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2026年03月21日
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【ハナ 七夕】
2010年01月27日
この世界には奇跡という代物があるらしく、こんな俺にも彼女ができた。たぶんこれで運尽きた。
「そんなわけで、以後とんでもない災難に遭う事間違いないので、そのバヤイは俺を助けてくれると幸いです」
「はや……わ、分かりました。頑張ります。今日から筋トレします」
などと一生懸命にコクコクうなずく彼女のハナ。
「ほう、腕立てできるようになったのか! 凄いぞ、ハナ!」
「……ま、まだです」
やはり心配なので、もし災難に遭ったら自力で頑張ることにした。
「まあそんな戯言はどうでもよくて、ハナさん」
「は、はひ! ……はい、なんですか?」
「噛んだことをなかったことにしたハナに聞くが、七夕ですな」
そう、今日は七夕なんだ。何日か過ぎてるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ。ちうことで、うちの庭でハナと一緒に竹につける短冊を書いている。
「そ、そですね。……あ、あの、彰人くんは何をお願いしたんですか?」
「彰人? 誰?」
「……わ、私の大好きな人です」
軽くボケたら、ハナったら符長彰人たる俺の腕をちょこんとつまんで顔を真っ赤にしてうつむいたりして。そんなの、俺も赤くならざるを得ないじゃないか。
「う、うー……ええい! 照れくさい! たあっ!」
「やあっ、お、おでこ出さないでくださいー!」
ハナの前髪を両手であげ、おでこ全開にする。ハナは半泣きでじたじたした。
ハナは普段前髪を下ろしており、おでこはおろか目の半ばまで隠している。なんだか知らないがそこを露出されるのを大変嫌がっており、こうしておでこ丸出しにされると大変恥ずかしがる。
まあ、あまりやっても仕方ない。手を離すと、ハナはすすーっと離れて髪を整えた。
「うー……恥ずかしいからやめてほしいって言ってるのに。彰人くんのばか。嫌いです。……嘘です。好きです」
ハナは再びこちらに寄ってきて俺の服の裾をつまみ、前髪の隙間から俺を見つめた。
「いちいち動作が可愛いのは作戦ですか」
「……? よく分かりませんが、もうおでこ出すのダメです。そんなのされたら、彰人くんを嫌いになってしまいます。……嘘です。無理です」
「えい」
「やー! おでこやー!」
あんまりにも可愛かったので、もう一度おでことこんにちは。
そのようなことを数回に渡ってやった結果、ようやっと満足した。
「短冊に追加しておきます。『彰人くんが私のおでこに興味をなくしますように』って」
「無理だ」
「即答ですよ……」
なんかがっかりしてるハナの頭をなでなでしてから、改めて自分の短冊を見る。
「それで、彰人くんはどんなお願いをしたんですか?」
「ハナが俺のことを好きになってくれますようにって」
「……も、もう叶ってます」
ハナは俺の服の裾をちょこんとつまみ、顔を伏せた。ええい。
「……? 彰人くん、どして鼻を押さえてるんですか?」
「あー、気にしないでもらうと助かる」
「はぁ……よく分からないですけど、分かりました。気にしません」
「うん、助かる。ええと……そうな。それじゃ、人前でもイチャイチャできますようにって短冊に書く」
「……む、無理です。倒れます。でででも、彰人くんがそうしたいなら頑張ります。今日から鍛えます。筋トレします」
「腕立て何回できる?」
「……ぜろ、です」
可愛く握りこぶしを作ったと思ったら、もう意気消沈して肩を落とした。
「まあ気にするな。筋トレしても羞恥心は消えないだろうし」
「しゅ、しゅーちしーん、しゅーちしーん」
ハナは数ヶ月前テレビでよく見た振り付けをして俺を固めた。
「……え、えと、ごめんなさい。なんでもないです」
自分の行為がどういうものだったか俺の反応を見て悟ったのか、ハナは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「……え、あ、えーと。うん。可愛い可愛い」
どんなリアクションが最適か分からなかったので、とりあえず適当に褒めてハナの頭をくりくりなでる。
「な、なしです。さっきのなしです。短冊に書きます、さっきのなしって」
「じゃあ俺はさっきのを未来永劫記憶に残りますようにって書く」
「あ、彰人くんひどいですあんまりですいじわるです!」
「わはは」
ひとしきり笑ってから、ハナと一緒に短冊を竹に飾る。
「あ。彰人くん、これ」
「ん? ……うあ」
ハナが見せてくれたのは、俺が書いた短冊のひとつだった。
「『ハナがいつも幸せでありますように』……ですか?」
「いや、俺には『ハナが巨乳になりますように』って見える」
「……どーせ小さいです。じゃなくて、あの、これ……?」
「や、まあ、そのー、願うだけならタダだし、いいじゃん。そんな掘り下げる話題じゃないからとっとと吊るすべきではなかろうか!」
奪うようにハナから短冊を取り、竹に取り付ける。くるりと振り返ると、ハナのはにかんだような笑顔が待っていた。
「……一緒、です」
そう言うハナの手にある短冊には、『彰人くんがずっと幸せでありますように』って──
「は、恥ずかしい奴め。ていうか、自分の幸せ願え、バカ」
「そんなの、私の幸せ願ってる彰人くんに言われたくありません」
ぐうの音も出ずに突っ立ってる俺の横を通り過ぎ、ハナはさっき俺が吊るした短冊の隣に自分の短冊を吊るした。
「よし……っと。これで、二人一緒にずっと幸せです」
くるっと振り返り、ハナはその名の通り花のような笑顔を咲かせた。
「そんなわけで、以後とんでもない災難に遭う事間違いないので、そのバヤイは俺を助けてくれると幸いです」
「はや……わ、分かりました。頑張ります。今日から筋トレします」
などと一生懸命にコクコクうなずく彼女のハナ。
「ほう、腕立てできるようになったのか! 凄いぞ、ハナ!」
「……ま、まだです」
やはり心配なので、もし災難に遭ったら自力で頑張ることにした。
「まあそんな戯言はどうでもよくて、ハナさん」
「は、はひ! ……はい、なんですか?」
「噛んだことをなかったことにしたハナに聞くが、七夕ですな」
そう、今日は七夕なんだ。何日か過ぎてるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ。ちうことで、うちの庭でハナと一緒に竹につける短冊を書いている。
「そ、そですね。……あ、あの、彰人くんは何をお願いしたんですか?」
「彰人? 誰?」
「……わ、私の大好きな人です」
軽くボケたら、ハナったら符長彰人たる俺の腕をちょこんとつまんで顔を真っ赤にしてうつむいたりして。そんなの、俺も赤くならざるを得ないじゃないか。
「う、うー……ええい! 照れくさい! たあっ!」
「やあっ、お、おでこ出さないでくださいー!」
ハナの前髪を両手であげ、おでこ全開にする。ハナは半泣きでじたじたした。
ハナは普段前髪を下ろしており、おでこはおろか目の半ばまで隠している。なんだか知らないがそこを露出されるのを大変嫌がっており、こうしておでこ丸出しにされると大変恥ずかしがる。
まあ、あまりやっても仕方ない。手を離すと、ハナはすすーっと離れて髪を整えた。
「うー……恥ずかしいからやめてほしいって言ってるのに。彰人くんのばか。嫌いです。……嘘です。好きです」
ハナは再びこちらに寄ってきて俺の服の裾をつまみ、前髪の隙間から俺を見つめた。
「いちいち動作が可愛いのは作戦ですか」
「……? よく分かりませんが、もうおでこ出すのダメです。そんなのされたら、彰人くんを嫌いになってしまいます。……嘘です。無理です」
「えい」
「やー! おでこやー!」
あんまりにも可愛かったので、もう一度おでことこんにちは。
そのようなことを数回に渡ってやった結果、ようやっと満足した。
「短冊に追加しておきます。『彰人くんが私のおでこに興味をなくしますように』って」
「無理だ」
「即答ですよ……」
