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2026年03月16日
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【ツンデレにエロいこと言うの禁止と言われたら】
2010年05月05日
「タカシさん、貴方もうエッチなこと言うの禁止ですわ」
いつのもように女生徒に軽いセクハラをして見つかってリナに怒られ、最後の締めくくりにそんなことを言われた。
「馬鹿な! そんなことしたら俺これから先喋れないぞ!」
「それは好都合ですわ。貴方の口から漏れるのは、息だけで充分です」
鼻を鳴らすリナを強く睨む。睨み返され怖くなって目を逸らす。
「こんにゃろ、ちょっと縦ロールだからっていばりやがって……」
「た、縦ロールはお嬢様の嗜みですわ! うちのメイドがそう言ってたから間違いありません!」
リナはメイドに騙されていた。面白いから黙っておこう。
「ともかく、いいですわね? 今からそういうことダメです。破った場合……」
リナは俺を──いや、俺の陰部をじっと見つめた。
「まままさか去勢!?」
「おーっほっほっほ! さぁ、それはその時のお楽しみですわ!」
思わずズボンの上から男の尊厳を隠す俺に、リナは楽しげに高笑いするばかりだった。
翌日。俺は陰鬱な感情を持て余しながら登校していた。
「おっはよータカシ! 朝からどしたの? 元気ないよ!」
馬鹿みたいに元気な梓がしっぽをふりながら寄ってきたのでデコピンしてやる。
「ううううう~! 何すんだよぉ!」
おでこを両手で押さえ、涙目で俺を睨む梓をほってだらだら歩く。
「はぁ……エロいこと言いたいなぁ」
ぎゃーぎゃー文句言ってる梓を連れ、しばらく歩いてるとリナに遭遇した。
「おはようございます、梓さん、タカシさん」
「あ、おっはよーリナちゃん! 珍しいね、今日は歩きなんだ」
「ええ、たまには歩かないと健康に悪いですからね。……それにしても、元気ないですわね、タカシさん」
「うっせ。誰のせいだと思ってんだよ」
高らかにお嬢様笑いを木霊させるリナ。ええいムカつく、足引っ掛けちゃれ。
「きゃっ!」
リナはいとも容易く転んだ。そして、短いスカートがまくれやけに高そうなシルクのパンツが晒された。
「やはり一日一回はパンツ見ないと落ち着かんな。よいパンツ、よい尻だ」
しゃがみ込み、リナの尻を拝む。
「……あ、あのタカシ、ボク先に学校行くね。それじゃ!」
慌てた様子で梓は先に学校へ行ってしまった。
「なんだ、慌てて? まぁいいや、俺は引き続きパンツを……」
尻に視線を戻すと、怒りに顔をゆがませたリナの顔が。
「……覚悟はよろしくて?」
なんか手に大きなペンチがあったので全力で逃げ出す。
「お待ちなさい! みんな、タカシを追いかけて! 絶対に逃してはなりません!」
どこに隠れていたのか、物陰という物影から武装したメイドさんが現れ俺を追いかけてきた。
「畜生、こんなシチュエーションじゃなければメイドさん天国だというのに……!」
涙を撒き散らしながら、俺は必死に逃げるのだった。
追伸:捕まったけど去勢はされなかったよ。なんか思い出したくもない拷問されたけど。
いつのもように女生徒に軽いセクハラをして見つかってリナに怒られ、最後の締めくくりにそんなことを言われた。
「馬鹿な! そんなことしたら俺これから先喋れないぞ!」
「それは好都合ですわ。貴方の口から漏れるのは、息だけで充分です」
鼻を鳴らすリナを強く睨む。睨み返され怖くなって目を逸らす。
「こんにゃろ、ちょっと縦ロールだからっていばりやがって……」
