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2025年07月06日
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【ちょうちんあんこうちなみん】

2010年05月22日
 ちなみに秘蔵のエロ本を見つけられ、全部捨てられた。泣きながら寝てると、ちなみがちょうちんあんこうになって俺の部屋にやってきた。
「……ちょうちんあんこうです。ちょー、ちょー」
「こんな夜中になんだよ……もうエロ本はないぞ、全部捨てられたんだから」
「……これ、これ」
 くいくい、とあんこうの頭から突き出た疑似餌を指差す。……本?
「なんの本だよ……えーと、『ちなみ写真集(マニア向け)』?」
「……作った。にひ」
 あんこうを軽く殴る。
「……痛い」
「何作ってんだよ! マニア向けって俺がマニアってことか!?」
 両手で頭を押さえ、ちなみは不満げに俺を見た。
「……マニア。どマニア。……スクール水着とかブルマとか着てる子を見てる時のタカシって、狩人の顔してる」
「げふんげふんげふん! そんなのはどうでもいい」
「……それが発育が遅れてる子なら、なおのこと」
「やめてお願い俺の性癖ばらさないで!」
「……そんな変態なタカシに、これを贈呈。……発育が人よりやや遅れてる私の肢体がいっぱい」
 胸がぺたんこなのに、『やや』と虚勢を張るちなみが少し可哀想。いや、つるぺた大好きだけど。
「まぁくれるなら貰うけど……」
 疑似餌に括り付けられた写真集を取ろうとしたが、かわされる。
「……これ取ったら、もうえっちな本買わないって、約束、する……?」
「そ、それは、ちょっと……」
「……そ。じゃ、これ、いらないんだね」
「う、う~……。分かった、買わない。買わないから、くれ!」
 今後エロ本を買えないのは大変辛いが、やはりちなみのスク水ブルマ写真集には勝てないだろう。
「……じゃ、進呈。……今読まれると恥ずかしいから、後で読んでね」
 俺が本を取ったのを確認すると、ちなみは素早く部屋から出て行った。
 ……あんこうでどうやってあんなに速く動けるんだ。まぁいいや、早速見よう。
 ちなみ写真集。表紙は、スク水姿のちなみが波間で遊んでいる姿だ。……いつの間に撮ったんだ、こんな写真。
 ページをめくる。……なんか、ムカデの着ぐるみを着たちなみ。
 さらにページをめくる。犬、パンダ、セミ、ペンギン……。
「……着ぐるみ写真集じゃねえか、馬鹿野郎ーーーーーーーーッ!!!」
 俺は夜空に吠えた。涙が出ているのは、気のせいじゃないはず。

「……一言もブルマやスクール水着を着てるとは言ってないもんね。にひ」
 ちなみは謀った。
「……でも、次の本は……ちょっとくらい着てるの載せても……いい、かな」

「あああああ、ちくしょーーーーーーーーーー!!!」
 続刊予定とは露知らず、近所の犬たちと一緒に吠えたけるタカシであった。

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【てんとう虫ちなみん】

2010年05月22日
 夏は虫が多くて困る。でも、てんとう虫は確か春の虫だったと記憶している。つまり、夏である今、存在しないはず。
「……貴様、偽者だなっ!?」
「……てんとう虫です。てん、てん」
 俺の華麗な推理を無視し、てんとう虫なちなみはてんてんと鳴いた。
「……歌います。あなた~と私が~、ゆ~め~のくに~。森の小さな教会で、結婚式を挙げました」 
 羽を収納する部分からマイク取り出し、いきなり歌いだした。
「……で?」
「……というわけで、結婚式しましょう」
 物凄いこと言われた。
「なんで!?」
「……てんとう虫ですから。てんとう虫のサンバには逆らえません」
 いいから逆らえ。頼むから。
「……照れてるあな~たに~虫たちが~、口づけせよとはやしたて。……そっとあなたは、くれました」
「……まさか、キスか?」
「……別に私がしたいんじゃないです。……歌が、そうしろって」
「いや、あの……」
「……しないと、虫たちにはやしたてさせます」
 再び羽を収納する部分に手を入れ、今度は大きなビンを取り出した。中に、無数の小さな虫が飛び回っている。その口に、ちなみは手をかけた。……あの虫、蜂?
「脅迫されてる!?」
「……人聞き悪いです。ただ、歌の通りにしないと、てんとう虫としてプライドが傷つきます」
 捨ててしまえ、そんな無駄なプライド。
「……いーから黙ってさせてください。減るもんじゃないですし」
「それ、女の子が言う台詞じゃねえ!」
「……気にしない、気にしない」
「いやーーーー! 犯されるーーーー!」
「……ちゅーしたら、黙るかな」
「だから、それ女の子の台詞じゃ……んぐっ!?」
「ちゅっ……ちゅ、ぺろ、ちゅー」
 いっぱいちゅーされた。なんか悔しい。いつか復讐してやる。

