【ツンデレと新学期】

2010年09月04日
 今日からまた学校なので大変面倒くさい。
「うやー」
「突然先生の頭をわしわしっと!? これはもう確実に別府くんの仕業に違いないです! ……ほら見たことか!」
 かったるいので登校中に発見した珍獣こと大谷先生の頭を後ろからわしわしこねたら、即座にばれた。
「おはよう、先生」
「おはようではないですっ! 先生にする挨拶ではないです! どうして先生の頭をわしわしーってするですか!?」
「だって、先生の胸をわしわしーってしたら冗談では済まないと思って。……いや、まさか冗談で済むと? 先生、ちょっと前向いて」
「絶対に向きませんッ! まったく、別府くんには困ったものです。いや、というよりも、先生に大人の魅力が溢れすぎているのが困りものなのですかね。おっぱいが大きいのも困りものです」
「先生のおっぱいは着脱可能な製品なの?」
「不可能製品ですっ! おっきかったらなーって仮定のお話ですっ! ええそりゃ夏休み前から今に至るまで全くちっとも全然サイズ変わってませんようえーんっ!」
「ああ先生を泣かしてしまった。泣き叫ぶ幼女は嗜虐心をそそっていいなあ」
「幼女じゃありませんし、ちょっとは泣き止ませる努力を見せてほしいし、何より発言がすっごく怖いですっ!」
「実はS気質なんだ」
「そんなの、普段の別府くんを見てればがっつり分かります! 別府くんのいじわる!」
「はいはい。ごめんな、先生」(なでなで)
「いつでも子ども扱いですよぉ……」
「分かったよ、次からは大人扱いするよ」
「……具体的には?」
「名刺渡す」
「すっごく大人っぽいです! はや、でも先生は名刺持ってないから交換できないです……」
「普段から大人大人と言ってるくせにこの体たらく。先生もこの程度か」
「ぐぅぅぅぅ……だってだって、名刺なんて使う機会ないからしょうがないです! わたくし、こーゆーものですとか言ったことないです!」
「わたくし、こーゆーものです」
「先を越されました!? ……あの、なんで握手してるんですか?」
「名刺なんて持ってないから代わりだ」
「やーい、子供ー♪」
 全力で先生の手を握りつぶす。
「はやややや!? 手が、先生の手がみりみりと!?」
「先生の手は柔らくて気持ちいいね」
「こっちはそれどころではないですよ!? 手が、手がみりゃみりゃ言ってます! そして同時に激しい痛みが先生を襲っていますよ!?」
「なんか余裕あるなこの生物」
「ないです、ちっともないです! 痛くて痛くて死にそうです! ぐげー! あ、今死にました! だから手を、手を離してください!」
「先生って基本的に頭が悪い発言多いよね」
「いいから手を、手をー!?」
 いい加減限界っぽかったので、手を離してあげる。先生はすぐさま手を戻し、ふーふー息を吹きかけた。
「ううううう……とっても痛かったです! 別府くんのばか!」
「ごめんな。ただ、俺は先生をいじめたかっただけなんだ。それだけは、どうか信じて欲しい」
「全然いい話じゃないのに、それっぽい雰囲気で騙そうとしてます!?」
「信じた?」
「信じるも何も、最初っから最後まで全力でいじめられてます!」
「分かってるならいいや。じゃ、そろそろ学校行こうか、先生」
「結局一度も謝られてませんっ! そんな酷い生徒と一緒になんて行きません!」
「それにしても、久しぶりに先生に会えて嬉しいよ」
「……で、でもまあ、先生は大人なので、自分より生徒の都合を優先する度量を見せる必要があります。だ、だから、一緒に行ってあげてもいいです……よ?」
「でも、友達に噂とかされると恥ずかしいし」
「自分から誘っておいてまさかのときメモ返しっ!? もう何も信じられませんよ、別府くんのばかーっ!」
「ああ待って待って先生。一緒に行こうよ」
「行きませんっ、絶対に行きませんっ!」
 早足でスタスタと行く先生を追いかけながら、学校へ向かうのだった。

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【ラーメンの味で喧嘩するツンデレ】

2010年05月16日
 とある休日。お腹が空いたので何か食おうと冷蔵庫を漁ったが、何もない。ははぁこれは神がもういい死ねと言っていると悟ったので、無神論者として断固抵抗すべく、外食することにした。
