【ツンデレの幸せな時間】

2010年08月03日
 暑いのでお隣のちなみの家に侵入。
「……また来た。なんという迷惑、恐るべき厚顔無恥」
 何かの本を読んでたちなみが、嫌そうな顔で俺を出迎えた。
「あちいのです。お部屋にクーラー欲しいのです。ガチで熱中症の心配をして対策法をググる俺なんです」
「……水風呂に入って、身体あんまり拭かなくて、扇風機の前で涼んで、そのまま外に出て逮捕されればいい?」
「途中までは素敵な提案だったのに、最後が獄中エンドなので却下します」
「……なんて贅沢な。……まあ、いい。好きなだけ涼んでいったらいい」
「いつもありがとうございます」
 感謝の言葉を述べてから、ちなみのベッドにぽふりと座る。そよそよと部屋を循環する冷気が気持ちいい。
「あー、本当にここはいいな。涼しくて落ち着く」
「……勝手に落ち着かれては困る。ここは私の部屋で、タカシの部屋ではない」
「そうなんだけどさ。夏だけは許してくれ。暑くて自分の部屋での生活が困難なんだ」
「……そう言っておきながら、冬は寒いから暖めろと言って来るし、春は眠いからここで寝させろと言って来るし、秋は暇だから構えと言って用もないのに来るし」
「ちなみといると楽しいからしょうがないんだ」
「……これは困った。告白された」
「そんなつもりはないのに」
「……やれやれ、もててもてて困る」
「コイツ今日も俺の話を聞いてやがらねえ」
 ちなみの頭をぺちぺち叩いてから、本棚を探る。今日は何にするか指差し確認しながら眺めてると、面白そうな本を発見した。
「折角だから俺は久々にこれを読むぜ!」
「……らんま1/2。名作。ぱちぱちぱち」
 なんだか拍手をされたので意味もなくかっこいいポーズをしてみる。
「……おおぅ、今日もタカシは精神科医が見たら新しい病名を思いつきそうなかっこいいポーズをしている」
 どうしても褒められている気がしない。
「まあいいや。んじゃ、読ませてもらうな」
「……ん」
 適当に床に転がり、仰向けで漫画を読む。何度も読んだはずなのに、毎回面白い。
 しばらくそのまま読んでると、腹にかすかな圧迫感。
「何をしている」
「……これはびっくり。枕が喋った」
「有機物です」
 いつの間にかちなみが俺の腹に頭を乗せ、寝そべって漫画を読んでいた。
「……居場所を提供してやっているのだから、枕くらいにはなるべき」
「まあ、いいけど。あ、そこの枕取ろうか?」
「……いい」
 ベッドの上の枕を指したが、あっさり断られた。
「……どーもあの枕とは相性がよくなくて。……この腹枕は私に絶妙にマッチする」
「褒められているのに嬉しくないpart2だぜ」
「……このだらしのないぷよぷよした腹が、私の頭を優しく包み込む」
「今日から毎日腹筋してやる」
「……なむなむ。……三日坊主の呪いをかけた。これでもし腹筋をしたら、深夜、タカシの部屋を三日坊主が覗きに来る。毎日」
「怖っ、怖あっ! 三日坊主の呪い怖あっ!」
「……それが嫌なら今後も怠惰な生活を続け、私にぷよぷよお腹を提供するがいい」
「なんて酷い奴だ。ていうか、そんな俺の腹ぷよぷよか?」
「……ぷよぷよ。……ぱよえーんってくらいぷよぷよ」
「例えを出されたら余計に分からなくなったよ」
「……まあ、ぷよぷよだけど、そんな過剰に太ってなので気にしなくていい。……今後も私の枕として精進したまえ」
「なんて役柄だ。ていうか、ぷよぷよ言ってるが、お前のほっぺも結構なぷよぷよ加減だぞ」
 手を伸ばし、ちなみのほっぺを触る。相も変わらずぷよぷよしてて気持ちいい。
「……可憐な女性のほっぺを無造作に触るだなんて、今日もタカシは悪辣だ」
「なんて言われようだ。ていうか、可憐な女性は人を枕になんてしないと思うが」
「……貧乳はコンクリを枕にしろ、とタカシは言う」
「言ってねえ。……はぁ、まあいいか」
 ちなみを腹に乗せたまま、漫画を読み続ける。時折なんとなくちなみの頭をぽふぽふ触る。
「……?」
 視線だけで「何か用か」と聞いてきたので、こちらも「別に」と視線で返す。返しながらも、片手でちなみのほっぺをうにうにしているが。
「……やれやれ」
 軽く嘆息して、ちなみは俺にほっぺをいじられたまま再び漫画を読み始めた。

