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2026年03月16日
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【イモートコントロールダンディ】

2010年05月08日
 学校からの帰り道、変なのを拾った。
「……リモコン?」
 なんか、鉄人を操れるっぽいレトロなリモコン。レバーふたつの、あれ。それとアンテナ。
「……あ、タカシ。拾い食いはほどほどに」
「こんなもん食えるか。ていうか、拾い食いなんかしたことねーよ」
 ぽてぽてやってきたちなみにつっこみ一閃。そのはずみに、手に持っていたアンテナがちなみの頭にくっついた。
「……あ」
 途端、ちなみの顔がとろんと。目が潤みだして、なんか頬が染まってる。
「……命令は? お兄ちゃん」
「お兄ちゃん!?」
 いかん、これは夢だ。ちなみを妹と見立てて日々えろい妄想するあまり、白昼夢を見てしまうとは!
「覚めろ~覚めろ~夢覚めろ~」
 呟きながら近くの電柱に頭をぶつけまくる。おかしい、血が出るばかりで一向に覚めない。
「……お兄ちゃん、普通に怖いよ」
「出血多量で死にそうだが、とりあえず痛みを感じるので夢ではない、と」
「あ~もう、お兄ちゃんは私がいないと何にもできないんだから」
 いそいそと嬉しそうに止血するちなみをそのままに、俺は腕を組んで考えた。
 なんか知らんがちなみが妹になったしいいか(0.5秒)。
「よしちなみ、命令だ! 一緒に買い物行ったり映画行ったり手繋いだりするのだ!」
「おまかせだよ、お兄ちゃん」
 妹は満面の笑みを浮かべるのだった。

「……へへ、だーいせーいこーう」
 自分の部屋に戻り、ちなみは小さく笑った。
「……入念な下調べの甲斐があったね。……妹、だーいせーいこーう」
 頭についたアンテナをはずす。アンテナもリモコンも全て、ちなみが用意したものだった。
 今日あったこと──ホラー映画を観てタカシに抱きつき、頭をなでなでしてもらったことを思い出し、ちなみは頬が緩むのを止められないでいた。
「えへへ……明日は、どうしようかな」
 どうやってタカシに甘えるか考えながら、ちなみは瞳を閉じた。

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【ツンデレが義妹になった】

2010年05月08日
 俺には母親がいない。俺が小さな頃に事故で死んだ、と前に親父から聞いた。
 そんな親父が、みことの母親と再婚した。
「……私が、貴様の妹だと?」
 妹となったみことの第一声がそれだった。
「では妹記念に『オニーチャーン』と鳴け。ほれ、鳴け」
「…………」
 オニーチャーンと鳴く代わりに侮蔑の視線を向けられた。
「私は今まで通り別府と呼ばせてもらう」
「いや、でもこれからはおまえも別府性になるんだからややこしいぞ。名前か、オニーチャーンか、だ」
「……愚兄め」
 などというやりとりをしたのが昨日。
「いいか、学校で私と貴様が兄妹になったなどと言うなよ」
 学校への道すがら、みことは再三に渡って俺に注意を呼びかけていた。
「わーったわーった。で、『オニーチャーン』が嫌なら『にぃにぃ』ならどうだ?」
「……やはり痛みを与えねば理解しないか?」
「名前をどう呼ぶかなんて個人の自由ですよね、みことさん?」
 みことが暗い笑みを浮かべつつ懐に手を差し入れたので、慌てて掌を返す。
「まったく、貴様は……だがしかし、今までどおり別府と呼ぶには問題がある、か……」
「冗談はともかく、名前で呼ぶのが妥当じゃないか? ほれ、練習してみ」
「む……た、たか……」
「おっはよー二人とも!」
「うきゃッ!」
 勢いよく声を掛けられ、みことが猿のような声をあげる。声の主──かなみは、不思議そうに俺たちを交互に見ていた。
「二人で登校なんて珍しいわね。みこと、こんな奴と一緒にいたら馬鹿が移るわよ」
「失敬な、馬鹿じゃないぞ。それに二人で登校なのは俺たちがむぐむぐ」
 突然背後から口を塞がれた。
「いやなに、そこで偶然会ってな」
「ふーん。……ねぇ、いくらタカシでも殺すのはちょっと……」
「ん? ……あ」
 みことが俺の鼻も一緒に押さえていることに気がついたのは、俺が死ぬほんの数秒前だった。

