で何を喋れというのか。お湯の揺れる音だけしかしない。
俺に横から抱きついたまま、かなみは黙している。俺は俺で、かなみの体の柔らかさを感じるのに精一杯で、とてもじゃないが喋る余裕なんてなかった。
ところで、この腕に感じる突起の感覚は……乳首かにゃー? 衝動に耐え切れず回転するように腕を小さく動かすと、くりっとしたものが俺の腕にこすれた。
「っっっ!!!?? ななななななななな、何すんのよッッッ!!!」
今まで経験したことのない、とてもすごいパンチが俺の顔面を襲う。あまりの勢いに後頭部が壁に激突し、とてもとても痛い。死ぬかと思った。
「むっ、むむっ、胸触った! アンタ、あたしの胸触った! 触ったでしょっ!」
かなみは顔を真っ赤っ赤にして胸を隠した。
「あー……うん。触った。くりくりってしてた。最高。もう思い残すことない。むしろここで死んだらハッピーエンドになると思う」
「~~~~~~~~っ!!」
思いのままに言ったら、これ以上赤くなりはしないと思ったかなみの顔がさらに赤くなった。
「こっ、ここっ、このっ、変態変態変態! 死んじゃえばかっ!」
「ちっちゃいおっぱい、略してちっぱい最高。もっと誇ってもいいと思う。あと、もっと触りたい。いい?」
「こっ……この、ド変態っっっ!!!」
怒りまくったかなみに浴槽に沈められた。みずのなかにいる。
「この馬鹿この馬鹿この馬鹿! なんてことするのよっ!」
「ごめんなさい。正直、熱暴走していたとしか思えません」
風呂から上がり、ソファの上に立って怒ってるかなみに土下座する。
「しかも、何この服! なんでアンタのYシャツしかないのよ!」
かなみの制服は濡れていたので今は乾燥機の中であり、その代わりに俺の大きなYシャツを着ている。袖が長すぎるのか、手が出てない。そして、下はたぶん、パンツだけ。裾が長くて見えないけど。
「裸Yシャツは男の浪漫! 最高ですよ!」
「アンタまったく反省してないでしょっ!」
「してるよ? てへ、ごめりんこ」
かなみからぷちっという何かが切れた音がしたような気がした。
「もう謝ったって許さないんだからっ! アンタ今日からあたしの奴隷! 異議は認めないわよ!」
「いや、今の日本に奴隷制度はないんだが」
「うるさいうるさいうるさいっ! なくてもアンタは奴隷なの! 奴隷がダメなら犬! そう、今日からアンタはあたしの犬!」
「ということは、かなみは猫になるんだな」
「なんでそうなるのよっ! あたしはご主人様なの! ほら、言って」
「Yシャツの裾をまくってパンツを見せてくれたら言う」
「みっ、見せるわけないでしょっ! この変態! 変態犬!」
「あ! なんかアニメで聞いたことあるセリフ! やった、やったぞ!」
「なんで喜ぶのよ!? うう……どうしたらこいつをぎゃふんと言わせられるの?」
「それはやっぱり裾をまくってパンツを見せるしかないんじゃないか?」
「だから、見せるわけないじゃないの、この馬鹿犬ーっ!」
思いっきり蹴り上げられた。大きく裾がまくり上がり、真っ白なパンツが姿を現した。
「ひ、ひゃああああ! 見た!? 見たでしょ!? 絶対見た!」
自分がやったことだというのに、かなみはその場に座り込んで俺を睨んだ。
「……よしっ、記憶完了、今日のおかずに決定!」
「わっ、忘れなさい、今見たのを忘れなさいっ! ご主人様の命令っ!」
「おっぱい見せてくれたら忘れる」
「見せるわけないじゃない、ばかーっ!」
座り込んだままヤケクソ気味に叫ぶご主人様だった。
「覗いたら殺すからね」
それだけ言って、かなみは風呂に入っていった。ふむ、覗くとダメなのか。
「ということで、一緒に入ってみた!」
「っきゃーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
タオルを巻いて風呂場に入ると、かなみは浴槽の中に体を隠して絶叫した。
「どうだこのトンチ! 覗くことに関しては釘を刺されたが、共に風呂に入る事に関してはノータッチだったので罰なし! 恐ろしい……自らの頭脳に戦慄すら覚える!」
「な、な、な、なに考えてんのよ! ダメに決まってるでしょ! いいから出てけっ!」
かなみは顔を真っ赤にして縮こまった。残念なことに風呂に濁り系の入浴剤が入っているため、かなみの幼くも男を惹きつける淫靡な肢体(予想)がまるで見えない。
「せっかくのお風呂イベントなのに何も見えないだなんて……生きる意味すら見失いかねん!」
「勝手に変なイベント発生さすなっ! もーっ、なんでもいいから出てけーっ!」
折角意を決して入ったというのに、このまま出てしまったらつまらない。せめて乳の一つでも拝まなければ、このリビドーを発散することはできないだろう。
「ということで、ちょっと俺の入る場所を空けてくれ」
「なっ、なんで普通に入ろうとしてるのよっ! 出ていきなさいっ! 入ったら殺すわよ!」
「俺に風邪を引けと言うのか」
「だからってなんで一緒に入るって結論になるのよっ! アンタが出て行ったらあたしもすぐ出るから、ちょっと待ってなさい!」