「……ん~っ!」
 10巻ほど読み、いい加減疲れたので今日はこれでお仕舞い。軽く伸びをしてると、ちなみがじーっとこちらを見てるのに気づいた。
「……終わり?」
「うぃ」
「……そう。……んじゃ、ちょっと」
 ちなみは俺を立ち上がらせると、ベッドの上に誘導し、寝ろと指で示した。
「はぁ。まあ、いいけど」
 言われたとおりにすると、ちなみも俺の隣に寝そべり、俺にべそっと抱きついた。
「ほほう」
「……眠くなった。隣に抱き枕的な何かが必要なのに、それに該当するのがタカシしかいないという悲しい現実が私を襲う」
「失礼な。紳士機能が付属しているので、寝ている時にちなみにいたづらしたりしないお買い得品なのだぞ?」
「……タカシに付属してるのは類似品の変態紳士機能なので、間違いなくいたづらされる」
「あー、まあ、頭なでたり背中さすったり抱っこしたりはするな」
「……ちゅーとかもされる予感」
「しません」
「…………」
 なんで不満げに睨む。
「……この変態紳士は嘘までつく欠陥品だ。返品希望」
「しねえっての」
「……貧乳にキスすると青紫色に変色する、とタカシは言う」
「言ってねえ。ていうか、なんでデンプンのヨウ素液反応が俺に起こるのだ」
「……ぐぅぐぅ」
「コイツ今日も人の話聞いてやがらねえ」
 狸寝入りするちなみの頭を数度なでる。
「……ん。もっとしてもいい。……優しい私が特別に許可してやる」
「これ以上なでると青紫色に変色するが、いいか?」
「ヨウ素液返しだ」
 そんな言葉はありません、と思いながらちなみの頭をなでる。
「……ん」
 コクコクうなずくちなみをなでながら、二人して寝るのだった。

