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2026年03月18日
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【ツンデレにレンタルビデオ屋へ付き合わされる男】

2010年03月29日
 部屋でマンガ読んでたら、いきなりかなみが部屋に入ってきた。
「いま暇? 暇よね。ちょっと映画でも見たいし、レンタルビデオ屋行かない?」
「行かない」
「……暇? 暇よね。だったら行かない?」
「行かない」
「……行くわよね?」
「行きます」
 首にかなみの腕が絡みついたので、震えながら頷いた。
 そんなわけで真昼の太陽が照りつくクソ暑い中、かなみと一緒に近所のビデオ屋へ。
「んー、何借りよっかな。タカシ、アンタ何か見たいのある?」
「エロビデオ」
 そそくさと奥にある18禁コーナーに行こうとしたら、首根っこを掴まれた。
「女の子と一緒に来てるのに、そういうの借りるな! 第一、そういうのは18歳になってから! アンタまだ学生でしょうが」
「すいません」
 謝ってから再び18禁コーナーに向かおうとしてると、今度は手を握られた。
「謝ったら行っていいってことじゃない! いいからあたしと一緒に来なさいっ!」
「あぁん」
 そのまま無理矢理手を引かれ、一緒に見て回ることになってしまった。
「ねぇねぇ、これなんてどう?」
「……恋愛モノ? かなみが?」
「な、なによ、あたしだってこういうの見たい時もあるわよ」
 かなみは少しだけ恥ずかしそうに頬を染めた。
「や、ちょっと驚いただけ。決してかなみのキャラと合ってないなーとか、かなみが恋愛の機微を理解できる訳がないとか思ってないから安心しろ」
「ありがと♪」
 ありがとうと言いながら俺を殴打するのは何故だろう。
「じゃ、これにしよっと。アンタも何か借りる?」
「エロビデオ」
「…………」
「あ、アクションとか、どうだろう?」
 殺し屋の目で見られたので、思わずひよる。
「あー、いいわね。血沸き肉踊るようなの探しましょ」
 やっぱり、かなみのような武闘派には恋愛なんかよりアクションの方が似合ってる。
「……なんか失礼なこと考えてない?」
「考えてる」
「嘘でもいいから否定しなさいっ!」
 怒られながら適当に選び、失礼なことを考えた罰として俺の財布で会計を済まされ、帰宅。
「さっ、見よ見よ」
 かなみはデッキに借りてきたビデオを入れた。四つんばいになりながら入れてるので、後ろから見たらスカートの中丸見え。パンツだ、パンツ!
「ぐぇ」
 後ろに回りこんでじーっと眺めてたら、尻が降って来て俺が潰れた。
「ちょ、アンタ何やってんのよ!」
「パンツ見てたら尻に襲われた」
 無言でたくさん殴られた。
「ったく、いらんことばっかして……」
「パンツ見えてるのに、見ないのは失礼だろ」
「何も言わないで見てる方が失礼に決まってるでしょ!」
「分かった。次は見ないで触るだけにする」
「アンタさては何も分かってないでしょ!?」
 怒られてると、予告が始まった。
「ああもう、説教は後々。見ましょ」
 映画鑑賞開始。水泳を通し、コーチと弟子が絆を深め、信頼が愛情に変わる……という話のようだ。
 まぁそれはいいのだが、とにかく甘い。甘すぎる。なんだ、このだだ甘展開。
「はふぅ……」
 ほれ、かなみも呆れてため息吐いて……ねぇぇぇぇ!? え、え? うっとりしてるの?
「いいなぁ、こういうの……」
 いいの!? え、だって別に誰も殴られたり撃たれたりしてないよ? それでいいの暴虐王かなみさん!?
「はぁぁぁぁ……」
 ……しかし。
「ちょっと、可愛いと思えなくも……」
「えっ!?」
 かなみの顔が突然こっちを向いた。なんだ?
「あ、アンタ、いま……」
「ん? どうかしたか?」
