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2026年03月19日
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【ツンデレ姉にお金を借りたら】

2010年03月05日
「姉貴ー、財布忘れたから金貸してー」
 昼休み。姉が教室で友人たちと弁当をつついていると、弟がやって来てそう言った。
「またか。まったく、いつも言っているが家を出る前にちゃんと確認しろ」
「がたがた言わずにとっとと金出せ貧乳」
 姉はにっこり笑って弟を蹴り飛ばした。いつもの光景に、教室にいる者は誰一人注意を払わなかった。
「なんでいちいち怒らせるような事を言うかな、この愚弟は……ほら、立て」
「あいたた……あ、ありがと、姉貴」
 姉は手を貸し、弟を立ち上がらた。
「ほら。500円でいいな?」
「有り金出せ。……いやすいません調子こきましたすいません許してください」
 姉がとても怖い顔で睨むと、途端に弟は土下座する勢いで謝った。その情けない様子に、姉は思わず苦笑した。
「男がすぐ謝るな。まったく、情けない弟だ」
「NASAけない弟よりマシだろ? 説明しよう! NASAけない弟とは、宇宙っぽくない弟であり、俺のことであり、しまった、俺はNASAけない!」
「こんな弟に育ては覚えはないんだがなぁ……」
「あははは。とにかくサンキュな姉貴、愛してるぞっ!」
「ばっ、ばかっ、何を言うかっ! とっととパンでも買って来い、愚弟!」
 簡単に赤くなる姉に手を振って、弟は教室を出て行った。
「……な、なんだ」
 再び弁当をつついていると、友人たちがこちらをじっと見つめていることに気づいた。何か言いたそうなその顔に問いかけると、
「「べっつにー」」
 という、異口同音のそっけない答えが返ってきた。だが、その顔にはニヤニヤとしたからかう気満載の表情が張り付いている。
「よ、用がないならじろじろ見るな」
「いや、用はないんだけどさ、相変わらず仲いいなーって思って。普通、高校くらいになると姉弟仲なんて悪くなるのにさ」
 ショートカットの少女がそう姉にそう言った。
「……べ、別にいいだろう。姉弟仲がよくて何か問題でも?」
「ないよ、なーんにも。でも、邪推する人もいるかもしんないから、注意した方がいいかもだよ?」
 ツインテールの少女が姉に注意を呼びかける。
「好きにすればいい。誰にどう思われようが、関係ない」
「……くーっ、お姉ちゃんかっくいー! あたしが男だったらほっとかないよ、ホント」
「あちしは女だけど、グラグラきそうだよ。きしし」
 そう笑うツインテールの少女から、姉は椅子を離した。
「じょ、冗談だよじょーだん。やだなーお姉ちゃんってば。きししし」
「……まったく」
「でもさー、アンタも弟クンとばっか仲よくてもアレだよね。彼氏でも作ったら?」
「不要だ。男のような惰弱で不埒で卑劣で腑抜けな存在が側にいるなんて、不愉快極まりない」
「いや……弟クンも男だよ? 弟クンもアンタのいうところの、えっと……惰弱でなんたらって存在なの?」
「いや、あいつはただの馬鹿だ」
 何故か誇らしげに言う姉に、友人たちは顔を見合わせて苦笑した。
「こりゃ、深刻なブラコンだねぇ。きししし」
「なっ、何を言うかっ! 私のどこがブラコンだ! 訂正を求める!」
「姉貴ー、パン売り切れてて、セロリサンドしか残ってなかったー。弁当分けてー」
 立ち上がって友人に怒る姉の下へ、弟が再びやって来た。
「こ、この構図は! 姉貴が友人であるツインテールの一見ロリぃ女生徒の胸元を掴んでいる! ここから導き出せる未来予想図は、百合百合ぃに違いない! よし、ここは弟として見守ろう!」
「見守るな、この愚弟! 誰が百合か! 私はちゃんと男に興味がある!」
「男色の気があると?」
 姉は黙って弟を張り飛ばした。
「うう……姉がいじめる。助けて、お姉様」
「あー、よしよし。大変だね、弟クンも」
 すごい怖い顔で睨まれていることに気づかない弟とショートカットの女生徒だった。
「いっそのこと、私の弟になる?」
「おっ、そいつぁ名案だ。姉貴、俺は今よりこのお姉様の弟に……」
「だっ、ダメだ!」
 尋常ならざる速さで、姉は弟をショートカットの女生徒から奪い取って抱きしめた。
「これは私の! 私の弟だ! 誰にもやらん!」
「……え、えーっとね、お姉ちゃん?」
「……冗談、なんだけど……」
 ショートカットの女生徒と弟が困りながらそう言った途端、姉の顔が火を噴いた。
「ちっ、違う違うぞ? 私もその冗談とやらに乗っただけで、決して、そんな風に思っているとは」
「どブラコンだねぇ。きししし」
 姉の顔がさらに赤くなった。
「う、うう、ううううう~……もう知らんッ! 貴様らみんな知らんッ!」
 姉は机に伏せ、顔を隠した。
「あー……あっと、お、俺、帰るな。その、姉貴、ふぁいとっ!」
「うるさい帰ればかっ!」
 不貞寝をするかのように顔を伏せてる姉の背に、友人たちの笑い声が降り注ぐのだった。

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【牛乳と言えないツンデレ】

2010年03月05日
 休み時間、ちゅーちゅー牛乳を飲んでたら、ちなみがこっちを見てるのに気づいた。
「なんだ、飲みたいのか? 白くてどろっとしててノドにこびりつく獣臭い液体を飲みたいのか?」
「……タカシはいつ何時でもエッチだ」
「俺は牛乳の話をしているのだけど」
「……私もにゅうにゅうの話をしている」
 ……え?