 今日はよい天気だなあと思いながらぷらぷら歩いてると、能天気を具現化したような存在を発見したのでチョップしてみた。
「痛いっ!? 誰ですか、先生の頭にチョップするのは!」
 具現化した存在、即ち担任の大谷先生がわきゃわきゃわめいた。この生物は大人らしいのだが、身長やら精神年齢やら乳やら色々幼く、ロリコンである俺の心をぐらぐらさせる存在なので油断ならない。
「少なくとも俺でないことは確かだ」
「別府くんです! これはもう別府くんがしたに違いないです! ていうか、別府くんがしたという確かな証拠を見つけました!」
「ほう、俺に冤罪を被せるか。面白い、やってみせろ! 異議ありとか言ってやる!」
「今まさに先生の頭に別府くんの手が載ってます! チョップの形のままです!」
「ああ、しまった。今のナシね」
 そそくさと先生の頭から手をどけ、こほんと咳払い。
「い、一体誰が俺の先生の頭にチョップなんてしたんだ! 許さねえぞ!」
「無理がありすぎですっ! 嘘ぱわーが満載です! ……あ、あと、“俺の”ではないです! 先生は先生のものです!」
「後半の台詞に照れが入っているのは何故ですか」
「う、うるさいですっ! 大人には色々あるのですっ!」
「はいはい」(なでなで)
「頭なでないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うがー!」
 先生が怒って威嚇した。
「まあなんでもいいや。こんな昼間っからどしたんだ、先生?」(なでなで)
「ちっとも堪えてないです。依然なでられるがままです。……えっとですね、お昼ご飯をどこかで食べようと思ったんです」
「奇遇だな、俺もなんだ。ここで会ったのも何かの縁だ、奢らせてやってもいいぞ」
「別府くんが信じられないくらい偉そうです! 世が世なら斬り捨て御免ってされても文句言えないです!」
「文明開化が起きててよかったよ。それで、どこで食うんだ?」
「え、あれ、先生が奢るってなってる……?」
「あ、そこのラーメン屋行こう。前食って、うまかったんだ」
「ま、待ってくださいっ! 手握らないでくださいっ! 腕組むのもダメですっ! だからってお姫様抱っこはありえないですよ!?」
 色々文句を言われたので、先生を小脇に抱えて店に入る。
「いらっしゃいま……」
「ほらほら店員さん驚いてますっ! ていうか何より先生が一番驚いてますっ! 先生は鞄じゃないので小脇に抱えないでくださいっ!」
「ジャンバラヤひとつ」
「そんなのありませんっ! いーから下ろしてくださいっ!」
 ぎゃーぎゃーうるさかったので、先生を下ろし、適当なテーブル席に座る。
「ふうっ。全く、別府くんは問題児の中の問題児です。信じられないです」
「unbelievable」
「無駄に発音がいいですよぉ……」
 メニューを見る。この店の売りはこってりとしたスープだ。よし、こってりラーメン、君に決めた!
「先生、決まった?」
「んとですね……はい、いいですよ。じゃ、店員さん呼びますね」
 テーブルに据え付けられているスイッチを先生が押すと、すぐに店員さんがやってきた。
「えっと、チャーハンと、ラーメンのあっさりでお願いします」
「ラーメンのこってり、それとギョーザ」
 注文を聞き、店員さんが厨房に戻っていった。さて、話すべき議題ができた。
「先生、なんでまたあっさりなんて」
「別府くんこそ、なんでこってりなんですか? しつこすぎて死んじゃっても、先生埋めることしかできないですよ?」
「あ、ちょっと待ってくれ。ICレコーダーで録音して教育委員会に送るから、さっきの台詞もっかい言ってくれ」
「絶対に言いません!!! ……別府くんは鬼です。先生のこと、嫌いですか?」
「思いのほか好きだよ」
「普通に好きって言ったほうがいいです! なんですか、思いのほかって!」
「じゃあ、改めて。……先生、大好きだ」
「そ、それはそれで色々問題ありです! て、ていうかですね、先生の手を握ってじーっとこっちを見てはダメです! は、はやややや!?」
 先生を見つめる時間と比例して、先生の顔がどんどん赤くなっていって愉快痛快。
「も、もーいいです! ……ま、まったく、別府くんは先生をからかってばかりで困ります。先生、ぷんぷんです」
 先生は俺の手を振り払い、ぷらぷらと振った。
「臭いのか? 女の子なんだから、風呂には毎日入れよな」
「ハエがたかってるわけではないです! ぷーんぷーんではないです! ぷんぷんと言いました! 怒ってることを可愛らしく表現したのですっ!」
