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2024年05月14日
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【衣替えとツンデレ】

2010年05月12日
 5月になった。冬服から夏服へと変化する季節だ。
「いいなぁ、夏服はいいなぁ」
「……なにをじろじろ見ている」
 みことの胸元を凝視していると、注意された。
「み、見てない。夏服になって薄くブラが見えるなんて気がつきもしない」
 殴られた。不思議。
「見てないのに! そんなには!」
 奮起して言い返すと、殴られた。なんでだろう。
「貴様は少しは考えてから物を言え!」
「ごめんなさい考えた末でそうなんです」
 もう殴られるのは嫌なので土下座しながらそう言うと、みことは呆れた様にため息を吐いた。
「まったく、相変わらず馬鹿だな」
「聞きたいんだが、女の子ってのはブラが見えてても気にしないものなのか? だとしたら露出狂と言う他ないな。いや、嬉しいけど」
 拳を握り締めるのが見えたので、慌てて言い訳する。
「いや、その、みことはつるぺたなんだからブラなんていらないんじゃないかと」
 しまった、恐怖のあまり本音がぽろりと。
「……ふ、ふふふ、いい度胸だ」
「つ、つるぺたは人類の宝だぞ? 誰もが羨む至宝を持ってることを誇りに思うといいんではないかと」
「……殺す」
 遠慮なく殺意をぶつけてくるみことに恐怖し、逃げる。
「待たんか! 殺してやる!」
「つ、つるぺたじゃない! みことは見事な貧乳だ!」
「貴様、馬鹿にするのも大概にしろ!」
 呼び名が嫌という訳じゃなかったのか。
「……あ、校庭で小学生が裸で遊んでる」
「何ぃッ!?」
 慌てて校庭を見る。しかし、小学生など影も形もない。
「おいみこと、小学生なんてどこにも……」
 罠だった。半殺しにされた。

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【「わー!」って叫んで証拠隠蔽するツンデレ】

2010年05月10日
 食欲の秋ということで、道端を徘徊しながら腹をぐーぐー鳴らしつつ涎を垂らしていると、見るに見かねたのか、みことがなんか奢ってくれると。
 そんなわけでみことに連れられ、彼女の家へ。何を食わせてもらうのかと思えば、焼き芋をするらしい。
 庭の落ち葉をかき集め、薄高くつもったそこに芋と火を入れ待つことしばらく、焼き芋ができた。
「イモ美味し おならぷうぷう 5秒前」
「……最悪の俳句だな」
 焚き火を棒で軽くかき混ぜながら、吐き捨てるようにみことは言った。
「季語はおならぷうぷうです」
「まったく、相も変わらず別府は馬鹿だな」
 みことは焚き火の中から芋を取り出し、恐る恐る皮を剥き、そっとかぶりついた。
「あちちっ……ふーっ、ふーっ、ふーっ」
 熱かったのか必死に息を吹きかけるみことを見てると、知らず笑みがこぼれる。
「……なんだ、何がおかしい」
「んや、別に」
「……ふん。ふーっ、ふーっ、ふーっ」
「…………(なんか可愛いなぁ)」
「だ、だから何を笑っていると聞いている!」
「わ、笑ってません! だから火のついた棒を突きつけるのはやめて! 熱、熱い!」
 なんとかご機嫌を取って(頭なでなで)突くのをやめさせ、大人しく芋を食べさせる。とても熱かった。
「むぐむぐ……うむ、やはりイモはこうして焚き火で焼いて食うのが一番だな」
「確かに、風情があっていいな。また呼んでくれよ」
「し、仕方ないな。放ってまた徘徊されては敵わんからな。さて、火の始末を」
 ぷぅ。
「…………」
「…………」
 なにやら、甲高い音がした。俺じゃない。視線をみことに向ける。真っ赤な顔で、小刻みに震えていた。
「みこと、おまえ……」
「わー!」
「みこと、おまえおな……」
「わーっ! わーっ! わーっ!」
「オナニーしたことある?」
「何を聞いとるたわけっ!」
 どさくさに紛れて聞いたら真っ赤な顔で怒鳴られた。
「そ、そんなもの、その、……そんなにしたことない!」
 律儀に答えられても、俺に出来ることは赤面することぐらいだ。
「あ、赤くなるな! ……そんな反応されると、……その、だな」
「え、えーっと」
 なんか変な雰囲気になってしまったので、その空気を払拭すべく話を戻すことにした。
「そのだな、自慰も屁も誰でもするからあんま気にするな。幸い聞いてたの俺だけだし」
「(……だから気にするんじゃないか!)」
「ん? なんか言ったか?」
「何も言っておらん! だ、だいたい婦女子が屁などするわけないだろう! 貴様の幻聴だ!」
「いや、それはさすがに無理があるかと」
「いいや、幻聴だ! 違いない!」
 断言されると、そうかなぁという気になってくる。
「言われてみれば確かに幻聴かも。今も聞こえる大宇宙からの声がグリゴリビッチグリゴリビッチ」
 自分で言っててヤバイ人だとしか思えない。ほら、みこともちょっと怯えてる。ていうか引いてる。
「……冗談です。引かないでください」
「泣くぐらいなら言わなければいいものを……はぁ、本当馬鹿だな、別府は」
「馬鹿かもしれんが、屁はしないぞ」
「…………」
 失言に気づいたのは、みことが赤々と燃える木の棒を振りかざした時だった。
「俺を燃やしても食えませんよ?」
「食えはせんが、死にはするだろう?」
 超熱かった。近くに池があって助かった。

