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2024年04月20日
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【ツンデレに言いがかりをつけたら】

2012年09月08日
 最近の暑さは全て大谷先生の責任と断定。
「なので粛々と罰を受けろ」
「言いがかりにしても酷すぎですっ! どーゆーことですかっ!?」
 なんか小学生みたいのが怒ってきた。ので、頭をなでてみた。
「人が怒ってる最中に頭をなでてはいけませんっ!」
「どうして?」
「なんかぷんぷんってのがどっか行っちゃうからです! ほらほら、言ってるそばからもう! もー! ……もー」
 先生はちょっと拗ねたような顔をしながら、俺の腕をきゅっと握った。
「なんスか」
「べ、別になんでもないですよ! もちょっとなでてくれたらなー、なんて思ってもいませんから!」
「奇遇だな、俺も丁度なでたくないと思っていたところだ」
「ほら! ほーら! またいつもの別府くんの天邪鬼が出ましたよ! 今日も悪辣で不愉快です!」
「この子供はうるさいなあ。まあ、子供というのはうるさいものだから仕方ないか」
「そしてまた例によって例のごとく先生を子供扱い! だけどちっとも慣れません! いつまで経っても怒りが治まりません! だって先生は大人ですから!」
「先生、飴食べる?」
「わーい! 食べます!」
 大人が飴で喜ぶかなあ、といじめようと思ったのだが、満面の笑みでくださいという感じの手を出されたので、素直にミルクキャンディーを渡す。
「ころころころ……はぅぅ! とってもおいひいです! ありがとーございます、別府くん!」
「いやなに、変態紳士なので女子供には優しくあれと心掛けているのでね」
「……変態、というところと、子供、というところに引っかかりはありますが、飴をもらったので文句は言わないでおきます」
「おお、成長したな。偉いぞ先生!」(なでなで)
「えへへへー」
 先生は稚児のようにニコニコ笑った。自分で言っておいてなんだが、本当に子供みたいだな。とても20歳を超えてるとは思えない。
「何やら失礼なことを想像されてる気がします……」
「いやいや、ただ単に俺の脳内で先生をひんむいて酷いことしているだけだ」
「仮にそうだとしても、それを臆面もなく当の本人に伝えるその度胸には驚嘆します!」
「先生には、先生だけには、嘘偽りなく接したいんだ」
 先生の小さな手を取り、ぎゅっと握り締める。真摯に目を見つめることも忘れない。
「べ、別府くん……せ、先生は、先生は……!」
「そう言ってるそばから嘘ついてたけどな」
「へ?」
 前述のひん剥き関連のことが嘘と伝える。
「もー! 別府くんはー! 今日もー! もぉー!」
「わはは」
「うううー! 先生を騙してはいけません!」
「わかった、次に先生と会うまでは覚えておく。そして会った瞬間に忘れるので、意味無いな。わはは」
「うー! うー!」
 先生は涙目で俺をぽかぽか叩いた。なんて可愛い先生なんだ。卒業したら結婚しーよおっと。
「まあそれはそれとして、熱気の罰を受けてもらおうか」
「はぅぅ……まだそれ続いてたんですか?」
「うんざりした顔をするない。罰を受けたくないのであれば、俺を涼しくさせることだな」
「じゃ、冷房点けますねー?」
 先生は手元のリモコンを操作し、エアコンをつけた。途端、そよそよと涼しい冷気がエアコンから吐き出されるではないか。
「お?」
「暑いなら最初から言ってくれればよかったのに。私が苦手だからつけてなかっただけなんですよ?」
「だって、担任教師の家にお呼ばれなんかされちゃって、あまりのことに気が動転してそれどころじゃなかったんだ」
「どっ、動転って、動転って! 呼び出ししたのは、そのっ、学校で呼び出してもちっとも来ないからですっ! だからしょーがなしに、家に呼んだのですよ!?」
