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2026年03月21日
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【男がツインテール好きと知ったボクっ娘】
2010年01月26日
「ツインテールの子っていいよね。あのちょいーんってなってる髪で朝起こされたいよね。なんなら俺のいけない箇所をそれでくすぐってほしいよね」
「タカシが本格的に生物としてアウトだ!」
「しまった、俺の密やかな願望をボクっ娘に聞かれた!」
「ボクっ娘ってゆーな! 梓って素敵すぐる名前があるの、ボクには! ていうか、ボクが聞き耳立ててたみたいに言うな! わざわざボクの席まで来てでっかい声でしゃべってるじゃん!」
「それは、遠まわしに、お前にツインテールになれと言っているのです」
「絶対なんないっ! ていうか、ボク髪短いから無理だもん」
「これだから丸坊主はダメだな」
「ショートカットだよ!? ……タカシ目までダメなの?」
「まで、とか言うな」
「み゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? あだま、あだま割れるーっ!?」
「アイアンクローは鉄の尻」
「鉄の爪だよ!? あぅーっ、痛い痛い痛いーっ!?」
そんな鉄の尻の翌日、頭ぼやーっとしたまま登校してると背後から声をかけられた。
「……お、おはよ、タカシ」
「あー、おはよ梓……梓?」
条件反射的に挨拶を交わしてから、その交わした人物を改めて見る。
「……な、なんだよ」
「すいません、人違いでした」
「合ってるよ!?」
「いや、俺の知ってる梓は丸坊主で」
「翌日まで引っ張るネタじゃないっ!」
「まちがい。丸坊主ではないが、普通のショートカットだったはず」
そう。梓の頭にちょこんと結わえられてる小さな髪の固まりは、昨日までは存在しなかったはずだ。
「……べっ、別にタカシのためじゃないもん! いめちぇんだもん、いめちぇん!」
何かぎゃーぎゃー言ってるが、そんなことより俺は梓の頭で揺れる小さなツインテールに心奪われていた。
「ふぅむ……いやはや、可愛いな」
「あ……」
思わず手が出た。梓の頭に手を乗せる、なでなでなでる。
「……ぅー」
「変な声を出すない」
「う、唸ってるんだよ! 威嚇だよ、威嚇! わんわん!」
「犬だ」
「notわんわん! 人間だよ!」
「自分から言い出して何言ってんだ」
「うー……だ、だって、いきなり頭なでたりするから……」
「すまん。次はいきなり尻をなでる」
「痴漢宣言!?」
「関白宣言みたいで売れそうだな」
「確実に捕まるよ! ……そ、それより、いつまでボクの頭なでてんだよ」
「あ、すまん」
気づかなかったが、無意識のうちにずっと梓の頭をなでていたようだ。
「……すまん、って言いながらなで続けてるしぃ」
「大丈夫。今は自分の意思でなでている」
「……うー」
何か文句を言いたかったのだろうけど、うまい文句が浮かばなかったのか、梓は少しだけ不満そうに口を尖らして俺を上目遣いで見た。
「しかし、アレだな。道端で頭なでてる状態って、布教してるみたいだな」
「とてもノー! 誰がどー見てもイチャイチャバカップル状態だよ! ……ば、バカップル!?」
自分で言っておいて、梓は自分の言葉に衝撃を受けているようだ。
「う、うー……タカシなんかとバカップルに見られるなんて、今世紀最大の屈辱だよ……」
「梓さん」
「な、なんだよ」
「口元がニヤニヤしているのはわざとですか」
「ええっ!? し、してない、してないよ!? ……してないよね?」
「してます」
「むーっ!」
梓は突然自分のほっぺをぎゅーっとつねった。
「……ふぅ。これでニヤニヤなんかしないもん」
「まだ笑ってる」
「まだ!? う、うぅ……い、いい加減ボクの頭なでるのやめろよ!」
「しかしだな、梓の人。こんな可愛いツインテールの持ち主を可愛がることをやめることが出来るだろうか。いやできない。反語。でも頑張れば出来る」
「反語が消えた!?」
言葉通り、頑張って梓の頭から手をどける。まあ、嫌がってる奴に無理やりすることでもないしね。
「……そ、そんなすぐやめることないと思わなくもないけど。人に言われたからすぐやめるって、自分がないみたいでボクは嫌いだなー」
「しかし、その梓の提言を聞くと、この提言すら否定する羽目になり、結果ここでビッグバンが起き宇宙が誕生します」
「誕生しない! 途中で考えるの面倒になったろ!?」
俺の考えは梓に読まれがちです。
「しかし、梓。なんでまたツインテールに?」
「だ、だから、いめちぇんだよ。いーだろ、ボクがいめちぇんしたって」
「ほう。つまり、俺がツインテールの良さを語ったその日、偶然にも梓がイメチェンしたくなり、さらに偶然にツインテールにした、と言うのだな」
「……そ、そうだよ。偶然がいくつも重なり合ったんだよ。文句ある!?」
腰に手を当て、俺を睨んで威圧する梓。だがその視線はきょろきょろと定まっていなかった。
「本来ならあるはずなのだけど、俺に都合の良い偶然が重なったのでまったくないです」
梓のショートツインテールを指先で遊びながら答える。
「こ、こら、いじるなよぅ」
「やけにエロい台詞だ! 録音せねば!」
「するなっ!」
急いで鞄からmp3プレーヤーを取り出してたら、怒られた。
「や、それにしてもよい光景だな。これからも毎日お願いします」
「ヤだよ。今日は特別だもん。明日っからはいつも通りだよ」
「なんと! また丸坊主の日々か!」
「ショートカットって言ってるだろ! どれだけ引っ張ってるんだよ!」
「まあそう言わず、毎日とは言わないから、たまには今日みたいな髪型にしてくれないか?」
「……どーしよっかな?」
梓は意味ありげに片目をつむって俺を見た。
「……分かった。今日から心の中で呟いてたお前への悪態の量を減らすよ」
