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2019年10月15日
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【ツンデレの下半身から何か音がしたんですが】

2010年02月01日
 昼休み。教室でもっさもっさパンを食んでいると、一緒に昼食してたかなみの下半身らしき部位から小さな音がした。
「これはもうリモコンローターが振動したに違いないと確信を持っているが、仮にも女性相手なので口に出すのははばかられたがつい言ってしまった。どうしよう?」
 40回くらい殴られた。
「ったく……これよ、これ」
「そう言ってかなみが取り出したのは、まぎれもなくローターだった」
 もう10回殴られた。
「訂正、携帯電話だった」
「どう見てもそうじゃない! 変なことばっか言って……いやらしい」
「てへ☆」
「キモッ!」
「なんだと!? ちょっと待て、俺の媚びごまかしが本当に気持ち悪いかクラスのみんなに判定してもらう! おーいみんな、ちょっと」
 俺を殴って行動を封じてから、かなみが営業スマイルでなんでもないと誤魔化した。
「……ふぅ。えーと……あ、ママからメール」
 ため息一つついて、かなみは携帯を操作した。
「ほほう」
 ずずいっと寄ってメールの中身を見ようとしたが、隠された。
「見ないで。プライバシーの侵害よ」
「分かった。じゃ、代わりに……ほほう」
「携帯を見なかったらパンツを見ていいとは言ってない!」
 スカートの中に頭を突っ込んだら、とても蹴られた。
「だったら最初っから言ってくれよな。まったく、いい迷惑だ!」
「言わなくても分かるでしょ! 常識から考えたら!」
「本当は分かってたけど、適当言ってパンツ見たかったんだ」
 正直に言うと殴られる。なんて世だ!
「アンタねぇ、今世紀最大のアイドルにそんなことして、事務所とファンと親衛隊が黙ってないわよ!」
 何を言ってるのだろう、この子は。
「……アンタ、その顔は忘れてるでしょ。あたしがアイドルだっての」
 ……あ、あー。そういえば、なんか最近テレビでよく見るような。
「お、覚えてたぞ? いや本当に。サインください」
「このやりとりする度にサインして、もう10枚以上した! アンタ保存してるんでしょうね!?」
「鍋の下とか本棚の下とかに保存してます」
「それ下敷きにしてるんじゃない! ぶち殺すわよ!?」
 このアイドル超怖え。
「嘘、嘘です。かなみのサインをそんな粗末に扱うわけないじゃないか」
「本当に?」
「本当、本当。いつも寝るとき抱いて寝ます」
「……そ、それならいいけど」
 心なしか、かなみの頬が赤らんだような。
「で、朝起きたら色紙べきばき。わはは」
「笑い事じゃないでしょ! あに人のサイン折ってるのよ!」
「あと、寝る時に色紙の角が当たって超痛え。どうにかなりません?」
「ならないッ! もーいー! アンタには金輪際サインしてやんない!」
「じゃあ、『金輪際サインしません』ってサインして」
「がー!」
 かなみが怒った。
「分かったよ、そんな怒るならもういいよ。はぁ……かなみに婚姻届を書いてもらうのも夢と消えたな」
「えにゃ!?」
「えにゃ?」
「そ、それはいいの! そ、そじゃなくて、その、さっき! ……こ、婚姻がどーとか」
「ああ、いつか書いて欲しかったんだが……もうサインしてもらえないなら、無理な話だな」
「……べ、別に、アンタがサインを粗末にしないなら、その、……さ、サイン、してもいーけど」
「本当か!?」
「かっ、勘違いしないでよね! 普通のサインよ、サイン! 婚姻届なんかには絶対しないから!」
「……そうか」
「なっ、何を落ち込んでるフリしてるのよ! そもそもアンタなんかがあたしと釣り合い取れると思ってるの!?」
「……ああ。パンおいしいなあ」
 机に顔をべたりと乗せた状態で、手を使わずにくっちゃくっちゃとパンを食む。
「……だぁーっ、もうっ! 辛気臭いなあ! 分かったわよ、考えてあげるわよ!」
「本当か!?」
 がぶあっと起き上がり、かなみの両肩に手を置く。
「かっ、考えるだけよ、考えるだけ! サインする確率なんて万に一つもないのよ!」
「でも、0じゃないんだろ?」
「……ま、まあ」
「それならなんとかなるさな。わはははは!」
「あに笑ってんのよ! 書くかもって話よ! そ、そりゃ先の話だからどうなるか分かんないし、あたしもできれば書──って、なっ、なんでもないっ!」
「うん? まあとにかく、よかったよかった!」
「あ、……あぅぅ」
 かなみはなんだか小さくなって、顔を赤らめている。変な奴。
「とまれ、これで俺の趣味『知り合いに婚姻届のサインをしてもらったもので紙飛行機を作る』が行えるかもしれない! ありがとな、かなみ!」
「……趣味?」
 どうしたことか、かなみの顔が笑顔なのにとってもおっかないよ。

「別府くーん、あのね、宿題……べっ、別府くんっ!?」
「やあ犬子。できることなら保健室へ連れて行ってはくれまいか」
「いーけど……どしたの? そんなズタボロで」
 とある知り合いの女性に目を覆わんばかりの仕打ちを受け、もはや自力では動けない俺を不思議そうな目で見る犬子だった。

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