なんかがっかりしてるハナの頭をなでなでしてから、改めて自分の短冊を見る。
「それで、彰人くんはどんなお願いをしたんですか?」
「ハナが俺のことを好きになってくれますようにって」
「……も、もう叶ってます」
ハナは俺の服の裾をちょこんとつまみ、顔を伏せた。ええい。
「……? 彰人くん、どして鼻を押さえてるんですか?」
「あー、気にしないでもらうと助かる」
「はぁ……よく分からないですけど、分かりました。気にしません」
「うん、助かる。ええと……そうな。それじゃ、人前でもイチャイチャできますようにって短冊に書く」
「……む、無理です。倒れます。でででも、彰人くんがそうしたいなら頑張ります。今日から鍛えます。筋トレします」
「腕立て何回できる?」
「……ぜろ、です」
可愛く握りこぶしを作ったと思ったら、もう意気消沈して肩を落とした。
「まあ気にするな。筋トレしても羞恥心は消えないだろうし」
「しゅ、しゅーちしーん、しゅーちしーん」
ハナは数ヶ月前テレビでよく見た振り付けをして俺を固めた。
「……え、えと、ごめんなさい。なんでもないです」
自分の行為がどういうものだったか俺の反応を見て悟ったのか、ハナは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「……え、あ、えーと。うん。可愛い可愛い」
どんなリアクションが最適か分からなかったので、とりあえず適当に褒めてハナの頭をくりくりなでる。
「な、なしです。さっきのなしです。短冊に書きます、さっきのなしって」
「じゃあ俺はさっきのを未来永劫記憶に残りますようにって書く」
「あ、彰人くんひどいですあんまりですいじわるです!」
「わはは」
ひとしきり笑ってから、ハナと一緒に短冊を竹に飾る。
「あ。彰人くん、これ」
「ん? ……うあ」
ハナが見せてくれたのは、俺が書いた短冊のひとつだった。
「『ハナがいつも幸せでありますように』……ですか?」
「いや、俺には『ハナが巨乳になりますように』って見える」
「……どーせ小さいです。じゃなくて、あの、これ……?」
「や、まあ、そのー、願うだけならタダだし、いいじゃん。そんな掘り下げる話題じゃないからとっとと吊るすべきではなかろうか!」
奪うようにハナから短冊を取り、竹に取り付ける。くるりと振り返ると、ハナのはにかんだような笑顔が待っていた。
「……一緒、です」
そう言うハナの手にある短冊には、『彰人くんがずっと幸せでありますように』って──
「は、恥ずかしい奴め。ていうか、自分の幸せ願え、バカ」
「そんなの、私の幸せ願ってる彰人くんに言われたくありません」
ぐうの音も出ずに突っ立ってる俺の横を通り過ぎ、ハナはさっき俺が吊るした短冊の隣に自分の短冊を吊るした。
「よし……っと。これで、二人一緒にずっと幸せです」
くるっと振り返り、ハナはその名の通り花のような笑顔を咲かせた。
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【ツンデレと二人のとき、たまたま通り過ぎた赤ちゃん連れを見て「子供かわいいな」って言ったら】
2010年01月27日
みことと一緒に帰宅してると、前からベビーカーを押した夫婦がゆっくり歩いてきた。誰もが笑っていて、見ているだけで幸せになりそうな光景に思わず頬が緩む。
「ほう、珍しいな」
夫婦が通り過ぎるのを待っていたのか、みことがそんなことを言った。
「どういうことですか」
「いや、貴様は基本的に無表情だし、何か感情を表す時は妙に芝居がかっているというか……そう、胡散臭いからな。そういう自然な微笑みは稀少だという話だ」
客観的に見ると、俺は結構アレかもしれない。気をつけよう。ていうか胡散臭いて。
「いくら俺がアレとはいえ、子供を見れば可愛さのあまり笑ったりしますよ。子供って可愛いよね」
「……貴様の場合、違った意味だろう」
「もちろんそっちの意味も含みます」
「コイツ最悪だっ!」
しゅばっと後ずさって距離を取り、みことは携帯を取り出した。
「待ってノー警察! 大丈夫、YESロリコン、NOタッチですから!」
「そんなLOな奴信じられるか!」
なぜ知っている。……さては、この間俺の家に来た時に勝手に読んだな。隠してたのに!
「と、とにかく、落ち着け。落ち着いて携帯を元のポケットに戻すんだ」
「嫌だ。もし戻したりしたら、次の瞬間には私に襲い掛かるだろう? ……私は貴様の大好きな幼児体型だからなっ! 胸がなくて何が悪い!?」
「んなこと一言も申してませんが、幼児体型は俺の心の琴線に触れまくるので大好きです。こう、ぺたーんって最高だよね!」
「ほらみろ、襲う気だ!」
「しまった、誘導尋問か! ずるいぞ!」
「ひとつも誘導していないっ!」
なんだか分からないうちにみことを襲うことが決定付けられてしまった。困ったなあ。
「いいか、少しでも私に触れたら即通報するからな!」
「分かったよ……二度とお前みたいな貧相な体つきの奴なんかには触らないよ」
「気分悪いわっ! 言い直せ!」
文句が多いです。
「ええと……本当はみことを触りたいけど、みことが嫌だって言うなら我慢するよ。こんな苦しいなら死んだほうがマシかもしれない。いや、マシに違いない。俺を殺せ!」
「落ち着けっ!」
思わず車道に飛び出そうとしたところをみことに後ろから抱きしめられ、九死に一生を得る。
「はーっ……はーっ……どういうことだっ!?」
「言ってるうちに自分の言葉に洗脳された。ままならぬ」
心底呆れたようにみことはため息をついた。
「お前は……本当にアレだな」
代名詞にこれほど心をえぐられるとは思わなかった。
「ところで、これはいいのでせうか」
さっき車道に飛び出そうとした俺を押し留めるため、みことの腕が俺のお腹に巻きついています。
「ん? ……こっ、これは、ええとっ、そ、その……ど、どうしよ?」
「俺に聞くな。だがしかし、妙案が思いついたので言う。みことから俺に触るのはおーけーということにしてはいかがかな?」
「そっ、そうっ、それっ! それだからおーけーだ!」
「でも結局は俺も触ってるからダメだと思う」
「一気に言い切れっ!」
怒りながらも、みことは俺から離れようとはしなかった。
「ところでだな、みことさん。この体勢はみことのちっぱいを背中に感じ取れて大変喜ばしいのですが、何しろ動きにくいので手を繋ぐ方向に変換してはどうだろう」
「……こっ、この、イチイチ失礼な奴だな……」
「こう、このように」
みことの腕を離させ、その手をきゅっと握る。
「こうすれば、自由な上に二人とも幸せかと」
「あ、うん。……じゃないっ! なっ、なんで私が貴様と手を繋いで幸せなのだっ!?」
「みことはどうか知らんが、俺は幸せ」
「え、あ、う……え、ええいっ、笑うな、そういう優しい笑顔見せるなーっ!」
「そう言われても」
「う、うぐ……わ、分かった。特別に手を握るのは許可してやろう。だが、これ以上はナシだぞ! いいな!?」
「押すなよ、絶対押すなよ!」
「ダチョウ倶楽部じゃないっ! 別にフリでもなんでもないんだぞっ!?」
「まあ、続きはおうちに帰ってから」
「待て引っ張るな、貴様また私を部屋に連れ込んでずっと抱っこするつもりだろ!? そんなの許さんからな!」
なんかぎゃーぎゃー言ってるみことと一緒に帰りました。
「ほう、珍しいな」
夫婦が通り過ぎるのを待っていたのか、みことがそんなことを言った。
「どういうことですか」
「いや、貴様は基本的に無表情だし、何か感情を表す時は妙に芝居がかっているというか……そう、胡散臭いからな。そういう自然な微笑みは稀少だという話だ」
客観的に見ると、俺は結構アレかもしれない。気をつけよう。ていうか胡散臭いて。
「いくら俺がアレとはいえ、子供を見れば可愛さのあまり笑ったりしますよ。子供って可愛いよね」
「……貴様の場合、違った意味だろう」
「もちろんそっちの意味も含みます」
「コイツ最悪だっ!」
しゅばっと後ずさって距離を取り、みことは携帯を取り出した。
「待ってノー警察! 大丈夫、YESロリコン、NOタッチですから!」
「そんなLOな奴信じられるか!」
なぜ知っている。……さては、この間俺の家に来た時に勝手に読んだな。隠してたのに!