「た、縦ロールはお嬢様の嗜みですわ! うちのメイドがそう言ってたから間違いありません!」
リナはメイドに騙されていた。面白いから黙っておこう。
「ともかく、いいですわね? 今からそういうことダメです。破った場合……」
リナは俺を──いや、俺の陰部をじっと見つめた。
「まままさか去勢!?」
「おーっほっほっほ! さぁ、それはその時のお楽しみですわ!」
思わずズボンの上から男の尊厳を隠す俺に、リナは楽しげに高笑いするばかりだった。
翌日。俺は陰鬱な感情を持て余しながら登校していた。
「おっはよータカシ! 朝からどしたの? 元気ないよ!」
馬鹿みたいに元気な梓がしっぽをふりながら寄ってきたのでデコピンしてやる。
「ううううう~! 何すんだよぉ!」
おでこを両手で押さえ、涙目で俺を睨む梓をほってだらだら歩く。
「はぁ……エロいこと言いたいなぁ」
ぎゃーぎゃー文句言ってる梓を連れ、しばらく歩いてるとリナに遭遇した。
「おはようございます、梓さん、タカシさん」
「あ、おっはよーリナちゃん! 珍しいね、今日は歩きなんだ」
「ええ、たまには歩かないと健康に悪いですからね。……それにしても、元気ないですわね、タカシさん」
「うっせ。誰のせいだと思ってんだよ」
高らかにお嬢様笑いを木霊させるリナ。ええいムカつく、足引っ掛けちゃれ。
「きゃっ!」
リナはいとも容易く転んだ。そして、短いスカートがまくれやけに高そうなシルクのパンツが晒された。
「やはり一日一回はパンツ見ないと落ち着かんな。よいパンツ、よい尻だ」
しゃがみ込み、リナの尻を拝む。
「……あ、あのタカシ、ボク先に学校行くね。それじゃ!」
慌てた様子で梓は先に学校へ行ってしまった。
「なんだ、慌てて? まぁいいや、俺は引き続きパンツを……」
尻に視線を戻すと、怒りに顔をゆがませたリナの顔が。
「……覚悟はよろしくて?」
なんか手に大きなペンチがあったので全力で逃げ出す。
「お待ちなさい! みんな、タカシを追いかけて! 絶対に逃してはなりません!」
どこに隠れていたのか、物陰という物影から武装したメイドさんが現れ俺を追いかけてきた。
「畜生、こんなシチュエーションじゃなければメイドさん天国だというのに……!」
涙を撒き散らしながら、俺は必死に逃げるのだった。
追伸:捕まったけど去勢はされなかったよ。なんか思い出したくもない拷問されたけど。
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【ツンデレと初詣】
2010年05月05日
正月。かなみが晴れ着でやってきて初詣に行こうとうるさい。うるさいので無視してたらロープでぐるぐる巻きにされ、無理やり連れ出された。
「ほら、アンタもお賽銭入れなさいよ」
「手が出ません」
晴れ着の群れの中にロープ男がいるのは大変珍しいのだろう、皆が俺をじろじろ見てて非常に辛い。
「ほら、口でやりなさい」
かなみが5円玉を俺の口に咥えさせた。俺を何だと思ってるんだこの娘さんは。
仕方ないので口で咥え、ぷっと空中に吐き出し、器用に回転させて賽銭箱に入れると拍手が舞い起こった。お辞儀するとおひねりが飛んできた。
「かなみ、拾って拾って」
「いらんことすんな!」
かなみは俺を殴ると、人気の少ない場所へ俺を引っ張って縄を解いた。
「やれやれ、恥ずかしかった」
「……アンタ、なんでパジャマなの?」
それは俺がパジャマなのに有無を言わさず縄でぐるぐる巻きにする人がいるからです。
「……なんでこんな奴と来ちゃったのかな、あたし」
軽く頭を押さえるかなみに、無理やり連れてきたのはお前だろと言いたいけど言えない。殴られるから。
「……まーいーや。ほら、おみくじしよ」
