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2019年10月18日
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【ツンデレは夜中に一人でさみしいようです】

2010年02月01日
 夜は眠いので寝ようと布団を掴んで持ち上げたら、どういうことか見知った顔がそこに。
「……寒い。早く布団戻せ」
 あまりの事態にそのまま固まっていたら、布団の中にいた人物が迷惑そうな顔をしたまま体を縮ませた。
「いや、ちょっと落ち着こう。確かに俺は妄想激しい人物ではあるが、現実という器にこうもリアルに映し出すことが出来ようか。いやできない。反語」
「……反語って言いたいだけだ」
「うるさい。まあアレだ、ここから導きだされる結論は、なんで人の布団の中にいますか、ちなみさん」
 本来いるはずのない人物にたずねると、ちなみは面倒くさそうに口を開いた。
「……ここ、私の部屋」
「そんな無茶が通用するか。どこをどう見ても俺の部屋だ」
「……今日から私の部屋」
「コイツ無法者だ!」
「……なわけで、寝る。……早く電気消せ」
「いやいや、いやいやいや。出てけ」
「……こんな可愛らしい女の子を、冷たい風がぴうぴう吹く寒空の下、たった一人出て行けとタカシは言う。……鬼?」
「自分の家に帰れと言っているのです! 隣だろうがっ!」
「……めんどい」
「めんどいって……ていうか、いつの間にここに潜んでたんだ? 全然気づかなかったぞ」
「……タカシがゲームしてる最中に、こっそり」
「こっそりって、お前それ不法侵にゅ……」
 ……待て。ゲームしてる最中に、こっそり?
「……なんで今更ドラクエ3やってるのか知らないけど、仲間に私の名前使うのやめて欲しい。肖像権の侵害だ」
 やっぱり見られてたよチクショウ!
「……なんで二人旅? なんで?」
 にやにやしてるちなみが大変むかつきまする。ていうか恥ずかしすぎまする。
「う、うるさい! どーでもいいだろ、そんなの! いーから帰れ帰れ!」
「……今日、お母さんとお父さんが会社の旅行でいない」
「あー、らしいな」
「…………」
「な、なんだよ、人の顔をじーっと見て」
「……察せ、ばか」
「……? はっ、まさか、エロ展開かッ!?」
 ちなみは布団から這い出ると、俺の元までトコトコ歩み寄り、ゆっくりと俺の頬を引っ張った。
「違いましたか」
「……違います。……タカシとそゆことなんて、ありえない」
 とても悲しい。
「……まあ、現段階では」(ぼそり)
「にゃんと!」
「ち、ちっちゃい声で言ったんだから聞こえるな、ばか! ……うー」
 ちなみは顔を赤くして俺の頬をさらに引っ張り上げた。かなり痛え。
「……と、とにかく。二人が旅行でいないので、私の家はいま私しかいない」
「はぁ。うちは両親揃ってますよ」
 痛む頬をさすさす擦ってたら、ちなみのほっぺが小さく膨らんだ。
「…………」
 そして、何か言いたげに俺をじっと見る。なんとなく察しがついたが、でもなぁ。一応女の子だしなあ。
「えー、と。寒いだろう、とりあえず布団入れ」
 ちなみを布団の方へ促すと、きゅっと腕を掴まれた。
「……ふ、二人の方が、あったかい。……かも」
 うつむいたまま、ちなみは少し早口に言った。
「あー……そだな、一緒の方が暖かいかもな」
 一瞬のうちに色々な考えが頭を駆け巡ったが、何かあっても最悪俺が責任取ればいっかと思い、一緒に布団に入る。
「……いっしょ、いっしょ」
 心なしか嬉しそうな声をあげながら、ちなみは布団の中で俺の手を握った。この笑顔を見れただけでも、一緒に寝る甲斐があるってもんだ。
「嬉しいのは分かるが、とりあえず手を離せ。電気消せない」
「……嬉しくなんか、ないもん」
「なら、手を離せ」
「……ぱっ。離した」
「右手を離した次の瞬間に、左手を繋いだら一緒ではないかと思いますが」
「……右とか左とか、最初に言い出したのは誰なのかしら」
「ときメモだ!」
「……タカシがそーゆーゲームばっかするから、私にまでそーゆー知識がついてしまう。……いい迷惑だ」
 どうかと思う。色々。
「とにかく、明かりを消さないと寝れないので、少しでいいから手を離せ」
「……むぅ。……分かった、タカシのわがままにつきあってあげる。……菩薩のような優しい私に感謝せよ」
「わがまま!?」
「……うるさい」
 色々思ったが、手を離してもらったので布団から這い出て明かりを消す。何も見えない中、勘だけで布団の中に戻る。
「……おかえり」
「ただいま。ただいま?」
 布団に戻ると、ちなみが俺の頬を両手で包み、すりすりして出迎えた。
「……何も見えない。……本当にタカシ?」
「いや、ちなみんなんだ。胸がないー、胸がないー」
「…………」
 すりすりが頬引っ張りに変化したので大変痛い。
「痛い痛い」
「……猛省せよ、ばか」
「するので、引っ張るのをやめてください。割と痛いのですよ」
「……まったく、タカシはいつ何時でもばかで困る」
「へーへー。いーからもう寝るぞ」
「……まくらよこせ」
「ふたつもない。我慢しろ」
「……しょうがない、これで我慢する」
 ちなみは体をよじらせ、俺の胸の上に頭を置いた。
「……これでよし。頭が落ちないよう、一晩中見張ってるように」
「俺も明日学校なのですが」
「……ふぁいと」
「ふぁいとじゃねえ」
 勝手なことを言う娘の頭を優しくなでながら、まどろみに落ちていくのだった。

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