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2019年10月15日
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【男がツインテール好きと知ったボクっ娘】

2010年01月26日
「ツインテールの子っていいよね。あのちょいーんってなってる髪で朝起こされたいよね。なんなら俺のいけない箇所をそれでくすぐってほしいよね」
「タカシが本格的に生物としてアウトだ!」
「しまった、俺の密やかな願望をボクっ娘に聞かれた!」
「ボクっ娘ってゆーな! 梓って素敵すぐる名前があるの、ボクには! ていうか、ボクが聞き耳立ててたみたいに言うな! わざわざボクの席まで来てでっかい声でしゃべってるじゃん!」
「それは、遠まわしに、お前にツインテールになれと言っているのです」
「絶対なんないっ! ていうか、ボク髪短いから無理だもん」
「これだから丸坊主はダメだな」
「ショートカットだよ!? ……タカシ目までダメなの?」
「まで、とか言うな」
「み゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? あだま、あだま割れるーっ!?」
「アイアンクローは鉄の尻」
「鉄の爪だよ!? あぅーっ、痛い痛い痛いーっ!?」

 そんな鉄の尻の翌日、頭ぼやーっとしたまま登校してると背後から声をかけられた。
「……お、おはよ、タカシ」
「あー、おはよ梓……梓?」
 条件反射的に挨拶を交わしてから、その交わした人物を改めて見る。
「……な、なんだよ」
「すいません、人違いでした」
「合ってるよ!?」
「いや、俺の知ってる梓は丸坊主で」
「翌日まで引っ張るネタじゃないっ!」
「まちがい。丸坊主ではないが、普通のショートカットだったはず」
 そう。梓の頭にちょこんと結わえられてる小さな髪の固まりは、昨日までは存在しなかったはずだ。
「……べっ、別にタカシのためじゃないもん! いめちぇんだもん、いめちぇん!」
 何かぎゃーぎゃー言ってるが、そんなことより俺は梓の頭で揺れる小さなツインテールに心奪われていた。
「ふぅむ……いやはや、可愛いな」
「あ……」
 思わず手が出た。梓の頭に手を乗せる、なでなでなでる。
「……ぅー」
「変な声を出すない」
「う、唸ってるんだよ! 威嚇だよ、威嚇! わんわん!」
「犬だ」
「notわんわん! 人間だよ!」
「自分から言い出して何言ってんだ」
「うー……だ、だって、いきなり頭なでたりするから……」
「すまん。次はいきなり尻をなでる」
「痴漢宣言!?」
「関白宣言みたいで売れそうだな」
「確実に捕まるよ! ……そ、それより、いつまでボクの頭なでてんだよ」
「あ、すまん」
 気づかなかったが、無意識のうちにずっと梓の頭をなでていたようだ。
「……すまん、って言いながらなで続けてるしぃ」
「大丈夫。今は自分の意思でなでている」
「……うー」
 何か文句を言いたかったのだろうけど、うまい文句が浮かばなかったのか、梓は少しだけ不満そうに口を尖らして俺を上目遣いで見た。
「しかし、アレだな。道端で頭なでてる状態って、布教してるみたいだな」
「とてもノー! 誰がどー見てもイチャイチャバカップル状態だよ! ……ば、バカップル!?」
 自分で言っておいて、梓は自分の言葉に衝撃を受けているようだ。
「う、うー……タカシなんかとバカップルに見られるなんて、今世紀最大の屈辱だよ……」
「梓さん」
「な、なんだよ」
「口元がニヤニヤしているのはわざとですか」
「ええっ!? し、してない、してないよ!? ……してないよね?」
「してます」
「むーっ!」
 梓は突然自分のほっぺをぎゅーっとつねった。
「……ふぅ。これでニヤニヤなんかしないもん」
「まだ笑ってる」
「まだ!? う、うぅ……い、いい加減ボクの頭なでるのやめろよ!」