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【ツンデレが男のモテモテな姿見てヤキモチやくとどうなるの?】

2010年05月20日
 文化祭まで日がないというのに一向に準備が進んでないらしく、どういうことか実行委員に問いかけたら「人手が足りない」という答えが返ってきた。
 折角の文化祭だ。精一杯楽しみたいと思い、放課後、俺は手伝いを申し出た。
「ありがと~。みんなやってくれないから助かった~」
「うんうん、みんなすぐサボろうとするんだもの。今日も当番の男子サボってるし」
「いやいや、困ってる女性を助けるのは当然のことですよ。にゃはははは」
 けっこう可愛い女生徒たちに感謝され、思わず笑みがこぼれる。
「…………」
 ちなみに背中をつねられる。
「痛い! なにすんでい、ちなみ!」
「……別に」
 いつもより微妙に無愛想に言って、ちなみは作業を始めた。
「なんだ……? まぁいいや、俺も手伝うぞ」
 あてがわれたでかい板に釘を打つ。打ちまくる。
「……ところで、文化祭なにすんだっけ?」
「あれ、別府君知らないの? おばけ屋敷だよ」
 女生徒に問いかけると、そんな答えが返ってきた。
「ああ、おばけ屋敷か。どんな感じにするんだ? やっぱ定番の焼きそばおばけ屋敷か?」
「な、何それ」
「知らんのか? 焼きそばおばけ屋敷とは……」
 詳しく説明すると、非常に微妙な顔をされた。面白いのに。
「それにしても、どうして別府君は手伝ってくれたの?」
「えーと、暇だから」
 本当の理由を言うのはなんだか恥ずかしいから、適当に茶を濁す。
「え~、本当に?」
「それ以外にどんな理由があるってんだよ」
「だからぁ、私たちが大変だから助けてあげよう、って思ってとか」
「は?」
「そうそう、そういうとこあるよね、別府君って。さりげなく優しいっていうか」
 別の場所で作業していたもう一人の女生徒がやって来て、話に加わる。
「気のせいだろ。買いかぶり過ぎだ」
 話の流れが嫌な感じになってきた。釘打とう、釘。
「結構人気あるよね、別府君。……ね、彼女とかいるの?」
「あー、えーと、いない、けど」
「ホント!? それじゃ私立候補しようかなー?」
「あー、久美子ずるい! 私も結構別府君のこといいかなーって思ってたのに!」
 その時、背後で破砕音がした。恐る恐る振り返ると、嫌な感じのオーラをまとったちなみが板を金槌で粉砕していた。
「……ごめん、壊しちゃった」
「き、気にしないでいいよ、ちなみ」
「そ、そうそう、失敗なんて誰にでもあるから」
 冷や汗を垂らした二人は、そのまま俺から離れて作業を再開した。残された俺は、ゆっくり近づいてくるちなみを大量の冷や汗を感じながら迎えるしかなかった。
「……よかったね、モテモテで」
 ぶら下げた金槌を小さく揺らしながら、ちなみは非常に不愉快そうに言った。
「い、いや、別にそんな……」
「……さりげなく優しいらしいね。……私にはあんまり優しくしてくれないのに」
 物凄い量の冷や汗が流れる。ちなみの目が怖い。
「いや、俺は……」
「……恋人に立候補だって。……ほんと、優しい別府君はモテモテだね」
 ゆっくりゆっくりこちらへやってくるちなみに、我知らず唾を飲む。
「い、いや、俺は別にそんなつもりは……」
「……いいけどね、別に私は別府君の彼女でもなんでもないんだし。……いいけどね」
 俺が釘を打ってた板のそばに座り、どかどか釘を打つ。
「……何してんの。……やんないなら帰ったら」
「あ、いや、やる。やらせてください」
 恐る恐るちなみのそばに座り、無言のプレッシャーに苛まされながらおばけ屋敷の壁を作った。
 
