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2026年03月18日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉2】

2010年03月28日
 お姉ちゃんが教室まで来て一緒に帰ろうとせがむ。
「や、俺は妹と帰る約束をしてる故」
「してないわよッ!」
 すかさず否定する妹のカナは冷たいと思う。
「みんなで帰ろ。ね?」
「はい」
 言葉は訊ねているが手は既に引っ張られていたので、諦めて頷く。
「ほらほら、カナちゃんも一緒に帰ろ」
「う、うー……分かったわよ」
 三人揃って学校から出る。横に三人広がっていて、道を占拠してしまい申し訳ない気分で一杯だ。
「お姉ちゃん、手繋いで歩くとみんなに迷惑かけるよ?」
「他の人のことまで気にするなんて……なんて優しい弟なの!」
 ひしと抱きつかれ、頭をなでられまくった。周囲を行く通行人の視線が辛い。特に隣のカナの視線が一番辛い。
「……まーた猫可愛がりして。そんな可愛がってると、こいつが家出て行くとき辛いわよ?」
「えっ……タカくん、家出て行くの!?」
「行きません、行きませんから首から手を離してください」
 とても苦しいです。
「びっくりした~。心臓止まるかと思った」
「俺は息が止まりかけた」
「……愉快な姉弟ね」
 カナは他人事のように言った。
「あ、でもね、もし本当に進学か何かで出て行くなら、お姉ちゃんに言ってからにするのよ」
「え、なんで?」
「お姉ちゃんも一緒についてくから♪」
「…………」
「いいよね?」
 笑顔の裏に鬼を感じたので無言でコクコク頷く。
「カナちゃんはどうする? 来る?」
「あ、あたしは……」
「カナはいいって。なんか知らんけど俺のこと嫌ってるみたいだし」
「そんなことないよー。カナちゃんって、タカくんのいないとこじゃ」
「わーっ!」
 突如カナが大声を出した。隣にいた俺の鼓膜に大ダメージ。
「いきなりなんだよ、鼓膜破れるかと思ったぞ」
「なんでもない、なんでもないから姉ちゃん、それ以上は!」
 カナがお姉ちゃんに手を合わせて頼むと、お姉ちゃんはにっこり笑った。
「カナちゃんも素直になればいいのにね~」
「……よく分からんが、どうなったの?」
「いいのいいの♪ ほら、もう料理の材料なかったからスーパー寄って行こ?」
 お姉ちゃんはなんだか上機嫌で歩いていってしまった。
「……なぁ、お姉ちゃん何言いかけたんだ?」
「あたしに聞くなッ!」
 カナは顔を真っ赤にしてお姉ちゃんを追いかけた。俺は首を傾げながら二人を追いかけるべく、軽く走った。

