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2026年03月17日
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【生まれて初めて雪を見たツンデレ】

2010年04月16日
 寒いなと思っていたら、雪が降っていた。
 喜び勇んで外に駆け出し顔面からコケること7回、顔をさすりながら大人しく学校へ向かう。
「うわ、別府だ……」
 快い声と快くない言葉に振り向くと、そこに交際熱烈希望中のレミットさんがおりました。
「おはよう、レミットたん。今日も元気そうで何よりです」
「たんとか言うな! いい? 近寄らないでよね!」
 なんて、レミットは悲しいことを言うのだった。
「了解。後ろから獲物を狙う狩人の視線でじっとレミットを眺めることにします」
「だからそういうことをするなって……ひゃあ!?」
 振り返った時に足を滑らしたのか、レミットの体が斜めに倒れて行く。
「よっ、と。大丈夫か?」
 咄嗟にインド人ばりに手を伸ばし、レミットを抱き留める。転ばなくてよかった。
「あ……う、うん」
 俺の腕の中で、レミットは小さな体をさらに小さくさせ、軽くうなずいた。
「ん、怪我がなくて何よりだ。こけると結構痛いからな」
「そ、そう。……べっ、別に誰も助けてくれなんて言ってないからね! お礼なんて言わないから!」
「いや、それは別に構わないけど……いつまで抱っこされてんだ? 俺としてはこの上なく幸せだけど」
「えっ……きゃっ! あ、アンタねぇ、そういうことはもっと早く言いなさいよ!」
 慌てて俺から離れ、レミットは頬を染めたまま素早くまくし立てた。
「ごめんなさい」
「う、う~……別に、謝らなくてもいいんだけどさ。……うう」
「あー……それにしても、寒いな。雪が降ると嬉しいけど、寒いのだけは勘弁してほしいよな」
 何か困っているようなので、適当に話題を振る。
「あ……そ、そうね。……そういえば、雪見るのって初めてかも」
「ほう、それは珍しい。今まで住んでたとこは、暖かい所だったんだな」
「ん、ん~……まぁ、そうかも。……冷たいけど、けっこ綺麗ね、雪」
 手の平を出し、レミットはちらつく雪を受けた。
「……そんな嫌な奴でもないのかも、ね」
「そんな、どころか嫌なところなんて全くないぞ。そんな俺に惚れろ」
「えっ……ちょ、勝手に独り言聞くなぁ!」
 隣を歩いてるのに勝手に独り言を言うほうがどうかと思うなぁ、なんて思いながらレミットに腕を噛まれる。痛い。
「やっぱヤな奴! ばか、ばーか! べーっ、だ!」
 レミットは軽く駆けて俺から距離を取り、大きく口を開けて舌を出し、俺を馬鹿にした。だけど、馬鹿にされるというよりむしろ微笑ましく、思わず笑ってしまう。
「わっ、笑うなーっ! くのっ、ホントヤな奴!」
「あ、いや……とにかく、一緒に学校行こう」
「お断りよ、ばーか!」
 レミットはもう一度舌を出し、学校へ駆けて行った。
「はぎゅっ!」
 そしてすぐにコケた。
「ううううう~……何よ何よ、雪まで私を馬鹿にして!」
 レミットは雪の上にぺたんと座り、苛立たしげに雪をぺしぺし叩いた。
「走ったりするからそうなるんだ。雪の日は歩くべし」
「うっさい! ……何よ」
 レミットの元まで歩み寄り手を差し出すと、彼女は疑わしげに俺を見つめた。
「んなとこ座ってたら寒いだろ。ほら、掴まれ」
「じ、自分で立てるわよ!」
 俺の手を振り払い、レミットは一人で立った。雪を払い落とし、俺を睨む。
「あんたのせいでコケちゃったじゃない! どうしてくれるのよ!」
「俺のせい……か?」
「そ、そうよ! コケたのも服が濡れちゃったのも寒いのも全部アンタのせい!」
「じゃあ、パンツまで濡れたのも俺のせいだな」
「なっ、なんで知ってるのよ!」
 適当に言ったのに、当ててしまったようだ。レミットの顔が羞恥で赤く染まっていく。
「う、ううう~っ!」
 気が立ってるせいか、どこか獣じみてきたレミット嬢。さてどうしよう。
「つまり、俺のせいでパンツがびしょびしょで濡れ濡れ、というわけか。……やるなぁ、俺」
 どうやらダメな選択肢を選んだようだ。真っ赤な顔で俺の腕に歯を食い込ませるレミットを見ながらそう思った。