「ちなみ、今なんて?」
 そう聞いた瞬間、ちなみはしまったと言う顔をした。
「……別に、何も言ってない。とうとうタカシは幻聴が聞こえる域に達した。……さよなら、タカシ」
「人をヤバイ人扱いするない。そうでなくて、なんか、……にゅうにゅう、とか言ってなかった?」
 ちなみの体がびくりと震えた。
「あり? ひょっとしてここにおわすちなみさんは、牛乳と言えないのかにゃー? 体だけでなく、舌まで子供なのかにゃー?」
「……まったく、タカシは何を言っているのか。……体も舌も大人に決まっている。……そう遠くない未来に、育つに決まっている」
 そう言いながら、ちなみは自分のぺたぺたの胸をぺたぺた触った。
「じゃ、牛乳って言って。さんはい」
「…………」
 ちなみは机の中から文庫本を取り出し、読み始めてしまった。
「さんはい」
 本を取り上げ、もう一度繰り返す。
「……にゅ」
「にゅ?」
「うるさい。……ちょっと、向こうむいて、耳塞ぐ」
 ちなみは俺の頭を持ち、ぐるりと180度回転させた。
「首がぐるりと! エクソシスト!」
「……体も合わせて回転してるので、エクソシストならず。……首が取れなくて非常に残念」
「非常に残念とか言うな」
「……とにかく、耳塞ぐ。……じゃないと、……アレ、言わない」
「……ふむ、分かった」
 と言ったけど、当然塞ぐはずがない。耳を塞ぐフリをして、少しだけ耳と手の間に空間を作る。そうしていたら、ちなみの小さな声が届いてきた。
「……にゅ、にゅうにゅう。……にゅうにゅう。……むぅ、言えない」
 分かっていたことだけど、やはりちなみは牛乳と言えずにゅうにゅうと言ってしまうようだ。うむ、可愛すぎる。
「……にゅうにゅう。……に、にうにう」
 惜しい! もうちょっとで牛乳だ! 最初の“に”を“ぎ”に変えろ! というか、何が難しいのか皆目検討がつかないのですが。
「……にゅうにゅう。……言えない。……いや、私は間違ってない。……にゅうにゅうの方が間違ってる」
 ちなみの思考が変な方向に行きだした。
「……そもそも、言葉なんてその時々によって変わる物。……だから、にゅうにゅうと言ったからって、変なはずがない」
「いや、それはおかしい。牛乳は牛乳で、にゅうにゅうとはならないと思う」
「…………」
 おや? 急にちなみが黙ったぞ。どうしたのだろうか。
 なんて思ってたら、ぐるりと回転させられた。
「……聞いてた?」
 なぜか顔を真っ赤にしながら俺に問いかけるちなみ。
「全然」
「……じゃあ、なんでさっき受け答えしたの」
「……? ……あ、ひょっとして、俺、……さっき喋った?」
 ちなみはこっくり頷いた。
「いやはや、自分では心の中で思ってたつもりだったけど。うむ、そんなこともあるよね」
 ぽんとちなみの頭に手を置き、全てをうやむやにする。
「……よくも聞いてたな」
 うやむやは失敗したようだ。俺の手の下で顔を真っ赤にし、ちなみは半泣きでぷるぷる震えた。
「あ、いや、その、……にゅうにゅうに相談だ!」
「……にゅうにゅう言うな、ばか。……許さない」
 にゅうにゅう言う娘っ子に追い掛け回された。捕まった。

「あー、授業を始め……うおっ、別府が縄でぐるぐる巻きで、いわゆるミノムシのような状態で窓から干されてる!」
「いじめだぁ! 先生、助けてぇ!」
「ま、どうせお前が余計なことしたんだろう、そこで授業受けてろ。あ、落ちても死ぬなよ。俺のせいになるから」
 この学校はもうちょっと色々なことを気にした方がいいと思う。あと、俺見てにやにやしてるちなみがムカツク。

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【男がホモであるという噂を聞いて何とかしようとするツンデレ】

2010年03月04日
 なんでも、今の流行はショタだとか。流行の最先端を行く俺としては、そして、ガイアが俺にもっと輝けと囁いてくる末期の幻聴が聞こえる俺としては、調べねばならないだろう。
