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2019年10月15日
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【神社の境内の床の下+かなみ+料理】

2010年03月03日
 かなみから神社に来いと連絡があったので、来た。だが、当のかなみはまだ来ていないようだった。仕方ないので待つ事にしよう。
 ……暇だ。ぼやーっと空を眺めるのも飽きたので、神社の床下に潜んでみる事にする。うむ、見事にクモの巣まみれで非常に不快。
 顔にかかるクモの巣が嫌だなあと思いながら待っていると、かなみがやって来た。手に何か小さな包みを持っている。
「あれっ? タカシの奴、いないじゃない。……あれだけ遅れるなって言ったのに、あの馬鹿」
 かなみは境内を見回したが、俺を見つけられないでいるようだった。普通、床下なんかにいるとは思わないわな。
「遅れた張本人が何を言ってる」
「えっ、いたの……っきゃあああああ!!!」
 虫か何かのように四つ足で床下からずるりと這い出ると、かなみが悲鳴をあげた。
「おっ、おばけおばけおばけ! 来るな来るな来るなーっ!」
 かなみは俺を幽霊か何かと勘違いしているようだ。確かに全身クモの巣まみれなので、そう見えなくもないかもしれない。よし、調子に乗ろう。
「食ーべちゃーうぞー」
「うええええんっ! あたしおいしくないよーっ!」
 かなみが面白くなった。
「うえっへっへっへ、俺様は貧乳八重歯ツインテールが大好物なーのだー。貴様はその全てに当てはまってるので、是非食べちゃいたいのだー」
「……タカシ? あんた幽霊じゃなくてタカシでしょ!」
 どうしたことか、ばれてしまった。仕方ないので体についたクモの巣を取っ払い、人間状態に戻る。
「ということで、貧乳八重歯ツインテールが大好物のタカシですこんにちは」
「うっさい! それより、なんでそんな全身クモの巣まみれなのよ! “神社で大人しく待ってなさい”って言ったでしょ!」
「“但し、全身にクモの巣をつけることは禁ずる”とは言われなかったし」
「普通しないの! 高校生にもなってたら! なんでこんなこと言わなきゃいけないのよ……」
 叱られた。次からは別の何かをつけることにしよう。カマキリの巣とか。
「……言っとくけど、別の何かをつけてもダメだからね」
 俺の行動は読まれがちだった。
「で、何の用なんだ? 俺をクモの巣まみれにするくらいなんだから、さぞ大層な用件だろうな」
「んなこと頼んでないっ! ……こほんっ」
 かなみは咳払いして、俺に向き直った。
「べ、別に深い意味はないんだけどね? そ、その、アンタが“料理ができないかなみが嫁になんていけるわけねー”とか言って馬鹿にするから、ちゃんと料理できるって証明するために、その……これっ!」
 かなみは手に持っていた小さな包みを俺に押し付けた。
「爆弾だと!? 俺はそこまで恨まれていたのか!」
「違うッ! ……サンドイッチよ。食べなさい」
「え、あ、うん」
 動揺しつつも、包みを解く。中には、小さなサンドイッチが三つ入っていた。
「卵とハムとレタスよ。ちゃっちゃと食べて感想言いなさい」
 どこか怒ったように、かなみは明後日の方向を見ながらそう言った。
「あ、えっと、いただきます」
 状況についていけないながらも、とりあえず一口かじる。口の中にタマゴサンドの味が広がった。
「おいしい」
「そ、そう。……じゃなくてっ! おいしいじゃ分かんないわよ! もっとテレビみたいに言いなさいよっ!」
「テレビあんまり見ないんだ」
「いいから言いなさいっ!」
「ニワトリになるはずだった生命を焼き殺し、それを醗酵、すなわち腐らせたモノで挟んだ食品はおいしいなあ」
 頑張って言ったのに、かなみがとても嫌な顔をした。
「……アンタに期待したあたしが馬鹿だったわ」
「いや、でもおいしいおいしい。なんだ、料理上手じゃん」
「そ、そう? ま、まあ、あたしにかかればこんなのラクショーよ」
 おだてられ、かなみは目に見えて機嫌がよくなった。
「……で、そ、その、……嫁に欲しくなったり、した? あ、そ、その、お嫁さんはいきすぎよね。よくても、彼女……とか」
 かなみは両の指をちょんちょんと合わせながら、上目遣いに俺を見た。
「彼女はともかく、家政婦──否、メイドさんとして雇いたくなった。可愛いよね、メイドさん。性的なご奉仕とかしてほしい」
 おや、何か選択肢を誤ったようで。かなみの体が小刻みに震えてますよ。殴られるのかな?
「人が折角頑張ったのに……メイドになれですってえ! しかも性的なご奉仕!? この変態がーっ!」
「いやいやいや! 性的と言っても、そんな酷いことしませんよ! 挿れたりしないから! ……いや、やっぱ挿れたい! どうですか、合体しませんか?」
 途中で性欲の野郎が暴走したせいで、ものすごく殴られた。

「……へんたいやろう」
「すいません。返す言葉も御座いません。どうかしてました」
 性欲の暴走が過ぎ去った後、ものすごく不機嫌になったかなみをどうにかするべく必死に謝る。
「まったく……なんでアンタってばそんなエッチなのよ」
「好きな人とならエッチしたくもな……なんでもないなんでもないなんでもない! 忘れろ!」
 思わず漏れた俺の失言に、かなみの顔がものすげー赤くなった。
「そ、そうなんだ。ふーん。アンタが、あたしのことを。……あーあ、最悪。こんなのに好かれるなんてねぇ」
 かなみは顔がにやけるのを必死で止めているようだったが、成功には及ばなかったようだ。無論、それを指摘する勇気なんてないけど。
「ま、まあ、あたしがアンタを好きになるなんて絶対にないだろうけどね。ふっふー、残念でしたー」
「じゃあ諦めよう」
 かなみの顔が「しまった」という感じになった。
「そっ、そんなすぐに諦めるのってよくないわよ? ほら、頑張ったらどうにかなったりする可能性もなきにしもあらずと言うか!」
「いや、好きになるなんて絶対無理とか言われたし。そこまで意思が固いなら、もう諦めるしか」
 かなみの顔が泣きそうになった。
「よ、世の中には絶対とかないわよ? ひょっとしたら大丈夫かもしれないし……」
 言葉が尻すぼみになり、かなみは黙ってしまった。……ちょっとからかいすぎたか?
「……ああもうっ! アンタ! 男だったらばしーっと告白しなさいよっ!」
 軽く心配してると、かなみは突然俺の肩を掴み、無茶を言った。
「いや、既にしたようなもんだし。ふられたし」
「いいからっ! もう一回しなさいっ! 返事変わるから!」
 変わるのか。ていうか、それもう答えだろ。
「明日かなみが弁当作ってくれるなら、言う可能性が出てくる」
「な、なんでアンタが上の立場なのよっ! あたしは告白される側、アンタがする側! 分かってんの!?」
「断られた。ああ、やはり嫌われているのだな。悲しいが、諦め」
「わ、分かったわよ! 作ってくるわよ! だから明日、ちゃんと告白しなさいよっ! いいわねっ!」
 そう言って、かなみは偉そうにふんぞり返った。ただ、顔が真っ赤なままだったので、まるで締まらなかった。

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