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2026年03月18日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉7】

2010年03月23日
 いつものように姉、妹、俺の三人で帰ってると、妹のカナが「ゲーセン行きたい」などと言い出した。
「あんな不良の溜まり場に行くだなんて、カナも不良になったんだな。嗚呼、お兄ちゃんは悲し」
「あ、お姉ちゃんも行きたいなー。久しぶりにタイコ叩きたい」
「よし、みんなで行こう! 楽しみだなー、カナ?」
「…………」
 カナがとんでもない目でこっちを見ているが、気づかないフリをしてゲーセンへ。
「それじゃタカくん、一緒にタイコ叩こ?」
「え、あー……その、俺はちっと」
「……そっか。じゃ、お姉ちゃん行ってくるね!」
 お姉ちゃんと一緒に遊びたいのはやまやまだが、隣で機嫌悪そうにこっちをじーっと見てるカナをほっておくわけにはいかない。心の中でお姉ちゃんに謝っておく。
「そ、それじゃ、なにしよっか、カナ?」
「…………」
 カナは依然変わらず不機嫌のままだった。
「か、カナ? ええっとだな、ええとええと、……そうだ! 今日はお兄ちゃんの日!」
 “またコイツ変なこと言い出した”とでも言いたげな目で、カナはこっちを見た。
「お兄ちゃんの日とは、妹にサービスしなければならない日だ。そんなわけで、今日はカナの分は兄が奢ってやろう」
「えっ、マジ?」
「嘘──すいません、奢らさせて頂きます」
 冗談も過ぎると嫌がらせになるので、ここは素直になっておこう。べべ別にカナが怖いとかそんなんじゃなくて!
「じゃあさ、アレ奢って」
 そう言ってカナが指したものは、一時流行ったダンスゲームだった。
「だっ、ダメのダメダメ! 絶対ダメ!」
「えー、なんでよ。100円だから別にいいでしょ?」
「制服で踊ったりしたら、パンツ見える! どこの誰とも知れない奴に妹のパンツを見せられるか!」
 カナは一瞬呆けたような顔をした後、いやらしい笑みを浮かべた。
「いや~、お兄ちゃんしてるね、ホント。そんな妹さんが大事?」
「小便のついたパンツを見せられる人が可哀想だ」
「もう漏らしたりしないわよッ!」
 殴られたりしたけど、どうにか制止に成功。やれやれ、危なっかしい妹だこと。
「じゃあさ、アレならいいでしょ?」
 次にカナが指したものは、よくある普通のレースゲームだった。もう古いのだろう、1play50円と財布に優しくなっております。
「ん、そだな。アレなら兄許可を出そう」
「やたっ! じゃさ、兄貴も一緒にやろうよ」
「え、でも俺、レースゲーム下手だぞ?」
「いーからいーから」
 まぁいいか。確かにレースゲームは下手だが、兄なのでカナより下手じゃないだろう(根拠のない自信)。
 そしてレース開始。……終了。
「あははははっ! 兄貴、ほんっと~に下手よね。なんで途中で逆走してたの?」
「ぐ、ぐぐ……カナッ! もう一回だ、もう一回!」
「いいの? あたし手加減しないよ?」
「手加減してもらっても嬉しくない! 実力で勝利してこそ価値があるのだ!」
 もう一度カナと勝負。……終了。
「うぐっ、ひっく、もう一回、もう一回……」
「な、何も泣かなくても……」
「きゃああああああっ! た、タカくんがぼろ泣きしてる!?」
 お姉ちゃんがやって来るなり叫んだ。超うるせえ。
「どっ、どうしたの? 悲しいことがあったの? お腹空いたの?」
 お姉ちゃんは俺を胸に抱きよせ、よしよしと頭をなでた。
 ……この人は俺を幼稚園児か何かと勘違いしてるに違いない。
「か、カナが妹のくせに俺を負かすんだ! お姉ちゃん、仇を取って!」
「任せて、タカくん! お姉ちゃん、頑張る!」
「……なんでもいいけど、いい加減放したら? ……物凄い衆目集めてるわよ」
 衆人環視の中、姉の胸に顔を埋めるのはある種拷問と言えよう。慣れたけど。
 どうにか人払いをして、姉と妹に向き直る。
「それじゃタカくん、お姉ちゃん頑張るから応援してね!」
「あれ? 今日はお兄ちゃんの日だから、妹を応援するわよね?」
「……タカくんはお姉ちゃんが大好きだから、お姉ちゃんを応援するに決まってるよ」
「……でも、今日はお兄ちゃんの日って言ってたから、妹のあたしを応援するわよ」
 不思議なことに、姉妹間で火花が散っております。なんだろう、怖い。
「「どっちを応援するの!?」」
「テトリス面白れー」
 現実逃避してテトリスしてたら、カナに胸倉掴まれた。
「兄貴、なんでもいいからあたしを応援しなさい! 応援するなら、その、……今日寝る時、ちょっとくらいなら触っていいから!」
「ず、ずるいカナちゃん! お姉ちゃんだったら、いつでもおーけーだよ? だから、お姉ちゃんを応援してよ~」
 ああ姉と妹の板挟み。俺にどうしろと。それにしてもこのゲーム面白いなぁ。
「だからなんでテトリスしてるのよ!」
「そ、その、お腹が空いて頭が回らないんだ」
「はぁ? そんな言い訳が通用するとでも……」
「た、大変! タカくん、急いで帰ろう! お姉ちゃん、すぐご飯作るからね!」
 お姉ちゃんには通用するんだな、これが。ただ、お姉ちゃんに嘘をつくと良心が大変痛むので多用できない。
「……はぁ、まーいっか。久々に兄貴とゲーセンで遊べたし」
「うん? カナは俺と遊びたくて来たのか?」
「ばっ、な、そんなわけないでしょ! まったく、変なことばっか言って!」
 今回は変なことを言った覚えはないけど、あまり突っ込むと殴られるので黙っておこう。
「それじゃ、早く帰ろ?」
 お姉ちゃんは小首を傾げて俺たちを促した。ごく自然に手を取り、空いた手をカナに向ける。
「んじゃ帰るか、カナ」
「はぁ、何もいちいち手繋がなくても……」
 ぶつくさ言いながらも、カナは素直に手を繋いでくれた。
 夕暮れの中、俺たち三人は仲良く手を繋いで家路に着くのだった。