 というわけで調べるべく、とあるゲームを入手し、店から出たところでボクっ娘とエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅっ!」
 梓の頬をぎうぎう引っ張ったら、素っ頓狂な声をあげられた。愉快なので手を離してあげる。
「いきなり何すんだよッ!」
「いや、コマンドという響きを聞いたら逃げずに戦う、という俺流のドラクエのプレイスタイルに従ったまでだ」
「コマンドなんて響いてないよ、幻聴だよ、脳がヤバイ感じだよ!」
「梓、街中で大きな声を出さない」
「正しい事言われてるのに、釈然としないよ……」
 何故か憮然とした顔の梓だった。
「じゃ、俺は急ぐのでこれにて失礼。ちなみに、急ぐ理由と俺が小脇に抱えているこの袋には何ら因果関係がないので、追求しないように」
「何買ったの?」
「追求しないようにと言ったそばから何を追及しているか! これだからボクっ娘呼ばわりされるとなぜ分からない!」
「すっごい怒られた!? ていうかボクのことボクっ娘って呼ぶのタカシだけだよ、タカシおんりーだよ、おんりーわんだよ!」
「おんりーにゃんだったらよかったのにな」
「まるで理解が不能だよ! いーから見せろよ、別に見せたからって減るもんじゃないだろ?」
「いや、見せると梓の乳が減るんだ」
「減らないっ! ていうかこれ以上減りようがないよッ! 自分で言ってて悲しいよっ!」
「俺は貧乳大好きだよ?」
「超嬉しくないっ!」
 褒めたのに。
「もー怒った、見せてくれるまで許さない!」
 そう言って、梓は俺の持ってるビニール袋を引っ張った。取られまいとこちらも引っ張りながら、気合を入れるため声を荒げる。
「いやあっ、堪忍してえ!」
「なんで町娘が乱暴されてるみたいな声出すんだよっ!? みんな見てるじゃんか!」
 俺の町娘乱暴されボイスが冴え渡ったせいで、道行く人たちがじろじろこっちを見る。
「見料5万円」
「金取んなッ! 適当もいい加減にしろ……よっ!」
 梓が力を込めた瞬間、俺の持ってた袋が無残にも引き裂かれた。そして。
「……『ツイ☆てる』?」
「『つのだ☆ひろ』の亜種だ」
「☆が間に入ってるのが一緒なだけだよ! なんだよこれ、『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』って書いてるじゃん!」
「いやその、違うんですよ? ちょっと興味があっただけで、決して新しい趣味に目覚めたんじゃないぞ? いやまあ確かに可愛い男の子もいいなあと思ったり思わなかったり」
「…………」
 必死で言い訳するが、梓は下を向いて小さく震えるばかり。
「梓? 聞いてる?」
「……タカシのド変態っ! 死んじゃえばかっ!」
 俺の頬をばしーんと平手し、梓は肩を怒らせながらどっか行ってしまった。
「ショタものでなく、BLの方がよかったのでしょうか。しかし、それは流石に辛い、辛いのです!」
「わ、私に言われても……」
 近くで携帯を販売してるお姉さんに訴えたら困惑された。

 翌日。部屋で漫画読んでたら、梓がやってきた。否、梓にエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅぅっ!」
 しまった、昨日と同じ轍と踏んでしまった。慌てて手を離す。
「何すんだよ何すんだよ! 昨日と同じ展開じゃんか!」
「いやその、俺の脳内でドラクエの戦闘シーンの音楽が流れたもので。ごめんね」
 むーっとした顔の梓に謝る。
「しかし、昨日の今日で遊びに来るって……怒ってたんじゃないのか?」
「……ま、まぁ、趣味は人それぞれだし。そもそも、ボクが無理やり見ようとしたのが悪かったんだし」
「その通り! さあ、土下座しろ」
「調子に乗りすぎだよっ! それにさ、隠されたら見たくなるだろ。タカシも悪いんだよ」