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【バレンタイン レミットの場合】

2010年04月16日
 バレンタインまであと数日と迫ったある日、俺はレミットの席の前に立っていた。
「レミット。この国には、親しい男にチョコレートをあげないといけない日があってな、それが数日後に迫ってるわけなのだが」
「あー知ってる。Saint Valentine's Dayでしょ?」
「おおっ、話が早くて助かる。そこで! この俺にチョ」
「私はそういうの、やんないけどね。めんどいし」
 驚愕の言葉がレミットの口から零れる。
「な、なに泣いてるのよ!」
「うぐっ……せ、せめて義理でもいいから欲しかったのに、それすらも手に入らないというのか!」
「お、怒られても……だいたい、作ったとしてもアンタなんかには義理もあげないんから、別にいいじゃない」
「その場合、レミットが他の奴にくばったチョコを奪取する」
「すんなッ! だいたい、私は誰にもあげるつもりないわよ」
「……仕方ない。レミットからチョコが貰えないなら、誰彼構わずチョコを奪い自尊心を保つしかないか……」
「無茶苦茶言ってること、分かってる!?」
 レミットが何か言ってるが、それどころではない。俺はバレンタイン当日に向け、どうすれば効率的に奪えるか作戦を練ることにした。
「……はぁ」
 小さなため息が聞こえた。

「あの馬鹿、放っておいたら本気でやりそうだしなぁ……」
 レミット宅にて、彼女はぶつくさ言いながら買い物袋から色々な食材を取り出した。市販のチョコ、アーモンド、ナッツ、クルミ、等々。
「……ええと、どうやるんだろ」
 一緒に買った初心者用手作りチョコの本を開き、熱心に眺める。
「……よく分かんない。全部鍋に入れちゃえ」
「あらあらレミットちゃん、チョコレート作ってるの?」
 鍋に買ってきた食材を全部入れ火にかけていると、側にいるだけで和んでしまうような雰囲気を纏わせた女性がレミットの元へ歩み寄った。
「まっ、ママ! な、なんでいるの!? お仕事は?」
「急にお休みになっちゃって、さっき帰ってきたの。それ、バレンタイン用のチョコね。もう好きな子ができたの? ママ、なんだか寂しい……」
「ちっ、違うわよ! 誰があんな奴を好きになるってのよ! ええと……義理以下の義理、超義理よ!」
 レミットは顔を真っ赤にして必死に否定した。
「……でも、手作りよね?」
「ぐっ……あ、あんな奴に市販のチョコやるなんて、お金もったいないからね! そ、それだけ!」
「……でも、市販のチョコ溶かしてるのよね?」
「うぐっ……も、もう! ママは出てって!」
「うふふっ、頑張ってね……ってレミットちゃん、鍋なべ!」
「鍋? 鍋がどうした……きゃああああ!」
 鍋から黒い煙がもくもくと立ち昇っていた。二人して慌てて火を止め、恐る恐る中を見る。
「……うう、コゲてる」
「ふ、ファイトよレミットちゃん! ママも手伝うから頑張ろ!」
「ううっ……ごめんね、ママ。……お願いする」
 簡単と思われたチョコ作りは、予想外に難航した。
「それじゃレミットちゃん、チョコを細かく刻んで。包丁使い慣れてないだろうし、気をつけてね」
「大丈夫だって、ママ。……えいっ!」
 包丁を両手で持ち、レミットは勢いよく振り下ろした。チョコを真っ二つにし、さらにまな板に深い傷を刻む。
「あははっ、思ったより簡単ね♪ えいっ、えいっ、えいっ」
 レミットは笑顔を浮かべたまま何度も何度も包丁を振り下ろした。隣で顔を青ざめている母親に気づかないまま。
「……ふぅっ、できた! それでママ、次は?」
「え、ええとね、次は湯せんね。チョコをボウルの中に入れて、湯せんするの」
「分かった!」
 レミットはボウルの中に粉々になったチョコを入れた。次に鍋に湯を入れ火にかけ、その上にボウルを浮かべた。
「温度は50度以上にならないよう注意してね。そうしないと……」
「えー、温度高い方が早く溶けるからいいよー。えいっ、強火」
 火の勢いが増すと同時に、ボウルの中のチョコがみるみる溶け出す。
「あははっ、すごいすごい。早く溶けろー、えいえいっ」
 さらに、レミットはチョコをかき混ぜ始めた。乱暴にかき混ぜ、ボウルの中にお湯が入る。
「あちゃ、ちょっとお湯入っちゃった。まいっか」
「ああ、あああ……」
 お湯が入ると酷い味になると知っている母親は、娘に言うこともできず隣で青ざめていた。
「……ん、どろどろになったわね。ママ、次は?」
「そ、そうね。ええと、ボウルを取り出して、氷水にあてて」
「ん、分かった」
 ボウルを取り出し、氷水を入れた鍋の中に浮かべる。
「ここにも氷入れたほうが早いよね♪」
 さらに、チョコの中にも氷を入れる。
「…………」
 母親は諦めたような顔で娘を優しく見ていた。
「……ん、もういいかな。それでママ、次は?」
「……そうね、次は……」
 次々と舞い起こる失敗に、母親は受け取るであろう少年に同情を禁じ得なかった。