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【一人マックをツンデレに見られたら】

2010年03月22日
 帰宅途中、小腹が空いたのでマックに寄った。
「いらっしゃいませ、こんにちは。こちらでお召し上がりでしょうか」
「ん。牛の死肉を二つ」
 店員さんが嫌そうな顔をしたので、普通にハンバーガー二個とコーラを注文する。
 窓際の席に座り、むしゃむしゃ食ってたらなんかちっこいのが窓の外を通った。見覚えあるなーとか思ってたら、ちっこいのと目が合った。
「うわ、アンタ一人でマックいるの? 寂しい奴ねー」
 ちっこいの──レミットは、わざわざ店内に入ってきて俺に軽口を叩いた。
「レミットも一緒に死肉を貪らないか?」
 レミットはすごく嫌そうな顔をした。近くで食べてた人も迷惑そうに俺を見た。
「いや、美味しい死肉だから安心だぞ? レミットも死肉好きか? 俺は牛乳を腐乱させたモノと死肉を一緒に食うのも好きなんだけど、ちょい高いからなぁ」
 チーズバーガーを食べてた隣の客が自分の食べてるものを嫌そうに見た後、席を移っていった。
「死肉死肉ゆーなっ! 普通にハンバーガーって言いなさいよっ! ほら、アンタのせいでお客さんも他所行っちゃったじゃない!」
「まぁまぁ。これでも食って落ち着け」
 ぎゃーぎゃー騒いでるレミットの口に、食いかけのハンバーガーを突っ込む。
「むが!?」
「んむ、変な顔」
「もがもが……ぷはー。ちょっと、いきなり何すんのよ!」
「間接キス」
「間接キスぅ? ったく、くだんないことばっか……かんせつ、キス……って、えええええ!?」
 すごくうるさい。
「知らないのか? 間接キスとは、関節を極めるあまり脱臼してしまい」
「う……うう、ううぅーっ! な、なんてコトすんのよっ!」
 人が折角即興ネタを披露している最中だというのに、レミットときたら顔を真っ赤にして俺を睨むばかり。
「照れてます?」
「てっ、照れてないっ! 怒ってるの!」
「あー……まぁアレだ。直接じゃなかったんだしいいじゃん、別に」
「よくないわよっ! なんでアンタなんかと間接とは言え、キスなんかしなくちゃいけないのよっ!」
「その言い振りだと、直接ならよかったってことだな?」
「ちーがーうっ! アンタ頭の中綿か何か詰まってんじゃないの!?」
「ま、ま。とりあえず落ち着いて。一緒にハンバーガー食おう。な?」
 レミットの頭を撫でてなだめすかし、もう一度間接キスにlet'sトライ!
「頭なでんなぁ!」
 注意:レミットは頭を撫でられるのを大変嫌います。忘れてた代償に手を噛まれた。
「あいたた……あのさ、なでないから一緒に食べよ? 一人で食っててもつまんないし。な?」
「嫌! いい? なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど、あたし、アンタなんか大っ嫌いなんだからっ!」
 なんとなく分かっていたけど、面と向かって言われるとかなり堪える。だがしかし、自分の気持ちだけははっきりと伝えておく。
「しかし、俺はレミットが大好きだぞ?」
「そ、そーいうあけすけな所が嫌いなの! 嫌い嫌い、大嫌い!」
 これは困った。困ったが、なんと言われても嫌えないのがまた困る。
「そ、そんな困った顔しても謝んないからね! 悪いとも思ってないし!」
「はあ」
 しかし、誰より困った顔をしているのが目の前のちっちゃいのだと、本人は気づいてるのだろうか。
「……ぅ、そ、その……ばーか!」
 どうしたもんかと思ってると、レミットは突然店から出て行った。
「んーむ。難しい年頃だと思いませんが、店員さん。ところでこの死肉うまいですね死肉」
「お願いですから、店内で危険な言葉を連呼しないでくださいぃ……」
 側にいた店員さんに同意を求めたのに、なんか泣かれた。