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【納豆嫌いなツンデレ】

2010年03月27日
 辛い辛い時間をなんとか乗り越え、やっと昼休みになった。ご飯だご飯、待ちかねた!
「なんで寄って来るのよ」
 フラフラかなみの席に近づいたら、露骨に嫌がられた。
「光に吸い寄せられがちなんだ」
「ああ、あたしという光り輝かんばかりに美しい人物に引き寄せられたのね。それなら仕方ないわね」
「そんなことはまったくちっとも思ってないのだけど、機嫌良さげに鼻を膨らませているので黙っておこう。あと鼻毛がちろっと出てることも黙っていよう」
 俺を神速で殴り倒してから、かなみは教室の奥に行って何かコソコソした後、恥ずかしそうに戻ってきた。
「あ、鼻毛もう出てない」
「イチイチ言うな、馬鹿ッ!」
 どさくさに紛れてかなみの隣の席に座り、弁当のフタを開けていただきます。
「…………」
「ちょっと、誰も一緒に食べていいなんて……アンタ、その弁当、なに?」
「そば」
「違うでしょっ! なんで一面納豆なのよ!」
 かなみの言うとおり、俺の弁当箱にはご飯と納豆が敷き詰められていた。
「たぶん、昨夜母さんに『納豆ってマズイよね。食べる奴の気が知れないよ。特に目の前でどんぶりで納豆ご飯食べてる奴の気が知れない。具体的に言うと母さんの気が。馬鹿なの?』って言ったのが原因かと」
「……アンタの家って、愉快ね」
 愉快と言いながらも、呆れているように見えるのは気のせいなのだろうか。
「うぅむ、どうしたものか……そうだ、ここはかなみを適当に褒めていい気にさせ、飯を奪おう! えーとえーと、かなみ、今日もカワイイね。飯よこせ」
 両手をおわんのようにしておかずを分けてもらおうとしたのに、かなみと来たら全然くれない。
「あげるわけないでしょ! 第一、そういう作戦するなら口にしたら台無しでしょうが!」
「じゃあ、聞かなかったということでここは一つ」
「無理に決まってるでしょ! なんでこの子はこんな馬鹿なのよ……」
「馬鹿じゃないもぐもぐ」
「ああっ、アンタなに勝手に人のハンバーグ食べてんのよ!」
「いただきますもぐもぐ」
「そういうこと言ってるんじゃないっ! あげるなんて言ってないでしょ!」
 弁当箱を手で覆い隠し、かなみは噛み付くように俺に言った。
「じゃあトレードしよう。俺の納豆ご飯と、かなみのハンバーグ」
「絶対イヤ!」
「じゃあ、俺のでろでろ納豆ご飯と、かなみのつやつやポテト」
「い・や! 大体、あたし納豆嫌いだもん」
「おおっ、納豆嫌い仲間だ。仲間にどうか飯のおこぼれを」
「アンタと仲間なんて、余計にあげたくなくなる理由が増えたわよ」
 もうこれ以上関わりあいたくないのか、かなみはこっちを見ないようにしながら飯を一人で突いていた。
「……はぁ。仕方ない、我慢してこれ食うか……」
 納豆をかき混ぜ、ずるずるすする。
「うぐぐ、まずいぃぃ……超吐きそう」
 あまりのまずさに、ちょい涙目に。
「……な、泣くほどまずいの?」
「まずい。これ食うくらいなら近所のラーメン屋でラーメン食ったほうがマシだ」
「近所のって……そのラーメン屋って、そんなまずいの?」
「すごくおいしい。休みの日とかよく行く」
「んじゃ対比にならないでしょ! そういう時はまずいの出すでしょ、普通!」
「かなみの作る飯食ったほうがマシぐぁっ」
 正しく訂正したのに殴られた。
「言われなくても知ってるわよ! ……なによ、あたしだって美味しいの作りたいわよ」
 かなみはいじけたように口を尖らし、俺をじとーっと睨んだ。
「あ、いや、その、本どおりに作れば、それなりに食えるのは作れるだろ、普通?」
「……あたしは普通じゃないもん」
 いかん、かなみがいじいじいじけ虫に! 大人しくなって撲殺される可能性が大変下がったが、悲しそうなので慰めるべし!
「大丈夫だって! 練習に練習を重ねれば、うまいの作れるって!」
「……じゃあさ、アンタ、作ったの味見してくれる?」
「や、それはご免被りたい」
「…………」
 思わず本音がこぼれたら、かなみさんが無言で俺を責めます。
「じ、冗談です、冗談。そ、その、あれだ、照れ隠しとか、そんな部類に属する感情が、ね? 決して毒殺を怯えているわけでは」
「……もういい」
 かなみは悲しそうにそれだけ言って、おいしくなさそうにご飯をもそもそ食べた。
「う、うーあーうー、うー」
「……うるさいわね、ご飯は静かに食べなさいよ」
 困った。なんとかいつもの暴虐……いやいや、元気なかなみに戻って欲しいのだが……よし、もう一度飯を作ってくれるよう、頼んでみよう。
「俺のために味噌汁を作ってくれ!」
 かなみは勢いよく飯粒を噴き出し、俺の顔に愉快な模様をつけた。
「な、な、なんてこと言ってんのよ、この馬鹿!」
 何を慌ててるのか皆目検討がつかないが、かなみは顔を真っ赤にしながら俺を箸でたくさん刺した。
「痛い痛い痛い! 今ここに食事用の木材が殺戮用兵器に!」
「この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
「なんかよく分かんないけどごめんなさい俺が悪かったです! 痛い痛い刺さないで!?」
「はぁはぁ……まったく、バカなんだから」
「ううう……なんで刺されたのでせうか?」
「自分の胸に聞きなさいッ!」
 分からないから聞いたのに。
「はぁ……痛いし腹減ったし飯はかき混ぜられて納豆まみれだし、もう最悪だ」
「最後のは自分のせいでしょうが! 全くもう……」
 かなみはそっと俺の弁当の上にポテトを置いた。
「えっと、これって……?」
「あ、アンタがあんまりにも哀れだからあげるわよ。……なによ、その顔」
「感激してる顔だと覚えていただけると幸いです」
「ポテトなんかで感激してるんじゃないわよ。……今度、弁当作ってきたとき、感激のあまり卒倒しないでよね」
「あ、ああ、努力する。……ん? それって、作ってくれるって事か?」
「アンタがあんまりにも鬱陶しいから、毒殺することにしたの! それだけ! 他意はないの! だから、それ以上聞かないこと! いいわね!?」
 再び食事用木材改め俺専用殺戮兵器を俺に向けたので、俺は壊れたロボットみたいにコクコクうなずくのだった。