「自分で可愛らしくとか言うなよ……」
「う、うるさいです! 別府くんのばか!」
「で、話は戻るが、なんだってあっさりなんて頼んだんだ? この店の売りはこってりスープだぞ?」
「……前に注文したんですが、しつこくってしつこくって、全部食べられなかったんです」
「三回食えばやみつきだぞ? 現に俺なんて、週に一度は食いたくなる。そして食べなかったら手が震え、幻聴まで聞こえ出すんだ」
「本当に病みつきです! 何が入ってるんですか!?」
「鳥のダシか何かじゃないか?」
「意外と普通の答えでした!」
 などと侃々諤々先生と言い合ってると、店員さんがやってきて注文した品々をテーブルに並べた。
「わー……久々ですが、やっぱりおいしそーです。いただきまーす♪」
「くるしゅうない」
「……ずるずる」
 偉そうに言ったら、先生が嫌そうな顔をしてラーメンをすすりだした。
「んー♪ おいしいです♪ ほらほら、別府くんも一度食べたらこのあっさりスープのよさが分かりますよ?」
「まあ待て、俺の分を食ってからだ。ずるずるずる……」
 まずスープを少し飲んでから、麺をすする。うむ、想像通りうまい。
「まったりとしていて、それでいてしつこくなく」
「ものすごく嘘っぽい表現です……」
「超うめえ」
「シンプルですが、とってもよく伝わります。いりませんが!」
 手をNOという感じにして出されたので、レンゲでスープをすくい先生に向ける。
「いらないって言ってるのに……」
「まあまあ、騙されたと思って一口飲んで見てくれよ。もし飲んで騙されたと感じたのであれば、先生は騙されやすいので後で詐欺して大金うはうは」
「絶対に飲みません!!!」
 俺の説得はよく失敗します。
「それより、先生のラーメンを食べてみるべきです。あっさりしていて、とてもおいしいんですよ?」
「猿の脳みそより?」
「ありえないチョイスですっ! もーちょっとマシなものを出すべきですっ!」
「寡聞にして猿以外の脳の味を知らないんだ」
「猿は知ってるんですかっ!? 別府くんが恐ろしい生物に見えてきました……」
「男ってのは怖いものさ」
「怖いの種類が違いますっ!」
「まあ、本当は猿の味も知らないんだけどな。それはともかく、そのスープ味見していいか?」
「普通に、最初っから、わーいって言って食べればいいのに……」
「わーい」
「なんか馬鹿にされてる気がします……」
 どうしろと言うのだ。とまれ、先生が差し出したレンゲを口に含む。
「ふむ……。まあ、普通だな」
「ええっ!? そんなことないですよ、とってもおいしいですよ!? 別府くんは普段ろくなもの食べてないからそう感じるだけです!」
「俺だけでなく、別府家全体を敵に回す台詞だな」
「こんなおいしーのに……このおいしさが分からないなんて、別府くんは可哀想です。……あっ! え、えっと、お子様にはこのおいしさが分からないんですよ。……ふふん?」
「まあ、お子様は舌が発達してないので、しつこいものよりあっさりしたものの方が好きだよな」
「折角の大人アピールのチャンスを冷静に潰さないでくださいっ!」
「そこまで大人と言い張るのであれば、やはり俺様のスープを飲んで証明するしかあるまい」
 再度レンゲでラーメンのスープをすくい、先生に向ける。
「う……こ、これを飲んだら大人ですか? 先生を尊敬しますか? もういじめませんか?」
「いいえいいえいいえ」
「いっぱいいいえって言われました! 飲む理由が一切なくなりましたっ!」
「しまった。よし、嘘をつくぞ。うーんうーんうーん。これを飲んだら大人で尊敬していじめない」
「騙す気が全く見えませんっ! もうちょっと頑張って欲しいものですっ!」
「ええと……よし。俺がおいしいと感じるものを、先生に味わって欲しいんだ」
「あ、あぅ……そ、それはよい騙し文句です。先生、ちょこっとぐらぐら来ました。もうちょっと頑張ったら、先生、くらーっていっちゃうかもですよ?」
 先生は両手を合わせ、軽く首を傾げて何かを期待する目でこちらを見た。
「よし。……先生、俺が卒業したら、小さなアパートでも借りて、一緒に」
「すとーーーーーーっぷ! それはなんか違う意味でくらくらーってしちゃう大変危険な呪文なので、片手間に言うのは禁止です! 禁止禁止禁止!」
 先生は顔を真っ赤にしながら俺の頭に連続でチョップした。
