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2024年04月29日
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【雷が大好きなツンデレ】

2010年05月25日
 昼を過ぎたころから空模様が怪しくなって、下校時にはもう大雨だった。
「どうした別府、帰らんのか?」
「傘、持ってきてねー。雨降るなんて聞いてねー」
 机に突っ伏しながら、俺の様子を見に来たみことに答える。
「天気予報見なかったのか? 今日の降水確率は90%だと言ってたぞ」
「遅刻しそうなのにテレビなんて見れねーっての」
 席を立ち、窓際に立つ。激しく降る雨に、窓が細かく震えていた。
「よく降るな。しっかし、雷でも落ちそうだな……」
 俺の言葉に誘われたわけでもないだろうが、稲光が走った。直後、轟音が教室に響く。
「おお、結構近いな。みこと、おまえ雷とか平気……」
 みことは、窓にへばりつき、目を輝かせて空を見つめていた。
「…………」
「……みこと?」
「……はぁ~っ。たまらんな」
 どこか恍惚とした表情で、みことは呟いた。
「何がたまらいんだ?」
「……! い、いたのか別府!」
 明らかに狼狽した様子で、みことは俺の方を振り返った。
「いたもなにも、最初からいるっつーの。で、どしたんだ?」
「なっ、なんでもない! いいから詮索するな!」
「……雷、好きなのか?」
 みことの顔が一瞬で赤く染まった。
「わ、悪いか! ……そりゃ、自分でも変な嗜好だとは思うが、こればかりはどうにもできんのだ……」
「……んー、別にいいんじゃないか? 俺も尊大な言葉遣いする変な女が好きだけど、変とは思わんし」
「そ、そうか。……待て。尊大な言葉遣いする変な女って……」
「お、雨上がってきたな。通り雨だったか。んじゃ帰るか、みこと」
「待て! 重大なことなのだ! その変な女とは誰だ、タカシ!」
 必死の形相で追いかけてくるみことから逃げるように、俺は教室を出た。

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【着るものがなくて仕方なく裸エプロンなツンデレ】

2010年05月23日
 急な通り雨に、俺とみことは駆け足で家へと急いでいた。しばらく走って俺の家に着いたが、みことの家はまだ遠い。俺はしぶるみことを無理やり家に上げた。
「……邪魔する」
「いくらでも邪魔してくれ。とりあえず、先に風呂入れ。ちなみにこの家に入った時点で拒否権はないから、そのつもりで」
 みことにタオルを投げて、先に入るよう促す。
「……く、そういうことなら仕方ない。先に入らせてもらう」
 案外簡単に誘導に成功。……勝負はここからだ。
 俺は三段飛ばしで階段を駆け上り、自室に飛び込んだ。そして、前々から用意していた品をタンスから取り出し、四段飛ばしで階段を降り脱衣場に忍び込む。
 みことは風呂場の中で何か鼻歌を歌ってる。心地よい音色に一瞬目的を見失うが、頭を振って自分が何をしに来たか思い出す。
 そう、全ては裸エプロンのため。
 この日のために用意した、ふりふりフリルのついた可愛らしいエプロンを握り締める。俺はやるぜ!
 そのために、まずはみことの着てた服をどうにかする必要がある。……考えるまでもない、雨で濡れているから乾燥機に入れればいいだけの話だ。そして、エプロンを置けばいい。
「みことー、代わりの服置いといたからー」
「あ、ああすまん。迷惑をかける」
 ドア越しに声をかけ、準備は完了。あとは、待つだけ。
 自室に戻り、濡れた服を脱いで体を拭っていると、階下から奇声がした。風呂から上がったな。
 俺は服を着て、ゆっくり階下に降りた。果たして、そこにエプロンだけ着て恥じらうみことの姿があった。
「き、き、き、貴様何を考えておる! なんだこれは! 私の服はどうした!」
 少ない布地で必死に体を隠すみことの姿に、軽くめまいを覚える。いかん、下半身がムズムズする。
「着てた服は濡れてたから乾燥機の中。代えの服はないから、着れそうな女物の服を探したらそれだけだった」
「だ、だからと言ってエプロン一枚などと……何を考えておる! ええい近づくな、手をわきわきさせるな!」
「やはり裸エプロンはいい……。特に、それが貧乳となるとその価値は数十倍に跳ね上がる……!」
「だ、誰が貧乳だ! だから近づくなと、手をわきわきするのをやめよ!」
「そうだ、ちょっとだけ舐めさせて! ちょっとだけでいいから!」
「だ、ダメに決まってるであろう! だから近づくな、手を動かすな!」
「じゃあおっぱい! おっぱいだけ舐めたら満足するから! むしろ乳首を!」
「……貴様、いい加減にしろ!」
 みことの見事なまでの回し蹴りがこめかみに命中した。けど、一回後ろを向いた時にかわいいお尻が見えたからまあいいや、と思いながら昏倒。
 目が覚めたら、もうみことはいなかった。雨やんでるし、帰ったのかな。ちょっと残念。