「うーん、急に日本語が分からなくなった」
「メチャメチャ喋ってるじゃないっ! こっ、こら、入るなって言ってるのに!」
阿呆のフリをしながら、無理矢理かなみのいる浴槽に身を沈める。
「あー、いい湯だ」
「何を落ち着いてんのよっ!? 出てけ出てけ出てけーっ!」
「どうしてもダメか?」
得意の子犬っぽい目で哀れっぽく頼んでみる。
「うっ……」
「俺、この銭湯が終わったら、故郷の恋人と結婚するんだ……」
「それ死亡フラグ! あと戦闘違いよっ! あーもう、なんかどうでもいいわ……」
面倒くさくなったのか、かなみはため息をつきながら俺が風呂に入るのを認めてくれた。
「でもね! 絶っっっ対、ここからこっちに来たらダメだからね! 絶対よ!」
かなみは水面の真ん中に境界線を引き、俺を牽制した。
「もうちょっと腕を上げてくれるとおっぱいが見えそうなので、非常に助かります」
首を絞められた。もうちょっとで死ぬという所で、解放される。
「げほっ、げほっ……うう、丁寧に言ったのに」
「丁寧に言われたからって見せる馬鹿がいるわけないでしょっ!」
非常に残念だが、これ以上言うと本当に殺されかねないので我慢しよう。それはそれとして、水中でかなみの腕や体が当たるので、とても嬉しい。
「……ねぇタカシ、もうちょっとそっちに行きなさいよ。アンタの腕が当たって気持ち悪いんだけど」
「これ以上向こうへ行くと、俺の体が“かべのなかにいる”になるのだが」
「ああもうっ、狭い狭いせーまーいっ! アンタ、早く出なさいよ! あたしと一緒に入って満足したでしょ!」
「まだ満足とは程遠い。あと2時間はこうしていたい」
「いいから出なさいっ!」
かなみが俺をぎゅうぎゅう壁際に押す。
「うぐぐ、かなみが俺を“かべのなかにいる”状態にしようとする! 負けん、負けるものか! そう、これは聖戦なのだ!」
これ以上押されると潰されるてしまうので、こちらもかなみ方向に体重をかけて拮抗する。
「何を意味の分からない事を……ひゃっ!?」
かなみの手が滑り、俺に抱きつくような状態になってしまった。かなみの顔が俺の肩に触れる。
「…………」
「…………」
かなみと目が合ったまま、互いに黙る。いや、喋れない。一体この状態で何を喋れというのか。お湯の揺れる音だけしかしない。
俺に横から抱きついたまま、かなみは黙している。俺は俺で、かなみの体の柔らかさを感じるのに精一杯で、とてもじゃないが喋る余裕なんてなかった。
ところで、この腕に感じる突起の感覚は……乳首かにゃー? 衝動に耐え切れず回転するように腕を小さく動かすと、くりっとしたものが俺の腕にこすれた。
「っっっ!!!?? ななななななななな、何すんのよッッッ!!!」
今まで経験したことのない、とてもすごいパンチが俺の顔面を襲う。あまりの勢いに後頭部が壁に激突し、とてもとても痛い。死ぬかと思った。
「むっ、むむっ、胸触った! アンタ、あたしの胸触った! 触ったでしょっ!」
かなみは顔を真っ赤っ赤にして胸を隠した。
「あー……うん。触った。くりくりってしてた。最高。もう思い残すことない。むしろここで死んだらハッピーエンドになると思う」
「~~~~~~~~っ!!」
思いのままに言ったら、これ以上赤くなりはしないと思ったかなみの顔がさらに赤くなった。
「こっ、ここっ、このっ、変態変態変態! 死んじゃえばかっ!」
「ちっちゃいおっぱい、略してちっぱい最高。もっと誇ってもいいと思う。あと、もっと触りたい。いい?」
「こっ……この、ド変態っっっ!!!」
怒りまくったかなみに浴槽に沈められた。みずのなかにいる。
「この馬鹿この馬鹿この馬鹿! なんてことするのよっ!」
「ごめんなさい。正直、熱暴走していたとしか思えません」
風呂から上がり、ソファの上に立って怒ってるかなみに土下座する。
「しかも、何この服! なんでアンタのYシャツしかないのよ!」
かなみの制服は濡れていたので今は乾燥機の中であり、その代わりに俺の大きなYシャツを着ている。袖が長すぎるのか、手が出てない。そして、下はたぶん、パンツだけ。裾が長くて見えないけど。
「裸Yシャツは男の浪漫! 最高ですよ!」
「アンタまったく反省してないでしょっ!」
「してるよ? てへ、ごめりんこ」
かなみからぷちっという何かが切れた音がしたような気がした。
「もう謝ったって許さないんだからっ! アンタ今日からあたしの奴隷! 異議は認めないわよ!」
「いや、今の日本に奴隷制度はないんだが」
「うるさいうるさいうるさいっ! なくてもアンタは奴隷なの! 奴隷がダメなら犬! そう、今日からアンタはあたしの犬!」
「ということは、かなみは猫になるんだな」
「なんでそうなるのよっ! あたしはご主人様なの! ほら、言って」
「Yシャツの裾をまくってパンツを見せてくれたら言う」
「みっ、見せるわけないでしょっ! この変態! 変態犬!」
「あ! なんかアニメで聞いたことあるセリフ! やった、やったぞ!」