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【運動会で弁当忘れた男】

2010年03月27日
 今日は運動会だ。わーいわーい。面倒だよしんどいよ逃げ出したいよ。
「だが、ウチのクラスの期待を一身に背負っているゆえ、逃げ出さない俺を褒めろ」
「ばーか」
 目の前をてこてこ歩いてたレミットに褒めるよう要請したが、罵声を浴びせられるだけだった。
「馬鹿と、馬鹿と申したか、そこなちみっこ!」
「ちみっこじゃないわよ、この馬鹿!」
「ふふ、馬鹿としか言わないとは……素晴らしい語彙力だな、ちみっこよ」
「馬鹿、愚鈍、間抜け、痴漢、異常性欲者、能無し、塵芥。まだいる?」
「うっうっ、ごめんなさい……」
「な、何も泣かなくても……」
 酷い言葉に思わず泣いてしまっていると、チャイムが鳴った。昼休みの時間のようだ。
「腹減った。レミット、一緒に飯でも食わないか?」
「……一人で食え!」
 なぜか俺の頭の上に置かれていた手を戻し、レミットは足音荒くどこかへ行ってしまった。
「難しい年頃ですなぁ」
「は、はぁ……」
 突然話を振られ、困惑顔の校長だった。
「ところで、校長はどんな弁当食うの? 豪華だったら容赦しねぇ」
「ひぃ、殺される予感!」
 慌てふためき尻を振りながら逃げる校長を追いかけてると、教頭に出て行けと言われた。仕方ないので自分の陣地に戻り、鞄を漁る。……む?
「どした別府、変な顔して」
「貴様、俺の弁当盗んだな!」
 隣で平和そうな顔して飯を食ってる友人に詰め寄る。
「盗るか。大方持ってくるの忘れたんだろ」
「……いや、そもそも用意した記憶がないな。登校途中でパンでも買うつもりが、寄るのを忘れていたようだ」
「そりゃご愁傷様で」
 それだけ言って、友人は再び栄養補給に戻った。……むぅ、腹が減った。
「あのさ、その弁当」
「絶対やらん」
「…………」
 視線を他のクラスメイトに向けるが、一斉に目を逸らされる。……いや、一人だけ呆れた目をした奴が残ってる。
「レミット。麗しく、さらに優しい貴方なら、俺に施しを与えることに何の躊躇いも」
「あげない。忘れたアンタが悪いんでしょ?」
「……いや、ちょっとくらい考えても罰は当たらないかと」
「んー……あげない」
 10人いたら10人が「考えたフリだ」と見抜くに違いない。
「お腹が減って力が出ないと、この後の競技に差し支えが出るぞ。俺の活躍が見れなくなってもいいのか?」
「午前中の競技で、アンタ何したか覚えてる?」
「ええっと、綱引きに、玉入れに、借り物競走。どれもこれも俺の活躍により、我がクラスは見事な成績を誇っていると記憶しているが」
「綱引きは相手チームの握る綱の部分に油を塗る工作をして、それがばれて反則負け」
「それぐらい構わないと思ったんだけどなぁ」
「……玉入れは相手のカゴを押さえてる女生徒にえっちなことして反則負け」
「ブルマにほお擦り。素敵なブルマでした。ナイスブルマ!」
「…………。さらに借り物競走では『帽子』という指令に、校長のカツラを奪って反則負け。アンタが絡むと全部反則負けになんのよ!」
「ヅラも頭に被るという意味では帽子と一緒だし、いいかなーって」
「校長、泣いてたわよ……」
 今は嬉しそうに弁当食ってるけどな。む、美味そうな弁当食ってるな。……盗むか?
「とにかく! アンタのせいでうちのクラスの成績はガタガタよ。アンタが何もしない方がまだ勝てる見込みあるんだから、アンタは午後はじっとしてなさい。それだったら、弁当もいらないでしょ?」
「しかし、それでは餓死するぞ?」
「世界のためよ」
 世界と来たか。そこまで俺の存在は有害ですか?
「しゃーねえ。じゃ、ちょっくら食料を調達してくる」
 軽く腰を上げながら校長の飯を奪う作戦を練ってると、レミットに手を掴まれた。
「……まさかとは思うけど、校長先生のお弁当盗るつもりじゃないでしょうね?」
「お、さすがはレミット。俺の考えがよく分かったな」
「校長先生の方じっと見てたじゃない。とにかく、盗むなんてダメよ! そんなことしたら、アンタ停学よ?」
「や、でも、お腹空いたし」
「……ああもうっ、ホントに馬鹿! ちょっとそこに座りなさい!」
「え、でも弁当……」
「いいからっ!」
 これ以上断ると殴られそうだったので、素直に座る。
「……はい」
 そう言って差し出されたのは、女の子らしい小さな弁当箱。
「……いいの?」
「アンタみたいのでも、いなくなったらつまんないからね。……そっ、それだけなんだから!」
 何を怒ってるのか知らないが、ありがたい話だ。
「レミット」
「何よっ!」
「ありがとな」
「……っ!! うっ、うるさいっ! 黙って食べろ!」
 ご所望どおり黙って食べた。すごい美味しかった。
「午後からは俺に任せろ! レミットの弁当パワーで一騎当千の活躍を見せる予定!」
「……反則負けなんかしたら、許さないからね」
「体育委員を抱きこむから大丈夫だ」
「ダメに決まってるでしょ!」
 じゃあ、真面目にしてかっこいいところ見せるか。よし、頑張れ俺!

