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2017年12月11日
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【憑かれてるツンデレ】

2010年03月30日
 近頃ボクっ娘の顔色が冴えないので、ちょっとだけ心配。
「どした、ボクっ娘? なんか疲れてるけど……」
「そうなんだよ、大変なんだよ! 助けてよタカシ!」
「うわっ」
「あぎゅっ」
 突然ボクっ娘が走り寄ってきたので、慌てて避けると変な声をあげながら壁にぶつかった。
「やあ、痛そうだ」
「痛いよ! 鼻が取れるかと思ったよ! なんで避けるんだよ!」
 鼻をさすさすさすりながら、梓が怒った。
「ボクっ娘に触れると、俺の体は緑色の液体になって溶けちゃうんだ」
「なんだよそのバレバレの嘘! 嘘つくならもっとばれにくい嘘つけよなっ!」
「梓を抱き留めたりなんかしたら、恥ずかしさのあまり顔真っ赤になっちゃって、俺が梓のこと好きだってバレちゃうじゃん」
「えっ、えええええ!? たっ、タカシって、ボクのこと好きなの!?」
「ばれにくい嘘成功」
「半分くらいはそうだと思ったよ、ばかぁ!」
 なんか怒られた。半分は信じたのか。
「んで、どしたんだ? 大変とか言ってたけど……」
「あっ、そう! そうなんだよ! ボク、憑かれちゃったんだ!」
「ほう、漬かれた? 俺の知らない間に大人の階段上り、シンデレラならぬ漬物になってたんだな。何味?」
「違うよっ! 大人の階段上っても漬物にならないっ! 漬物じゃなくて、幽霊! 幽霊に取り憑かれちゃったんだよ!」
 いっぱいつっこまれた。
「要約すると、漬物の幽霊に取り付かれて漬物にされそうだ、ということか?」
「全然違うよっ! タカシが言ってるのとごちゃごちゃになってるよっ!」
「漬物の幽霊って何?」
「知らないよっ! ああもう、タカシと話してるとボクまで馬鹿になっちゃいそうだよ……」
 失礼な。
「とにかく、幽霊に取り憑かれちゃったんだ。どうにかしてよ」
「どうにかと言っても……漬物の幽霊なんて聞いたことないしなぁ」
「漬物のことはもう忘れて! 全然関係ないから!」
「分かった。今後一切漬物なんて考えないし、見もしない。それどころか存在を抹消させるべく、漬物抹殺部隊を編成して市場に溢れる漬物を」
「もーっ、もーっ、もーっ! 変なことばっか言うな!」
 怒られたので真面目に相手することにする。
「しかし、幽霊と言われてもなぁ……どんなの?」
「なんか、女の人っぽい。怖くてはっきり見てないけど」
「怖がり」
「しっ、仕方ないじゃん! ……女の子だもん」
「だがしかし、ここに男だと言うのにホラー映画に怯える者がいることを忘れるな!」
「なんでここまでかっこ悪い事を誇らしげに言えるんだろ……」
 うるさい。
「んじゃ、幽霊出して」
「出してって……ボクの意思じゃどうにもならないよ。それに、夜にならないと出てこないんだ」
「んじゃ、夜まで梓の部屋で待つとしますか。何する? えっちなこと?」
「するわけないだろ、えっちっ!」
 という訳で梓の部屋でゲームしたりだべったりして時間を潰し、夜になった。
「……眠い。寝る」
「ダメだよっ! 何しに来たんだよっ!」
「確か、寝に来たような」
「違うだろっ!」
 首をひねって思い出そうとするが、生憎眠くて頭が働かない。
「うーんうーんうーん……あ、思い出した。幽霊だ、幽霊」
「それくらい覚えてろよなぁ、もう……」
「梓の後ろに立ってる人見て思い出した。やあ、よかったよかった」
「後ろって……うう、うしろっ!?」
 自分の後ろに立ってる体の透けてる人を見て、梓は大げさに驚いた。
「でっ、でで、出たよ出たよ! 退治だよ除霊だよどうにかしてよタカシ!」
「どうにかしろと言われても、何の対策もしてないしなぁ。はっはっは」
「笑ってないでどうにかしろっ! ぼ、ボクが呪い殺されちゃってもいいの?」
「む、それは困る」
「え……」
 梓が殺されてしまうと、俺はこれから先誰をからかえばいいと言うのだ。
「待ってろ梓、いま助ける!」
「う……うん! なんだかタカシが有り得ないほどかっこよく見えるよ……」