「なんで喜ぶのよ!? うう……どうしたらこいつをぎゃふんと言わせられるの?」
「それはやっぱり裾をまくってパンツを見せるしかないんじゃないか?」
「だから、見せるわけないじゃないの、この馬鹿犬ーっ!」
思いっきり蹴り上げられた。大きく裾がまくり上がり、真っ白なパンツが姿を現した。
「ひ、ひゃああああ! 見た!? 見たでしょ!? 絶対見た!」
自分がやったことだというのに、かなみはその場に座り込んで俺を睨んだ。
「……よしっ、記憶完了、今日のおかずに決定!」
「わっ、忘れなさい、今見たのを忘れなさいっ! ご主人様の命令っ!」
「おっぱい見せてくれたら忘れる」
「見せるわけないじゃない、ばかーっ!」
座り込んだままヤケクソ気味に叫ぶご主人様だった。
【神社の境内の床の下+かなみ+料理】
2010年03月03日
かなみから神社に来いと連絡があったので、来た。だが、当のかなみはまだ来ていないようだった。仕方ないので待つ事にしよう。
……暇だ。ぼやーっと空を眺めるのも飽きたので、神社の床下に潜んでみる事にする。うむ、見事にクモの巣まみれで非常に不快。
顔にかかるクモの巣が嫌だなあと思いながら待っていると、かなみがやって来た。手に何か小さな包みを持っている。
「あれっ? タカシの奴、いないじゃない。……あれだけ遅れるなって言ったのに、あの馬鹿」
かなみは境内を見回したが、俺を見つけられないでいるようだった。普通、床下なんかにいるとは思わないわな。
「遅れた張本人が何を言ってる」
「えっ、いたの……っきゃあああああ!!!」
虫か何かのように四つ足で床下からずるりと這い出ると、かなみが悲鳴をあげた。
「おっ、おばけおばけおばけ! 来るな来るな来るなーっ!」
かなみは俺を幽霊か何かと勘違いしているようだ。確かに全身クモの巣まみれなので、そう見えなくもないかもしれない。よし、調子に乗ろう。
「食ーべちゃーうぞー」
「うええええんっ! あたしおいしくないよーっ!」
かなみが面白くなった。
「うえっへっへっへ、俺様は貧乳八重歯ツインテールが大好物なーのだー。貴様はその全てに当てはまってるので、是非食べちゃいたいのだー」
「……タカシ? あんた幽霊じゃなくてタカシでしょ!」
どうしたことか、ばれてしまった。仕方ないので体についたクモの巣を取っ払い、人間状態に戻る。
「ということで、貧乳八重歯ツインテールが大好物のタカシですこんにちは」
「うっさい! それより、なんでそんな全身クモの巣まみれなのよ! “神社で大人しく待ってなさい”って言ったでしょ!」
「“但し、全身にクモの巣をつけることは禁ずる”とは言われなかったし」
「普通しないの! 高校生にもなってたら! なんでこんなこと言わなきゃいけないのよ……」
叱られた。次からは別の何かをつけることにしよう。カマキリの巣とか。
「……言っとくけど、別の何かをつけてもダメだからね」
俺の行動は読まれがちだった。
「で、何の用なんだ? 俺をクモの巣まみれにするくらいなんだから、さぞ大層な用件だろうな」
「んなこと頼んでないっ! ……こほんっ」
かなみは咳払いして、俺に向き直った。
「べ、別に深い意味はないんだけどね? そ、その、アンタが“料理ができないかなみが嫁になんていけるわけねー”とか言って馬鹿にするから、ちゃんと料理できるって証明するために、その……これっ!」
かなみは手に持っていた小さな包みを俺に押し付けた。
「爆弾だと!? 俺はそこまで恨まれていたのか!」
「違うッ! ……サンドイッチよ。食べなさい」
「え、あ、うん」
動揺しつつも、包みを解く。中には、小さなサンドイッチが三つ入っていた。
「卵とハムとレタスよ。ちゃっちゃと食べて感想言いなさい」
どこか怒ったように、かなみは明後日の方向を見ながらそう言った。
「あ、えっと、いただきます」
状況についていけないながらも、とりあえず一口かじる。口の中にタマゴサンドの味が広がった。
「おいしい」
「そ、そう。……じゃなくてっ! おいしいじゃ分かんないわよ! もっとテレビみたいに言いなさいよっ!」
「テレビあんまり見ないんだ」
「いいから言いなさいっ!」
「ニワトリになるはずだった生命を焼き殺し、それを醗酵、すなわち腐らせたモノで挟んだ食品はおいしいなあ」
頑張って言ったのに、かなみがとても嫌な顔をした。
「……アンタに期待したあたしが馬鹿だったわ」
「いや、でもおいしいおいしい。なんだ、料理上手じゃん」
「そ、そう? ま、まあ、あたしにかかればこんなのラクショーよ」
おだてられ、かなみは目に見えて機嫌がよくなった。
「……で、そ、その、……嫁に欲しくなったり、した? あ、そ、その、お嫁さんはいきすぎよね。よくても、彼女……とか」
かなみは両の指をちょんちょんと合わせながら、上目遣いに俺を見た。
「彼女はともかく、家政婦──否、メイドさんとして雇いたくなった。可愛いよね、メイドさん。性的なご奉仕とかしてほしい」
おや、何か選択肢を誤ったようで。かなみの体が小刻みに震えてますよ。殴られるのかな?
