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2026年03月18日
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【エロ本(姉系)をちなねえに見つかった男】

2010年03月31日
 学校帰り、近所の本屋に立ち寄る。
「いらっしゃ……おお、いつもの兄ちゃんじゃないか」
 店内に入ると、顔なじみの店長が人懐っこい笑みを浮かべながら声をかけてきた。
「今日も制服のままエロ本買いに来たのかい? いやぁ、いつものことながらその勇気に惚れ惚れするねぇ」
 人懐っこいのはいいのだが、あまりそういうことは大声で言わないで頂きたい。ほら、店内にいる女生徒らが俺を見てヒソヒソ囁きあってる。ええい、名誉挽回!
「エロ本など、一度たりとも買ったことない! それどころか、エロ本という単語はいま知ったばかりだ!」
「今日はいい本が入ったんだよ。触りだけ読んでみるかい?」
「うん、ぼく見るよ」
 女生徒たちの囁き声が大きくなったが、タダで見れるとあれば些細なことだ。店長に渡された本をパラパラとめくる。
「……おじさん、これって……」
「ああ、姉モノだな。いいぞー、姉モノは」
 今まで色々なジャンルに手を出してきたが、ちなねえの影がちらつくためか、姉系の本はまだ手をつけてない。
 普通のエロ本でも見つかったら怒られるのに、姉系のが見つかったらどうなるか……想像するだに恐ろしい。
「で、どうだ? ぐっとくるだろ、ぐっと」
「む、むぅ……」
 ……恐ろしいが、この本は過去最高にぐっとくる。詳しく言えない場所にある、とある部位がすごく屹立しそうだ。
「……これください」
「毎度っ!」
 風のように家に帰り、速攻で部屋に入り、ちなねえがいないことを確認し、息を吐く。
「……はぁ~。ちなねえ、気がつくとこの部屋にいるもんなぁ……」
「……そんなこと、ないですよ?」
 さっき確認した時にはいなかったはずのちなねえが、俺の隣で小首を傾げていた。
「ちっ、ちち、ちなねえ!?」
「……おかえりなさい、タカくん」
「あ、うん。ただいま、ちなねえ」
 挨拶はきちんとしなさいと昔からちなねえに躾けられているので、条件反射的に挨拶を返す。
「……いいお返事で、お姉ちゃんは大変嬉しいです」
「そ、そう? えへへへへ」
 どうやってこの部屋に侵入したのか聞こうと思ったけど、褒められていい気分なのでどうでもいいや。
「……タカくんが持ってる包みの中身を教えてくれると、お姉ちゃんはもっと嬉しくなります」
 ぴきり、と音を立てて部屋の空気が止まった。気がした。
「ほ、ほほ、本だよ! そ、その、アレだ、ただのマンガ! べべ別にちなねえが気にするような本じゃないよ!?」
「……また、えっちな本を買ってきたんですか?」
 顔は笑っているが、目が笑っていない。夏なのに寒い。
「ち、違うよ? こ、これは、その、ちなねえが表紙見ただけで失神しちゃうくらい怖いマンガなんだ! だ、だから残念だけど見せられないんだ!」
「……私は怖いの、平気です。……むしろ、タカくんの方が苦手ですよね? ……ホラー映画見て、一人で寝れなくなっちゃうくらい」
 人の弱点を嬉々として話す姉。2週間前という太古の話だから、今は平気。のハズ。
「……さ、もういいから貸してください」
「だ、ダメだ! こればっかりはいかにちなねえとは言え、渡すわけには!」
「……逆らうと、お仕置きレベルあっぷの予感」
「どうぞ、お納めください」
 うやうやしくちなねえに包みを渡す。
「……まったく、最初から渡せばいいものを」
 ぶちぶち言いながら、ちなねえは包みを破いた。
「っ! ……こ、これは……」
「ごっ、ごめん、ちなねえ! 気持ち悪いよね。ちなねえがいるのに、そんな本買ったりして……」
 なんだか無性に申し訳なくて、顔を伏せたままちなねえに謝罪する。
 怒られるのはともかく、嫌われたら辛いなぁと考えてたら、肩を軽く叩かれた。恐る恐る顔を上げる。
