[PR]
2026年03月18日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【寝過ごした男】
2010年03月21日
目覚めるとちなみが隣でぷーぷー寝息を立てていた。
ははぁ我ながら俺の全自動ロリ鹵獲機能も大したものだなあと一瞬驚嘆したものの、そんなわけはないと頭を振る。
なんでコイツが隣で寝てんだ。とりあえず、起こして事情を聞こう。
「ちなみ、ちなみ。起きろ」
「……んー?」
「いや、んーではなくて。起きろ」
「……んー。……うー、眠い」
ちなみはうっすら瞼を開けると、手でこしこしこすった。そして、大きく口を開けてあくびをした。
「……ふわぁぁぁ。……ふう」
「女の子がそんな大口開けるな。ちょっとは隠せ」
「……うるさい」
「それはともかく、現在の状態について事情を聞きたいのだが」
「……むぅ。タカシは眠い私を無理やりに起こし、頭が回ってないのをいいことに騙くらかしてちゅーとかしようと画策しているに違いない」
「寝起きでそういうことをすらすら言える人が頭回ってないとは思えませんが」
「…………」(不満げ)
「睨むな。それより、なんで人の布団でぐっすりすやすや寝ていたのか説明を求める」
「……まあ、端的に言うと、タカシが悪い」
「端折らずに言ってください」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな。いいから普通に言え」
「……起こしに来てやったのに、タカシと来たら平和そうな顔で寝てた」
「はぁ。まあ平和かどうかは知らないが、寝てたわな」
「……で、一所懸命起こしてやったのに、ちっとも起きない。時間は逼迫している。なのに、ちっとも起きない。起こしているうち、なんだか疲れてしまって私も眠たくなってきた」
「嫌な予感がしてきましたが、続けて」
「……丁度目の前には布団が。何か横で歯軋りをしてる物体があるけど、布団には換えられない。……で、ぐっすりすやすやと」
「なるほどそうか。眠くなったと」
ちなみはこっくりうなずいた。そのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
ちなみは両手で頭を押さえ、不満げに俺を睨んだ。
「起こしに来てくれたのはありがたい。感謝する。だが、どうして一緒に寝てしまうのか」
「……眠かった」
極めて簡潔で分かりやすい理由だが、再びチョップを落とす。
「……痛い」
再度頭を押さえ、ちなみは俺を不満げに睨んだ。
「はぁ……まあやってしまったものは仕方ない。とりあえず学校……学校?」
恐る恐る時計を見る。一時間目はとうの昔に終わっており、二時間目も半ば過ぎている時間だった。
「はっはっは……いや、ここまで全力で遅刻するのって初めてだなあ」
「タカシのせいで私まで遅刻だ。……まったく、タカシは人を悪の道に引きずりこむのが上手すぎる」
「起こしに来たのにその業務を全うせず、あまつさえ自分も寝てしまった奴は言うことが違うな」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むなっての。あー、もうここまでの遅刻だと多少急いだところで変わらんな。ちなみ、お前飯は?」
「……うちで食べてきた」
「そか。じゃ、俺は自分の食ってくるから、お前は適当に待っててくれ」
「……でも、睡眠でカロリーを大量に消費したので、ご飯を食べる必要がある」
「……はぁ。一緒に食うか?」
コクコクうなずく生物を引き連れ、台所へ。両親は、まあこの時間なら当然だが、既に出かけているようだ。米は……あるな。
「何にすっかな……ちなみ、何がいい?」
ちなみは食卓に着くと、足をぱたぱたさせながら何にするか思案しているようだった。
「……んと、おにぎり」
「熱いから嫌だ」
「……予めコンロでタカシの手をあぶれば、熱さに抵抗ができるため、おにぎりを握っても熱くない。……名案?」
「愚策。なぜならあらかじめの時点で俺の手が黒焦げになるから」
「…………」(不満げ)
「いちいち睨むでない。まあいいや、おにぎりな。作るからちょっと待っててくれ。あ、何個食う?」
「……ふたつ」
「食ってきたくせに、結構食うな。太るぞ」
「…………」(超不満げ)
「まあ、お前はちっとやせすぎだから多少は肉あるほうがいいけど。んーと、塩しお……」
「……褒めているように見せかけ、絶妙に私の胸がないことを指摘するタカシは悪魔だ」
「どんだけ悪くとってんだよ……あ、あった」
引き出しの中にあった塩を取り出し、準備完了。炊飯器を開け、手を軽く濡らして塩をつけ、米を手に乗せる。
「あっちぃ!」
「……ふぁいと」
「応援するならもっとやる気を出してやってくれ!」
「……ふぁいとー」
「聞いているだけでどんどんやる気がなくなってくるその技術はすごいな」
後ろにいるのでどんな顔をしているのか分からないが、何か不満げな雰囲気がこちらにまで漂ってきた。
「怒るな。んーで、具は何がいい?」
「……しゃけ」
「ない」
「……しーちきん」
「ない」
「……この家には何もない」
「失礼なことを言うな。偶然切らしてるだけだ。昆布はあるぞ」
言いながら、勝手に塩昆布をおにぎりに詰める。
「……それしかない、とも言う」
「うるさい。ほい、できたぞ」
言ってる間にぽんぽん作り、皿におにぎりを5つ乗せ、食卓に置く。
「ちょっと待ってろ、手洗ってくるから一緒に食おう」
「……それには及ばない予感」
「ん?」
ちなみは俺の手を取ると、何のためらいもなく口に含んだ。
「人の手を食うな」
「……ぺろぺろ。……んと、水で洗うより、舐め取った方が、地球に優しい?」
「言ってることは素晴らしいが、そういった地球に優しいだのエコだのって台詞は超嫌いです」
「……私の唾液に含まれる毒素を送ってる最中?」
「それだ、それこそがちなみだ!」
「…………」(がじがじがじ)
「何も言わずに歯を立てるでない。痛いです」
「……ふん、だ。……ぺろぺろ。……はい、綺麗になった予感」
「感謝したいが、結果お前の唾液まみれであまり変わらないような」
「……タカシは私の指も舐め、お互いに唾液まみれにしてえと言う」
「言ってねえ」
……まあ、その提案は非常に甘美な誘いではあるけど。
「……まあ、タカシが舐めたらタカシ毒が私にまわるので舐めさせないけど」
「こんなところに美人局がいようとは」