「え、ううん、なんでもない」
 隣から小さく「聞き間違いよね……」とか聞こえてきた。何のことだろう。
 ……んーむ。しかし、テレビに映されてるものが甘ったるすぎて、見てたらなんか体が痒くなってきた。
 見てるのが辛くなってきたので、かなみの横顔をぼーっと眺める。
「……はふぅぅぅ」
 真っ赤になって甘々シーンを食い入るように眺めるその顔は、見慣れているはずなのに、
「……なんか、可愛い、かも」
「え、ええっ!?」
 突然かなみの顔がこっちを向いた。さっきから俺の視線はかなみに固定されていたので、自然と目が合う。
「な、な、なんか言った!? ていうか、なんでアンタあたし見てるのよ!」
「え、あ、いや……」
 “甘すぎてテレビ見てるのが辛いから隣の緩んだ顔見てた”なんて言い出せず思わず口ごもってると、かなみはまるで犯人を追い詰めた名探偵のように目を細めた。
「……はは~ん。さてはアンタ、あたしとこういうコトしたいんでしょ?」
「は?」
「でもごめんねー、あたしこういうの興味ないんだー」
 いやいやいや、ついさっきまで食い入るように見てたの誰ですか。そもそもこのビデオ借りたの誰ですか。
「……で、でもタカシがどうしてもそういうことしたいんなら、我慢してあげなくも……」
「や、別にいい」
「……あ、あっそ! 残念ね、この機会を逃したらタカシなんかにはこういうことしてくれる相手なんていないでしょうに! あーあー可哀想!」
 そう言って、かなみは再びテレビの方を向いた。
 なんで怒ってるのかよく分からんが、とにかく興味が他所に行ったなら俺に言うことはない。視線をかなみからテレビに移すと、
「ぶっ!」
 ラブシーン、いやさエロシーンの真っ最中でした。
「う、うわぁ……」
 隣の声にそっと様子を覗き見ると、口元を押さえ、目をこれでもかと見開いてテレビを見つめる少女がいた。ちょっとがっつきすぎです、お嬢さん!
「え、そ、そんなところまで映すの? ……え、ええっ!?」
 ……うーむ、テレビの様子も気になるが、かなみを見てた方が面白い予感。
「え、ちょっとこれ、ホントに普通のビデオ? タカシがいつも借りてるえっちなビデオじゃないの?」
 失礼な、いつもじゃないぞ。たまにだ、たまに。
「ふわ、ふわぁ……」
 なんかもう見てて可哀想なくらい真っ赤になりながら意味不明の言葉を呟くかなみ。
 テレビを見つめるかなみと、その様子を眺める俺の図式が成立したまま映画は終了。
「は、はぁぁぁぁ~」
 まるで魂が抜けるようなため息をつくかなみに、置いてあったジュースを渡す。
「あ、ありがと。……すごかったわね」
「そうなのか?」
「そうなのかって、見てなかったの? ……ひょっとして寝てた?」
「見てなかったが、起きてたぞ」
「……? じゃあ何見てたの?」
「かなみ見てた」
「え……ええーっ!?」
 かなみの顔が茹でタコみたいになった。
「な、なんで? ……じゃなくて、折角借りてきた映画見ないであたし見てるなんて、やっぱアンタって馬鹿ねー」
 ふふん、なんて偉そうに腕組んでそっぽ向いてるが、その顔が赤いことに気づいているのだろうか。
「や、赤くなったり意味不明の言葉呟いてる生物見てるのがことのほか楽しくてな」
「……そ、そう。そんなにあたしの顔見てるの楽しいんだ。……ふぅん」
 怒られるかと思ったが、予想外なことにかなみは少しだけ嬉しそうに頬を緩ましていた。
「……じゃ、じゃあ、次も映画、アンタと一緒に見たげる。特別よ、特別! 感謝しなさいよね!」
 “別にいい”と言おうとしたが、凄く嬉しそうなかなみの笑顔を見て、ノドの奥に仕舞い込む。
「……そりゃありがたい話だな」
「ふふん、当然よっ! だからこのビデオ返しに行く時、ちゃんとあたし呼びなさいよね。呼ばなかったら怒るからねっ!」
 ちょっとしたデートの約束を取り付けながら、かなみはにっこり笑った。