かなみに手を引かれ、おみくじ売り場へ。そこでは、巫女さんが売り子をしていた。
「巫女は処女しかなれないと聞きましたが本当ですか? 仮にそうなら処女検査があるのですか?」
「いきなり何聞いてんのよアンタはッ!」
巫女さんに質問したらかなみに蹴り飛ばされた。
「ったく、馬鹿。……そこの馬鹿の分も一緒にください」
かなみは俺の分もおみくじを買ってくれた。渡された紙切れを開く。大吉だった。続けて書いてある一文に目を通す。
『かなりのラッキーガイです。しかし、賽銭をたんまりくれるとさらなる幸運が!』
この神社、頭おかしい。
嫌な一文から目をそむけかなみを見ると、明らかに落胆していた。
「まさか大凶?」
こくりと頷き俺に紙切れを渡す。恐る恐る文を読む。
『最悪です。超B・A・D! しかし、賽銭をたんまりくれると幸運が!』
この神社、頭おかしい。
どうしたもんかとかなみを見ると、ゆっくり賽銭箱のほうに向かっている。
「おまっ、あんな馬鹿な文句に騙されるなよ!」
「離して! あたしは幸運が欲しいのよ!」
かなみを羽交い絞めするが、思わぬ抵抗に遭う。
「俺のおみくじと交換してやるから! 大吉だぞ!」
「……いいの?」
ぴたりと抵抗をやめ、かなみは期待に満ちた目で俺を見つめた。
「構わん。元よりそういうのあんま気にしな」
最後まで言う前におみくじを引っ手繰られた。
「おまえなぁ、もうちょっと……」
「やった! アンタみたいなのでも、たまには役に立つわね♪」
文句言おうと思ったけど、かなみのお日様のような笑顔を見てしまってはその気も失せてしまう。
「ほら、木に結ぼ! アンタの大凶、ここで落としていかないとね!」
ひらひらとおみくじを振るかなみに、俺は軽く嘆息して着いていくのだった。
「ほら、アンタもお賽銭入れなさいよ」
「手が出ません」
晴れ着の群れの中にロープ男がいるのは大変珍しいのだろう、皆が俺をじろじろ見てて非常に辛い。
「ほら、口でやりなさい」
かなみが5円玉を俺の口に咥えさせた。俺を何だと思ってるんだこの娘さんは。
仕方ないので口で咥え、ぷっと空中に吐き出し、器用に回転させて賽銭箱に入れると拍手が舞い起こった。お辞儀するとおひねりが飛んできた。
「かなみ、拾って拾って」
「いらんことすんな!」
かなみは俺を殴ると、人気の少ない場所へ俺を引っ張って縄を解いた。
「やれやれ、恥ずかしかった」
「……アンタ、なんでパジャマなの?」
それは俺がパジャマなのに有無を言わさず縄でぐるぐる巻きにする人がいるからです。
「……なんでこんな奴と来ちゃったのかな、あたし」
軽く頭を押さえるかなみに、無理やり連れてきたのはお前だろと言いたいけど言えない。殴られるから。
「……まーいーや。ほら、おみくじしよ」
かなみに手を引かれ、おみくじ売り場へ。そこでは、巫女さんが売り子をしていた。
「巫女は処女しかなれないと聞きましたが本当ですか? 仮にそうなら処女検査があるのですか?」
「いきなり何聞いてんのよアンタはッ!」
巫女さんに質問したらかなみに蹴り飛ばされた。
「ったく、馬鹿。……そこの馬鹿の分も一緒にください」
かなみは俺の分もおみくじを買ってくれた。渡された紙切れを開く。大吉だった。続けて書いてある一文に目を通す。
『かなりのラッキーガイです。しかし、賽銭をたんまりくれるとさらなる幸運が!』
この神社、頭おかしい。
嫌な一文から目をそむけかなみを見ると、明らかに落胆していた。
「まさか大凶?」
こくりと頷き俺に紙切れを渡す。恐る恐る文を読む。
『最悪です。超B・A・D! しかし、賽銭をたんまりくれると幸運が!』
この神社、頭おかしい。
どうしたもんかとかなみを見ると、ゆっくり賽銭箱のほうに向かっている。