「すっごく恨まれてる!? ていうか減らすって、0にはしないの!?」
「もしくは、俺のおごりでお買い物やら食事に付き合います」
「えっ、そ、それって、で、……デートじゃん」
「そんな深く考えず。自分の懐は痛まずに思い切りショッピングを楽しめると考えましょう」
「……そ、そだね。ぜ、贅沢できるなら、たまにはこの髪型にしてあげよっかな?」
「でもよく考えると普段のお前の髪型も好きだし、贅沢されて破産するくらいなら別に以前のままでもいいかと思った」
「何もかも台無しだよ!? ……え、ていうか普段のボクも好きって……え? ……えええええっ!?」
梓は顔を真っ赤にして大音量で叫んだ。
「大変にうるさいです。普段のお前が好きではなく、普段のお前の髪型も嫌いではない、と言ったのです」
「な、なんだ……びっくりした」
「俺もお前の声の音量にびっくりして失禁した」
「お爺ちゃんかっ!」
「将来的には」
「そーゆーことじゃなくて! ……あ、そーだ。それよりさ、いつもの髪型に戻すってことはさ、今日のデートは……?」
「デートじゃないって自分で言ってたろ」
「デートじゃないけど、デートじゃないけど! なんかそーゆーのあったじゃん! それはどーなったの?」
「当然、キャンセル」
「そ、そんなぁ……」
目に見えて梓が落ち込んだ。肩が地面まで落ちそうだ。
「そんな贅沢したかったのか」
「違うよ、タカシと一緒にいた……そそそそそうっ! 贅沢したかったの!」
「…………」
なんつーか、こいつは、計算じゃないのがずるい。
「や、やー、すっごくお金使いたかったのになー? 残念だなー?」
「……いやはや。うん、それなら放課後遊びましょうか」
「ホントにっ!?」
「本当に」
「やたっ! えへへっ、たーっくさん奢ってもらうから、覚悟しろよ?」
ニコニコと嬉しそうな顔をしてる梓の頭で、小さく揺れるツインテールだった。
「タカシが本格的に生物としてアウトだ!」
「しまった、俺の密やかな願望をボクっ娘に聞かれた!」
「ボクっ娘ってゆーな! 梓って素敵すぐる名前があるの、ボクには! ていうか、ボクが聞き耳立ててたみたいに言うな! わざわざボクの席まで来てでっかい声でしゃべってるじゃん!」
「それは、遠まわしに、お前にツインテールになれと言っているのです」
「絶対なんないっ! ていうか、ボク髪短いから無理だもん」
「これだから丸坊主はダメだな」
「ショートカットだよ!? ……タカシ目までダメなの?」
「まで、とか言うな」
「み゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? あだま、あだま割れるーっ!?」
「アイアンクローは鉄の尻」
「鉄の爪だよ!? あぅーっ、痛い痛い痛いーっ!?」
そんな鉄の尻の翌日、頭ぼやーっとしたまま登校してると背後から声をかけられた。
「……お、おはよ、タカシ」
「あー、おはよ梓……梓?」
条件反射的に挨拶を交わしてから、その交わした人物を改めて見る。
「……な、なんだよ」
「すいません、人違いでした」
「合ってるよ!?」
「いや、俺の知ってる梓は丸坊主で」
「翌日まで引っ張るネタじゃないっ!」
「まちがい。丸坊主ではないが、普通のショートカットだったはず」
そう。梓の頭にちょこんと結わえられてる小さな髪の固まりは、昨日までは存在しなかったはずだ。
「……べっ、別にタカシのためじゃないもん! いめちぇんだもん、いめちぇん!」
何かぎゃーぎゃー言ってるが、そんなことより俺は梓の頭で揺れる小さなツインテールに心奪われていた。
「ふぅむ……いやはや、可愛いな」
「あ……」
思わず手が出た。梓の頭に手を乗せる、なでなでなでる。
「……ぅー」
「変な声を出すない」
「う、唸ってるんだよ! 威嚇だよ、威嚇! わんわん!」
「犬だ」
「notわんわん! 人間だよ!」
「自分から言い出して何言ってんだ」
「うー……だ、だって、いきなり頭なでたりするから……」
「すまん。次はいきなり尻をなでる」
「痴漢宣言!?」
「関白宣言みたいで売れそうだな」
「確実に捕まるよ! ……そ、それより、いつまでボクの頭なでてんだよ」
「あ、すまん」
気づかなかったが、無意識のうちにずっと梓の頭をなでていたようだ。
「……すまん、って言いながらなで続けてるしぃ」
「大丈夫。今は自分の意思でなでている」
「……うー」
何か文句を言いたかったのだろうけど、うまい文句が浮かばなかったのか、梓は少しだけ不満そうに口を尖らして俺を上目遣いで見た。
「しかし、アレだな。道端で頭なでてる状態って、布教してるみたいだな」
「とてもノー! 誰がどー見てもイチャイチャバカップル状態だよ! ……ば、バカップル!?」
自分で言っておいて、梓は自分の言葉に衝撃を受けているようだ。
「う、うー……タカシなんかとバカップルに見られるなんて、今世紀最大の屈辱だよ……」
「梓さん」
「な、なんだよ」
「口元がニヤニヤしているのはわざとですか」
「ええっ!? し、してない、してないよ!? ……してないよね?」
「してます」
「むーっ!」
梓は突然自分のほっぺをぎゅーっとつねった。
「……ふぅ。これでニヤニヤなんかしないもん」
「まだ笑ってる」
「まだ!? う、うぅ……い、いい加減ボクの頭なでるのやめろよ!」
「しかしだな、梓の人。こんな可愛いツインテールの持ち主を可愛がることをやめることが出来るだろうか。いやできない。反語。でも頑張れば出来る」
「反語が消えた!?」
言葉通り、頑張って梓の頭から手をどける。まあ、嫌がってる奴に無理やりすることでもないしね。
「……そ、そんなすぐやめることないと思わなくもないけど。人に言われたからすぐやめるって、自分がないみたいでボクは嫌いだなー」
「しかし、その梓の提言を聞くと、この提言すら否定する羽目になり、結果ここでビッグバンが起き宇宙が誕生します」
「誕生しない! 途中で考えるの面倒になったろ!?」