「……ぐっどです。……べりーべりーぐっどです」
 今までにないほど輝いた笑顔で、ちなねえは親指を立てていた。
「え、あの、……エロ本だよ?」
「……姉と弟の愛を伝える、素晴らしい本です。……お姉ちゃんは感動しました」
「……えーと」
「……それじゃ、私はこれで。……タカくん、頑張ってください」
「何を!?」
 意味深な笑みを残して、ちなねえは出て行った。
 それからと言うもの、気がつけば俺の部屋に見知らぬ姉系のエロ本が増えてます。
 一度ちなねえに訊ねたら、「……し、しし、知りません。知らぬ存ぜぬ、です。……エロ本という単語は、いま知りました」という答えが返って来た。確実に奴の仕業です。

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【学校帰りにちなねえと会ったら】

2010年03月31日
 最近仲良くなった先輩と一緒に帰ってると、偶然ちなねえの後姿を見かけた。
「ちなねえ!」
「あっ、タカく……」
 振り向いた時は微笑んでいた顔が、隣の先輩を見た瞬間に不機嫌そうになった。
「……何か用ですか?」
「え、いや、用っつーかなんつーか、偶然見かけたから声かけただけで、ついでに一緒に帰ろうかなー……なんて」
「……家にいたら嫌でも会うんです。……わざわざ外でも一緒にいる必要なんて、ないです」
 俺を一刀両断して、ちなねえは先輩に微笑みかけた。
「……ごめんなさいね。……不肖の弟が迷惑ばっかりかけて」
 先輩は無言で首を横に振った。迷惑ではないらしい。
「……そう? ……それじゃ、私は先に帰ります」
 先輩は俺にだけ聞こえるくらい小さな声で「全部私にお任せです」と言った。言った瞬間、ちなねえのこめかみが引きつった。
「ち、ちなねえ、……もしかして聞こえた?」
「……な、何を言ってるのかさっぱりです。……全く、変なことばかり言う子です」
 それだけ言って、ちなねえは足早に去って行った。
「…………」
「え、任せ代として、喫茶店に連れてけ? ……先輩、ひょっとして、俺のおごりか?」
 嬉しそうにコクコク頷く先輩に、軽くため息をついて喫茶店に向かった。
 喫茶店で散財した後、先輩と別れ帰宅する。
「はー……やれやれ、先輩食いすぎだよ……」
 独りごちながら自室に入る。
「……お帰りなさい、タカくん」
 ちなねえが俺の部屋にいた。
「あ、ただいま。ちなねえ」
 挨拶を返すと、ちなねえがすすすーっと寄って来た。
「……さっきはごめんなさい。……お姉ちゃん、タカくんを立派な人間にするため、外では厳しくするようにしてるんです」
 俺の手を握りながら、謝罪するちなねえ。
「いや、別にいいよ。毎度のことだし」
 ちなねえは外で会う度、いつもこうして謝ってくる。俺を想っての行為に喜びこそすれ、どうして怒らなければいけないのか。
「……タカくんが優しい子に育ってくれて、お姉ちゃんはとても嬉しいです」
「よ、よせよちなねえ、優しいとか勘弁しろよ……」
「……そんな優しいタカくんは、当然、隣にいた子のことを教えてくれますよね……?」
「え、いや、別に先輩はちなねえに紹介するような子じゃ」
 握られた手に、この小さな体のどこに隠してたんだと思えるほどの力が込められる。
「……教えて、くれますよね?」
「おっ、教える! 教えるからちなねえ、手離して!」
 ちなねえの手が離れる。すげー痛かった。
「……最初から言えればいいんです。……それで?」
「いてて……それでもなにも、ただの友達だよ」
「……友達、ですか?」
「それ以外何があるってんだよ」
「……こ、恋人……とか」
「そうだとよかったんだけど、残念ながらただの友達だ」
 ちなねえはなんだか心底安心したかのように、深く息を吐いた。
「そうですか。……友達ですか」
「ちなねえがいるのに、恋人なんて作るわけないだろ」
「っ!! そ、それはどういうことですか!? お、お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから、タカくんの恋人じゃないですよ!?」