「先生、痛い」
「うるさいですっ! 別府くんのばかっ! 本当に別府くんは嘘ばっかりつくダメな生徒ですっ!」
「嘘をつくかもしれないが、少なくとも年齢は詐称してはいないぞ。……あ」
「あーっ! それは先生に実は幼女だろばーかばーかって暗に言ってますね! 先生は子供ではなく、大人ですっ! ほらほら、めんきょしょー!」
 気づいた時には既に遅く、先生は手馴れた様子で懐から免許証を取り出すと、俺の頬にめり込ませだした。
「先生、痛い。あと、俺の頬に目はないので、そこに押し込まれても見えない」
「もー何十回と見せたので、知ってるでしょ!」
「なら何十回と見せなくてもいいのでは」
「毎回毎回別府くんが先生の年齢を疑うからですっ!」
「うるさい合法ロリだなあ」
「あんまりな台詞が飛び出しましたよ!?」
「黙らないと先生の口を塞いで家に持ち帰り、一緒にゲームとかするぞ」
「途中まですっごく怖かったのに、最終的には友達感覚です!」
「先生と仲良くなりたいんだ」
「一緒にラーメン食べておいて、何を言ってるですか……」
「いやはや。先生と一緒だと、何やっても楽しいよね」
「なっ、なに、何を、何を言ってるですか!? そ、そゆこと言っても先生は篭絡されませんよ!? う? う!?」
「篭絡って何の話でしょうか」
「うっ、うるさいですっ! 別府くんのばかっ!」
 先生は俺を怒りながらずるずるずるーっと一気にラーメンをすすった。
「げへんげへんげへんっ!」
 そしてむせた。
「ああほら、一気に食ったりするから。はい」
 水を渡すと、先生は一気にあおった。
「……っん、っん、っん、……ぷはぁ。ふぅ、死ぬかと思いました」
「あ、それ俺の水だった。まあいいか」
「わざとですねっ!? わざと別府くんの水を飲まして先生を混乱させる策ですねっ!?」
「この疑心暗鬼ロリはめんどくさいなあ」
「いちいちロリってつけないでくだたいっ!」
 ぎゃーぎゃー騒ぐ大谷先生を、迷惑そうな微笑ましそうな目で見る従業員と客たちだった。

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【ツンデレが起こしにきたら】

2010年02月28日
 朝は超眠ぃ。なのでぐーすか寝てたら、体を揺さぶられた。
「もー、休みだからってぐーすかぴゃーぴゃー寝て……先生、ぷんぷんですよ?」
 どうやら俺の家に下宿してる大谷先生のようだ。しかし、この程度のゆさゆさで起きるほど俺の眠気は甘くない!
「むー、起きません。別府くん、おーきーなーさーい!」
 布団の上に馬乗りになり、先生は激しく体を揺さぶった。
 本来なら重さのあまり起きるところだが、先生はそこらの子供程度の大きさなので、むしろ心地よい重みでさらに眠気が。
「むう、全然です。……まっ、まさか、先生が知らない間に死にましたか!?」
 怖い事を言われているような気がする。
「そ、蘇生です! 人工呼吸です! はうあっ、よもやこんなところでファーストキスを奪われるとは! 先生、びっくりです!」
「俺の方がびっくりだあああああっ!」
「みぎゃああああっ!?」
 がばりと起き上がり、先生を吹き飛ばす。先生はころころ転がり、頭から壁にぶつかった。
「うぐぐぐ……痛い、痛いです! 血が出ました! ほらほら!」
「出てねえよ」
 ばびゅーんと走り寄って来て、先生は俺の顔に自分の頭をぐりぐり押し付けた。
「出てます! 別府くんは心が汚れてるから見えないだけですっ!」
「先生の血は心が綺麗じゃないと見えないのか」
「そんなのどうでもいいですっ! 別府くん、起きてるなら早く起きてください! 別府くんのせいで先生、頭がとても痛いです!」
「俺も朝から子供の高い声聞かされて頭がガンガンする」
「あああああっ!? こ、子供って言いました、言われましたよ!? 先生は子供じゃないです、立派な大人です! ちょっと人よりコンパクトにできてるだけですっ!」
「先生、この間小学生と間違われて補導されたよな。いや、あの時は笑った笑った」
「ものすっごく馬鹿にされてますっ! 別府くん、先生を馬鹿にしたら怒りますよ! めってしますよ!」
「ふん。やれるものならやってみろ」
「うぐぐぐぐ……馬鹿にしてえ! いきますよ、泣いてもごめんなさいしませんよ! せーの……めっ!」
「めぎゃああああああああっ!!!」
「みぎゃああああっ!!?」