とりあえず席に着き、唾液まみれの指でおにぎりを食べる。我ながらよい塩加減だと思うが、よられでベトベトなのでよく分からない。
「私も。……もくもく、おいしい」
「そいつぁ何よりだ」
「もくもく。もくもくもく。……けぷ。おいしかった」
「お前の咀嚼音変だよな」
「うるさい。……むう、手がべたべただ」
おにぎりは手掴みで食べるものなので、どうしても手はべたつく。手抜きして海苔も貼ってないので尚更だ。
「……はい」
「はい?」
手を差し出されたので、疑問で返す。
「……みっしょん。舐めて綺麗にせよ」
ちなみが変なことを言い出した。
「い、いや、ほら。さっき言ってたじゃん、タカシ毒がまわるので舐めさせないって」
「……幸か不幸か、私の体内にはタカシ毒の血清が生成されている。なので、だいじょぶ」
「つまり、俺が舐められるのはちなみだけなのか」
「…………」
「顔を赤くするなッ!」
「……うう、タカシは私だけしかぺろぺろしたくないと言う」
「う……」
虚を突かれた。普段のようにつっこめばいいのだろうけど、なぜか何の言葉も出なかった。
「……ひ、否定するターンなのに、何も言わないという攻撃に出るとは。……う、うぬぬ、タカシは日々進化しており、侮れない」
「あ、う、うん、そうだな。はっはっは」
「……うう」
回答失敗。ちなみは俺を見て、顔を赤くしながらうめくばかり。
「……は、はい」
「え?」
「……み、みっしょん。……舐めて綺麗にせよ」
再びちなみの手が向けられた。
「……あー、まあ、うん。俺の毒が効かないのはちなみだけだから、しょうがないな?」
「そ、そう。しょがない」
差し出された指を、そっとくわえる。で、舌でぺろぺろ舐める。
「……う、うー。……タカシは舐め方がえっちだ」
「し、失敬な。お前の方がよっぽどだ」
「……そんなことはない。実験」
え、と思う間もなく、ちなみは俺の手を取って再び口に含んだ。
「……ぺろぺろ。……ほら、えっちくない」
「む。そんなことはないぞ、大変にえっちいぞ。なぜならオラワクワクしてきたから」
「……タカシは時々戦闘民族になる」
「俺には興奮したら一瞬にして髪を金色に染色する技術はないぞ?」
「……ぺろぺろぺろ」
俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなみはなんだか嬉しそうに俺の指をぺろぺろ舐めている。
「……うう、どうしてこんなことで楽しいのか」
「なんで悔しそうやねん」
「……タカシは時々関西人にもなる」
「ていうかだな、いつまで舐めてんだ。そろそろ学校行くぞ」
「……はむはむ」
ちなみは残念そうに俺の指を甘噛みした。そして最後にちゅーっと強めに吸うと、ようやっと口から指を離した。そして最後に軽く俺の指に口付けした。
「……ちゅ。綺麗になった予感」
「そいつはありがとうございます」
「……続いて、タカシが私の指を綺麗にするターン」
「……ええと、もう舐めたよ?」
「……私はいっぱいいっぱい舐めてあげたと言うのに、私の指は舐めたくないと言う。……貧乳の指を吸うと俺のアレまで貧しくなると言う」
「超言ってねえ! ていうか色々問題ありすぎの発言だッ!」
「……嫌なら、いい」(寂しげ)
「そうは言ってない! ……ああもう、分かったよ。誠心誠意尽くさせていただきますよっ!」
半ばヤケクソにちなみの指を口に含み、ぺろぺろれろれろする。ああもう、なんかいけない気分。
「……こーふん?」
「終わりっ! もう終わりっ!」
「ぶー」
指を引き抜いてタオルで拭いてやると、ちなみは不満げに口をとがらせた。
「……ま、いい。……んじゃ、行こ?」
「あいあい」
皿をシンクに入れ、家を出る。
「……やれやれ、タカシのせいで手がべたべただ」
「そもそも舐め始めたのはお前からだろうが」
「……うるさい。……そうだ、なすりつけてやれ」
きゅっ、とちなみの手が俺の手を握る。
「え、ええと」
「な、なすりつけただけ。……そ、その先が偶然タカシの手だっただけ。……ほ、ほんとに」
「ま、まあ、偶然なら仕方ないわな。わっはっは」
「そ、そう。……あ、あと、どーせ遅刻だし、ゆっくり行った方が疲れない予感」
「あ、うん。大変に賛成だ」
そんなわけで、ちなみと手を繋いだままゆっくりゆっくり通学路を歩くのだった。
そしてゆっくり歩きすぎたせいで到着したのは昼休みだった。
「……ゆっくりしすぎだ。タカシは本当に頭が悪い」
「途中で公園寄ったりアイス食べ合いっこしたり休憩と称して膝枕させたのは誰だ」
「……ま、まったく。タカシは本当にいぢわるだ」
「鼻を引っ張るな」
赤い顔で人の鼻を引っ張るちなみだった。
ははぁ我ながら俺の全自動ロリ鹵獲機能も大したものだなあと一瞬驚嘆したものの、そんなわけはないと頭を振る。
なんでコイツが隣で寝てんだ。とりあえず、起こして事情を聞こう。
「ちなみ、ちなみ。起きろ」
「……んー?」
「いや、んーではなくて。起きろ」
「……んー。……うー、眠い」
ちなみはうっすら瞼を開けると、手でこしこしこすった。そして、大きく口を開けてあくびをした。
「……ふわぁぁぁ。……ふう」
「女の子がそんな大口開けるな。ちょっとは隠せ」
「……うるさい」
「それはともかく、現在の状態について事情を聞きたいのだが」
「……むぅ。タカシは眠い私を無理やりに起こし、頭が回ってないのをいいことに騙くらかしてちゅーとかしようと画策しているに違いない」
「寝起きでそういうことをすらすら言える人が頭回ってないとは思えませんが」
「…………」(不満げ)
「睨むな。それより、なんで人の布団でぐっすりすやすや寝ていたのか説明を求める」
「……まあ、端的に言うと、タカシが悪い」
「端折らずに言ってください」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな。いいから普通に言え」
「……起こしに来てやったのに、タカシと来たら平和そうな顔で寝てた」
「はぁ。まあ平和かどうかは知らないが、寝てたわな」
「……で、一所懸命起こしてやったのに、ちっとも起きない。時間は逼迫している。なのに、ちっとも起きない。起こしているうち、なんだか疲れてしまって私も眠たくなってきた」
「嫌な予感がしてきましたが、続けて」
「……丁度目の前には布団が。何か横で歯軋りをしてる物体があるけど、布団には換えられない。……で、ぐっすりすやすやと」
「なるほどそうか。眠くなったと」
