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2026年03月17日
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【ファンタジーな世界でツンデレをかばって男が大けがしたらどうなるの】

2010年04月14日
 今でない時、ここでない場所。剣と魔法な世界に住む俺は、宿代を稼ぐためギルドで怪物退治を請け負い、怪物が出るという場所へ向かっている最中だった。
「それで、何を退治するの?」
 相棒のかなみがめんどくさそうに俺に語りかける。
「んーと、ゴブリンを1匹、かな。畑を荒らすんで、退治してくれって近隣の村から依頼があった」
「地味ねぇ……ドラゴン退治とか、そういう派手な依頼ないの?」
 腰の剣を抜き、かなみは近くの草を切った。
「返り討ちに遭うのがオチだろ。かなみはともかく、俺は最近まで武器なんて使ったことなかったんだ。一瞬で焼き尽くされるぞ」
 真新しい剣が腰にあるのを確認しつつ、かなみに答える。
「そんなのがなんで怪物退治なんてするの?」
「一番依頼額が高かったから。もう三ヶ月分ツケがたまってるし、少しは払っておかないと追い出される」
「……そんなとこだと思った」
 かなみは呆れたように息を吐いた。
「ま、かなみがいるから大丈夫だろ」
「……へぇ、信頼してくれてんだ」
「かなみなら片手でトロルでも引き千切るのも容易いだろうし」
「人を筋肉バカみたいに言うなっ! 無理に決まってるでしょ!」
 などと適当に話していると、依頼された場所についた。
「ここね、ゴブリンが出るっていう畑は」
「近くに森があるな。あそこからやってくるんだろ」
「どうする? 来るの待つ?」
「いや、こっちから行こう。相手は一匹なんだ、大丈夫だろ」
「……戦いの素人がなんか言ってるけど、その通りね。んじゃ、サクサク行きましょ」
 毒を吐いてからかなみは森の中へ入って行った。置いていかれては敵わないので、俺も後に続く。
 しばらく森を歩いていると、洞穴を見つけた。
「あそこかな?」
「よし。かなみ、突っ込め」
「なんで私が! こういうのは男の役目でしょ!」
「じゃあ尚更だ。行け、かなみ」
「誰が男か! いーから行けッ!」
 尻を蹴っ飛ばされ、洞穴に頭から突っ込む。
「いてて……ったく、蹴らなくてもいいのに」
 洞穴の中は暗く湿っていた。鞄の中からカンテラを取り出し、火を入れる。
「…………」
 明かりに照らされ、洞穴の中がはっきり見えた。10匹以上いる、ゴブリンの姿が。
「うわ、うわあああ!」
 慌てて洞穴から飛び出し、外で待機していたかなみに抱きつく。
「ちょ、ちょっと! なに抱きついてんのよ!」
「ご、ご、ゴブリン! 10匹ぐらいいる!」
「うそっ!? 依頼じゃ1匹って話だったんじゃないの!?」
「いーから逃げろ! 俺たちじゃ無理だ!」
「ダメよ! 私たちが逃げたら、村が襲われるじゃない!」
「そんな場合じゃないだろ! 死ぬぞ!?」
 そうこうしている内に、洞穴からゴブリンたちが姿を見せた。その数、ざっと10。
「私だけでもやってやる! タカシは応援呼んで来て!」
 その群れの中に、かなみは剣を掲げて飛び込んだ。
「ああもう……畜生! お前一人じゃ持ち堪えられるわけないだろうが!」
 鞘から剣を抜き、俺も群れに飛び込む。ゴブリンたちは雄叫びを上げて敵を迎えた。

