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2026年03月15日
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【牛を求む妹】

2010年05月17日
「ねーお兄ちゃん、ぎゅーして、ぎゅー?」
 妹のみゆが牛してくれ、などと頓狂なことを言う。
「とてもノー! 牛はまるで関係ない! 抱っこを擬態語と妹の愛らしさ、その両方を最大限に生かして表現した技法なの!」
「それを言ってる時点で色々ダメだし、あと、兄の思考を普通に読むのはやめてはくれまいか」
「にゃ?」(小首をこてりと傾げながら)
「分からないフリをされては仕方ない、諦めよう。……フリだと!?」
「自分で言っておいて自分で驚いてるよ、お兄ちゃん!」
「いやはや。それで、ぎゅーですか」
「うん、ぎゅー! いいかにゃ? ダメかにゃ? もしぎゅーしてくれるなら、みゆはとっても嬉しいよ?」
「妹が喜ぶのであれば、兄として何ら躊躇する理由はない。さあ来い、みゆ!」
「にゃーっ! お兄ちゃーんっ!」
 むわーって飛んできたみゆを、がっしと受け止め、そのまま流れるような動きでヘッドロックへと移行する。
「うにゃあああ!? なんか頭がずきずきすりゅー!?」
「それは大変だ。頭痛薬を用意しようね」
「間違った用法だよ、お兄ちゃん! この頭痛はお兄ちゃんが今まさにみゆに行っているヘッドロックのせいに相違ないよ!」
「それはどうかな?」
「いにゃにゃにゃにゃ!? 絶対にそうだもん! なぜならお兄ちゃんが力をぐいって入れた瞬間にみゆの頭もうにって痛くなったもん!」
「ウニか。最近寿司食べてねぇなあ」
「みゆに攻撃してる途中というのに、お兄ちゃんの脳がお散歩真っ最中!? うにゅれ許せないよ、ただでさえみゆに攻撃するという禁忌を犯しておきながら、あまつさえみゆに集中しないなんて……言語道断だよ!」
 お寿司食べたいなあとか思ってたら、何やらみゆから尋常ならざるオーラが放出されだしたような。
「ふぉぉぉぉ……震えるぞハート、燃え尽きるほどヒート! 必・殺、バックドローップ!」
 兄の身体がふわりと宙に浮いたと思ったら、そのまま後頭部を地面にしたたかに打ち付けられた。超痛え。
「ぐおお……」
「……ふぅっ。まったくもー! みゆにヘッドロックするだなんて、ひどいお兄ちゃんだよ! 許せない度が極めて高いよ!」
「兄の脳がでろりと零れ落ちたので、それで許してはくれまいか」
「こぼれてないよ? こぼれるまでやるる?」
「すいません兄が全面的に悪かったです」
 この妹はやると言ったら絶対にやるので、いつものように土下座で許しを請う。
「まったくもー……最初っから素直にぎゅーってしたらいいのに。……んじゃ、そゆことで、改めて、ぎゅーってしてくれるかにゃ?」
「ああ、分かった。おいで、みゆ」
「んじゃ……うにゃーっ♪」
 ぴょいんと飛び込んできたみゆを、がっしと受け止め、そのまま流れるようにヘッドロックへ移行する。
「またヘッドロックされにゃっ!?」
「ふふ……ふわーっはっはっは! 甘いぞ、みゆ! 兄があれしきのことで懲りると思ったか!」
 当然の帰結として、またバックドロップされ頭が割れそう。
「うーにゅ……やっぱ割れるまでやった方がいいのかにゃ?」
「すいません完全に完膚なきまで兄が悪かったです」
「にゅー……もう酷いことしない?」
「する」
「…………」
 もう一度宙に舞い上がった。
「もうみゆをいじめない?」
「いじめません」