 梓と話してる最中、格好の奇妙さに気づいた。普段からスカート等の娘っぽい格好を嫌い、少年っぽい格好をしているボクっ娘だったが、今日はそれに輪をかけて男っぽい格好をしている。具体的には半ズボン。
「で、梓。なんだって今日はそんな格好を?」
「な、なんだよ、普通だろ? ……あ、そっか、タカシは変態だから、ボクをそういう目で見てるんだろ」
「……? どゆこと? 話が見えないんだけど」
「だ、だから、……ボクって男だけど、見た目は可愛いから、狙ってるんだろ!」
 ……あー、あーあーあー。そういう『設定』な。実際は女だけど、俺の趣味が少年と思いこんで、自分が男という『設定』と。しょうがない。責任の一端は俺になくもないので、乗ってやろう。
「そーうなーのだー。俺は貴様のような『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』なやつが大好物なーのだー」
「タカシ、陸に打ち上げられたタコみたい」
 人が折角乗ってやったのにこの仕打ち。
「ショック。寝る」
「あっ、寝るなよ! ほら、男同士なんかやろうぜー」
「なんか……よし! 裸のお付き合いしよう! 風呂!」
「のーだよお断りだよ下心見え見えだよ! そういうエッチなのは禁止だよっ!」
「梓……俺、キスしたことないんだ。お前相手に練習してみていいかな? 男同士だし、いいだろ?」
「だから、エッチなのは禁止って言っただろっ! キスしたいだけだろ! そもそも男同士でキスなんてしないっ!」
「うぅん……難しいものだな」
 『少年相手』かつ『エロくない行為』だと、できることが極端に限られてしまう。しかし、健全で貫けるほど俺は真っ当な精神をしていないのだ! それとなくエロいことしてやる!
「あーあ、なんか想像と全然違うよ」
 どうすればエロくできるか腕を組んで考えてると、梓が少し呆れたようにそう言った。
「想像? どんな?」
「え、えと……笑うなよ?」
「大丈夫。どんなことでも、梓が言う事なら、俺……笑うから」
「タカシ……え、いや、笑うの!? 今の雰囲気だと、笑わないから、だろ!」
「よし! 男同士だし、俺が梓のおっぱいを吸うってのはどうだろう?」
「全然人の話を聞いてない上、またエッチなことだよ! どれだけエッチなんだよこの人!? そもそも男同士でおっぱい吸うとかないし! いーからボクの話聞けっ!」
「はい」
「こほん。……えっとね、ぼ、ボクは男なんだからさ、ぎゅーってされても問題ないよね?」
「…………」
「……な、なんだよ。男同士のコミュニケーションなんだから、それくらい普通だろ!」
 普通、男同士で抱き合ったりしません。だがしかし、こんなナイス提案を否定するほど馬鹿でもないので。
「するする、しまくり! よし、いざ!」
「い、いいけど……えっちなことすんなよ! 絶対だぞ!」
「分かってるって。ダチョウ倶楽部方式だろ?」
「違うっ!」
 なんか言ってる梓を後ろからむぎゅーっと抱きしめる。
「は、はぅ……」
「は、はぅ」
「……なんだよ」
「何も言ってません」
 憮然とした顔の梓を少し強く抱きしめる。
「はぅ……はふ」
「はぅはふ」
「…………」
「……何か?」
「何かじゃないよっ! 絶対確実に馬鹿にしてるだろ! しょうがないじゃん、声が漏れちゃうんだから!」
「尿が漏れないでよかったですね」
「うがーっ!」
 なんか怒った。
「もーっ、タカシすぐボクのこと馬鹿にするから嫌い嫌い嫌い! どっか行けばかーっ!」
「任せろ! 望み通り、どっか行くぞ!」
 梓を後ろから抱っこした状態のまま立ち上がり、ベッドへ移動する。
「うわうわうわ、違う違うよ! ボクを離してからどっか行けよ! ていうかベッドって嫌な予感しまくりなんだけど!?」
「大丈夫。まだ挿れないから」
「何する気だよお!?」
 ……いかん! “ナニ”をする気だよ、というとんでもないダジャレが思いついてしまった! どうする、どうする!