 どれくらい剣を振るっただろう、もう腕の感覚はない。体は裂傷複数、打撲多数で満身創痍。地面にはゴブリンたちの死骸が8つほど。
「はぁっ、はぁっ……ちょっと、きついわね」
「はぁ、はぁ……言っただろーが、逃げろって」
「うっさいなー、私は応援呼んでって言っでしょ。……バカね、アンタだけでも逃げりゃいいのに」
 笑いを浮かべるかなみだったが、イマイチ精彩に欠ける。俺と同じように、限界が近いのだろう。
「バカはそっちだ」
「うるさいわね、アンタこそ……」
「ほっとけるわけないだろ。仲間なんだから」
 残ったゴブリンがじりじりと間合いを詰めてくる。数はこちらと同数だが、傷を負っていないだけ向こうが有利だろう。
「……あは、仲間か。……アンタって、そういうことしれっと言うのね」
「さぁって。かなみ、生き残るぞ」
 血がこびりついた剣を持ち直す。ゴブリンは低い唸り声を上げた。
「ふふっ、素人がかっこつけて。……そうね、こんな怪物が相手じゃ私の輝かしい歴史の終止符に相応しくないものね」
 そう強がって、かなみも剣を持ち直した。そして、化け物に飛び掛った。
 もう一匹のゴブリンがかなみに襲い掛かろうとしたところを、牽制してこちらに向かせる。
「お前の相手は、俺だよん」
 軽口を叩きながら両手で剣を持ち、ゴブリン目掛けダッシュ。鋭い爪を皮鎧で受け、思い切り胴体を貫く。ゴブリンは悲痛な叫びを上げながら、尚も爪を振り回した。
 鎧を切り裂き肩にまで爪が食い込むが、それでもゴブリンを貫いたまま剣を奴の背後にある木に突き立てる。苦悶の叫びを上げ、ゴブリンは息絶えた。
「かなみは!?」
 慌ててかなみを見ると、ちょうどゴブリンを仕留めたところだった。ほっと胸を撫で下ろす。
「あー……しんどかった」
 地面に転がるかなみの元へ歩み寄ろうとして、気づいた。洞穴にもう一匹いる。そして、そいつは今まさにかなみに襲いかかろうとしていた。
「かなみッ!」
「えっ、きゃっ!」
 かなみを突き飛ばすと同時に、背中に衝撃と熱が走る。
「ちょっと、いきなり何……」
 かなみの顔が青く染まっていく。
「逃げろ、かなみ……」
「ちょっと、ねえ! なに血なんか流してるのよ! ちょっと、やめてよ!」
「ばか、逃げろって……」
「やめてよ、嘘でしょ!? ねえ、タカシ!」
 意識が保てない。かなみの像が揺らぐ。ただかなみの無事だけを願い、俺の意識は閉じた。

 目覚めると、そこは白い部屋だった。
「……あっ、タカシ!」
 耳をつんざく大声に振り向くと、そこに目を潤ましたかなみがいた。
「アンタねぇ、生きてるならとっとと起きなさいよ!」
 目を擦りながら、かなみは少し怒ったように言った。
「ええと……どうなったんだ?」
「あの後、偶然通りがかった魔術師に助けてもらったの。……あそこ、ゴブリンの巣窟だったんだって」
「なんだって!? ギルドの親父、適当なこと言いやがって……依頼料上乗せしてもらわないとな」
「それより! なんで庇ったりしたの!? 下手したら死ぬところだったのに!」
「なんで、と言われても……体が勝手に動いたんだ、仕方ないだろ」
「何それ! 馬鹿にしてるの!?」
「まーまー、いーじゃん。助かったんだし」
「よくない! あのままタカシが死んだりしたら、私、わたし……」
 かなみの瞳から涙が零れる。
「かなみ……」
「うぐっ、ひっく……次あんなことしたら、許さないから! 勝手に死んだりしたら、殺すからね!」
「……殺されるのは敵わないな。分かった、次からは無茶しない」
 流れる涙を手で拭ってやる。
「……約束、だよ?」
 その手を、かなみはぎゅっと握った。未だ潤む瞳で、俺をじっと見ている。
「……ああ、約束だ」
 かなみの目が閉じられた。吸い込まれるように、俺は……
「……ちーす。……ん、病院でエロいことしてるので、罰ー。……なむなむ、ふぁいあー」
 魔術師の衣装に身を包んだ変な奴が、病室に入ってくるなり俺目掛け火の玉を放ってきた!
「うぎゃあああ!」
「ああっ、タカシが吹っ飛んだ!」
「……正義の勝利。……ぶい」