 バレンタイン当日。あらゆる手段を用いチョコを奪いまくったのはいいが、とても空しいので全員に返した。すごい怒られた。
 放課後、チョコ狩りの件で教師に職員室で説教を喰らい、教室に戻る。当然のように誰もいない。静かにため息をつく。
「……ま、そりゃそうか」
 鞄がないところを見るに、レミットはもう帰ってしまったのだろう。……俺も帰ろう。
 鞄を持って教室を出、下駄箱を通り校庭に出る。外はもう夕焼けに包まれていた。ずいぶんと長い間説教を喰らっていたようだ。
「遅いッ!」
 俯き加減に校門を潜っていると、罵声に迎えられた。顔を上げる。そこに、仁王立ちしているレミットの姿があった。
「おまえ、もう帰ったんじゃ……?」
「わ、私のことはどうでもいいでしょ! なんでこんな遅いのよ!」
「いや、ちっと教師に呼ばれて職員室に……」
「なんで今日に限ってそんなとこ呼ばれるのよ! ばっかじゃないの?」
「別に今日に限った話でもないんだけど……なんか用か?」
 そう言った途端、レミットは落ち着きなさそうに視線をさ迷わせ、体を小さく揺すった。
「べ……別に用ってわけじゃないけど、その……勘違いしないでよね?」
「はぁ」
 いまいち要領を得ない。あれほどくれないと言っていたのだ、チョコって訳でもあるまい。一体なんだろう。
「……これ」
 ぶっきらぼうに差し出されたそれは、赤い包装につつまれていた。
「……ええと、違ったらゴメンだけど、ひょっとして」
「だっ、だから勘違いしないでって言ったでしょ! あんまりにも必死にチョコ奪ってるアンタ見て、ちょっと、ちょっっっっとだけ哀れになっただけなんだから!」
 包装を慎重に破り、箱を開ける。果たして、そこに歪な形のチョコがあった。
「……チョコだ」
「……ふ、ふん。ホントはもっと上手に作れるんだけど、アンタみたいなの相手じゃ本気にもなれないからね。アンタぴったりの、へなちょこチョコよ」
 ゆっくりと、実感が湧いてくる。……レミットから、惚れてる相手からチョコを貰えた。
「……ぃやったぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!」
 天まで届け、とばかりに雄叫びを上げる。
「ありがとな、ありがとな、レミット! 俺、すっげー嬉しい!」
「う……そ、そんな喜ぶことじゃないわよ。き、昨日お菓子作った時にあまったの持ってきただけだもん。……ほっ、ホントよ!?」
「はぐはぐむぐむぐ」
「ちょ、そんな一気に食べることないでしょ! ……そ、それで、味、どう?」
 レミットの作ったチョコは、その、なんというか、……愛の力を持ってしても、ボンドみたいな味がする。
「ま……ま、ま、ま、……まぁまぁ、カナ?」
 それが精一杯の賞賛の言葉だった。
「……なによそれ。一所懸命作ったんだから、おいしいに決まってるでしょ! まぁまぁな訳ないじゃない!」
 レミットが俺のチョコを奪いにかかった。取られては味を知られてしまうので、必死に抵抗する。
「こら取るな、全部俺のチョコだ!」
「ちょっと位いいでしょ、私が作ったんだから!」
「いやだっ! むしゃむしゃむしゃ!」
「こら、食べるな! もぐもぐもぐ!」
 右端から食べてると、レミットは反対側から食べだした。そして、
「……もぐもぐ、もぐ。……うあ、なにコレ!」
 口の中に入れたチョコを、地面に吐き出してしまった。
「ああ、もったいない」
「ぺっぺ! ちょっとちょっとちょっと! 何よ、すっごいまずいじゃないの!」
「そ、そうか? 俺は悪くないかと……」
「嘘つけっ! こんなの、誰が食べてもまずいに決まってるでしょ! 貸して、捨ててくるっ!」
「嫌だ、ぜってー嫌! この俺様が一度もらったものを返すとでも思ったか!」
 チョコの入った箱を抱え、俺は一目散に駆け出した。
「こらっ、返せーッ!」
 後ろの方から何か怒ったような声が聞こえてきた気がしたけど、気のせい!
 その後、ちゃんと自分の部屋で全部平らげました。今ならボンドでも食える気がします。
 味はともかく、嬉しかったのは確かなのでホワイトデーを楽しみにしておくだな、レミット!
「ふ、ふははははは! ふひゃーっはっはっはっは!」
「タカシー、ご飯……また壊れてる」
 部屋にやってきた母さんが、ドアを静かに閉めて出て行った。少し悲しい。