 客観的に見ればどちらがいじめの首謀者か一目瞭然だが、兄妹間においては基本的に兄がいじめる側に立っているらしい。
「よろしい。んじゃ、今度こそみゆを抱っこするんだよ? ぎゅーってするんだよ? ついでにちゅーとかもするんだよ?」
「何か追加されましたが」
「お兄ちゃん、バックドロップ好きだね?」
「ぼくはみゆがだいすきなのでちゅーがしたいです」
「や、やだ、お兄ちゃん。みゆを大好きだなんて……もう、やんやん♪」
 嬉しそうにやんやんと笑うみゆだったが、果たして自分が脅迫したことに気づいているのだろうか。
「んじゃ、今度こそ抱っこだよ? ぎゅーだよ?」
「もう兄もそろそろ脳がいかれるので、分かってます」
「んじゃ……ふにゅっ」
 恐る恐るやってきたみゆを、むぎゅっと抱きしめる。
「ふにゅー♪ せいこーだよ、お兄ちゃん♪ むぎゅーだよ、むぎゅーってされてるよ!」
「確保成功」
「確保されせいこー! こりはもう、お兄ちゃんに一生捕まえられたままに違いないよ!」
「野生動物保護の観点から、その方がよいと考えました」
「みゆもそう考えました! なので、一生一緒なのですよ! こりはまるで結婚のようですにゃ?」
 みゆがじーっと兄を見る。視線が力を帯びているため、目を逸らす。
「Yes or はい だよ、お兄ちゃん?」
「選択肢があるようでないですね」
「……一緒なの、お兄ちゃんは嫌なのかにゃ?」
 みゆは目を伏せ、悲しそうにつぶやいた。
「こんな可愛い妹に寂しそうな顔をさせる奴は誰だ! 俺がたたっ斬ってやる!」
「お兄ちゃんが自殺をほのめかしている!?」
「しまった。しょうがない、死にます」
「無駄に諦めがいいよ、お兄ちゃん!」
「いやははは」
 よし。これで話題を逸らせた。やれやれだ。
「んで、答えはどうなのかにゃ?」
 なんということでしょう。逸らせていなかった。
「ええと……まあ、将来的には」
「にゃんと! 色よい返事がもらえたよ! こりはもう今から婚約とかしてはいかがかにゃ?」
「婚約すると二酸化炭素と反応して白くにごるからダメなんだ」
「お兄ちゃんが知らない間に石灰水になってる!? でも、それならしょうがないよね。白くにごりたくないもんね」
 まさか通るとは。我が妹ながら天晴れだ。
「そりはそりとして、ちゅーはどうなったのかにゃ?」
「う。覚えていたのですね」
「みゆは頭がいいので覚えているの! ほらほら、ちゅーだよ、ちゅー? ちゅーちゅーにゃーにゃーだよ?」
「ネズミと猫の珍道中ですね。トムとジェリーを思い出しますね」
「そんなものは思い出さなくていーの! ちゅーするの!」
「……分かった。兄に任せろ」
 ぐいっとみゆを引き寄せる。みゆは一瞬こわばった顔をした後、ぎゅっと固く目をつむった。
「……にゃ?」
 その頬に、ちゅっと口付ける。
「……ふぅ!」
「何をやりきった顔してるかー! ほっぺじゃなくて、口にするの! むちゅーって! べろべろーって! べろんべろんって! べろぉんべろぉんって!」
「擬音があんまりです」
「いいの! でもなんかほっぺもそれはそれで幸せになっちゃうので困ってます!」
 みゆは怒りながらも喜びが隠せないようで、時折にやにやしていた。
「じゃあいいじゃん。今日のところはそれで」
「うにゅー……じゃ、次回は口だよ? 絶対だよ? 嘘ついたら拷問だよ?」
「最後の台詞が怖いので、なかなか頷けないよね」
「頷かないと拷問だよ?」
 超高速でうなずく。
「よろしい。……んじゃ、もっかい、ほっぺでいーから、その、……ちゅーしてくれるかにゃ?」
 少し照れながら言うみゆのほっぺに、唇を寄せる兄でした。

