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2024年11月24日
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【超モテモテのツンデレと超モテモテの男】

2010年03月30日
 モテにモテて困る。
「たっ、タカシ、アンタどうしたの!?」
「猫が……」
「猫が、じゃないわよ! 猫まみれじゃない!」
 かなみの言うとおり、全身余すところなく猫がくっついてる猫にモテまくりの俺です。
「そんなに猫つけて、寒いの?」
「暑い。毛が暑くて暑くて困る」
 暑いのでくっついてる猫を引っ張ってみると、猫は離れるもんかと爪を立てて抵抗する。
「いていて、爪が食い込む」
「それで、どしたの?」
「自転車で暴走運転してたら、誤って山盛りのまたたびに突っ込んだ」
「…………」
 すごい呆れた顔で見られた。
「……なんで暴走してたのとか、なんでまたたびが山盛りであるとか言いたいこと色々あるけど、とりあえず。馬鹿」
「返す言葉も御座いません」
 ぺこりと頭を下げると、頭にくっついてた猫がにゃあと鳴いた。
「どうした、猫?」
「にゃあ、にゃあにゃあ」
「ふむふむ、まるで分からん。わはははは!」
「にゃあ~」
「…………」
 猫と会話を楽しんでると、かなみが俺の方をじっと見ていることに気づいた。
「どした? 猫欲しい? あげたいけど、取れないんだ」
「いらないわよ、ばーかっ!」
 悪態をついて、かなみは席に戻ってしまった。……何を怒ってんだ?
「女心というものはよく分からないものですね、先生」
「席に着け、別府。あと、猫どうにかしろ」
「無理です」
 その日はずっと猫まみれでした。にゃーにゃーうるさかった。
 翌日。風呂に入ってまたたび臭が消えると猫もどっか行ったので、スッキリして学校へ向かう。
「……おはよ」
 やけに元気のない声に振り向くと、そこに猫まみれの何かがいた。
「おはよう、猫まみれな人。だれ?」
「……かなみよ。……そこに、なんか山盛りのまたたびあって、そこで転んじゃって、山に突っ込んじゃって、猫が……」
「ドジ」
「しっ、仕方ないじゃない! あんな沢山のまたたび、見るの初めてだし! しかもなんか道路つるつるしてたしっ! 転びもするわよっ!」
「なんつーか、ご愁傷様だな」
「はぁ……なんでこんなことに……」
「俺が昨日山盛りまたたびに激突したことに憤慨し、夜の内に必死でかなみの通学路に置き直し、さらにそこで転びやすいよう油を撒いたからではないぞ」
「アンタのせいかぁぁぁぁッ!!」
 俺のせいじゃないと言ったのに、猫まみれが怒った。殴られるので適当言って回避!
「い、いや、強いて言うなら……運命?」
「はぁ? なに言って……」
「そう、運命! 俺が昨日猫まみれになり、今日かなみが猫まみれになるなんて、運命以外考えられない!」
「……ば、ばっかじゃないの? そんなわけないじゃない、アンタがそうなるように仕組んだんでしょ!」
 口では怒っているが、まんざらではない様子。あと一押し!
「それに、ネコ可愛いし、相乗効果でかなみの可愛らしさもさらにさらに!」
「えっ……そ、そうかな?」
 嬉しそうにはにかみながら、かなみは照れ臭そうに猫のヒゲを引っ張った。ぎにゃーって聞こえた。
「けど、猫に隠れてかなみの顔がよく見えないから意味ないや。わはははは!」
 かなみは怒りながら俺の頬を引っ張った。ぎにゃーって聞こえた。
「まったく……いらんことばっかして。ねー?」
 そう言って、かなみは腕に引っ付く猫に笑いかけた。猫はにゃあ、と答えた。
「あははっ、このコもアンタが馬鹿って言ってるわよ?」
「にゃーとしか言ってねーよ」
「違うよね、馬鹿って言ってるもんねー? 『そうにゃー。タカシはバカにゃー』」
「お前が言ってるじゃねえか……」
「あははっ、気にしない気にしない」
 そう言って、かなみは楽しそうに笑いながら猫にアフレコするのだった。

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