俺の考えは梓に読まれがちです。
「しかし、梓。なんでまたツインテールに?」
「だ、だから、いめちぇんだよ。いーだろ、ボクがいめちぇんしたって」
「ほう。つまり、俺がツインテールの良さを語ったその日、偶然にも梓がイメチェンしたくなり、さらに偶然にツインテールにした、と言うのだな」
「……そ、そうだよ。偶然がいくつも重なり合ったんだよ。文句ある!?」
腰に手を当て、俺を睨んで威圧する梓。だがその視線はきょろきょろと定まっていなかった。
「本来ならあるはずなのだけど、俺に都合の良い偶然が重なったのでまったくないです」
梓のショートツインテールを指先で遊びながら答える。
「こ、こら、いじるなよぅ」
「やけにエロい台詞だ! 録音せねば!」
「するなっ!」
急いで鞄からmp3プレーヤーを取り出してたら、怒られた。
「や、それにしてもよい光景だな。これからも毎日お願いします」
「ヤだよ。今日は特別だもん。明日っからはいつも通りだよ」
「なんと! また丸坊主の日々か!」
「ショートカットって言ってるだろ! どれだけ引っ張ってるんだよ!」
「まあそう言わず、毎日とは言わないから、たまには今日みたいな髪型にしてくれないか?」
「……どーしよっかな?」
梓は意味ありげに片目をつむって俺を見た。
「……分かった。今日から心の中で呟いてたお前への悪態の量を減らすよ」
「すっごく恨まれてる!? ていうか減らすって、0にはしないの!?」
「もしくは、俺のおごりでお買い物やら食事に付き合います」
「えっ、そ、それって、で、……デートじゃん」
「そんな深く考えず。自分の懐は痛まずに思い切りショッピングを楽しめると考えましょう」
「……そ、そだね。ぜ、贅沢できるなら、たまにはこの髪型にしてあげよっかな?」
「でもよく考えると普段のお前の髪型も好きだし、贅沢されて破産するくらいなら別に以前のままでもいいかと思った」
「何もかも台無しだよ!? ……え、ていうか普段のボクも好きって……え? ……えええええっ!?」
梓は顔を真っ赤にして大音量で叫んだ。
「大変にうるさいです。普段のお前が好きではなく、普段のお前の髪型も嫌いではない、と言ったのです」
「な、なんだ……びっくりした」
「俺もお前の声の音量にびっくりして失禁した」
「お爺ちゃんかっ!」
「将来的には」
「そーゆーことじゃなくて! ……あ、そーだ。それよりさ、いつもの髪型に戻すってことはさ、今日のデートは……?」
「デートじゃないって自分で言ってたろ」
「デートじゃないけど、デートじゃないけど! なんかそーゆーのあったじゃん! それはどーなったの?」
「当然、キャンセル」
「そ、そんなぁ……」
目に見えて梓が落ち込んだ。肩が地面まで落ちそうだ。
「そんな贅沢したかったのか」
「違うよ、タカシと一緒にいた……そそそそそうっ! 贅沢したかったの!」
「…………」
なんつーか、こいつは、計算じゃないのがずるい。
「や、やー、すっごくお金使いたかったのになー? 残念だなー?」
「……いやはや。うん、それなら放課後遊びましょうか」
「ホントにっ!?」
「本当に」
「やたっ! えへへっ、たーっくさん奢ってもらうから、覚悟しろよ?」
ニコニコと嬉しそうな顔をしてる梓の頭で、小さく揺れるツインテールだった。
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【寒そうにしてるツンデレの手を握ってみた】
2010年01月25日
近頃は油断するとそのまま凍死するかもしれないくらい寒いので、登下校が辛すぎる。
そんなわけでポケットに手をつっこみつつ登校してると、小さい身体をさらに小さく縮めて歩いてる生き物発見。
「うす、ちなみ。あんまり身体を縮ませてると身長も縮むぞ」
「……タカシは別箇所が縮小している」
「しししし失敬な! これは寒いからであり普段はもうちょっとアレですよ!?」
股間付近をじーっと見られ、いやになるくらい狼狽しながら訂正する。
「……まあ、いい。……おはよう」
「あ、うん。おはよう、ちなみ」
挨拶と一緒にちなみの頭をうにうになでる。
「……タカシは事ある毎に私の頭をなでる」
「縮めって毎回呪いを込めてるんだ」
「……すなわちグッド度胸」
ちなみは無表情に俺の頬をうにーっと引っ張った。
「ふははは。しかしなんだな、超寒いな」
「……ん。氷河期に突入したらしい」
頬引っ張りに満足したのか、ちなみは俺から手を離した。そして、一緒にてくてくと学校へ向かう。
「なるほど。人類はそう遠くない未来に絶滅するな」
「……嘘を普通に受け入れた。……よし、もうちょっと嘘を誇大化しよう」
なんでもいいが、そういうことは俺に聞こえないように言った方がいいと思う。
「……ええと、氷河期なので、温もりが必要だ」
「ふむ、そうだな」
「……温もりといえば、人肌」
「ほう?」
「……だから、つまり、……えと」
ちなみの視点を辿る。なるほど、俺の手に行き着くわけなんですが、あいにくとその手はポケットに収納されている。
「こんな感じだろうか」
「わ」
ポケットから手を抜き、ちなみの手をきゅっと握る。
「うわっ、お前の手超冷てえ!」
「……胸のない人間は冷血だとタカシが誹謗する」
胸のことは一切言っておりません。
「ていうか、マジでお前の手冷たいな」
両手でちなみの手を包み込み、さすさすとさする。
「わ、わ、わ」
「どだ? ちっとは温もったか?」
「……ち、ちっとは」
ちなみはそっぽを向きながら、ぽつぽつと呟いた。まあ、顔も赤くなっているようだし、多少は温くなったようだ。
「……で、でも、もちょっと」
今度は両手が差し出された。うつむいているので表情はうかがい知れないが、髪から覗く耳が真っ赤なので、まあそれに準じているだろう。
「寒いから仕方ないよね」
「……ま、全くだ。本当はタカシなんかに触られるなんてすごく嫌だけど、寒いから仕方ない。ああ嫌だ嫌だ」