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【「…………」(なでなで)】

2010年05月17日
「おい、そこの馬鹿。これ落としたぞ」
 ふらりふらりと教室を徘徊してると、みことに呼び止められた。
「おお、家の鍵か。さんきゅ、みこと」
 感謝の意を表すため、みことの頭をなでる。
「…………」(なでなで)
 みことは、気持ちよさそうに目を細めた。
「……はっ! き、貴様、気安く頭を触るな!」
 俺の手を乱暴に払いのけ、みことは目をつり上げて怒った。
「まぁそう言うな。感謝してんだから、素直に受け取れ」
「…………」(なでなで、なでなで)
 みことは、とても気持ちよさそうに目を細めた。
「……はっ! だ、だから触るなと言っているだろう!」
「……なでられるの、好きなのか?」
 みことの顔が赤く染まった。
「そ、そんなわけないだろうが! 子供じゃあるまいし、そんなものでこの私が……」
 なでなで、なでなで。
「…………」
 みことは、恍惚とした表情で俺のなでなでを受けた。
「やっぱ好きなんだな。別にそれくらい、いいと思うけどな」
「好きではないと言っているだろう! ええい笑うな近寄るな!」
「……にひ。みこと~、頭なでさせろ~」
「ええい近寄るな、踊りながら来るな! ……ぁぅ」
 なでられると、途端に大人しくなるみことが少し愛しい。
「わはははは! 可愛いなぁみことは」
「~~~~~! き、き、貴様! もう許さん!」
 突進してくるみことをひらりとかわす。失敗。

 足腰立たなくなるまで殴られたけど、明日もやろう。

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【ボクっ娘だらけの水泳大会】

2010年05月17日
 ボクっ娘を騙して学校のプールに連れてきた。
「と、いうわけでボクっ娘だらけの水泳大会を開催します」
「……ボク一人しかいないよ?」
「観客の視線を独り占めできていいじゃん」
「……観客、タカシしかいないよ?」
「ええいボクっ娘のくせに揚げ足とるな! ボクっ娘はボクっ娘らしく『おしっこもらした~、どうしよう~』とか言って泣いてればいいんだよ!」
「ボクっ娘じゃなくて梓ぁ! 何回言ったら覚えるんだよぉ! それにおしっこもらした~、なんて言わないよぉ!」
「いいから泳げ! あとでカキ氷おごってやるから!」
「え、ホント! それならいいよ! ボクねボクね、あずきがいい! あずきっておいしいよね、あのちょっと甘いところがふきゃっ!?」
 言質はとったので、梓をプールに突き落とす。
「……ぷはっ! いきなり何するんだよぉ!」
「突き落とした」
「そういうことを言ってるんじゃない! ……うう、制服びしょびしょだよぉ」
「早く着替えないから、そうなるんだ」
「タカシが突き落とさなかったらこうならないよ!」
「それは盲点だった。まぁいいや、過ぎたことは水に流そう」
「……う~、ていっ!」
「うわっ!」
 梓は不満げにうなり、俺の足を引っ張ってプールに引きずり込んだ。
「てめぇ、梓!」
「あはははは! ボクだけ水浸しになるのは不公平だからね!」
 けらけらと笑いながら、梓は泳いで俺から逃げ出した。
「……こうなった以上ボクっ娘ビデオは撮れん。せめて貴様をいじめないと気がすまん!」
 ポケットに入ってるデジカメには、防水機能はない。……高かったのになぁ。
「あー、やっぱりそういうつもりだったんだ! 怪しいと思ったんだぁ! あはは、ボクって賢い!」
「待て、待ちやがれ梓ぁ!」
 梓は楽しそうに笑いながら逃げるのだった。

