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2024年05月11日
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【シア 最初】

2012年04月28日
【シア 最初】
 ある日、我が家に送られてきた一冊の魔導書と、一通の手紙! そこに記される驚愕の事実!
 父が送ってきたその魔導書は、世界を滅ぼす鍵となるものだった! そして、突如襲撃してくる悪魔崇拝者たち!
 その時、魔導書から声が! 『我を召喚せよ!』 本を開くと、魔方陣が宙空に浮かぶ! そして現れる、不定形の存在!
 触手が伸び、悪魔崇拝者たちを捕らえ、食う、食う、食う! 戦闘ではない、ただ一方的な虐殺!
 血の海を作り終えると、次に触手はこちらを向いた! 殺される、そう思った刹那、不定形は形を変えた!
「はー、久しぶりにお腹いっぱい♪」
 不定形は女の子になってました。

拍手[11回]

「その後なんやかんやあって、我が家に居着いているわけなんですが、どう思いますか」
「もぐもぐ……もっといっぱい敵さん来たらいいのにね。豚さんや牛さんもいいけど、やっぱり人が一番おいしいね!」
 この不定形の存在(シアと名付けた)は、人を食う(比喩的ではなく、物理的な意味で)ので、とても怖いが、どうやら召喚した俺の言うことはきいてくれるようなので、一応は安心なのだろう。
「その言い方だとまるで今現在人を食ってるように思えるので訂正してください」
「今は豚さんを食べてるよ。もぐもぐ」
「しかも、生でね。どうして調理しない」
「おいしいよ? 彰人も食べる?」
「結構です」
「おいしいのにぃ……」
 妖怪食っちゃ寝もかくやと思えるほどコイツは暇さえあれば飯を食ってるので、我が家の家計は大変です。
「もぐもぐごっくん。ごちそーさまでした!」
「やっと満足したか……どんだけ食ってんだ」
「あーおいしかった! ……えへへー、それでね?」
 にっこり笑いながら、シアは音もなくこちらにすすすーっと寄ってきた。
「何スか」
「食欲が満たされたら、他の欲も満たしたいなーって、ね?」
「なんてえろい! ただ、人食いとか怖いから嫌だ」
「食べないからー! 彰人は食べないからー! ていうか彰人は召喚主だから食べたくても食べられないのー!」
「食べたいのか」
「こ、言葉のあやだよ、あや。……食べていいの?」
「ああやっぱ超怖い。やっぱ燃えるゴミの日に缶か何かに詰めて出しておこう」
「燃やさないで! ……ていうか、シアは燃えないよ?」
「なんと、スライムの弱点は火と相場が決まっているのに。んじゃ、弱点は何?」
「……言うと彰人はシアを殺しちゃうから、言わない」
「なんでやねん」
「あいたっ」
 シアのおでこをびしっと軽く叩く。
「例の悪魔崇拝者どもがまた来るかもしれないんだろ? その対抗手段であるお前を手放すわけねーだろ」
「う~……じゃあ、来なくなったら、殺すでしょ?」
「死にたいのか?」
「ううん。……でも、シアは人食べるし」
「俺に危害を加えないのであれば、別にかまわん。俺が無事であれば他人はどうでもいい主義だから、倫理に外れた行いも別段気にしないぞ」
 シアは黙って笑顔を見せた。だが、どうにもその笑顔は儚い。
「何を嬉しそうに笑ってるか」
「あぅ~」
 なので、頬を引っ張って儚さを取ってやった。
「とにかく。少なくとも悪魔崇拝者どもが諦めるまでは俺の側にいろ」
「……えへへへへー」
「別にニヤニヤしながら寄り添えとは言ってません」
「に、ニヤニヤなんてしてないもん!」ガスッ
「はぐわっ」
 シアは手を金槌のようなものに変化させ、俺のどたまを殴った。
「……あ」
「ツッコミにしては少々きつくないですかね?」
「あ、あはは……あ、彰人、笑顔が怖いよ? 血も出てるし、治すからじっとして?」
「まあその前に。お仕置きの時間だ」
 シアのほっぺを掴み、思い切り引っ張る!
「あうーっ! 痛い痛い、痛いよ彰人!」
「お仕置きだからね。仕方ないね」ギリギリ
「あうぅーっ!」
 シアの泣き顔に満足したので、手を離す。
「ううう……とっても痛いよ。彰人は悪魔だよ。悪魔超人だよ」サスサス
「化け物が何言ってんだ」
「化け物じゃないもん! 女の子だもん!」
「もんもんうるせえ! だよもん星人か!」
「だよは言ってないもん!」
「超うるせえ! このままでは安眠できないのでいずれ寝不足で死ぬ!」
「急に寝る心配しないで!」
「そりゃそうだ。あと、お前に鈍器で殴られ血が出続けていることを思い出したので、俺の傷を治せ」
「うう……めちゃくちゃだよ、彰人」
 そう言いながら、シアは身体から触手を伸ばし、俺の傷口に触れた。そしてその傷口の上から自分の薄く虹色に光るぬめぬめとした体液で覆い、傷を塞いだ。
「はい、終わったよ。しばらくしたら治るからね」
「うむ、ごくろう」ナデナデ
「わ、わ! なでられた!」
「でもよく考えたらお前のせいで血が出たので、なでなで中止」
「あぅー……」ションボリ
「…………」ナデナデ
「……えへへへへっ」スリスリ
「寄るな」ゲシゲシ
「優しいのか冷たいのか分からないよ!」
 そんな不定形との日常。
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沙耶?徴くるといいなー
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