「……はぁ」
 マックから飛び出した後、あたしは一目散に自宅に逃げ帰った。ベットに腰掛けていると、あたしの口から勝手にため息がこぼれる。
 ……折角一緒にご飯食べる機会だったのに、逃げちゃった。しかも、酷いこと言っちゃったし。……嫌われたかなぁ?
「……って、違う違う違う! あたし、元々あんな奴好きじゃないし? もっと……えと、じゃ、じゃにーず系? とか好きだし?」
 ……全然知んないけど。友達とするテレビの話とか、あんまりついてけないし。アイツと話してるのが一番楽しいし。
「……いやいや、楽しくない。楽しくないもん」
 ぼふりとベットに寝そべり、なんとなく口元に手をやる。
「……間接、キス……」
 口にして、顔から火が出るかと思った。クッションに顔を埋め、ベットの上を跳ね回る。
「……うぅぅぅぅ~。違うもん。好きじゃないもん。嫌いだもん」
 頭に浮かんでくるアイツの顔を必死で振り払いながら、あたしは何度も何度も『嫌い』と呪文のように唱え続けた。

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【ツンデレと恵方巻きを丸かぶり】

2010年03月22日
 小学生の娘とスーパーを探索してたら、太巻きを見つけた。
「娘よ、父は恵方巻きを食べたい」
「父、それはダメだ。我が家の家計は逼迫している。そんな余裕はない」
 娘が何か言ってるが、特に気にせず買い物カゴの中に恵方巻きを入れる。
「父、私の話を聞いているか。それとも私の話を理解できないのか。ああ父が壊れてしまった」
「娘よ、父は壊れてない。父はただ太巻きを食べたいだけだ。決して娘が太巻きを口に咥えるところを見たいわけではないぞ」
「父は娘である私を性欲の対象に見る。なんと不幸なんだろうか」
 一際大きな声でそんなことを言うので、周囲の客が父である俺を奇異の目で見る。
「娘よ、菓子を買ってやろう。だからあまり大きな声で変なことを言うものではない」
「父、繰り返すが我が家の家計は逼迫している。菓子など買う余裕などない。子供である私を性欲の対象に見る暇があれば、もっと仕事を頑張り、さらに無駄遣いを控えることだ」
「む、娘よ、とにかく行こう。父はなんだかお腹が痛くなってきた」
 騒ぎを聞きつけた警備員が遠くからやってくるのが見えたので、娘の手を握って逃げる。
「ち、父、あまり強く握るな」
「娘よ、少しの我慢だ」
 なんとか危機を脱し、買うものを買って家に帰る。
「まったく、強く握りすぎだ。手が赤くなってしまったではないか」
「す、すまない」
「……まぁ、別にいいが」
 娘は少しだけ頬を染め、自分の手を軽くさすった。
「とにかく、太巻きを食べよう」
「それほどまでに娘である私が太巻きを咥える様を見たいのか。ああなんという父の元に生まれてしまったのだろう」
「ははっ。娘よ、面白い冗談だな」
「何を言う。私は冗談は好かない」
「…………」
「買ってしまったものはしょうがない、食べよう。父、娘である私が太巻きを咥える様を見るがいい。そこから親としてあるまじき想像をするのも、まあ、あまり好ましいものではないが、個人の自由だ」
「娘よ、あまり父をいじめるな」
「父が恥ずかしい事を言わなければ済む話だ」
 事も無げにそう言って、娘は太巻きをかじった。
「はぐはぐ。……む、なかなか美味いな、この太巻き」
「娘よ、かじるのではなく咥えてみてはどうだろう」
「ああ父が娘である私を本気で性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろう」
「娘よ、もちろん冗談だ。本当だぞ?」
「父、そんなことが信じられるだろうか。……まぁ、放っておいては性犯罪を犯しかねない。しかたない、少しだけサービスだ」
 そう言って、娘は太巻きを咥えた。
「ほへへひひほは?(これでいいのか?)」
「娘よ、太巻きに舌を這わせるのはどうだろう」
「ああ父が娘である私に本格的な指導を始めた。これはもう然るべき施設に入れたほうがいいのかもしれない」
「娘よ、父は冗談を言ったまでだ。本当だぞ?」
「……はぁ。父、冗談は私だけに言うがいい。外でそんなことを口走ったら、一生臭い飯を食う羽目になるぞ」
「娘よ、安心しろ。父も多少は相手を見て言葉を選んでいる。まだ訴えられたことはないぞ」
「ああ父は娘である私にのみセクハラの津波を浴びせる。母、哀れな子羊である私を助けて欲しい」
 娘は仏壇に置かれた鈴を打ち鳴らし、位牌を拝んだ。
「むぐむぐ……娘よ、うまい太巻きだな」
「父、私の太巻きを食べるな」
 娘は俺の食べかけの太巻きを奪い、口にした。
「娘よ、間接キスだな」
「っ!!」
 娘の顔が一瞬でゆでタコのように真っ赤になった。
「か、家族だから平気だ。まったく、何を言っているのか、この父は」
「娘よ、どうしてそんなに顔が赤いのか」
「……父、いじわるだぞ」
 そう言って、娘は恥ずかしげに上目遣いで俺を見た。

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【ツンデレがエロ本を見つけたら】

2010年03月22日
 とある日の夕方、仕事に飽いた父が娘と遊ぼうと台所に顔を出すが、そこには誰もいなかった。
「これは面妖な、何者かに連れ去られたか。いやしかしあの娘が何の抵抗もなく連れ去られるだろうか、いやない」
 ぷらぷらと探し回る最中、突如猛烈な腹痛に襲われ父は便所に籠もった。
「く、このような痛みに屈するとは。屈辱である」

