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2024年03月29日
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【妹ちなみん】

2014年01月12日
 ちなみが妹になったと言い張る。
「……いや、言い張るとかじゃなくて、本当の話」
 俺の部屋にやってきたちなみが、ベッドに座って足をプラプラさせながら普段と変わりない口調で言った。
「そうだった。親が再婚したんだった。やーい妹」プニプニ
「……ほっぺをぷにぷにされた。……頬の裏に仕込んだ自爆装置の作動を確認。5秒後に爆発する」
「助けてぇ!」(腰砕けになりあわあわしながら)
「……爆発してほしくなかったら、さっきの無駄な揶揄を謝れ」
「すいません妹ができて嬉しさのあまりおかしくなったんです!」(必死)
「…………。……ま、まあ、それなら仕方がない。……た、ただ、タカシはいつもおかしいので、いつも通りとも言えよう。……と、とにかく、自爆装置は止めてやろう」
「はぁ……よかった。でも、なんで自爆装置なんて仕込んでるんだ?」
「……嘘だが?」
「…………。……し、知ってましたよ!? そりゃ自爆装置とかあるわけないじゃないですか! 誰が信じるってんだ! ばーかばーかばーか! 小学生!」
「……やれやれ、酷いものだ。……ただ、最後の小学生というふざけた文句だけは看過できない」
「ちなみって小学生じゃなかったっけ?」
「……同級生だが」
「あー。そういやうちのクラスに小学生がいたな。もしや、そいつが……?」
「……にゃー」(目潰し)
「あああああ」ゴロゴロ
「……床をゴロゴロ転がるのが、兄、か……」ションボリ