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【ブブゼラちなみん】

2010年06月27日
 いつものように帰宅すると、俺のベッドに巨大な何かが鎮座していた。嫌な予感しかしません。
 このまま回れ右してしばらく友人の家にお泊りでもしたいところだが、既に当の本人に見つかってしまったようで、期待に満ち溢れた目がこちらをじぃーっと見つめている。しょうがないので、とぼとぼベッドへ向かう。
「……はぁ。で、何のつもりだ」
「ぶおー、ぶおー」
「うるせえ」
 巨大なプラスチックのラッパのようなものに全身包まれているちなみをはたく。
「……痛いですよ?」
 ちなみは両手を合わせ、ちょこんと小首を傾げた。その所作だけならあら可愛い抱っこしようねとなるのだが、今のちなみは珍妙ラッパに包まれているため、何やってんだこの馬鹿という印象以外受け付けない。
「理由を問うているのです。何故にそのような珍妙な衣装に身を包んでいるのか聞いているのです」
「……タカシのような珍妙極まる人間が、他者の珍妙さを問うなんておこがましいと思わんかね」
 とりあえずちなみのほっぺをむにょーんと引っ張る。
「……むにょーん」
 チクショウ、まるで堪えてねぇ。いつもの無表情に半眼の様子で、ほっぺを引っ張られたままむにょーんとか余裕で言ってやがる。
「……今日もタカシは私をいじめる。めそめそ」
「さういう台詞は通常モードの時に言ってこそ効果があると思うます。ネタ着ぐるみ状態では何も思いません」
「……今日もちなみは可愛くねぇ、とドSのタカシは言う」
「そこまでは言ってねぇ。ていうかいうかていうかですね、なんなんだ今日の着ぐるみは」
「……ブブゼラ。ぶおー」
「ああ、アレな。サッカーの」
「……話題沸騰のアレ。……タカシも興味津々」
「実はサッカーに興味ないんだ」
 ちなみは困ったように眉を八の字にした。
「……興味、持ってください」
「そう言われても」
「……今なら、ブブゼラ吹き放題。……やったね、ラッキー」
 全く幸運と思えないのは俺の心がゆがんでいるからなのか。ていうか、人の顔をぺちぺち叩かないで。
「……というわけで、吹いて」
「吹け、と言われても……え、これ音が出るの?」
「……出る」
 とりあえず一度吹けばちなみも満足すると思ったので吹こうと思ったのだが、吹き口が見つからない。広がった部分の反対側にあると思うのだが、ラッパ部は頭にあり、その反対とは即ち尻であり、え、尻?
「……ええと。じゃあ、尻を出せ」
「……何の躊躇もなく人のお尻をまさぐろうだなんて、タカシは今日も鬼畜だ」
「酷い愚弄を受けたものだ。じゃなくて、吹き口が尻にあるんだろ?」
「……お尻から息を吹き込まれて喜ぶ性癖はないので、そこに設置してない」
「それはよかった。ていうか女の子が性癖とか言うな」
「……今日もタカシは女性に幻想を抱いている」
 うるせえ。
「……吹き口は、ここ」
 そう言ってちなみが指差したのは、ちょっとばかり問題がある箇所だった。
「……えっと、ちなみさん。間違いじゃあないですかね?」
「……全く間違ってない。……ここに口をつけて、吹き鳴らす。……ぶおーって」
 ちなみが指差した場所。そこは誰がどう見てもおっぱいだった。
「客観的に見て、非常にヤクイ光景だと思うのだけど」
「……搾乳?」
「だから、女の子がそういう台詞を言うなッ!」
「……今日もタカシの童貞パワーは健在だ」
「そろそろ泣くぞ」
「……それは、搾乳の後にどうぞ」
「だから! ……ええい、名称はまあいい。その、アレだよな? 何か笛的なものがそこからまろびでるシステムなんだよな?」
「…………。うん」
「その間は嘘の間ですよね」
「……ちなみ、嘘なんてついてないよ?」(うるうる)
「いや全くその通りで誰だこんな可愛いちなみを嘘つき扱いした奴は! とっちめてやる!」
 ちなみをむぎゅーっと抱きしめながら混乱する。今日も俺は女性の涙に弱いようです。
「……き、今日もタカシは私の嘘泣きにしてやられている。ま、まったく、簡単で困る」
「俺の気のせいでなければ、全力で顔を赤くして目を回してやいませんか、ラッパの人」
「き、気のせい。……ほ、ほら、ブブゼラなので赤くならなければならないので。……ぶおー」
 別にブブゼラ全てが赤いとは限らないと思うが。まあ、ぶおぶお言ってるので、黙っておこう。
「それで、えっと。どうすればいいのだ?」
「……え、えと。……ちょ、ちょっと待って。落ち着く。……ふぅー」
 ちなみは俺から離れると、数度深呼吸し、俺に向き直った。顔の赤さが取れている。どうにか落ち着きを取り戻したようだった。
「……じゃあ、準備する。ぽち」
「ぽち?」
 ぽちと言いながら、ちなみは胸の上部にあるボタンを押した。すると、胸の部分が開き、そこから──
「下着を付けろ!!!」
「……おおぅ」
 全力で目を逸らしながら、ちなみに指摘する。ええい、なんかピンクいのが見えちゃったじゃねえか!
「……まあ、胸がないので下着は必要ないのです。……絆創膏、貼る?」
「チクショウ、なんて心揺れる誘惑をしやがる! 上も下も貼りたい所存です!」
「わ。……よもや肯定されたうえ、下も貼りたいとは。……タカシはいつも私の予想を上回る。……すごいね?」
 嬉しくない。
「……まあ、ともかく。手で隠したので、こっち見てもだいじょぶ」
 恐る恐るちなみの方を見れば、なるほど確かに指で見てはいけない部分を隠している。
「ていうか、さっきのボタンをもっかい押して元に戻した方がいいのでは」
「……もう戻らない。開く専門ボタン」
「なんて使えないんだ」
「うるさい。……それより、ここを吹けばぶおーって鳴る。……予感?」
「そこを吹いても俺が嬉しいばかりで鳴らないと思います」
「……だいじょぶ。私も嬉しい」
 違う。そういう問題ではない。
「……まあ、さういうわけでいっちょ吸ってみてはどうか」
「吸うじゃねえ! 吹くんだろ!」
「……ちっ」
 このお嬢さん超怖え。
「……じゃあ、気を取り直して、ちゅぱちゅぱれろれろしてみてはどうか」
「もう騙す気すらねーだろ」
「……てへ?」(小首をくいっと傾げながら)
「あら可愛い」
「……褒められた」
 ちなみはほんのり頬を染めながら、ぼそりとつぶやいた。なんでそこは普通に照れるんだ。
「……ともあれ、ちゅっちゅすべし」
 むにーっと口を尖らせだしたので、その唇を指できゅっと挟む。
「…………」
 ちなみは目と眉で困ってる事を俺の訴えた。訴えが届いたので、手を離してやる。
「……今日もタカシは極悪非道だ」
「なんでやねん。ていうか、ブブゼラを鳴らすという話だったのでは。どうしてむちゅー姿勢になってるのか、理解に苦しむ」
「……タカシの見事な話術にしてやられた?」
「疑問系なので納得できません」
「……むぅ。……じゃあ、ぶおーって吹き鳴らすべし」
 そう言ってちなみは両手を下ろしたら貴方平らなおっぱいが丸見えじゃあないですか!?
「隠せ! ええい、隠せ!」
「……おおぅ」
 狼狽した俺の行動により、俺の手がちなみのおっぱいを触るという事態に陥った現在、ほのかな柔らかさに脳が支配されておりまする。
「あ。いやその、わざとじゃなくて!」
「……え、えっちだ。タカシはえっちだ」
「いやその、だから! ……はい。えっちです」
 どんな言い訳をしようが触ったことは事実だしやたら柔らかいし、素直に認める。
「……す、素直なのはいいこと。……だ、だから、鳴らしたら許してあげる」
「……ええと。まさかとは思いますか、ブブゼラを?」
「……そ、そう」
「い、いや、流石にそれは」
「……吹かないと、痴漢されたって言いふらす」
「どうか俺にブブゼラを吹かせてくださいお願いします」
 と、いうわけで。
「え、ええと。んじゃ、やるぞ?」
「……う、うん。……あ、あの。優しく、優しくすること。命令。噛むとか禁止」
「お、おう。分かってる」
 ゆっくりと、人には言えないちなみのどこかの部位に口に含み、少しばかり尖ってる箇所に舌が触れないよう注意しながらぷうぷう吹く。
「……ぶ、ぶおー。……ぶ、ぶおっ!? ……うう、タカシの息が非常にこそばゆい」
「細心の注意は払っているのですがそればっかりはどうにもこうにも! 謝る以外どうしようもないですごめんなさい!」
「……で、でも、鳴らせと言ったのは私の方。……し、しょがないので、あと100回鳴らしたら、解放してあげる」
「ええと。そりはつまり、100回ぷうぷうしなければならないということなのでしょうか?」
「……そう。……ちょっと、ふやけそうだ」
 自分の胸を見下ろすちなみに、果たして理性を保つことができるのか自問自答する俺だった。
「……と、途中でのどが渇いたら、吸ってもいい予感?」
 理性を保てず途中でのどが超渇いてしまうに1万カボス。