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【ツンデレな妹VSデレデレな姉】

2010年03月29日
「タカくん、お姉ちゃんと一緒にご飯食べよ」
 お姉ちゃんが教室まで来て一緒に弁当を食べようとせがむ。
「や、俺は級友と食べる約束がある故」
「タカくんはお姉ちゃんと友達どっちが大切って言うの!」
「お姉ちゃんに決まってるよ」
 すげー怖い顔で睨まれたので、すかさずへりくだる。
「さすが自慢の弟! ん~、やっぱ弟はいいわね~」
 お姉ちゃんに抱きつかれ、ほっぺをすりすりされる。気分は愛玩動物でやや屈辱的。
「……またやってんの、姉ちゃん」
 げんなりした顔で、俺と一日違いの誕生日を持つ妹がやってきた。
「あっ、カナちゃんも一緒にやる? 一日一回はすりすりしないと落ち着かないでしょ?」
「そりゃ姉ちゃんだけでしょ。あたしは御免ね、こんな奴にすりすりされると思うと気持ち悪くて」
 妹──カナは、俺をじとーっと見た。
「え~? なんで? こんな可愛いのに」
 可愛いかどうか知らんが、公共の場であまりいじくり回さないで欲しい。お姉ちゃんになでられるたび、俺の社会的地位が加速度的に落ちていく気がする。
「もーなんでもいいから飯食おうぜ……早く食わんと時間なくなるぞ」
「あっ、そうだね。それじゃこれ、はいお弁当」
 弁当を机の上に広げていると、見慣れない女生徒が教室の入り口からお姉ちゃんを呼んだ。
「あっ、いっけない! 用事あったんだ……ごめんねタカくん、お姉ちゃん一緒にご飯食べれないよ」
「いや、いいから早く行けよ。呼びに来た人困ってるぞ」
「うー……お姉ちゃん、ちょっと寂しいけど頑張ってくるね!」
 お姉ちゃんは手を振りながら教室を出て行った。
「やれやれ、やかましい人だ」
「とか言って、ホントは嬉しいんでしょ? 身内とはいえ、女の子に優しくされて」
「あの人は優しいと言うか、俺をペットか何かと勘違いしてる」
「あははっ、それホントにあるかも。……で、何一人で食べてんの?」
「友達みんな学食行っちまったし、今更行くの面倒だから」
「……し、しかたないわね。あたしが一緒に食べてあげる」
「ん、そっか? 別にどうでもいいけど」
「食べてあげる! ……感謝しなさいよ」
 なぜ妹と一緒に飯を食うだけで感謝しないといけないのか分からないけど、射抜くような目で見られたのでコクコク頷いておく。
「……へへ、こうやって差し向かいで食べるのって、久しぶりかも」
 何が嬉しいのか知らないが、カナは珍しく終始ニコニコしていた。