「人が折角頑張ったのに……メイドになれですってえ! しかも性的なご奉仕!? この変態がーっ!」
「いやいやいや! 性的と言っても、そんな酷いことしませんよ! 挿れたりしないから! ……いや、やっぱ挿れたい! どうですか、合体しませんか?」
途中で性欲の野郎が暴走したせいで、ものすごく殴られた。
「……へんたいやろう」
「すいません。返す言葉も御座いません。どうかしてました」
性欲の暴走が過ぎ去った後、ものすごく不機嫌になったかなみをどうにかするべく必死に謝る。
「まったく……なんでアンタってばそんなエッチなのよ」
「好きな人とならエッチしたくもな……なんでもないなんでもないなんでもない! 忘れろ!」
思わず漏れた俺の失言に、かなみの顔がものすげー赤くなった。
「そ、そうなんだ。ふーん。アンタが、あたしのことを。……あーあ、最悪。こんなのに好かれるなんてねぇ」
かなみは顔がにやけるのを必死で止めているようだったが、成功には及ばなかったようだ。無論、それを指摘する勇気なんてないけど。
「ま、まあ、あたしがアンタを好きになるなんて絶対にないだろうけどね。ふっふー、残念でしたー」
「じゃあ諦めよう」
かなみの顔が「しまった」という感じになった。
「そっ、そんなすぐに諦めるのってよくないわよ? ほら、頑張ったらどうにかなったりする可能性もなきにしもあらずと言うか!」
「いや、好きになるなんて絶対無理とか言われたし。そこまで意思が固いなら、もう諦めるしか」
かなみの顔が泣きそうになった。
「よ、世の中には絶対とかないわよ? ひょっとしたら大丈夫かもしれないし……」
言葉が尻すぼみになり、かなみは黙ってしまった。……ちょっとからかいすぎたか?
「……ああもうっ! アンタ! 男だったらばしーっと告白しなさいよっ!」
軽く心配してると、かなみは突然俺の肩を掴み、無茶を言った。
「いや、既にしたようなもんだし。ふられたし」
「いいからっ! もう一回しなさいっ! 返事変わるから!」
変わるのか。ていうか、それもう答えだろ。
「明日かなみが弁当作ってくれるなら、言う可能性が出てくる」
「な、なんでアンタが上の立場なのよっ! あたしは告白される側、アンタがする側! 分かってんの!?」
「断られた。ああ、やはり嫌われているのだな。悲しいが、諦め」
「わ、分かったわよ! 作ってくるわよ! だから明日、ちゃんと告白しなさいよっ! いいわねっ!」
そう言って、かなみは偉そうにふんぞり返った。ただ、顔が真っ赤なままだったので、まるで締まらなかった。
……暇だ。ぼやーっと空を眺めるのも飽きたので、神社の床下に潜んでみる事にする。うむ、見事にクモの巣まみれで非常に不快。
顔にかかるクモの巣が嫌だなあと思いながら待っていると、かなみがやって来た。手に何か小さな包みを持っている。
「あれっ? タカシの奴、いないじゃない。……あれだけ遅れるなって言ったのに、あの馬鹿」
かなみは境内を見回したが、俺を見つけられないでいるようだった。普通、床下なんかにいるとは思わないわな。
「遅れた張本人が何を言ってる」
「えっ、いたの……っきゃあああああ!!!」
虫か何かのように四つ足で床下からずるりと這い出ると、かなみが悲鳴をあげた。
「おっ、おばけおばけおばけ! 来るな来るな来るなーっ!」
かなみは俺を幽霊か何かと勘違いしているようだ。確かに全身クモの巣まみれなので、そう見えなくもないかもしれない。よし、調子に乗ろう。
「食ーべちゃーうぞー」
「うええええんっ! あたしおいしくないよーっ!」
かなみが面白くなった。
「うえっへっへっへ、俺様は貧乳八重歯ツインテールが大好物なーのだー。貴様はその全てに当てはまってるので、是非食べちゃいたいのだー」
「……タカシ? あんた幽霊じゃなくてタカシでしょ!」
どうしたことか、ばれてしまった。仕方ないので体についたクモの巣を取っ払い、人間状態に戻る。
「ということで、貧乳八重歯ツインテールが大好物のタカシですこんにちは」
「うっさい! それより、なんでそんな全身クモの巣まみれなのよ! “神社で大人しく待ってなさい”って言ったでしょ!」