「“ナニ”をする気だよ」
 耐え切れずに言ってしまった。
「うわ。タカシ、最悪」
 ショックのあまりベッドに倒れこむ。
「ちょ、ちょっとちょっと! 倒れこむならボクを解放してからにしろよっ! 潰されてる、ボクがタカシの体に潰されてるよっ!」
「うーん、今日の敷布団は柔らかくて嬉しいなあ」
「敷布団違うっ! それボクの体っ! こら、さわさわすんなっ!」
 梓は体をくるりと180度回転させ、俺の手を制した。仕方がないので、梓の髪に顔を埋めて思い切り息を吸い込む。
「んーっ、梓って、男のくせに女の子みたいないい匂いするな」
「こっ、こら匂うな、くんくんすんなっ! ぼ、ボクは男なんだから、そういうことすんなよっ!」
 ……うーん。そういう“遊び”ってのは分かってるんだけど、本当に梓が男になったような、そんな倒錯的な気分になる。
「……ショタもあり、かなあ」
 そう呟いた瞬間、梓は俺を蹴り飛ばした。
「痛いっ!? こらボクっ娘、俺を蹴り飛ばすとは何事か!」
「うっさい! ショタもありとか言うからだよっ! なに考えてんだよ、この変態変態変態っ!」
「いやいや、おまいが最初にそういう設定を持ち込んだんだろうが」
「うぐ……だ、だって、タカシがそういう趣味に目覚めちゃったから、その……」
「?」
「あーもーいいっ! もー終わりっ!」
「えー? もっとやろーぜ。やっとエンジン温まってきたのに」
「やんないっ!」
「あーあ。ま、いーや。ショタもいいが、ボクっ娘の方がいいしな」
「え? そ、それって……」
 どこか嬉しそうに目を輝かせるボクっ娘。
「なぜなら、ショタ設定だとスカートをめくれないから! しかし、ボクっ娘の場合だと、制服の場合ならスカートをめくれるから! なんだったら中に侵入なんかしちゃったり!」
「…………」
「おや、震えてますね。寒いのですか?」
「怒りの震えだよ! このどエッチっ!」
「なんだと!? 本当に俺がどエッチなら、そのズボンをズボンっと脱がしてパンツを鑑賞してるぞ!」
「今まさにやろうとしてるだろっ、このばかっ!」
 言われて見れば、俺の手が梓のズボンに手をかけて降ろしてますね。まあ、そんなことを冷静に考えてる最中もがっつんがっつん頭を殴られているわけなんですが。
 とにかく、頭が痛いので冗談は終わりにする。
「うー……そういういじわる、嫌い。本当に嫌いになっちゃうよ?」
「ごめんなさい」
 自分でも冗談が過ぎたと思うので、素直に頭を下げる。
「ところで、本当に、と言ったところから察するに、今は俺の事を嫌ってないと取ってよろしいのでしょうか?」
「え? えー……っと、どう思う?」
 期待と不安が半々、といった様子で、梓が問いかける。
「個人的には3が一番好きだけど、最近リメイクされた4も結構好き」
「ボクの話がいつのまにかドラクエの話に!?」
「あと、玉子焼きが好き」
「さらにはタカシの好物の話に移行したよ!? もう訳わかんないよ……」
「そして、割と梓も好き。梓も俺の事を好いていてくれたら、嬉しく思う」
「あ……。え、えっと、……ぼ、ボクも、タカシのこと、そ、その、……ま、まぁ、嫌いじゃないよ?」
「つまり、いてもいなくてもいい存在と。路傍の石と変わらぬ存在と。不要の物と、そう言うのだな?」
「違うよ必要な存在だよかなり好きだよっ! ……あ」
「あー……その、照れますね」
「ちっ、ちちちっ、違うよっ! とっ、友達として! 友達としてだよ? ホントに!」
 梓は顔を真っ赤にして、友達友達と連呼した。
「分かってるって。俺も性奴隷として好きだよ」
「何も分かってないよこの人!? そんなのになった覚え、まるでないよっ!」
「じゃあ覚えておこうね」
「うがーっ!」
 怒りながら俺の頭をがじがじかじるボクっ娘だった。

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【朝ご飯を作ってくれるツンデレ】

2010年03月04日
 両親が旅行に出かけた。これで俺の天下だきゃっほーと思って漫画買ったりゲーム買ったりしたら、貰っておいた生活費が尽きた。
 そんなわけで三日ほど何も食わないで腹を鳴らしていたら、見るに見かねたのか、近頃はかなみが飯を作ってくれるようになった。それはいい。とてもありがたい。だがしかし。