「当たり前だろうが。そうじゃなくて、ちなねえの面倒見るのに忙しくて、恋人なんて作ってる暇ないって事だよ」
「あ、ああ……そういうことですか。……あ、タカくんが私の面倒を見てるのではなく、私がタカくんの面倒を見ているんですよ?」
「俺がちなねえに面倒見てもらったことなんて、一度たりともない! ところでちなねえ、今日の晩御飯なに?」
「……言ってるそばから面倒見られまくりです」
 呆れたようにため息をつくちなねえ。
「……まったく、困ったものです」
 なんて言いながら、ちなねえは嬉しそうに微笑むのだった。

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【月刊お姉ちゃんの占いコーナーを一緒に見ようとせがむちなねえ】

2010年03月31日
 外から帰ってきて、汗かいた。着替えよう。
「上着分離! ズボン分離! そして……パンツマン参上!」
「…………」
 一人でかっこいいポーズを決めてたら、いつの間にか部屋に入ってきていたちなねえに無言で見られてた。
「…………」
 固まったまま、ちなねえと見つめあう。
「……タカくんではなく、パンツマンでしたか。……失礼しました」
「いやあああ! 見ないで、俺を見ないで!」
 あまりの羞恥にしゃがみ込み、頭を抱える。
「……誰にでも一つや二つ、人に言えない趣味があるものです」
「違う、趣味じゃないです! ちょっと魔が差しただけなんです!」
「……いいんです。……どんな特異な趣味を持ってたとしても、お姉ちゃんはタカくんを見捨てたりしませんから」
 いっそ見捨ててくれた方がどれだけ楽か。とにかく、急いで着替える。
「はぁぁぁぁ……。んで、ちなねえ。なんか用か? 俺は今から傷心の旅に出かけるので手短に」
「……今日買ってきた本の占いを、一緒に見ようと思いまして」
「あ~……俺、そういうのあんま信じてないんだよな……」
「……お姉ちゃん、なんだかタカくんのステキな趣味をお友達に教えたくなりました」
「是非見ましょう、いま見ましょう、すぐ見ましょう! ちなねえと一緒に本を見れるなんて幸せだなぁ!」
 ちなねえの脅迫にあえなく屈する。
「し、幸せだなんて……タカくんの幸せは簡単ですね」
 やけに嬉しそうに俺の背中をばんばん叩くちなねえ。遠慮なしなので結構痛い。
「……さ、さぁ、早く見ましょう」
 ちなねえは持ってきた包みを破り、中の雑誌を机の上に広げた。目に痛いほど弟という文字が並ぶ。
「……また月刊お姉ちゃん、スか」
「……家宝に成り得るほど、良い本です。……ええと、占いコーナーは、と……」
 ぱらぱらとめくり、目当てのページで止まる。
 本来なら『今月の恋愛運』とあるべき場所に、『今月の弟運』とあった。なんだ、弟運って。
「……今月の弟運は最高。……弟と急接近の予感。……ラッキープレイスは、近所の公園」
 ちなねえがにやにやしだした。
「……タカくん。お姉ちゃんは、なんだか公園に行きたくなりました。……ただ散歩したいだけで、他の意図は全くありません」
「ちなねえ、嘘下手すぎ」
「…………」
 ちなねえがしょんぼりした。なんだか可哀想になったので、つきあってあげることにする。
「というわけで近所の公園ですが、暑いせいか人気があまりないね、ちなねえ」
「……弟と急接近。……どきどき、どきどき」
 俺の話を聞かず、ちなねえは口でドキドキ言っていた。
「変な人だ」
「むっ。……お姉ちゃんは変じゃないです。……変の称号は、タカくんにこそ相応しいです」
「はいはい。しかし、あっちーなぁ」
「むむっ。……お姉ちゃんを適当にあしらうとは、許しがたいです。……罰です」
 そう言うと、ちなねえは俺の腕に自分の腕を絡ませた。
「ちっ、ちなねえ!?」
「……この暑い中、私とくっつくことで体温を上昇させるという罰です。……熱中症にならないよう、注意が必要です」
 もう熱中症になってるんではないだろうかと心配するほど赤い顔のまま呟くちなねえ。
「はぁ……やれやれ」
