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2026年03月22日
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【普段は「タカシ」と呼び、脳内では「たくあん」と呼ぶツンデレ】
2010年01月25日
「おっすちなみ」
「……おはよう、タカシ」(たくあんが来た)
「今日も小さいな」
「……巨大なお世話だ」(たくあんが失礼なことを言う)
「んじゃ後でな」
「……ん」(たくあんが去った)
「ちなみ、今日の飯はなんだ?」
「……あげない」(たくあんが来た)
「ふむ。ご飯に玉子焼きにウィンナーに、たくあんか」
「!!?」(たくあんの……二乗!?)
「どうしたちなみ、何を驚いてる?」
「……べ、別に」(落ち着け、ちなみ。これはご飯のたくあん、あれはご飯じゃない方のたくあん)
「ふむ。まあいいか、俺もここで食うな」
「……勝手なことを」(ダブルたくあん……御せるのか、私に)
「むぐむぐ。ふむ、今日も弁当がうまい」
「…………」(たくあんがアホ顔でご飯を食べてる)
「もしゃもしゃもしゃ……ぐっ」
「……はい」(たくあんが食事をのどに詰めたので、救助)
「……ごっごっご……ぷはーっ! ふぅ、死ぬとこだった。サンキュな、ちなみ」(なでなで)
「…………」(たくあんになでられた。嬉しい)
「むにー」
「…………」(たくあんがついでとばかりに私のほっぺを引っ張る)
「わはは。面白い顔」
「…………」(たくあんに反撃。たくあんのほっぺを引っ張る)
「人の顔で遊ぶな」
「……それは私の台詞」(たくあんに触ってると安心する)
「まあいいや。あ、たくあんくれ」
「!!? ……う、うん」(たくあんがたくあんを……)
「サンキュ。ぽりぽりぽり……」
「…………」(たくあんがたくあんを摂取。これでたくあんのたくあん度がさらに増した)
「……何をじっと見てるかね、このお姫さんは」
「……押すな」(たくあんが私のほっぺを押す。少し嬉しい)
「…………」
「……引っ張るな」(たくあんが私のほっぺを引っ張る。やはり少し嬉しい)
「わはは。やっぱり変な顔」
「……失敬な」(たくあんの笑顔は好きだ)
「さて。たくあん貰ったし、お返しにこれやるよ」
「……赤い」(たくあんがイチゴを私の弁当箱に。かなり嬉しい)
「色は言わなくていい。イチゴだよ、確か好きだったろ?」
「……そこそこ」(本当はすごく。たくあんは優しい)
「そこそこか……まあいいや、食え」
「……食う」(たくあんのイチゴを食う。甘くて美味しい)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじっと私を見ている)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじーっと私を見ている)
「ちなみ」
「もきゅ?」(たくあんに話しかけられた)
「なんで顔赤くなってんだ」
「もきゅ!?」(しまった。たくあんにじっと見られていたせいか)
「咀嚼音で驚くな」
「……もきゅもきゅ、ごくん。……その、アレだ。……全身の血液が顔に集まっただけ。数分後に顔からおびただしい量の血を噴き出し死ぬ予感」(これでたくあんを誤魔化す)
「すごい嘘を平然とつきますね!」
「……う、嘘じゃない。その巻き添えで、たくあんも死ぬ」(たくあんにばれた)
「たくあんではないです、タカシです」
「…………」(間違った)
「どんな間違いだ」(なでなで)
「……ん」(たくあんになでられた。嬉しい)
「……おはよう、タカシ」(たくあんが来た)
「今日も小さいな」
「……巨大なお世話だ」(たくあんが失礼なことを言う)
「んじゃ後でな」
「……ん」(たくあんが去った)
「ちなみ、今日の飯はなんだ?」
「……あげない」(たくあんが来た)
「ふむ。ご飯に玉子焼きにウィンナーに、たくあんか」
「!!?」(たくあんの……二乗!?)
「どうしたちなみ、何を驚いてる?」
「……べ、別に」(落ち着け、ちなみ。これはご飯のたくあん、あれはご飯じゃない方のたくあん)
「ふむ。まあいいか、俺もここで食うな」
「……勝手なことを」(ダブルたくあん……御せるのか、私に)
「むぐむぐ。ふむ、今日も弁当がうまい」
「…………」(たくあんがアホ顔でご飯を食べてる)
「もしゃもしゃもしゃ……ぐっ」
「……はい」(たくあんが食事をのどに詰めたので、救助)
「……ごっごっご……ぷはーっ! ふぅ、死ぬとこだった。サンキュな、ちなみ」(なでなで)
「…………」(たくあんになでられた。嬉しい)
「むにー」
「…………」(たくあんがついでとばかりに私のほっぺを引っ張る)
「わはは。面白い顔」
「…………」(たくあんに反撃。たくあんのほっぺを引っ張る)
「人の顔で遊ぶな」
「……それは私の台詞」(たくあんに触ってると安心する)
「まあいいや。あ、たくあんくれ」
「!!? ……う、うん」(たくあんがたくあんを……)
「サンキュ。ぽりぽりぽり……」
「…………」(たくあんがたくあんを摂取。これでたくあんのたくあん度がさらに増した)
「……何をじっと見てるかね、このお姫さんは」
「……押すな」(たくあんが私のほっぺを押す。少し嬉しい)
「…………」
「……引っ張るな」(たくあんが私のほっぺを引っ張る。やはり少し嬉しい)
「わはは。やっぱり変な顔」
「……失敬な」(たくあんの笑顔は好きだ)
「さて。たくあん貰ったし、お返しにこれやるよ」
「……赤い」(たくあんがイチゴを私の弁当箱に。かなり嬉しい)
「色は言わなくていい。イチゴだよ、確か好きだったろ?」
「……そこそこ」(本当はすごく。たくあんは優しい)
「そこそこか……まあいいや、食え」
「……食う」(たくあんのイチゴを食う。甘くて美味しい)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじっと私を見ている)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじーっと私を見ている)
「ちなみ」
「もきゅ?」(たくあんに話しかけられた)
「なんで顔赤くなってんだ」
「もきゅ!?」(しまった。たくあんにじっと見られていたせいか)
「咀嚼音で驚くな」
「……もきゅもきゅ、ごくん。……その、アレだ。……全身の血液が顔に集まっただけ。数分後に顔からおびただしい量の血を噴き出し死ぬ予感」(これでたくあんを誤魔化す)
「すごい嘘を平然とつきますね!」
「……う、嘘じゃない。その巻き添えで、たくあんも死ぬ」(たくあんにばれた)
「たくあんではないです、タカシです」
「…………」(間違った)
「どんな間違いだ」(なでなで)
「……ん」(たくあんになでられた。嬉しい)
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【ツンデレに初詣に連れて行かれたら】
2010年01月25日
今年の正月は寝正月と決め込んでいたのに、かなみが突然やってきて初詣に行こうというの。
「一年の計は元旦にありって言うじゃない。優しいあたしがわざわざ誘ってあげてるんだから、喜んで来なさいよ」