「朝はパン食べたいなあ」
「なに言ってんのよ、朝はご飯に決まってるでしょ。パンなんかじゃ力出ないわよ」
 かなみは椀にご飯を盛り、イスに座ってぼやーっとしてる俺に渡した。
「うちは前々から朝はパンなんだ。アンパンマンを崇拝してるんだ。愛と勇気だけが友達なんだ。おまえなんて友達でもなんでもない。帰れ帰れ、田舎者は帰れ!」
「じゃあコレいらないのね?」
「かなみだけが友達さ! どうかこれからもずっと末永くお願いします!」
 おかずの目玉焼きを人質、いや物質に取られたので、一瞬で手の平を返す。
「まったく、調子いいんだから……もうちょっとしたらお味噌汁が出来るから、少し待っててね」
「あい」
 適当に返事をして、かなみの後姿を眺める。
 かなみは学校指定の制服に身を包み、その上からエプロンをしている。機嫌よさそうに鼻歌を口ずさみながら、おたまでくるくると味噌汁をかき混ぜていた。
「……なんか、新婚さんみてえ」
「ん? タカシ、なんか言った?」
 くるりとこちらを向き、かなみは小首を傾げた。遅れてツインテールがふわっと回転する。
「なんか、サンコンさんみてえ」
「どこがよっ! 性別も人種も年齢も全部違うっ!」
 一文字間違ったせいで怒られた。間違わなくても怒られそうだが。
「変な事ばっか言って……まあ、いつものことだけど」
 ぶつぶつ言いながら、かなみは再び味噌汁の調理にかかった。
 ……んー、ここ数日ご飯ばっかで、いやもちろん作ってもらってありがたいんだけど、それでもパンが食べたいな。
 しかし、かなみにそう言っても「パン食う奴はベトコンだ! パン食べてご飯食べる奴は訓練されたベトコンだ! ホント戦場は地獄だぜ! フゥハハハーハァー」とか言うだろうしなあ……。
 どうしたものかと思案しながら視線をさ迷わせていたら、棚の上にスナックパンが置かれているのを見つけた。
 パン! 食いてえ! しかし、かなみに見つかると没収されるに違いない。
 だが、うだうだ考えていたら味噌汁が出来上がり、食う時間もなくなってしまう。どうする、どうする!
 まあいいや、食べよっと。
 手を伸ばしてスナックパンの入った袋を手に取り、封を開ける。一本手に取り、口に入れる。おいしい。
「タカシー、出来たわよ……」
 笑顔でふりむいたかなみが止まった。見つかった。
「……何してるのかしら」
「……ごくん。いや、何もしてないよ?」
「嘘つけっ! さっきごくんって何か飲み込んだでしょっ! ていうかその手に持ってる袋、思いっきり見えてるんだけど!」
 慌てて袋を背中に隠す。
「いや、違うんだ。これは散歩した時に糞を入れる排泄物袋で、パンは入ってないんだ」
「アンタ犬飼ってないでしょっ! いーから寄こしなさいっ!」
「かなみが糞を見たがる」
 とても怖い顔で睨まれたので、袋を渡す。
「ほら、やっぱりパンじゃない! もうっ、こんなの食べたらあたしの料理食べれなくなるでしょっ!」
「甘いものは別腹というし、だいじょぶだいじょぶ」
「もー……残したら承知しないわよ?」
「じゃあ認知はしてくれよな?」
「何の話よっ!」
 それは俺にも分からない。
「とにかく、パンは没収。ご飯食べなさい、ご飯」
「ちぇ。まぁいいや、一本食べたら満足した。飯を食うとします」
「そうしなさい。朝はやっぱりご飯! これで決まりよ」
 にっこり笑いながら、かなみは出来立ての味噌汁をよそってくれた。
「はい。熱いから気をつけなさいよ」
「はははっ、この俺様がそんなイージーミスをするはずがあっちぃっ!」
 受け取って口にした瞬間火傷した。
「言ったそばから……ああもう、子供みたいね、アンタ」
 かなみは俺の味噌汁を取り、ふーふー吹いた。
「はい、冷めたわよ。これでそそっかしいアンタでも大丈夫なはずよ」
「完全に子供扱いですな」
「あははっ、ふくれっ面して。なんならアーンもしてあげましょうか? なーんて」
「それはいい。是非お願いしよう」
「……え?」
「いや嬉しいな、まさかかなみが作ったものを手ずから食べさせてもらえるだなんて。俺はなんて幸せな男なんだろうか」
 無論、そんなもの本心ではない。かなみの退路を断ったまで。限界ギリギリまでいじめ、子供扱いした事を後悔させてやる!