「父、父? ……なんだ、いないのか」
 父が便所で屈辱の涙を流している頃、娘は父の書斎に顔を出していた。
「夕食に何がいいか聞こうと思ったが……まあいい、今のうちに掃除をしてしまおう。父がいたら色々と理由をつけて断られるしな」
 娘はハタキを持ってきて、背伸びをしながら本棚を軽くはたいた。
「うっぷ、なんたる埃だろうか。……ん?」
 埃を払っていると、ハタキに当たって本棚から本が一冊落ちてきた。
「ふむ、なにやら難しい漢字だな。なんと書いてあるのか、子供ゆえ読めないのが残念だ。仕事関係の本か?」
 表紙をめくると、そこには娘と同じくらいの少女が裸で転がっている絵があった。
「こ、これは、噂に聞くエロ本ではないか。ああ父よなんたることだ、私という小学生の娘がいるというのに、私と同年代の少女が題材のエロ漫画を所持しているとは」
 娘は大きく目を見開き、興味津々な様子で次々ページをめくっていった。
「む、これは……まったく胸がないではないか。父はこういったものが好みなのか。ああ完全に犯罪だ、性犯罪者ではないか」
「ああ娘よ、ここにいたのくぁーっ!?」
 ズボンの位置を直しながら部屋に入ってきた父は、自分の愛読書を読む娘の姿を見て奇声を発した。
「父、隠すなら私の手が届かない場所に隠すべきだ。カバーを違う本で偽装していたとしても、何かのはずみで見つかってしまうぞ。今この時のように」
「は、はは、何を言ってるのか皆目分からないな」
 父は素早く娘の持つ本を奪い取り、背中に隠した。
「……これは驚いた。父、思いのほか素早い動きができるのだな。いわゆる火事場の馬鹿力という奴か」
「む、娘よ、掃除は感謝する。だがしかし、ここは父の仕事場。触られると困る品もあるゆえ、掃除はやめてほしい」
「困る品というと、いま父が後ろ手に持っている明らかに未成年の少女が出てくるエロ漫画のことだな」
 父は慌てて後ろ手に持った本を棚の奥に隠した。
「娘よ、父をいじめて楽しいか」
「父、大人なのだから泣くのはやめてほしい」
「大人だからこそ泣けてくることもある」
「父、父はその……いわゆる、幼児性愛者なのか? 病気なのか?」
「前者は半分肯定だが、後者は否定だ」
「ああなんたることだ。父はもうダメだ、投獄されるに違いない」
「娘よ、父はまだダメではない。父は別に幼児性愛者ではなく、ただ胸が慎ましい女性が好みなだけだ」
「本当か?」
「本当だ。まだ少女を襲った事はない」
「ああなんたることか、父はやはりダメだ。“まだ”などと言っている。いつか実行するに違いない」
「娘よ、たまには父を信用してみるがいい」
「あまり無理を言うものではない。父は信用という言葉から最も離れた場所に存在している。信用されたいのなら、普段から信用されるような事をするべきだ」
「信用……こうか?」
 父は娘を抱き寄せ、向かい合わせになるように自分の膝に乗せた。そして、優しく頭をなでた。
「ち、父? 何をいきなり……」
 突然のことに、娘は目を白黒させた。
「いやなに、ただのスキンシップだ。こういった小さな事を重ねることが肝要と思ってな。どうだ?」