「……罰ですから、もっとくっついて体温を上昇させます」
 そう言って、ちなねえはさらにくっついてきた。控えめな胸の柔らかな感触が腕に伝わる。
「ちっ、ちなねえ! あ、当たってる、当たってるから!」
「……あ、当ててるんです」
「んなこと言ってると打ち切りされるぞ!」
「……? タカくんは今日もよく分からないこと言いますね。……あ」
「ふぎゃっ!?」
 いきなりちなねえに押し飛ばされ、顔面から木にぶつかる。
「いつつ……いきなり何すんだよ!」
「あれ、別府くんじゃない。何やってるの?」
 ちなねえに文句を言ってると、クラスメイトの梓に声をかけられた。
「あー……木陰で休んでる」
「暑いもんね。えっと……こちらは?」
「……お初にお目にかかります。私、これの姉です」
 俺を突き飛ばしたにも関わらず、涼しい顔をしてるちなねえが梓に自己紹介した。
「あ、は、初めまして! ボク、梓って言います! よろしくです!」
「なに緊張してんだよ」
「だ、だって……綺麗な人だし」
 俺にしか分からないほど小さく、ちなねえがにやけた。
「ちっこいけどな」
「……弟の度量ほど小さくないです」
「し、失敬な!」
「あはは……それじゃボク行くね。また学校でね、別府くん。お姉さんもサヨナラ」
 バイバイと手を振って、梓は公園から出て行った。見えなくなった途端、ちなねえがすすすーっと俺のそばに寄ってきた。
「……タカくん。顔、大丈夫ですか?」
「どっかのちっこいのにいきなり押し飛ばされ木にぶつかったため、大変痛い」
「……ごめんね、タカくん。……悪いお姉ちゃんでした」
 そう言ってちなねえは俺のそばにしゃがみ込み、俺の頬を両手で優しく撫でた。
「……痛いの、取れました?」
「あ、うん。……じゃなくて! なんでいきなり突き飛ばすんだよ!」
「……だ、だって、……そ、そうです。……タカくんがお姉ちゃんと一緒にいて、彼女さんと勘違いされないようにしただけです」
 少しだけ目を反らし、ちなねえは小さな小さな声で「……腕組んでるの見られて恥ずかしいから、突き飛ばしたんじゃないです」なんて言った。
「……そースか。お気遣いに感謝します」
「そ、そうです。……タカくんは、もっとお姉ちゃんに感謝すべきです。た、例えば、……なでなでして労わる、……とか」
「今年で何歳ですか、なでなでされると喜ぶ人」
 ちなねえが泣きそうになった。可哀想なので撫でた。
「……やっぱりあの本の占いは当たります。……的中率ばつぐん、です」
 なんて言って、ちなねえは微笑んだ。……ちょっとドキドキした。
「……そ、そうだタカくん。弟と一緒に寝ると、世界平和になると占いに」
「却下」
 ちなねえは悲しそうにうつむくのだった。

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【職員室で騒動を起こしている所をツンデレに見られたら】

2010年03月31日
 ここ数日の猛暑で、死にそう。クーラーもこの間壊れちゃって温風しか出ないし、辛い。
「う~あ~う~。みんな~、おはよー。先生だよーん。……出席取るるー」
「先生、だらけ過ぎです」
 教室に入ると、双海に注意された。
「だって暑いんだもん」
「暑いんだもん、じゃないです! 先生なんですから、もっとしっかりしてください!」
「むー……分かった。しっかし、本当最近暑いよな。みんな、暑いし授業さぼってプール行かない? 先生泳ぐの得意だぞー?」
「教師が率先してサボらせないでくださいっ!」
 叱られたので授業する。ぽやぽやしてたらチャイムが鳴った。
「やたっ、終わった!」
「先生がそういうこと言わないでくださいっ!」
「ご、ごめんなさい」
 やることなすこと全部怒られる。
「……ったく。はい、起立、礼」
 双海の号令で授業終了。職員室に戻り、机に倒れこむ。
「あちー……」
「あははっ、暑そうですね」
 甲高い声に振り向くと、ここの生徒より幼く見える大谷先生がいた。
「こうも暑くちゃ、授業に集中できなくって。大谷先生、なんかいい方法ない?」
