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2019年10月18日
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【人魚ちなみん】

2010年04月09日
「貝ブラっていいよね。男の夢だよね。誰かやれ」
 かなみに殴られ、まつりに斬られ、みことに窓から放り出された後、俺は泣きながら帰宅した。
 そこで待っていたのは、人魚なちなみだった。
「……人魚です。ぴちぴち」
「……いつの間に先回りを?」
「……泣き叫んで許しを請っているにも関わらず、みことに窓から投げ捨てられたところ辺り、かな」
 とても恥ずかしいところを見られていたようだ。日常と言えなくもないが。
「で、何用でしょう?」
「……貝ブラです。にひ」
 ちなみは胸を張って、貝ブラを強調した。……ほぼまっ平らな胸で、どうやって貼り付けてるのだろう。
「……嬉しい?」
「ま、まぁ、それなりに」
 本当は脳汁が耳から出そうなほど嬉しいけど、言ったら調子に乗るので言わない。
「……あんまり喜ばないので、今日は帰ります」
「待って死ぬほど嬉しいからここにいてお願いします!」
 今回だけは俺の負けということにしてやろう、と土下座しながら心の中で思う。
「……にひ」
 ちなみは意地の悪そうな笑みを浮かべた。……計算ずくだな、チクショウ。
「……どうです? おっぱいぼいーんな私が貝ブラして」
「おっぱいぺたーんだけど、貝ブラはいいな。堪らないな。鼻血が出そうだ」
「…………」
 なぜか睨まれた。褒めたのに。
「……どうせ私はぺたんこです。ちょっとくらい夢見てもいいじゃないですか。……タカシはいじわるです」
 上目遣いに睨むちなみに、俺は頭をなでながら優しく言った。
「大丈夫、小学生みたいで可愛いぞ」
「……全然まったくちっとも嬉しくありません」
 最上級の褒め言葉が通用しない。女心は難しい。
「ほら、えーっと、そのな、つるぺただと……」
 俺がどう言い繕うか考えていると、ちなみの胸に張られた貝が床に落ちた。
「……こういう素敵なハプニングが起こるし」
 ピンク色のつぼみを網膜に焼き付けながら言った。言い切った。
「…………」
 胸を押さえ、怒りに震えるちなみ。
「……がう!」
 がぶり、と俺の腕に噛み付いてきた。
「痛え! 何すんでい!」
「……見ました。私のおっぱい見ました」
「違う! 見たのはおっぱいではなく乳首だ!」
「一緒です! というかより悪いです! もうお嫁にいけません!」
「元よりお前みたいな変な奴が嫁にいけるわけないだろ、ばーか!」
「……う~! がう、がう、がう!」
 噛まれまくった。
「……タカシはひどいです。あんまりです」
 ちなみは噛むのをやめ、ぽつりと呟いた。
 ひどいのはちなみだろう、と全身に刻まれた噛み跡を見ながら思った。
「……そういう時は、嘘でも『俺が嫁にもらってやる』と言うものです」
「嘘は嫌いなんだ」
「……そう、ですか」
 うつむいたちなみに、俺は言った。
「だから、嘘が本当になるまで待ってくれ。なに、そう時間はかからないさ」
「え……」
「……に、二回も言えるか! こんなクソ恥ずかしいこと!」
 ちなみが柔らかく微笑むのを、俺は顔が熱くなるのを感じながら横目で見ていた。

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