「寒いしめんどい」
「いいから行くのっ!」
「あぁん」
そういうわけで、無理やり有名でもなんでもない近所の神社に連れて来られた。とはいえ流石は正月、それでも結構な人の数で溢れている。
「やっぱこういう場所に来ると気が引き締まるわねー……って、あれ? タカシ?」
「もぐもぐもぐ」
「何を一人でたこ焼き食べてるか!」
出店があったのでたこ焼き買って食べてたら怒られた。
「おいしいよ?」
「味が問題じゃないの!」
「分かったよ、一個やるよ……」
「そ、そういうことでもなくて……」
つまようじでたこ焼きを一つぷすりと刺し、それをかなみに向けると、かなみは顔を真っ赤にしながらあわあわした。やがて、きょろきょろ周囲を見回すと、観念したように口を大きく開けた。
「……あ、あーん」
「ほい」
「もぐもぐ……」
「うまいか?」
「う、うん。……じゃ、じゃなくて! こんなの食べるより、お参りするほうが大事でしょ!」
「待ってまだ全部食べてない」
「ああもう、早く食べちゃいなさいよ!」
「分かった分かったあっちぃ!」
「落ち着けっ!」
「食べさせてくれたら落ち着いて食べられそう」
「う……な、なんであたしがアンタに食べさせなくちゃならないのよ!」
「特に理由はないのだけど、そうしてくれると喜ぶ。主に俺が」
「……あ、ああもうっ、この甘えっ子! ほら、貸しなさい!」
かなみは俺からたこ焼きをプラスチックトレイごと奪うと、つまようじでたこ焼きをぷすりと刺し、俺に向けた。
「あ、あーん」
「かなみ、顔が怖い」
「う、うっさい! 早く食べなさい!」
「あと、顔が赤い」
「言うなっ! 刺すわよ!」
とても怖かったので慌ててたこ焼きを食べる。
「もぐもぐもぐ」
「……お、おいし?」
「かなみに食べさせてもらうと格別かと」
「い、いらんことは言わんでいいっ!」
「痛い痛い耳が痛い」
耳を引っ張られながら拝殿へ向かう。参列者の列に並びながら何を誓うか考えてると、かなみがこしょこしょと耳打ちしてきた。
「ね、アンタは何をお願いするの?」
「うーん。健康?」
「うわっ、アンタおっさん?」
「失礼な。そういうお前は何を願うんだ?」
「えっ、あ、あたしは……」
かなみは俺をじーっと見ると、なぜか顔を赤くしていった。
「うっ、うっさい! アンタなんかに教える必要ないでしょ!」
「酒焼けが治りますようにっていう願いか?」
「未成年よっ!」
そんな感じでぎゃーぎゃー言い合ってる(というか主に俺が一方的に言われている)と、俺たちの番になった。賽銭箱に小銭を投げ入れ、でっかい鈴のついた縄をがらんがらん振り、手を二回打ち鳴らし、礼する。
えーと、何にするかな。……まあ、さっき言ったし、健康でいいか。今年一年健康でいられますように、っと。あとついでにかなみも風邪とか引きませんようにっと。
終わったので隣を見ると、かなみが目をつぶったまま真剣な表情で何か呟いていた。風に乗って今年こそやらタカシがどうとか聞こえたが、はて。
「……よしっ! ほら、行くわよ」
「ん、あ、ああ」
かなみに手を引かれ、向かった先はおみくじ販売所だ。一枚百円か。
「どーせアンタは大凶だろうから、あたしの大吉の運を少し分けてあげるわね。感謝しなさいよ?」
「なんで既に決定されてんだ」
「日頃の行いよ」
などと言いながらおみくじを引く。
「お、大吉。らっくぃー。かなみ、お前は?」
「…………」
見ると、かなみはおみくじを手にしたまま呆然としていた。手元を覗き見ると、『大凶』の文字が。
「すげぇ……大凶ってホントに入ってんだな」
「うー……なんでアンタが大吉で、あたしが大凶なのよ……」
「日頃の行い?」
かなみが言う分にはいいらしいが、俺が言うと殴られます。理不尽。
「まあ、アレだ。俺の大吉やるよ。で、お前の大凶よこせ」
そう言いながら、既にかなみの大凶は奪い、代わりに大吉を押し付けている。
「あっ、そんなのダメよ! 返しなさい!」
「や、俺は基本的にこういうのあまり信じてないもので。かなみは信じてるっぽいから、いいのやるから俺に恩に着ろって話だ」
「……な、何よ。こんなので恩に着たりしないわよ!」
「ええっ!? これで恩に着させ、あとでちゅーとかしてもらう俺の完全なる計画が早くも頓挫しただと!?」
「す、するわけないでしょ!」
「むう、非常に残念。あ、向こうの木に結ぶみたいだぞ」
「え、あ、う、うん」
おみくじの木と化している木に、さらにおみくじをくくりつける。
「こうして……っと。結べたか?」
「…………」
「かなみ? どした、疲れたか?」
「え、あ、ううん。……うー」
かなみは何度か自分のおみくじと俺の顔を見た後、しぶしぶといった感じで木におみくじを結んだ。
「あれ、ホントはアンタの分なのに……」
「時々善人を演じたくなるだけだから気にするな」
「……むー」
納得してない感じだったが、それ以上かなみは何も言わなかった。
「さて、と。んじゃ帰るべ。それとも出店ひやかすか?」
「……帰る」
心なしか元気がないかなみと一緒に帰途に着く。うーむ、失敗したか。いつかこういうことを嫌味なく出来る大人になりたいものだ。
などとを思いながら静かな街並みを歩いてると、ふと手に柔らかな感触が。
「……ええと?」
「……かっ、勘違いしないでよね! お、恩には着ないけど、借りを作りっぱなしってのは嫌だから。……そっ、それだけ!」
あわあわしながらかなみが早口にまくし立てていた。
「つまり、おみくじの礼に手を繋いでやるってえことでせうか?」
「そ、そうよ。……ほ、他のがよかった? 膝枕とか、むぎゅーって抱っことか、ほっぺすりすりとか」
「いやいや、いやいやいや。それも大変魅力的ですが、この手ってのもなかなかどうして俺は大変好きです。かなみの手はやーらかくて気持ちいいし」
「……へ、変態」
「知らなかったのか?」
「受け入れるなッ! ……で、でも、そっか。アンタ、あたしの手、好きなんだ」
「うん。好き」
きゅっとかなみの手を強めに握る。かなみはこちらをちらりと見ると、おずおずと握り返した。
「……えへ。なんかね、いいね。こーいうの」
かなみのはにかんだ笑顔に、少しばかり照れる。
「……あ、あのね? ……もうちょっと、そっち行っていい?」
「いいけど、よりまくって俺の身体を壁に押し付け、その摩擦により俺を摩り下ろし殺すつもりなら断りたいです」
「やらないわよっ! なんでそんなこと思うのよ……」
「人と頭の中身が違うからだと思う。ダメな方向に」
「あー」
あーとか言われると悲しくなる。
「あははっ、うそうそ」
かなみはニッコリ笑って、俺の腕に自分の腕を巻きつけた。
「……えへへ。ね、あたしとくっつけて嬉しい?」
「かなみほどではないにしろ、嬉しい」
「あっ、あたしは嬉しいとか、そういうのじゃないもん。アンタに借りを返すためだけにやってるだけだもん」
「ほほう。つまり、かなみ自身は嫌々やってるのですな?」
「そ、そうだもん。あー、なんだってアンタなんかと腕を組まなきゃならないのかなー」
「かなみ、かなみ」
「ん?」
「そういう台詞を言うときは、ニコニコしてない方がよいと思います」
「ええっ!? ……し、してた?」
「超」