「……あ、あの、そこまで言うなら、……してあげてもいいわよ?」
 かなみは少し頬を赤らめ、おずおずと言った。話がおかしな方向に転がりだした。
「あ、いや、でもほら、こういうのって恋人同士がすることであり、友達同士でするのって変とか思ったりする人がいたりする可能性がなきにしもあらずというか」
「べ、別に深い意味なんてないわよ? そ、その、そこまで言われたらあたしも断れないし」
「いや、でも……」
「あ、それとも……ホントは嫌、だったり?」
 かなみは少し顔を伏せ、声を落とした。
「とんでもない!」
 なんで即答してますか、俺は。
「じゃ、じゃあえっと……は、はい、あーん」
 顔をりんごみたいに真っ赤にして、かなみは震える箸でご飯を掴み、俺の前に差し出した。
「あ、あーん」
 大きく開けた俺の口に、ご飯が投入される。
「ど、どう? おいしい?」
「え、えっと、ご飯だな」
「そ、そっか。ご飯だもんね」
「そ、そうだな、ご飯だな」
 なんだ、この恋人空間。どこからこんな次元に突入してしまったのか。
「じゃ、じゃあ、次は味があるのね。はい、あーん」
 目玉焼きの白身を掴み、再び差し出してくるかなみ。
「あ、いや、もう充分だと思ったり思わなかったり」
「はい、あーん」
「……あーん」
 開けた口に目玉焼きが投入される。
「おいしい?」
「あ、うん。おいしい」
「そ、そっか。えへへっ」
 かなみはへにゃへにゃの笑みを見せた。
「…………」
 えへへっ、て。キャラ変わってますが。
「……な、なによ、その目は」
「いや、すごいなって」
「う、うるさいわねっ! 自分でも、らしくないとは思ってるわよ!」
 自覚してたのか。
「でもなんか知んないけど楽しいのよっ! 悪い!?」
「いや、悪くはないと思うけど……」
「悪くないなら続けるっ! はいっ、あーん!」
「あ、あーん」
「おいしいっ!?」
「お、おいしいです」
「……そ、そう。……えへへ」
 かなみはへにゃへにゃの笑みを見せた。
「…………」
 だから、えへへって。
「だ、だから、イチイチそんな目で見るなっ!」
「幸せそうで何よりです」
「うううっ、うるさいうるさいうるさいっ! 気づいてないかもしれないけどさ、アンタも嬉しそうよっ!」
「え?」
 自分の顔をぺたぺたさわる。なるほど、確かにずっとにやけてやがる。
「気のせいだな」
「笑ってるわよ! ずーっとにやにやしてさ、馬鹿みたい!」
「しっ、失敬な! えへえへ言ってる奴に言われたくない!」
「えへえへなんて言ってないわよっ!」
 遅刻ギリギリまでぎゃーぎゃー言い合ってました。

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【体は動かないくせに口だけは達者なツンデレ】

2010年03月04日
 ちなみが倒れた。慌てて保健室に連れて行って診断してもらった結果、ただの貧血らしい。
「心配させんなよ、まったく……」
 ベッド脇のイスに腰掛けたまま、安堵の息を吐く。
「……別に好きで倒れたわけじゃないし、心配してくれなんて頼んでない」
 ちなみは布団から顔を半分だけ出し、視線を逸らしたまま言った。
「この娘は何を偉そうに……まあ今に始まった話じゃないし、別にいいけど。それより、もう放課後だからとっとと帰ろうぜ」
「あ、それなんだが、まだこの女生徒は歩けるほど回復していない。家に連絡しておいたから、到着を待つんだな」
 保健の先生はイスを回転させてこちらを向き、眼鏡のブリッジを指で持ち上げながら言った。
「あ、そうなの。じゃ、俺先に帰るな。またな、ちなみ」
 鞄を持って立ち上がろうとしたら、ちなみが制服の裾を握っていて立ち上がれない。
「なんですか、この手は」
 イスに座りなおし、ちなみに問いかける。
「……別に」
「いや、別にじゃなくて。持たれてたら帰れない人がいますよ?」
「……持ってなんてない」
「いやいやいや、持ってるって。ほれ、こうやって俺の制服を握り締めてますから」
 制服を握ってるちなみの手を上から包むように握り、教える。
「……うう、タカシは隙あらば私の手を握る。……きっと、家に帰ってからこの感触を思い出し、一人励むつもりだ」
「しねーよっ! 女の子がそういうこと言うんじゃありませんっ!」
「あうっ」
 ちなみのおでこにデコピンする。
「……女の子に手を上げるだなんて、タカシはドSだ」
「どちらかと言うと、ドAだ」
「どういうことだ……?」
 机に向かっていた保健医が不思議そうな声を上げた。
「……ドA。Aカップの女の子が好きで好きでしょうがないダメな人を指す」
 ちなみが適当な解説をつけたが、あながち間違いでもないのが嫌だ。あと、ダメな人とか言うな。
「ほら、いいから手を離しなさい。お兄さん、家に帰れないじゃないですか」
「……タカシは家に帰らず、私のそばにずっといたいと言う。……やれやれ、惚れられすぎて困る」
 んなこと一言も言ってねー。
「……キミにいてほしいんじゃないか?」
 傍観してた保健医が口を挟んだ。
「ちっ、違う。いてほしくなんて、ない」
 なぜか慌てた様子でちなみが否定した。
「そりゃそうだ。じゃ、俺そろそろ帰るな」
「む~……がうっ」
「がう?」
 異音に首を傾げてたら、ちなみが俺の手にかじりついてるのに気づいたって痛い痛い痛い!