「ふ、ふん。こんな小細工をされても、信用などできるはずがない」
 顔を背ける娘だが、口元が小さく笑っている事を父は見逃さなかった。
「娘よ、信用はともかく、気持ちいいか?」
「……ふん、特に気持ちよくなどない」
 憎まれ口を叩きつつ、娘は父の胸に頭を寄せるため、軽く腰を揺すった。
「あ」
「……父、娘である私の瑞々しくも張りのあるお尻に何か当たっているのだが」
「全くの気のせいだ」
「ああ父よ、娘のお尻で勃つとは何事か。それとも父を鬼畜道に堕とす程の魅力を持つ私が悪いのか」
「娘よ、父の気のせいでなければ、どこか嬉しそうなのだが」
「ま、全くの気のせいだ」
「…………」
「……ふ、ふゅーふゅー」
「娘よ、嘘が下手な上に口笛までも下手なのだな」
「……父、意地が悪いぞ」
 そう言って、娘は照れくさそうに頬を染めながら口をとがらした。

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【ツンデレな妹VSデレデレな姉8】

2010年03月22日
 もうすぐ2月14日。怖い。
「タカくん! お姉ちゃん、頑張るからね!」
 満面の笑みを浮かべつつ、大量のチョコを抱えた姉が怖い。
 お姉ちゃんは炊事洗濯なんでもこいなスーパーお姉ちゃんなのだが、お菓子作りは下手なのだ。
「今年こそ、タカくんにおいしいチョコ作るからね!」
 自信たっぷりに、お姉ちゃんは溶けたチョコを入れたボウルの中に塩を入れた。
「スイカに塩かけたら美味しくなるし、チョコもきっと一緒だよね、タカくん?」
「はは、ははは……」
 力なく笑って誤魔化し、妹の部屋に逃亡。
「カナぁ~……お姉ちゃんの暴走を止めてきてくれぇ」
 妹の部屋に乱入すると、カナは着替えの最中でした。
「おおっ、なんというタイミング。まるでラブコメのようではないか。そう思わないか? カナ」
「いいから出てけクソ兄貴ッ!」
 下着姿のカナが目覚まし時計を振りかぶったので、慌てて逃走する。
「ところで、いつまで同じブラしてるんだ? そろそろ新しいブラを買うべきかと兄は提言する」
「うっさい!」
 一度戻って兄の優しさを示したら、下着のままで追いかけてきたので驚いた。時計投げられた。
「……で、姉ちゃんがどうしたって?」
 カナが着替えるのを待って、事情を話す。
「ああ、またいつものアレね。……ったく、なんでこんな馬鹿のために姉ちゃんが苦労しないといけないのかしらねぇ」
「愛ゆえに!」
 真顔で言ったら、ほっぺをつねられた。違うのか。
「とにかく、姉ちゃん一人じゃ出来ないだろうし、手伝ってくる」
「おおっ、さすがカナ。ありがたう、ありがたう」
 カナは炊事洗濯なにもできないへっぽこ妹なのだが、お菓子作りだけは一級品なのだ。
「姉ちゃんのためだかんね。……勘違いしないでよ」
「いや、する! しまくりんぐ! カナが俺への愛ゆえにお菓子作りを手伝うと」
 殴られたので黙ることにする。
「じゃ、行ってくるから」
「お気をつけて」
 とにかく、カナがいれば安心だ。明日が楽しみだ。
 