「う、うー……今のなし。……あー、なんだってアンタなんかと腕を組まなきゃならないのかなー。……どう?」
「まだ笑ってる」
「まだ!? ……い、嫌なのよ? ホントよ? アンタと腕組んで、嬉しいとか思ってないんだからね?」
「はいはいはい」
「し、信じなさいよ、ばかーっ!」
文句を言いながらも、俺の腕は決して離そうとしないかなみと一緒にゆっくり帰りましたとさ。
「一年の計は元旦にありって言うじゃない。優しいあたしがわざわざ誘ってあげてるんだから、喜んで来なさいよ」
「寒いしめんどい」
「いいから行くのっ!」
「あぁん」
そういうわけで、無理やり有名でもなんでもない近所の神社に連れて来られた。とはいえ流石は正月、それでも結構な人の数で溢れている。
「やっぱこういう場所に来ると気が引き締まるわねー……って、あれ? タカシ?」
「もぐもぐもぐ」
「何を一人でたこ焼き食べてるか!」
出店があったのでたこ焼き買って食べてたら怒られた。
「おいしいよ?」
「味が問題じゃないの!」
「分かったよ、一個やるよ……」
「そ、そういうことでもなくて……」
つまようじでたこ焼きを一つぷすりと刺し、それをかなみに向けると、かなみは顔を真っ赤にしながらあわあわした。やがて、きょろきょろ周囲を見回すと、観念したように口を大きく開けた。
「……あ、あーん」
「ほい」
「もぐもぐ……」
「うまいか?」
「う、うん。……じゃ、じゃなくて! こんなの食べるより、お参りするほうが大事でしょ!」
「待ってまだ全部食べてない」
「ああもう、早く食べちゃいなさいよ!」
「分かった分かったあっちぃ!」
「落ち着けっ!」
「食べさせてくれたら落ち着いて食べられそう」
「う……な、なんであたしがアンタに食べさせなくちゃならないのよ!」
「特に理由はないのだけど、そうしてくれると喜ぶ。主に俺が」
「……あ、ああもうっ、この甘えっ子! ほら、貸しなさい!」
かなみは俺からたこ焼きをプラスチックトレイごと奪うと、つまようじでたこ焼きをぷすりと刺し、俺に向けた。
「あ、あーん」
「かなみ、顔が怖い」
「う、うっさい! 早く食べなさい!」
「あと、顔が赤い」
「言うなっ! 刺すわよ!」
とても怖かったので慌ててたこ焼きを食べる。
「もぐもぐもぐ」
「……お、おいし?」
「かなみに食べさせてもらうと格別かと」
「い、いらんことは言わんでいいっ!」
「痛い痛い耳が痛い」
耳を引っ張られながら拝殿へ向かう。参列者の列に並びながら何を誓うか考えてると、かなみがこしょこしょと耳打ちしてきた。
「ね、アンタは何をお願いするの?」
「うーん。健康?」
「うわっ、アンタおっさん?」
「失礼な。そういうお前は何を願うんだ?」
「えっ、あ、あたしは……」
かなみは俺をじーっと見ると、なぜか顔を赤くしていった。
「うっ、うっさい! アンタなんかに教える必要ないでしょ!」
「酒焼けが治りますようにっていう願いか?」
「未成年よっ!」
そんな感じでぎゃーぎゃー言い合ってる(というか主に俺が一方的に言われている)と、俺たちの番になった。賽銭箱に小銭を投げ入れ、でっかい鈴のついた縄をがらんがらん振り、手を二回打ち鳴らし、礼する。
えーと、何にするかな。……まあ、さっき言ったし、健康でいいか。今年一年健康でいられますように、っと。あとついでにかなみも風邪とか引きませんようにっと。
終わったので隣を見ると、かなみが目をつぶったまま真剣な表情で何か呟いていた。風に乗って今年こそやらタカシがどうとか聞こえたが、はて。
「……よしっ! ほら、行くわよ」
「ん、あ、ああ」
かなみに手を引かれ、向かった先はおみくじ販売所だ。一枚百円か。
「どーせアンタは大凶だろうから、あたしの大吉の運を少し分けてあげるわね。感謝しなさいよ?」
「なんで既に決定されてんだ」
「日頃の行いよ」
などと言いながらおみくじを引く。
「お、大吉。らっくぃー。かなみ、お前は?」
「…………」
見ると、かなみはおみくじを手にしたまま呆然としていた。手元を覗き見ると、『大凶』の文字が。
「すげぇ……大凶ってホントに入ってんだな」
「うー……なんでアンタが大吉で、あたしが大凶なのよ……」
「日頃の行い?」
かなみが言う分にはいいらしいが、俺が言うと殴られます。理不尽。
「まあ、アレだ。俺の大吉やるよ。で、お前の大凶よこせ」
そう言いながら、既にかなみの大凶は奪い、代わりに大吉を押し付けている。
「あっ、そんなのダメよ! 返しなさい!」
「や、俺は基本的にこういうのあまり信じてないもので。かなみは信じてるっぽいから、いいのやるから俺に恩に着ろって話だ」
「……な、何よ。こんなので恩に着たりしないわよ!」
「ええっ!? これで恩に着させ、あとでちゅーとかしてもらう俺の完全なる計画が早くも頓挫しただと!?」
「す、するわけないでしょ!」
「むう、非常に残念。あ、向こうの木に結ぶみたいだぞ」
「え、あ、う、うん」
おみくじの木と化している木に、さらにおみくじをくくりつける。
「こうして……っと。結べたか?」
「…………」
「かなみ? どした、疲れたか?」
「え、あ、ううん。……うー」
かなみは何度か自分のおみくじと俺の顔を見た後、しぶしぶといった感じで木におみくじを結んだ。
「あれ、ホントはアンタの分なのに……」
「時々善人を演じたくなるだけだから気にするな」
「……むー」
納得してない感じだったが、それ以上かなみは何も言わなかった。
「さて、と。んじゃ帰るべ。それとも出店ひやかすか?」
「……帰る」
心なしか元気がないかなみと一緒に帰途に着く。うーむ、失敗したか。いつかこういうことを嫌味なく出来る大人になりたいものだ。
などとを思いながら静かな街並みを歩いてると、ふと手に柔らかな感触が。
「……ええと?」
「……かっ、勘違いしないでよね! お、恩には着ないけど、借りを作りっぱなしってのは嫌だから。……そっ、それだけ!」
あわあわしながらかなみが早口にまくし立てていた。
「つまり、おみくじの礼に手を繋いでやるってえことでせうか?」
「そ、そうよ。……ほ、他のがよかった? 膝枕とか、むぎゅーって抱っことか、ほっぺすりすりとか」
「いやいや、いやいやいや。それも大変魅力的ですが、この手ってのもなかなかどうして俺は大変好きです。かなみの手はやーらかくて気持ちいいし」
「……へ、変態」
「知らなかったのか?」
「受け入れるなッ! ……で、でも、そっか。アンタ、あたしの手、好きなんだ」
「うん。好き」
きゅっとかなみの手を強めに握る。かなみはこちらをちらりと見ると、おずおずと握り返した。
「……えへ。なんかね、いいね。こーいうの」
かなみのはにかんだ笑顔に、少しばかり照れる。
「……あ、あのね? ……もうちょっと、そっち行っていい?」
「いいけど、よりまくって俺の身体を壁に押し付け、その摩擦により俺を摩り下ろし殺すつもりなら断りたいです」
「やらないわよっ! なんでそんなこと思うのよ……」
「人と頭の中身が違うからだと思う。ダメな方向に」
「あー」
あーとか言われると悲しくなる。
「あははっ、うそうそ」
かなみはニッコリ笑って、俺の腕に自分の腕を巻きつけた。
「……えへへ。ね、あたしとくっつけて嬉しい?」