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【ツンデレと二人で校内放送】

2010年03月28日
 みことと一緒に校内放送することになった。ということで、放送室に連行された。
「……なんで?」
「貴様が先日休んでいる間に、私ともども放送委員に任命されたのだ。……まったく、なんで私が貴様なんぞと一緒にしなければならないのか……」
 ぶちぶち呟きながら放送用のスイッチを入れるみこと。
『みなさんこんにちは。放送委員がお送りするお昼のニュースです』
『みことみことー、んで何やんの? みことの性癖とか暴露したりしていい?』
『もうスイッチ入っておる! 変なこと言うな、たわけっ!』
 俺を張り倒してから、みことはマイクの前に座りなおした。
『んっ、んんっ、……失礼しました。混線したようです』
『いつつ……いやいや、混線してないぞ。それで話の続きなんだが、みことの性癖を知るためここで裸の付き合いをぐぇぇぇぇ』
 首をぎううと締められる。いかん、死ぬ。
『こ、ここで死ぬと片付けるの大変かと! どこか別の場所で!』
『……それもそうだな。いいか、もう余計なこと言うな』
 俺を放し、みことは養豚場の豚を見るような視線で俺を射抜いた。
『分かった、努力する』
『ん、んんっ。……失礼しました、また混線したようです。それでは最初のニュース、椎水さんが水泳の県大会に出場しました。素晴らしいことですね』
『あいつ胸ないから水の抵抗少なくて速いんだろうな』
『後で殺されるぞ』
『……今のカットで』
『生放送だ。残念だったな、別府タカシ』
『名前を言うなよっ! 言わなかったらかなみの奴バカだから分からなかっただろうに!』
『……今のも全部放送されてることに気づいているのか?』
『…………。か、かなみってステキだよね。そんなステキな方が暴力なんて振るわないよね?』
『無駄な努力を行う別府タカシであった』
『自分でも薄々気づいてるけど言うなっ!』
『ふふっ。続きまして、不思議なニュースです。女生徒らしき人影が空を飛んでいる所が目撃されました。何か情報がある方は、生徒会まで』
『あー、それたぶんちなみだ。こないだ“……新作の着ぐるみできた。……今度のは、ジェットで空を飛ぶ”とか言ってたから』
『……学園の不思議が解決しました。次のニュースです。毎日遅刻する人物がいるため、生徒会は近々その人物に罰則を設ける模様です』
『……お、俺じゃないよね? みことも遅刻してるもんね?』
『毎日近所の生徒に起こされているにも関わらず、いつもいつも始業時間ギリギリまで寝て、あげくその生徒を巻き込んで遅刻をするのです。罰を与えられて当然ですね』
『ええっ!? 当然じゃない! 第一、みことも悪いぞ! もっとしっかり起こせば、俺もすぐ起きるのに!』
『何を言うか! 私はしっかり起こしておる!』
『どこがだよ! ゆさゆさ優しく揺すってさ、ゆりかごみたいで逆に眠くなるだろ! ……あ、そうだ、次からキスして起こして』
『きっ、ききき、キスだと!? そんなことできるわけないだろうが、たわけっ!』
『でも、みことにキスされたらびっくりして一瞬で起きれること請け合い』
『む……し、しかし、そう簡単に接吻など、その……』
『ほっぺ、ほっぺでいいからさ。な?』
『……ど、どうしても、か?』
『どうしても!』
『……そ、それなら、その、……してやらんでもない。いっ、言っておくがな、貴様を起こすためだ! 他意はないぞ、他意は!』
『やたっ、これで毎日みことにキスしてもらえる! こんにちは、バラ色の人生!』
『ええい笑うな騒ぐな踊るな! ここは放送室だぞ! ……あ』
『ん? どしたみこと、真っ青だぞ?』
『……スイッチ、入ってるの忘れてた』
『え、それって……』
『……さっきの会話、全部校内に筒抜け……』
『……えええええっ!?』
『そっ、それではお昼の放送終わりますっ! 放送委員でしたっ!』
 みことは慌しくマイクのスイッチを切った。聞こえないはずなのに、生徒達の黄色い声がここまで届いてくるようだ。
「うう……ううう……全部お前のせいだぞ」
 みことは恨めしそうに俺を睨んだ。ただ、真っ赤なので全然怖くない。
「あは、あはは……はぁ。教室戻りたくねー……」
 それでも、戻らないわけにはいかない。意を決して二人して教室に戻ると、まぁ生暖かい視線の雨あられ。
「ふふ、ふふふ……全部貴様のせいだっ!」
「い、いや、俺だけのせいじゃないと思いますよ!?」
 必死の抵抗空しく、照れ隠しにしては過剰と思えるほどべこんぼこんにされました。

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【ツンデレの豆知識】

2010年03月28日
 登校して一服してると、なんだか嬉しそうなボクっ娘が寄って来た。
「おはよう、タカシ! あのね、タカシのために豆知識を披露してあげるよ!」
「結構です」
「……お、お馬鹿なタカシが少しでも賢くなれるように、豆知識を」
「いいです。結構です。かなりの迷惑加減です」
「ここは“わーい、教えて梓ちゃーん”って台詞だろっ!」
「梓を一度たりともちゃん付けで呼んだことないし、そんな馬鹿っぽいキャラでもない」
「いいから言えよっ! ほらほら、ほら!」
「うるさいなぁ……ええと、わーい、ボクっ娘の性感帯を教えて梓ちゃーん」
「変な文が入ってるよ! そんなこと教えるわけないよっ!」
「耳?」
 言いながら梓の耳の穴に軽く小指を入れ、くりくり動かす。
「は、ふぁ……んくっ」
「梓の性感帯は、耳……と」
「違うよっ! こそばゆかっただけだよっ! メモんな、ばかぁっ!」
 違うと言い張りながらも顔の赤い梓にメモを奪われた。無念。
「それより、豆知識だよ! ええとね、枝豆は大豆なんだよ!」
 ……パクリじゃん。あずまんが大王のパクリじゃん。なんでそんな得意気やねん。
「……ま、豆知識だけに、豆ー、なんだけど、その……タカシ?」
 優しく笑ってから、梓のほおを引っ張る。
「あうーっ!?」
「パクリはダメだぞ、梓。豆知識が思いつかないなら、自分で適当にでっち上げるくらいの気概がなくてどうする」
 手を離すと、梓は恨めしそうに俺を見ながらほっぺをさすった。
「豆知識にパクリも何もないよ。第一、タカシじゃないんだから、その場しのぎのデタラメなんてぽんぽん浮かばないよ」
「デタラメなんて一度として言ったことない!」
「うわ、言い切ったよこの人。いっつも適当なことばっか言ってるくせに」
「……ふふ、ボクっ娘のクセにいい度胸だ。ほっぺ引っ張ってやれ」
「あぅ、あぅーっ!」
 そんな日常です。