「……まったく、秘密を守るため亡き者にされるかと思ったぞ」
 かなみの後ろに並び、ひそひそとみことにささやく。
「だいたい貴様がいらぬことを言わなければ済む話だろうが!」
 囁き声に怒気をはらませ、みことは俺を睨んだ。
「貴様じゃなくてお兄ちゃん。もしくはタカシ」
「そんな話は今してな」
「……アンタたち、何やってんの?」
「うきゃッ!?」
 いつのまにかこちらを向いていたかなみに声をかけられ、みことは猿声を発した。
「いや、みことが結婚してくれとうるさくて」
「えええええ!? みっ、みこと、アンタ抜け駆けはなしって約束したじゃない!」
 なんの話だろう、と思ってたらみことが俺の鼻と口を塞いだ。
「あははは、いやなに、少々タカシの奴おかしくなったようだな。そのような話は一切ない」
「そ、そっか、そうよね、あはははは」
「はは、ははは……」
 抜けるような空の下、ゆっくりと俺の意識は沈殿していった。
 
「……やっぱ秘密を守るために亡き者に」
「だからすまぬと言っておるであろう!」
 目が覚めると保健室だった。気を失った俺を連れ目が覚めるまでそばにいてくれたのは嬉しいが、殺そうとしたのもまたみことなので感謝していいのか微妙なところだ。
「ほら、目が覚めたなら起きろ。まだホームルーム中だぞ」
「やれやれ、めんどくせぇなぁ」
 みことと共に教室へ向かう。そして教室に入るなり、皆の微妙な笑顔に迎えられた。
「みこと、タカシの妹になったんだって?」
 かなみのからかう気満々の声に、みことは俺を勢いよく睨みつけた。
「きっ、貴様! 言ったな!」
「言ってません! だから殺さないで!」
「あーなんだ、言ったのは私だ」
 みことの懐刀を必死に押さえていると、気の抜けた担任の声が耳に届いた。
「なんだ、言っちゃいけなかったのか? わりぃわりぃ」
 がはははは、と豪快に笑う担任を尻目に、みことは気が抜けたようにその場にぺたんと座り込んだ。
「わ、私の学校生活が……」
「ま、いいじゃん。これで大手をふるってお兄ちゃんと呼べるし。ほれ、呼べ」
「誰が呼ぶかッ! ええい不愉快だ、やはりここで亡き者に!」
 みことが懐刀を携えたので、全力で廊下に飛び出す。しかしまぁ、妹と遊んでやるのも兄の務め。
 俺は愛しい妹と一緒に廊下を駆けた。
「刃物ダメ! NO刃物!」
「大丈夫だ、刃はつぶしておる。……ただ、骨の一本や二本は覚悟してもらうがな!」
 怪しい笑みを浮かべるみことに、なんとも大変な妹が出来たとしみじみ思った。

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【たまごやきちなみん】

2010年05月07日
 俺は常日頃玉子焼きが好物と言い放っている。しかし、あくまでそれは食べるのが好きと言うだけの話で。
「……玉子焼きです。……じゅーじゅー、食べごろです」
 だから、ちなみに玉子焼きの格好されても困るだけで。
「……おいしいですよ?」
「知るか。ていうか、うまけりゃ食ってもいいのか?」
「……おいしいですが、食べると死にます」
「んなもん勧めんな!」
「……残念です。タカシは根性ナシです」
 そんな根性は犬にでもくれてしまえ。
「……はっ。もしタカシが根性を出して食べてしまい、その結果死んでしまったら私は殺人者……」
 うんうん、気づいてくれたか。気づいたらならいいさ、気にしないぞ。
「……私を犯罪者に仕立て上げようだなんて……タカシはひどいです」
「…………」
 驚きを通り越して逆に感心してしまう。
「……ひどいタカシはつねってやりましょう。えい、えい」
 ぎゅうぎゅうとつねられる。俺が何をしたのでしょう。
「ちなみさん。俺にも痛覚がある故痛いのですよ?」
「……それは初耳です」
 一体俺を何だと思っていたのかこの玉子焼きは。ええい腹立たしい、ほっぺ引っ張ってやれ。ぐにー。
「……ひはひ、へふ」
「ふはははは、この俺様がやられたままでいると思っていたのか!」
 手を離し、今度はむにむにとほっぺをこねる。
「……むぅ。お返し、です」
 俺がしていることと同様にほっぺをこねられる。
「……なんか、気持ちいいです。仕返しのつもりなのに……弱りました」
 言葉とは裏腹に、ちなみはにっこり微笑むのだった。
 そしてその様子を偶然遊びに来たかなみに見られ、必死の土下座に挑む俺だった。(でもたぶん殴られる)