「かなみほどではないにしろ、嬉しい」
「あっ、あたしは嬉しいとか、そういうのじゃないもん。アンタに借りを返すためだけにやってるだけだもん」
「ほほう。つまり、かなみ自身は嫌々やってるのですな?」
「そ、そうだもん。あー、なんだってアンタなんかと腕を組まなきゃならないのかなー」
「かなみ、かなみ」
「ん?」
「そういう台詞を言うときは、ニコニコしてない方がよいと思います」
「ええっ!? ……し、してた?」
「超」
「う、うー……今のなし。……あー、なんだってアンタなんかと腕を組まなきゃならないのかなー。……どう?」
「まだ笑ってる」
「まだ!? ……い、嫌なのよ? ホントよ? アンタと腕組んで、嬉しいとか思ってないんだからね?」
「はいはいはい」
「し、信じなさいよ、ばかーっ!」
文句を言いながらも、俺の腕は決して離そうとしないかなみと一緒にゆっくり帰りましたとさ。
【ツンデレに朝ごはんはパンとご飯どっち派って聞かれたら】
2010年01月25日
まつりがいたのでセクハラしたら怒られた。
「その、後学のために聞いておきたいのだけど、どこからがセクハラで、どこからが親愛の情を示す行為なのだ?」
「人のスカートの中に頭を突っ込むのは押し並べてセクハラじゃっ!」
「いい匂いなのに!?」
「匂いは関係ないわい、愚か者っ! いい匂いとか言うでない、阿呆っ!」
「臭いと言えと。嘘は基本的に嫌いなんだが……まつりのたっての願いだ、承ろう。まつりの尻が臭い!」
「お前もうわらわに近寄っちゃダメなのじゃー! うわーん!」
「わははは愉快痛快。ところでまつり」
「ぐすぐす……なんなのじゃ? また酷いことするのかえ?」
「それはまた後で」
「するの!?」
「今日朝ごはん食べた? 朝飯を食わないと元気が出ないぞ。でも一説によると食わない方が健康にいいという話もあるが、どうだろう」
「わらわを惑わすなッ! どちらかに統一するのじゃ!」
「まあ俺の持論はともあれ、朝飯食ったか?」
「ふん、無論じゃ。わらわは朝はご飯をむしゃむしゃ食べるのじゃ。おいしいのじゃよ?」
「ふむ、まつりは朝食に生米だけを食う偏食家、と……メモメモ」
「わらわの間違った情報がメモ帳に記されておる!? 違うのじゃ、わらわはご飯のほかにおかずも食べるし、何より生米など食べぬぞ!?」
「生麦生米生卵。はい」
「なみゃみゅぎなまごめなまままごっ! ……ふふん?」
「いや、言えてないから」
「なんでなのじゃ! ふがー!」
「俺に怒られても。ていうか、そんなのどうでもいい」
「そうなのじゃ。朝食の話をしていたのに、どうして早口言葉になっているのじゃ。まったく、貴様と話しているといつもこれじゃ。脱線せずにはいられんのかえ?」
「いられんのかえ。んーで、まつりの朝はご飯派なのな?」
「なのなのじゃ。貴様はどちらなのじゃ? ご飯かえ? パンかえ?」
「食べるのはお前だー」
「きゃー! ……とでも言うと思うたか、愚か者! 何じゃそのやる気のない演技は! そもそも、それが赤ずきんの狼と一体誰が分かると言うのじゃ!」
「お前は分かってるじゃん」
「わ、わらわは、その、……貴様と一緒にいる時間が長いから、その、じゃな……?」
まつりは突然もじもじと自分の指と指を合わせ、俺を上目遣いがちに見た。
「……な、なんでもないのじゃ! 馬鹿者!」
「怒られる意味が分かりませんが」
「うるさいのじゃ! そんなのどーでもいいからご飯の種類を教えるのじゃ!」
「それこそどうでもいい話題かと思うますが」
「うるさいうるさいうるさいのじゃ! わらわはどーしても気になるのじゃ!」
「パンツ見せてくれたら教える」
「もう既に見られた後じゃー! うわーん!」
「さう言えばさうでしたね。しまぱんラブリー」
「うわーん、言ったらダメなのじゃー!」
「まあ見ちゃったので言います。俺は朝は食べません」
「ぐすぐす……ダメじゃよ? 朝は食べぬと」
「や、朝はギリギリまで寝ていたくて。そうすると朝に飯を食う時間がなくなり、結果昼まで腹を空かすことになるので腹が減った」
「……なんじゃ、結局それが言いたくてこの話をしたのかえ?」
「いやまぁそういうことなんですよウヒヒヒヒ」
「極端に気持ち悪い生物が発生したのじゃ!」
大変傷ついた。
「ふ、ふん、わらわをいつもいつもいじめておいて、何を傷ついたフリをしておるか」
「明日死にます」
「自殺をほのめかしておる!? そ、そこまでショックを受けずとも……」
「遺書にはまつりへの恨みつらみパンツの色を書いておきます」
「聞き逃せぬことをさらりと言いおったな!?」
「それが嫌なら少しだけ今お弁当分けてください。お腹が空いて力が出ないんだ。あと、財布も忘れたので早弁も出来ないんだ」
「……何もかもダメじゃな、貴様」
「ぐぅ」
「しょうがないのぉ……優しい優しいわらわが貴様に弁当を分けてやるのじゃ。感謝せぬとダメじゃぞ?」
「おおっ、さすがはまつり! これからはブログにまつりのパンツの色を書き込むのやめるよ!」
「わらわの個人情報が流出!?」
俺の嘘情報に半泣きのまつりだった。
「その、後学のために聞いておきたいのだけど、どこからがセクハラで、どこからが親愛の情を示す行為なのだ?」
「人のスカートの中に頭を突っ込むのは押し並べてセクハラじゃっ!」
「いい匂いなのに!?」
「匂いは関係ないわい、愚か者っ! いい匂いとか言うでない、阿呆っ!」
「臭いと言えと。嘘は基本的に嫌いなんだが……まつりのたっての願いだ、承ろう。まつりの尻が臭い!」
「お前もうわらわに近寄っちゃダメなのじゃー! うわーん!」
「わははは愉快痛快。ところでまつり」
「ぐすぐす……なんなのじゃ? また酷いことするのかえ?」
「それはまた後で」
「するの!?」
「今日朝ごはん食べた? 朝飯を食わないと元気が出ないぞ。でも一説によると食わない方が健康にいいという話もあるが、どうだろう」
「わらわを惑わすなッ! どちらかに統一するのじゃ!」
「まあ俺の持論はともあれ、朝飯食ったか?」
「ふん、無論じゃ。わらわは朝はご飯をむしゃむしゃ食べるのじゃ。おいしいのじゃよ?」
「ふむ、まつりは朝食に生米だけを食う偏食家、と……メモメモ」
「わらわの間違った情報がメモ帳に記されておる!? 違うのじゃ、わらわはご飯のほかにおかずも食べるし、何より生米など食べぬぞ!?」
「生麦生米生卵。はい」
「なみゃみゅぎなまごめなまままごっ! ……ふふん?」
「いや、言えてないから」
「なんでなのじゃ! ふがー!」
「俺に怒られても。ていうか、そんなのどうでもいい」
「そうなのじゃ。朝食の話をしていたのに、どうして早口言葉になっているのじゃ。まったく、貴様と話しているといつもこれじゃ。脱線せずにはいられんのかえ?」
「いられんのかえ。んーで、まつりの朝はご飯派なのな?」
「なのなのじゃ。貴様はどちらなのじゃ? ご飯かえ? パンかえ?」
「食べるのはお前だー」
「きゃー! ……とでも言うと思うたか、愚か者! 何じゃそのやる気のない演技は! そもそも、それが赤ずきんの狼と一体誰が分かると言うのじゃ!」
「お前は分かってるじゃん」
「わ、わらわは、その、……貴様と一緒にいる時間が長いから、その、じゃな……?」