「家に呼んでも来ない可能性の方が高いだろうに」
「……でも、来てくれましたよ?」
 先生は俺の服をちょこんと握り、にこーっと笑った。
「分かった、結婚しよう」
「何かが別府くんの琴線に触れちゃったご様子ですよ!?」
 慌ててる先生を見て、冷静さを取り戻す。何を突然求婚してるのだ俺は。
「まあ結婚は卒業後にするとして、今は少し涼むか」
「えええーっ!?」
「先生、超うるさい」
「け、結婚!? え、本気なのですかっ!? でででもっ、卒業しちゃったら教え子と教師って関係はなくなるから、……いいの?」
「いや、よくない」
「別府くんから言い出したことなのにーっ!?」
「今日も先生は打てば響くので大層愉快。わはは」
「ううう……例の意地悪でしたよ。ぐっすん、ですよ。はぅー」
「はぅーって言った」
「言ってません!」
「言った」
「言いません! 先生はそんな二次元の萌えキャラじゃないので、はぅーとか言わないのです!」
「言った」(なでなで)
「は、はぅぅ……」
「ほれみろ」
「い、今のは、はぅぅです! はぅーではないのです! だからセーフなのです! ……よ?」
 先生はちょこんと小首をかしげて、こちらの様子を伺っている。
「うむ!」
「ひゃああああ!?」
 大変に可愛かったので、気がつくと抱っこして頬ずりしていた。
「あ、いかん。このままでは性犯罪を犯してしまう。……でも、大谷先生だし、いいか!」
「ちっとも全然よくないのですっ! このままでは先生の初めてが悲しい思い出に塗り固められてしまうのですっ! もっと優しくて素敵で甘くてふわふわでなでなでしてくれる感じの思い出がいいのですっ!」
「先生、まだ処女なのな」
「はぅぅっ!? 酷いです別府くん、なんでそーゆーふーに誘導尋問するですかっ!? 先生の最重要機密がダダ漏れですよっ!?」
「わはは。さて、もう少々涼むか」
 先生をベッドにぽすりと置き、エアコンの前に陣取る。……衝動的とはいえ、先生を抱きしめたりしたせいで、ドキドキしちゃったよ。ええい、大谷先生のくせに生意気な。
「……は、はぅー」
 背後から萌えキャラの声が聞こえる。どうやらこっちの様子を伺っているようだ。
「は、はぅー。はぅー。……はぅ?」
「……ああもう。はぅはぅうるせえ!」(なでなでなで)
「言いながらなでてますよ?」
「もう衝動を止めようとも思わないんだ。自業自得だ、諦めろ」(なでなで)
「はぅー♪」
 そんな感じで、数分間先生をなでなでした。至福。
「はぁぁ……♪ ……えっ、いや、違うのですよ? 別に先生、ちっとも嬉しくなかったのですよ?」
「聞いてねえ」
「はぅぅ……。……? あの、ところで、何をしているのですか?」
「いや、ようやく衝動が治まったので、折角先生の家にいることだし、先生の私物を漁っているところだ」
「大変にマナー違反行為ですよっ!? 今すぐやめないと先生泣いちゃいます!」
 泣く子と地頭と先生には勝てぬので手を止める。
「ううう……漁るのは酷いですが、すぐにやめてくれたので、別府くんは少しいい子です。なでなでしてあげましょうか?」
「是非お願いします」
 先生に届くよう、少しだけ屈む。
「うー……もうちょっと屈んでください」
「先生が一生懸命背伸びして俺の頭をなでる光景が見たいから、お断りします」
「いい子度がまた下がりました。……まあいいです。なでなで、なでなで」
 先生はぐーっと背伸びして俺の頭をなでた。だが、背伸びに慣れているのか、あまり辛そうな様子は見られない。これでは俺の歪んだ劣情が解消できないではないか。
「こうなっては先生の私物である『なりきり☆ 魔法少女セット』を強制的に装着させ、魔女っ子大谷先生を鑑賞するしかあるまい」
「なんで先生の秘密の趣味を知ってるんですかーっ!?」
「あと、DVDを全巻揃えていることも知ってます」