ちなみはこっくりうなずいた。そのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
ちなみは両手で頭を押さえ、不満げに俺を睨んだ。
「起こしに来てくれたのはありがたい。感謝する。だが、どうして一緒に寝てしまうのか」
「……眠かった」
極めて簡潔で分かりやすい理由だが、再びチョップを落とす。
「……痛い」
再度頭を押さえ、ちなみは俺を不満げに睨んだ。
「はぁ……まあやってしまったものは仕方ない。とりあえず学校……学校?」
恐る恐る時計を見る。一時間目はとうの昔に終わっており、二時間目も半ば過ぎている時間だった。
「はっはっは……いや、ここまで全力で遅刻するのって初めてだなあ」
「タカシのせいで私まで遅刻だ。……まったく、タカシは人を悪の道に引きずりこむのが上手すぎる」
「起こしに来たのにその業務を全うせず、あまつさえ自分も寝てしまった奴は言うことが違うな」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むなっての。あー、もうここまでの遅刻だと多少急いだところで変わらんな。ちなみ、お前飯は?」
「……うちで食べてきた」
「そか。じゃ、俺は自分の食ってくるから、お前は適当に待っててくれ」
「……でも、睡眠でカロリーを大量に消費したので、ご飯を食べる必要がある」
「……はぁ。一緒に食うか?」
コクコクうなずく生物を引き連れ、台所へ。両親は、まあこの時間なら当然だが、既に出かけているようだ。米は……あるな。
「何にすっかな……ちなみ、何がいい?」
ちなみは食卓に着くと、足をぱたぱたさせながら何にするか思案しているようだった。
「……んと、おにぎり」
「熱いから嫌だ」
「……予めコンロでタカシの手をあぶれば、熱さに抵抗ができるため、おにぎりを握っても熱くない。……名案?」
「愚策。なぜならあらかじめの時点で俺の手が黒焦げになるから」
「…………」(不満げ)
「いちいち睨むでない。まあいいや、おにぎりな。作るからちょっと待っててくれ。あ、何個食う?」
「……ふたつ」
「食ってきたくせに、結構食うな。太るぞ」
「…………」(超不満げ)
「まあ、お前はちっとやせすぎだから多少は肉あるほうがいいけど。んーと、塩しお……」
「……褒めているように見せかけ、絶妙に私の胸がないことを指摘するタカシは悪魔だ」
「どんだけ悪くとってんだよ……あ、あった」
引き出しの中にあった塩を取り出し、準備完了。炊飯器を開け、手を軽く濡らして塩をつけ、米を手に乗せる。
「あっちぃ!」
「……ふぁいと」
「応援するならもっとやる気を出してやってくれ!」
「……ふぁいとー」
「聞いているだけでどんどんやる気がなくなってくるその技術はすごいな」
後ろにいるのでどんな顔をしているのか分からないが、何か不満げな雰囲気がこちらにまで漂ってきた。
「怒るな。んーで、具は何がいい?」
「……しゃけ」
「ない」
「……しーちきん」
「ない」
「……この家には何もない」
「失礼なことを言うな。偶然切らしてるだけだ。昆布はあるぞ」
言いながら、勝手に塩昆布をおにぎりに詰める。
「……それしかない、とも言う」
「うるさい。ほい、できたぞ」
言ってる間にぽんぽん作り、皿におにぎりを5つ乗せ、食卓に置く。
「ちょっと待ってろ、手洗ってくるから一緒に食おう」
「……それには及ばない予感」
「ん?」
ちなみは俺の手を取ると、何のためらいもなく口に含んだ。
「人の手を食うな」
「……ぺろぺろ。……んと、水で洗うより、舐め取った方が、地球に優しい?」
「言ってることは素晴らしいが、そういった地球に優しいだのエコだのって台詞は超嫌いです」
「……私の唾液に含まれる毒素を送ってる最中?」
「それだ、それこそがちなみだ!」
「…………」(がじがじがじ)
「何も言わずに歯を立てるでない。痛いです」
「……ふん、だ。……ぺろぺろ。……はい、綺麗になった予感」
「感謝したいが、結果お前の唾液まみれであまり変わらないような」
「……タカシは私の指も舐め、お互いに唾液まみれにしてえと言う」
「言ってねえ」
……まあ、その提案は非常に甘美な誘いではあるけど。
「……まあ、タカシが舐めたらタカシ毒が私にまわるので舐めさせないけど」
「こんなところに美人局がいようとは」
とりあえず席に着き、唾液まみれの指でおにぎりを食べる。我ながらよい塩加減だと思うが、よられでベトベトなのでよく分からない。
「私も。……もくもく、おいしい」
「そいつぁ何よりだ」
「もくもく。もくもくもく。……けぷ。おいしかった」
「お前の咀嚼音変だよな」
「うるさい。……むう、手がべたべただ」
おにぎりは手掴みで食べるものなので、どうしても手はべたつく。手抜きして海苔も貼ってないので尚更だ。
「……はい」
「はい?」
手を差し出されたので、疑問で返す。
「……みっしょん。舐めて綺麗にせよ」
ちなみが変なことを言い出した。
「い、いや、ほら。さっき言ってたじゃん、タカシ毒がまわるので舐めさせないって」
「……幸か不幸か、私の体内にはタカシ毒の血清が生成されている。なので、だいじょぶ」
「つまり、俺が舐められるのはちなみだけなのか」
「…………」
「顔を赤くするなッ!」
「……うう、タカシは私だけしかぺろぺろしたくないと言う」
「う……」
虚を突かれた。普段のようにつっこめばいいのだろうけど、なぜか何の言葉も出なかった。
「……ひ、否定するターンなのに、何も言わないという攻撃に出るとは。……う、うぬぬ、タカシは日々進化しており、侮れない」
「あ、う、うん、そうだな。はっはっは」
「……うう」
回答失敗。ちなみは俺を見て、顔を赤くしながらうめくばかり。
「……は、はい」
「え?」
「……み、みっしょん。……舐めて綺麗にせよ」
再びちなみの手が向けられた。
「……あー、まあ、うん。俺の毒が効かないのはちなみだけだから、しょうがないな?」
「そ、そう。しょがない」
差し出された指を、そっとくわえる。で、舌でぺろぺろ舐める。
「……う、うー。……タカシは舐め方がえっちだ」
「し、失敬な。お前の方がよっぽどだ」
「……そんなことはない。実験」
え、と思う間もなく、ちなみは俺の手を取って再び口に含んだ。
「……ぺろぺろ。……ほら、えっちくない」
「む。そんなことはないぞ、大変にえっちいぞ。なぜならオラワクワクしてきたから」
「……タカシは時々戦闘民族になる」