 後で聞いた話だが、俺を吹っ飛ばした悪魔は、かなみを助けてくれた魔術師らしい。
「……ちなみです。……愛と正義のラブリー魔法使いなのです」
「愛と正義の人は怪我人に火の玉放ったりしないぞ。“暴力と悪の残虐魔法使い”ならよく似合ってる」
「……むか。……不愉快なので、貴方のパーティに入ることにします」
「なんで!?」
「……ダメな人を更生させるのもラブリー魔法使いの務め。……ふぁいと、ちなみ」
 悪魔が仲間に入ってしまった。
「うう……せっかくタカシと二人きりのパーティだったのに……」
 かなみが何か言ってるけど、俺はただ悪魔の参入に頭を抱えるばかりだった。

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白1

2010年04月14日
 2ヶ月ほど入院していた白が今日、退院してきた。
男「やっと復帰できたか。よかったな」
白「うん、ありがとね。……でも、いっぱい休んじゃったし、進級できるかな」
男「もし白が留年することになったら、職員室を襲撃してウヤムヤにするから大丈夫だ」
白「ダメだよ! もう、悪いことしたら神様に怒られるよ?」
男「神様?」
白「そう。神様はね、いっつも私たちを見守っててくれるの。だから、悪いことしたら罰が当たるよ?」
男「はぁ」
白「あーっ、信じてないね。ホントだよ? こうしてる今もキミを見て、どんな罰を与えようか考えてるよ」
男「悪いことなんてしたことないから平気さ」
白「一度も?」
男「一度も」
 疑わしげな白の視線に晒されていると、友人がやってきた。
友人「おい、先生がお前探してたぞ。こないだのアレじゃないか?」
男「こないだのアレ?」
友人「ほら、アレだよ。学校でチキンレースやって、お前が勢い余って自転車ごと池に落ちて、そこの鯉が全滅したやつ」
男「でも、代わりの魚入れといたから大丈夫だろ?」
友人「……金魚でどうやって誤魔化すんだよ」
男「魚なんてどれも似たようなもんだろ」
友人「全然ちげーよ! とにかく、伝えたからな。気ぃつけろよ」
男「分かった、サンキュ」
 白に向き直ると、とても睨まれていた。
男「……かように、私は悪いことなんて一度も」
白「すっごい悪人だね。おでこに『悪』って刺青した方がいいよ」
 それはただの馬鹿です。
白「鯉さん可哀想だよ」
男「故意ではないので許してください」
白「わ、すっごいつまんないね」
男「…………」
白「鯉と故意をかけたの? ね? 駄洒落?」
男「ええいうるさい! とにかく、……何の話だっけ?」
白「キミが駄洒落好きって話だよ」
 誤情報が白の頭にインプットされていた。駄洒落は嫌いです。
男「じゃなくて! お前の進級の話だよ」
白「だいじょーぶだよ。なんとかなるんじゃないカナ?」
 カナとか言うな。間違っても二回言うなよ。
男「ま、なんかあったら言ってくれ。俺にできることなら、なんでも力になる」
白「そ、そう? あはは、ありがと」
男「言い換えれば、できないことは何もしない」
白「……それ言わなかったら、かっこいい台詞だったんだけどね」
 苦笑いを浮かべながらも、少し嬉しそうな白だった。