「……全然だったわね」
「ははははは」
 大差で負けました。卑怯技を使わないとこんなもんです。
「……でも、反則しなかったのは褒めてあげる。反則しないのが普通なんだけどね」
「では、努力賞ということで、ほっぺにキスなどいかが?」
「そーゆーことは勝ってから言いなさい、ばーか!」
 夕日を背に、レミットは俺にあっかんべーをした。

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【ツンデレと一緒に焼き芋を食べたら】

2010年03月27日
 学校からの帰り道、みことと一緒に歩いてると石焼き芋屋がイモイモ言いながら近づいてきた。
「みこと、石焼かれたイモでも食わんか? 奢られてもいいぞ」
「食うのは構わんが、絶対に奢らん」
「ケチ」
 ちょっと悪口言ったら首を絞められたので、必死に謝る。
「奢ってくれるなら、許してやろう」
 死にたくないので奢ることにする。余計なこと言うんじゃなかった。
「げほげほ……おっちゃーん、イモくれ。二個」
「あいよっ、イモ二つで1000万円だよ」
 この国の物価はここまで跳ね上がっていたのか。あまりの高額に思わず泣きそうになる。
「じょ、冗談だよ……1000円ね、1000円」
「なんだ。でも高いな、10円にしろ」
「んなこと言われてもねぇ……うちも商売なんで」
 そう言いながら、おっちゃんは困ったように笑った。
「じゃあ間を取って100円。これ以上出せというなら、今ここでみことを犯す」
 鼻血が出るまでみことに殴られたので、犯さない。
「はい、1000円」
「ま、まいど……」
 赤い染みのついた1000円札を怯えながら受け取り、おっちゃんは俺に芋入り袋を預け全力で逃げた。
「んじゃ食うか」
「いいからまず鼻血を止めろ。見てて不愉快だ」
 誰のせいだとは言えず、みことに芋袋を渡してから鼻にティッシュを詰める。
「……む? おいタカシ、これ三つ入ってるぞ」
「どれどれ」
 勘違いしたフリをして、みことの襟を指で軽く引っ張り胸元を覗き込む。
「ブラがあって先端のさくらんぼが見えない。みこと、外して」
 色々あって、また鼻血が噴出した。
「暴力はよくないですよ、みことさん?」
 半分泣きながら鼻に再びティッシュを詰める。
「貴様が余計なことしなければ済む話だろうが、この色欲魔人めッ!」
「わはは。んで、三つとか言ってなかったっけ?」
「あ、ああ。これ……さっきと同じ事したら、確実に殺すからな」
「わははは、ま、まさか、するわけないじゃないデスカ」
 背中に冷や汗が伝うのを感じながら、みことの持つ袋を覗く。確かに、芋が三つ入っていた。
「本当だな、三つある。きっとアレだ、みことの暴虐ぶりを見て恐れをなし、一つ献上したんじゃないか?」
「そんなわけないだろう! 私があまりに綺麗なので、サービスしたに決まってる」
 一人で納得してるが、本当は殴られまくってる俺を哀れに思い、サービスしてくれたに違いない。
「何を落ち込んでいる? ほら」
 辿り着いた真実に一人落ち込んでいると、みことは俺に焼き芋を差し出した。
「喜べ、特別に貴様にもやろう。嬉しいだろう?」
「みことみこと、俺の金。俺のお金がイモに変わったの。奢ってもらって喜ぶのは、みこと」
「…………」
 子供が喰らったら泡吹いて失神するレベルの視線に貫かれる。
「わぁい、みことが手ずからイモを食べさせてくれるなんて、人生で7番目くらいに嬉しいなぁ」