「“但し、全身にクモの巣をつけることは禁ずる”とは言われなかったし」
「普通しないの! 高校生にもなってたら! なんでこんなこと言わなきゃいけないのよ……」
叱られた。次からは別の何かをつけることにしよう。カマキリの巣とか。
「……言っとくけど、別の何かをつけてもダメだからね」
俺の行動は読まれがちだった。
「で、何の用なんだ? 俺をクモの巣まみれにするくらいなんだから、さぞ大層な用件だろうな」
「んなこと頼んでないっ! ……こほんっ」
かなみは咳払いして、俺に向き直った。
「べ、別に深い意味はないんだけどね? そ、その、アンタが“料理ができないかなみが嫁になんていけるわけねー”とか言って馬鹿にするから、ちゃんと料理できるって証明するために、その……これっ!」
かなみは手に持っていた小さな包みを俺に押し付けた。
「爆弾だと!? 俺はそこまで恨まれていたのか!」
「違うッ! ……サンドイッチよ。食べなさい」
「え、あ、うん」
動揺しつつも、包みを解く。中には、小さなサンドイッチが三つ入っていた。
「卵とハムとレタスよ。ちゃっちゃと食べて感想言いなさい」
どこか怒ったように、かなみは明後日の方向を見ながらそう言った。
「あ、えっと、いただきます」
状況についていけないながらも、とりあえず一口かじる。口の中にタマゴサンドの味が広がった。
「おいしい」
「そ、そう。……じゃなくてっ! おいしいじゃ分かんないわよ! もっとテレビみたいに言いなさいよっ!」
「テレビあんまり見ないんだ」
「いいから言いなさいっ!」
「ニワトリになるはずだった生命を焼き殺し、それを醗酵、すなわち腐らせたモノで挟んだ食品はおいしいなあ」
頑張って言ったのに、かなみがとても嫌な顔をした。
「……アンタに期待したあたしが馬鹿だったわ」
「いや、でもおいしいおいしい。なんだ、料理上手じゃん」
「そ、そう? ま、まあ、あたしにかかればこんなのラクショーよ」
おだてられ、かなみは目に見えて機嫌がよくなった。
「……で、そ、その、……嫁に欲しくなったり、した? あ、そ、その、お嫁さんはいきすぎよね。よくても、彼女……とか」
かなみは両の指をちょんちょんと合わせながら、上目遣いに俺を見た。
「彼女はともかく、家政婦──否、メイドさんとして雇いたくなった。可愛いよね、メイドさん。性的なご奉仕とかしてほしい」
おや、何か選択肢を誤ったようで。かなみの体が小刻みに震えてますよ。殴られるのかな?
「人が折角頑張ったのに……メイドになれですってえ! しかも性的なご奉仕!? この変態がーっ!」
「いやいやいや! 性的と言っても、そんな酷いことしませんよ! 挿れたりしないから! ……いや、やっぱ挿れたい! どうですか、合体しませんか?」
途中で性欲の野郎が暴走したせいで、ものすごく殴られた。
「……へんたいやろう」
「すいません。返す言葉も御座いません。どうかしてました」
性欲の暴走が過ぎ去った後、ものすごく不機嫌になったかなみをどうにかするべく必死に謝る。
「まったく……なんでアンタってばそんなエッチなのよ」
「好きな人とならエッチしたくもな……なんでもないなんでもないなんでもない! 忘れろ!」
思わず漏れた俺の失言に、かなみの顔がものすげー赤くなった。
「そ、そうなんだ。ふーん。アンタが、あたしのことを。……あーあ、最悪。こんなのに好かれるなんてねぇ」
かなみは顔がにやけるのを必死で止めているようだったが、成功には及ばなかったようだ。無論、それを指摘する勇気なんてないけど。
「ま、まあ、あたしがアンタを好きになるなんて絶対にないだろうけどね。ふっふー、残念でしたー」
「じゃあ諦めよう」
かなみの顔が「しまった」という感じになった。
「そっ、そんなすぐに諦めるのってよくないわよ? ほら、頑張ったらどうにかなったりする可能性もなきにしもあらずと言うか!」
「いや、好きになるなんて絶対無理とか言われたし。そこまで意思が固いなら、もう諦めるしか」
かなみの顔が泣きそうになった。
「よ、世の中には絶対とかないわよ? ひょっとしたら大丈夫かもしれないし……」
言葉が尻すぼみになり、かなみは黙ってしまった。……ちょっとからかいすぎたか?