まつりは突然もじもじと自分の指と指を合わせ、俺を上目遣いがちに見た。
「……な、なんでもないのじゃ! 馬鹿者!」
「怒られる意味が分かりませんが」
「うるさいのじゃ! そんなのどーでもいいからご飯の種類を教えるのじゃ!」
「それこそどうでもいい話題かと思うますが」
「うるさいうるさいうるさいのじゃ! わらわはどーしても気になるのじゃ!」
「パンツ見せてくれたら教える」
「もう既に見られた後じゃー! うわーん!」
「さう言えばさうでしたね。しまぱんラブリー」
「うわーん、言ったらダメなのじゃー!」
「まあ見ちゃったので言います。俺は朝は食べません」
「ぐすぐす……ダメじゃよ? 朝は食べぬと」
「や、朝はギリギリまで寝ていたくて。そうすると朝に飯を食う時間がなくなり、結果昼まで腹を空かすことになるので腹が減った」
「……なんじゃ、結局それが言いたくてこの話をしたのかえ?」
「いやまぁそういうことなんですよウヒヒヒヒ」
「極端に気持ち悪い生物が発生したのじゃ!」
大変傷ついた。
「ふ、ふん、わらわをいつもいつもいじめておいて、何を傷ついたフリをしておるか」
「明日死にます」
「自殺をほのめかしておる!? そ、そこまでショックを受けずとも……」
「遺書にはまつりへの恨みつらみパンツの色を書いておきます」
「聞き逃せぬことをさらりと言いおったな!?」
「それが嫌なら少しだけ今お弁当分けてください。お腹が空いて力が出ないんだ。あと、財布も忘れたので早弁も出来ないんだ」
「……何もかもダメじゃな、貴様」
「ぐぅ」
「しょうがないのぉ……優しい優しいわらわが貴様に弁当を分けてやるのじゃ。感謝せぬとダメじゃぞ?」
「おおっ、さすがはまつり! これからはブログにまつりのパンツの色を書き込むのやめるよ!」
「わらわの個人情報が流出!?」
俺の嘘情報に半泣きのまつりだった。
【帰宅するとツンデレに「ごはんにする?お風呂にする?それとも死ぬ?」と言われました】
2010年01月25日
学校から帰ると梓が三つ指ついて出迎えてた。
「今日もお疲れさま、あなた。ごはんにする? お風呂にする? それとも……ぼ、ボク?」
「状況が全く飲み込めないが、ここで貴様以外を選択する理由が見当たらんので梓で!」
「は、はぅぅ……や、優しくしないと嫌だよ?」
「完全了承! では、いざ!」
ルパンダイブで梓に飛びついたのに、目の前には床。棚の上で目覚まし時計がじりりんと。
「……つまり、夢オチという最悪の結果だったので、やり直しを求める」
「夢のボクの責任を現実のボクに求めるなっ!」
登校して朝の出来事を梓に話したら、どういうことか怒られた。
「まあそう言うなよ、朴さん」
「梓だよっ! どこの人だよ!」
「や、ボクボク言ってたから間違った。それで朴さん、どうだろうか」
「間違ったままだよ! 梓って呼べ!」
「ん、んん。……梓?」
「……そ、そだよ。それでいいんだよ」
低音の魅力を満載して名前を呼んだら、梓は顔を赤くしながらうんうんうなずいた。
「で、でもまた間違える可能性があるから、もっかい呼んで? ……べ、別にボクの名前呼んでほしいだけじゃないよ?」
「分かってるよ、朴さん」
「もう間違ってる!?」
「そういうわけで、朴さんを騙くらかして出迎えさせることに成功した」
「間違ったまま勝手なナレーションを流された!?」
「そんなわけで放課後なのですが、梓さん」
「ようやっと名前が戻ったよ……今日ずーっと朴さん朴さん言われてたから、半ば朴さんになりかけてたよ」
「相変わらずの頭の悪さに安心しました」
「朴さんぱんち!」
朴さんぱんちを片手で避け、空いた手で梓のほっぺを引っ張りながら説明を続ける。
「朝にも言ったように、今から俺を出迎えてもらう。拒否は許されない」
「うーっ! ううーっ!」
「日本語でお願いします」
「……ぷはっ。ほっぺ引っ張られてたから喋れなかっただけだよっ!」
「む、それはすまない。次は乳首を引っ張ります」
「謝罪でセクハラ宣言するなっ、ばかっ!」
「ごめんね。じゃ、まず梓には俺の家に入ってもらう。で、俺好みのコスチュームに着替え、そして俺を出迎えてもらいます」
「色々問題が山積みだけど……コスチュームってなに?」
「ふく」
「それは完っぺきに分かってるよ! なんでタカシのためにコスプレなんかしなくちゃならないって聞いてるんだよ!」
「俺が小躍りするから。もし不満なのであれば、大踊りしますが」
「踊りの規模が不満じゃないの! なんだよ、大踊りって!」
「おおおどり、と“お”が三つも並ぶ景気のよい言語です」
「説明が説明じゃない!?」
「衣装はセーラー服、ブルマ、スクール水着、魔法少女、と種々様々取り揃えております。アイテムもエプロン、おたま、ネコミミ、魔法少女の杖、縦笛、ランドセルと色々あります」
「病気の人だ!!!」
断言されると辛い。
「お勧めはスクール水着とランドセル、そしてネコミミです。にゃーとか言え」
「本気の目だよ!?」
「じゃ、よろしく。着替えてなかったら全裸調教な」
「悪魔がここに降臨してるよ!」
なんかわにゃわにゃ言ってる梓を家に押し込む。
「うわ、ホントにいっぱいある。ていうか、朝の内に準備してたんだ……」
「用意周到だろ? 策士と呼んでくれ」
「策士はネコミミとか魔法少女の服とか持ってないと思う」
ぐぅの音も出ないことを言われつつ、しばし待つ。
「梓ー、もういいかー?」
「ま、まだ! ……ね、ねぇタカシ。本当に着なきゃダメ?」
「んー、嫌なら別にいいよ。ただ、ちょっとだけ外を裸で歩いてもらうけど」
「全裸調教だろっ! 分かったよ、着るから待ってろ!」
「早くしないと俺が寒くて辛いです」
「知らないよっ!」
それからしばらく寒風に吹かれてたら、自信なさげな声がドアの奥から聞こえてきた。
「い、いちおー着たけど……変でも笑うなよ?」
「分かった、笑わない。欲情するだけにするよ」
「もータカシはそこで一生過ごせっ!」
それは大変辛そうな一生なので、なんとか謝ってご機嫌を取り戻す。
「んじゃ、今から帰るので、出迎えてくださいね」
「わ、分かったよ……」
軽く髪と服を整え、ドアを開ける。
「や、やあ。いま帰ったよ」
「え、えと……お帰りなさい、タカシ。あの、ごはんにする? お風呂にする? それとも死ぬ?」
「最後ので! ……おや?」
「やったー! えへへっ、ボクの作戦勝ちーっ♪ どーせタカシのことだから、最後に『ボクにする?』って言うと思っただろ? えっへっへー、ボクの勝ちー♪」
やたら嬉しそうにくるくる踊ってるボクっ娘を見るのは大変楽しいですが、してやられたのは悔しい。
「んじゃね、死んで?」
「自分の発言だ。仕方ない、死のう。でも、その前にひとつだけ」
「ん? なに?」
「大変可愛いですね」
「う……」
梓は俺が先ほど言ったスク水+ランドセル+ネコミミというフル装備をしていた。お釈迦さまでも一撃でダウンするほどの可愛さを誇っているので頭がおかしくなります。
「だ、だって、どんなの着たらいいか分かんなかったもん! なんかさ、こんなのがいーって言ってたし……」
「少々記号が多くて乱雑になるかと思ったが……なかなかどうして、素晴らしいじゃないか! にゃーとか言え」
「言うもんか! いーから早く死ぬの!」