「だっ、誰も手ずから食べさすなどと言ってない! それに、7番目とは何事だ!」
「じゃあ6番目」
「何を言っている。1番目に決まっているだろう」
「どうでもいいから食おう。腹減った」
「…………。ふんっ!」
 俺の口に芋を突っ込み、みことは乱暴に芋の皮を剥いた。
「あぎあぎ。うーん、皮がまじぃ」
「うるさい。黙って食え。皮は剥け」
 言われたとおり黙って食べる。3秒で飽きた。
「みこと、イモ食うとおならが出るよな。つまり、俺たちはおならカップルなのか?」
「……貴様の脳はどうなってるんだ? まったく、訳の分からぬこと……か、カップルだと!?」
「カップル。男女ふたりの組み合わせ。夫婦。恋人同士」
「ば、ばか、私と貴様なんかがそんな関係の訳ないだろう! このばか、ばかばか!」
 みことは顔を真っ赤にしながら俺を叩いた。照れ隠しの攻撃と思うが、確実に急所ばかりを狙ってくるので実は俺を亡き者にしようとしているのかもしれない。
「すいません、もう少しだけ生きたいです」
 あまりの痛みに地面に転がったまま許しを請う。
「はぁはぁ……まったく、いいから立て」
 みことは俺に手を貸して立たせてくれた。時々優しくて困惑するが、基本的に厳しいので問題なし。
「手がやわこい」
 思ったことを言ったら蹴られた。ほら、厳しい。
「いちいち言うな、馬鹿者っ!」
「すいません」
 顔を赤らめてる娘さんにまた蹴られては敵わないので、自分で立つ。
「なんで焼きイモを食うだけで鼻血出したり蹴られたりしないといけないんだろう」
「貴様が余計なことばかりするからだ、馬鹿者」
 なるほどそうか。じゃあ余計なことしないで、大人しく食べよう。
 もぐもぐもぐ。ぷぅ。
「……?」
 咀嚼音の中に、異音が。俺じゃないよ。
「みこと、さっき」
「気のせいだ!」
 みことは真っ赤になりながら俺の言葉を遮った。
「言われてみればそうかも。ところでみこと、俳句を思いついたので聞け。芋美味し おならぷうぷう 5秒後」
「見事な俳句だなッ!」
 ボコボコにされた。
「ふん、ふん。私だって人間だ、おならくらいするさ」
 みことはふて腐れたようにもそもそ芋を食った。
「あいたた……まぁ、気にするな。俺も気にしない」
「……思いっきり馬鹿にした奴が、何を」
 いかん、みことがいじいじいじけ虫に! いじけ虫には、世辞だ!
「え、えっと、みこと」
 じっとみことを見つめるが、言葉に詰まってしまう。
 ……むぅ。いざ褒めるとなると、なんというか、その、照れる。
「な、なんだ? ……まっ、まさか!?」
 よく分からんが、みことまで焦りだした。
「こ、こんな道端で言うのか? 私としては、もっとロマンチックな所の方が……し、しかしどうしてもと言うなら、その、私もやぶさかではないというか、そのだな」
 何かむにむに言いながら俺方向に熱視線をぶつけているようだが、こっちはそれどころではないのだ! ええい、男は度胸! 言っちまえ!
「つるぺたっていいよね!」
「…………。……ふ、ふふ、ふふふ」
 最高の笑みでサムズアップすると、みことが笑った。やった、世辞成功! 世辞というか本音だけど!
「……いい度胸だ」
 べこんぼこんにされた。褒めたのに。
「つるぺたって褒め言葉だと思うんですが」
「うるさいッ! 猛省しろ、超鈍感男!」
 つるぺたに怒られながらも、一緒に帰宅した。