「パンツ一丁で授業したら涼しいですよ? ……なーんちゃっ」
「それはいい案だ!」
 早速上下脱いでパンツ一丁になる。うむ、涼しくていい感じ。
「ひゃああああ! せ、先生!?」
「涼しくていいですよ。ほら、大谷先生も!」
「わ、私はいーですよぉ!」
「遠慮は無用! さあ、全部俺に任せて!」
「や、ヤダヤダ! ふえーーーーん!」
「失礼します。先生、ここ……って、何やってんですか!」
 職員室にやって来た双海が駆け寄ってきて、大谷先生を脱がそうとしてる俺を張り倒した。
「いてて……い、いや俺は善意で」
「善意で、じゃないです! 大谷先生泣いてるじゃないですか!」
「ふえーん、奈々ちゃーんっ」
 情けない声で双海に抱きつく大谷先生。ほんとに教師か、この人。
「ああよしよし、泣かないでください先生」
「俺は泣いてないぞ。大人だからな」
「先生じゃなくて、大谷先生ですっ! 馬鹿な方の先生も服着てください、服っ!」
「呼んでるぞ、馬鹿な方の先生」
「え、ワシ?」
「違うっ! パンツ一丁の方っ!」
 通りかかった校長に呼びかけると、双海に叱られた。
「よかったー、ワシじゃなかったー」
「うっさい、ハゲ」
 俺だけ叱られて悔しかったので、校長のつるりと禿げ上がった頭を見ながら言ってやる。
「校長先生になんて口きいてんのよっ! 謝りなさいっ!」
「ハゲの魅力に気づかず申し訳ありませんでした」
「そういうことじゃなくてっ! ……ああもう、ごめんなさい校長先生。この馬鹿に後でよーっく言って聞かせておきますから」
 俺じゃなく双海が校長に謝った。
「うむ、可愛い女の子に謝られていい気分なので許すっ! じゃ、ワシは体育を見学してくるので、これで!」
 ブルマブルマと歌いながら、校長はスキップで職員室を出て行った。
「……この学校ってすげえな」
「……うん」
 思わず双海と頷きあう。
「じゃ、俺も校長に倣ってブルマを視姦してくる」
 そそくさと職員室を出ようとしたら、双海に肩を掴まれた。
「……言いたいことは星の数ほどありますが、とりあえず。服着ろ」
「は、はい」
 すごく怖かったので服を着る。
「次。大谷先生に謝る」
「幼い肢体を気にしていることに気づかず、申し訳ありませんでした」
「違うっ!」
「じゃあ双海は大谷先生が大人の色気でムンムンと、そう言うのだな?」
「え、えと……」
 双海は大谷先生を見下ろした。
「誰がどう見ても年下のはずである双海の方が色気があることに、この職員室全ての人間が心の中で確信していた」
「思っても口に出すな、この馬鹿教師っ!」
「ふええええーんっ!!」
 双海に殴り飛ばされるは、大谷先生に泣かれるは、大変。
「いつつ……ほ、ほらアレだ。昨今はつるぺたの方が需要があるから、大谷先生もそんな泣く必要ないぞ?」
「つるぺたじゃないもん! ちょっとあるもん!」
「はいはい。それにな、大人になったら胸も大きくなるかもしれないから、希望を捨てるな」
「もう大人ですっ! ふえーん、奈々ちゃーん! 先生がいじめるよーっ!」
「先生っ!」
「ごめんなさい」
 双海に叱られたので、大谷先生に謝る。
「うう……もういじめない?」
「幼い恋愛感情が炸裂してしまい、いじめちゃったのです。ごめんな」
 適当言って逃れようとしたら、大谷先生の顔が真っ赤に染まった。
「大谷先生?」
「え、あ、……えへへへへっ♪ なーんだ、そっかー♪ じゃあしょがないねー♪」
 ものすげーニコニコしながら俺に笑いかける大谷先生。
「……な、なぁ双海。どうしちゃったんだ、大谷先生?」
「私が知るわけないでしょうがッ!」
 その一方で急に機嫌を損ねる女生徒が一人。
「え、えーと……あ、チャイム! 授業行かねば! 双海も早く教室戻れよーっ!」
「あ、こら待て馬鹿教師!」
 逃げるように職員室から飛び出す俺だった。

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【ボクっ娘とカキ氷を食べたら】

2010年03月30日
 暑い。まるで太陽が俺だけを照らしてるかのように暑い。