「と、とにかく、落ち着け。落ち着いて携帯を元のポケットに戻すんだ」
「嫌だ。もし戻したりしたら、次の瞬間には私に襲い掛かるだろう? ……私は貴様の大好きな幼児体型だからなっ! 胸がなくて何が悪い!?」
「んなこと一言も申してませんが、幼児体型は俺の心の琴線に触れまくるので大好きです。こう、ぺたーんって最高だよね!」
「ほらみろ、襲う気だ!」
「しまった、誘導尋問か! ずるいぞ!」
「ひとつも誘導していないっ!」
なんだか分からないうちにみことを襲うことが決定付けられてしまった。困ったなあ。
「いいか、少しでも私に触れたら即通報するからな!」
「分かったよ……二度とお前みたいな貧相な体つきの奴なんかには触らないよ」
「気分悪いわっ! 言い直せ!」
文句が多いです。
「ええと……本当はみことを触りたいけど、みことが嫌だって言うなら我慢するよ。こんな苦しいなら死んだほうがマシかもしれない。いや、マシに違いない。俺を殺せ!」
「落ち着けっ!」
思わず車道に飛び出そうとしたところをみことに後ろから抱きしめられ、九死に一生を得る。
「はーっ……はーっ……どういうことだっ!?」
「言ってるうちに自分の言葉に洗脳された。ままならぬ」
心底呆れたようにみことはため息をついた。
「お前は……本当にアレだな」
代名詞にこれほど心をえぐられるとは思わなかった。
「ところで、これはいいのでせうか」
さっき車道に飛び出そうとした俺を押し留めるため、みことの腕が俺のお腹に巻きついています。
「ん? ……こっ、これは、ええとっ、そ、その……ど、どうしよ?」
「俺に聞くな。だがしかし、妙案が思いついたので言う。みことから俺に触るのはおーけーということにしてはいかがかな?」
「そっ、そうっ、それっ! それだからおーけーだ!」
「でも結局は俺も触ってるからダメだと思う」
「一気に言い切れっ!」
怒りながらも、みことは俺から離れようとはしなかった。
「ところでだな、みことさん。この体勢はみことのちっぱいを背中に感じ取れて大変喜ばしいのですが、何しろ動きにくいので手を繋ぐ方向に変換してはどうだろう」
「……こっ、この、イチイチ失礼な奴だな……」
「こう、このように」
みことの腕を離させ、その手をきゅっと握る。
「こうすれば、自由な上に二人とも幸せかと」
「あ、うん。……じゃないっ! なっ、なんで私が貴様と手を繋いで幸せなのだっ!?」
「みことはどうか知らんが、俺は幸せ」
「え、あ、う……え、ええいっ、笑うな、そういう優しい笑顔見せるなーっ!」
「そう言われても」
「う、うぐ……わ、分かった。特別に手を握るのは許可してやろう。だが、これ以上はナシだぞ! いいな!?」
「押すなよ、絶対押すなよ!」
「ダチョウ倶楽部じゃないっ! 別にフリでもなんでもないんだぞっ!?」
「まあ、続きはおうちに帰ってから」
「待て引っ張るな、貴様また私を部屋に連れ込んでずっと抱っこするつもりだろ!? そんなの許さんからな!」
なんかぎゃーぎゃー言ってるみことと一緒に帰りました。
【迷子になったツンデレからきたメールの内容とは?】
2010年01月26日
みことと一緒に街まで遊びに来たのに、気がつけばひとり。
ははぁこれは知らない間にみことを傷つけてしまい、俺に愛想をつかして一人帰ってしまったのだなあと視界を滲ませていると、携帯がぶりゅりゅと震えた。こんな一大事に誰だと思ったら、みことだ。
慌ててメールを開くと、『どこへ行った馬鹿。早く来い馬鹿。私を一人にするとは何事だ馬鹿。ここはどこだ馬鹿』と、馬鹿まみれな文面が並んでいた。
とりあえずみことに電話する。1コールで出た。
『早く連絡しろっ!』
「や、そう言われても。それより大丈夫か? 一人で泣いてないか?」
『子供扱いするなっ! ……ぐすっ、泣いてなどいない!』
泣いてるじゃん。
「まあもう大丈夫からだ安心しろ。それで、今どこにいるんだ?」
『……ビルが並んでる』
「いや、もうちょっと分かりやすい場所を指定してくれるとありがたいんだが」
『ええと……車が走ってる。あ、バイクも!』
ダメだ。説明が下手すぐる。方向音痴間違いねぇ。
『どうだ? 分かったか? すぐ来てくれるか?』
「いや、もうちょっと情報を……」
『意地悪か!? 普段貴様をなじっている私への意地悪か!? 分かってるのに分かってないフリをするなんて……卑怯な奴め!』
「いや、普通に分からないだけです。それより、近くに店がないか調べろ。店名が分かれば場所を特定できそうなんだが……」
『店など……あ、コンビニがある。いれぶんぴーえむ? とかいう店名だ。……コンビニなのに24時間営業じゃないのか? 怠慢だな』
コンビニは……どこにでもあるしなぁ。うーん。
『どうだ? 分かったか? 早く迎えに来い』
「他に店は?」
『また店か! そんなに店が好きなら店と結婚しろ!』
いや、どんなキレ方だ。
「結婚はみこととする予定なので辞退させていただくとして、他に店はないか?」
『わっ、わわわわわ私と!? そっ、そんなの聞いてないぞ!?』
「いーから店。探せ」
『うう……え、ええとだな、青空書店という店がある』
「あ、そこは知ってる。よし、その店でじっとしてろ。すぐ迎えに行く」
『そっ、そうか! ……あ、言っておくがな、私は迷子になったんじゃないぞ? 貴様の危機管理能力と索敵能力を測ったまでで』
「黙らないとこのまま帰る」
『待ってるからなっ!』
それだけ言い残して、みことは通話を切った。さて、行くか。
数分後、店先で不安そうな顔をしてきょろきょろしてるみことを発見した。よし、せっかくなので驚かそう。そーっと後ろから忍び寄り、黙って肩に手を置く。
「ひょわあああ!?」
飛び上がらんばかりに驚くみことの声に驚いた店内の爺さん店主が入れ歯を客に発射していた。すまない、客!
