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2020年02月18日
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【全員に焼肉おごるツンデレ】

2010年05月02日
 みことが宝くじを当て、友達に焼肉を振舞ってくれるらしい。
 執拗にアピールした結果、俺も連れて行ってくれることになった。皆と共に焼肉屋へ向かう。
「おおおおおっ! 久しぶりの動物性タンパク質、ここで摂取せずにいつ摂取するか!」
 涎を垂らしつつ鉄板に突進する俺を、みことが押し留めた。
「ああ待て待て。貴様はそっちのテーブルだ」
 指されたテーブルには、不思議なことに野菜しかなかった。
「……え? あれ? 俺、焼肉食いに……」
「なんだ、野菜は嫌いか?」
「いや、嫌いじゃないけど、俺、焼肉……」
「そうか、それはよかった」
 なんて晴れやかな笑顔で言って、みことはみんながいるテーブルへ行ってしまった。
「…………」
 俺は静かに指されたテーブルに着き、一人野菜を焼いた。
「誘ってくれてありがとね、みこと! いやーやっぱ肉はいいわね!」
「気にすることはない。泡銭だ、こうやって皆で使ったほうがいい」
「……おいしい。むぐむぐ」
「あっあっ、ちなみさん、タレがこぼれてますわよ。このハンカチをお使いなさい」
「あっ、これボクの肉だよ! 取らないでよ、いずみちゃん!」
「なに言うてんねん、早いもん勝ちに決まってるやないか!」
「あさましいのぅ。……こっ、こら、儂の肉を取るでない、いずみ!」
 ……玉ねぎ美味しいなぁ。
 俺が一人で野菜をもそもそ食ってる間に、もう一つのテーブルは食事を終えたようだ。
「あーお腹いっぱい! ねーみこと、デザート頼んでいい?」
「ああ、構わないぞ」
「…………」
 おかしいなぁ。おごってもらってるのに、なんか涙出てきた。
 ごしごし目をこすってると、誰かに肩を叩かれた。振り向くと、そこにみことがいた。
「野菜は美味いか?」
「……こんないじめ思いつくって、みことは凄いな」
「いじめとは心外だな」
「それ以外の何なんだよ! 焼肉屋で野菜だけ食うって、菜食主義者でもなかなかの試練だぞ!」
 俺とみことがやいやい言ってるうちに、友人らはデザートを食い終えたようだ。
「ごちそーさま、みこと。今日はありがとね~。野菜おいしい? タカシ」
「ドやかましいッ!」
 笑い声を残し、みんな出て行った。
「くっ……もう俺も帰る! 野菜美味かったよ、ごちそうさま!」
「そうか、腹は膨れたか?」
「全然まったくちっとも!」
「そうか、それは何よりだ。……その、だな。実は、ここの店主が上等な肉を仕入れたと聞いてな」
「そうか、それはよかったな!」
「その肉は大層美味いらしいが、生憎一人前しか仕入れられなかったそうだ」
「……つまり、それをお前が食うんだな? ……ま、まさか俺に見せびらかすつもりか畜生!」
「……やはり馬鹿だな、別府は。普段ろくなものを食ってない貴様に食わせてやろうと思っているのだが」
「なんと! その言葉に嘘偽りはないな、みこと!」
「な、ない」
 俺の勢いにやや引きながらも、みことははっきり答えた。
「そっか……いや、屈辱の余り店に火をつけなくてよかった。……ところで、なんで野菜ばっか食わせたんだ?」
「こんな機会でもなければ、貴様は野菜を食わんだろう?」
 そう言ってみことはにっこり笑った。
「まったく、本気で嫌われたかと焦ったぜ。罰だ、俺と一緒に食え」
「む……いや、しかし」
「いーから食え。一人で食うのはなんか寂しいんだよ」
「し、仕方ないな。寂しがり屋の別府のためだ、一緒に食ってやろう」
「……もひとつ罰。あーん、ってやってくれ」
「ふっ、ふざけるな! そんなことできるか!」
「ああ、みことに深く傷つけられたこの心が癒える時が来るのだろうか?」
「……くっ、き、貴様……わ、わかった」
 俺はみこととイチャイチャしながら食事を終えた。
 ただ、途中調子に乗りすぎ、顔を焼けた鉄板に押し付けられた。三回。

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