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【ツンデレな妹VSデレデレな姉3】

2010年03月27日
 居間でテレビを見てたら、お姉ちゃんが膝に乗ってきた。
「……なんでしょうか、お姉様」
「タカくんと一緒にてれびー♪」
「…………」
 この人は本当に俺より年上なんだろうか。
「……まーたやってんの」
 部屋にやってきた妹のカナが呆れた顔で言った。
「あっ、カナちゃんも一緒にテレビ見よ。面白いよ?」
「……んー、まぁすることもないし、別にいいわよ」
 カナは素直に俺の隣に座り、テレビに視線を向けた。
「あっ、あっ、タカくん見て見て。生まれたての鹿が立ったよ。偉いねー♪」
 お姉ちゃんはテレビを見てはしゃいでいた。偉いのは鹿であり、俺は偉くないのでほっぺをすりすりされる必要はないのですが。
「ほらほら、可愛い……!!!!! し、鹿が! 小鹿さんが!」
 生まれたての小鹿がライオンに狙われていた。ライオンはその鋭い爪と牙を使い、小鹿を押し倒した。
「あちゃー、こりゃダメだね、お姉ちゃん。きっと生きながらに体を引き裂かれ、貪られるんだろうね」
 続けてテレビを見ようとしたら、ブツンという短い音の後消えた。
「……こ、こんなのつまんないし、見なくていいじゃん。あ、あたしちょっと用事思い出したから部屋戻るね」
 カナはリモコンでテレビを消すと、足早に部屋を出て行った。
「……どしたんだろいてててて」
 お姉ちゃんにほっぺを引っ張られた。
「怖いこと言ったらダメ! お姉ちゃん泣かせていいの!?」
「いや、でもたぶん俺が言った通りになってるよ?」
「うー……」
「ごめんなさい」
 涙目でじっと見られたので謝る。
「……よし♪ じゃあお姉ちゃんご飯作るから、お部屋で待っててね」
 お姉ちゃんは俺の頬に軽くキスして、台所に消えて行った。
「……戻るか」
 なんだか疲れたので俺も部屋に戻ることにする。
「……っく」
 その途中、カナの部屋の前でちいさく声が聞こえた。
 ……まさか、自らを慰めてる!? あああ兄としてちゃんと出来てるか見守る必要があるよね? はい!(間違った自問自答)
 というわけで小さくドアを開け、様子を見る。
「……っく、ひっく、鹿さん可哀想……」
 カナは枕を抱き、ぼろ泣きしていた。
「……鹿さん?」
「だっ、誰!?」
 思わず漏れた声に、カナは鋭く反応した。そして、目が合った。
「あ、あ、あ、兄貴!? な、なんで!?」
 カナは顔を真っ赤にして狼狽した。
「や、その、なんか声聞こえてきて……」
「だからって覗くな! いいから出てけ!」
 枕を投げられたので、慌ててドアを閉める。その後も音が続いてるってことは、まだ何か投げてるってことか。
 いやしかし、カナがテレビ見て泣くとはなぁ……正直意外だ。
「カナも可愛いとこあるんだなぁ」
「独り言は小さい声で言え、馬鹿兄貴ッ!」
 一際大きくドアが軋んだ。

 その日の晩飯は、カナに赤い顔でずーっと睨まれてたので、非常に居心地が悪かったです。

拍手[17回]