「……ああもうっ! アンタ! 男だったらばしーっと告白しなさいよっ!」
軽く心配してると、かなみは突然俺の肩を掴み、無茶を言った。
「いや、既にしたようなもんだし。ふられたし」
「いいからっ! もう一回しなさいっ! 返事変わるから!」
変わるのか。ていうか、それもう答えだろ。
「明日かなみが弁当作ってくれるなら、言う可能性が出てくる」
「な、なんでアンタが上の立場なのよっ! あたしは告白される側、アンタがする側! 分かってんの!?」
「断られた。ああ、やはり嫌われているのだな。悲しいが、諦め」
「わ、分かったわよ! 作ってくるわよ! だから明日、ちゃんと告白しなさいよっ! いいわねっ!」
そう言って、かなみは偉そうにふんぞり返った。ただ、顔が真っ赤なままだったので、まるで締まらなかった。
【悪の組織の幹部なツンデレと新人ヒーローな男4】
2010年03月03日
ヒーローとはいえ、冬は寒い。
「ふっふっふ、よく来たなヒーロー。見よ、これこそが荒ぶる海の悪魔、怪人ホンマグロだ! 強い上おいしいという素晴らしい怪人だぞ! ふふん、恐れ入ったろう?」
「なんでこんなクソ寒いのに海なんかで悪事を働くか、このおばか!」
大威張りしてるみことのおでこを指でぐりぐりする。
「うああっ、ぐりぐりするなっ! くっ……なんたる屈辱だ。許さん! いけっ、怪人ホンマグロ!」
「しゃー」
おでこを押さえるみことに命じられ、怪人ホンマグロは海に飛び込み、海中をぐるぐる回った。海の中にいる奴が相手では、俺の武器(火炎放射器)じゃ効果が薄い。どうする……おや?
「ま、待て怪人ホンマグロ! どこへ行く!?」
「しゃー……」
しばらく回転した後、ホンマグロは地平線の彼方に消えました。
「…………」
みことは呆然と地平線を見つめている。どうしよう、とても気まずい。
「……ええと、今日も恐るべき相手だった!」
「戦ってない! 逃げた! なんだあいつ、折角稚魚の時から頑張って育ててやったのに! ああもうっ!」
みことは地団駄を踏んで悔しがった。割と手間をかけているのだなあ。無意味だったけど。
「……と、とにかくだ! 今日のところは勝負を預けてやる! 次こそが貴様の命日にゃーっ!?」
突然みことが猫化したのではなく、俺が背中からむぎゅーと抱きしめたため、猫っぽくなったのだろうと思う。
「ま、またかまたなのかっ!? また我をすりすりするのか!?」
「いや、今日は寒いので人肌で温まろうかと」
「我はホッカイロではないっ! ええいっ、離せ離せ離せっ!」
「ちゅーしてくれたら離す」
「誰がするかっ! いつもいつも我にすりすりしおって……我を誰だと心得ておるっ! 我こそは数万の兵を統べる悪の大幹部、みことだぞっ!」
「そんなみことも今は俺のホッカイロ。落ちるのは早いな」
「ちーがーうーっ! 落ちるとか言うなっ! ああこらっ、すりすりするなあっ!」
みことのふにふにほっぺにほおずりする。とてもやーらかくて幸せ。
「この……いい加減にしろっ!」
俺の腹に肘打ちして、みことは素早く離れた。
「ぜーっ、ぜーっ……貴様、ヒーローならばヒーローらしくちゃんとしろっ! どうしていつもいつも我にすりすりうにゃあああ!?」
「だから寒いと言ってるだろう!」
離れた距離をヒーロー力で詰め、今度はみことを前からぎゅっと抱きしめる。
「はっ、離れた、離れてたのにっ! ずるいぞ!」
「今日は戦ってないのでヒーロー力が余りまくってるんだ」
「いつも戦ってない! 火炎放射器で燃やすだけだろっ! そうだ、いい機会だから教えてやる! そもそもヒーローが戦闘するなり必殺技使うなんて」
「うーん、やっぱ寒いな。よし、帰ろう」
「ままま待て! 話を聞けっ! いやそれより、我を置いていけ! 貴様の基地なんかに連れて行かれたら、我を拷問して秘密を聞き出した後、色んな男が我に、その……色々するに違いない!」
「いや、えっちなことするのは俺だけと決めてるよ? 俺のみことに酷いことなんてさせやしない!」
「だっ、だだ誰が貴様のものかっ! 貴様なんてだいっ嫌いだっ! 離せばかーっ!」
みことは顔を真っ赤にして暴れた。