「や、悪い悪い。俺だ俺」
「う……ふ、う……?」
みことはへたりとその場に座り込み、状況が分かっていないのか俺を見て何か言っていた。
「大丈夫か? 立てるか?」
「う……? ……! き、貴様、不意打ちとは卑怯だぞ! どういうつもりだ!」
ようやっと目が覚めたのか、みことは俺にまくし立てた。
「不安そうな顔してるみことが大変可愛くて、つい。ごめんね」
「だっ、誰が不安そうか! そも、貴様が私から目を離さなければこんなことにはならなかったのだ!」
「幼子か」
「誰が幼子かっ! いいか、繰り返すがこれは迷子じゃないぞ!? 貴様の危機管理能力と」
「へーへー。分かったから帰ろうぜ。なんか疲れた」
「……う、うむ」
みことの頭に手を乗せ、ぐりぐりとなでると途端に大人しくなった。
「……な、なあ、皆には私が迷子になったこと黙っていろよ?」
その帰路、不意にみことが口を開いた。
「それは構わないが……迷子って認めるのか? いや、俺は最初から頑なに迷子だと信じているけど」
「信じるなっ! 便宜上迷子という単語を使ったまでだっ! 実際は貴様がいざという時動けるかどうか試しただけだからなっ!」
「へーへー。で、なんでまた迷子なんかになったんだ?」
「……だって、犬が」
「犬?」
「散歩してる可愛い犬がいたからふらふらついていったら一人になっていたのだ! 悪いかっ!」
「幼子か」
「違うと言ってるだろうっ!」
ぎゃーぎゃー叫ぶみことの頭をなでて大人しくさせる俺だった。
ははぁこれは知らない間にみことを傷つけてしまい、俺に愛想をつかして一人帰ってしまったのだなあと視界を滲ませていると、携帯がぶりゅりゅと震えた。こんな一大事に誰だと思ったら、みことだ。
慌ててメールを開くと、『どこへ行った馬鹿。早く来い馬鹿。私を一人にするとは何事だ馬鹿。ここはどこだ馬鹿』と、馬鹿まみれな文面が並んでいた。
とりあえずみことに電話する。1コールで出た。
『早く連絡しろっ!』
「や、そう言われても。それより大丈夫か? 一人で泣いてないか?」
『子供扱いするなっ! ……ぐすっ、泣いてなどいない!』
泣いてるじゃん。
「まあもう大丈夫からだ安心しろ。それで、今どこにいるんだ?」
『……ビルが並んでる』
「いや、もうちょっと分かりやすい場所を指定してくれるとありがたいんだが」
『ええと……車が走ってる。あ、バイクも!』
ダメだ。説明が下手すぐる。方向音痴間違いねぇ。
『どうだ? 分かったか? すぐ来てくれるか?』
「いや、もうちょっと情報を……」
『意地悪か!? 普段貴様をなじっている私への意地悪か!? 分かってるのに分かってないフリをするなんて……卑怯な奴め!』
「いや、普通に分からないだけです。それより、近くに店がないか調べろ。店名が分かれば場所を特定できそうなんだが……」
『店など……あ、コンビニがある。いれぶんぴーえむ? とかいう店名だ。……コンビニなのに24時間営業じゃないのか? 怠慢だな』
コンビニは……どこにでもあるしなぁ。うーん。
『どうだ? 分かったか? 早く迎えに来い』
「他に店は?」
『また店か! そんなに店が好きなら店と結婚しろ!』
いや、どんなキレ方だ。
「結婚はみこととする予定なので辞退させていただくとして、他に店はないか?」
『わっ、わわわわわ私と!? そっ、そんなの聞いてないぞ!?』
「いーから店。探せ」
『うう……え、ええとだな、青空書店という店がある』
「あ、そこは知ってる。よし、その店でじっとしてろ。すぐ迎えに行く」
『そっ、そうか! ……あ、言っておくがな、私は迷子になったんじゃないぞ? 貴様の危機管理能力と索敵能力を測ったまでで』
「黙らないとこのまま帰る」
『待ってるからなっ!』
それだけ言い残して、みことは通話を切った。さて、行くか。
数分後、店先で不安そうな顔をしてきょろきょろしてるみことを発見した。よし、せっかくなので驚かそう。そーっと後ろから忍び寄り、黙って肩に手を置く。
「ひょわあああ!?」
飛び上がらんばかりに驚くみことの声に驚いた店内の爺さん店主が入れ歯を客に発射していた。すまない、客!
「や、悪い悪い。俺だ俺」
「う……ふ、う……?」
みことはへたりとその場に座り込み、状況が分かっていないのか俺を見て何か言っていた。
「大丈夫か? 立てるか?」
「う……? ……! き、貴様、不意打ちとは卑怯だぞ! どういうつもりだ!」
ようやっと目が覚めたのか、みことは俺にまくし立てた。
「不安そうな顔してるみことが大変可愛くて、つい。ごめんね」
「だっ、誰が不安そうか! そも、貴様が私から目を離さなければこんなことにはならなかったのだ!」
「幼子か」
「誰が幼子かっ! いいか、繰り返すがこれは迷子じゃないぞ!? 貴様の危機管理能力と」
「へーへー。分かったから帰ろうぜ。なんか疲れた」
「……う、うむ」
みことの頭に手を乗せ、ぐりぐりとなでると途端に大人しくなった。
「……な、なあ、皆には私が迷子になったこと黙っていろよ?」
その帰路、不意にみことが口を開いた。
「それは構わないが……迷子って認めるのか? いや、俺は最初から頑なに迷子だと信じているけど」
「信じるなっ! 便宜上迷子という単語を使ったまでだっ! 実際は貴様がいざという時動けるかどうか試しただけだからなっ!」
「へーへー。で、なんでまた迷子なんかになったんだ?」
「……だって、犬が」
「犬?」
「散歩してる可愛い犬がいたからふらふらついていったら一人になっていたのだ! 悪いかっ!」
「幼子か」
「違うと言ってるだろうっ!」
ぎゃーぎゃー叫ぶみことの頭をなでて大人しくさせる俺だった。
【ツンデレとデレデレに「暑いからくっつくな」って言ったら】
2010年01月26日
暑いと汗が出るのは新陳代謝が正常に行われている結果なので問題ない。強いて問題を挙げるならば、体がべとつく事くらいだ。
「そういうわけで、以後俺にくっつくことは禁ずる」
「安心してください、頼まれてもくっつきませんから」
などと酷いことを言って俺を半泣きにする委員長は置いといて、もう一人の答えは少し違っていた。
「ぷに?」
ぷに、などと言いながら小首を傾げるちょっと足りない感じのこの少女は、ぷに国というふざけた名前の国から来た留学生のぷに子(命名:俺)だ。
こちらに来た当初、少しだけ面倒を見ていたのだが、その結果何だか知らないがやけに気に入られて現在に至るわけなのだが。
「だから、俺にくっつくのは禁止なの。分かるだろ?」
「ぷにー☆」
ぷに子はニコニコ笑いながら俺に抱きついた。日本語を喋ることは出来なくても理解はできているはずだから、故意犯に違いない。
「ちょ、ぷにちゃん! こんな奴に抱きついたら伝染りますよ!」
「人を保菌者扱いするない」
「ぷにー」
ぷに子をべりばり引き剥がし、委員長は俺をキッと睨んだ。
「まったく……別府くんはもっと節操を持ってください。こんな小さい子に手出すなんて、犯罪ですよ」
「背が低いだけで、同い年です。手も出してません」
「ぷにー!」
ぷに子も委員長に持たれたまま抗議しているようだ。たぶん。
「まあでも丁度いいや。暑いからくっつかれてもアレだし、こんな感じでこの夏は過ごしましょう」
「そうですね。私も全く異論ないです」
「ぷにー!?」
ぷに子だけありそうな感じだったが、気づかないフリ。
「ぷに、ぷにに……ぷにっ!」
「あっ、ぷにちゃん!」
ぷに子は委員長の拘束を自力で解き、俺に抱きついた。
「人の話聞いてたか、ぷに子?」
「ぷにー♪」
「聞いた上での犯行か! なら仕方ない、許容しよう」
「えっ、そんなズル……っ」
