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2019年10月15日
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【ツンデレが得意料理を披露してきた】

2010年04月13日
「じゃ~ん! おべんとお~♪」
 かなみが弁当を取り出して俺に差し出してきた。
「……狂った?」
 無言で殴るのはやめて頂きたい。
「そうじゃなくて! アンタ、私が料理下手だろって昨日言ったでしょ! その発言を撤回させるため、わざわざ作ってきてあげたのよ!」
「いや、俺パン買ってきてるし……」
「食べるわよね? わざわざ早起きして作ったんだから」
 目が「食わないと、殺す」と言っているので、俺は震えながらうなずいた。
「確かアンタ玉子焼き好きだったよね?」
「は、はい」
「なに緊張してんだか……はい、ご開帳~」
 蓋を取ると、玉子焼きがででんと。玉子焼きが弁当箱全てを占めていた。
「……え」
「私、玉子焼きは得意なんだ。ほら、食べて食べて」
「あ、いや、その、……これだけ?」
「んなわけないじゃん。はい、これ」
 かなみはもう一つ弁当箱を取り出し、蓋を取った。中にはおにぎりがぎっしり詰まっていた。
「知ってる? 炊き立てのご飯ってすっごい熱いんだよ。もう二度とおにぎりなんて作らない」
「は、はぁ……その、それで、他のおかずは?」
「これで終わり」
「…………」
「食え」
「……ええと、はい」
 なんだろう。折角お弁当作ってもらってるのに、嬉しいどころか恐怖を感じる。
 震える手でおにぎりを掴み、口に入れる。
「おいしい? おいしい?」
「もぐもぐもぐ」
「おいしい? ね、おいしいでしょ?」
「むしゃむしゃむしゃ」
「早く飲み込めっ!」
「むぐむぐごっくん。かなみ、お茶」
「はいっ!」
「あついっ!」
 お茶を頼んだら熱い茶を浴びせられた。
「熱い熱い熱い! 茶が、茶が顔に!」
「いいから感想言いなさい! おいしい? おいしいでしょ!?」
「熱い」
 お茶が俺の頭に注がれた。違う、そこからじゃ飲めない。
 熱さのあまり床を転げまわっていると、かなみがおにぎりを持って俺に迫ってきた。
「ほら、も一個食べて! で、ちゃんと感想言いなさい!」
 有無を言わさず口に無理やりおにぎりを詰められる。気分は拷問。
「おいしいでしょ?」
 仰向けで飯を食うのは大変難しいです。
「げふげふげふっ! ノド、ノドに詰まった!」
 なんで飯を食うだけでここまで大騒ぎしなきゃいけないんだろう、なんて思いながら意識が遠のく。
「はい、お茶」
「ぐはっ! げふっ、げふげふっ!」
 口に直接お茶を注がれる。熱すぎる。このお嬢さんは俺をゴキブリか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。
「大丈夫? で、どう?」
「はぁはぁ……死にかけた」
「なんでご飯食べるだけで死にかけるのよ……」
 かなみと一緒に席に戻る。
「とにかく、こんな極限状態で飯を食っても味なんて分からん。普通に食わせてくれ」
「最初っからそうしなさいよ、馬鹿」
 お茶を浴びせておいてしれっと馬鹿と。馬鹿と言いましたよ、この娘さん! うぬれ、いつかあっと言わせてやる。そのためには策を練らなくては。
「なに寝てんのよ。ほら、食べて食べて」
 目をつぶって策を練ってると、口に玉子焼きが放り込まれた。ん、なんか甘い。
「甘い玉子焼きが好きって前言ってたよね? 砂糖入れてみたの。どう?」
「むぐむぐ……甘いのが好きって、よく覚えてたな。それ言ったの、確かかなり前だったと思ったが」
「そ、それくらい覚えてるわよ。アンタと違って、頭の出来が違うの」
「にしたって、確か言ったの……ええと、半年くらい前だったような」
「い、いいから! ほら、食べちゃってよ」
「もがもが」
 手ずから食べさせてもらうのは嬉しいが、加減を考えてくれないと窒息死する。
「もぎゅもぎゅ、ごっくん。……あのさ、死ぬから」
「私の作った玉子焼きが死ぬほどまずいってこと?」
 不機嫌なオーラを漂わせ、かなみは笑顔で箸を折った。
「ち、違う。口の中に入れすぎなだけです。味は大変美味しいです」
「あ、あは、そう? やだなタカシってば、美味しいなんて……あははっ」
 途端に機嫌が良くなったかなみは、新しい箸を取り出し、俺の口に次々と玉子焼きを入れた。
「もがもが」
 また窒息死の危機が訪れる。
「もぎゅもぎゅもぎゅ、ごっくん。……あのさ、本当に死ぬから」
「まったまた、冗談ばっかり。はい、あーん」
「む、……あ、あーん」
 気がつけば、普通に食べさせられていた。これではただのバカップルではないか。一言申さねば!
「おいしい?」
「もぎゅもぎゅ……おいしい」
「そ、そう? えへへ……」
「…………」
 ……まぁ、食い終わるまでいっか。

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