「俺には興奮したら一瞬にして髪を金色に染色する技術はないぞ?」
「……ぺろぺろぺろ」
俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなみはなんだか嬉しそうに俺の指をぺろぺろ舐めている。
「……うう、どうしてこんなことで楽しいのか」
「なんで悔しそうやねん」
「……タカシは時々関西人にもなる」
「ていうかだな、いつまで舐めてんだ。そろそろ学校行くぞ」
「……はむはむ」
ちなみは残念そうに俺の指を甘噛みした。そして最後にちゅーっと強めに吸うと、ようやっと口から指を離した。そして最後に軽く俺の指に口付けした。
「……ちゅ。綺麗になった予感」
「そいつはありがとうございます」
「……続いて、タカシが私の指を綺麗にするターン」
「……ええと、もう舐めたよ?」
「……私はいっぱいいっぱい舐めてあげたと言うのに、私の指は舐めたくないと言う。……貧乳の指を吸うと俺のアレまで貧しくなると言う」
「超言ってねえ! ていうか色々問題ありすぎの発言だッ!」
「……嫌なら、いい」(寂しげ)
「そうは言ってない! ……ああもう、分かったよ。誠心誠意尽くさせていただきますよっ!」
半ばヤケクソにちなみの指を口に含み、ぺろぺろれろれろする。ああもう、なんかいけない気分。
「……こーふん?」
「終わりっ! もう終わりっ!」
「ぶー」
指を引き抜いてタオルで拭いてやると、ちなみは不満げに口をとがらせた。
「……ま、いい。……んじゃ、行こ?」
「あいあい」
皿をシンクに入れ、家を出る。
「……やれやれ、タカシのせいで手がべたべただ」
「そもそも舐め始めたのはお前からだろうが」
「……うるさい。……そうだ、なすりつけてやれ」
きゅっ、とちなみの手が俺の手を握る。
「え、ええと」
「な、なすりつけただけ。……そ、その先が偶然タカシの手だっただけ。……ほ、ほんとに」
「ま、まあ、偶然なら仕方ないわな。わっはっは」
「そ、そう。……あ、あと、どーせ遅刻だし、ゆっくり行った方が疲れない予感」
「あ、うん。大変に賛成だ」
そんなわけで、ちなみと手を繋いだままゆっくりゆっくり通学路を歩くのだった。
そしてゆっくり歩きすぎたせいで到着したのは昼休みだった。
「……ゆっくりしすぎだ。タカシは本当に頭が悪い」
「途中で公園寄ったりアイス食べ合いっこしたり休憩と称して膝枕させたのは誰だ」
「……ま、まったく。タカシは本当にいぢわるだ」
「鼻を引っ張るな」
赤い顔で人の鼻を引っ張るちなみだった。
PR
【寝ぼけて階段から落ちたタカシ】
2010年03月21日
朝は眠いので半分寝たまま階段下りてたら、足を踏み外して落ちた。
「いたたたた……だがそれ以上に眠いので寝る。ぐぅぐぅ」
尻が非常に痛むが、その痛みをおしてまで寝る俺はかっこいいなあとか思ってたら、ドアが開く音がした。
「まったく、なんであたしが毎日毎日こんな奴起こさないといけない……うっきゃあああ!」
てっきりいつものようにかなみが入ってきたのだと思ったが、うっきゃあから想像するに、猿が入ってきたのだろう。猿なら挨拶せねばなるまい。
「おはよう猿。英語で言うとグッド猿」
「し、死んで……あ、あれ、生きてる? 猿?」
「家に侵入してきた者は猿ではなく、かなみだった。これほど残念な朝を迎えるのは久しぶりだと言えるだろう」
「なんか分かんないけどムカつくわねッ!」
朝からアイアンクローを喰らって大変痛むが、目は覚めた。
「よく考えると猿が家にやってくる事なんてないよな。おはよう、かなみ。ところで、手を離さないと後3秒ほどで俺の頭がはじける予感」
「はいはい。で、何やってたの?」
手を離してもらい、頭をさすってる俺にかなみが呆れた様子で問いかけた。
「寝ぼけてて、階段落ちた。いわば池田屋の階段落ち」
「どこが池田屋の階段落ちよ。第一、池田屋とか知ってるの?」
「無論だ。池や田を商っている店の総称を池田屋と言い、そこで階段から落ち田んぼに転がり落ちて坊ちゃんこんにち……すいません本当は知りません」
言ってる最中にかなみに睨まれ、すごく怖かったので素直に謝る。
「はぁ……アンタっていっつも適当ね」
「いやあ、照れることしきり」
「褒めてないッ!」
「じゃあ褒めて。褒めないと朝飯作らないぞ」
「朝ごはん作ってやってるの、あたし!」
「知ってる」
「あーもーあーもぉ! ちょっとアンタそこに座りなさい!」
「はい」
なんか知らんが怒ってるので、逆らわずに廊下に座る。寒い。
「いい? 世の中には礼儀って言葉があってね」
「お腹空いた。かなみ、ごはん」
「…………」
「かなみ? 俺は腹が減りましたよ?」
「あたしは腹が立ってるの!」
「腹が立つ? それはつまり太ったという意味だな。そう言われればちょっと腹のあたりにぷにぷに感が」
少しだけぷにっとした腹をつついたら20回くらい殴られた。
「かなみちゃんは太ってない。はい、繰り返して」
「か、かなみ様は太ってなどいません。それどころかスーパーモデルも羨むほどのぷろぽうしおんで御座います」
「えー、ホントにー? もー、タカシったらお世辞ばっかりー♪」
「嘘に決まってんだろ、ばーか。もうちっと乳を膨らませてからそういう寝言を言え」
いらんこと言ったらまた殴られた。
「何か言うことあるでしょ?」
「本当はかなみくらいの貧乳が好きです」
「そっ、そういうことじゃなくて、謝れって言ってんの! ……いや、ちょっと嬉しいケドさ」
あさっての方向を見ながら、かなみは照れくさそうに自分の頬を指でかいた。
「まぁかなみの乳はともかく、腹が減ったので飯を所望する。今すぐ飯を作らないと泣くぞ!」
「なんでそんな偉そうなくせに情けないのよ……」
「いいからご飯。かなみの飯を食わないと一日が始まった気がしないのだ」
「……はぁ。まったくもう、しょうがない奴ね。作って……あああああ!」
「うるさい」
「じ、時間! 今すぐ出ないと遅刻する!」
首をめぐらし時計を見ると、なかなか愉快な時間を指していた。
「なるほどこいつぁヤクイな。ところでかなみ、ご飯」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ほら、行くわよ!」
「え、でもご飯がご飯食べてないご飯」
「ご飯ご飯うるさいッ! 早くッ!」
「でも俺はお腹が空いてまして、ご飯を食いたいという感情が」
「それ以上ご飯って言ったら殴る」
「す、すいません」