「……まったく、本当に別府は馬鹿だな。心底馬鹿だ」
 布団の上に座り、みことはタカシから頂戴したエプロンを抱えて夕方にあったことを思い返していた。
「裸エプロンなどと……乙女の柔肌をなんと心得ている」
 エプロンをタカシに見立て、両側から引っ張る。みことの頭に、ほっぺを引っ張られて困るタカシの顔が浮かんだ。
「ふふ、私をからかうのがいけないのだ、バカめ」
 ちょん、と鼻らしき場所を指でつつく。
「……しかし、それほどよいものなのか、裸エプロンとは。……これで、タカシの気持ちを惹けるのでは……いかんいかんいかん! 何を考えているんだ私は!」
 大きく頭を振って気持ちを入れ替える。別府のことなんてどうでもいい。
「そう、別府なんてどうでもいい。大体奴は普段馬鹿なことばかりやってる……くせにいざとなったら頼りがいがある」
「……い、いや、そうじゃない! 奴はいじわるばかりする……くせにさりげない優しい」
「……だから、違う! そ、そうだ! 私をからかう……くせに後で優しく頭なでてくれる……」
 みことは困った。どうでもよくなんてない。それどころか、タカシを思うだけで心を締め付けられる。
「……そ、そうだ! 別府は超鈍い! そんな鈍い奴のことなど、どうでもよいではないか! あはは、あはは……はぁ」
 ため息をついて、みことは布団に倒れこんだ。
「……そのうち、着てみようかな……裸エプロン。……別府の前で」
 そんな日が来ることが待ち遠しいような、怖いような気持ちを抱いたまま、みことは眠った。

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【「…………」(なでなで)】

2010年05月17日
「おい、そこの馬鹿。これ落としたぞ」
 ふらりふらりと教室を徘徊してると、みことに呼び止められた。
「おお、家の鍵か。さんきゅ、みこと」
 感謝の意を表すため、みことの頭をなでる。
「…………」(なでなで)
 みことは、気持ちよさそうに目を細めた。
「……はっ! き、貴様、気安く頭を触るな!」
 俺の手を乱暴に払いのけ、みことは目をつり上げて怒った。
「まぁそう言うな。感謝してんだから、素直に受け取れ」
「…………」(なでなで、なでなで)
 みことは、とても気持ちよさそうに目を細めた。
「……はっ! だ、だから触るなと言っているだろう!」
「……なでられるの、好きなのか?」
 みことの顔が赤く染まった。
「そ、そんなわけないだろうが! 子供じゃあるまいし、そんなものでこの私が……」
 なでなで、なでなで。
「…………」
 みことは、恍惚とした表情で俺のなでなでを受けた。
「やっぱ好きなんだな。別にそれくらい、いいと思うけどな」
「好きではないと言っているだろう! ええい笑うな近寄るな!」
「……にひ。みこと~、頭なでさせろ~」
「ええい近寄るな、踊りながら来るな! ……ぁぅ」
 なでられると、途端に大人しくなるみことが少し愛しい。
「わはははは! 可愛いなぁみことは」
「~~~~~! き、き、貴様! もう許さん!」
 突進してくるみことをひらりとかわす。失敗。