 対抗して驚かせたら予想以上に驚かれてしまった。先生は俺の布団に頭から入って震えている。頭隠して尻隠さず状態だ。
「べっ、別府くん、先生を怖がらせると怒りますよ! 別に怖くなかったですが!」
「先生、顔出して喋らないと相手に失礼だよ」
「知らないです! 別府くん相手に失礼とかないです! 別府くんの言うことなんて知りません!」
「先生、スカートまくれてパンツ丸出しだよ」
「みぎゃあああっ!? み、見ないでくださいっ! 見ると先生怒りますよ!」
 俺の言うことなんて知らないとか言ってた人が一瞬で信じた。まあ、本当に丸出しなんだけど。
「先生、大人って言われたいならクマさんぱんつはやめたほうがいいと思うが」
「いーから見ないでくださいっ! ……ううっ、からまって出れません!」
 俺の布団は毛布やら薄手の布やら沢山あるので、ちょっとした障害物競走の様相を呈している。と思ってる間も先生の子供パンツを見続ける。
「ぬうううう……こうなったら奥の手です! えやっ!」
「うわっ!」
 先生は元来た場所から出るのを諦め、上側、俺が座ってる方から出てきた。まあ、つまり、俺に引っ付く位近くにいるわけで。
「ふふん、これでパンツを隠すことに成功です。どうです? すごいですか?」
「ち、近い、先生近い」
「え? ……へ、平気です。先生は大人ですから、別府くんが側にいても平気です。ちっともドキドキなんてしません。そもそも別府くんのことなんて、先生なんとも思ってませんから」
 先生は平気そうな顔でそう言った。ただ、その顔は真っ赤だったが。
「んなのどうでもいいから、早く離れろ。いやいい、俺が離れる」
「な、なんですか、そんな先生と離れたいんですか! そ、そんなこと言われても、先生ちっともショックじゃないですよ! 本当ですよ!」
「いや、んなことはどうでもよくて」
 あんまり近づかれると色々まずいわけで。ほら、朝だし。
「もういいです、先生がどきます!」
 とか言いながら、先生は床に手を置こうとして俺の股間に手を。朝で血液が集まってる俺の股間に手を。
「棒? なんで棒が……あ」
 自分が掴んでいるのが何なのか気づいたのか、先生の顔が見る間に赤くなっていく。
「だ、大丈夫ですよ? そ、その、男の人は朝にこうなるらしいですし。その、よく知らないですが」
「いーから離せっ!」
 先生は慌てて俺の棒から手を離した。
「…………」
「嗅ぐなっ!」
 自分の手の平を嗅ごうとする先生を一喝する。
「ああもう……朝から陵辱された気分だ」
「そっ、それはこっちの台詞です! 朝からとんでもないもの握らされましたよ! 初体験ですよ! どうしてくれるんですか!」
「お返しにおっぱいを触らせてくれたらいいと思う」
「え、えっちなのはいけないと思います! ばーい、別府くんの持ってる漫画です!」
「いかん、おっぱいがない人に失礼なお願いをしてしまった」
「もっと失礼なこと言ってますよ!? ありますよ、先生はないすばでーだからおっぱいたゆんたゆんですよ! 心の目で見れば!」
 心眼は会得してないので、先生の乳はつるぺたのままだ。
「もうなんか朝から疲れた……飯食ってもっかい寝よう」
「ダメです! そんな不摂生な生活、先生の目が光ってる間は許しません! 今日は一緒にお勉強です!」
「実践形式の保健体育ならする」
「えっちなのはいけないと思いますっっっ!!!」
 朝っぱらから絶叫する先生だった。

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【ツンデレをバスケに誘ったら】

2010年02月26日
 体育の授業でバスケすることになったのだが、休んでる生徒がいるのでちょっと数が足りない。
「おいもーおいもー今日のおやつはさつまいもー」
 どうしようかと思ってたら、丁度嬉しそうにさつまいもを食べながら体育館の外を歩いてるちっちゃい子供……もとい、大谷先生を見つけた。
「これでいっか」
「はわわわわ!? あ……ありのまま今起こった事を話すです!『先生がおやつを食べていたら、いつのまにかバスケに参加させられていた』……何を言ってるのかわからねーと思うが、先生も何をされたのか分からなかったです! 頭がどうにかなりそうだった……催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました……」