「おまっ、あんな馬鹿な文句に騙されるなよ!」
「離して! あたしは幸運が欲しいのよ!」
かなみを羽交い絞めするが、思わぬ抵抗に遭う。
「俺のおみくじと交換してやるから! 大吉だぞ!」
「……いいの?」
ぴたりと抵抗をやめ、かなみは期待に満ちた目で俺を見つめた。
「構わん。元よりそういうのあんま気にしな」
最後まで言う前におみくじを引っ手繰られた。
「おまえなぁ、もうちょっと……」
「やった! アンタみたいなのでも、たまには役に立つわね♪」
文句言おうと思ったけど、かなみのお日様のような笑顔を見てしまってはその気も失せてしまう。
「ほら、木に結ぼ! アンタの大凶、ここで落としていかないとね!」
ひらひらとおみくじを振るかなみに、俺は軽く嘆息して着いていくのだった。
【ちゅんでれにこれって間接キスだよなって言ったら】
2010年05月05日
隣家に住む椎水さんには、小さな娘さんが一人いる。両親は共働きらしく、時折俺の家に娘を預けることがあった。
学校が終われば暇だからいいけど、学生なんかに預けたりしていいんですかと問う俺に、おばさんは「一人で留守番させておくのも心配だし」とのこと。
けど俺ロリコンですよと続ける俺に、おばさんは「手出したら殺す」と笑うのだった。笑い返した声は、震えていた。
そんなわけで、一人娘であるかなみちゃんが俺の家にいる。
「はやくーごはんーごはんーごはんー! ねーお兄ちゃん、ごはんまだー?」
「はいはい……っと。ほい、ペペロンチーノ」
「えー、またこれー? もうあきたー! べつのつくってよ!」
「これ以外だとお茶漬けぐらいしか作れないけど、いいか?」
「……はぁ、しょうがないなぁ。これでがまんしてあげるよ」
不満げに口をとがらすが、パスタを口に入れると途端に顔を綻ばせた。
「まぁまぁだね。……はぐはぐ」
「そいつは嬉しい評価だな」
たどたどしい手つきでフォークを使い、かなみちゃんは一心不乱に俺の手料理を食べていた。
「あぅっ! ……からひー」
舌をべーっと出し、かなみちゃんは顔をしかめた。小さな舌の上に、大き目の刻み唐辛子が乗っていた。
「悪い悪い。ちょっと大きく切り過ぎたか?」
舌から唐辛子を取り、ぱくりと食べる。うん、子供にはちょっと辛すぎたかも。
「うー、ひりひりする……」
「あ、これって間接キスだな」
水を飲んでいたかなみちゃんは、その一言で顔全体を赤くした。
「き、き、きす!? へ、へんなこといわないでよっ! ばかっ!」
食事の途中だと言うのに、かなみちゃんはフォークを置いて俺の部屋に飛び込んで行った。
「……これ、手出したことになんのかな? ……殺されるの、俺?」
寒さとは違う震えが俺の体を襲っていた。
「か、かんせつきすって、うれしそうに。お兄ちゃん、もてないんだろうな」
かなみは腕を組んでしばらく思案すると、やがて決断した。
「しょーがない。き、きすしちゃったし、かなみがけっこんしてあげよっ。お兄ちゃんよろこぶだろな……えへへっ♪」
タカシの部屋で、かなみは枕を抱きしめ一人布団を転がるのだった。
学校が終われば暇だからいいけど、学生なんかに預けたりしていいんですかと問う俺に、おばさんは「一人で留守番させておくのも心配だし」とのこと。
けど俺ロリコンですよと続ける俺に、おばさんは「手出したら殺す」と笑うのだった。笑い返した声は、震えていた。
そんなわけで、一人娘であるかなみちゃんが俺の家にいる。
「はやくーごはんーごはんーごはんー! ねーお兄ちゃん、ごはんまだー?」
「はいはい……っと。ほい、ペペロンチーノ」
「えー、またこれー? もうあきたー! べつのつくってよ!」