 そんな素敵な出会いを果たした俺たちだったが、普通に顔見知りだったので特別な感情など湧くはずもなく。
「強いて言うなら、同じ屋根の下に住むことになるので着替えやお風呂やトイレを覗けるかなァというわずかな希望を胸に秘めているくらいだ」
「……どうしてそれを私に言うのか。今日もタカシは理解に苦しむ」ウンザリ
「こうして直接対象者に言っておくことにより、ちなみに残るわずかな良心が俺を犯罪行為がしやすいようにドアを少し開けたりしてくれるかなーと思ったんだ」
 ちなみの顔がウンザリから本格的な呆れ顔へ移行していく。
「もしそこまで良心が残っていなかった場合は、覗いていることがばれた際、事前に言っておくことで『まったく、お兄ちゃんってば私がいないとダメなんだからっ☆』という思念を挟み込み、通報を躊躇させるため」
「……はぁー。……話が長いうえ、ただの夢物語とは。……やはりタカシは死んだ方がいい」
「新生お兄ちゃんに酷いことをいうね、この妹は」ナデナデ
「……なでるな」ムスーッ
「聞いた話によると、兄という存在は妹をなで放題らしいよ」ナデナデ
「……そんなことはない」ムスーッ
「楽しいのに」ナデナデ
「……タカシが楽しくなるのと比例して、私の不快感はうなぎ登りだ。……寝てる時に、タカシのパジャマに氷入れてやれ」
「この季節にそれはもはや殺人未遂として逮捕されてもおかしくないぞ」
「……じゃあ、熱湯入れてあげる」
「それは優しさではない」
「……ちゃんと100度だよ?」
「人間が火傷するお湯の温度とか分かる?」
「……実験しないと分からない」
「知的好奇心が旺盛なのはとても結構なことだが、頼むから兄の体で実験しないでくれ」ナデナデ
「……むぅ。……あと、なでるな」
「どうしてもと言うなら、その願い事をきいてやろう」ナデナデ
「……やっぱり、金と名声と永遠の命がいい」
「しまった、“言うことをきく”ではなく、“願い事をきく”なんて言ったために妹の欲望を聞く羽目に! というか、もうちょっと可愛い願い事はないですかね?」
「……かーね。……めーいせい。……えーいえんのいーのち」クイクイ
「くっ……両手でクイクイと服の裾を引っ張られては仕方ない。その願い、叶えよう!」パァァ
「……なんかぱぁぁって言いながら両手をバッて上げた」
「説明しないでください」
「……そして顔を赤らめた」
「ちくしょう」
「……くふふ。……こんな、外から見てる分には愉快なのが兄になったとは。……私の人生、面白くなってきた」
「あー。俺もこんな、外から見てる分には可愛いのが妹になるとは予想だにしなかったよ。むしろ予想谷だよ」
「むしろ……?」
「じゃあ学校でもヨロシクということで。コンゴトモヨロシク。オレサマオマエマルカジリ!」ナデナデ
「……学校で兄妹になったとか言ったら、殺す」
「オレサマオマエマルカジリとか言ったから? 嘘ですよ? 何故なら、俺にカニバリズム的趣味はないから」ナデナデ
「…………」ハァー
「ひゅっ」
「……ちょっとそこ座れ。正座」
「はい」
「……人のため息を吸うな、妖怪」ペチペチ
「すいません、目の前だったので、つい」
「……どうしてタカシはそんなに妖怪なのか。……形式上は私の兄になったのだから、妖怪はほどほどにしてもらわないと困る。……聞いているのか」ペチペチ
「はい、聞いてます。ですから形式上の兄の頭をペチペチしないでください」
「……嫌だ」ペチペチ
「はい」
 おかしい。俺の未来予想によると、兄妹になった瞬間にちなみの妹の才能が開花し『お兄ちゃん、大好きーっ!』となり結婚していたはずなのに、どうして俺は妹の前で正座して、頭をペチペチされているのか。
「……まったく。……これに懲りたら、もう妹のため息を吸わないこと」
「はい。ところでちなみ、これは兄としての言葉なんだが」
「……なに? もう兄貴面してるの?」
「あ、悪い。じゃあ友人としての言葉でもいい。それでも嫌ならクラスメートの言葉でも構わない」
「……まあ、どっちでもいいけど。……なに?」
「俺はいま正座している。そしてちなみは俺の前で立っている、という位置関係だ」
「…………」コクコク
「すると、どうしても俺の頭の位置は低くなり、自然俺の視線も低くなる」
「……だからなに? ……もったいぶらずに早く言え」
「パンツが見えてます」
「……?」
「だから、ちょうど俺の視線上にちなみのしまぱんが存在するため、がっつり見えています。見上げる形になるからね。ちょっと短めのスカートだからね。しまぱんだからね」
「そっ、そういうことは、早く言え、ばかっ」ババッ
 ちなみは素早く座り込み、スカートで先ほどの魅惑の三角ラインを隠してしまった。今はもう見えない素敵なストライプは、それでも俺の脳内シアターで今後連日活躍してくれることだろう。夜のお供とかにね!
「いやはや、言いたかったんだけど、どうしてもパンツから目が離せなくて。とりあえず焼き付け終わったから言った次第です」
「……うー。黙って見てるとか、今日もタカシは卑怯すぐるうえに、えろすぎる。……近く犯される」ペチペチペチ
「この妹は兄を淫獣か何かと勘違いしてやがる。あと、人の頭をペチペチしすぎだ。さすがにちょっと痛え」
「うるさい、ばか。だまれ。しね。はげ」ペチペチペチ
「ええっ、ハゲてる!? まだ高校生なのに!」
「……この連続ペチペチは、毛根に大ダメージとの噂」ペチペチペチ
「助けてぇ!」
「……くふふ。……い、いや違う。さっきのくふふナシ」
「?」
「……うー。……あまり人を楽しませるな、ばか」ムーッ
「特別意識してませんが」
「……う、うるさい。と、とにかく、そ、その。……ば、ばーかばーか」トテテテテ
 何やら妙な捨て台詞を残して、ちなみは部屋から出て行った。……と思ったら、すぐにドアがまた開き、ひょこっとちなみが顔だけ覗かせた。
「どした? 何か忘れ物か?」
「……ま、まあ、そんなもの」
「なんだ? 見られて困るものなら、ちょっと出てるけど」
「……そ、そゆのじゃなくて、えと。……こ、これからよろしく、……お、お兄ちゃん」
「え」
「じゃ、じゃっ!」
 ちなみには似つかわしくない速度で頭が引っ込み、即座にドアが閉められた。
「……ちくしょう。俺の妹は可愛いなあ!」
 ……ドダダダダダ、ガチャッ!
「さっ、叫ぶなっ、ばかっ!」
「あ、はい。すいません」
 なんか真っ赤な顔してる妹に叱られました。

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Comment
No title
反則レベルで可愛い
無題
ため息吸うので爆笑したw
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