「ふむ。じゃ、死ぬので可愛いポーズをとれ」
「へ? なんで?」
「梓の可愛さのあまり悶死する、という方法を採ったので。さ、お早く」
「よ、よく分かんないけど、分かった。えと……こう?」
梓は四つんばいになり、右手を顔の横に添え、くいくいと手招きした。
「え、ええと……にゃー?」
「ちょっと俺の部屋に行こうね」
「間違いなく何かされる!? ていうか、こら! 触るな!」
梓をお姫さま抱っこして連れ去ろうとしたら、ぺこぽこ叩かれた。
「いやぁははは可愛いなあチクショウ!」
「泣きながら笑ってる!?」
「……何やってんのアンタら」
突然振って沸いた声に後ろを振り向くと、見慣れた顔。
「やあ母さん。なんというタイミングのご帰還か」
「……まあね、梓ちゃんも色々あるかもしれないけど、これは選ばない方がいいよ」
「ふふ。実の親にこれ呼ばわりされる事実」
母さんにべこんぼこんにされ、さらに縄でぐるぐる巻きにされ、部屋の隅っこに転がされています。
「あ、あの、やりすぎじゃ……」
「あ、いーのいーの。これくらいじゃ死なない程度には鍛えてるから」
「虐待じゃないのか鬼婆」
「黙れ火星人」
「ぐはあっ!」
思わぬ反射ダメージを喰らい、致死ダメージを受ける。
「え、火星人……?」
梓には何のことか分かってないのがせめてもの救いか。
「あー……。あのね、梓ちゃん。火星人って言うのは」
「説明するな俺を産んだ人!」
俺の願いは届かなかった。
「あ、あの、タカシ? ぼ、ボクは気にしないよ?」
梓に慰められるということが俺のプライドを大層傷つけます。
「しくしくしくしく」
「あっはっは! あー楽しかった。そこで泣いてる馬鹿、後で玄関片付けて置くように。それから梓ちゃん、そろそろその頭おかしい服を着替えたほうがいいんじゃない?」
「頭おかしいとは何だ! スク水にネコミミにランドセルだぞ!? こんな可愛いのに、可愛いのに……!」
「親に自分の性癖を力説するな」
もっともなことを言って、母さんは部屋から出て行った。続けて梓も出て行こうとしたが、こちらに小走りでやってきた。
「あ、あのね。……ホントに可愛いって思った?」
「ん? そりゃ、もちろん」
「そ、そっか。……あ、あのさ。また着てあげよっか?」
「マジで!?」
「う、うん。……べ、別にタカシのためにじゃなくて、ボクがちこっと気に入ったからだよ? ……ほ、ホントに」
「理由はどうでもいい! またその格好を見れるのであれば、悪魔に梓の魂を売ることも厭わない!」
「自分のを売れ! ……えへへっ、でも、そんな好きなの?」
「うん。とっても可愛いよね」
「へ、へへ、えへへ……そ、そう? ボク、可愛い?」
「超可愛い。結婚してえ」
「けっ、けっ!? そそそんなまだ早いよ! でっ、でもどーしてもって言うならボクは!?」
「メダパニ」
「う~……とっ、とにかくまたねっ!」
梓は顔を真っ赤にして部屋から出て行った。大変楽しかったので、今度は母さんがいない時間帯を狙ってまたしたいです。
「今日もお疲れさま、あなた。ごはんにする? お風呂にする? それとも……ぼ、ボク?」
「状況が全く飲み込めないが、ここで貴様以外を選択する理由が見当たらんので梓で!」
「は、はぅぅ……や、優しくしないと嫌だよ?」
「完全了承! では、いざ!」
ルパンダイブで梓に飛びついたのに、目の前には床。棚の上で目覚まし時計がじりりんと。
「……つまり、夢オチという最悪の結果だったので、やり直しを求める」
「夢のボクの責任を現実のボクに求めるなっ!」
登校して朝の出来事を梓に話したら、どういうことか怒られた。
「まあそう言うなよ、朴さん」
「梓だよっ! どこの人だよ!」
「や、ボクボク言ってたから間違った。それで朴さん、どうだろうか」
「間違ったままだよ! 梓って呼べ!」
「ん、んん。……梓?」
「……そ、そだよ。それでいいんだよ」
低音の魅力を満載して名前を呼んだら、梓は顔を赤くしながらうんうんうなずいた。
「で、でもまた間違える可能性があるから、もっかい呼んで? ……べ、別にボクの名前呼んでほしいだけじゃないよ?」
「分かってるよ、朴さん」
「もう間違ってる!?」
「そういうわけで、朴さんを騙くらかして出迎えさせることに成功した」
「間違ったまま勝手なナレーションを流された!?」
「そんなわけで放課後なのですが、梓さん」
「ようやっと名前が戻ったよ……今日ずーっと朴さん朴さん言われてたから、半ば朴さんになりかけてたよ」
「相変わらずの頭の悪さに安心しました」
「朴さんぱんち!」
朴さんぱんちを片手で避け、空いた手で梓のほっぺを引っ張りながら説明を続ける。
「朝にも言ったように、今から俺を出迎えてもらう。拒否は許されない」
「うーっ! ううーっ!」
「日本語でお願いします」
「……ぷはっ。ほっぺ引っ張られてたから喋れなかっただけだよっ!」
「む、それはすまない。次は乳首を引っ張ります」
「謝罪でセクハラ宣言するなっ、ばかっ!」
「ごめんね。じゃ、まず梓には俺の家に入ってもらう。で、俺好みのコスチュームに着替え、そして俺を出迎えてもらいます」
「色々問題が山積みだけど……コスチュームってなに?」
「ふく」
「それは完っぺきに分かってるよ! なんでタカシのためにコスプレなんかしなくちゃならないって聞いてるんだよ!」
「俺が小躍りするから。もし不満なのであれば、大踊りしますが」
「踊りの規模が不満じゃないの! なんだよ、大踊りって!」
「おおおどり、と“お”が三つも並ぶ景気のよい言語です」
「説明が説明じゃない!?」
「衣装はセーラー服、ブルマ、スクール水着、魔法少女、と種々様々取り揃えております。アイテムもエプロン、おたま、ネコミミ、魔法少女の杖、縦笛、ランドセルと色々あります」
「病気の人だ!!!」
断言されると辛い。
「お勧めはスクール水着とランドセル、そしてネコミミです。にゃーとか言え」
「本気の目だよ!?」
「じゃ、よろしく。着替えてなかったら全裸調教な」
「悪魔がここに降臨してるよ!」
なんかわにゃわにゃ言ってる梓を家に押し込む。
「うわ、ホントにいっぱいある。ていうか、朝の内に準備してたんだ……」
「用意周到だろ? 策士と呼んでくれ」
「策士はネコミミとか魔法少女の服とか持ってないと思う」
ぐぅの音も出ないことを言われつつ、しばし待つ。
「梓ー、もういいかー?」
「ま、まだ! ……ね、ねぇタカシ。本当に着なきゃダメ?」
「んー、嫌なら別にいいよ。ただ、ちょっとだけ外を裸で歩いてもらうけど」
「全裸調教だろっ! 分かったよ、着るから待ってろ!」
「早くしないと俺が寒くて辛いです」
「知らないよっ!」
それからしばらく寒風に吹かれてたら、自信なさげな声がドアの奥から聞こえてきた。
「い、いちおー着たけど……変でも笑うなよ?」
「分かった、笑わない。欲情するだけにするよ」
「もータカシはそこで一生過ごせっ!」
それは大変辛そうな一生なので、なんとか謝ってご機嫌を取り戻す。
「んじゃ、今から帰るので、出迎えてくださいね」
「わ、分かったよ……」
軽く髪と服を整え、ドアを開ける。
「や、やあ。いま帰ったよ」
「え、えと……お帰りなさい、タカシ。あの、ごはんにする? お風呂にする? それとも死ぬ?」