委員長方面から妙な声がした。視線をそちらにやるも、委員長は慌てた様子で首を横に振るだけ。
「な、何でもないですよ?」
「なんだ。てっきり委員長も俺に抱きつきたいのかと思った」
「あ、ありえません。どうして私が別府くんなんかに抱きつかなくちゃいけないんですか。別府くんは自意識過剰というより、もやは病気の域に達してます。病院へ行ってください」
「泣くぞ」
「お好きに」
「チクショウ、どうでもいいと思われている! こんな時はぷに子と遊んで楽しくなろう」
「ぷに?」
ぷに子のほっぺを両手で持って、うにーっと引っ張る。
「ぷ、ぷにー……」
しばらく引っ張った後、ぱっと手を離す。
「ぷにっ! ……ぷー、ぷに、ぷにー!」
「ははははは。や、悪い悪い」
抗議のぷに語をぷに子の顔をうにうにすることにより、やり過ごす。
「……いいなぁ」
てっきりもう俺への興味をなくしていたと思われていた委員長が、俺とぷに子のやりとりを見て羨ましそうな顔をしていた。
「委員長も遊びたいか?」
「えっ!? わっ、私はその、別に別府くんにうにうになんてされたくないですっ! でっ、でも、ぷに子ちゃんが可哀想だから、私が代わりになってあげます!」
「……いや、ぷに子と遊びたいか、って聞いたつもりだったんだけど」
自分の間違いを悟ったのか、委員長の顔がゆっくりと赤くなっていく。
「う、ううううう~……別府くんのばかっ!」
「ええっ、俺のせい!?」
「うるさいですっ! 責任取ってください! たあっ!」
掛け声と共に、委員長が俺に飛びついてきた。
「ほら、抱っこです! 抱っこしてください!」
「え、いや、あの、委員長?」
「なんですかっ!?」
「混乱してる?」
「してますっ!」
じゃあ仕方ない。左手でぷに子を、右手で委員長を抱っこする。
「うー……」
「唸るな」
「ぶにー……」
「お前も」
「気持ちよくなんてないですっ!」
「聞いてない」
「ぷにっ! ぷにぷにっ!」
「対抗するな」
「なでなでなんてしてほしくないですっ!」
「ぷにぷにぷにっ!」
軽くため息をついてから、二人の頭をなでなでなで。
「ふ、うふ……」
「ぷに、ぷにー……」
二人は気持ちよさそうに鼻息を漏らした。ぷに子に至っては涎まで足らしているのでやめてほしい。
「ところでお二人さん、暑いからくっつくのはやめていただきたいと言ったのは覚えてますか」
「混乱してるので覚えてませんー……」
「ぷにー……」
なんて都合のいい状態異常だろう、と思いながら委員長の背中をぽんぽんさする。
「それもいいですけど、ぎゅーってしてほしいです。……違います、してほしくないです」
「ぷに、ぷににー」
「いいんだけど……全員汗まみれだし、そろそろお開きにした方が」
「ぎゅー!」
「ぷにー!」
「はい、すいません」
結局解放されたのはそれから一時間後だった。全員脱水症状になりかけてた。
「頭悪すぎだろ、俺ら……」
「わっ、私は悪くありません! 混乱してたんですっ! 悪いのは私たちをたぶらかした別府くんですっ!」
「ぷにー!」
急遽組まれた女性連合により、一方的に悪役にされる俺だった。
「そういうわけで、以後俺にくっつくことは禁ずる」
「安心してください、頼まれてもくっつきませんから」
などと酷いことを言って俺を半泣きにする委員長は置いといて、もう一人の答えは少し違っていた。
「ぷに?」
ぷに、などと言いながら小首を傾げるちょっと足りない感じのこの少女は、ぷに国というふざけた名前の国から来た留学生のぷに子(命名:俺)だ。
こちらに来た当初、少しだけ面倒を見ていたのだが、その結果何だか知らないがやけに気に入られて現在に至るわけなのだが。
「だから、俺にくっつくのは禁止なの。分かるだろ?」
「ぷにー☆」
ぷに子はニコニコ笑いながら俺に抱きついた。日本語を喋ることは出来なくても理解はできているはずだから、故意犯に違いない。
「ちょ、ぷにちゃん! こんな奴に抱きついたら伝染りますよ!」
「人を保菌者扱いするない」
「ぷにー」
ぷに子をべりばり引き剥がし、委員長は俺をキッと睨んだ。
「まったく……別府くんはもっと節操を持ってください。こんな小さい子に手出すなんて、犯罪ですよ」
「背が低いだけで、同い年です。手も出してません」
「ぷにー!」
ぷに子も委員長に持たれたまま抗議しているようだ。たぶん。
「まあでも丁度いいや。暑いからくっつかれてもアレだし、こんな感じでこの夏は過ごしましょう」
「そうですね。私も全く異論ないです」
「ぷにー!?」
ぷに子だけありそうな感じだったが、気づかないフリ。
「ぷに、ぷにに……ぷにっ!」
「あっ、ぷにちゃん!」
ぷに子は委員長の拘束を自力で解き、俺に抱きついた。
「人の話聞いてたか、ぷに子?」
「ぷにー♪」
「聞いた上での犯行か! なら仕方ない、許容しよう」
「えっ、そんなズル……っ」
委員長方面から妙な声がした。視線をそちらにやるも、委員長は慌てた様子で首を横に振るだけ。
「な、何でもないですよ?」
「なんだ。てっきり委員長も俺に抱きつきたいのかと思った」
「あ、ありえません。どうして私が別府くんなんかに抱きつかなくちゃいけないんですか。別府くんは自意識過剰というより、もやは病気の域に達してます。病院へ行ってください」
「泣くぞ」
「お好きに」
「チクショウ、どうでもいいと思われている! こんな時はぷに子と遊んで楽しくなろう」
「ぷに?」
ぷに子のほっぺを両手で持って、うにーっと引っ張る。
「ぷ、ぷにー……」
しばらく引っ張った後、ぱっと手を離す。
「ぷにっ! ……ぷー、ぷに、ぷにー!」
「ははははは。や、悪い悪い」
抗議のぷに語をぷに子の顔をうにうにすることにより、やり過ごす。
「……いいなぁ」
てっきりもう俺への興味をなくしていたと思われていた委員長が、俺とぷに子のやりとりを見て羨ましそうな顔をしていた。
「委員長も遊びたいか?」
「えっ!? わっ、私はその、別に別府くんにうにうになんてされたくないですっ! でっ、でも、ぷに子ちゃんが可哀想だから、私が代わりになってあげます!」
「……いや、ぷに子と遊びたいか、って聞いたつもりだったんだけど」
自分の間違いを悟ったのか、委員長の顔がゆっくりと赤くなっていく。
「う、ううううう~……別府くんのばかっ!」
「ええっ、俺のせい!?」
「うるさいですっ! 責任取ってください! たあっ!」
掛け声と共に、委員長が俺に飛びついてきた。
「ほら、抱っこです! 抱っこしてください!」
「え、いや、あの、委員長?」
「なんですかっ!?」
「混乱してる?」
「してますっ!」
じゃあ仕方ない。左手でぷに子を、右手で委員長を抱っこする。
「うー……」
「唸るな」
「ぶにー……」
「お前も」
「気持ちよくなんてないですっ!」
「聞いてない」
「ぷにっ! ぷにぷにっ!」
「対抗するな」
「なでなでなんてしてほしくないですっ!」
「ぷにぷにぷにっ!」
軽くため息をついてから、二人の頭をなでなでなで。
「ふ、うふ……」
「ぷに、ぷにー……」
二人は気持ちよさそうに鼻息を漏らした。ぷに子に至っては涎まで足らしているのでやめてほしい。
「ところでお二人さん、暑いからくっつくのはやめていただきたいと言ったのは覚えてますか」
「混乱してるので覚えてませんー……」
「ぷにー……」
なんて都合のいい状態異常だろう、と思いながら委員長の背中をぽんぽんさする。
「それもいいですけど、ぎゅーってしてほしいです。……違います、してほしくないです」
「ぷに、ぷににー」
「いいんだけど……全員汗まみれだし、そろそろお開きにした方が」
「ぎゅー!」
「ぷにー!」