「しかしだな、梓の人。こんな可愛いツインテールの持ち主を可愛がることをやめることが出来るだろうか。いやできない。反語。でも頑張れば出来る」
「反語が消えた!?」
 言葉通り、頑張って梓の頭から手をどける。まあ、嫌がってる奴に無理やりすることでもないしね。
「……そ、そんなすぐやめることないと思わなくもないけど。人に言われたからすぐやめるって、自分がないみたいでボクは嫌いだなー」
「しかし、その梓の提言を聞くと、この提言すら否定する羽目になり、結果ここでビッグバンが起き宇宙が誕生します」
「誕生しない! 途中で考えるの面倒になったろ!?」
 俺の考えは梓に読まれがちです。
「しかし、梓。なんでまたツインテールに?」
「だ、だから、いめちぇんだよ。いーだろ、ボクがいめちぇんしたって」
「ほう。つまり、俺がツインテールの良さを語ったその日、偶然にも梓がイメチェンしたくなり、さらに偶然にツインテールにした、と言うのだな」
「……そ、そうだよ。偶然がいくつも重なり合ったんだよ。文句ある!?」
 腰に手を当て、俺を睨んで威圧する梓。だがその視線はきょろきょろと定まっていなかった。
「本来ならあるはずなのだけど、俺に都合の良い偶然が重なったのでまったくないです」
 梓のショートツインテールを指先で遊びながら答える。
「こ、こら、いじるなよぅ」
「やけにエロい台詞だ! 録音せねば!」
「するなっ!」
 急いで鞄からmp3プレーヤーを取り出してたら、怒られた。
「や、それにしてもよい光景だな。これからも毎日お願いします」
「ヤだよ。今日は特別だもん。明日っからはいつも通りだよ」
「なんと! また丸坊主の日々か!」
「ショートカットって言ってるだろ! どれだけ引っ張ってるんだよ!」
「まあそう言わず、毎日とは言わないから、たまには今日みたいな髪型にしてくれないか?」
「……どーしよっかな?」
 梓は意味ありげに片目をつむって俺を見た。
「……分かった。今日から心の中で呟いてたお前への悪態の量を減らすよ」
「すっごく恨まれてる!? ていうか減らすって、0にはしないの!?」
「もしくは、俺のおごりでお買い物やら食事に付き合います」
「えっ、そ、それって、で、……デートじゃん」
「そんな深く考えず。自分の懐は痛まずに思い切りショッピングを楽しめると考えましょう」
「……そ、そだね。ぜ、贅沢できるなら、たまにはこの髪型にしてあげよっかな?」
「でもよく考えると普段のお前の髪型も好きだし、贅沢されて破産するくらいなら別に以前のままでもいいかと思った」
「何もかも台無しだよ!? ……え、ていうか普段のボクも好きって……え? ……えええええっ!?」
 梓は顔を真っ赤にして大音量で叫んだ。
「大変にうるさいです。普段のお前が好きではなく、普段のお前の髪型も嫌いではない、と言ったのです」
「な、なんだ……びっくりした」
「俺もお前の声の音量にびっくりして失禁した」
「お爺ちゃんかっ!」
「将来的には」
「そーゆーことじゃなくて! ……あ、そーだ。それよりさ、いつもの髪型に戻すってことはさ、今日のデートは……?」
「デートじゃないって自分で言ってたろ」
「デートじゃないけど、デートじゃないけど! なんかそーゆーのあったじゃん! それはどーなったの?」
「当然、キャンセル」
「そ、そんなぁ……」
 目に見えて梓が落ち込んだ。肩が地面まで落ちそうだ。
「そんな贅沢したかったのか」
「違うよ、タカシと一緒にいた……そそそそそうっ! 贅沢したかったの!」
「…………」
 なんつーか、こいつは、計算じゃないのがずるい。
「や、やー、すっごくお金使いたかったのになー? 残念だなー?」
「……いやはや。うん、それなら放課後遊びましょうか」
「ホントにっ!?」
「本当に」
「やたっ! えへへっ、たーっくさん奢ってもらうから、覚悟しろよ?」
 ニコニコと嬉しそうな顔をしてる梓の頭で、小さく揺れるツインテールだった。

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