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【猫を初めて触るツンデレ】

2010年05月09日
「なぁタカシ。聞いた話によると、猫を飼い始めたそうだな」
 昼休み、飯をもそもそ摂っているとみことに話しかけられた。
「ああ、そうなんだ。もう、もふもふでふかふかで鼻が濡れてて可愛いぞ~。なでるたびに発狂しそうになる」
「そ、そうか。……実は、その、私は猫が少し好きでな。よかったら見せてくれないか?」
「……おまえが猫好き?」
「す、少しだ少し! それほどではない!」
「……それほど、ねぇ」
「も、もうよい! おまえなんかに頼んだ私が馬鹿だった!」
「あー待て待て、……実は、うちの猫は娘さんに撫でられるのが好きなんだ。よかったらそのうち家に来て遊んでやってくれないか?」
「そ、そうか! 仕方ないな、遊んでやるか!」
 手のひらを返したように破顔するみことに、俺はそっとため息をついた。

「な、なぁ、どんな猫なんだ? 可愛いか? 噛んだりしないか?」
「……その質問三回目。ちったぁ落ち着け」
 早速今日遊びたいと言うみことを連れ、俺は自宅への帰路をだらだら歩いていた。
「う……すまぬ。恥ずかしながら、猫を触るのは初めてのことで……幾分緊張しているのかもしれん」
「……みことが緊張。わはははは!」
「なっ、なにが可笑しい!」
「くっ、くくくっ……いや、悪ぃ悪ぃ。ちょっとな、普段のおまえの言動からは信じられない言葉だったんで」
「……ふん。どうせ私は心臓に毛が生えてるほど豪胆だと言いたいのだろう?」
 少し拗ねたように口を尖らすみことに、俺は笑って言った。
「ちげーよ。らしくないけど、女の子っぽくて可愛いって言いたいの」
「だっ、だだ誰が可愛いだ、誰が! 訳の分からんことを言うのはよせ!」
「お、ぼちぼち着くぞ」
「私の話を聞けッ!」
 夕焼けに負けないくらい顔を赤くしてるみことと一緒に玄関をくぐる。
「にゃー」
「お、出迎えご苦労さん」
 ぐるぐるとノドを鳴らす猫を抱え、自室へ向かおうとするがみことが着いてこない。
「どした? 俺の部屋はこっちなんだけど……」
 みことは猫をじっとみつめ、固まったまま動かないでいた。
「これは……可愛いな」
 ほぅ、と濡れた息を漏らす。気のせいか、目が潤んでいるような。
「感動するはいいけど、さすがに玄関先で遊ぶのは勘弁な。俺の部屋に来い」
「わ、分かっている! 偉そうに指図するでない」
 一挙一動を見逃さないためか、猫をじっと見つめたままみことが俺についてくる。猫が怯えたようににゃあと鳴いた。
「んじゃ部屋行くけど、途中でっぱりがあるからそこでこけんなよ」
「……ああ」
 分かってんのかなぁ、ホントに。まぁいいや。
 俺はにゃーと鳴く生き物を抱えたまま部屋へ向かった。
「わきゃ!?」
 変な鳴き声がした。
 案の定、みことが気持ちのいいこけっぷりを発揮していた。パンツ全開、白さが眩しい。
「う、いたた……なんでこんなところにでっぱりがあるんだ?」
「ああ」
「まったく……先に言っておいてくれ」
「ああ」
「……貴様、どこを見ている?」
「ぱんつ」
「き、きき貴様ッ! 乙女のパンツを見るとは何事だッ!」
 しまった、素直さが仇に。
「まぁなんて言うか、その、ナイスパンツ」