 そしてやってきた14日。バレンタインな日。
「はいっ、タカくん! お姉ちゃんチョコだよ! 食べて食べて!」
「むがむが」
「ちょ、ちょっと姉ちゃん! 包みのまま口に突っ込んだらダメじゃない!」
 少しだけヤギの気持ちが分かりました。
「あははっ、タカくんに少しでも早く食べてもらおうと思って。おいしい? おいしい?」
「紙の味しかしません」
「ううっ……タカくん、お姉ちゃんの選んだ紙はおいしくないの?」(涙じわーっ)
「うまいうまいまぐまぐ」
「食うなッ! 姉ちゃんも食べさせないの!」
 カナの乱入のおかげで助かった。紙はとてもまずいです。超吐きそう。
「えへへっ。じゃあ……はいっ、お姉ちゃんからタカくんへ。チョコレートです」
 改めて渡されると、こう、なんというか、……照れくさい。
「あー……うん。ありがと、お姉ちゃん」
「……くぅぅぅぅ、照れてるタカくん可愛いっ! お姉ちゃんすりすりすりッ!」
 お姉ちゃんにすりすりされまくる。お姉ちゃんのほっぺはお餅のようにぷにぷにしてるので、悦楽気分。
「…………」
 ただ、カナがとても怖い目で俺を睨むのでおしっこ漏れそう。
「それでね、カナちゃんもチョコ作ったんだよ!」
「それは嬉しいな。カナ、チョコちょーだい」
「アンタのために作ったんじゃないわよ、ばーか」
「な……なにぃッ!? だ、だだ誰のために作ったというのだ、カナっ!」
「そんなのあたしの勝手でしょ。んじゃ、学校行こ」
「む、むぅ……」
 一体誰にやるつもりなのか。ずーっと考えてるうちに、昼休みになってしまった。
 考えてるだけでも腹は減る。弁当を食おうと鞄を漁ってると、カナが寄ってきた。
「兄貴、ちょっと放課後顔貸して」
「アンパンマンではないので取れません」
「教室で待っててね。んじゃ、約束」
 俺の小ボケをスルーし、カナはいつもの友人グループの輪に戻っていった。
 とにかく、約束したので放課後、ぼんやり椅子に座ってカナが来るのを待つ。
「あ、ちゃんと待ってたわね。感心感心」
 夕焼けが眩しく感じる頃、カナが教室にやってきた。
「当たり前だろ、約束したからな」
「他に人は……いないわね。……よしっ」
 カナは小さく気合を入れ、鞄を開いた。そして、小さな包みを取り出した。
「……ええっと、まさか」
「そ、そう、チョコよ! 悪い!?」
「いやでも、俺のために作ったんじゃないんだろ? なんで?」
「あ、あたしがどれくらい腕をあげたか、それを知るために作ったの! 今日が14日なのは、ただのグーゼン!」
 グーゼンと言い張るわりに、カナの持っているチョコには気合の入ったラッピングをしている。
「つ、つまり、自分自身のために作ったの! 納得した!? したわよね! はい、チョコ!」
 俺が口を開く暇を与えず、カナは叩きつけるように俺の手にチョコを置いた。そして慌てて鞄を持ち、逃げるようにドアへ向かう。
「あー待て待て、カナ」
「なっ、何よ、まだ何か!?」
「チョコ、ありがとな。嬉しいぞ」
 その一言で、カナの顔が夕焼けに負けないくらい赤くなった。
「う……じゃ、じゃあねッ!」
 荒々しくドアを閉め、カナは教室を出て行った。
 渡されたチョコを食べる。やっぱり、カナの作るチョコは美味しかった。

 で、家に帰るとカナがいるわけで。
 俺を見るなり顔を真っ赤にするわけで。
 それを見たお姉ちゃんが邪推して不機嫌になるわけで。
 
 お姉ちゃんが不機嫌な日は、不思議なことに俺の晩飯がゴマだけになる。

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