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2019年10月18日
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【ツンデレとYシャツと私】

2010年04月29日
 ちなみと一緒に学校から帰ってると、雨が降ってきてさあ大変。
「お嬢ちゃん何もしないから家に寄ってきなよ。本当に何もしないよ、本当だよ」
「……物凄く怪しい」
「冗談はともかく、雨が止むまで家に来いって。風邪ひくぞ」
 それでも不安がるちなみを無理やり家に連れ込む。
「……襲い掛かってきたら、舌を噛み切る」
「何もしねーっての」
「……女としての魅力がない、ということなのかな。……タカシはひどいことを言う」
「いーから風呂入って来い。沸いてるから」
「……覗くと、引っこ抜く」
「覗きません。ていうか、引っこ抜くって……」
「……女としての魅力がない、とタカシは言う」
 きりがないのでちなみを無理やり風呂場に入れる。
 さて、着替え着替え。……探索完了。ない。
「ちなみー、着替えないから裸でもいいかー?」
「…………」
 風呂場の外から呼びかけると、無言の圧力が伝わってきたので改めて探す。でも、ないものはない。もう俺のシャツでいいか。
「ちなみー、着替え置いとくぞー」
「……裸エプロン?」
「違うっ!」
「……タカシは貧乳の裸エプロンなんか見たくない、と言う」
 言ってません。というか、見たいです。
 しばし部屋で待ってると、ちなみがやってきた。無論、ちなみには大きすぎるYシャツを着て。
「……こんな格好させるなんて、タカシはエッチすぎ。えろす王認定」
 恥ずかしそうに体を隠しながら、ちなみはベッドに座った。
「……パンツ見えそう。……これも計算のうち?」
「違うっ! ああもう、俺も風呂入ってくる! 適当にくつろいでてくれ!」
 それだけ言って、部屋を飛び出した。まったく、あんなこと言われたら意識しちまうじゃねえか。
 手早く風呂に入り、部屋に戻る。
「…………」
 ちなみは気持ちよさそうに寝ていた。
「……男って認識されてねーのかな、俺って」
 ベッドの端に座り、むにむにと口を動かしているちなみのほっぺをつつく。
「ん……んにゅ、ん……」
「人んち来て寝るなよな、ったく」
 無駄に幸せそうな顔に眠気を誘われたのか、俺も眠くなってきた。……寝るか。
 なんか俺のこと男と思われてないみたいだし、一緒に寝てもいいよな、寒いし。
 ちなみと一緒の布団に入り、目をつむる。お休みなさい。

 目を開けると、外はもう真っ暗になっていた。ちなみはもう帰……ってない。まだ俺の隣で寝てる。
 それはいいが、なぜ俺の服を握り締めているのだろう。そしてなぜ、俺の胸に顔を埋めてるの?
「……ん、んにゅ……ふわぁぁぁ……。……あ、タカシだぁ♪」
 まだ夢の中にいるような声で、ちなみが俺の名を呼んだ。そして、ぐりぐりと俺の胸に顔を押し付ける。
「え、あの、ちなみさん?」
「えへへぇ~♪ タカシだぁ、えへへへへぇ♪」
「え、あの、えっと?」
「……? ……!!!!」
 ちなみの目が大きく見開き、ぱくぱくと口を開いて音のない言葉を発した。
「あ~、その、……おはよう」
「……え、あれ、なんで私……えっ、さっきの……夢?」
「俺に抱きついてえへへとか言ってのは現実」
 目に見えてちなみの顔が赤くなった。
「……わ、忘れて。忘れないと、引き千切る」
 恥ずかしそうにそんなこと言われても、困る。
「んで、どんな夢見たんだ?」
 質問と同時に、部屋に置かれた物がちなみの手を経由して俺の元へ飛んできた。とても痛かった。
「ごめんなさい聞きません」
「……最初から聞かなかったらいいのに」
 なんて言って、ちなみは恥ずかしそうに頬を染めた。
「……もう遅いし、そろそろ帰る」
「ああ待て待て。その格好で帰ると大変だぞ」
 俺の言葉に裸Yシャツのままだったことに気づき、ちなみは慌てて布団を羽織った。
「……最低。寝込み襲った」
「襲ってねえ! 眠くなったから寝ただけだ! お前こそ、人んち来て寝てるんだから文句言えねーだろ!」
「……うう、でも、痛くなかったからよかったのかな」
「だから、やってません! 信じてお願い!」
 信じてもらうため、ちなみの目をじっと見つめる。しかし、ちなみはすぐに顔を背けてしまった。
「……うう、変な顔だから直視できない」
「失礼な! とにかく、本当に何もしてない」
「……誓って?」
「ああ、俺自身に誓って」
「…………」
 ちなみはしばらく何かを考えた後、納得したように頷いた。
「……分かった、信じてあげる。……タカシは嘘ばっかつくけど、本当に大事なことで嘘はつかないもんね」
 やけに過大評価されていた。
「そんな大層な人間じゃないけど……まぁ信じてくれたならいいや。着替え、もう乾いてると思うから取ってくるな」
 乾燥機からちなみの着替えを取り出し、部屋に戻って持ち主に渡す。着替えるからと部屋から追い出され、俺は廊下からちなみに声をかけた。
「もう遅いし、家まで送るな」
「……ん」
 制服姿のちなみと共に家を出る。外はもう真っ暗だった。
 しばらく歩くと、ちなみの家に着いた。近所なので送るのも楽でいい。
「ところで、夢ってどんなだったんだ?」
「……まだ懲りてない」
 殴られそうになったところをひらりとかわし、俺は別れの言葉を口にした。
「じゃな、ちなみ。いい夢見ろよ」
「……タカシの夢なんて、もう見ない!」
 自分の放った言葉の意味に気づいたのか、ちなみは暗闇でも分かるほど顔を真っ赤にして家に飛び込んで行った。
 俺は、なんだか嬉しい気分で家路に着いた。

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