 梓の近くに寄り、幽霊と接触を試みる。
「…………?」
 自分の置かれている状況をよく理解していないのか、幽霊は小首を傾げた。
「えい」
「ひゃんっ!?」
 触れるか試しにおっぱいをつついたら、幽霊の口から色っぽい声が飛び出した。
「な、なな、なにやってんだよ!」
「接触を試みた」
「もっと方法があるだろ! なんで胸つつくんだよ!」
「触れて一番嬉しい場所だし」
 素直に言ったのに、梓にほっぺ引っ張られた。怒っているようだ。
「胸をつつかれるとは……生まれてから死んだ後の今までで、初の事です。……ちょっと、ドキドキです」
 幽霊は少しうつむきながらも、ほんのり頬を染めながら言った。
「や、そんなこと言われるとお兄さん照れますよ? はっはっは」
「むーっ!」
 照れ隠しに笑ってたら、梓にほっぺをつねられた。
「デレデレしてる暇があったら除霊してよ!」
「何を言うか。デレデレなんてしてないぞ?」
「してたよ、しまくりだよ! デレーってほっぺ緩ませちゃってさ、馬鹿みたい」
「む、梓の頭じゃないんだから緩まないぞ」
「ボクの頭だって緩まないよっ! 人をバカみたいに言うなっ!」
「……幽霊というレアな存在なのに、無視されてます。……少し、寂しいです」
 梓と俺、どっちが緩んでるか議論してると、幽霊が言葉どおり寂しそうに俺の服の裾を引っ張った。
「それは悪いことをした。もう大丈夫、俺がいるからな」
「あっ……」
「ああーっ!」
 優しくしたら除霊できるかもと思ったので、幽霊の体を優しく抱きしめると梓が素っ頓狂な声をあげた。
「あ、ああ、あああああ! な、なにを抱きしめてんだよ!」
「いや、除霊を……」
「除霊を、じゃないよ! 抱きしめてんじゃん!」
「はぅ……」
「幽霊さんもなにうっとりしてんだよぉ!?」
「……男の人に抱きしめられるなんて、生きてる間もなかったことです。……なんだか、好きになっちゃいそうです」
「だだダメっ! そんなのダメダメダメだよっ! こんなの好きになっちゃ人生終わりだよっ!」
 酷い言い草だ。
「……私はもう人生終わってるので、好きになっても問題ないです」
「あ、そういやもう死んでるもんな。わはははは!」
「笑えないよっ!」
 それもそうだ。不謹慎でした。
「だ、第一さ、タカシってばいじわるだし、変なことばっか言うよ? 一緒にいたら疲れるし、やめといた方がいいよ?」
「その割にゃ、梓はいつも俺のそばにいるよな。疲れないのか?」
「ぼ、ボクは慣れてるからへーきだもん。慣れてない幽霊さんは大変だよ? だ、だからやめた方が……」
「……幽霊なので、疲れというものとは無縁です。……ぶい」
 ぶい、と言いながらピースサインを梓に向ける幽霊。明るい幽霊だ。
「……と、いうわけで、今日から貴方の幽霊さんです。……しばらく取り憑かせて頂きます」
「や、これはこれはご丁寧に」
 お辞儀されたので、礼を返す。
「これで幽霊は梓から俺に移行したな。よかったな、梓……あずさ?」
「う、うう、ううううう~っ!」
 てっきり「これで霊障に悩まされずに済んで嬉しいよ! お礼にボクの初めてあげる!」とでも言うと思ったのに、梓ったら目尻に涙を浮かべて俺を睨んでいた。
「ダメのダメダメダメっ! 一緒にいるとかダメっ! これボクんだぞっ!」
 すげー勢いで梓が俺の腕を抱きしめ、幽霊を睨んだ。
「え、いや梓、俺の所有権は俺自身にあり、決して梓には」
「タカシは黙ってて!」
「は、はい」
 いつにない迫力に、思わず押し黙る。
「……嫌です。あげません。私のです」
 梓につかまれてる反対側の腕をぎゅっと抱きしめる幽霊。知らない間に幽霊にも所有権を奪われていた。
「ボクのボクのボクの!」
「……私のです」
「あ、あの、お嬢さん方、俺は誰のものでも」
「「うるさいっ!」」
「すいません」
 結局、夜が明けるまで俺の所有権を奪い合われた。

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Comment
無題
続く……






と嬉しい(*´д`*)


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