「はい、すいません」
結局解放されたのはそれから一時間後だった。全員脱水症状になりかけてた。
「頭悪すぎだろ、俺ら……」
「わっ、私は悪くありません! 混乱してたんですっ! 悪いのは私たちをたぶらかした別府くんですっ!」
「ぷにー!」
急遽組まれた女性連合により、一方的に悪役にされる俺だった。
【休みの男の元に何かと理由をつけて押しかけるツンデレ達】
2010年01月26日
今は夏休み。ここは学生らしく夏を満喫すべくバイトとかして海で女の子たちときゃきゃうふふな生活を! と思ったけど面倒なので自宅でごろごろ。
そんな感じで夏休みを過ごしてたら、ぴんぽーんという音が鳴った。転がりながら受話器に向かおうとして階段を転げ落ちる。
「はい! 痛いです! どなたですか痛いぜコンチクショウ!」
『ぷ、ぷに……』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、ちょっとばかりアレな感じの言葉だった。
『ぷにー!』
しかし、なんか聞き覚えがあるというかなんというか……なんだったかな。
『ぷにちゃん、ちょっと代わって……こほん。私です、委員長です』
「ああなんだ、委員長か。この暑さで頭をやられたんだな」
『違いますっ! 最初に出たのはぷにちゃんですっ! 私がぷにぷに言うはずありませんっ!』
その言葉で思い出した。さっきのぷにぷに言ってた奴はぷに子という奴で、ぷに国とかいう国からの留学生だ。何故か俺を気に入っており、学校では色々楽しく遊んでいるのだが、それはともかく。
「分かったからぷに子に代わってくれ」
『まったくもう……はい、ぷにちゃん。別府くんが代わってくれって』
ややあって、受話器の向こうからぷに子の声が響いてきた。
『ぷに?』
「うす、ぷに子。こんなクソ暑い日に何か用か? あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
『ぷに、ぷにに……ちょっと、そんなつまらないこと言ってる暇があったら私たちを家に上げたらどうなんですか?』
「ぷに子が突如辛らつな言葉を!?」
『私です、委員長です!』
「これはこれはご丁寧に、別府タカシと申します」
『そんなのどうでもいいから、早く入れなさいっ!』
これ以上からかうとインターホンを破壊されかねないので、素直に家に招き入れる。
「ぷにー♪」
まず最初に目に飛び込んだのは、ぷに子だ。ぷにぷに言いながら俺に抱きついてくれるのは嬉しいが、割と汗びっちょりで大変。
「あっ、またぷにちゃんに抱きついたりして! やめなさい、この変態!」
そして次に現れたのが、俺を変質者扱いする委員長だ。休みだってのに制服姿なのは、俺へのサービスなのだろうか。
「委員長、確かに俺は制服フェチなのでその格好は大変嬉しい。そこで、次来る時はパワーアップしてスク水とかどうだろう」
「別府くんを喜ばせるために着てるんじゃありませんっ! 校則にあるでしょう、『休日でも、外出時は制服か年齢に相応しい服に限る』って!」
「既に形骸化してると思うぞ、その校則。何年前にできた校則だ」
委員長と話しながら、ぷにぷに言いながら俺をよじ登ろうとするぷに子を抱っこして動けなくする。
「生徒手帳に載ってるから、まだ有効ですっ!」
「はいはい、分かったよ。あんまギャンギャンわめくな」
「なんですってえ!?」
「ごめんなさい俺が悪かったです」
とても怖かったので土下座して謝る。
「ぷぎゅー」
俺と床に挟まれ、ぷに子がつぶれていた。
「それで、今日は何か用なのか? ……あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
「それ、言わないとダメなんですか?」
「ダメなんだ」
「ダメなのは頭の中だけにしてほしいですね」
「言われてるぞ、ぷに子」
「別府くんに言ってるですっ!」
委員長の迫力に気圧され、ぷに子が怯えていた。
「ぷ、ぷに……」
「はいはい、怖くない怖くない。んで、実際のところなんなんでせうか」
ぷに子の頭をなでて落ち着かせてから、委員長に改めて問い直す。
「……いいなぁ」
「委員長?」
「……え、あ、な、なんでもないですっ!」
とてもそうは思えなかったが、激しく手を振ってる委員長を見てると、それ以上何も言えなくなってしまったので、手で話を促す。
「え、えっとですね、ぷにちゃんが別府くんと遊びたいって言いまして、それで別府くんの家を知ってる私が案内をですね」
「なるほど。しかし、よくぷに子のぷに語が分かったな」
俺はぷに子の表情とジェスチャーと雰囲気で当てるのだが、委員長もそうなのだろうか。
「筆記というものがあります」
してやられた。悔しいのでさっきと同じようにぷに子をつぶす。
「ぷきゅ」
「やめなさいっ! まったくもう、こんな小さい子をいじめて……」
つぶれぷに子を奪い、委員長は俺を叱った。
「いじめるだなんて人聞きの悪い。一緒に遊んでるだけだ」
「……そうなの、ぷにちゃん?」
「ぷに、ぷにー」
ぷに子は手をぱたぱたさせてぷにぷに言った。うむ、全く分からん。
「違うって言ってるわよ!」
「いや、遊んでると言っているのではないだろうか」
ただ、合否を判定できる人間がここにはいないのでフィーリングで決めるしかない。
「まあどうでもいいや……それでぷに子、俺様と遊びたいということは着床の覚悟はあるのだな」
委員長が鬼の形相で僕の顔を握り締めます。
「痛い痛い痛いっ! 脳が、脳があっ!」
「ぷにちゃんの純潔は私が守りますっ!」
「冗談、冗談です! ですからお願い助けてぇ!」
「冗談にしても品がなさすぎですっ!」
必死に謝り、どうにか難を逃れる。やれやれ、どうして自宅で死にかけなければならないのか。
「ぷに?」
頭をさすってると、ぷに子が寄ってきて俺の服をくいくい引っ張った。
「ん? ああ、着床とはお前の子宮に俺の精子が」
「説明しなくていいですっ!」
またアイアンクローされた。あまりの苦しさにどっすんばったん転げまわるが、委員長の手が離れたのはそれから数分の後だった。もげるかと思った。
「ぷにー……」
「ぷにちゃんも! 確認しなくていいですっ!」
自分の下半身をしげしげと眺めてるぷに子にも怒鳴る委員長だった。
「怖いね」
「ぷにー」
部屋の隅っこに移動し、ぷに子と二人で委員長に怯えて震える。
「誰のせいですかっ、誰のっ! まったく、私だって好きで怒ってるんじゃないです!」
「そう怒るなよ、いいんちょ」
「い、いいんちょってゆーな!」
何故かは知らないが、委員長はいいんちょと短く呼ばれるのを嫌う。一緒だと思うんだけど、委員長の中では譲れない何かがあるのだろう。
「呼ばないから、委員長も一緒に遊びましょう」
「わ、私はぷにちゃんを案内しただけで、別に別府くんと一緒に遊びたくなんてありません」
「そう言うなよ。ぷに子もきっと一緒に遊びたがってるぞ」
「ぷにー、ぷににー」
俺の言葉に同意するように、ぷに子がぷにぷに言い出した。
「……ま、まあ、そこまで言うならやぶさかでもないです。べ、別に私が別府くんと遊びたいんじゃないですからねっ!?」
「分かってるよ。さて、それじゃ何するかな……」
「ぷにー」
何かゲームでも、とゲームを置いてる棚を見てると、ぷに子が俺の膝に座った。
「ぷに子さん、そこに座られると移動できないのですが」
「ぷーににー♪」
しかし、人の話なんて聞いちゃいないのか、ぷに子はご機嫌な様子で俺に背中を預けた。
「ふむ。可愛いからいいか!」
「ぷにー☆」
膝の上で微笑むぷに子のほっぺをうにうにする。
「ぷにに、ぷにー」