「先生、話が長い」
 なんか独り言を喋ってる間に先生に敵方のゼッケンをつけ、準備は終了。
「別府くん、先生は体育の先生じゃないのでバスケに参加するのは変だと思いますよ?」
「先生が大人と言い張ってるよりは変じゃない」
「な、何を言ってるですか! 先生は立派な成人ですよ! ほらほら、めんきょしょーにだってそう書いてむぎゅ」
 懐から何か取り出そうとしてた先生の顔にボールがぶち当たり、先生は愉快な声を上げてぶっ倒れた。転がったボールは誰かに奪われたが、今はそれより。
「あー……先生、大丈夫?」
「ぴゃー……ぴゃー……」
 先生は目をぐるぐる回したまま、壊れたラジオみたいにぴゃーぴゃー繰り返していた。
「ダメか。次の大谷先生と交換しよう。次のはこんな特殊なのじゃなく、普通の大人だといいなあ」
「交換とかないですっ! 先生はおんりーわんです! あと今でも普通の大人です! ないすぼでーです!」
 先生が起きた。
「前半は本当、後半は嘘」
「全部本当ですっ! もー怒りました、先生本気出します! 荒ぶる有袋類の異名を持つ先生の力、とくと見るがいいです! 別府くんなんてほひんほひんにしちゃいますよ!」
「先生、ドアラの中の人?」
 俺の問いかけに答える前に、先生はボールを追いかけに行ってしまった。俺も追いかけよう。
「先生にっ! 先生にボールをっ! 別府くんをほひんほひんにするため、先生にボールくださいっ!」
「先生は小学生級の体長のため一般人には見つけづらいのか、ぴょんぴょん飛び跳ねているにも関わらず誰にも相手されていなかった」
「思ってることは心の中に秘めてくださいッ!」
 先生が怒ってる間にボールはパスされ、相手ゴール付近まで飛んで行ってしまった。
「もーっ! 別府くん、先生の邪魔しないでくださいっ!」
「邪魔した覚えはない」
「メチャメチャしてるじゃないですかっ! 次邪魔したら、今学期の成績ぜろにします!」
「職権濫用だ」
「うるさいですっ! がーっ!」
 先生は大きく口を開けて俺を威嚇し、ボールの元に走っていった。俺も走る。
「あーうーっ! ボールをっ! 先生にボールをぉぉぉぉぉっっ!!」
 あまりに必死すぎて哀れみを誘ったのか、俺の味方が先生にボールをパスした。
「……ボール。これで別府くんをはふんはふんに!」
 先生は喜び勇んでボールを持って走った。審判の笛が鳴る。
「トラベリング」
「ふぇ?」
 俺の味方が先生からボールを取り、コートの外に出た。先生は目を白黒させたまま、その様子をぼーっと見ていた。
「……先生、ボール持ったまま走ったら反則だよ?」
「そっ、そんなの先に言ってくれないと分からないじゃないですか! また別府くんのせいですね! 別府くんのいじわるっ!」
「いや、今回に限っては俺のせいじゃないかと」
「うるさいですっ! 別府くんは黙ってくださいっ! 別府くんの声は耳障りですっ!」
「や、耳障りでもなんでもいいけど、先生、靴……」
「うるさいのですっ! 別府くんは敵ですっ! もー先生に話しかけないでくださいっ!」
 先生は肩をいからせ、ボールを奪いに走っていった。
「まぁ、話しかけるなと言うならそうするけど……」
「みぎゃあっ!?」
 先生がコケた。
「うう、ううう……痛い、痛いよぅ……」
「先生、靴の紐がほどけてるよ」
「先に言ってくだしゃいっ!」
 先生の元に走り寄ってそう告げると、ずるずると鼻をすすりながら先生が怒った。
「いや、話しかけるなと言われたし」
「ううううう……痛いよぅ。もうヤだ、帰りたい……」
 先生はさめざめと泣きだしてしまった。どうやら膝をすりむいたようだ。どうしよう。「せっかくだから俺は逃げるぜ!」といきたいところだが、泣きじゃくってる子供を見てると良心がチクチクと。
「ぴゃっ!?」
「えーと。委員長、ちょっと先生保健室連れてくから」
 委員長にそう告げて、泣いてる先生を小脇に抱えて体育館を出る。
「……ぐしゅ。先生、ペットじゃないです。こんな持たれ方、屈辱です……」
「あ、そだな。ごめんごめん」
「また別府くんへの恨みがひとつ増えました……」
 嫌な事を言う先生を一度地面に降ろし、今度はお姫様抱っこで抱える。
「こっ、これは恥ずかしすぎますっ! いち早く降ろすべきだと提案しますっ!」
「大丈夫大丈夫。授業中だし誰も見てないって」
「グラウンドに生徒いますっ! みんな見てますっ! ニヤニヤしてます! とても!」