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【ツンデレにお前って萌えキャラだよなって言ったら】

2010年04月13日
 暇なので梓をからかおう。
「ボクっ娘、ちょっと来い」
「なに? タカシ」
「…………」
 反抗されないのもそれはそれでつまらないので、とりあえずほっぺを引っ張る。
「あぅ~! ひはひひはひ!」
 満足したので手を離すと、梓は痛そうにほっぺをさすった。
「いてて……いきなり何すんだよぉ!」
「萌えキャラはいじられてナンボと、さるゲームで言ってたのでな。俺もそれに倣ったまでだ」
「ボクは萌えキャラなんかじゃないよ!」
「なんだと! 頭のてっぺんから足の先まで萌えキャラのくせに、何を言うか!」
「ボクは頭のてっぺんから足の先まで理知的な大人の女性だもん! 萌えキャラなんかじゃないもん!」
 理知的な女性は語尾に“もん”なんてつけないと思う。
「じゃあ萌えキャラチェックだ。第一問、タイヤキを買ったが財布を忘れた。さぁどうする?」
「簡単だよ。ごめんなさい、財布忘れたんでやっぱ買わないです、って言ったらいいんだよ」
「その場合、店主がお前を肉奴隷にするぞ」
「怖いよ! そんなお店最初っから行かないよ!」
「仮定の話だ、仮定の。その店で買ってしまったとして、どうする?」
「うう……買わなかったら、その……なんとかにされるんだよね?」
「肉奴隷な。具体的には、まだ何者にも触れられていないであろう、まっさらな梓の」
「言わなくていいよッ! ……ええと、お母さんに電話してお金を持ってきてもらう、かなぁ」
「残念、そこの店主は電話が死ぬほど嫌いなんだ。携帯なんか使ったら、間違いなく梓はタイヤキの具にされるぞ」
「怖いよ! 怖すぎるよ! ていうか無茶苦茶だよ!」
「さ、どうする?」
「うう……買わないのもダメ、電話するのもダメ……それじゃ、色仕掛けでタダにしてもらうとか? うっふーん」
 梓は肩をはだけて俺に流し目を送った。
「残念、ボクっ娘には色気がないので色仕掛けは不可能だ」
「あるよ! ありまくりだよ! うっふーんだよ!」
 扇情的なポーズで色気を振りまこうとしているが、あまりうっふーんではない。
「そういうことはもっと大きくなってから言いなさい」
「おっきいよ! 大人だよ! 花の高校生だよ!」
「あ、いや、胸の話。勘違いさせて悪かった」
「謝られても嬉しくないよッ!」
 謝ったのに怒られた。
「とにかく、不可だ。どうする?」
「ええとええと……うーん、逃げるしかないかなぁ」
「食い逃げか!?」
「う、うん、それしかないよね?」
「結果が出ましたー。はくしゅー」
「え、もう? 質問一つしかされてないよ?」
「はくしゅー」
「う……ぱちぱちぱちー」
 やや不満顔だが、それでも梓は拍手した。口でぱちぱち言う必要はないです。
「はい、どうも。タイヤキを食い逃げすることから、梓は間違いなく萌えキャラです」
「ええっ、なんで!? ボク、萌えキャラなんかじゃないよ!」
「ええいうるさい! タイヤキを食い逃げした時点で、たとえ髭面のおっさんでも萌えキャラ化するのだ!」
「タカシ無茶苦茶だよぉ!?」
「無理が通れば道理が引っ込むとノッポさんが言ってただろうが!」
「ノッポさん関係ないよ! 第一、ノッポさん喋らないよ!」
「じゃあノッポさんは無罪ということで」
「よかったぁ。……あれ、別にノッポさんの話してたんじゃないよね」
「さて。暇も潰れたしどっか遊びに行くか、梓」
「あ、行く行くー。どこ行くの?」
 服を着替ようとしたが、梓が腕を引っ張るので着替えられない。
「ねーねー、どこ行くの? ねー」
「ちょっとは落ち着け。着替えるまで待て。ほれ、なでなで」
「あぅ……うー、すぐ撫でるぅ……」
 頭を撫でると、梓は嬉しそうに目を細めるのだった。……やっぱ萌えキャラだよなぁ。