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【ツンデレがネコミミを装着したら】

2010年06月02日
 賭けに勝って、ちなみにネコミミを装着できる権利を得た。
「……脳が沸いてるの?」
 酷いことを言われたけど、頑張って泣かずにネコミミをつけさせた。
「よし、と。……うん、可愛い。超可愛い。死ぬほど萌える」
「……触らないで、変態」
 頭をなでなですると、嫌そうに手を跳ね除けられた。
「勝負の前に言ったように、なでなでも賭けの景品の一つです。悔しかったら次は勝ちなさい」
「…………うー」
 不満げに鼻を鳴らすが、それ以上の抵抗はなく、心ゆくまでちなみの頭をなでてたら日が暮れた。
「……なですぎ。何時間なでてるのよ」
 俺のなでなで攻撃でくしゃくしゃになった頭を片手で整えながら、ちなみは俺の隣を歩いていた。
「可愛いから仕方ない。おまえも抵抗しなかったじゃないか」
「……それは、……賭けに、負けたから……」
「いや、今日は実にいい一日だった。明日もまた賭けトランプやろうな」
「……いいよ。……次は、キミにネコミミつけてやる……」
「はっはっは、そうはいかねぇぜ。明日も勝つからな!」
 隣を歩くちなみの頭を少し乱暴になでる。ちなみは不満そうだったけど、黙ってなでられていた。