 真綿で首を絞められるような長い長い時は終わり、ちなみと一緒に帰宅の途につく。
「…………」
 しかし、学校出てからずっと無言で死ぬほど気まずい。何か話さないと、何か。
「えーっと、象さんって可愛いよな……あれ、ちなみ?」
 隣を見ても、誰もいない。慌てて振り向くと、少し離れた場所でちなみは座り込んでいた。
「ど、どした? なんかあったか?」
「……疲れた」
「……は?」
「……疲れた。……おんぶして」
「え、いや、おんぶって……」
「……嫌なら、いい」
「嫌なんかじゃない! おんぶさせてお願い待って立たないで!」
 慌ててちなみに駆け寄り、背を向けてしゃがむ。しばらく間があって、ちなみが俺の背中に乗ったのを感じた。
「の、乗った? いいかな?」
「……いい」
 ちなみを背中に乗せ、宵闇の街をゆっくり歩く。
 体の距離が近づいた分だけ、心も近づけたらいいのに、なんてらしくないことを思ったり。
「……タカシが悪いんだよ」
 道程も半ばを過ぎたころ、ぽつりとちなみが呟いた。
「え?」
「……タカシが女の子にモテていい気になってるのが、悪いんだよ」
「え、えっと……?」
「……そんな似合わないことしてるから、なんか、……イライラする」
 ぎゅっ、と俺の首に回された手に力がこもる。
「……ああ、つまり焼きもちを妬いた、ってことぐぇぇ」
 ぎゅーっ、と俺の首に回された手に力がこもる。ていうか首絞められてる。
「……焼きもちなんて妬いてない。……別にタカシのことなんて、好きじゃないし」
 力を緩め、ぼそぼそとちなみは言った。
「俺はおまえのこと、結構好きだけどな」
「ッ! ……そういうことを平気で言うとこ、嫌い。大嫌い」
「そりゃ残念」
 あとは、ずっと無言だった。けど、ちなみの暖かさに触れていたせいか、嫌な空気じゃなかった。

 しばらくして、ちなみの家に着いた。背から降ろし、別れを告げる。
「じゃな、ちなみ。お休み。また明日、学校でな」
 そのまま帰ろうとしたら、袖を掴まれた。
「ん? なんか用か?」
「……ちょっと、かがむ」
「はぁ、別にいいけど……何すんだ? キスでもしてくれんのか?」
「…………正解」
 気がつけば、目の前にちなみの顔。そして、唇に柔らかな感触。……キス、された?
 いきなりのことに、頭が真っ白になる。
「お、おま、な、なにを……」
「……印。……取られたら、面白くないし」
 暗闇でも分かるほど、ちなみの顔は赤い。そして、俺の顔も同じかそれ以上に。
「し、しるし? 何が?」
「……タカシは私のもの、っていう印。……ダメだよ、私以外のものになったら」
「も、ものって、おまえ、人のことを物扱いして……」
 ダメだ、顔がにやけして仕方がない。
「……いいの。タカシは物。タカシは私の物。……拒否権は、ないから」
 そう言って、ちなみは薄く笑った。
「そ、それって、俺のこと好きってこと、か?」
「……さあ、ね。……とにかく、あの子たちに色目使ったら……知らないから」
 色目を使った覚えはまるでないが、今の俺はちなみの所有物。所有者に逆らうわけにはいかないだろう。……そういうことにしといてくれ。
「分かった。ちなみのそばにいる」
「……ずっと?」
「ずっとだ。嫌ってくらいにな」
 ちなみは嬉しそうに微笑んで、家に入っていった。
 俺は明日の文化祭の準備を楽しみにしながら、帰途に着いた。