「ええい、暴れるねい。連れて行かれるのが嫌なら、代わりにやってほしいことがあるのだけど」
「ま、まさか……まさかまさか!?」
何かを察したのか、それとも経験が知らせるのだろうか、みことは声を荒げた。
「さーやってきましたイチャイチャラブタイム! 俺の大いなる性欲……げふんげふん、大いなる愛に、果たしてみことは耐えられるでしょうか?」
「性欲って言った、言ったぞ!?」
「気のせい。さて、とりあえずちゅーしましょうか」
「せんわっ! 何をさも当然のように言ってるか!」
「何だと!? こんなにちゅーしたいのにか!?」
「我はしたくないわいっ!」
なかなか俺の願望とみことの願望は合致しないようだ。
「ちぇ。非常に不満ですが、すりすりで我慢します」
「何が不満か! 我はすりすりだって嫌なのだぞ! そんな態度だと、してやらんぞ!」
「すいません、ほおずりしてください」
「まったく……最初からそう言えばいいのだ。いいか、我は貴様に強要されて嫌々するのだぞ? その辺り勘違いするなよ!」
そう強調して、みことは俺にほおずりした。もちもちした頬の触感が気持ちいい。
「んに、んに……ど、どうだ? もうよいか? もうよいな?」
「まだ。あと12時間」
「長すぎるわ! もっと常識で考えてものを言え!」
「それくらいしてほしいほど幸せなんですよ、この時間が」
「ぬ……ま、まあ我も鬼ではない。もう少しだけやってやろう」
満更でもない顔をして、みことは再び俺にほおずりをした。
「しかし、相も変わらずふにふにで、幸せすぎて死にそうですね」
「お、大げさな。……そんなによいのか?」
「いい。一生このままこうしていたい」
あまりの心地よさに、思わずみことをぎゅっと抱きしめ、自分からふにふにほっぺにすりすりする。みことはくすぐったそうに目を細めた。
「こらっ、やめよ」
「へへへっ。みことー」
感極まって、みことのほっぺをぷにっと押す。
「にゃうっ。こら、何をするか。このイタズラ坊主めが」
「あっ、便所行ったあと手洗ってなかった」
「にゃうううううーっ!!?」
みことが極めて猫っぽくなったかと思ったら、俺を思い切り突き飛ばした。
「いたたた……なんだよ、折角恋人みたいな甘々空気だったのに」
「どこに汚い手で恋人を触る奴がおるっ!」
「世界に一組くらい、そんな恋人がいてもいいと思わないか?」
「思わんっ! そ、そもそも、我と貴様は恋人でもなんでもないっ! 敵同士だっ!」
「あんなにラブ空気を出しておいて、何を言ってるかな……」
「そっ、それは貴様があんまりにも幸せそうだったから、我もついムードに飲まれて、その……」
「じゃあもう一度しましょう。ラブ空気出すから。はあっ!」
数ある特技の一つ、ヒーロー蒸気を出して周囲を霧に包む。
「な、なんだっ!?」
「ラブ空気」
「明らかに違うっ! 見えん、何も見えんぞっ!?」
「おや、確かに1m先も見えませんね。これは困った。はっはっは」
「ぬ、しかしこれは逃亡のチャンス……はっはっは、自らの技で我を逃がすとは、愚かなりヒーロー! 覚えていろ、いつか必ずぎゃふんと言わせてやるっ!」
はっはっは、という高笑いがしたかと思うと、
「みぎゃっ!」
何かにぶつかったのか、みことは愉快な声を上げた。
「おーい、大丈夫かー?」
「うっ、うるさいっ! ちょっとおでこぶつけただけだっ!」
その後も“みぎゃ”とか“ふぎゃ”とか言う声と何かにぶつかる音を出しながら、どうにか逃げれたようだった。
「ふっふっふ、よく来たなヒーロー。見よ、これこそが荒ぶる海の悪魔、怪人ホンマグロだ! 強い上おいしいという素晴らしい怪人だぞ! ふふん、恐れ入ったろう?」
「なんでこんなクソ寒いのに海なんかで悪事を働くか、このおばか!」
大威張りしてるみことのおでこを指でぐりぐりする。
「うああっ、ぐりぐりするなっ! くっ……なんたる屈辱だ。許さん! いけっ、怪人ホンマグロ!」
「しゃー」
おでこを押さえるみことに命じられ、怪人ホンマグロは海に飛び込み、海中をぐるぐる回った。海の中にいる奴が相手では、俺の武器(火炎放射器)じゃ効果が薄い。どうする……おや?