「空気感染する笑い病が爆発的に流行ったんだ」
「そっちの方が怖いですっ!」
 ぎゃーぎゃー騒ぐ先生を抱いたまま校舎の中に入り、保健室へ向かう。
「先生、軽いなあ。ちゃんと飯食ってるか?」
「ご飯は食べてます。ぱくぱく食べます。ご飯好きです。……またちっちゃいって馬鹿にする気ですね」
「いやいや、馬鹿にはしてないぞ? 先生、思ったんだが俺に対して邪推が過ぎないか?」
「そんなことないです。別府くんは先生にいじわるするのが好きだから絶対に馬鹿にしてます。別府くんなんて大嫌いです。つーん、です」
 先生はつーんと言いながら顔をそむけた。見た目だけじゃなく、精神的にも子供な先生に思わず苦笑する。
「あー、それは構わんが、仮にも教師が生徒を選り好みしていいのか?」
「あっ……ひ、秘密ですよ?」
 先生は口元に指を一本あて、小さな声で囁いた。嫌いと言った相手に秘密を持ちかける先生に、思わず吹き出してしまう。
「ぷあっ! べ、別府くん、つばがかかりました、つばが! 汚いです!」
「あ、いや、ごめんごめん」
「ぬー……」
 先生は俺を睨みながら自分の顔を拭った。
「やー、先生は平和だな」
「よく分からないけど、また馬鹿にされた気がします……恨み帳に書いておきます」
 んなの書いてるのか、とか思いながら保健室に入る。
「おお、大谷ちゃん。どうした、別府なんかに抱えられて」
 保健室の主である保健医、保田先生が俺と先生を見て疑問符を浮かべていた。
「大谷先生にどうしても抱っこしてくれとせがまれ、仕方なく」
「んなこと言ってないですっ! 真っ赤な嘘です! そんなこと思ったこともないです! 本当です! ほ、本当ですから!」
 そんな繰り返さなくても分かってるっつーの。
「ああ、そういえば大谷ちゃん前になにか言ってたな。別府に抱っこされたいとか……」
「ぎゃーぎゃーぎゃーっ! 何も聞こえませんっ! 聞こえませんよっ!」
 突然先生が騒ぎ出したため、保田先生が言ってる事をよく聞き取れなかった。
「夜鳴きの時間だ。保田先生、これ頼む」
 猫のように先生を持ち、保田先生に渡す。
「今度は赤ちゃん扱いですかっ! 別府くんはもう少し先生を敬う気持ちを持つべきですっ! 先生、怒り心頭ですよ!」
「はいはいはい。保田先生、後は頼むな」
「うむ。任せておけ」
 鷹揚にうなずく先生に任せて体育館に戻ろうとしたら、大谷先生に声をかけられた。
「あ、あの……」
「うん?」
「……そ、その。あ、ありがとうございました。……抱っこしてくれて」
「抱っこ?」
「っ! じゃ、じゃなくて! ここまで運んでくれて! せ、先生、大人ですから嫌いな人にもちゃんとお礼言うんです! それだけですからっ!」
「はぁ……」
「い、以上ですっ! 早く出て行ってくださいっ! 別府くんの顔見てたら、吐き気げーげーですっ!」
 先生は顔を真っ赤にしてまくし立てた。
「先生、顔赤いけど、どっか悪いんじゃ……」
「ふぇっ!? あああ、赤くなんてないですっ! 別府くんの目がおかしいんですっ!」
「いや、私の目にも赤く見えるな」
「すーちんっ!」
 大谷先生が保田先生に怒鳴った。保田→やすだ→すーちん、か。仲いいんだな、この二人。
「いいから早く出て行ってくださいっ!」
「はいはい。じゃな、先生方」
 半泣きになっていたので、先生を置いて保健室を出る。
 まったく、愉快な先生だ。そう思いながら体育館に走った。

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【ツンツンしたらデレたようです】

2010年02月23日
 ふとしたことで遊びに来てた大谷先生を怒らせてしまった。
「もー別府くんなんて知りませんっ! 一人でうにゃうにゃしててください、ばかーっ!」
「待て、うにゃうにゃって具体的にどうすればいいんだ、先生、せんせいーっ!」
 俺の悲痛(?)な叫びを無視し、先生は部屋から出て行ってしまった。
 ……うーん、怒りっぽいなあ先生は。もっとも、からかい過ぎた俺も悪いか。仕方ない、謝ろう。
 どうやって謝るか思案しながら家を出て、近所にある先生の家へ。インターホンを押すと、ほどなくして先生が出た。
『……はい』
「あ、俺俺。開けて」
『…………』
 先生は無言で切った。よし、ナイス度胸。インターホン連打ぴんぽんぴんぽんぴぽぴぽぴぴぴぴぴ!