「これ以外だとお茶漬けぐらいしか作れないけど、いいか?」
「……はぁ、しょうがないなぁ。これでがまんしてあげるよ」
不満げに口をとがらすが、パスタを口に入れると途端に顔を綻ばせた。
「まぁまぁだね。……はぐはぐ」
「そいつは嬉しい評価だな」
たどたどしい手つきでフォークを使い、かなみちゃんは一心不乱に俺の手料理を食べていた。
「あぅっ! ……からひー」
舌をべーっと出し、かなみちゃんは顔をしかめた。小さな舌の上に、大き目の刻み唐辛子が乗っていた。
「悪い悪い。ちょっと大きく切り過ぎたか?」
舌から唐辛子を取り、ぱくりと食べる。うん、子供にはちょっと辛すぎたかも。
「うー、ひりひりする……」
「あ、これって間接キスだな」
水を飲んでいたかなみちゃんは、その一言で顔全体を赤くした。
「き、き、きす!? へ、へんなこといわないでよっ! ばかっ!」
食事の途中だと言うのに、かなみちゃんはフォークを置いて俺の部屋に飛び込んで行った。
「……これ、手出したことになんのかな? ……殺されるの、俺?」
寒さとは違う震えが俺の体を襲っていた。
「か、かんせつきすって、うれしそうに。お兄ちゃん、もてないんだろうな」
かなみは腕を組んでしばらく思案すると、やがて決断した。
「しょーがない。き、きすしちゃったし、かなみがけっこんしてあげよっ。お兄ちゃんよろこぶだろな……えへへっ♪」
タカシの部屋で、かなみは枕を抱きしめ一人布団を転がるのだった。
【ツンデレ手編みのマフラー】
2010年05月05日
「ふぇっくしょいっ!」
下校中、私の隣でタカシが大きくくしゃみをした。
「風邪か? 不摂生をしているからだ、愚か者め」
「ずず……いや、違う違う。ちょっと寒くてな。あと、愚か者とか言うない」
鼻をすすり、タカシは軽く体を震わせた。
「……まあ、馬鹿は風邪を引かんと言うから大丈夫とは思うが、一応家に帰ったならうがいを忘れんようにな」
「お、心配してくれんのか? サンキュ、みこと」
タカシはにっこり笑って私の頭をなでてくれた。恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じる。
「だっ、誰が貴様なんかの心配をするというのだ! 頭をなでるな、たわけ!」
「痛い痛い痛い! 殴るな蹴るな、傘で刺すなッ!」
タカシと別れ、私は家に帰った。そして部屋に入り、布団の上に置かれたものに視線を向ける。
「タカシの誕生日まであと数日。……間に合うだろうか」
布団の上に、編みかけのマフラーがあった。ひいき目に見ても上手と言えはしないが、不器用な私にしては頑張ったほうだろう、うん。
制服を着替える暇ももどかしく、私は編みかけのマフラーに棒針を通した。
それから数日後、タカシの誕生日の朝。私はいつものタカシとの待ち合わせ場所で、いつもより早く彼を待っていた。
鞄と一緒に持ってる紙袋の中には、昨晩なんとか仕上げたマフラーが入っている。
編み目はぐちゃぐちゃだし、目が大きすぎて風が通ってしまうが、それでも精一杯心を込めて編んだつもりだ。
タカシはなんと言ってくれるだろう。呆れるだろうか。馬鹿にするだろうか。……いや、奴のことだ、馬鹿みたいに喜んでつけるに違いない。
その様子を想像し小さく笑っていると、道の向こうから人影が見えた。タカシだ。……ただ、少しいつもと服装が違っていた。
彼の首元に、鮮やかな色彩のマフラーがあった。私は思わず物陰に隠れ、紙袋を覗き込んだ。その中には、くすんだ赤いぼろぼろのマフラーが入っている。
どう比べても、タカシのマフラーに勝てる自信がなかった。
「おはよーさん、みこと。んなとこで何やってんだ?」
「うひゃっ!?」