「ひどいことを言う」
ちなみの両手を包み込み、ゆっくりさする。片手は既に温まっていたが、もう片方は結構な冷え方をしていた。
「お前さ、冬の間だけでも手袋とかした方がいいんじゃないか?」
「……いい」
「いい、って」
「……ま、また、こーやってタカシをこき使う。こき使われるタカシ、哀れ」
「あー」
「あ、あーとか言うな。違う、別にタカシに手繋いで欲しいとか思ってない。迷惑。ぷんぷん」
「さういうことは赤面しないで言うといいと思うます」
「し、してない。錯覚。タカシの錯覚。……て、ていうか、見るな。こっち見るの禁止」
ちなみは手を振って俺を制止しようとしたが、あいにくとその手は俺に包まれているので、ぶんぶんとシェイクハンドするだけに終わった。
「しかし、両手を温めると言うことはすなわち向き合っているということなので、どうしてもちなみの顔を見ることになるのだが」
「……ふ、ふん。……じゃ、手、繋いでるときだけ、見るの許す。特別。……感謝しろ」
明後日の方を見ながら、ちなみは真っ赤な顔で呟くのだった。
そんなわけでポケットに手をつっこみつつ登校してると、小さい身体をさらに小さく縮めて歩いてる生き物発見。
「うす、ちなみ。あんまり身体を縮ませてると身長も縮むぞ」
「……タカシは別箇所が縮小している」
「しししし失敬な! これは寒いからであり普段はもうちょっとアレですよ!?」
股間付近をじーっと見られ、いやになるくらい狼狽しながら訂正する。
「……まあ、いい。……おはよう」
「あ、うん。おはよう、ちなみ」
挨拶と一緒にちなみの頭をうにうになでる。
「……タカシは事ある毎に私の頭をなでる」
「縮めって毎回呪いを込めてるんだ」
「……すなわちグッド度胸」
ちなみは無表情に俺の頬をうにーっと引っ張った。
「ふははは。しかしなんだな、超寒いな」
「……ん。氷河期に突入したらしい」
頬引っ張りに満足したのか、ちなみは俺から手を離した。そして、一緒にてくてくと学校へ向かう。
「なるほど。人類はそう遠くない未来に絶滅するな」
「……嘘を普通に受け入れた。……よし、もうちょっと嘘を誇大化しよう」
なんでもいいが、そういうことは俺に聞こえないように言った方がいいと思う。
「……ええと、氷河期なので、温もりが必要だ」
「ふむ、そうだな」
「……温もりといえば、人肌」
「ほう?」
「……だから、つまり、……えと」
ちなみの視点を辿る。なるほど、俺の手に行き着くわけなんですが、あいにくとその手はポケットに収納されている。
「こんな感じだろうか」
「わ」
ポケットから手を抜き、ちなみの手をきゅっと握る。
「うわっ、お前の手超冷てえ!」
「……胸のない人間は冷血だとタカシが誹謗する」
胸のことは一切言っておりません。
「ていうか、マジでお前の手冷たいな」
両手でちなみの手を包み込み、さすさすとさする。
「わ、わ、わ」
「どだ? ちっとは温もったか?」
「……ち、ちっとは」
ちなみはそっぽを向きながら、ぽつぽつと呟いた。まあ、顔も赤くなっているようだし、多少は温くなったようだ。
「……で、でも、もちょっと」
今度は両手が差し出された。うつむいているので表情はうかがい知れないが、髪から覗く耳が真っ赤なので、まあそれに準じているだろう。
「寒いから仕方ないよね」
「……ま、全くだ。本当はタカシなんかに触られるなんてすごく嫌だけど、寒いから仕方ない。ああ嫌だ嫌だ」
「ひどいことを言う」
ちなみの両手を包み込み、ゆっくりさする。片手は既に温まっていたが、もう片方は結構な冷え方をしていた。
「お前さ、冬の間だけでも手袋とかした方がいいんじゃないか?」
「……いい」
「いい、って」
「……ま、また、こーやってタカシをこき使う。こき使われるタカシ、哀れ」
「あー」
「あ、あーとか言うな。違う、別にタカシに手繋いで欲しいとか思ってない。迷惑。ぷんぷん」
「さういうことは赤面しないで言うといいと思うます」
「し、してない。錯覚。タカシの錯覚。……て、ていうか、見るな。こっち見るの禁止」
ちなみは手を振って俺を制止しようとしたが、あいにくとその手は俺に包まれているので、ぶんぶんとシェイクハンドするだけに終わった。
「しかし、両手を温めると言うことはすなわち向き合っているということなので、どうしてもちなみの顔を見ることになるのだが」
「……ふ、ふん。……じゃ、手、繋いでるときだけ、見るの許す。特別。……感謝しろ」
明後日の方を見ながら、ちなみは真っ赤な顔で呟くのだった。
【なでなで】
2010年01月25日
休み時間、教室でぼやーっと過ごしてたら、突如『小さい子を可愛がれ』という天啓が。
天啓なら仕方ないので、誰かいないかと探してたら、丁度いいところにちっこい娘さんがむすーっとした顔をしてこちらに歩いてきたので、ひっ捕まえてみる。
「……離せ」
向こうから歩いてきたちなみが俺に両ワキを持たれ、ぷらーんとしたまま偉そうにつぶやく。
「提案があるのです」
「……断る」
「まあ聞いてみるだけ聞いてみろ。突如小さい系の生物を愛でたくなったその折、タイミングよくこっちに来たお前に白羽の矢が立ったという寸法だ」
「……私は小さくない」
「俺に持ち上げられてる時点で小さいとは思わんかね」
「……ふん。……私は別にタカシに愛でられたくない」
「別に挿れたりしないよ?」
「……まあ、既にタカシには嫌と言うほどされているし」
「人聞きの悪いこと言うなッ! してねぇよッ!」
『聞いた? 別府くん、嫌がるちなみちゃんに無理やり……』
『やだ、別府くんエロテロリスト……』
遠巻きに俺たちを見ていた聴衆がこれ見よがしに嫌なことを言う。ていうかエロテロリストて。懐かしいな。
「あ、あははははー、やだなぁちなみ。俺とちなみの間にそんなことあるはずないだろ?」
「……もう肉棒は嫌だ」
とりあえずちなみを抱えたまま、キャーとかいう声のあがる教室からダッシュで逃げる。たどり着いた空き教室に入り、鍵をかける。