「……ただいま」
 意気消沈して帰ってきたレミットを、母親は笑顔で迎えた。
「あら、おかえりレミットちゃん。どうだった? 渡せた?」
「渡せた……けど、ママ! あれ、すっごい不味かったよ!」
「え、そ、そう? おっかしいわね~」
「あんなまずいのに、あいつってば悪くないとか言うんだよ!? おかしいよ、あの馬鹿!」
「まぁ、まぁ……そうなの。よかったね、レミットちゃん」
「何がいいのよ! あの馬鹿、あんなまずいの食べてすっごい嬉しそうな顔して……ホント頭おかしいんじゃないの!?」
 顔を赤くして当り散らすレミットを、母親は優しく見守っていた。
「……ママッ! このままじゃ私の気がすまないわ。特訓して!」
「そうね。美味しいチョコ、食べさせてあげたいものね」
「べっ、別にそういうわけじゃなくて……その、私があの程度のレベルだと思われるのもシャクだしね!」
 顔を赤くしてエプロンをつける娘を、母親はとても楽しげに見ていた。

拍手[14回]

【メイド+体育+ケーキ】

2010年04月16日
 今日はメイドの日だ。
 メイドの日とは、学校の女生徒全員がメイドの格好をしなければならないという一部男子高校生(主に俺)が狂喜乱舞するめでたい日のことだ。こんなイベントを作った校長に敬礼。
 そんな日に、女子は家庭科でケーキを作るとか。……メイドさんのケーキ、なんとしても頂く!
「おい別府、なに突っ立ってんだ。走れ走れ」
 教師に言われて気づいたが、今は体育の最中だった。握り締めていた手から力を抜き、だらだら走る。
「別府……せめて、もうちょっと頑張れ。タコみたいだぞ、お前」
「任せろ、先生!」
「誰もタコの真似を頑張れとは言ってない!」
 なんだ、紛らわしい。
 しばらく走ってるとチャイムが鳴った。それは同時に、メイドさんケーキの完成を意味する。
 男連中が家庭科室に疾走する中、俺は頭一つ抜けて家庭科室に飛び込んだ。このために体育で力を抜いていたのだ!
「大人しくケーキを寄越せ! 逆らうとぶっとばす!」
「アンタは強盗かッ!」
 近くにいた女生徒を人質にしてたら、誰かにぶっとばされた。
「痛いじゃないか、かな……かなみ?」
「なんで疑問系なのよ! そうよ、椎水かなみよ」
「別府タカシと申します」
 幼なじみと自己紹介をする。
「知ってるわよ、馬鹿。……しっかし、なんでこんな格好しなくちゃならないのかしらね」
 かなみは嫌そうにスカートの裾を掴んだ。見慣れたかなみでも、メイドの格好をしているだけで鼻血出そう。
「それはひとえに校長の権力のおかげだ。俺も校長に倣い、将来は総理大臣になって日本メイド化をなしとげようと企んでいる」
「……なんか、アンタのよこしまなパワーを使ったら本気でなりそうだからやめて」
 メイドにお願いされたので、やめることにする。
「そんなくだらない話はどうでもいい。俺はメイドさんケーキを食いに来たんだ」
「ああ、そうなの。でも、ちょっと遅かったみたいね」
「遅いって……あああああ!」
 気がつくと、メイドさんケーキは他の男子連中の胃の中だった。机の上にはクリームのついた皿だけが乗っている。
「…………」
「無言で皿を舐めるな! 妖怪か!」
 妖怪クリーム舐め。夜な夜な皿についたクリームを舐めて空腹を癒やす俺の考えた可哀想な妖怪だ。
「他にないのか、メイドさんケーキは!」
 周囲を見渡すも、そこにあるのは皿ばかり。
「あらあら、残念ね~。私と話してる間に、みんな食べられちゃったみたいね♪」
「謀ったなかなみ! 私とて別府家の男。無駄死にはしない!」
 メイド姿の悪魔に向かい、飛びつく。よく考えると無駄死になんてしてないけどまぁいいか。
「……で、ここに私の作ったケーキがあるわけなんだけど」
「どうかこの愚かな私めにください」
 飛んだ勢いのまま床に着地、そのまま土下座。
「すごい、欠片もプライドが見当たらないわ……」
 周囲でメイドが騒いでる。うるさい。
「ふふ~ん、そんな私の作ったケーキが欲しい?」
「“かなみの作った”だからではなく、“メイドの作った”ケーキだから欲しい」
 正確に自分の欲望を伝えたのに、なぜかケーキを顔にぶつけられた。
「はいどうぞ! 美味しい!?」
「はぐはぐ、うまい」
「すごい、あの状態で普通に食べてる……」
 また周囲でメイドが騒いでる。いいじゃん、別に。
「はぐはぐはぐ、げふー。かなみ、おかわり」
「もうないわよッ!」
「じゃあ紅茶淹れて、メイドさん」
「もう帰れッ!」
 尻を蹴られた。まぁ食うもん食ったし、教室に戻ろう。
「うまかったぞ、メイドかなみ! 一ヵ月後のメイドの日、またここで会おう!」
「もう来るなッ!」

