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2019年10月15日
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【ツンデレにメガネを取られたら】

2010年03月04日
 朝の教室。知り合いはまだ誰も登校していなかったので、窓の外をぼーっと見てたら急に視界がぼやけた。
「急激な視力の低下だと!? 畜生、これではエロゲやエロ漫画やエロビデオが見れない! 生きる意味の90%が消失したと言っても過言ではないぞ!」
「タカシさぁ、そういうことあんまり人前で言わない方がいいよ。そのうち捕まるよ?」
 わたわたしてる俺の背後で、聞き覚えのある声がした。
「その舌ったらずで馬鹿っぽい声は……近所のポチだな?」
「ポチってわんわんじゃん! わんわんは喋らないっ! ボク超喋ってる!」
「お手」
 後ろを向いて手を差し出す。
「お手らないよっ! 人だよ、人!」
「冗談だよ、梓。いーからメガネ返せ」
 梓がいると思われる人影に手を出す。手の平にわずかな膨らみが触れた。
「うひゃあっ!? どどどっ、どこ触ってんだよ!」
 手をはねのけられた。その弾みに梓がメガネを落としたようで、軽い音が響いた。適当に探ってメガネを拾い、つける。真っ赤な顔をして胸を覆っている梓が視界に映った。
「近視のため、裸眼だと何がなにやらよく分からない、という免罪符を持っているため、多少は乳を揉んでも構わないだろう、という考えからの行為じゃないか?」
「超構うよっ! タカシのえっち変態貧乳まにあ!」
「もちろん貧乳が一番好きだけど、巨乳も好きですよ? あ、もちろん普通のおっぱいも。言うなれば、世界にあまねく乳全てが好きです。あ、人の乳に限りますが」
「うるさいっ! 言っとくけどね、これセクハラだかんね! 警察の人に言ったら、タカシ捕まるんだぞ?」
「先に俺のメガネを取ったお前が悪い。メガネを取らなければ、お前も貧相な乳を触られずに済んだ」
「貧相言うなっ! まったくもう……。ところでさ、タカシってメガネないと結構見れるよね。コンタクトにしないの?」
「コンタクトつけると眼球から緑色の汁が出るんだ」
「それ明らかにヤバい病気だよっ! ……あれ、あれれれ、ひょっとして、つけるの怖いの?」
「怖くない」
 顔を逸らす。逸らした先に嬉しそうな顔をした梓がやってきた。
「怖いんだろ?」
「全然」
 再び逸らす。またしてもにやにや顔の梓が現れた。
「あは。タカシってば、実は怖がりなんだね。かっこわるー♪」
「……ことりばこ」
「ぎにゃーっ!?」
 その言葉を聞いただけで、梓は両耳を塞いでその場に座り込んだ。以前、とあるサイトで見たものを臨場感たっぷりに聞かせたのがトラウマになったようだ。
「ふふん。俺に勝つなぞ100年早い!」
「あーあーあー聞こえない聞こえない聞こえないー」
 人がせっかく勝ち誇ってるというのに、梓ときたら両耳を塞いだまま大声でわめくばかり。これはこれで楽しい光景だけど、教室の皆がうるさそうにこっちを見てるので、どうにかしよう。
 梓の両手を持ち、力任せに耳から離す。
「あぅあぅあぅ……」
 恐怖のためか混乱のためか、梓の目はぐるぐるしてた。ちょっと面白い。
「はいはい、怖くないからなー。あんなの嘘っぱちの作り話だからなー」
「ほ、ホントに……?」
「…………。もちろん!」
「即答しろ、ばかっ! やっぱ実話なんだろっ! 寝る時にあの怖い話思い出しちゃったらどうすんだよっ! 怖くて寝れないじゃんかっ!」
「寝るのが怖ければ、ケーキを食べればいいじゃない」
「アントワネっても解決しないっ! 責任取ってどうにかしろよっ!」
「うるさいなぁ……じゃあ、もっと怖い話をして、ことりばこなんて大した事ないぜーって感じにすれば」
「超却下だようっ!」
 まだ話してないのに、もう梓は涙目になっていた。
「今から数ヶ月前の話なんだけどさ」
「却下しただろ! 話すなばかっ!」
 梓は俺の唇をむぎゅっと掴んだ。アヒルみたいな口になってしまい、喋れない。
「ふー。……怖い話しないなら、離してあげるよ」
 アヒル状態は少々恥ずかしいので、コクコク頷く。ようやっと梓は手を離してくれた。
「ふぅ。で、だな。この学校は創立が結構古いだろ?」
「話すなって言ってるだろっ!」
「わーったよ。もう怖い話はしない」
 本気で泣きそうになってるので、そろそろやめておく。
「うー……タカシ、すぐボクにいじわるするから嫌いだよ」
「俺はトマトが嫌いだな」
「誰も食べ物の好き嫌いの話なんてしてないよっ!」
「でもケチャップは平気。なんでだろうな?」
「知んないよっ! ううう……もう、ホントにどうしよう。今日寝れないよ……」
「はぁ……ま、俺にも責任の一端があるし、今日は寝るまで電話で愉快な話をしてやるよ」
「えっ、ホントに!?」
 よほど怖かったのか、そう言った途端、梓は顔を輝かせた。
「ネットで調べまくっておくから、覚悟しろよ?」
「うん、うん! あはっ、よかったあ」
「猿夢に、錆だらけのドライバー、あと何があったかな……」
 喜びに満ちていた梓が停止した。
「……なんか、怖い響きなんだけど」
「寝る前に電話するだなんて、ちょっと恋人同士みたいで照れるな。ははははは」
「誤魔化すなよっ! アレだろ、どーせ怖い話すんだろっ! またボクをいじめる気だろっ!」
「照れ隠しに、ついいじめちゃうんだ。恋愛経験の少なさが露呈してるんだ」
「自分で言ったところで説得力皆無だよっ! いーもん、着信拒否にしておくもん!」
「じゃあお前が帰る前にお前の部屋に忍び込んでおく。で、直接話す」
「それ不法侵入だよ!?」
「お前のおばさんと顔見知りだから大丈夫。ヤッタネ!」
「ちっともヤッタネじゃないっ! こーなったらタカシが帰る前にボクが先に帰って、家に鍵かけてやる……!」
「ふっふっふ。お前の足で、俺より先に帰れるかな?」
「ふっふっふ。……無理だよっ! クラスで一、二を争うくらいボク遅いよ! どうしろって言うんだよ! もー、もー!」
 梓はだだっこのように俺をぽこぽこ叩いた。
「あーもう、暴れるでない。冗談だよ、冗談。怖い話なんてしないから。なんか適当な怖くない話してやるよ」
「うー……」
 ちっとも信じてない目で俺を見る。
「大丈夫だって。俺を信じろ」
 梓の頭に手を置き、ぐりぐりなでる。
「あれだけ怖がらせておいて、よくそんなこと言えるね。信じるなんて無理だよ」
「信じない場合、とてもとても怖い話を仕入れておく」
「ぼぼぼボクがタカシを信じないわけないじゃん! だ、だから怖い話とか、なしだかんねっ! 絶対だかんねッ!」
「…………」
「なんとか言えよっ! なんで薄っすら笑ってるんだよお!?」
 怯えまくる梓は可愛いなあ、とか思った。

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