「最後ので! ……おや?」
「やったー! えへへっ、ボクの作戦勝ちーっ♪ どーせタカシのことだから、最後に『ボクにする?』って言うと思っただろ? えっへっへー、ボクの勝ちー♪」
やたら嬉しそうにくるくる踊ってるボクっ娘を見るのは大変楽しいですが、してやられたのは悔しい。
「んじゃね、死んで?」
「自分の発言だ。仕方ない、死のう。でも、その前にひとつだけ」
「ん? なに?」
「大変可愛いですね」
「う……」
梓は俺が先ほど言ったスク水+ランドセル+ネコミミというフル装備をしていた。お釈迦さまでも一撃でダウンするほどの可愛さを誇っているので頭がおかしくなります。
「だ、だって、どんなの着たらいいか分かんなかったもん! なんかさ、こんなのがいーって言ってたし……」
「少々記号が多くて乱雑になるかと思ったが……なかなかどうして、素晴らしいじゃないか! にゃーとか言え」
「言うもんか! いーから早く死ぬの!」
「ふむ。じゃ、死ぬので可愛いポーズをとれ」
「へ? なんで?」
「梓の可愛さのあまり悶死する、という方法を採ったので。さ、お早く」
「よ、よく分かんないけど、分かった。えと……こう?」
梓は四つんばいになり、右手を顔の横に添え、くいくいと手招きした。
「え、ええと……にゃー?」
「ちょっと俺の部屋に行こうね」
「間違いなく何かされる!? ていうか、こら! 触るな!」
梓をお姫さま抱っこして連れ去ろうとしたら、ぺこぽこ叩かれた。
「いやぁははは可愛いなあチクショウ!」
「泣きながら笑ってる!?」
「……何やってんのアンタら」
突然振って沸いた声に後ろを振り向くと、見慣れた顔。
「やあ母さん。なんというタイミングのご帰還か」
「……まあね、梓ちゃんも色々あるかもしれないけど、これは選ばない方がいいよ」
「ふふ。実の親にこれ呼ばわりされる事実」
母さんにべこんぼこんにされ、さらに縄でぐるぐる巻きにされ、部屋の隅っこに転がされています。
「あ、あの、やりすぎじゃ……」
「あ、いーのいーの。これくらいじゃ死なない程度には鍛えてるから」
「虐待じゃないのか鬼婆」
「黙れ火星人」
「ぐはあっ!」
思わぬ反射ダメージを喰らい、致死ダメージを受ける。
「え、火星人……?」
梓には何のことか分かってないのがせめてもの救いか。
「あー……。あのね、梓ちゃん。火星人って言うのは」
「説明するな俺を産んだ人!」
俺の願いは届かなかった。
「あ、あの、タカシ? ぼ、ボクは気にしないよ?」
梓に慰められるということが俺のプライドを大層傷つけます。
「しくしくしくしく」
「あっはっは! あー楽しかった。そこで泣いてる馬鹿、後で玄関片付けて置くように。それから梓ちゃん、そろそろその頭おかしい服を着替えたほうがいいんじゃない?」
「頭おかしいとは何だ! スク水にネコミミにランドセルだぞ!? こんな可愛いのに、可愛いのに……!」
「親に自分の性癖を力説するな」
もっともなことを言って、母さんは部屋から出て行った。続けて梓も出て行こうとしたが、こちらに小走りでやってきた。
「あ、あのね。……ホントに可愛いって思った?」
「ん? そりゃ、もちろん」
「そ、そっか。……あ、あのさ。また着てあげよっか?」
「マジで!?」
「う、うん。……べ、別にタカシのためにじゃなくて、ボクがちこっと気に入ったからだよ? ……ほ、ホントに」
「理由はどうでもいい! またその格好を見れるのであれば、悪魔に梓の魂を売ることも厭わない!」
「自分のを売れ! ……えへへっ、でも、そんな好きなの?」
「うん。とっても可愛いよね」
「へ、へへ、えへへ……そ、そう? ボク、可愛い?」
「超可愛い。結婚してえ」
「けっ、けっ!? そそそんなまだ早いよ! でっ、でもどーしてもって言うならボクは!?」
「メダパニ」
「う~……とっ、とにかくまたねっ!」
梓は顔を真っ赤にして部屋から出て行った。大変楽しかったので、今度は母さんがいない時間帯を狙ってまたしたいです。
【ツンデレに俺が将来ハゲたらどうする?って聞いたら】
2010年01月25日
大谷先生が学校の廊下を歩いていたので声をかけた。
「先生、大谷先生。もしくは子供」
「後半が余計ですっ! 先生は大人なので子供と呼ばれても返事しませんっ!」
「してるじゃん」
「はっ! ……うう、別府くんは策士です。先生を子供呼ばわりすることにより激昂させ、巧みに先生を馬鹿にするなんて……ずるいです!」
「ずるいと言われても」
「それで、なんですか? 先生を馬鹿にするために呼んだんですか?」
「どれだけネガティブなんだよ……そうじゃなくて、相談があるんだ」
「相談!」
途端、先生の顔が喜びでキラキラ輝きだした。
「先生?」
「相談……それは、信頼できる『大人』のみが受けられるイベント。それが、とうとう先生にも!」
「やっぱいいや」
「別府くん殺生です! 先生を喜ばせておいてやめるなんてあんまりです! いいから先生に相談するのですよ。こー見えても先生、人生経験豊富ですよ?」
「キスは?」
「……ま、まだしたことないです」
「異性と付き合ったことは?」
「……未知の領域です」
「そんな人生経験豊富な先生に相談するのか。すごいな、俺」
「うわーん! 馬鹿にされてます、絶対馬鹿にされてます! そりゃ先生ちっこいですから学生時代からキスとかお付き合いとか周囲の人たちからずっとアウトオブ眼中でしたよ!」
「そう怒るなよ、先生。大丈夫、ちょうど俺がロリコンだから、先生みたいな合法ロリには大喜びだぞ?」
「たった一つの会話で怒る要素がてんこもりですっ!!! そーゆー時はもーちょっとステキに慰めるものですっ! なんですか、合法ロリって!」
「手を出してもお上に叱られない先生みたいな珍獣」
「うわーん! 別府くんのばかー!」
「ああっ、待って先生!」
先生はぼろ泣きしながら廊下を駆けていった。……ううむ、少しからかいすぎたか。後で謝っておこう。
放課後、先生に謝るべく職員室に向かう。その途中、偶然にも当の本人を発見した。
「あ、先生」
「……合法ロリに何か御用ですか」
いかん、まだご機嫌ななめのようだ。
「いや、その。……ごめんなさい」
おだてて機嫌を直そうとも思ったが、結局素直に謝ることにした。
「むー。……分かりました、今回だけ許してあげます。もうあんなこと言っちゃダメですよ?」
「分かった、思うだけにする」
「思ってもダメですっ!」
「それは無理だ」
「無理!?」
「でだ、先生。相談があるんだけど」
「うー……まあいいです、先生は大人なので不満は胸の内に秘めておきます。ストレスで倒れそうです。……えへん」
先生は俺をちらちら見た後、誇らしげに胸をそらした。その状態でも膨らみがほぼないってのは、ある種凄いな。
「あの、一応言っておくが、ストレスは別に大人の証じゃないぞ」
「ええっ!?」
やっぱ子供だ、この生き物。
「うう……ストレスで胃が空きそう、なんて大人の人が言う台詞なのに……。なんでなんですか!?」
「俺に怒られても」
「ぐっすんです。ぐっすんおよよです。……それで、傷心の先生にまだ何か用ですか?」
「ああ、そうそう。実は、相談が。俺の血筋ってハゲが多いんだけど、どうしたらいいんだろうか」