「ちょっと、ぷにちゃん嫌がってるでしょ!」
そんなそぶりはまるでなかったと思ったが、委員長がぷに子を抱きかかえて俺から奪ってしまった。
「ぷにー、ぷにー!」
ぷに子も両手をぐいーっと伸ばし、俺に再び抱きつこうとしている。
「委員長、嫌がってないと思ったんだけど……」
「い、嫌がっていようとなくても、男女が無闇やたらにくっつくのはよくないです! 男女七歳にして席を同じくせずと言いますし!」
「さすがいいんちょ、博識だな」
「ほ、褒めても何も出ませんよ。ていうか、いいんちょってゆーな!」
「ぷにんにょ」
「ぷ、ぷにちゃんも言わなくていいです!」
照れる委員長が可愛かったので、ぷに子に続けて俺も言う。
「そう言うなよ、いいんちょ」
「ぷにんにょ」
「だっ、だから、いいんちょってゆーな!」
「げぎゃっ」
ぷに子と二人で言ったのに、俺だけが殴り飛ばされた。
「ぷにー、ぷににー!」
「あー……大丈夫だ、ぷに子。まだ生きてる」
床に倒れてぐったりしてる俺を心配してゆさゆさと揺するぷに子を安心させるため、笑いかける。
「わ、私は悪くないです。嫌だって言ってるのに、あんなこと言う別府くんが悪いんです」
「軽い冗談だろーが……あいたた」
「そ、そうやって私の罪悪感をチクチク攻める作戦ですか。別府くんはやり口がイチイチ卑怯です」
「卑怯も何も、実際にお前に殴られた箇所が痛いからしょうがないだろ」
「男の子なんですから、我慢してください」
「無茶言いやがって。こうなったらぷに子をつぶして溜飲を下げるしかない」
ぷに子を抱っこし、そのまま前傾姿勢を取りぷに子を潰す。
「ぷぎゅー」
「だから、やめなさいっ!」
「やめてほしければ、代わりに委員長が潰れることだな。はーっはっはっはっは!」
自分で言っておいてなんだが、全く意味が分からない。高笑いも含めて。
「え……そ、そんな、別府くんに抱っこされるなんて……」(ぼそぼそ)
「聞いてるか? おーい、いいんちょ」
「いいんちょってゆーな! ……わ、分かりました。ぷにちゃんのためです、私が身代わりになりましょう!」
そんなことはないのだけど、なんだか悪の権化になったような気分だ。
「そういうことなので、ぷに子は一時退場」
「ぷにー……」
ぷに子はしぶしぶ、といった感じで俺の膝から退いた。そこへ、委員長がゆっくりと座る。
「へ、変なところ触ったら許しませんよ!?」
「腸とか?」
「どうやって触る気ですかっ! お尻とか胸とかです!」
「馬鹿な!? 楽しみの90%が水泡と消えた!」
「そのまま別府くんも消えてください」
とても酷い言葉に深く傷つきながら、委員長を後ろから抱っこする。
「う……」
「あ、強かったか? 悪い悪い」
「へ、へーきです。ただ……」
「ただ?」
「……お、男の人に抱きしめられるなんて、初めてで、その……」
ぬ。そういう可愛いこと言われると、いかん。
「ひゃっ!? な、何かお尻の下に固いのがムクムクって!?」
「熱に反応する棒状の何かが大きくなっただけだよ!? 本当に!」
「ぼうじょう……? ……っ!?」
ばれたっぽい。
「へっ、変態ですっ! 別府くんは確実に変態ですっ!」
「動くなっ! ええい、尻が委員長の柔らかい尻が!」
「ひゃああ!? お尻に棒が、棒がぴたーって!?」
「ぷにーぷにー!」
「ええいっ、どさくさに紛れて抱きつくなぷに子っ!」
もう滅茶苦茶でした。
ややあって。
「うう……汚されました。もうお嫁にいけません」
「人聞きの悪いこと言うなっ!」
「ぷにーぷにー!」
「おまーは抱きついてきただけだろっ! なんでお前も嫁にいけねーんだ!」
叫んでから気づいたが、普通にぷに子の言葉が理解できるようになってるのに少し驚く。将来ぷに語の通訳で食ってけそうだな。
「うー……。責任、取ってください」
「いや、抱っこしただけで、そうなる理由が分かりません」
「ぷに、ぷにに」
「いや、だから」
二人の美少女から迫られる。状況だけ書くと垂涎ものだが、実際に自分の身に降りかかると、これほどの苦難はない。
背中に流れる冷や汗を感じながら、この状況から逃れる術を必死に考える俺だった。
そんな感じで夏休みを過ごしてたら、ぴんぽーんという音が鳴った。転がりながら受話器に向かおうとして階段を転げ落ちる。
「はい! 痛いです! どなたですか痛いぜコンチクショウ!」
『ぷ、ぷに……』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、ちょっとばかりアレな感じの言葉だった。
『ぷにー!』
しかし、なんか聞き覚えがあるというかなんというか……なんだったかな。
『ぷにちゃん、ちょっと代わって……こほん。私です、委員長です』
「ああなんだ、委員長か。この暑さで頭をやられたんだな」
『違いますっ! 最初に出たのはぷにちゃんですっ! 私がぷにぷに言うはずありませんっ!』
その言葉で思い出した。さっきのぷにぷに言ってた奴はぷに子という奴で、ぷに国とかいう国からの留学生だ。何故か俺を気に入っており、学校では色々楽しく遊んでいるのだが、それはともかく。
「分かったからぷに子に代わってくれ」
『まったくもう……はい、ぷにちゃん。別府くんが代わってくれって』
ややあって、受話器の向こうからぷに子の声が響いてきた。
『ぷに?』
「うす、ぷに子。こんなクソ暑い日に何か用か? あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
『ぷに、ぷにに……ちょっと、そんなつまらないこと言ってる暇があったら私たちを家に上げたらどうなんですか?』
「ぷに子が突如辛らつな言葉を!?」
『私です、委員長です!』
「これはこれはご丁寧に、別府タカシと申します」
『そんなのどうでもいいから、早く入れなさいっ!』
これ以上からかうとインターホンを破壊されかねないので、素直に家に招き入れる。
「ぷにー♪」
まず最初に目に飛び込んだのは、ぷに子だ。ぷにぷに言いながら俺に抱きついてくれるのは嬉しいが、割と汗びっちょりで大変。
「あっ、またぷにちゃんに抱きついたりして! やめなさい、この変態!」
そして次に現れたのが、俺を変質者扱いする委員長だ。休みだってのに制服姿なのは、俺へのサービスなのだろうか。
「委員長、確かに俺は制服フェチなのでその格好は大変嬉しい。そこで、次来る時はパワーアップしてスク水とかどうだろう」
「別府くんを喜ばせるために着てるんじゃありませんっ! 校則にあるでしょう、『休日でも、外出時は制服か年齢に相応しい服に限る』って!」
「既に形骸化してると思うぞ、その校則。何年前にできた校則だ」
委員長と話しながら、ぷにぷに言いながら俺をよじ登ろうとするぷに子を抱っこして動けなくする。
「生徒手帳に載ってるから、まだ有効ですっ!」
「はいはい、分かったよ。あんまギャンギャンわめくな」
「なんですってえ!?」
「ごめんなさい俺が悪かったです」
とても怖かったので土下座して謝る。
「ぷぎゅー」
俺と床に挟まれ、ぷに子がつぶれていた。
「それで、今日は何か用なのか? ……あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
「それ、言わないとダメなんですか?」
「ダメなんだ」
「ダメなのは頭の中だけにしてほしいですね」
「言われてるぞ、ぷに子」
「別府くんに言ってるですっ!」
委員長の迫力に気圧され、ぷに子が怯えていた。
「ぷ、ぷに……」
「はいはい、怖くない怖くない。んで、実際のところなんなんでせうか」
ぷに子の頭をなでて落ち着かせてから、委員長に改めて問い直す。