かなみに手を引っ張られ、腹を鳴らしながら半泣きで学校へ駆けて行く哀れな俺でした。
「いたたたた……だがそれ以上に眠いので寝る。ぐぅぐぅ」
尻が非常に痛むが、その痛みをおしてまで寝る俺はかっこいいなあとか思ってたら、ドアが開く音がした。
「まったく、なんであたしが毎日毎日こんな奴起こさないといけない……うっきゃあああ!」
てっきりいつものようにかなみが入ってきたのだと思ったが、うっきゃあから想像するに、猿が入ってきたのだろう。猿なら挨拶せねばなるまい。
「おはよう猿。英語で言うとグッド猿」
「し、死んで……あ、あれ、生きてる? 猿?」
「家に侵入してきた者は猿ではなく、かなみだった。これほど残念な朝を迎えるのは久しぶりだと言えるだろう」
「なんか分かんないけどムカつくわねッ!」
朝からアイアンクローを喰らって大変痛むが、目は覚めた。
「よく考えると猿が家にやってくる事なんてないよな。おはよう、かなみ。ところで、手を離さないと後3秒ほどで俺の頭がはじける予感」
「はいはい。で、何やってたの?」
手を離してもらい、頭をさすってる俺にかなみが呆れた様子で問いかけた。
「寝ぼけてて、階段落ちた。いわば池田屋の階段落ち」
「どこが池田屋の階段落ちよ。第一、池田屋とか知ってるの?」
「無論だ。池や田を商っている店の総称を池田屋と言い、そこで階段から落ち田んぼに転がり落ちて坊ちゃんこんにち……すいません本当は知りません」
言ってる最中にかなみに睨まれ、すごく怖かったので素直に謝る。
「はぁ……アンタっていっつも適当ね」
「いやあ、照れることしきり」
「褒めてないッ!」
「じゃあ褒めて。褒めないと朝飯作らないぞ」
「朝ごはん作ってやってるの、あたし!」
「知ってる」
「あーもーあーもぉ! ちょっとアンタそこに座りなさい!」
「はい」
なんか知らんが怒ってるので、逆らわずに廊下に座る。寒い。
「いい? 世の中には礼儀って言葉があってね」
「お腹空いた。かなみ、ごはん」
「…………」
「かなみ? 俺は腹が減りましたよ?」
「あたしは腹が立ってるの!」
「腹が立つ? それはつまり太ったという意味だな。そう言われればちょっと腹のあたりにぷにぷに感が」
少しだけぷにっとした腹をつついたら20回くらい殴られた。
「かなみちゃんは太ってない。はい、繰り返して」
「か、かなみ様は太ってなどいません。それどころかスーパーモデルも羨むほどのぷろぽうしおんで御座います」
「えー、ホントにー? もー、タカシったらお世辞ばっかりー♪」
「嘘に決まってんだろ、ばーか。もうちっと乳を膨らませてからそういう寝言を言え」
いらんこと言ったらまた殴られた。
「何か言うことあるでしょ?」
「本当はかなみくらいの貧乳が好きです」
「そっ、そういうことじゃなくて、謝れって言ってんの! ……いや、ちょっと嬉しいケドさ」
あさっての方向を見ながら、かなみは照れくさそうに自分の頬を指でかいた。
「まぁかなみの乳はともかく、腹が減ったので飯を所望する。今すぐ飯を作らないと泣くぞ!」
「なんでそんな偉そうなくせに情けないのよ……」
「いいからご飯。かなみの飯を食わないと一日が始まった気がしないのだ」
「……はぁ。まったくもう、しょうがない奴ね。作って……あああああ!」
「うるさい」
「じ、時間! 今すぐ出ないと遅刻する!」
首をめぐらし時計を見ると、なかなか愉快な時間を指していた。
「なるほどこいつぁヤクイな。ところでかなみ、ご飯」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ほら、行くわよ!」
「え、でもご飯がご飯食べてないご飯」
「ご飯ご飯うるさいッ! 早くッ!」
「でも俺はお腹が空いてまして、ご飯を食いたいという感情が」
「それ以上ご飯って言ったら殴る」
「す、すいません」
かなみに手を引っ張られ、腹を鳴らしながら半泣きで学校へ駆けて行く哀れな俺でした。
【雨が降っていると何故か男の部屋でゴロゴロするツンデレ】
2010年03月21日
折角の休日だというのに、外は雨。こんな日は家でゴロゴロするに限る。ただ、
「おいタカシ、茶だ、茶をもて。ノドが渇いた」
他人の部屋ということに気づいてないのか、机の前に陣取り無法っぷりを最大限に発揮するみことがいなければ、の話だが。
「ええい憎らしい、こっそり茶に精液入れてやれ。……む、勃たん。みこと、パンツ見せてパンツ」
みことのスカートの裾をつまむと、なぜか一杯殴られたので、普通に茶を淹れる。
「ずず……ふん、最初から素直に淹れておれば殴られずに済んだものを、莫迦め」
「いや、俺は普通に茶を淹れるつもりはあったぞ? ただ、そこに精液を入れようとしただけで」
「それがいかんのだ、たわけッ!」
「……尿だったらよかった、という話?」
思い切り頬を引っ張られて痛い痛い。
「だったら何を入れればいいというのだ」
ほっぺたを押さえながらみことに聞くと、
「何も入れるな。普通に茶を淹れろ」
という、味もそっけもない答えが返ってきた。
「それじゃ面白くない」
「茶を飲むのに、なぜ面白さが必要なのだ……まったく、暇な奴だ」
「それを言うなら、みこともかなりのもんだぞ。お前、雨の中わざわざ俺んち来たんだろ? 自分の家で大人しくしてりゃいいものを」
「うぐ……そ、それは、その、……貴様が退屈だろうと思い、わざわざ遊びに来てやったのだ! ふふん、どうだ?」
「どう、と問われても、退屈を楽しんでたのでお帰りはあちらへ、としか」
「…………」(半泣き)
「すっげー暇! あまりの暇さに世界を滅ぼしかねないほど暇だった! いやぁ、みことが来てくれて助かった! みことは世界の救世主だ!」
「そ、そこまで言うことはないが、……まぁ悪い気はせんな。ふふん、感謝しろ」
色々思うところはあるが、泣き止んだからまぁいいや。
「しかし……暇だな。おいタカシ、何か暇を潰す品はないのか?」
「品、ねぇ……ええと、本に、本、それから本。あと本、本、最後に……本」
「全部本ではないか! しかも漫画!」
「おもちろいよ?」
「まったく……しょうがない、読んでやろう」
みことはベッドに寝転がり、適当に取った漫画を読み始めた。
「じゃあ、俺は漫画を読むみことを観ることにする」
すごく嫌そうな顔をされたが、気にせず観る。
数分経った頃だろうか、みことは顔をあげて俺を見た。
「……あの、見ないでほしいのだが」
「尻を?」
「どっ、どこを見ているのだ、たわけッ!」