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【さめちなみん】

2010年05月19日
 今日の体育はプール。つまり、スク水鑑賞の日。先日は拝めなかったちなみのスク水、たんと鑑賞させてもらうぜ!
 と気合を入れて女子更衣室の前で待っていたのに、出てきたちなみはサメだった。
「……サメです。しゃーくしゃーく」
 うるさい。なんだその鳴き声。
「……ちなみに、しゃーくというのはサメの英語名です。……ジョーズと勘違いしがちですので、気をつけましょう」
 知ってる。ひれで頭をぺんぺん叩くな。馬鹿にしてんのか。
「ああもう腹立つ! こうなったら覗いてやれ!」
 ちなみのスク水姿が見れないことで超欲求不満になり、思わず更衣室に侵入しようとすると、急に尻が痛みだした。不思議に思って振り向くと、ちなみが俺の尻に噛み付いていた。
「ああなるほど……って、なにしやがる!」
 尻に噛り付くちなみを振りほどく。
「……サメですから。噛みますよ?」
「もう噛んでる! ……ああもういいや、スク水見れないし、今日はサボろう」
「……他の人、みんなスクール水着着てますよ?」
「俺はちなみのスク水が見たかったんだよ」
 言ってから、失言だったかな、と思った。
「……えっと、……見たかった?」
 ほらな、困ってる……え?
「え、見せてくれるのか?」
「……ちょっと恥ずかしいけど、……まぁ、……タカシは遊んでくれるから」
 そう言って、ちなみは更衣室の中に入っていった。そして、指でちょいちょい、と俺を呼んだ。
 俺は、少しドキドキしながら魅惑の女子更衣室に侵入した。そこで見たものは!
 ……着替え中の、女の子たちだった。そういやまだ全員着替え終わってないもんな。
 ちなみの罠なのかな、と殺気立った半裸の女の子たちに囲まれながら思った。

「はい、授業をはじめ……うわぁ! なんだ、これは!」
 体育教師が俺の様子を見て驚いている。
「「「罰です」」」
 女子たちが異口同音に発声するのを、俺はポールに吊るされてぼんやり聞いていた。

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【ハチちなみん】

2010年05月19日
 夏なので暑い。クーラーがぶっ壊れている今、より暑い。窓を開けて少しでも涼を取ろうとしたら、ハチが入ってきた。何とか追い出したら、またハチが入ってきた。ドアから。
「……ハチです。ぶーん、ぶーん」
 このハチは、なかなか出て行きそうにない。
「……実は、いい針が見つからなかったんです」
「はは、それは残念だなぁ」
 針で刺される恐怖から解放され、俺は笑顔で言った。
「……ですから、これで我慢してください」
 そう言って、ちなみは懐から三つほど短い棒を取り出した。そしてそれを組み立て、先に何か尖った物を取り付けると、立派な槍が出来上がった。
「ちょ、ちょっと待ってください。ずいぶんと殺傷能力高そうですよ?」
 鋭い穂先が光を反射するのを見て、暑さとは違う汗が流れる。
「……死にたくなかったら、ハチと遊んでください」
 俺を槍で脅しながらちなみは言った。ふん、この俺がそんな脅しになど
「なんでもやります」
 乗ります。死にたくないし。土下座も辞さぬ構えです。
「……じゃ」
 ちなみは槍を投げ捨て、あぐらをかいた俺の膝の上に座った。
「……暑いです」
「あー、クーラーぶっ壊れたからな。てーか、暑いならひっつくなよ」
「……嫌です。その手には乗りません」
 そう言って、ちなみは俺に抱きついた。柔らかいのはいいけど、暑いのが堪らん。
「……汗でべとべとです」
「あちーんだよ、いいから離れろ」
「……もっと、私に優しくしてください。……刺しますよ?」
 ちなみの視線が投げ捨てられた槍に行くのを感じ、俺は慌ててちなみの頭をなでた。
「……ん、気持ちいいです。……それにしても、暑いですね。……そうだ、お風呂入りましょう。……一緒に」
「んなっ!?」
「……なんでもしてくれるんですよね?」
 にまり、と笑うちなみに、俺は乾いた笑いを返すことしか出来なかった。

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