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【ツンデレが得意料理を披露してきた】

2010年04月13日
「じゃ~ん! おべんとお~♪」
 かなみが弁当を取り出して俺に差し出してきた。
「……狂った?」
 無言で殴るのはやめて頂きたい。
「そうじゃなくて! アンタ、私が料理下手だろって昨日言ったでしょ! その発言を撤回させるため、わざわざ作ってきてあげたのよ!」
「いや、俺パン買ってきてるし……」
「食べるわよね? わざわざ早起きして作ったんだから」
 目が「食わないと、殺す」と言っているので、俺は震えながらうなずいた。
「確かアンタ玉子焼き好きだったよね?」
「は、はい」
「なに緊張してんだか……はい、ご開帳~」
 蓋を取ると、玉子焼きがででんと。玉子焼きが弁当箱全てを占めていた。
「……え」
「私、玉子焼きは得意なんだ。ほら、食べて食べて」
「あ、いや、その、……これだけ?」
「んなわけないじゃん。はい、これ」
 かなみはもう一つ弁当箱を取り出し、蓋を取った。中にはおにぎりがぎっしり詰まっていた。
「知ってる? 炊き立てのご飯ってすっごい熱いんだよ。もう二度とおにぎりなんて作らない」
「は、はぁ……その、それで、他のおかずは?」
「これで終わり」
「…………」
「食え」
「……ええと、はい」
 なんだろう。折角お弁当作ってもらってるのに、嬉しいどころか恐怖を感じる。
 震える手でおにぎりを掴み、口に入れる。
「おいしい? おいしい?」
「もぐもぐもぐ」
「おいしい? ね、おいしいでしょ?」
「むしゃむしゃむしゃ」
「早く飲み込めっ!」
「むぐむぐごっくん。かなみ、お茶」
「はいっ!」
「あついっ!」
 お茶を頼んだら熱い茶を浴びせられた。
「熱い熱い熱い! 茶が、茶が顔に!」
「いいから感想言いなさい! おいしい? おいしいでしょ!?」
「熱い」
 お茶が俺の頭に注がれた。違う、そこからじゃ飲めない。
 熱さのあまり床を転げまわっていると、かなみがおにぎりを持って俺に迫ってきた。
「ほら、も一個食べて! で、ちゃんと感想言いなさい!」
 有無を言わさず口に無理やりおにぎりを詰められる。気分は拷問。
「おいしいでしょ?」
 仰向けで飯を食うのは大変難しいです。
「げふげふげふっ! ノド、ノドに詰まった!」
 なんで飯を食うだけでここまで大騒ぎしなきゃいけないんだろう、なんて思いながら意識が遠のく。
「はい、お茶」
「ぐはっ! げふっ、げふげふっ!」
 口に直接お茶を注がれる。熱すぎる。このお嬢さんは俺をゴキブリか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。
「大丈夫? で、どう?」
「はぁはぁ……死にかけた」
「なんでご飯食べるだけで死にかけるのよ……」
 かなみと一緒に席に戻る。
「とにかく、こんな極限状態で飯を食っても味なんて分からん。普通に食わせてくれ」
「最初っからそうしなさいよ、馬鹿」
 お茶を浴びせておいてしれっと馬鹿と。馬鹿と言いましたよ、この娘さん! うぬれ、いつかあっと言わせてやる。そのためには策を練らなくては。
「なに寝てんのよ。ほら、食べて食べて」
 目をつぶって策を練ってると、口に玉子焼きが放り込まれた。ん、なんか甘い。
「甘い玉子焼きが好きって前言ってたよね? 砂糖入れてみたの。どう?」
「むぐむぐ……甘いのが好きって、よく覚えてたな。それ言ったの、確かかなり前だったと思ったが」
「そ、それくらい覚えてるわよ。アンタと違って、頭の出来が違うの」
「にしたって、確か言ったの……ええと、半年くらい前だったような」
「い、いいから! ほら、食べちゃってよ」
「もがもが」
 手ずから食べさせてもらうのは嬉しいが、加減を考えてくれないと窒息死する。
「もぎゅもぎゅ、ごっくん。……あのさ、死ぬから」
「私の作った玉子焼きが死ぬほどまずいってこと?」
 不機嫌なオーラを漂わせ、かなみは笑顔で箸を折った。
「ち、違う。口の中に入れすぎなだけです。味は大変美味しいです」
「あ、あは、そう? やだなタカシってば、美味しいなんて……あははっ」
 途端に機嫌が良くなったかなみは、新しい箸を取り出し、俺の口に次々と玉子焼きを入れた。
「もがもが」
 また窒息死の危機が訪れる。
「もぎゅもぎゅもぎゅ、ごっくん。……あのさ、本当に死ぬから」
「まったまた、冗談ばっかり。はい、あーん」
「む、……あ、あーん」
 気がつけば、普通に食べさせられていた。これではただのバカップルではないか。一言申さねば!
「おいしい?」
「もぎゅもぎゅ……おいしい」
「そ、そう? えへへ……」
「…………」
 ……まぁ、食い終わるまでいっか。