「はぁはぁ……お前なあ! 無茶苦茶言うなッ!」
「……これでタカシの社会的地位は壊滅的だ」
嬉しそうなちなみが大変むかちゅく。
「はぁ……なんだって可愛がるだけでこんなことになんだよ」
「……やはり肉棒の餌食か。さよなら、膜」
ちなみのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
「女の子がそういうこと言うなッ!」
「……やれやれ。いったいどこまで女の子に幻想を見れば気が済むのか」
とりあえずちなみのほっぺをむにーっと引っ張る。
「……ひはひ」
「はぁ……もういいか。とりあえず、最初の目的だけでも済ますか」
ほっぺから手を離し、ちなみの頭をなでなでする。
「……?」
ちなみは視線を俺の手に向け、その後俺の顔に向けた。
「ん、ああ。とりあえずな。可愛がりたかったので、可愛がったのです」
「……なるほど。可愛がられた」
なでなでを完了したので、手をどける。
「……まあ、そう言わずに」
どかした手を、ちなみはむんずと掴んで自分の頭に乗せた。
「……もっとなでなでしても、寛大な私は許す予感」
「いや、もう充分ですので」
手をのけようとするが、すごい力で握られており、動かせない。
「……こんな機会でもなければ、タカシは今後女の子をなでなでする機会なぞあるわけがない。さあ、嫌というほどすればいい」
「いやいや、別にその程度の機会はあるかと」
「……早くしないと、服を脱いで叫ぶこと請け合い」
「いやはや、ちなみは可愛いなあ!」
脅迫に屈し、半ばヤケクソ気味にちなみの頭をなでる。
「わ、わわ。……困った、告白された」
「してねえ!」
「……もっと優しくなでないと、叫ぶこと請け合い」
「ええい、面倒くせえなあこの姫さんは!」
「……あと、ずっと一緒にいたいなあ、とか、大好きだなあ、とか言え」
「…………」
「な、なに。……べ、別に私がそう思ってるとかじゃなくて。……思ってないし。そんなの。全然」
ちなみは珍しく早口になりながら、俯いてぶちぶち口の中でつぶやいた。耳が赤え。
「あー……いやはや。うん、やっぱ可愛い」
「……うう。どうして最終的にはタカシが主導を握っているのか。……悔しさのあまり血尿が出そうだ」
「出すなッ!」
相変わらず耳が赤い生物をしばらくなでなでしてました。
天啓なら仕方ないので、誰かいないかと探してたら、丁度いいところにちっこい娘さんがむすーっとした顔をしてこちらに歩いてきたので、ひっ捕まえてみる。
「……離せ」
向こうから歩いてきたちなみが俺に両ワキを持たれ、ぷらーんとしたまま偉そうにつぶやく。
「提案があるのです」
「……断る」
「まあ聞いてみるだけ聞いてみろ。突如小さい系の生物を愛でたくなったその折、タイミングよくこっちに来たお前に白羽の矢が立ったという寸法だ」
「……私は小さくない」
「俺に持ち上げられてる時点で小さいとは思わんかね」
「……ふん。……私は別にタカシに愛でられたくない」
「別に挿れたりしないよ?」
「……まあ、既にタカシには嫌と言うほどされているし」
「人聞きの悪いこと言うなッ! してねぇよッ!」
『聞いた? 別府くん、嫌がるちなみちゃんに無理やり……』
『やだ、別府くんエロテロリスト……』
遠巻きに俺たちを見ていた聴衆がこれ見よがしに嫌なことを言う。ていうかエロテロリストて。懐かしいな。
「あ、あははははー、やだなぁちなみ。俺とちなみの間にそんなことあるはずないだろ?」
「……もう肉棒は嫌だ」
とりあえずちなみを抱えたまま、キャーとかいう声のあがる教室からダッシュで逃げる。たどり着いた空き教室に入り、鍵をかける。
「はぁはぁ……お前なあ! 無茶苦茶言うなッ!」
「……これでタカシの社会的地位は壊滅的だ」
嬉しそうなちなみが大変むかちゅく。
「はぁ……なんだって可愛がるだけでこんなことになんだよ」
「……やはり肉棒の餌食か。さよなら、膜」
ちなみのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
「女の子がそういうこと言うなッ!」
「……やれやれ。いったいどこまで女の子に幻想を見れば気が済むのか」
とりあえずちなみのほっぺをむにーっと引っ張る。
「……ひはひ」
「はぁ……もういいか。とりあえず、最初の目的だけでも済ますか」
ほっぺから手を離し、ちなみの頭をなでなでする。
「……?」
ちなみは視線を俺の手に向け、その後俺の顔に向けた。
「ん、ああ。とりあえずな。可愛がりたかったので、可愛がったのです」
「……なるほど。可愛がられた」
なでなでを完了したので、手をどける。
「……まあ、そう言わずに」
どかした手を、ちなみはむんずと掴んで自分の頭に乗せた。
「……もっとなでなでしても、寛大な私は許す予感」
「いや、もう充分ですので」
手をのけようとするが、すごい力で握られており、動かせない。
「……こんな機会でもなければ、タカシは今後女の子をなでなでする機会なぞあるわけがない。さあ、嫌というほどすればいい」
「いやいや、別にその程度の機会はあるかと」
「……早くしないと、服を脱いで叫ぶこと請け合い」
「いやはや、ちなみは可愛いなあ!」
脅迫に屈し、半ばヤケクソ気味にちなみの頭をなでる。
「わ、わわ。……困った、告白された」
「してねえ!」
「……もっと優しくなでないと、叫ぶこと請け合い」
「ええい、面倒くせえなあこの姫さんは!」
「……あと、ずっと一緒にいたいなあ、とか、大好きだなあ、とか言え」
「…………」
「な、なに。……べ、別に私がそう思ってるとかじゃなくて。……思ってないし。そんなの。全然」
ちなみは珍しく早口になりながら、俯いてぶちぶち口の中でつぶやいた。耳が赤え。
「あー……いやはや。うん、やっぱ可愛い」
「……うう。どうして最終的にはタカシが主導を握っているのか。……悔しさのあまり血尿が出そうだ」
「出すなッ!」
