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2019年10月15日
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【メイド+体育+ケーキ】

2010年04月16日
 今日はメイドの日だ。
 メイドの日とは、学校の女生徒全員がメイドの格好をしなければならないという一部男子高校生(主に俺)が狂喜乱舞するめでたい日のことだ。こんなイベントを作った校長に敬礼。
 そんな日に、女子は家庭科でケーキを作るとか。……メイドさんのケーキ、なんとしても頂く!
「おい別府、なに突っ立ってんだ。走れ走れ」
 教師に言われて気づいたが、今は体育の最中だった。握り締めていた手から力を抜き、だらだら走る。
「別府……せめて、もうちょっと頑張れ。タコみたいだぞ、お前」
「任せろ、先生!」
「誰もタコの真似を頑張れとは言ってない!」
 なんだ、紛らわしい。
 しばらく走ってるとチャイムが鳴った。それは同時に、メイドさんケーキの完成を意味する。
 男連中が家庭科室に疾走する中、俺は頭一つ抜けて家庭科室に飛び込んだ。このために体育で力を抜いていたのだ!
「大人しくケーキを寄越せ! 逆らうとぶっとばす!」
「アンタは強盗かッ!」
 近くにいた女生徒を人質にしてたら、誰かにぶっとばされた。
「痛いじゃないか、かな……かなみ?」
「なんで疑問系なのよ! そうよ、椎水かなみよ」
「別府タカシと申します」
 幼なじみと自己紹介をする。
「知ってるわよ、馬鹿。……しっかし、なんでこんな格好しなくちゃならないのかしらね」
 かなみは嫌そうにスカートの裾を掴んだ。見慣れたかなみでも、メイドの格好をしているだけで鼻血出そう。
「それはひとえに校長の権力のおかげだ。俺も校長に倣い、将来は総理大臣になって日本メイド化をなしとげようと企んでいる」
「……なんか、アンタのよこしまなパワーを使ったら本気でなりそうだからやめて」
 メイドにお願いされたので、やめることにする。
「そんなくだらない話はどうでもいい。俺はメイドさんケーキを食いに来たんだ」
「ああ、そうなの。でも、ちょっと遅かったみたいね」
「遅いって……あああああ!」
 気がつくと、メイドさんケーキは他の男子連中の胃の中だった。机の上にはクリームのついた皿だけが乗っている。
「…………」
「無言で皿を舐めるな! 妖怪か!」
 妖怪クリーム舐め。夜な夜な皿についたクリームを舐めて空腹を癒やす俺の考えた可哀想な妖怪だ。
「他にないのか、メイドさんケーキは!」
 周囲を見渡すも、そこにあるのは皿ばかり。
「あらあら、残念ね~。私と話してる間に、みんな食べられちゃったみたいね♪」
「謀ったなかなみ! 私とて別府家の男。無駄死にはしない!」
 メイド姿の悪魔に向かい、飛びつく。よく考えると無駄死になんてしてないけどまぁいいか。
「……で、ここに私の作ったケーキがあるわけなんだけど」
「どうかこの愚かな私めにください」
 飛んだ勢いのまま床に着地、そのまま土下座。
「すごい、欠片もプライドが見当たらないわ……」
 周囲でメイドが騒いでる。うるさい。
「ふふ~ん、そんな私の作ったケーキが欲しい?」
「“かなみの作った”だからではなく、“メイドの作った”ケーキだから欲しい」
 正確に自分の欲望を伝えたのに、なぜかケーキを顔にぶつけられた。
「はいどうぞ! 美味しい!?」
「はぐはぐ、うまい」
「すごい、あの状態で普通に食べてる……」
 また周囲でメイドが騒いでる。いいじゃん、別に。
「はぐはぐはぐ、げふー。かなみ、おかわり」
「もうないわよッ!」
「じゃあ紅茶淹れて、メイドさん」
「もう帰れッ!」
 尻を蹴られた。まぁ食うもん食ったし、教室に戻ろう。
「うまかったぞ、メイドかなみ! 一ヵ月後のメイドの日、またここで会おう!」
「もう来るなッ!」

「ったく、あの馬鹿。……あそこまでされて、なんで美味しいとか言うかなぁ」
 不満そうに言いながらも、かなみの口元は緩んでいた。

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