「それというのも全部貴様のせいだ、ボクっ娘ぉぉぉぉぉ!!!」
「え、え?」
 一緒に下校してたボクっ娘の鼻っ柱に指をずびしとつきつけると、梓は目を白黒させた。
「説明すると、ボクっ娘がボクと言うたびに俺の体感温度が1℃上がるんだ」
「上がるんだ、じゃないよ! いきなり何言ってんだよ、ばか!」
「いやいや、本当に。試しにボクとか言ってみろ」
「嫌だよ。どーせ言ったら『うぐー梓のせいで暑くなったーどうにかしろー』とか難癖つけられるもん」
 む、ボクっ娘のクセに学習してやがる。生意気な。あと超似てねぇ。
「言わない言わない。言う訳がない」
「むー……」
「ほれほれ、言ってみ? だーいじょうぶだって、一回聞いたら満足するから」
「……一回だけだよ? えっと、……ボク」
「うぐー梓のせいで暑くなったーどうにかしろー」
「一字一句違わず一緒だよ! ……はぁ、思った通りだぁ」
「そんな訳で梓より体温が1℃高い俺を助けろ。褒美に俺の秘密を教えてやるから」
「秘密って……どんなの?」
「一週間にどれだけ精を放出するとか、それに使用するオカズとか」
「そんな秘密聞きたくないよっ! ご免こうむるよっ! 記憶から抹消したいよ!」
「だがしかし、すでに梓は俺の秘密を聞いてしまったので助けざるを得ないのだった」
「だった、じゃないよ! もう、勝手なんだから……」
「ま、ま。ほれ、なんか案ないか?」
「……どっかでカキ氷でも食べる? ちょっとは涼しくなるかも、だよ」
「おっ、いいな。しかも奢りとは嬉しいねぇ」
「そんなこと一言も言ってないよ! 奢らないよ! むしろ奢って欲しいよ!」
「けちー」
「……えっと、確かタカシに貸してたお金の総額は……円だね。半分だけでも返してもらおうかな、今すぐに」(にこやかに微笑みながら)
「今日は俺が奢らさせて頂きます、梓様。ですからどうかもうしばし待って頂きたい!」
「え、ホントに奢ってくれるの? えへへっ、なんか悪いなぁ♪」
 くっ、してやったりな笑顔をしおって。こんなことばかりしてるから借金が減らないってのに。悔しいので鼻つまんでやる。
「ひゃ、ひゃふ~」(鼻声)
 調子に乗って怒られた後、喫茶店へ行き、カキ氷を二つ頼む。俺はイチゴ、目の前で嬉しそうにニコニコしてるのはミルク。
「しゃぐしゃぐしゃぐ……あぅっ、頭キーンってする」
「俺は頭にゃるーんってする」
「……にゃるーん?」(極めて神妙な顔つきで)
「にゃるーん」
「……にゃるーん」
 にゃるーんと言いながら、梓は俺のカキ氷を一口食べた。
「あっ、勝手に人の食うな!」
「むぐむぐ……にゃるーんってならないよ?」
「病気です」
「そんなわけないじゃん! むしろにゃるーんってなる方が病気だよ! にゃるーん病だよ!」
「にゃるーん病。見る人物全ての頭にネコミミが見える病気。ある種羨ましいと言えなくもないが、脂ぎったオッサンの頭部にもネコミミが見えるため自殺者が後を絶たない」
「また適当言って……」
 少し呆れた様子で、梓は自分のカキ氷を一口食べた。
「ん~……おいしいねぇ。しゃぐしゃぐしゃぐ」
「……うまそうだな。梓、その牛の乳汁がかけられた氷を少しくれないか?」
「そういう風にヤな言い方する人にはあげないもんね」
「訂正。まだら生物の体液がかけられた氷を」
「余計嫌だよっ! あーもう、あげるから変なこと言わないの!」
 梓はスプーンで氷をすくい、俺の口の前まで持ち上げた。ぱくりと一口で食べる。
「んぐんぐんぐ。うむ、梓の乳はうまいな」
「変なこと言うなって言ってるだろっ! もう……」
「じゃあ間接キスとか、そういうことも黙ってる」
「……あっ! ……そ、そうだね。そんなの、どうでもいいし、ボクも気にしないもんね」
「……気づいてなかったのか? さすがはボクっ娘、天下の粗忽者だな」
「気づいてたよ、気づきまくりだよ! ……うー」
 じゃあ、なんでさっきから顔を赤くしてスプーンを眺めてるのだろう。

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