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2019年10月18日
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【ツンデレと久しぶりに会ったら】

2012年09月03日
 なんか超なんか。なんか。なんかー! 夏休みが終わったとか。なんか!
「今日は登校日なんだ。今日は登校日なんだ……」
 そんなわけであずまんがの智ちゃんよろしく自分に言い聞かせながら教室に入ると、何やら寂しそうな顔をした奴が視界に映った。どうしたのだろうと見ていると、その生物が顔を上げた。瞬間、目が合った。
 途端、目をきらきらさせ、にっこりと幸せそうな笑みを浮かべるではないか。だがその生き物はその表情をぱっと改め、急にしかめっ面になった。そして、何か言いたげにじーっとこちらを見ている。
 見られたからには仕方がない、自分の席へ移動して鞄を置き、そのまま寝る。
「違うだろっ! そこはみことのところへ来るところだろうっ!」
 なんか席の前がやかましくなったので顔を上げると、件の生き物が何やら半泣きで俺の席の前に立っていた。
「おはよう、みこと」
「う、うむ。お、おはよう」
 ので、とりあえず挨拶をかわしてみると、腕を組みながら鷹揚に返事をくれた。ただ、なんか頬がひくひくとひくついている。なんだろう。
「久々の登校日に俺は早起きして眠いので寝る。お休み」
「む? 何を言っている。登校日ではなく、今日から学校だぞ?」
「みことは子供だから知らないかもしれないが、登校日なんだ」
「子供じゃないっ! それに、登校日ではないぞ。もう9月に入っているし」
「冗談は背だけにしろ」
「また馬鹿にしたな!? ううう~……やっぱ貴様なんか嫌いだっ! ふんっ!」
「それは残念。ところでみこと」
「なんだっ! みことは今、ヒジョーに不機嫌なのだっ! くだらん用事だと張り倒すからなっ!」
「久々に会ったことだし、帰りにどっか寄っていこうか?」
「うんうんっ、行く行くっ!」
 なんか満面の笑みでうなずかれた。
「…………」
 そしてみことが止まった。
「……と、とでも言うと思ったか、た、たわけめ」
 何やら顔を赤くしながら、しどろもどろになりながら、みことは途切れ途切れに言った。
「ええと。どうすりゃいい」
「……貴様に武士の情けがあるのなら、流せ。頼む」
 うつむきながら、絞りだすようにみことがつぶやく。良く見たら身体が震えてる。
「ふむ、分かった。で、最初の満面の笑みの『うんうん行く行く』はどういうことだ?」
「武士の情けーっ!」
 みことは顔を真っ赤にして、半泣きになりながら俺をぺこぽこ叩いた。
「生憎ただの学生なので、武士の情けは存在しないなあ。学生の情けがあるなら、と言っていたら流していたのだけど」
「やはり貴様は大大、だーい嫌いだーっ!」
「わはは」
 ぺけぽけしてくるのが楽しくて、みことの頭をわしわしとなでる。
「うぅー……」
「どうした」
「なんでもないっ! がるるる!」
 がるるる言うこのみことは怖いなあ、となでながら思った。

 今日は初日ということで、あっという間に放課後になった。さて、どうするかと思ってたら、何やら視線を感じる。けど、まあ、気のせいだ!
「さあ帰ろう帰ろう!」
「ええっ!?」
 何か怪訝な声が聞こえたのでぐるりと教室を見回すが、特に異変は見つからない。ただ、強いて言うなら、みことが何もない壁の方を向いて、口でぴょーぴょー言ってるだけだ。口笛のつもりか。
「……気のせいか。さあ、帰ろうか!」
「ぴょーぴょー!」
 妙に口笛風のぴょーがうるさくなった。一体なんだというのだ。そちらを見るが、やはり壁の方を見てぴょーぴょー言ってるばかり。
「……ああ! そういえば!」
「ぴ、ぴょ? ぴょー?」
「腹が減った。早く帰って飯を食おう」
「みことと遊びに行く約束だろうっ!?」
 どでででとこちらに走りより、みことは俺をがっくんがっくん揺さぶった。
「なのに貴様は帰ろうとか腹減ったとか! どういうことなのだ!? みこととどっかへ行く約束はどうなったのだ!?」
「いや、覚えていたのだけど、忘れたフリをしたらどうなるかなあと思い実験したら、こうなった」
「…………」
 ややあって、みことから湯気が出た。
「みっ、みことは貴様なんかと一緒に遊びに行くのなんて、ちっとも楽しみになんてしてないからなっ!?」
「いやお嬢さん、それは少々無理があるかと」(なでなで)
「無理などないっ! みことはそんなの全然楽しみになどしてないからなっ! あと頭なでるなっ!」
「いいえ」
「いいえ!?」
「で、どうする? 行くか、行かないのか」
「…………い、行く」
「──えーと」
「色々言うなっ、たわけっ!」
 なんか半泣きだったので、いじめるのはここまでにしようと思った。