「痛い痛い痛いっての! 噛むなこの馬鹿!」
「……あぐあぐあぐ(ちょっとくらい空気を読んでも罰は当たらない、と言っている)」
「何言ってんだか分かんねーっての! いーから口離せっ!」
「……あのー、連絡があって妹を連れに……ああっ、妹がタカくんを食べてる! ……お姉ちゃんも食べたいのに、ずるいー」
 ドアを開けてちなみの姉、ちなねえが現れて微妙にピントがずれつつも物騒な事を言う。
「……ちなみは右手食べてるから、お姉ちゃんは左手食べるね」
 ちなねえは俺の手を取り、指をそっと口に含んだ。何をしてるのか、この人は。
「……ちゅ、ちゅぱっ。……タカくんの指、おいしい」
 ちなねえは音を立てて俺の指を舐めた。……しかし、なんつーか。
「……お姉ちゃん、なんかえっちだ」
 俺の気持ちをちなみが代弁した。
「……違います、お姉ちゃんは本当はえっちじゃないんです。タカくんに調教されて、こうなっちゃったんです」
「そこっ! いーかげんなこと言うなっ! 調教なんてしてないっ!」
「……うう、いつかは私も調教される予感」
「するかっ! ちなみも信じるなっ!」
 つっこむ相手が倍に増えてとてもしんどい。
「あー……こうも堂々と不純異性交遊をされると、注意する気も起きんな」
 保健医がげんなりしながら言った。
「……べ、別にそんなのじゃない。……タカシで遊んでるだけ」
 ちょっと恥ずかしそうに俺の手を弄びながら、ちなみがぼそぼそ言った。
「……そうです。タカくんとお姉ちゃんは、不純じゃないです。超純粋です。いわゆる純愛です」
 違う、ちなねえ。そういうことじゃない。
「むっ。……タカシは私の事が大好きだから、お姉ちゃんは遊びに決定。……なぜなら、タカシは貧乳大好きのダメ人間だから。……ああ、貧乳で悲しい」
 言葉とは裏腹に、ちなみはにやにやしながら俺の右腕をぎゅっと抱きしめた。よくよく感じないと分からないほどの膨らみが腕に触れる。
「むむっ。……お姉ちゃんは歳のわりにかなりのぺたんこですから、タカくんのダメな欲求に答えられます。……ちなみは近い将来にぼいんぼいんになり、タカくんに捨てられます。決定」
 ちなみに対抗するように、ちなねえが俺の左腕をぎゅっと抱きしめた。ちなみの1.3倍ほどの膨らみが腕に押し付けられる。
「「……で、どっち?」」
 4つの垂れ目が俺を見る。
「ドラクエとかってさ、名前決める時だいたい4文字じゃん? あれってさ、名前が4文字以上ある人ってどうしてんだろうな」
「……いきなり何の話をしてるか。……ちゃんと答える」
 ちなみが俺のほおをぎうぎう引っ張る。
「……うーん、お姉ちゃんが思うに、名前を短縮して入れてると思うな。健太郎とかだと、けんたろ、って」
 ちなねえが乗った。好機!
「そうか! 長年の疑問がこれでやっと氷解した! いやありがとうな、ちなねえ。というわけで、俺の疑問を解きポイントが追加されたちなねえの勝ちー」
 ちなねえの手を高々と上げ、勝ちを名乗らせる。よし、これでどうにか穏便に話が終わった。
「……がうっ」
「がう?」
 どこかで聞いた音に小首を傾げてると、ちなみが俺の手に噛み付いてるのに気づいた。
「また噛んでるよこの娘! リピートか!」
「……がうがうがうっ(なんで私を選ばない、と言っている)」
「だから、何言ってんだか分かんねーっての!」
「……楽しそう。お姉ちゃんもやるー」
 ちなねえが一緒になって俺の手をぺろぺろ舐める。
「舐めんなっ! ええい、犬か!」
「……タカくんが望むなら、お姉ちゃん、犬になってもいいよ? わんわん♪」
「そういうことじゃなくてっ!」
「……わん」
「なんでちなみも犬っぽくなってるか! つーか、どっから犬耳持ってきた!?」
 いつのまにかちなみの頭にイヌミミが装着されていた。
「……なんでもいいけど、帰ってくれないかね」
 保健医の呟きが聞こえた気がした。

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