「ったく、あの馬鹿。……あそこまでされて、なんで美味しいとか言うかなぁ」
 不満そうに言いながらも、かなみの口元は緩んでいた。

拍手[7回]

【猫ツンデレ】

2010年04月15日
 飼ってる猫が女っぽくなってた。
「……ふぁぁぁぁ。あ、タカシだタカシだ。やい、膝に乗せろ」
 猫が……いや、元猫の娘さんが俺の膝の上に無理やり乗ってきた。
「んー……なんか、狭いな。タカシ、小さくなったか?」
「え、ええと、育ち盛りだから小さくなることもある」
「にゃるほど、そうか。……んー、狭い」
 いや、そうじゃなくて! ええいくつろぐな、ノドを鳴らすな! なんで要所要所が毛に覆われてんだ! 視姦不能!
「え、えと、猫さん? どして女の子になってるのかなー?」
「うー……あちしは昔からメスにゃりよ。変なこと言うタカシな」
「いやいやいや、そうじゃなくて! 人の娘っぽくなってることの説明を求めてるわけで!」
「うっさい」
 顔面を引っかかれた。痛い。
「ぐちゃぐちゃ言ってないで、ノド撫でれ。ほれ、早く」
「うう……学校では女性陣になじられ、安息の地と思われた家でさえこの扱い! 今立たずしていつ立つと言うのか! そう、い」
「早くする」
 また引っかかれた。痛い。
「……気持ちいいですか、お嬢様」
 顔に引っかき傷をつけたまま、こちょこちょとノドをなでる。
「んー……あんま気持ちよくない。タカシ、下手になった?」
「失礼な! 唯一の特技だぞ!? これだけは誰にも負ける気がしないわ!」
「むー……じゃ、頭撫でれ。なでなですれ」
「……どっちがご主人様か分からなくなってきた」
「あちしが主人、タカシは奴隷。知らなかったか?」
 初耳です。とにかく、奴隷としてご主人様の頭をなでる。
「んー……こりは、気持ちいいにゃり。もっとなでなですれ」
「それはいいんだけど、ちっと重い。のけ」
「我慢する。なでなで、なでなですれー」
 ご主人様が満足するまでなでなでしてたら夜になったので驚いた。足しびれた。

拍手[4回]