 足腰立たなくなるまで殴られたけど、明日もやろう。

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【みこと呪われる】

2010年05月13日
 だらだらと登校してると、みことを見かけた。珍しいことに、帽子を被ってる。
「はよーん、みこと。珍しいな、帽子なんか被って。禿げたのか?」
 無言でほっぺをつねられる。
「まぁ冗談はいいとして、どしたんだ? 『お洒落なんてわからないにゃあ。ご主人様、頭なでなでしてほしいにゃあ』と常々言ってるみことらしくないぞ」
「そんなこと言った覚えはない!」
 ほっぺをつねられる。たぶん、万力で挟まれるより痛い。
「ちょっと貸して。俺も被る」
「あっ、やめ……ッ!」
 みことの帽子を取ると、何かが勢いよくぴょこんと立った。……耳?
「みこと、これって……」
「ちょっと来い!」
 みことは俺から帽子を奪い取り素早く頭に被ると、俺の手を掴み路地裏へ連れ込んだ。
「……まったく、余計なことをしてくれる」
「まぁそう褒めるな。照れる」
「何をどうやったらそういう思考になるのだ! ……いや、おまえに論理的思考を求めるほうが間違ってるか」
「で、どうしたんだ? その頭から生えてる耳……えっと、猫の耳みたいなんだが」
「……察しの通り、猫の耳だ。蔵の整理をしていたら年代物の掛け軸が出てきてな、それを広げたら……この通りだ」
 帽子を取り、ネコミミをさらす。
「なんで?」
「……父上に聞いたところ、なんでもその掛け軸は呪いの品だとか。そしてそれを広げた私が呪いの対象になった、とのことだ。父上に頼み解呪できる人を探しているのだが、芳しくないらしい」
 憂鬱そうにみことは息を吐いた。それに呼応するように頭上のネコミミがぴこぴこ動く。
「呪われてネコミミ、かぁ。誰が呪ったか知らないけど、粋なことするな。最高。ネコミミモード歌って。さんはい」
「誰が歌うか! それより、このことは黙っていてくれないか? 皆に知られると……その、困る」
「つまり、二人だけの秘密だな。……甘美な響きだ。気に入ったので黙っていよう」
「そ、そうか! 助かる」
 憂鬱そうな顔から一転、みことは破顔した。その可愛らしい表情とぴこぴこ動くネコミミに、つい手が出る。なでなでなで。
「…………。……はっ! きっ、貴様! なでるな、愚か者!」
 みことに張り倒されゴミ箱に頭から突っ込まされながらも、俺はこれからの学校生活が楽しみで仕方がなかった。

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【ねこミコト×昼×うどん】

2010年05月13日
 ミコトが呪われネコミミに。猫耳のことは二人の秘密。嬉しい。嬉しさのあまり机の上で踊ってしまう。
「……なにを踊っている。おかしくなったのか? ……ああ、おかしいのは元からか」
 通りがかったミコトに馬鹿にされる。猫耳を隠す帽子は着用済みだ。
「失礼な。そうだミコト、飯食おうぜ飯」
「なぜ私が貴様なんかと食わねばならんのだ」
「ミコトが呪わ」
「さ、さあ行こう別府よ! 私は今日は学食だ、ついてくるがよい!」
 汗を垂らしたミコトについて、学食へ。とても混んでて気が滅入る。
「……何をしている?」
「いや、ポケットの中のこの爆弾で人数を減らせないかな、と」
「何を考えている! 寄越せ! ……なんだ、これは」
「ばくだん」
「ヘビ花火ではないか! これのどこが爆弾だと言うのだ!」
「火つけたら爆弾と同じくらいの騒ぎになるぞ。やるか?」
「やらん! まったく、余計なことばかりして。いいから貴様は注文して来い。私は席を確保してくる。ああ、私はきつねうどんを頼む」
「了解」
 ミコトと別れ、注文の列へ並ぶ。そしておばさんにうどんを二つ注文し受け取り、ミコトの待つ席へ。
「ほい、お待たせ」
 ミコトにきつねうどんを渡し、席に着く。
「うむ、ご苦労。……貴様もうどんか」
「お揃いだ。嬉しいだろ?」
「不快だ」
「…………」
 ずばり言い切られる。少し泣く。
「ずずっ……あちっ」
 泣きながらうどんをすすってると、ミコトがうどんの熱さに苦戦しているのに気がついた。
「なんだ、猫舌か?」
「いや、熱いものは平気なのだが……おかしいな。ずずっ……あちちっ」
 ミコトは舌を出し、痛そうに顔をしかめた。
「……猫になったから、か?」
「ね、猫ではない! ずずっ……あちちちっ」
「あーもう無理すんな。ちょい貸せ」
「あっ、おい!」
 俺はミコトのうどんを奪い、息を吹きかけた。
「ふーっ、ふーっ。ほれ、あーん」
「だっ、誰がそんなことするか!」
「ミコトは呪われ、猫の」
「わ、分かった! 分かったから!」
「うむ。ほれ、あーん」
「……あ、あーん」
 ミコトは怒りと羞恥で顔を赤く染め上げ、大人しく口を開けた。その口にうどんを放り込む。
「どうだ? 熱くないか?」
「むぐむぐ……へ、平気だ。だから、もう」
「じゃ、次な。ふーっ、ふーっ」
「ま、まだやるのか!?」
 うどんが空になるまで、俺はミコトにうどんを食べさせ続けた。恥ずかしげなミコトを見れて、とても楽しかった。

 ぐー、ぐー。
「うるさいぞ、別府! 腹の音をどうにかしろ!」
 ミコトに食べさせることに夢中で、自分の分を食べる時間がなくなるとは思いもしなかった。

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