突然声をかけられ、変な声が出た。振り返ると、不思議そうな顔をしたタカシがいた。……無論、首には色鮮やかなマフラーが。
「い、いきなり声をかけるな! 心臓が止まるかと思ったぞ!」
「いや、ただの挨拶だし。……ところでその紙袋、なに?」
「こっ、これはなんでもない! 気にするな!」
「うん……? あ、ところでこのマフラーどうだ? 結構いいだろ?」
「あ、ああ……そうだな」
私の気も知らず、タカシは嬉しそうにマフラーを指で摘まんだ。
「近所の古着屋に激安で売っててな。中古の割には綺麗だし、デザインも悪くないだろ?」
「そ、そうだな。……悪くないどころか、かなりの品だ」
「お、分かる? へへっ、嬉しいな」
私は、なんだか凄く惨めな気分になってしまった。分かってる、タカシが悪いんじゃない。
でも、タカシの笑顔を見る度、私の編んだマフラーが貶されているような気がして。タカシを想う気持ちまで貶されているような気がして。
「……みこと?」
気がつくと、私は泣いていた。
「なっ、なんでもない」
「なんでもないわけないだろっ! 何か俺、みことを傷つけること言っちゃったのか? 頼む、言ってくれ」
「なんでもないと、言っている!」
思わず持っていた物をタカシに投げつけ、私は学校へ逃げた。
最悪だ。何を逃げてるんだ私は。しかも、何も悪くないタカシに怒ったりなんかして。
最悪だ。最低だ。もう嫌だ。
私は教室に着くと、顔を机に伏せた。
友達が私の様子に何事か問いかけてきたが、返事がないと知ると離れて行った。
「みこと」
それからしばらくして、一番聞きたくない人の声が聞こえた。
「いきなり走って行っちゃうからびっくりしたぞ」
「……うるさい、話しかけるな」
私は顔を伏せたままタカシに告げた。
「……実はさ、ここに来る途中にマフラーを木に引っ掛けちゃって千切れちゃったんだ」
「……え」
思わず顔を上げる。そこにタカシが、そしてその首に、見慣れた……くすんだ、赤いマフラーが。
「てなわけで、代わりに落ちてたマフラー使ったんだけど、いいよな?」
そう言って笑いかけるタカシの手に、私の鞄と、空になった紙袋があった。そういえば、あの時投げてそのままだった。
「な、なぜ私に聞く。私は知らん!」
「そか。じゃ、もらっちゃお」
「……だ、誰のものとも知れん落ちてたマフラーをするとはな。相変わらずタカシは馬鹿だな」
「へへっ、でもな、このマフラー暖かいぞ。誰が作ったか知らないけど、感謝しないとな」
「……ふ、ふん。そんな粗末なものに感謝なぞする必要もあるまい。編み目はぐちゃぐちゃだし、目が大きすぎて風が入ってくるだろうに」
「んー……でもな、心を込めて編んだのが伝わってくるから、思った以上に暖かいんだな、これが」
「……ふ、ふん! 物好きな奴め」
笑いかけるタカシの姿が、ゆっくりとにじんでいく。
「……プレゼントありがとな、みこと」
優しく頭がなでられる。もう、ダメだった。
私は、タカシにしがみついて子供みたいにわんわん泣いた。
下校中、私の隣でタカシが大きくくしゃみをした。
「風邪か? 不摂生をしているからだ、愚か者め」
「ずず……いや、違う違う。ちょっと寒くてな。あと、愚か者とか言うない」
鼻をすすり、タカシは軽く体を震わせた。
「……まあ、馬鹿は風邪を引かんと言うから大丈夫とは思うが、一応家に帰ったならうがいを忘れんようにな」
「お、心配してくれんのか? サンキュ、みこと」
タカシはにっこり笑って私の頭をなでてくれた。恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じる。
「だっ、誰が貴様なんかの心配をするというのだ! 頭をなでるな、たわけ!」