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【換気扇ちなみん】

2010年05月17日
 罪悪感がないわけではないが、極々まれに煙草を吸う。
「すー……げへんげへんげへん! うー、何度吸っても気持ち悪ぃ……。換気扇つけよ」
 台所に向かうと、ちなみが当然のような顔をしてジュースを飲んでいた。……なんか、換気扇の格好して。
「……何やってんだ?」
「ごくごく。……換気扇です。ぶーん、ぶーん」
 とりあえず殴った。
「……痛いです。相も変わらずタカシはひどいです」
「で、何やってんだ?」
「……換気扇なので、吸ってます。すー」
 ちなみは深呼吸して、かすかに眉をひそめた。
「……なんか、煙草臭いです」
 ちなみの言葉に、ぎくりとする。
「ア、アハハ、キノセイジャナイカ?」
「…………(じーっ)」
「う……」
「……煙草、吸いましたか?」
「……えーっと、その、……ごめんなさい」
「……タカシはまだ高校生。20歳になってません。……吸ってはダメです」
「はい、仰るとおりです。すいません」
 ちなみの迫力に気圧されたのか、気がつけば正座していた。
「……なにより、タカシが煙草を吸って早死にしたら……嫌です。つまらないです」
「……あー、そだな。ごめん。もう吸わない」
「……でも、もう吸いました。……吸った分は、私が吸い取ってあげます」
「はい……えっ! いやちょっと待ってそれはむぐっ」
 ちなみに吸い付かれた。いや、口唇ぷにぷにで気持ちいいけどなんか犯されてる気分!
「……ちゅ、ちゅちゅー……ぷはっ。これでおっけーです。……もう、煙は吸い取りました」
「ぜはーぜはーぜはー……。お、おまえ無茶すんな!」
「……いいんです。タカシがこれで健康になってくれたら、私は嬉しいです」
 そう言って擦り寄ってくるちなみに、俺は別の場所が健康になったよぱおーんと言いだせずにいた。

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【0点のテスト用紙を焼いてるところをツンデレに見つかったら?】

2010年05月17日
 名前を書くのを忘れていたのか、テストで0点取った。軽く発狂した。
 このままでは俺のプライドが許さないので、焼いてなかったことにしよう。校舎裏で問題のテスト用紙を広げ、マッチで火をつける。
「ふ……ふはははは。燃えてしまえ、何もかも燃えてしまえ!」
「何を燃やしてるアルか?」
 ひょい、と後ろからメイシンが顔を出したので、俺の心臓は止まりかけた。
「……え、えと、……焼き芋?」
「……タカシ、これテスト用紙よ?」
「化学変化を起こしてテスト用紙になったんだ」
「そんなわけないネ!」
 ばれた。なんでだろう。
 メイシンはテスト用紙を踏んで火を消し止めた。まだ火をつけてそんなに経ってないから、ほとんど燃えてない。
「あー、0点アルか。タカシは馬鹿アルね」
「くっ……おまえだって国語の点数クソ悪かっただろ! 確か20点台だったんじゃないか?」
「そ、それは仕方ないネ。日本の言葉、難しアル。……でも、他の教科は80点台アルよ?」
 俺の他の教科が赤点スレスレと知っての言葉かコンチクショウ。
「うっせーばーかばーかばーか! 悔しかったら四文字熟語を言ってみろ!」
「や、焼芋定食?」
 メイシンは新しい熟語を作りだした。
「……まぁ、うまそうだし合格」
「適当な基準アルね……。とにかく、タカシはダメね。ダメのダメダメね。大馬鹿もいいところネ」
「今の教育で俺を計ろうと言う方が間違ってる。1000年後ならたぶん天才だぞ、俺は」
「……そのころにはもう死んでるネ」
 それは盲点だった。
「もういいよ、ほっといてくれ。腹減ったから焼芋定食でも食いに行こう……」
「あ、えと、……そうネ! あんまりにもタカシが馬鹿だから、ワタシが勉強教えてあげるアル。感謝するヨロシ」
「いいよ、面倒だし……おや?」
 断る前に腕を引っ張られていた。振り払おうと思ったけど、メイシンの笑顔を見て、まぁいいかと思った。
 その後、10時間以上に及ぶ地獄の勉強会だと知って軽く失禁したのはまた別の話。

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