「……いいなぁ」
「委員長?」
「……え、あ、な、なんでもないですっ!」
とてもそうは思えなかったが、激しく手を振ってる委員長を見てると、それ以上何も言えなくなってしまったので、手で話を促す。
「え、えっとですね、ぷにちゃんが別府くんと遊びたいって言いまして、それで別府くんの家を知ってる私が案内をですね」
「なるほど。しかし、よくぷに子のぷに語が分かったな」
俺はぷに子の表情とジェスチャーと雰囲気で当てるのだが、委員長もそうなのだろうか。
「筆記というものがあります」
してやられた。悔しいのでさっきと同じようにぷに子をつぶす。
「ぷきゅ」
「やめなさいっ! まったくもう、こんな小さい子をいじめて……」
つぶれぷに子を奪い、委員長は俺を叱った。
「いじめるだなんて人聞きの悪い。一緒に遊んでるだけだ」
「……そうなの、ぷにちゃん?」
「ぷに、ぷにー」
ぷに子は手をぱたぱたさせてぷにぷに言った。うむ、全く分からん。
「違うって言ってるわよ!」
「いや、遊んでると言っているのではないだろうか」
ただ、合否を判定できる人間がここにはいないのでフィーリングで決めるしかない。
「まあどうでもいいや……それでぷに子、俺様と遊びたいということは着床の覚悟はあるのだな」
委員長が鬼の形相で僕の顔を握り締めます。
「痛い痛い痛いっ! 脳が、脳があっ!」
「ぷにちゃんの純潔は私が守りますっ!」
「冗談、冗談です! ですからお願い助けてぇ!」
「冗談にしても品がなさすぎですっ!」
必死に謝り、どうにか難を逃れる。やれやれ、どうして自宅で死にかけなければならないのか。
「ぷに?」
頭をさすってると、ぷに子が寄ってきて俺の服をくいくい引っ張った。
「ん? ああ、着床とはお前の子宮に俺の精子が」
「説明しなくていいですっ!」
またアイアンクローされた。あまりの苦しさにどっすんばったん転げまわるが、委員長の手が離れたのはそれから数分の後だった。もげるかと思った。
「ぷにー……」
「ぷにちゃんも! 確認しなくていいですっ!」
自分の下半身をしげしげと眺めてるぷに子にも怒鳴る委員長だった。
「怖いね」
「ぷにー」
部屋の隅っこに移動し、ぷに子と二人で委員長に怯えて震える。
「誰のせいですかっ、誰のっ! まったく、私だって好きで怒ってるんじゃないです!」
「そう怒るなよ、いいんちょ」
「い、いいんちょってゆーな!」
何故かは知らないが、委員長はいいんちょと短く呼ばれるのを嫌う。一緒だと思うんだけど、委員長の中では譲れない何かがあるのだろう。
「呼ばないから、委員長も一緒に遊びましょう」
「わ、私はぷにちゃんを案内しただけで、別に別府くんと一緒に遊びたくなんてありません」
「そう言うなよ。ぷに子もきっと一緒に遊びたがってるぞ」
「ぷにー、ぷににー」
俺の言葉に同意するように、ぷに子がぷにぷに言い出した。
「……ま、まあ、そこまで言うならやぶさかでもないです。べ、別に私が別府くんと遊びたいんじゃないですからねっ!?」
「分かってるよ。さて、それじゃ何するかな……」
「ぷにー」
何かゲームでも、とゲームを置いてる棚を見てると、ぷに子が俺の膝に座った。
「ぷに子さん、そこに座られると移動できないのですが」
「ぷーににー♪」
しかし、人の話なんて聞いちゃいないのか、ぷに子はご機嫌な様子で俺に背中を預けた。
「ふむ。可愛いからいいか!」
「ぷにー☆」
膝の上で微笑むぷに子のほっぺをうにうにする。
「ぷにに、ぷにー」
「ちょっと、ぷにちゃん嫌がってるでしょ!」
そんなそぶりはまるでなかったと思ったが、委員長がぷに子を抱きかかえて俺から奪ってしまった。
「ぷにー、ぷにー!」
ぷに子も両手をぐいーっと伸ばし、俺に再び抱きつこうとしている。
「委員長、嫌がってないと思ったんだけど……」
「い、嫌がっていようとなくても、男女が無闇やたらにくっつくのはよくないです! 男女七歳にして席を同じくせずと言いますし!」
「さすがいいんちょ、博識だな」
「ほ、褒めても何も出ませんよ。ていうか、いいんちょってゆーな!」
「ぷにんにょ」
「ぷ、ぷにちゃんも言わなくていいです!」
照れる委員長が可愛かったので、ぷに子に続けて俺も言う。
「そう言うなよ、いいんちょ」
「ぷにんにょ」
「だっ、だから、いいんちょってゆーな!」
「げぎゃっ」
ぷに子と二人で言ったのに、俺だけが殴り飛ばされた。
「ぷにー、ぷににー!」
「あー……大丈夫だ、ぷに子。まだ生きてる」
床に倒れてぐったりしてる俺を心配してゆさゆさと揺するぷに子を安心させるため、笑いかける。
「わ、私は悪くないです。嫌だって言ってるのに、あんなこと言う別府くんが悪いんです」
「軽い冗談だろーが……あいたた」
「そ、そうやって私の罪悪感をチクチク攻める作戦ですか。別府くんはやり口がイチイチ卑怯です」
「卑怯も何も、実際にお前に殴られた箇所が痛いからしょうがないだろ」
「男の子なんですから、我慢してください」
「無茶言いやがって。こうなったらぷに子をつぶして溜飲を下げるしかない」
ぷに子を抱っこし、そのまま前傾姿勢を取りぷに子を潰す。
「ぷぎゅー」
「だから、やめなさいっ!」
「やめてほしければ、代わりに委員長が潰れることだな。はーっはっはっはっは!」
自分で言っておいてなんだが、全く意味が分からない。高笑いも含めて。
「え……そ、そんな、別府くんに抱っこされるなんて……」(ぼそぼそ)
「聞いてるか? おーい、いいんちょ」
「いいんちょってゆーな! ……わ、分かりました。ぷにちゃんのためです、私が身代わりになりましょう!」
そんなことはないのだけど、なんだか悪の権化になったような気分だ。
「そういうことなので、ぷに子は一時退場」
「ぷにー……」
ぷに子はしぶしぶ、といった感じで俺の膝から退いた。そこへ、委員長がゆっくりと座る。
「へ、変なところ触ったら許しませんよ!?」
「腸とか?」
「どうやって触る気ですかっ! お尻とか胸とかです!」
「馬鹿な!? 楽しみの90%が水泡と消えた!」
「そのまま別府くんも消えてください」
とても酷い言葉に深く傷つきながら、委員長を後ろから抱っこする。
「う……」
「あ、強かったか? 悪い悪い」
「へ、へーきです。ただ……」
「ただ?」
「……お、男の人に抱きしめられるなんて、初めてで、その……」
ぬ。そういう可愛いこと言われると、いかん。
「ひゃっ!? な、何かお尻の下に固いのがムクムクって!?」
「熱に反応する棒状の何かが大きくなっただけだよ!? 本当に!」
「ぼうじょう……? ……っ!?」
ばれたっぽい。
「へっ、変態ですっ! 別府くんは確実に変態ですっ!」
「動くなっ! ええい、尻が委員長の柔らかい尻が!」
「ひゃああ!? お尻に棒が、棒がぴたーって!?」
「ぷにーぷにー!」
「ええいっ、どさくさに紛れて抱きつくなぷに子っ!」
もう滅茶苦茶でした。
ややあって。
「うう……汚されました。もうお嫁にいけません」
「人聞きの悪いこと言うなっ!」
「ぷにーぷにー!」
「おまーは抱きついてきただけだろっ! なんでお前も嫁にいけねーんだ!」
叫んでから気づいたが、普通にぷに子の言葉が理解できるようになってるのに少し驚く。将来ぷに語の通訳で食ってけそうだな。
「うー……。責任、取ってください」
「いや、抱っこしただけで、そうなる理由が分かりません」
「ぷに、ぷにに」
「いや、だから」
二人の美少女から迫られる。状況だけ書くと垂涎ものだが、実際に自分の身に降りかかると、これほどの苦難はない。
背中に流れる冷や汗を感じながら、この状況から逃れる術を必死に考える俺だった。