「痛い痛い痛い! 殴るな蹴るな、傘で刺すなッ!」
タカシと別れ、私は家に帰った。そして部屋に入り、布団の上に置かれたものに視線を向ける。
「タカシの誕生日まであと数日。……間に合うだろうか」
布団の上に、編みかけのマフラーがあった。ひいき目に見ても上手と言えはしないが、不器用な私にしては頑張ったほうだろう、うん。
制服を着替える暇ももどかしく、私は編みかけのマフラーに棒針を通した。
それから数日後、タカシの誕生日の朝。私はいつものタカシとの待ち合わせ場所で、いつもより早く彼を待っていた。
鞄と一緒に持ってる紙袋の中には、昨晩なんとか仕上げたマフラーが入っている。
編み目はぐちゃぐちゃだし、目が大きすぎて風が通ってしまうが、それでも精一杯心を込めて編んだつもりだ。
タカシはなんと言ってくれるだろう。呆れるだろうか。馬鹿にするだろうか。……いや、奴のことだ、馬鹿みたいに喜んでつけるに違いない。
その様子を想像し小さく笑っていると、道の向こうから人影が見えた。タカシだ。……ただ、少しいつもと服装が違っていた。
彼の首元に、鮮やかな色彩のマフラーがあった。私は思わず物陰に隠れ、紙袋を覗き込んだ。その中には、くすんだ赤いぼろぼろのマフラーが入っている。
どう比べても、タカシのマフラーに勝てる自信がなかった。
「おはよーさん、みこと。んなとこで何やってんだ?」
「うひゃっ!?」
突然声をかけられ、変な声が出た。振り返ると、不思議そうな顔をしたタカシがいた。……無論、首には色鮮やかなマフラーが。
「い、いきなり声をかけるな! 心臓が止まるかと思ったぞ!」
「いや、ただの挨拶だし。……ところでその紙袋、なに?」
「こっ、これはなんでもない! 気にするな!」
「うん……? あ、ところでこのマフラーどうだ? 結構いいだろ?」
「あ、ああ……そうだな」
私の気も知らず、タカシは嬉しそうにマフラーを指で摘まんだ。
「近所の古着屋に激安で売っててな。中古の割には綺麗だし、デザインも悪くないだろ?」
「そ、そうだな。……悪くないどころか、かなりの品だ」
「お、分かる? へへっ、嬉しいな」
私は、なんだか凄く惨めな気分になってしまった。分かってる、タカシが悪いんじゃない。
でも、タカシの笑顔を見る度、私の編んだマフラーが貶されているような気がして。タカシを想う気持ちまで貶されているような気がして。
「……みこと?」
気がつくと、私は泣いていた。
「なっ、なんでもない」
「なんでもないわけないだろっ! 何か俺、みことを傷つけること言っちゃったのか? 頼む、言ってくれ」
「なんでもないと、言っている!」
思わず持っていた物をタカシに投げつけ、私は学校へ逃げた。
最悪だ。何を逃げてるんだ私は。しかも、何も悪くないタカシに怒ったりなんかして。
最悪だ。最低だ。もう嫌だ。
私は教室に着くと、顔を机に伏せた。
友達が私の様子に何事か問いかけてきたが、返事がないと知ると離れて行った。
「みこと」
それからしばらくして、一番聞きたくない人の声が聞こえた。
「いきなり走って行っちゃうからびっくりしたぞ」
「……うるさい、話しかけるな」
私は顔を伏せたままタカシに告げた。
「……実はさ、ここに来る途中にマフラーを木に引っ掛けちゃって千切れちゃったんだ」
「……え」
思わず顔を上げる。そこにタカシが、そしてその首に、見慣れた……くすんだ、赤いマフラーが。
「てなわけで、代わりに落ちてたマフラー使ったんだけど、いいよな?」
そう言って笑いかけるタカシの手に、私の鞄と、空になった紙袋があった。そういえば、あの時投げてそのままだった。
「な、なぜ私に聞く。私は知らん!」
「そか。じゃ、もらっちゃお」