相変わらず耳が赤い生物をしばらくなでなでしてました。
【ハナ 楽器】
2010年01月25日
恋人のハナと一緒にテレビ見てたら、『どんな楽器を持ってたら一番かっこいいか』というものをやっていた。
「ハナは俺が何を持ってたらかっこいいと思う?」
「な、なんでもかっこいいです……」
ハナは顔を赤らめながら俺の手をそっと握った。それはとても嬉しいが、話が終わってしまうのでもうちょっと掘り進める。
「じゃあ、俺がどこにでも大太鼓を持ち歩いててもかっこいいか?」
「力持ちで素敵です」
むぅ。結構厄介だな。
「ええと、じゃあアレだ、テルミン。手をかざすだけでふぉわんふぉわん鳴るぞ? 宇宙人っぽくてダメだろう」
「未来ちっくでかっこよすぎです」
「ぬぅ。……じゃあ、いっそトライアングルとかどうだ? チーンって、辛気臭いぞ?」
「三角形なのでそこにピラミッドパワーが発生し、周囲の人々を次々と健康にするのでかっこいいです」
楽器関係なくなってきた。そしてそれはかっこいいのか。
「ダメだ、こいつ俺を褒めてばっかだ」
「だ、だって、彰人くんには褒めるところしかないから、仕方ないんです……」
「む。……え、ええい、あまり人を喜ばせるな!」
「や、やー! おでこやー!」
普段は前髪で覆われているハナのおでこを全開にしてやる符長彰人ですこんにちは。
「む。どうして挨拶になるのだろう」
「い、いーからおでこー!」
「うん? ああ、今日もとても可愛いおでこですよ」
「手ぇ離してくださいー!」
半泣きになっているので手を離してやる。ハナは素早く俺から離れると、急いで前髪を下ろした。
「うー……彰人くんはいじわるです。普段の彰人くんは大好きですが、私の前髪を上げようとする彰人くんは嫌いです」
「俺はどんなハナでも好きだがな!」
「ず、ずるいです! 本当は私もどんな彰人くんでも好きです! 腐乱死体でも平気です!」
「ハナの愛情が重すぎる」
「あ。思い出しました、死体ごっこしましょう、死体ごっこ」
そう言うと、ハナは床にごろんと転がった。お腹を上にして寝そべり、こちらの様子をうかがっている。遊んで欲しくて待ってる犬みたい。
「説明しよう! 死体ごっことは俺考案の遊びで、休みの日に二人集まったら部屋で死体の如くごろりと転がるだけの何が面白いんだかっていう遊びである!」
「彰人くんが何もない場所に向かって説明を。……介護、頑張ります」
「頑張らなくていいです」
ハナに軽くチョップしてから、ハナの近くにごろりと転がる。すると、死体であるはずのハナがもそもそこちらに寄ってきたので、頭を押さえてこれ以上近寄れなくする。
「うー。……彰人くんいじわるです。そっちにいけません」
「しっ、死体が喋ったあああああ!?」
「喋る系なのでしょうがないです」
そんな系統の死体見たことない、と思ってたら手がお留守になっていたのか、俺の防御をかいくぐり、ハナは俺のお腹にあごを乗せた。
「ふー。……侵略成功、です」
褒めて欲しそうな顔でこちらをじーっと見ているので、頭をなでてやる。
「んー」
ハナは目を細ませて、気持ちよさそうに俺になでられている。
「ほふー。……このまま極楽浄土に行きそうです」
「死体が成仏を開始した」
「彰人くんがゴーストスイーパーに」
お互いなんだこりゃっていう感じの会話を繰り広げてしまう。でも、この空気は、嫌いじゃない。
「……えへ」
ハナもそう感じたのだろうか、俺を見つめて小さく笑った。
「……いかん。眠まってきた」
「一緒に寝るが吉、と出ました」
「ハナが占者に」
「ごごごごごー」
戦車違いだ、と思いながら、ごごごご言いながら人の身体の上に乗ってきて、嬉しそうに笑ってる恋人をずっと見てた。
「ハナは俺が何を持ってたらかっこいいと思う?」
「な、なんでもかっこいいです……」
ハナは顔を赤らめながら俺の手をそっと握った。それはとても嬉しいが、話が終わってしまうのでもうちょっと掘り進める。
「じゃあ、俺がどこにでも大太鼓を持ち歩いててもかっこいいか?」
「力持ちで素敵です」
むぅ。結構厄介だな。
「ええと、じゃあアレだ、テルミン。手をかざすだけでふぉわんふぉわん鳴るぞ? 宇宙人っぽくてダメだろう」
「未来ちっくでかっこよすぎです」
「ぬぅ。……じゃあ、いっそトライアングルとかどうだ? チーンって、辛気臭いぞ?」
「三角形なのでそこにピラミッドパワーが発生し、周囲の人々を次々と健康にするのでかっこいいです」
楽器関係なくなってきた。そしてそれはかっこいいのか。
「ダメだ、こいつ俺を褒めてばっかだ」
「だ、だって、彰人くんには褒めるところしかないから、仕方ないんです……」
「む。……え、ええい、あまり人を喜ばせるな!」
「や、やー! おでこやー!」
普段は前髪で覆われているハナのおでこを全開にしてやる符長彰人ですこんにちは。
「む。どうして挨拶になるのだろう」
「い、いーからおでこー!」
「うん? ああ、今日もとても可愛いおでこですよ」
「手ぇ離してくださいー!」
半泣きになっているので手を離してやる。ハナは素早く俺から離れると、急いで前髪を下ろした。
「うー……彰人くんはいじわるです。普段の彰人くんは大好きですが、私の前髪を上げようとする彰人くんは嫌いです」
「俺はどんなハナでも好きだがな!」
「ず、ずるいです! 本当は私もどんな彰人くんでも好きです! 腐乱死体でも平気です!」
「ハナの愛情が重すぎる」
「あ。思い出しました、死体ごっこしましょう、死体ごっこ」
そう言うと、ハナは床にごろんと転がった。お腹を上にして寝そべり、こちらの様子をうかがっている。遊んで欲しくて待ってる犬みたい。
「説明しよう! 死体ごっことは俺考案の遊びで、休みの日に二人集まったら部屋で死体の如くごろりと転がるだけの何が面白いんだかっていう遊びである!」
「彰人くんが何もない場所に向かって説明を。……介護、頑張ります」
「頑張らなくていいです」