「尻。臀部。みことの性感帯」
大変叱られた。
「みことの性感帯を当てられず申し訳ありませんでした」
「そういうことを怒ってるんじゃない! じーっと見るなと言っているのだ! 大体、私を見ていても楽しくないだろう?」
「そうでもないぞ? 漫画読んで笑ったりハラハラしたりしてるみことの顔見てるの、すげー楽しいし」
「う、そ、そうか……」
みことは照れくさそうな顔をしながら、指で頬をかいた。
「じゃなくて! 貴様に見られていると、その、……本を読むのに集中できんのだ。だから、あまり見るな」
「分かった、任せろ!」
「…………」
力いっぱい了解したのに、とても不安げな顔で見られた。
「ま、まあいい。私は続きを読むことにする」
「じゃあ、俺は俺のすべき事を成そう」
ベッドに寝そべるみことの隣に滑り込み、すかさずみことに抱きつく。
「ちょ、ちょっと、いきなり何をするか!」
「昼寝! 抱き枕つき!」
「私は抱き枕ではない! ええい離せ抱きつくな頭をなでるなあ!」
「最近の抱き枕はふにふにでいい香りなんだなぁ、はっはっは」
「笑うな、莫迦者! だから頭をなでるなあ!」
そんな感じの休日でした。超頭なでた。
「おいタカシ、茶だ、茶をもて。ノドが渇いた」
他人の部屋ということに気づいてないのか、机の前に陣取り無法っぷりを最大限に発揮するみことがいなければ、の話だが。
「ええい憎らしい、こっそり茶に精液入れてやれ。……む、勃たん。みこと、パンツ見せてパンツ」
みことのスカートの裾をつまむと、なぜか一杯殴られたので、普通に茶を淹れる。
「ずず……ふん、最初から素直に淹れておれば殴られずに済んだものを、莫迦め」
「いや、俺は普通に茶を淹れるつもりはあったぞ? ただ、そこに精液を入れようとしただけで」
「それがいかんのだ、たわけッ!」
「……尿だったらよかった、という話?」
思い切り頬を引っ張られて痛い痛い。
「だったら何を入れればいいというのだ」
ほっぺたを押さえながらみことに聞くと、
「何も入れるな。普通に茶を淹れろ」
という、味もそっけもない答えが返ってきた。
「それじゃ面白くない」
「茶を飲むのに、なぜ面白さが必要なのだ……まったく、暇な奴だ」
「それを言うなら、みこともかなりのもんだぞ。お前、雨の中わざわざ俺んち来たんだろ? 自分の家で大人しくしてりゃいいものを」
「うぐ……そ、それは、その、……貴様が退屈だろうと思い、わざわざ遊びに来てやったのだ! ふふん、どうだ?」
「どう、と問われても、退屈を楽しんでたのでお帰りはあちらへ、としか」
「…………」(半泣き)
「すっげー暇! あまりの暇さに世界を滅ぼしかねないほど暇だった! いやぁ、みことが来てくれて助かった! みことは世界の救世主だ!」
「そ、そこまで言うことはないが、……まぁ悪い気はせんな。ふふん、感謝しろ」
色々思うところはあるが、泣き止んだからまぁいいや。
「しかし……暇だな。おいタカシ、何か暇を潰す品はないのか?」
「品、ねぇ……ええと、本に、本、それから本。あと本、本、最後に……本」
「全部本ではないか! しかも漫画!」
「おもちろいよ?」
「まったく……しょうがない、読んでやろう」
みことはベッドに寝転がり、適当に取った漫画を読み始めた。
「じゃあ、俺は漫画を読むみことを観ることにする」
すごく嫌そうな顔をされたが、気にせず観る。
数分経った頃だろうか、みことは顔をあげて俺を見た。
「……あの、見ないでほしいのだが」
「尻を?」
「どっ、どこを見ているのだ、たわけッ!」
「尻。臀部。みことの性感帯」
大変叱られた。
「みことの性感帯を当てられず申し訳ありませんでした」
「そういうことを怒ってるんじゃない! じーっと見るなと言っているのだ! 大体、私を見ていても楽しくないだろう?」
「そうでもないぞ? 漫画読んで笑ったりハラハラしたりしてるみことの顔見てるの、すげー楽しいし」
「う、そ、そうか……」
みことは照れくさそうな顔をしながら、指で頬をかいた。
「じゃなくて! 貴様に見られていると、その、……本を読むのに集中できんのだ。だから、あまり見るな」
「分かった、任せろ!」
「…………」
力いっぱい了解したのに、とても不安げな顔で見られた。
「ま、まあいい。私は続きを読むことにする」
「じゃあ、俺は俺のすべき事を成そう」
ベッドに寝そべるみことの隣に滑り込み、すかさずみことに抱きつく。
「ちょ、ちょっと、いきなり何をするか!」
「昼寝! 抱き枕つき!」
「私は抱き枕ではない! ええい離せ抱きつくな頭をなでるなあ!」
「最近の抱き枕はふにふにでいい香りなんだなぁ、はっはっは」
「笑うな、莫迦者! だから頭をなでるなあ!」
そんな感じの休日でした。超頭なでた。
【しにがみちなみん】
2010年03月21日
ちなみが死神になった、と言い張る。
「じゃーん。……さくさく魂狩るるるる。……かっこいい?」
「馬鹿」
自分の身長ほどあるでっかい鎌持って変なポーズつけてたので、でこぴんしてあげた。
「うう……タカシは死神すら凌駕するでこぴん力を持ってる。……いわば、でこぴん王」
嫌な王にされた。
「で、死神さんはわざわざ俺をでこぴん王に任命しに来たのか?」
「……やれやれ、私はそんな暇な人じゃないです。……はっ、えっと、……そんな暇な死神じゃないです」
別に言い直す必要はないです。
「……じゃあ、本題です。……死神なので、魂ください」
「嫌です」
「……30円あげますよ?」
金でどうにかするにしても、30円はあんまりかと。
「安い。もっと高値で」
「……32えん?」
「ダメだ、コイツ思ったより馬鹿だ」
「……むっ、ばかじゃないです。タカシの魂なんて、それ位の値段です。超安値です。やーいばーかばーか」
なぜ魂を32円で買い叩かれた上、馬鹿呼ばわりされないといけないのだろう。
「……じゃ、32えんあげますから魂ください」
「金の話は置いとくとして、どうやって魂取んの? そのでっけー鎌で俺の心臓を貫いたりするのか?」
「……これ、ゴム」
ちなみは鎌の先端を持ち、クニクニ折り曲げた。
「……安全設計。……お子様にも安心して持たせられます」
「なるほど、確かにお子様が持ってるな」
「……? ……はっ、今のは私がお子様であるという皮肉を込めた、タカシ流のジョーク。略してタョーク」
「最初気づいてなかった事を指摘する前に、一つ質問。どうやって発音した?」