「……だ、誰のものとも知れん落ちてたマフラーをするとはな。相変わらずタカシは馬鹿だな」
「へへっ、でもな、このマフラー暖かいぞ。誰が作ったか知らないけど、感謝しないとな」
「……ふ、ふん。そんな粗末なものに感謝なぞする必要もあるまい。編み目はぐちゃぐちゃだし、目が大きすぎて風が入ってくるだろうに」
「んー……でもな、心を込めて編んだのが伝わってくるから、思った以上に暖かいんだな、これが」
「……ふ、ふん! 物好きな奴め」
笑いかけるタカシの姿が、ゆっくりとにじんでいく。
「……プレゼントありがとな、みこと」
優しく頭がなでられる。もう、ダメだった。
私は、タカシにしがみついて子供みたいにわんわん泣いた。
【たぬきちなみん】
2010年05月04日
学校から帰ってくると、二階にある俺の部屋の中からすっぽこすっぽこ気の抜けた音が聞こえてくる。
足音を立てずにそっと逃げようとしたら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「すっぽこすっぽこ。……たぬきです、たぬたぬ」
ちなみは俺の腕を掴み、部屋に連れ込んだ。
「……逃げようとしました?」
「いいえ」
「……嘘つくと、ちゅーしますよ」
「それは罰じゃないことに気づいてるか?」
「はっ。……タカシは油断すると私を騙すので、注意が必要です」
勝手に騙されて俺を睨むたぬき。
「騙すのはむしろ、たぬきの方じゃないのか?」
「……言われてみれば、それもそうです。……こほん。……実は、私はタカシのことが嫌いです」
「はぁ」
「…………」
「…………」
「……ショック、受けてください」
ちなみは目に見えて落ち込んだ。半泣きでいじいじと指を合わせている。
「超ショック。死のう」
窓を開け外に飛び出そうとしたら羽交い絞めされた。
「離せっ、ちなみに嫌われては生きていけないっ!」
「だっ、ダメですダメですっ! 嫌いなんて嘘ですっ!」
「そいつはよかった」
「あっ……」
くるりと反転し、ちなみを抱きしめる。
「……やっぱり、タカシはすぐに私を騙します。……ひどいです」
「騙されるお前が間抜けなんだ」
「むっ。……間抜けなんかじゃないです。タカシのばか。ばーか」
俺に抱きしめられたまま、ちなみは悪態をついていた。
足音を立てずにそっと逃げようとしたら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「すっぽこすっぽこ。……たぬきです、たぬたぬ」
ちなみは俺の腕を掴み、部屋に連れ込んだ。
「……逃げようとしました?」
「いいえ」
「……嘘つくと、ちゅーしますよ」
「それは罰じゃないことに気づいてるか?」
「はっ。……タカシは油断すると私を騙すので、注意が必要です」
勝手に騙されて俺を睨むたぬき。
「騙すのはむしろ、たぬきの方じゃないのか?」
「……言われてみれば、それもそうです。……こほん。……実は、私はタカシのことが嫌いです」
「はぁ」
「…………」
「…………」
「……ショック、受けてください」
ちなみは目に見えて落ち込んだ。半泣きでいじいじと指を合わせている。
「超ショック。死のう」
窓を開け外に飛び出そうとしたら羽交い絞めされた。
「離せっ、ちなみに嫌われては生きていけないっ!」
「だっ、ダメですダメですっ! 嫌いなんて嘘ですっ!」
「そいつはよかった」
「あっ……」
くるりと反転し、ちなみを抱きしめる。
「……やっぱり、タカシはすぐに私を騙します。……ひどいです」
「騙されるお前が間抜けなんだ」
「むっ。……間抜けなんかじゃないです。タカシのばか。ばーか」
俺に抱きしめられたまま、ちなみは悪態をついていた。


