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2017年09月24日
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【ボクっ娘が弁当を作ってきた】

2010年05月03日
 ボクっ娘が弁当を作ってきた。それはいいが、なんで俺に作ってくるんだろう。
「はい、めしあがれ」
「……俺、いつの間におまえの弱みを握ってたんだ?」
「そんなんじゃないよっ! え、えっと、この間数学教えてくれたでしょ? そのお礼だよ」
 お礼か、それなら理解できる。
 ただ、普段梓をいじめてばかりいる俺に、普通の弁当を作るだろうか。……まさか、罠?
「…………」
「わぁっ、なに無言で蓋閉じようとしてるんだよっ!」
「いや、罠かと思って」
「そんなことしないよっ! ……タカシ、ひょっとしてボクが作ったお弁当食べるの、嫌なのかなぁ……?」
 梓のまなじりに涙が溜まりだしたので、慌てて蓋を開く。
「可愛いボクっ娘の作ってくれた弁当を食べるのは至上の喜びだなぁ」
 梓のほっぺをすりすりすると、ものすごく赤くなった。
「ううううう……は、恥ずかしいよぉ」
 しまった、言われてみれば俺も恥ずかしい。
「……あんたら、何二人して赤面してんの?」
 通りすがりのかなみに馬鹿にされる。
「ええい、もう食うぞ!」
「あっ、待って待って」
 おあずけされた犬のようにそのままの大口を開けて待つ。すると、梓は自分の箸を持ち、卵焼きをつまんだ。
「は、はい、あーん」
「…………」
 これはアレですか、羞恥プレイというやつですか。
 さすがに勘弁して欲しいと目で訴えると、梓のまなじりに再び涙が。
「……あーん」
「はいっ。どう? おいしい?」
「むぐむぐむぐ……殻が入ってて舌が痛い」
「…………」(涙じわーっ)
「カルシウムも一緒に摂取できるなんて、なんと素晴らしい弁当なのだろう!」
 すぐに泣く梓もどうかと思うが、泣かれるとすぐに迎合する俺もどうかと思う。
「えへっ、えへへへへっ。優しいね、タカシ」
「俺のどこが優しいと言うのだ。まったく、変なことばっかり言うな」
「えへへっ。はい、次。唐揚げだよ」
「…………」
 黒い炭の塊を、梓は唐揚げと言って俺に突きつけた。
「はい、あーん」
「あ、梓も食えよ。俺ばっか食ってたら悪いだろ」
「あ、大丈夫だよ。ボクの分は別にあるから。……実は、ボクの分はお母さんに作ってもらったんだけどね」
 そう言って軽く笑う梓に、どうしてもそっちをくれとは言えなかった。
「……やっぱり、初めて作ったからおいしくないのかなぁ……?」
「はぐっ。……うむ、こんなじゃりじゃりとした元素記号Cっぽい唐揚げなんて普段食えないからな。ナイスだ、梓」
 炭の味しかしない唐揚げをどうにか飲み込む。
「…………」
「どうした? 次を待ってるんだが」
 こうなったらヤケだ。全部食ってやる。
「……えへへっ。やっぱりタカシ優しいね」
「……勘弁しろよ」
 涙を滲ませ微笑む梓に、俺は軽くため息を吐くのだった。

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