ハナに軽くチョップしてから、ハナの近くにごろりと転がる。すると、死体であるはずのハナがもそもそこちらに寄ってきたので、頭を押さえてこれ以上近寄れなくする。
「うー。……彰人くんいじわるです。そっちにいけません」
「しっ、死体が喋ったあああああ!?」
「喋る系なのでしょうがないです」
そんな系統の死体見たことない、と思ってたら手がお留守になっていたのか、俺の防御をかいくぐり、ハナは俺のお腹にあごを乗せた。
「ふー。……侵略成功、です」
褒めて欲しそうな顔でこちらをじーっと見ているので、頭をなでてやる。
「んー」
ハナは目を細ませて、気持ちよさそうに俺になでられている。
「ほふー。……このまま極楽浄土に行きそうです」
「死体が成仏を開始した」
「彰人くんがゴーストスイーパーに」
お互いなんだこりゃっていう感じの会話を繰り広げてしまう。でも、この空気は、嫌いじゃない。
「……えへ」
ハナもそう感じたのだろうか、俺を見つめて小さく笑った。
「……いかん。眠まってきた」
「一緒に寝るが吉、と出ました」
「ハナが占者に」
「ごごごごごー」
戦車違いだ、と思いながら、ごごごご言いながら人の身体の上に乗ってきて、嬉しそうに笑ってる恋人をずっと見てた。
【階段でこけそうになった女の子を助けた男】
2010年01月25日
「やっ、ほっ……にゃっ、にゃーっ!?」
学校でだらだら階段を上ってたら、頭上から奇声がするなあと思った瞬間に影が差した。室内なのに雲か、と思うはずもなく、誰か足を踏み外しみぎゃっ。
「あいたた……あ、あれ? あんまり痛くない」
「それは俺が下敷きになっているからであり、俺が大変痛い」
「いいっ!?」
慌てて俺から離れる感覚。
「すっ、すま……なんだ、別府か。謝って損した」
頭を下げかけて、潰れてるのが俺と分かるや否や頭を起こす人。こんなのでこの学校の生徒会長ってんだから、どうかと思う。
「あと、もう少しこっちに寄って来てくれるといいと思う」
「ん? なんでだ?」
「その位置だと丁度パンツが見えなくて。もう少し近寄ってくれないと困ります」
会長はゆっくりこちらにやってくると、きゅっと俺の顔を踏んだ。
「違う、それでは足の裏しか見えない」
「全く……ほら、立てるか?」
会長は足をどけると、スカートを気にしながら俺を起こした。
「や、どうも。あいたた……」
「いや、でも、まあ、なんだ。お前がいてくれて助かった」
あさっての方向を見ながら、会長は頬をぽりぽりかいて珍しいことを言った。
「この世界に俺がいることに、会長が感謝の言葉を述べている」
「この、場所に、偶然、お前が、いたから、私は怪我をせずに済んだ、と言いたいだけだッ!」
言葉が妙に途切れているのは、俺の顔を渾身の力で締め上げているからであり、もう少しでもげること請け合い。
「うろれん」
「うひゃあっ!?」
なので、舌でうろれんっと会長の手のひらを舐めてパージを阻止する。
「なっ、なな、な、舐めーっ!?」
「妖怪手の平舐め。主に十代の女性の手の平を舐めて生活したいが、なかなかそうはいかないので50代60代の手の平を舐めては『明日こそは……!』と悔し涙を流す妖怪。可哀想だと思う」
「嘘解説はいいッ! きっ、貴様、私の手を舐めたな!?」
「だって、このままだと俺の顔が物理的に外れるから」
「だからと言って舐める奴があるかっ!」
どうやら大変に怒っているらしい。どうしよう、と思ってたら、会長の怒鳴り声を聞きつけてか、人が集まってきた。
「う……と、とにかく! このことは後できっちり詫びてもらうからな! 放課後、生徒会室に来い!」
言うだけ言って、会長は人ごみをかき分けどこかへ行ってしまった。会長がいなくなってしまい、群衆は興味をなくしたのか三々五々に散っていった。
てなわけで、放課後。助けたはずなのに怒られるために生徒会室に出向く。
「……しかし、普通に入っても面白くないな。転がりながらの登場……つまらんな。ここはいっそ消火器を吹かせながら登場とか」
「したら停学だぞ」
ドアの前で考え事をしてたら、背後から声をかけられて驚いた。
「それはもう尻が割れそうなくらい驚いた」
「誰でも割れてる!」
「恥ずかしいことを大声で言う人だなあ」
「う、うるさいっ! お前に乗せられたんだ!」
俺のすぐ背後にいたのは、やっぱり会長だった。面白くなさそうに俺を睨んでいる。
「しかし、素直に来るとは感心だな。てっきり私の言うことなんて無視して帰ったかと思ったが」
「会長の言うことを無視なんてできないよ」
「う……そ、そうか?」
会長は満更でもない顔ではにかんだ。
「帰ったら家が不審火でなくなってる、なんて嫌だし」
「私は何だと思われてるのかなあ?」
ニコニコ笑いながら俺の頬を全力でつねりあげる人です。
「ほら、くだらないこと言ってないで入るぞ」
猫のように首根っこを掴まれ、生徒会室へ入る。しかし、中には誰もいなかった。
「会長、他の人は?」
「ん? いや、今日はいないが」
「ほほう。二人っきりですな!」
「いらんことは言わんでいいっ!」
俺を一発殴ってから、会長は椅子に座った。
「あー……その、なんだ。今日は、その、悪かった」
俺が謝る時間のはずが、会長が謝っている。
「これはどこかで時間軸がねじれ、本来俺がいるはずでない時間──つまり、『そうなったかも』という世界に入ったに違いない」
「何を言っているのだ?」
「パラレルワールドの可能性について少し」
「……相変わらず訳が分からんな、お前は」
会長は疲れた顔でため息を吐いた。どうやら違うらしい。
「だから、何だ。私は、階段で助けてもらった礼をしたかっただけだ」
「ああ、なんだ。そんなの、あの時ちょちょいって言えばよかったのに」
「あの時に変なことばかり言って無駄に話を長引かせたのは誰だ!?」
どうやら怒られているようだ。
「お前はいつもそうだ。いつもふざけてばかりで……聞いているのかッ!?」
「はい、すいません」
気がつけば正座していた。怖いよ。