「たょーく、です。かんたーん。……タカシには無理だけど。ぷぷー」
なんかムカついたので、でこぴんしてやった。
「……うう、でこぴん王が私を攻める」
「その名で俺を呼ぶな。んで、どうやってゴムの鎌で俺の魂取るの?」
「……頑張れば、だいじょぶ」
「いや、無理だから」
俺の胸をゴム鎌で押すが、鎌がくにくに折れ曲がるだけ。どう頑張っても魂は取れそうになかった。
「……むぅ。しょうがないので、どうにかなるまで住むことにします」
「一緒に住んでもどうにかならない。住むな。すごい迷惑」
「……こんな可愛い子が一緒に住んであげるというのに、すごい迷惑、とタカシは言う。……はっ、まさか、……ゲイ?」
「俺にそんな趣味ないッ! 気持ち悪いこと言うなッ!」
「……俺はロリコンなので目の前の死神みたいなつるぺたが一番、とタカシは言う」
誓ってもいいがそんなことは言ってない。
「……と、いうわけで、お世話になります」
「ダメ。お世話しない。三つ指つくな。頭下げて谷間を見せようとするな。どうがんばっても谷間できないから」
ちなみの頬がふくれた。怒ったようだ。
「……えっちなえっちなことをしないと住んではいけない、とタカシは言う。やれやれ、タカシはえっちで困る」
再び誓うが、そんなこと言ってない。
「……はぁ、もういいから帰れ」
「……じゃあ、頭なでてくれたら帰ります」
「お嬢ちゃん、何歳?」
「……タカシと同い年、です」
自分でも恥ずかしいと思ったのか、ちなみの頬が赤く染まった。
「……やっぱいいです。もう帰ります。スピードワ……じゃない、死神はクールに去るぜ、です」
「あー待て待て。忘れ物だ」
恥ずかしさのあまり逃げようとしていたちなみを引きとめる。
「ないです帰ります死神はクールに去るので……」
わにゃわにゃ言ってるちなみの優しく頭をなでる。
「はい、忘れ物終わり。で、家まで送って行きたい気分の人がいますが、どうだろう?」
「……どうしてもと言うなら、許可してもいい気分の人も、います」
スカートをぎゅっと握り、下を向いてもごもご言うちなみの頭をもう一度なでてから、俺たちは一緒に家を出たのだった。
「じゃーん。……さくさく魂狩るるるる。……かっこいい?」
「馬鹿」
自分の身長ほどあるでっかい鎌持って変なポーズつけてたので、でこぴんしてあげた。
「うう……タカシは死神すら凌駕するでこぴん力を持ってる。……いわば、でこぴん王」
嫌な王にされた。
「で、死神さんはわざわざ俺をでこぴん王に任命しに来たのか?」
「……やれやれ、私はそんな暇な人じゃないです。……はっ、えっと、……そんな暇な死神じゃないです」
別に言い直す必要はないです。
「……じゃあ、本題です。……死神なので、魂ください」
「嫌です」
「……30円あげますよ?」
金でどうにかするにしても、30円はあんまりかと。
「安い。もっと高値で」
「……32えん?」
「ダメだ、コイツ思ったより馬鹿だ」
「……むっ、ばかじゃないです。タカシの魂なんて、それ位の値段です。超安値です。やーいばーかばーか」
なぜ魂を32円で買い叩かれた上、馬鹿呼ばわりされないといけないのだろう。
「……じゃ、32えんあげますから魂ください」
「金の話は置いとくとして、どうやって魂取んの? そのでっけー鎌で俺の心臓を貫いたりするのか?」
「……これ、ゴム」
ちなみは鎌の先端を持ち、クニクニ折り曲げた。
「……安全設計。……お子様にも安心して持たせられます」
「なるほど、確かにお子様が持ってるな」
「……? ……はっ、今のは私がお子様であるという皮肉を込めた、タカシ流のジョーク。略してタョーク」
「最初気づいてなかった事を指摘する前に、一つ質問。どうやって発音した?」
「たょーく、です。かんたーん。……タカシには無理だけど。ぷぷー」
なんかムカついたので、でこぴんしてやった。
「……うう、でこぴん王が私を攻める」
「その名で俺を呼ぶな。んで、どうやってゴムの鎌で俺の魂取るの?」
「……頑張れば、だいじょぶ」
「いや、無理だから」
俺の胸をゴム鎌で押すが、鎌がくにくに折れ曲がるだけ。どう頑張っても魂は取れそうになかった。
「……むぅ。しょうがないので、どうにかなるまで住むことにします」
「一緒に住んでもどうにかならない。住むな。すごい迷惑」
「……こんな可愛い子が一緒に住んであげるというのに、すごい迷惑、とタカシは言う。……はっ、まさか、……ゲイ?」
「俺にそんな趣味ないッ! 気持ち悪いこと言うなッ!」
「……俺はロリコンなので目の前の死神みたいなつるぺたが一番、とタカシは言う」
誓ってもいいがそんなことは言ってない。
「……と、いうわけで、お世話になります」
「ダメ。お世話しない。三つ指つくな。頭下げて谷間を見せようとするな。どうがんばっても谷間できないから」
ちなみの頬がふくれた。怒ったようだ。
「……えっちなえっちなことをしないと住んではいけない、とタカシは言う。やれやれ、タカシはえっちで困る」
再び誓うが、そんなこと言ってない。
「……はぁ、もういいから帰れ」
「……じゃあ、頭なでてくれたら帰ります」
「お嬢ちゃん、何歳?」
「……タカシと同い年、です」
自分でも恥ずかしいと思ったのか、ちなみの頬が赤く染まった。
「……やっぱいいです。もう帰ります。スピードワ……じゃない、死神はクールに去るぜ、です」
「あー待て待て。忘れ物だ」
恥ずかしさのあまり逃げようとしていたちなみを引きとめる。
「ないです帰ります死神はクールに去るので……」
わにゃわにゃ言ってるちなみの優しく頭をなでる。
「はい、忘れ物終わり。で、家まで送って行きたい気分の人がいますが、どうだろう?」
「……どうしてもと言うなら、許可してもいい気分の人も、います」
スカートをぎゅっと握り、下を向いてもごもご言うちなみの頭をもう一度なでてから、俺たちは一緒に家を出たのだった。
【ツンデレな妹VSデレデレな姉9】
2010年03月21日
髪が伸びてきたので、妹のカナに髪を切ってもらうことにした。
「兄貴、たまには美容院とか行ったらどうなの?」
「あんな恐怖の館に行けるわけないだろ。三秒で発狂する自信がある」
庭に出て、ナイロン製のケープをつけながら椅子に座る。準備完了。
「じゃ、よろしく。カナ」
「面倒だなぁ……」
「そう言うな、おまえしか頼める相手がいないんだ。何より、カナに切ってもらうの好きだし」
「……そ、それじゃ仕方ないわね。あーあ、面倒」
ぶつくさ言いながらも、カナは俺の頭を霧吹きで濡らした。