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【昼寝とツンデレ】

2010年05月07日
 天気がいいので、かなみと共に学校の中庭で昼食を摂る。昨日夜更かししたのと腹が膨れたのとで、非常に眠い。
「眠そうね、タカシ」
「んー……眠い。その通り、眠い。あと、眠い」
「本当に眠いのね……頭回ってないもん。いっつも回ってないけど」
 かなみに酷いこと言われてるような気がするが、眠くてよく分からない。
「眠いので、寝たい気持ち」
「少し寝たら? チャイム鳴ったらさしものアンタでも気づくでしょ」
「んー……膝枕してくれるなら寝てやってもいい」
「な、なななんでアンタなんかに膝枕しなくちゃならないのよ!」
「枕が変わると寝れないんだ」
「じゃああたしが膝枕しても一緒じゃないの!」
「ぐー……」
「ちょ、誰もやってあげるなんて言ってないのに頭載せないでよ!」
 なんか言ってるけど眠いので分からない。それにしてもこの枕は柔らかくて気持ちいい。こんな枕買ったっけ?
「こっ、こらっ、太もも触るなっ!」
 殴られたような。頭がズキズキする。
「……もうっ、馬鹿なんだから」
 殴られた場所を優しく撫でられているような感触。心地よさに包まれ、俺はそのまま深く眠りに就いた。

「……ん~、よく寝た」
 たっぷり眠って、気分爽快。枕も柔らかくて……おや、なんだこのぷにぷに感は。そして、なぜ俺の顔を覗き込むような姿勢でかなみは寝てるんだ。
 寝起きの回らない頭をなんとか回転させて、とりあえず腕時計を見る。……5時限目始まってる。
「かなみ、起きろ! 授業始まってる!」
 しかし、かなみは幸せそうにむにむにと口を動かすだけで一向に目を覚まさない。
「…………」
 なんだか、起こすのが忍びないな。いいか、ちっとくらいサボっても。
 俺は起こしていた頭を再びかなみの太ももに乗せ、心地よいまどろみに落ちていった。

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【はらぺこボクっ娘】

2010年05月07日
 放課後、しっぽを振ってついてくるボクっ娘を連れだらだら帰っていたら「ぐぅ」と盛大な音がした。
「ボクっ娘、はらぺこか?」
「は、はらぺことか言うなよぉ! それにボクっ娘じゃなくて梓! 覚える気ないんでしょ!?」
「はらぺこキャラのためにどっかで飯食うか。マックでいいな?」
「う……べ、別にいいけど」
 頭をなでると途端に大人しくなるので、大変便利。ただ、頬を染めるのはやめて。
 そんなわけではらぺこを連れマックへ。店内は学校帰りの学生達が多数たむろっていた。
「多いな……はらぺこ、薙ぎ払え」
「無理だよ! はらぺこって呼ぶな!」
 仕方ないので大人しく列に並ぶ。しばらく待つと、俺と同じくらいの年の可愛い店員さん笑顔を向けてくれた。
 そして、ここで食えとか一緒に揚げ芋を食えとか一所懸命ナンパするので、意を汲んで席に招待したら梓に叱られた。
「あれはナンパじゃなくてマニュアルなの! 分かれよぉ!」
「分かった上での行為だ」
「余計タチ悪いよぉ!」
 なんか知らんが怒ってる梓をからかってると、店員さんがハンバーガーを持ってきた。俺が二個、梓が一個。
「はらぺこなのに一つで足りるのか?」
「はらぺこはらぺこ言うなよぉ……。ボク、そんなはらぺこじゃないもん」
 なんて言いながらすでに包み紙を破っている梓ははらぺこだと思う。
「もにゅもにゅ……おいしいねぇ」
 さっきまで怒っていたのに、もう笑顔を見せてくれる。簡単というか子供というか可愛いなぁ。
 などといつまでも梓の顔を見ていても仕方ないので、俺も彼女に倣いハンバーガーにかぶりつく。
「うん、結構うまいな。やはり死んだ獣の肉をすり潰した物はうまい」
 梓が嫌そうな顔をした。
「タカシって、デリカシーないよね」
「そうでもないぞ。食事中に下の話題はできるだけ避けるようにしている。ところで今朝トイレ行ったら史上稀に見る大物が」
「言ってる傍から何言ってんだよぉ!」
 梓のハンバーガーを口に突っ込まれる。
「むぐむぐ……うまい」
 ぺろりと一口で平らげ、ついでに梓の指もれろん。
「うひゃっ!? な、何すんだよぉ!」
「妖怪指舐め。ボクっ娘やらはらぺこやらの指を舐めて暮らす可哀想な妖怪」
「全部ボクのことじゃないかよぉ! それに可哀想ってどういうことだよぉ! もー怒った、コレ没収!」
 梓は俺の残ったハンバーガーを奪い、そそくさと噛り付いた。
「あっ、俺のチキンバーガー! 貴様、俺の鳥さんを返せ!」
「やだよーだ! 罰だもん、もうボクのだもん!」
 言いながらも梓は食いきってしまった。
「はらぺこの本領発揮か……くっ、侮っていた」
「だから、はらぺこって言うな!」
 怒りながらも腹が膨れて満足したのか、梓は笑顔だった。

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