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【エビフライが大好物なツンデレ】

2010年03月28日
「えびふりゃー!」
「…………」
「えびふりゃー!」
「…………」
「えびあうっ!」
 エビフライを掲げ、嬉しそうにりゃーりゃー言う梓の頭を軽く叩く。
「うるさい」
「うう……タカシにもエビフライの素晴らしさを伝えてあげてたのに、暴力を振るうなんて酷いよ」
「暴力って……お前なぁ」
「聞いた? 別府くん、梓ちゃんに激しい暴力を振るってるってさ」
「暴力……ああ、SMね。別府くんにとっては空気と同じくらい親しいんでしょうね。やっぱり変態ね」
 耳聡く梓の言葉を聞いたクラスメイトたちが、いつものように情報を曲解して俺を蔑む。
「こらっ、梓! SMなんて10年早いぞっ! そういうことは大きくなってからしなさい!」
「ボク、タカシと同い年なんだけど……」
 さりげなく梓を叱って落ちた地位を上げようとしたら、至極真っ当な事を言われたので困る。
「とにかく。エビフライを食べる時は静かに食べなさい」
「はーい。むぐむぐ」
 むぐむぐ言いながら俺の弁当箱からエビフライを取る梓。……食った!?
「あああああ! “俺のエビフライ食ってもいいよ”なんて言ってないのに食った!」
「タカシ、ご飯を食べる時は静かに食べようね?」
「すいません」
 優しくたしなめられたので、謝る。
「いやいやいや、そうじゃなくて! なんで俺のエビフライ食うんだよ、えびふりゃー!」
「ふふん、世界中のえびふりゃーはボクのだよ! 特にタカシのえびふりゃーは全部ボクの!」
「なんたる傲慢、なんたる独善! 許せない、許せるはずがない! 俺もえびふりゃー好きなんだ、返せ!」
「ぱくぱくぱく!」
「返せと言ってるそばから残ったえびふりゃーが全て梓の口に!?」
「もぐもぐ……げふー。あはっ、満足だよ。明日もお弁当にえびふりゃー入れてくるように。これ、めーれーだから」
「……ふふ、梓は“食い物の恨み骨髄に徹する”という格言を知らないようだな……」
 近くの級友が「なんか混じってる」とか言ってるけど無視。
「た、タカシ、どしたの? なんか目が血走ってるけど……」
 どしたの、なんて言いながら椅子から腰を浮かせ、逃げる素振りを見せる梓。
「逃がすか、えびふりゃー光線!」
「タカシが子供でも恥ずかしくて言えないようなことを平然と言いながら追いかけてくるよぉ!」
 俺を馬鹿にしながら梓は廊下へ飛び出した。慌てて追いかける。

「はぁ……まったく、あの馬鹿。後でボクっ娘の刑だ」
 梓に撒かれてしまい、気落ちしながら教室に戻る。
「…………」
 すると、俺の席に小さな人影を見つけた。あれ、先輩か? 一体何を……って、
「先輩! なに俺の弁当食ってんだよ!」
「……?」
「いや、不思議そうな顔しないで。それ俺の弁当」
 先輩はコクコクうなずくと、残りを一気に全部食った。
「……先輩、何か俺に恨みでも?」
「…………」
「……自分の分食べただけじゃ足りなくて、俺のを食った、ですか。……ええと、その、畜生」
 梓に逃げられた恨みと合わせ、先輩のもちもちほっぺを引っ張る。おお、伸びる伸びる。
「…………」
 あぅー、という感じの顔で俺を見る先輩。
「いや、あぅーは俺の方。……はぁ、腹減った」
 ほっぺを離すと、先輩は訳知り顔で俺のお腹をぽんと叩いた。
「…………」
「……おいしかった、ですか。あはははは。先輩、人の神経逆なでるの上手だね」
 そう言うと、先輩は偉そうに胸を張った。いや、褒めてない。
 悔しいので先輩のぺた胸をまさぐると、目聡くその様子を見ていたクラスメイトに囲まれ、こんな時だけ発揮されるチームワークでぐるぐる巻きにされ、ロッカーに押し込まれた。その時間なんと30秒。
「……俺が何をしたというのだ」
「うわっ、ロッカーが喋った! 七不思議なのカナ?」
 戻ってきた梓が俺の独り言を聞いて驚いていた。

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