 そんなわけで。
「えへへー♪」
 みことと一緒に街をぶらぶらしたりしているわけなんですが。
「あの、みことさん」
「ん、なんだ? あっ、このアイスはやらんぞ! みことをいじめた罰なんだから、それくらい当然だぞ!」
 俺から守るようにみことはアイスを急いでぺろぺろ舐めた。だが、急ぐあまりクリームが口の周りにつきまくりだ。
「あーあー、クリームがついてるぞ。ハンカチ持ってるか?」
「持ってるわけないだろう」
「はぁ……。ほれ、こっち向け」
 みことと一緒にいるとこういう事態が多々起きるので、俺はハンカチを持ち歩くのが習慣づいている。そんなわけで、ポケットからそれを取り出し、みことの口元を拭う。
「んー、んぅー」
「ほれ、動くな。……ん、よし。終わりっと」
「綺麗になったか?」
「perfectでございます、お嬢様」
「うむ、褒めてつかわす!」
 二人してわははと笑う。
「……えへへー」
 笑い終わると、みことは何やら嬉しそうにこちらに寄ってきた。
「どした」
「んー? いや、なんでもないぞ。ほら、学校が始まったなー、って思っただけだ」
「あー……そうな。ああ、夏休みが一年あればいいのに」
「それじゃ毎日が夏休みじゃないか」
「なんて夢のある生活なんだ。そうなればいいのになあ」
「……みことはそんなの御免だ」
「なんと。学校が楽しいとかリア充か。ちくしょう、こんなところまで来て非リアの俺を攻めるか」
「みことという美しい女性と一緒にいて、何を言うか」
「ああそういやそうだった。みことという可愛い子供と一緒にいるし、俺もリア充なのか」
「じょせい!」
「子供」(なでなで)
「じょーせーい! れでぃ扱いしろっ!」
「任せろ!」(なでなで)
「言動不一致だぞ! まったく……」
 ぷんぷん怒りながらも、みことは俺になでられるがままだった。
「──で、家の方は?」
 ベンチに座り、ぼやーっと人の流れを眺めながら切り出す。
「相変わらずだ。歌に舞に茶にと、大忙しだ。下手に家がでかいと、苦労が絶えん」
「そか。ま、学校にいる間くらいは息抜きしろよ。ぶっ壊れちゃ、元も子もないからな」(なでなで)
「……ん」
 金持ちには金持ちの苦労があるよな。せめて学校にいる間くらいは、笑っていてほしいものだ。
「……何より、休みの間は貴様に会えんからな」(ぼそり)
「ん?」
「なっ、ななな、なんでもない! 何も言っとらんっ!」
「なんでそんな顔赤いの?」
「あ、赤くなどないっ!」
「俺も本当は休みの時にも会いたいんだけど、いつも門前払いされちゃうんだ」
「聞こえているではないかーっ!?」
「わはは」
「忘れろ! 全部忘れるのだ!」
「や、俺もみことに会えなくてずっと寂しかったよ」
「も、ではない! みことはちっとも寂しくなどなかったぞ! 学校が始まるのを指折り数えなどしなかったらからな!」
「……はは、なるほど。じゃあその分を埋めるべく、しばらく一緒にいましょうね」
 カレンダーを見ながら指折り数えてるみことを想像すると、思わず笑みがこぼれる。それを隠すため、という名目のもと、みことを膝にのっけて頭をなでる。
「寂しくないと言っているだろう! ……だ、だが、人の厚意を無碍にするのもなんなので、我慢してやる。と、特別だぞ?」
 こちらに振り返り、上目遣いでそんなこと言われた日には、そりゃもう。
「ああもうみことは可愛いなあ!」(すりすりすり)
「ひゃああああ!?」
「今すぐにでも一緒にお風呂入って洗いっことかしてえ!」(すりすりすり)
「は、犯罪だ、馬鹿者! そ、それより、すりすりするなあ!」
「ふっにふにでモチみてえ。ああもう一生こうしていたいなあ!」(すりすりすり)
「ふにゃー!」
 うららかな街角でみことの悲痛な声が響くのだった。

拍手[18回]

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Comment
無題
みことってお金持ちだったのねー、なるほど
最近いちゃラブ成分が増してきてなによりです...みことはかわいいなぁ!
No title
一人称が変わって子供っぽくなった感じ
でもかわいいからいいや
No title
半年くらい頭の横のでろん、ってしたやつ見てないの…お願い
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