【猫ツンデレvsねこちなみん】

2010年04月15日
 今日もうちの猫は人型女性のままで困ってます。
「んー……ん? あ、タカシだタカシだ。膝、ひざー」
 そして当然のように俺の膝に乗ってくるので困ってます。に、にやけてなんかいませんよ!?(超狼狽)
「ほれ、なでれ。なでなですれ」
「撫でられることを当然と享受する今の心境は?」
「むー? ……さては、難しいこと言ってあちしを馬鹿にしたな。がぶ」
 がぶ、と言いながら俺の指を噛む猫たん。痛いです。
「……あ、飼い猫を自分の肉奴隷にしてる最低なやろー発見」
「まだ挿れてない! こんな人聞きの悪いことを言う貴様は……やっぱちなみか。こんにちは」
「……はろー、にゃ」
 軽く手を上げてフランクに挨拶を返すちなみは、猫でした。ミミとしっぽがラブリー。
「……最近かまってくれないと思ったら、新しい子を可愛がってるなんて……タカシはとんだプレイボーイです」
「いやいやいや、今の状況見て言ってるか? 飼い猫に手を噛まれてるぞ?」
 猫は噛むのに飽きたのか、あむあむぺろぺろな甘噛みに移行して痛気持ちいいのですがそれは秘密の方向で。
「……プレイボーイは、去勢するというのが昔からのしきたりです」
 ちなみはクロックタワーを彷彿とさせるでっかいハサミを取り出した。どこに隠し持ってたんだと思うより早く、血の気が引く。
「……ちゅぱっ。タカシ、なでなですれ。早くなでなですれ」
 人が青くなっているというのに、猫はまるで気にせず撫でろとせがむ。いいから指舐めてて。
「……むっ。……去勢される瀬戸際だと言うのに、イチャイチャするなんて……許しがたいです」
 違う。俺じゃない、猫が撫でろと言ってるんです。
「……許しがたいので、私も撫でるべきです」
「うなっ」
 ちなみは猫を転がし、俺の膝の上に乗ってきた。
「うぬぬ……やいちなみ、そこはあちしの席な。のけ」
「……知らないです。……ずっとなでなでされてたんだから、いいじゃないですか」
「タカシはあちしの奴隷な。あちしの取るな!」
「……残念ながら、タカシは私のおもちゃです。……こんな愉快なおもちゃ、あげません」
「かーっ! あちしの取るとはいい度胸な!」
「はいはい、喧嘩しない喧嘩しない。いい子いい子ー」
 二人(匹?)を膝に乗せ、なでなでなで。
「あぅ……な、撫でられただけで機嫌直すほど、子供じゃないです」
「うな……うう、もっとなでれ。なでなですれー」
 ちなみと違い、やはり元獣として猫は簡単に転んだ。口元をむにむにさせ、もっと撫でろと目がせがんでいる。
「おおっ、おまえは可愛いなぁ。なでなで、なでなで」
「うな……ぐるぐるぐる」
 猫はノドを鳴らし、気持ち良さそうに目を細ませた。
「……うー」
 そうして猫を撫でていると、ちなみが不満そうに俺を見上げながらうなった。
「おや、どうしたちなみ? おまえは撫でられたぐらいじゃ機嫌直さない大人だろ?」
「……タカシはいじわるです。ずるいです。卑怯です」
「全くもってその通り。わはははは!」
「……ううっ。……私は、まだ子供だったみたいです。……だから、その、……なでなでを」
 そう言って、ちなみは恥ずかしげに顔を伏せた。
「……はぁ。まったく、おまえは可愛いなぁ!」
「ひゃあ!」
 ちなみを胸に抱き、なでなでなで。
「……あ、あの、……ちょっと、恥ずかしいです」
「可愛いなぁちなみは可愛いなぁ」(聞いてない)
「……あぅぅ」
「……むー。もっとあちしをかまえ、タカシ。がぶ」
 変な音がしたなぁと思ったら、猫が俺の背中に張り付き、俺の頭を食べようとしていた。
「痛い痛い痛い! 噛むな!」
「もっとかまう。もっとなでる。シャンプーはしない。ご飯はもっといいのにしろ」
「前半は了解、後半は不可」
 ちなみを少し横によけ、空いた場所に猫を乗せ、なでなで。
「……がぶ」
「ちなみまで噛むなっ! 歯食い込んでる!」
「……私にも、なでなで」
 結局、夜になっても解放してくれませんでした。腕だるいし、頭から血出てるけど、楽しかったから今日は100点!

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