『うるさいです近所迷惑です先生迷惑ですっ!』
「開けてくれるまで連打が続く地獄」
『ぐうううう……どうぞ』
 玄関を潜り、廊下を抜け、先生が待つ部屋へ。ファンシーなぬいぐるみが訪問者を睨みつける実に居心地の悪い部屋の中心で、先生は座っていた。
「…………」
「このちんまい生物(恐らく幼体)は機嫌を損ねているのか、ご主人様が来たというのにそっぽを向いて座っていた」
「誰に言ってるんですか! ちんまくないですし幼体とか意味分かんないですしなまものって言わないで欲しいですっ! あと、別府くんはご主人様でもなんでもなくてただの生徒ですっ! ……ぜはーぜはー」
「先生、つっこみすぎて息が荒いぞ。ほら、これでも飲んで落ち着け」
 テーブルの上に置いてあった牛乳を先生に手渡す。
「あ、ありがとございます。ごくごく……」
「精液」
「ぶはーっ!」
 勢いよく先生が牛乳を吐いた。
「ななな、なんてこと言うのですか! ばか、えっち!」
「いや、そうだったらいいなーっていう俺の想念が口からついて出ただけなんだ。雲が綿菓子だったらいいのになーって思うような子供のような純真な心を持ってるんだ。そんな純真な俺を褒めろ」
「純真な心の持ち主は牛乳をせ、せ、……な、なんかそーゆーこと言いません!」
「なんかそーゆーことって?」
「だ、だから……そーゆーことです!」
「だから? 具体的に?」
「う、うう……別府くんのえっち! 先生にえっちなこと言わせたいだけでしょ!」
「なんならえっちなこともしたい。その幼い肢体をもみくちゃにしたい」
「ひええええっ!」
 先生は部屋の隅っこに逃げて震えている。……ととっ、いかんいかん。謝りに来たのだった。この先生を見ると、ついついいじめてしまう。
「先生のないすばでーが生徒を籠絡させてしまいました! こ、このままでは先生、貞操の危機です!」
 なんか余裕あるっぽい。もうちょっといじろうか。……いやいやいや。終わらないし、とっとと謝って帰ろう。
「や、先生、そうじゃなくて」
「う?」
 う、と言いながら先生は稚児のような表情で俺を見上げた。ちょっとクラッとくる。
「ど、どしました? 貧血ですか?」
「や、違う。ちょっと属性の野郎が顔を出しまして」
「ぞくせー?」
「……っ! そ、そう、属性。全く、事あるごとに顔を出しやがる」
「?」
 先生はよく分からないのか、ちょこんと首をかしげた。全く、この先生は、計算でやってないのだから質が悪い。俺だからよかったものの、アレな人間だったら今頃調教されてるぞ。
「ところで先生、俺に飼われない?」
「はい?」
 しまった、俺はアレな人間だった。必死で脳内の真人間スイッチを入れ、軌道修正する。
「あー、こほん。今のなし。えっとだな、先生。ごめんな」
「はい?」
「だから、その、俺の家での云々」
 そう言われて思い出したのか、先生は急にそっぽを向いた。
「許しません。先生、度を越した冗談は嫌いです」
「や、だからその、悪かったって」
「知りません」
 先生はそっぽを向いたままほっぺを膨らませてる。困った。何が困ったって、ぷにぷにしたほっぺをつつきたくて仕方がないことだ。
「えい」
 ほら見ろ、我慢できずに押しちゃったじゃないか。
「……何のつもりですか」
「ぷにぷに」
「ぷにぷにじゃないです。先生、大人ですからガサガサです」
「いや、大人だからって誰も彼もがガサガサとは限らないと思うが」
「うるさいです。いいからツンツンするのやめてください」
 こうして喋ってる間も先生のほっぺをツンツンし続けてる俺の指をどう思うか。家主としては褒めてやりたい気持ちで一杯です。
「先生、教え子にほっぺをつつかれるだなんて思いもしませんでした」
「予想もしないことが起きるから、人生ってのは楽しいもんだ」
「先生、ちっとも楽しくないですが」
「俺は楽しいぞ。よかったな」
「ちっともよくないです! どーして怒られてるのにまるで気にせず私のほっぺをツンツンできるんですか!? 頭おかしいです!」
「いや、気にはしてるんだよ? ただ、先生のほっぺをツンツンするのが楽しすぎて、謝ることに気が回らないんじゃないかな?」
「謝る気、ぜろですよ。うー……」
 唸りながらも、先生はほっぺツンツンを止めようとはしなかった。
「先生」
「なんですか」
「口元が笑ってる」
「ふえぇっ!? わ、笑ってません! ちっとも愉快じゃないです! 楽しくもないです! 教え子にツンツンされ、不愉快極まりないです!」
「そうなの?」
「そうなのです!」
 そう断言する先生は、俺にほっぺをツンツンされて笑顔をこぼしていた。
 そしてその笑顔に我慢できずに抱っこしたら叱られた。
「いくら先生がないすぼでーだからって、いきなり抱っこしたりしたらダメでしょっ!」
「はぁ、すいません。でも、ないすぼでーではないよ。小学生だよ」
「小学生じゃないですっ! よく間違われますが、大人です! そしてないすぼでーです!」
「全部嘘」
「がーっ!」
 両手をあげて威嚇する自称大人でないすぼでーの大谷先生だった。

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