 顔面を腫れさせながらも、どうにか自室に着く。猫を放すと、慣れたようにベッドに飛び乗った。
「はい、これが俺の部屋。部屋の持ち主はただいま顔が痛いけど、素敵だろ?」
「汚い。掃除したらどうだ」
「面倒なのです」
「はぁ……まったく、タカシらしいな」
「お褒めに預かり恐悦至極」
 肩をすくめてから、みことは猫のそばに寄った。そして、恐る恐る手を伸ばす。
「はぁ……はぁ……」
「みこと、鼻息荒いぞ」
「うるさい!」
 みことの大声に怯えたのか、猫が俺に飛びついてきた。
「あ……」
「おーよしよし。怖かったな」
 俺の胸でにゃーと鳴く猫。
「ず、ずるいぞ! 私にも抱かせろ!」
「ずるいと言われても……猫が勝手に来るんだから仕方ないじゃないか」
 猫のノドをくすぐると、ごろごろと気持ちよさそうにノドを鳴らした。
「あ、ああ……私も、私も撫でたい」
「はぁ……ほれ」
 俺は猫を持ち上げ、みことの前に晒した。
「これなら逃げないだろ。安心してなでろ」
「み、みくびるな! 私一人でこの程度完遂できる!」
「そうか、なら」
「だ、だが、貴様がどうしてもと言うならやってやらんこともない」
「…………。どうしても」
「そっ、そうか! ……では、いざッ!」
 過剰に気合を入れ、みことが震える手を猫の頭にかざす。
「みことみこと、力入りすぎ。握りつぶすつもりか」
「うっ、うるさい! わかっておる! ……はふー、はふー」
 目が血走ってて鼻息荒すぎる。怖い。
 俺の恐怖を感じ取ったのかそれとも動物的本能が察したのか、猫が俺の手から逃れぴゅーっと部屋から出て行ってしまった。
「……き、き、貴様ッ! どうしてくれるッ!」
「俺のせい!?」
「ええいうるさい! 全部貴様のせいだ! こうなったら、触れるようになるまで貴様の家に通うからな! 拒否権はない! いいな!」
 有無を言わさぬ物言いに、俺はこくこくと壊れた人形のように頷くのだった。

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【雷が怖いツンデレ】

2010年05月08日
 登校する時は曇り空だったものの、下校時、つまり今は土砂降りになっていた。
 残念なことに天気予報は見てこなかったので、俺は傘を持ってきてない。つまりは、教室の窓際で困ったように窓から空を見上げてるみことと同じ境遇なわけだ。
「おまえも同類か?」
「ん? ……ああ、貴様も傘を」
 軽く頷き返し、みことと同様に空を見上げる。空は厚い雲に覆われ、止みそうになかった。
「もう少し小降りになったところを見計らって帰れば、そう濡れずに済むだろう」
「なら、少し待つか。一人なら寂しいところだが、みことと一緒ならむしろ喜ぶことだな」
「そればかりは同意しかねるな」
 相変わらずの厳しい意見に苦笑していると、不意に光が瞬いた。そしてすぐ轟音がした。
「雷か? 近いな」
 ふと、制服の袖が引っ張られる感覚がした。見ると、不安げな表情を浮かべたみことが俺の袖を握り締めていた。
「みこと?」
「……! な、なんでもない」
 途端、弾かれたように袖から手を離した。
「もしかして、雷苦手か?」
「そんなわけないだろう」
 それもそうか、ときびすを返そうとすると、また稲光が走り、ほぼ同時に鼓膜を揺るがす轟音が。
「…………」
 また制服の袖が引っ張られる感覚。見ると、やはり不安げな──いや、泣きそうな表情を浮かべたみことが俺の袖を。
「! な、なんだ! 用がないならどこかへ行くがいい!」
「……んー、残念ながら急用ができた」
 みことの後ろに回り、覆いかぶさるように彼女の体をそっと抱きしめる。
「お、おい!」
「雷が怖いんで、こうしてていいか?」
「……ふ、ふん、情けない奴め。……少しの間だけだぞ」
「了解」
 みことの髪に顔をうずめながら、俺はもうしばらく雷が続くよう小さく祈った。