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【雪を見てはしゃぐツンデレ】

2010年04月13日
 外は雪が降ってて寒い。寒いので、コタツでぬくぬく温まってると、梓が俺の部屋に乱入して来た。
「タカシ、雪だよ! 雪降ってるよ! 遊ぼ!」
 などと言って外から持ってきたのだろう、雪を俺の背中と服の間に入れた。
「冷たっアァアアアッ!」
 冷たさのあまり部屋中を転がる。
「雪っていいよね、なんか幻想的で。ボク、大好き!」
「アアアァアっ! 冷たっ、冷たいっ!」
 服を脱いで雪を取り去り、梓に向き直る。
「タカシはしゃぎすぎ。遊ぶなら外で遊ぼうよー」
「冷たさに苦しんでただけだ! 心臓麻痺で死んだらどうすんだよ!」
「だいじょーぶだよ。タカシ、心臓に毛が生えてるもん」
 なるほど。それなら毛で防寒もできるし、問題ないだろう。
「ね、タカシ。いつまで裸でいるの? 見てるだけで寒そうだよ」
 言われて気づいたが、雪を取るため服を脱いだままだった。
「道理で寒いと思った」
 もそもそと服を着なおす。う、濡れてて冷たい。
「思っただけなんだ……。タカシって、結構バカだよね」
「なんだとコンチクショウ! 誰のせいで寒さに震えてると思ってんだ!」
「あははっ、ホントに震えてる。ウサギみたい」
 失礼な奴だ。しかし、マジで寒い。……梓で暖を取るか。
「ひゃっ!? な、なに?」
「寒いのでお子様で暖を取ることにした。子供は体温高いんで一家に一台欲しいよね」
 梓を背中から抱っこして、コタツに入る。うむ、腹も足も温かくてぐー。
「ぼ、ボクはお子様じゃないよ。大人だもん」
「うー……極楽極楽。よし、さらなる暖を取るため風呂に行こう」
「えっ、ヤだ、ヤだよ! 一人で入れよ、ばかっ!」
「当然だろう。……まさか、一緒に入りたかったのか?」
 俺の言葉を聞いて、梓は耳まで赤くなった。
「そっ、そんなわけないじゃん、冗談だよ。まったく、タカシってばえっちだよね」
 真っ赤なまま言われても説得力に欠けると思います。
「まぁ、そこまで言うなら一緒に入らないでもないがな。ついでに梓のつるぺたい胸がどれくらい成長したか確認するか」
「つっ、つるぺたくないよ! ぼいんぼいーんだよ! 牛が羨むくらいおっきいよ!」
 そう言いながら胸を張る梓を上から見るが、やはり起伏に欠ける。地平線という言葉が思いついた。
「梓、嘘はよくないぞ」
「ほんとだもん! 2mmおっきくなったもん!」
「ほう……それは興味深い情報だ」
「う……た、タカシ?」
 つるぺた委員会名誉会長として、梓の胸の成長具合は逐一把握しておかなくてはならない。
「よし。なにがなんでも一緒に入ってもらおう」
「えっ!? うそ、うそだよね?」
 梓を抱っこしたままコタツから抜け出る。そしてゆっくりドアへ向かう。
「わっ、本気だ! ま、待って! 女の子と一緒に入るなんて恥ずかしいと思わない?」
「ガキの頃は一緒に入ってたろ? 問題ないない♪」
「あるよっ! 今は昔と色々違うだろっ!?」
「そういう難しいことはゆったり風呂に浸かりながら考えよう」
「それじゃ遅いよっ!」
 梓を抱きかかえたまま、俺は風呂場へ入った。

「……大きくなってないじゃん」
「あぅぅぅぅ……いっぱい揉まれたぁ……」
 俺の部屋で、梓はこれ以上ないくらい真っ赤な顔で布団に包まっていた。
「毛もほとんど生えてないし……ホントに同い年か?」
「言うなよっ! うぅ……もうお嫁にいけない……」
「…………」
「そこは『じゃあ俺がもらってやる』って言う場面だろっ! なに漫画読んでるんだよ!」
「うるさいなぁ。もらってやるから、読み終わるまで待ってろ」
「タカシ適当すぎるよ! そんなプロポーズなしだよ! やり直しを要求するよ!」
 きゃんきゃん叫ぶ梓を適当にあしらいながら、俺は漫画を読むのだった。
 プロポーズは、まだ勘弁して。

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