「……っと。違う、怒るんじゃない、お礼だ、お礼。……え、ええとだな、あの時お前がいなかったら、私は大怪我していたかもしれない」
「はぁ」
「だ、だから、その、……あ、ありがとぅ」
会長は消え入りそうな声で感謝の言葉を告げた。こういった場面にあまり慣れていないのか、顔が真っ赤だ。
「いやはや……会長、可愛いな」
「なっ!? ななっ、何を言ってるんだ、お前は!?」
「む、年上だから可愛いは失礼か。でも、まあ、いいか!」
「よっ、よくない! き、貴様、な、何を言って!?」
「おや、足が正座のせいでしびれあしら」
「人の話を聞けーッ!?」
何か目がぐるぐるしてる人が叫んでました。
学校でだらだら階段を上ってたら、頭上から奇声がするなあと思った瞬間に影が差した。室内なのに雲か、と思うはずもなく、誰か足を踏み外しみぎゃっ。
「あいたた……あ、あれ? あんまり痛くない」
「それは俺が下敷きになっているからであり、俺が大変痛い」
「いいっ!?」
慌てて俺から離れる感覚。
「すっ、すま……なんだ、別府か。謝って損した」
頭を下げかけて、潰れてるのが俺と分かるや否や頭を起こす人。こんなのでこの学校の生徒会長ってんだから、どうかと思う。
「あと、もう少しこっちに寄って来てくれるといいと思う」
「ん? なんでだ?」
「その位置だと丁度パンツが見えなくて。もう少し近寄ってくれないと困ります」
会長はゆっくりこちらにやってくると、きゅっと俺の顔を踏んだ。
「違う、それでは足の裏しか見えない」
「全く……ほら、立てるか?」
会長は足をどけると、スカートを気にしながら俺を起こした。
「や、どうも。あいたた……」
「いや、でも、まあ、なんだ。お前がいてくれて助かった」
あさっての方向を見ながら、会長は頬をぽりぽりかいて珍しいことを言った。
「この世界に俺がいることに、会長が感謝の言葉を述べている」
「この、場所に、偶然、お前が、いたから、私は怪我をせずに済んだ、と言いたいだけだッ!」
言葉が妙に途切れているのは、俺の顔を渾身の力で締め上げているからであり、もう少しでもげること請け合い。
「うろれん」
「うひゃあっ!?」
なので、舌でうろれんっと会長の手のひらを舐めてパージを阻止する。
「なっ、なな、な、舐めーっ!?」
「妖怪手の平舐め。主に十代の女性の手の平を舐めて生活したいが、なかなかそうはいかないので50代60代の手の平を舐めては『明日こそは……!』と悔し涙を流す妖怪。可哀想だと思う」
「嘘解説はいいッ! きっ、貴様、私の手を舐めたな!?」
「だって、このままだと俺の顔が物理的に外れるから」
「だからと言って舐める奴があるかっ!」
どうやら大変に怒っているらしい。どうしよう、と思ってたら、会長の怒鳴り声を聞きつけてか、人が集まってきた。
「う……と、とにかく! このことは後できっちり詫びてもらうからな! 放課後、生徒会室に来い!」
言うだけ言って、会長は人ごみをかき分けどこかへ行ってしまった。会長がいなくなってしまい、群衆は興味をなくしたのか三々五々に散っていった。
てなわけで、放課後。助けたはずなのに怒られるために生徒会室に出向く。
「……しかし、普通に入っても面白くないな。転がりながらの登場……つまらんな。ここはいっそ消火器を吹かせながら登場とか」
「したら停学だぞ」
ドアの前で考え事をしてたら、背後から声をかけられて驚いた。
「それはもう尻が割れそうなくらい驚いた」
「誰でも割れてる!」
「恥ずかしいことを大声で言う人だなあ」
「う、うるさいっ! お前に乗せられたんだ!」
俺のすぐ背後にいたのは、やっぱり会長だった。面白くなさそうに俺を睨んでいる。
「しかし、素直に来るとは感心だな。てっきり私の言うことなんて無視して帰ったかと思ったが」
「会長の言うことを無視なんてできないよ」
「う……そ、そうか?」
会長は満更でもない顔ではにかんだ。
「帰ったら家が不審火でなくなってる、なんて嫌だし」
「私は何だと思われてるのかなあ?」
ニコニコ笑いながら俺の頬を全力でつねりあげる人です。
「ほら、くだらないこと言ってないで入るぞ」
猫のように首根っこを掴まれ、生徒会室へ入る。しかし、中には誰もいなかった。
「会長、他の人は?」
「ん? いや、今日はいないが」
「ほほう。二人っきりですな!」
「いらんことは言わんでいいっ!」
俺を一発殴ってから、会長は椅子に座った。
「あー……その、なんだ。今日は、その、悪かった」
俺が謝る時間のはずが、会長が謝っている。
「これはどこかで時間軸がねじれ、本来俺がいるはずでない時間──つまり、『そうなったかも』という世界に入ったに違いない」
「何を言っているのだ?」
「パラレルワールドの可能性について少し」
「……相変わらず訳が分からんな、お前は」
会長は疲れた顔でため息を吐いた。どうやら違うらしい。
「だから、何だ。私は、階段で助けてもらった礼をしたかっただけだ」
「ああ、なんだ。そんなの、あの時ちょちょいって言えばよかったのに」
「あの時に変なことばかり言って無駄に話を長引かせたのは誰だ!?」
どうやら怒られているようだ。
「お前はいつもそうだ。いつもふざけてばかりで……聞いているのかッ!?」
「はい、すいません」
気がつけば正座していた。怖いよ。
「……っと。違う、怒るんじゃない、お礼だ、お礼。……え、ええとだな、あの時お前がいなかったら、私は大怪我していたかもしれない」
「はぁ」
「だ、だから、その、……あ、ありがとぅ」
会長は消え入りそうな声で感謝の言葉を告げた。こういった場面にあまり慣れていないのか、顔が真っ赤だ。
「いやはや……会長、可愛いな」
「なっ!? ななっ、何を言ってるんだ、お前は!?」
「む、年上だから可愛いは失礼か。でも、まあ、いいか!」
「よっ、よくない! き、貴様、な、何を言って!?」
「おや、足が正座のせいでしびれあしら」
「人の話を聞けーッ!?」
何か目がぐるぐるしてる人が叫んでました。


