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2019年10月18日
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【たぬきちなみん】

2010年05月04日
 学校から帰ってくると、二階にある俺の部屋の中からすっぽこすっぽこ気の抜けた音が聞こえてくる。
 足音を立てずにそっと逃げようとしたら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「すっぽこすっぽこ。……たぬきです、たぬたぬ」
 ちなみは俺の腕を掴み、部屋に連れ込んだ。
「……逃げようとしました?」
「いいえ」
「……嘘つくと、ちゅーしますよ」
「それは罰じゃないことに気づいてるか?」
「はっ。……タカシは油断すると私を騙すので、注意が必要です」
 勝手に騙されて俺を睨むたぬき。
「騙すのはむしろ、たぬきの方じゃないのか?」
「……言われてみれば、それもそうです。……こほん。……実は、私はタカシのことが嫌いです」
「はぁ」
「…………」
「…………」
「……ショック、受けてください」
 ちなみは目に見えて落ち込んだ。半泣きでいじいじと指を合わせている。
「超ショック。死のう」
 窓を開け外に飛び出そうとしたら羽交い絞めされた。
「離せっ、ちなみに嫌われては生きていけないっ!」
「だっ、ダメですダメですっ! 嫌いなんて嘘ですっ!」
「そいつはよかった」
「あっ……」
 くるりと反転し、ちなみを抱きしめる。
「……やっぱり、タカシはすぐに私を騙します。……ひどいです」
「騙されるお前が間抜けなんだ」
「むっ。……間抜けなんかじゃないです。タカシのばか。ばーか」
 俺に抱きしめられたまま、ちなみは悪態をついていた。

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