(いっぱい……なでられた)
 ちなみはゆるゆるに顔を綻ばせ、自室で枕を抱えていた。
(ネコミミ……凄い威力)
 机の上に置かれたネコミミをじっと見る。自分には似合っていないように思えたけど、タカシは凄く喜んでくれた。
 勝負は神経衰弱だった。ちなみは記憶力抜群なので、どこに何が置かれているか全て覚えている。だから、あえて負けることなんて簡単なことだった。
「えへ……えへへ、えへへへへ♪」
 タカシになでられた感触を思い出し、ちなみは緩みきった顔でベッドで転がった。
(明日も……たくさん、たくさんなでてもらおう)
 明日に気持ちを馳せ、ちなみはにやけきった顔を隠すように枕に顔を埋めた。

拍手[8回]

【幼なじみツンデレと一緒に風呂】

2010年06月01日
 どうしたことか、今現在ちなみと一緒に風呂に入っている。具体的には、俺と背中合わせにちなみの肌が肌があああああ。
「……狭いから、動かない」
「そそそんなこと言われてもちなみの肌が肌があああああすべすべでぷにぷにのやわい肌があああああ」
「……いちいち口に出さない。……私だって、ちょっと恥ずかしいんだから」
 いかん、混乱してきた。ていうか混乱しっぱなしだ。なんでこんな状況になってんだ?
 ちょっと整理してみよう。学校から帰る最中に突然雨が降ってきて、急いで家に帰ったはいいが、ちなみの家の風呂故障してて、俺んちで風呂入ることになって、雨でびしょびしょのちなみを先に入れようとしたけど頑なに拒んで俺に入れって言って、議論が紛糾して、そして、そして……。
「なんで一緒に風呂入るなんて言うかな……」
「……仕方ない。タカシは私に先に入れって言うし、私はキミに先に入ってほしい。……だったら、一緒に入るしかない」
 そうかなぁ、と思ったもののもう入ってるので仕方ないと言やぁ仕方ない。
「……まぁいいや。しっかし、こうやって一緒に風呂入るのなんて何年ぶりだ?」
「……さぁ。幼稚園ぐらいまでは、一緒に入ってた気がする」
 くすり、とちなみの少し楽しげな笑い声が聞こえた。
「……まさかこの年になって、キミと一緒に入る羽目になるなんて思いもしなかった」
「確かにな。けど、こういうのも悪くないな。……恥ずかしいけど」
「……確かに恥ずかしい。……けど」
 ちゃぷ、と水をすくう音が聞こえる。
「……悪くない」
 まるでその言葉を噛み締めるように、ちなみは言った。その言葉に緊張もほぐれ、のびをするように後ろに手を伸ばす。
 ぷに。
「!」
 ん? なんだこの柔らかいの。柔らかくって、縦に溝があって。
 ぷに。ぷにぷに。
「……タカシ」
「ん、なんだ? 俺はいま不思議な感触のものを探すのに……」
 血の気が引く。まさか、この柔らかいのって……。
「……言い残すことは?」
「ちっ、違う! 偶然だ偶然! わざとじゃながばごばがば」
 浴槽に沈められた。その際、まっすぐなたて筋が見えた……って、ちなみまだ生えてないの!?

拍手[4回]

【ムカデちなみん】

2010年06月01日
 ちなみがムカデになった、と言い張る。
「……はさみますよ。ムカデなんで」
 なんて言って、俺の手を両手でぎゅっと握った。
「挟んでるの?」
「はさんでます」
 にぎにぎ、にぎにぎ。
「……おおきい手、です」
「まぁ、男だからな。それに、おまえちっちゃいし。手も体も」
「……むっ。小さくありません。はむ」
 俺の耳を甘噛みする。
「……エサは黙って食べられてください」
 そう言ってあむあむ。
「いや、エサじゃないし」
「……ムカデは毒をもつ種類がいます。私が、そうです」
 ちろちろ、と舌が耳を這う。
「うはあああ!? な、なにを……」
「……毒です。毒なんですから諦めてください」
 再び柔らかく熱い舌が俺の耳を。そしてまた甘噛み。
「あむあむ。……おいしいです」
 たくさん食べられた。でも満足!

拍手[6回]

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