「そんなの先生の知ったこっちゃないです」
「でも、先生も自分の夫がハゲてたら嫌だろ?」
「そりゃ嫌ですけど……おおおお夫!? え、なんで別府くんが先生のお婿さんになってるですか!?」
「しまった、俺の秘密プランが漏洩した。こうなったら秘密を守るべく、先生を殺すしか……!」
「先生と結婚するつもりの人が、先生を殺しちゃ本末転倒ですっ!」
「おおっ、さすがは先生。四字熟語の使い方はばっちりだな! 偉いぞ」(なでなで)
「えへー♪」(満面の笑み)
「…………」
「……はうあっ! ちちち違うですよ!? なでなでなんてちっとも嬉しくないです、ええそりゃもう嬉しくないですとも! だって先生大人ですから!」
「じゃあもう二度としない」
「こういう時にこそ、普段の天邪鬼なところを出してほしいところですっ!」
「わはは。先生は可愛いなあ」(なでなで)
「あぅぅ……お、大人を可愛いとか言うものではないです」
「生徒に頭をなでられ、頬を染めるのも大人のすることではないと思う」
「うっ、うるさいですっ! 別府くんのばか!」
「わはは」
「笑ってますよぉ……てっ、ていうかですねっ、思い出しました! あ、あの、あのあの、別府くんは、先生のことが好きなんですか……?」
先生は俺の制服の裾をちょこんとつまみ、顔を真っ赤にさせ、あわあわしながら訊ねた。
「秘密プランをあえて漏洩させ、先生を意識させて遊ぶつもりなんて全然なくて、割と好きだよ」
「信憑性が皆無になる情報が漏れまくりですっ!」
「はっはっは。先生は愉快だなあ」
「こちとらちっとも愉快じゃないですっ! 実のところどうなのですかっ!?」
「ううむ、禿げたら嫌だし、今から何らかの対策をしておくべきか……?」
「先生はハゲとか気にしませんから、本当のことを言うべきですっ!」
「なんだ、そっか。いやよかったよかった」
「本当のことを、本当のことをーっ!」
聞きたいことを聞けたので満足した俺は、足取りも軽く帰途に着くのだった。なんか後ろからちっこいのがぴょこぴょこ着いてきてたような気もしたけど、まあいいか。
「先生、大谷先生。もしくは子供」
「後半が余計ですっ! 先生は大人なので子供と呼ばれても返事しませんっ!」
「してるじゃん」
「はっ! ……うう、別府くんは策士です。先生を子供呼ばわりすることにより激昂させ、巧みに先生を馬鹿にするなんて……ずるいです!」
「ずるいと言われても」
「それで、なんですか? 先生を馬鹿にするために呼んだんですか?」
「どれだけネガティブなんだよ……そうじゃなくて、相談があるんだ」
「相談!」
途端、先生の顔が喜びでキラキラ輝きだした。
「先生?」
「相談……それは、信頼できる『大人』のみが受けられるイベント。それが、とうとう先生にも!」
「やっぱいいや」
「別府くん殺生です! 先生を喜ばせておいてやめるなんてあんまりです! いいから先生に相談するのですよ。こー見えても先生、人生経験豊富ですよ?」
「キスは?」
「……ま、まだしたことないです」
「異性と付き合ったことは?」
「……未知の領域です」
「そんな人生経験豊富な先生に相談するのか。すごいな、俺」
「うわーん! 馬鹿にされてます、絶対馬鹿にされてます! そりゃ先生ちっこいですから学生時代からキスとかお付き合いとか周囲の人たちからずっとアウトオブ眼中でしたよ!」
「そう怒るなよ、先生。大丈夫、ちょうど俺がロリコンだから、先生みたいな合法ロリには大喜びだぞ?」
「たった一つの会話で怒る要素がてんこもりですっ!!! そーゆー時はもーちょっとステキに慰めるものですっ! なんですか、合法ロリって!」
「手を出してもお上に叱られない先生みたいな珍獣」
「うわーん! 別府くんのばかー!」
「ああっ、待って先生!」
先生はぼろ泣きしながら廊下を駆けていった。……ううむ、少しからかいすぎたか。後で謝っておこう。
放課後、先生に謝るべく職員室に向かう。その途中、偶然にも当の本人を発見した。
「あ、先生」
「……合法ロリに何か御用ですか」
いかん、まだご機嫌ななめのようだ。
「いや、その。……ごめんなさい」
おだてて機嫌を直そうとも思ったが、結局素直に謝ることにした。
「むー。……分かりました、今回だけ許してあげます。もうあんなこと言っちゃダメですよ?」
「分かった、思うだけにする」
「思ってもダメですっ!」
「それは無理だ」
「無理!?」
「でだ、先生。相談があるんだけど」
「うー……まあいいです、先生は大人なので不満は胸の内に秘めておきます。ストレスで倒れそうです。……えへん」
先生は俺をちらちら見た後、誇らしげに胸をそらした。その状態でも膨らみがほぼないってのは、ある種凄いな。
「あの、一応言っておくが、ストレスは別に大人の証じゃないぞ」
「ええっ!?」
やっぱ子供だ、この生き物。
「うう……ストレスで胃が空きそう、なんて大人の人が言う台詞なのに……。なんでなんですか!?」
「俺に怒られても」
「ぐっすんです。ぐっすんおよよです。……それで、傷心の先生にまだ何か用ですか?」
「ああ、そうそう。実は、相談が。俺の血筋ってハゲが多いんだけど、どうしたらいいんだろうか」
「そんなの先生の知ったこっちゃないです」
「でも、先生も自分の夫がハゲてたら嫌だろ?」
「そりゃ嫌ですけど……おおおお夫!? え、なんで別府くんが先生のお婿さんになってるですか!?」
「しまった、俺の秘密プランが漏洩した。こうなったら秘密を守るべく、先生を殺すしか……!」
「先生と結婚するつもりの人が、先生を殺しちゃ本末転倒ですっ!」
「おおっ、さすがは先生。四字熟語の使い方はばっちりだな! 偉いぞ」(なでなで)
「えへー♪」(満面の笑み)
「…………」
「……はうあっ! ちちち違うですよ!? なでなでなんてちっとも嬉しくないです、ええそりゃもう嬉しくないですとも! だって先生大人ですから!」
「じゃあもう二度としない」
「こういう時にこそ、普段の天邪鬼なところを出してほしいところですっ!」
「わはは。先生は可愛いなあ」(なでなで)
「あぅぅ……お、大人を可愛いとか言うものではないです」
「生徒に頭をなでられ、頬を染めるのも大人のすることではないと思う」
「うっ、うるさいですっ! 別府くんのばか!」
「わはは」
「笑ってますよぉ……てっ、ていうかですねっ、思い出しました! あ、あの、あのあの、別府くんは、先生のことが好きなんですか……?」
先生は俺の制服の裾をちょこんとつまみ、顔を真っ赤にさせ、あわあわしながら訊ねた。
「秘密プランをあえて漏洩させ、先生を意識させて遊ぶつもりなんて全然なくて、割と好きだよ」
「信憑性が皆無になる情報が漏れまくりですっ!」
「はっはっは。先生は愉快だなあ」
「こちとらちっとも愉快じゃないですっ! 実のところどうなのですかっ!?」
「ううむ、禿げたら嫌だし、今から何らかの対策をしておくべきか……?」
「先生はハゲとか気にしませんから、本当のことを言うべきですっ!」
「なんだ、そっか。いやよかったよかった」
「本当のことを、本当のことをーっ!」
聞きたいことを聞けたので満足した俺は、足取りも軽く帰途に着くのだった。なんか後ろからちっこいのがぴょこぴょこ着いてきてたような気もしたけど、まあいいか。