「で? お客さん、どんな風にします?」
「逆モヒカン」
「……いいけど、あたしの半径1km圏内に入ってこないでよね」
それでは家に住めないので、いつも通りの注文をする。
「あたしに任せる、ね。……たまには違う髪型にしよっかな」
「逆モヒカンか?」
「それから離れろ! こんなのでも一応あたしの兄貴なんだから、あんまり変なのだとあたしが恥ずかしいじゃない」
「そういうもんか?」
「そーいうもんよ。じゃ、始めるね」
シャキシャキとハサミが髪を切る音がする。後ろの髪から切り始めたようだ。
「ほら、首動かさないの。じっとして」
「じーっ」
「口で“じーっ”って言って、首動かしまくってたら意味ないじゃない! 動くな!」
「天邪鬼なんだ」
「……耳削ぐわよ」
とても怖いので小動物のように小さく震えながら大人しくする。そのまましばらくシャキシャキという音を聞いていると、ふいにカナが口を開いた。
「……しっかし、こうやって兄貴の髪切るのも結構長いよね。いつからだっけ?」
「確か、俺が小学生くらいの頃から、かな。散髪代にもらったお金が菓子代に化けたのをきっかけに、カナが切ることになった気がする」
「……兄貴って、昔っから馬鹿だったのね」
「昔は、だ。今は聡明な青年ともっぱらの噂だぞ」
「はいはい」
髪を切るシャキシャキという軽い音と、自動車の走る音。そして子供のはしゃぐ声が、俺を眠りに誘う。
「……兄貴、眠くなっちゃった? 舟漕いでるよ」
「……む、むー……」
「いーよ、寝ちゃっても」
「……し、しかし、寝てしまうとカナが俺を逆モヒカンに……」
「しないわよッ! もうっ、ちょっとは信用してよ」
「信用してるに、決まっとろうが……可愛い妹を、信用しない、わけ、が……」
「え……? あ、兄貴、今なんて?」
「……すぴー、すぴー……」
「……寝ちゃってる。……ずるいよ、兄貴」
「あっ、タカくんの髪切ってるの?」
「ね、姉ちゃん!?」
「私にも切らせてー♪」
「えっ、そ、その……」(どっ、どうしよ? 姉ちゃん、すっごい不器用だし……)
「いいでしょ、カナちゃん?」
「う、うん……」(ごめん、兄貴。……姉ちゃんには、逆らえないんだ)
「やった! 一緒に切ろうね、カナちゃん♪」
「あ、あはは……そだね」
目覚めると坊主になっているのは、一体どういうことなのか。
「タカくん、お坊さんみたい♪ なむなむ~」
俺を拝んでるお姉ちゃんを見て、全て悟る。恐らく、どうしようもなくなった髪型をカナが坊主頭にしたのだろう。
「あはは……ごめん、兄貴。でも、坊主頭も高校球児みたいで悪くないよ?」
「悪いに決まっとろーが! ……ううっ、こんな頭じゃ恥ずかしすぎる」
「だいじょーぶだよ。タカくん、お坊さんでもかっこいーから♪」
「そ、そうか? かっこいいか? ……言われてみれば、これも悪くないかも」
「……簡単すぎるよ、兄貴」
手鏡を覗き込んでる俺を見て、カナは呆れたように息を吐くのだった。
「兄貴、たまには美容院とか行ったらどうなの?」
「あんな恐怖の館に行けるわけないだろ。三秒で発狂する自信がある」
庭に出て、ナイロン製のケープをつけながら椅子に座る。準備完了。
「じゃ、よろしく。カナ」
「面倒だなぁ……」
「そう言うな、おまえしか頼める相手がいないんだ。何より、カナに切ってもらうの好きだし」
「……そ、それじゃ仕方ないわね。あーあ、面倒」
ぶつくさ言いながらも、カナは俺の頭を霧吹きで濡らした。
「で? お客さん、どんな風にします?」
「逆モヒカン」
「……いいけど、あたしの半径1km圏内に入ってこないでよね」
それでは家に住めないので、いつも通りの注文をする。
「あたしに任せる、ね。……たまには違う髪型にしよっかな」
「逆モヒカンか?」
「それから離れろ! こんなのでも一応あたしの兄貴なんだから、あんまり変なのだとあたしが恥ずかしいじゃない」
「そういうもんか?」
「そーいうもんよ。じゃ、始めるね」
シャキシャキとハサミが髪を切る音がする。後ろの髪から切り始めたようだ。
「ほら、首動かさないの。じっとして」
「じーっ」
「口で“じーっ”って言って、首動かしまくってたら意味ないじゃない! 動くな!」
「天邪鬼なんだ」
「……耳削ぐわよ」
とても怖いので小動物のように小さく震えながら大人しくする。そのまましばらくシャキシャキという音を聞いていると、ふいにカナが口を開いた。
「……しっかし、こうやって兄貴の髪切るのも結構長いよね。いつからだっけ?」
「確か、俺が小学生くらいの頃から、かな。散髪代にもらったお金が菓子代に化けたのをきっかけに、カナが切ることになった気がする」
「……兄貴って、昔っから馬鹿だったのね」
「昔は、だ。今は聡明な青年ともっぱらの噂だぞ」
「はいはい」
髪を切るシャキシャキという軽い音と、自動車の走る音。そして子供のはしゃぐ声が、俺を眠りに誘う。
「……兄貴、眠くなっちゃった? 舟漕いでるよ」
「……む、むー……」
「いーよ、寝ちゃっても」
「……し、しかし、寝てしまうとカナが俺を逆モヒカンに……」
「しないわよッ! もうっ、ちょっとは信用してよ」
「信用してるに、決まっとろうが……可愛い妹を、信用しない、わけ、が……」
「え……? あ、兄貴、今なんて?」
「……すぴー、すぴー……」
「……寝ちゃってる。……ずるいよ、兄貴」
「あっ、タカくんの髪切ってるの?」
「ね、姉ちゃん!?」
「私にも切らせてー♪」
「えっ、そ、その……」(どっ、どうしよ? 姉ちゃん、すっごい不器用だし……)
「いいでしょ、カナちゃん?」
「う、うん……」(ごめん、兄貴。……姉ちゃんには、逆らえないんだ)
「やった! 一緒に切ろうね、カナちゃん♪」
「あ、あはは……そだね」
目覚めると坊主になっているのは、一体どういうことなのか。
「タカくん、お坊さんみたい♪ なむなむ~」
俺を拝んでるお姉ちゃんを見て、全て悟る。恐らく、どうしようもなくなった髪型をカナが坊主頭にしたのだろう。
「あはは……ごめん、兄貴。でも、坊主頭も高校球児みたいで悪くないよ?」
「悪いに決まっとろーが! ……ううっ、こんな頭じゃ恥ずかしすぎる」
「だいじょーぶだよ。タカくん、お坊さんでもかっこいーから♪」
「そ、そうか? かっこいいか? ……言われてみれば、これも悪くないかも」
「……簡単すぎるよ、兄貴」
手鏡を覗き込んでる俺を見て、カナは呆れたように息を吐くのだった。