「大人買い情報まで!? 先生の社会的地位がピンチですっ!」
「大丈夫だよ、先生。そんなの、最初から超々低空飛行だよ」
 先生の手を握り、優しく微笑みながら伝える。
「雰囲気だけが先生に優しいですっ! 伝えられた情報はシベリアもかくやと思えるほど寒いですっ!」
「シベリア超特急」
「言いたいだけのことは言わなくていいですっ!」
「俺もそうしたいんだけどなあ。ところで先生」
「なんですかっ! まだいじめないと気が済みませんか!? あとちょっとで先生泣きますよ!? ちゃんと泣き止ませてくださいよ!?」
「いや、そんな大人が裸足で逃げ出すような情けないこと伝えられても困るのだけど、そんなことより」
「ダムが決壊しましたっ! 泣きます、もー泣きます! ごーよんさんにーいち!」
「先生の手って、小さくて可愛いな」
 ぴたり、と先生が停止した。
「先生?」
 かと思ったら、小刻みに震えているではないか。まさか……自爆!?
「……そ、そゆことを、先生に言ってはいけないです。……困ってしまいます」
 先生はほのかに頬を染め、自身の言葉通り、困ったように視線をさまよわせていた。
「いや、可愛いのは手の話で、先生が可愛いかどうかはまた別の話だ」
「また! また意地悪ですよ! 今回に限ってはよかったのですが!」
「そして先生自体も可愛いので、結果先生は全部可愛い。わはは」(なでなで)
「珍しい種類の意地悪です! きっと先生を困らせるのが主目的なのです! 別府くんのいじわる!」
「ああ可愛い。先生、ちゅーしていい? えーっと、ほら、熱気の罰という名目で」
「絶対にダメなのですっ!」
 真っ赤な顔でべーってする先生は可愛いなあ。

「……でも、だからって、どしてこんなことをするですか」
「ちゅーしてくれないし、これくらいのご褒美はあっても構わんだろうという自己判断だ」
 先生を膝にのせ、後ろから頭をなでているのだけど、どうも嫌がられている様子。
「ちっともよくないですっ! 別府くんは、今日は叱られに来たのですよ! どしてご褒美をあげなくちゃいけないのですかっ!」
「こんな暑い中、先生の呼び出しを無視せずに来たのだ、それだけで十分ご褒美に値するとは思わんかね?」
「思わないのですー! そもそも、別府くんが学校で呼び出しに答えていたら呼ばなくても済んだのですっ! どして来なかったのですか!?」
「暑いから」
「今日だって暑いのにー!?」
「あと、休みの日に先生に会えるのはラッキーなので」
「……そ、そゆことを言うのはずるいです。……困ってしまいますよ?」
「存分に困るがいい、若人よ。青春は悩むためにあるのだ!」
「先生のほうが大人なのですっ! そう言ってる別府くんが青春のまっただ中にいるのです!」
「あ、なんかおっぱい揉みたくなった。いい?」
「とってもいくないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ! 今日こそはお説教です! そこに直りなさい!」
「任せろ!」(なでなで)
「なでなではしなくていいのですっ! なでなでは後で、なのですっ!」
「後でするのか」
「そ、そゆことに注目する必要はないのですっ!」
 そんなわけで、先生にお説教されました。あと、罰という名目でしばらくなでなでしました。
「えへへへー。罰なのでしょうがないのですよ?」
 と、嬉しそうになでられている本人が言っているが、俺にはとても罰とは思えない。

拍手[20回]

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Comment
無題
こんな先生いたら押し倒すわ
無題
ええい!
可愛すぎるぞ萌えるぞ死んじまうぞ
ええい!
無題
これはもう卒業とともに結婚するしかないな!
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