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【ツンデレが義妹になった】

2010年05月08日
 俺には母親がいない。俺が小さな頃に事故で死んだ、と前に親父から聞いた。
 そんな親父が、みことの母親と再婚した。
「……私が、貴様の妹だと?」
 妹となったみことの第一声がそれだった。
「では妹記念に『オニーチャーン』と鳴け。ほれ、鳴け」
「…………」
 オニーチャーンと鳴く代わりに侮蔑の視線を向けられた。
「私は今まで通り別府と呼ばせてもらう」
「いや、でもこれからはおまえも別府性になるんだからややこしいぞ。名前か、オニーチャーンか、だ」
「……愚兄め」
 などというやりとりをしたのが昨日。
「いいか、学校で私と貴様が兄妹になったなどと言うなよ」
 学校への道すがら、みことは再三に渡って俺に注意を呼びかけていた。
「わーったわーった。で、『オニーチャーン』が嫌なら『にぃにぃ』ならどうだ?」
「……やはり痛みを与えねば理解しないか?」
「名前をどう呼ぶかなんて個人の自由ですよね、みことさん?」
 みことが暗い笑みを浮かべつつ懐に手を差し入れたので、慌てて掌を返す。
「まったく、貴様は……だがしかし、今までどおり別府と呼ぶには問題がある、か……」
「冗談はともかく、名前で呼ぶのが妥当じゃないか? ほれ、練習してみ」
「む……た、たか……」
「おっはよー二人とも!」
「うきゃッ!」
 勢いよく声を掛けられ、みことが猿のような声をあげる。声の主──かなみは、不思議そうに俺たちを交互に見ていた。
「二人で登校なんて珍しいわね。みこと、こんな奴と一緒にいたら馬鹿が移るわよ」
「失敬な、馬鹿じゃないぞ。それに二人で登校なのは俺たちがむぐむぐ」
 突然背後から口を塞がれた。
「いやなに、そこで偶然会ってな」
「ふーん。……ねぇ、いくらタカシでも殺すのはちょっと……」
「ん? ……あ」
 みことが俺の鼻も一緒に押さえていることに気がついたのは、俺が死ぬほんの数秒前だった。

「……まったく、秘密を守るため亡き者にされるかと思ったぞ」
 かなみの後ろに並び、ひそひそとみことにささやく。
「だいたい貴様がいらぬことを言わなければ済む話だろうが!」
 囁き声に怒気をはらませ、みことは俺を睨んだ。
「貴様じゃなくてお兄ちゃん。もしくはタカシ」
「そんな話は今してな」
「……アンタたち、何やってんの?」
「うきゃッ!?」
 いつのまにかこちらを向いていたかなみに声をかけられ、みことは猿声を発した。
「いや、みことが結婚してくれとうるさくて」
「えええええ!? みっ、みこと、アンタ抜け駆けはなしって約束したじゃない!」
 なんの話だろう、と思ってたらみことが俺の鼻と口を塞いだ。
「あははは、いやなに、少々タカシの奴おかしくなったようだな。そのような話は一切ない」
「そ、そっか、そうよね、あはははは」
「はは、ははは……」
 抜けるような空の下、ゆっくりと俺の意識は沈殿していった。
 
「……やっぱ秘密を守るために亡き者に」
「だからすまぬと言っておるであろう!」
 目が覚めると保健室だった。気を失った俺を連れ目が覚めるまでそばにいてくれたのは嬉しいが、殺そうとしたのもまたみことなので感謝していいのか微妙なところだ。
「ほら、目が覚めたなら起きろ。まだホームルーム中だぞ」
「やれやれ、めんどくせぇなぁ」
 みことと共に教室へ向かう。そして教室に入るなり、皆の微妙な笑顔に迎えられた。
「みこと、タカシの妹になったんだって?」
 かなみのからかう気満々の声に、みことは俺を勢いよく睨みつけた。
「きっ、貴様! 言ったな!」
「言ってません! だから殺さないで!」
「あーなんだ、言ったのは私だ」
 みことの懐刀を必死に押さえていると、気の抜けた担任の声が耳に届いた。
「なんだ、言っちゃいけなかったのか? わりぃわりぃ」
 がはははは、と豪快に笑う担任を尻目に、みことは気が抜けたようにその場にぺたんと座り込んだ。
「わ、私の学校生活が……」
「ま、いいじゃん。これで大手をふるってお兄ちゃんと呼べるし。ほれ、呼べ」
「誰が呼ぶかッ! ええい不愉快だ、やはりここで亡き者に!」
 みことが懐刀を携えたので、全力で廊下に飛び出す。しかしまぁ、妹と遊んでやるのも兄の務め。
 俺は愛しい妹と一緒に廊下を駆けた。
「刃物ダメ! NO刃物!」
「大丈夫だ、刃はつぶしておる。……ただ、骨の一本や二本は覚悟してもらうがな!」
 怪しい笑みを浮かべるみことに、なんとも大変な妹が出来たとしみじみ思った。

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