「ま、待て怪人ホンマグロ! どこへ行く!?」
「しゃー……」
しばらく回転した後、ホンマグロは地平線の彼方に消えました。
「…………」
みことは呆然と地平線を見つめている。どうしよう、とても気まずい。
「……ええと、今日も恐るべき相手だった!」
「戦ってない! 逃げた! なんだあいつ、折角稚魚の時から頑張って育ててやったのに! ああもうっ!」
みことは地団駄を踏んで悔しがった。割と手間をかけているのだなあ。無意味だったけど。
「……と、とにかくだ! 今日のところは勝負を預けてやる! 次こそが貴様の命日にゃーっ!?」
突然みことが猫化したのではなく、俺が背中からむぎゅーと抱きしめたため、猫っぽくなったのだろうと思う。
「ま、またかまたなのかっ!? また我をすりすりするのか!?」
「いや、今日は寒いので人肌で温まろうかと」
「我はホッカイロではないっ! ええいっ、離せ離せ離せっ!」
「ちゅーしてくれたら離す」
「誰がするかっ! いつもいつも我にすりすりしおって……我を誰だと心得ておるっ! 我こそは数万の兵を統べる悪の大幹部、みことだぞっ!」
「そんなみことも今は俺のホッカイロ。落ちるのは早いな」
「ちーがーうーっ! 落ちるとか言うなっ! ああこらっ、すりすりするなあっ!」
みことのふにふにほっぺにほおずりする。とてもやーらかくて幸せ。
「この……いい加減にしろっ!」
俺の腹に肘打ちして、みことは素早く離れた。
「ぜーっ、ぜーっ……貴様、ヒーローならばヒーローらしくちゃんとしろっ! どうしていつもいつも我にすりすりうにゃあああ!?」
「だから寒いと言ってるだろう!」
離れた距離をヒーロー力で詰め、今度はみことを前からぎゅっと抱きしめる。
「はっ、離れた、離れてたのにっ! ずるいぞ!」
「今日は戦ってないのでヒーロー力が余りまくってるんだ」
「いつも戦ってない! 火炎放射器で燃やすだけだろっ! そうだ、いい機会だから教えてやる! そもそもヒーローが戦闘するなり必殺技使うなんて」
「うーん、やっぱ寒いな。よし、帰ろう」
「ままま待て! 話を聞けっ! いやそれより、我を置いていけ! 貴様の基地なんかに連れて行かれたら、我を拷問して秘密を聞き出した後、色んな男が我に、その……色々するに違いない!」
「いや、えっちなことするのは俺だけと決めてるよ? 俺のみことに酷いことなんてさせやしない!」
「だっ、だだ誰が貴様のものかっ! 貴様なんてだいっ嫌いだっ! 離せばかーっ!」
みことは顔を真っ赤にして暴れた。
「ええい、暴れるねい。連れて行かれるのが嫌なら、代わりにやってほしいことがあるのだけど」
「ま、まさか……まさかまさか!?」
何かを察したのか、それとも経験が知らせるのだろうか、みことは声を荒げた。
「さーやってきましたイチャイチャラブタイム! 俺の大いなる性欲……げふんげふん、大いなる愛に、果たしてみことは耐えられるでしょうか?」
「性欲って言った、言ったぞ!?」
「気のせい。さて、とりあえずちゅーしましょうか」
「せんわっ! 何をさも当然のように言ってるか!」
「何だと!? こんなにちゅーしたいのにか!?」
「我はしたくないわいっ!」
なかなか俺の願望とみことの願望は合致しないようだ。
「ちぇ。非常に不満ですが、すりすりで我慢します」
「何が不満か! 我はすりすりだって嫌なのだぞ! そんな態度だと、してやらんぞ!」
「すいません、ほおずりしてください」
「まったく……最初からそう言えばいいのだ。いいか、我は貴様に強要されて嫌々するのだぞ? その辺り勘違いするなよ!」
そう強調して、みことは俺にほおずりした。もちもちした頬の触感が気持ちいい。
「んに、んに……ど、どうだ? もうよいか? もうよいな?」
「まだ。あと12時間」
「長すぎるわ! もっと常識で考えてものを言え!」
「それくらいしてほしいほど幸せなんですよ、この時間が」
「ぬ……ま、まあ我も鬼ではない。もう少しだけやってやろう」
満更でもない顔をして、みことは再び俺にほおずりをした。
「しかし、相も変わらずふにふにで、幸せすぎて死にそうですね」
「お、大げさな。……そんなによいのか?」
「いい。一生このままこうしていたい」
あまりの心地よさに、思わずみことをぎゅっと抱きしめ、自分からふにふにほっぺにすりすりする。みことはくすぐったそうに目を細めた。
「こらっ、やめよ」
「へへへっ。みことー」
感極まって、みことのほっぺをぷにっと押す。
「にゃうっ。こら、何をするか。このイタズラ坊主めが」
「あっ、便所行ったあと手洗ってなかった」
「にゃうううううーっ!!?」
みことが極めて猫っぽくなったかと思ったら、俺を思い切り突き飛ばした。
「いたたた……なんだよ、折角恋人みたいな甘々空気だったのに」
「どこに汚い手で恋人を触る奴がおるっ!」
「世界に一組くらい、そんな恋人がいてもいいと思わないか?」
「思わんっ! そ、そもそも、我と貴様は恋人でもなんでもないっ! 敵同士だっ!」
「あんなにラブ空気を出しておいて、何を言ってるかな……」
「そっ、それは貴様があんまりにも幸せそうだったから、我もついムードに飲まれて、その……」
「じゃあもう一度しましょう。ラブ空気出すから。はあっ!」
数ある特技の一つ、ヒーロー蒸気を出して周囲を霧に包む。
「な、なんだっ!?」
「ラブ空気」
「明らかに違うっ! 見えん、何も見えんぞっ!?」
「おや、確かに1m先も見えませんね。これは困った。はっはっは」
「ぬ、しかしこれは逃亡のチャンス……はっはっは、自らの技で我を逃がすとは、愚かなりヒーロー! 覚えていろ、いつか必ずぎゃふんと言わせてやるっ!」
はっはっは、という高笑いがしたかと思うと、
「みぎゃっ!」
何かにぶつかったのか、みことは愉快な声を上げた。
「おーい、大丈夫かー?」
「うっ、うるさいっ! ちょっとおでこぶつけただけだっ!」
その後も“みぎゃ”とか“ふぎゃ”とか言う声と何かにぶつかる音を出しながら、どうにか逃げれたようだった。


