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2017年12月11日
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【ちなねえ 起こされる】

2010年02月07日
 俺こと彰人には年上の幼馴染がいる。昔から色々と可愛がってもらって非常にありがたいのだが、高校生になった今でもその対応が変わらないのはどうなんだろう。
「……重いですか、アキくん?」
 そんなことを寝起きのぼんやりした頭で考えつつ、人の布団の上にのぺーと乗ってる年上の幼馴染、ちなねえを見る。
「あまりの重さに全内臓が震撼しそうだ」
「……お姉ちゃんは、映画じゃないです」
「ええっ!? 知らなかった……」
「……朝から変なアキくん」
「朝っぱらから人の布団にのっかる妖怪みたいな奇行してる人に言われたくない」
 ほっぺをうにーっと引っ張られた。
「痛え」
「……お姉ちゃん、アキくんの育て方間違ったかな?」
「はいはい。いーからのけ」
 ちなねえごと布団を横にまくり上げ、起床。おはようございます。
「にゃ。……ひどい。お姉ちゃん捨てられました。……お姉ちゃん、めそめそ」
 うるさいので布団で巻く。
「……お姉ちゃん、お寿司になりました。……出してください」
「朝、人の布団に乗ってこないなら出す」
 うにうにと体をくねらせ、ちなねえは自力で脱出しようとした。しばらくうねうねしてたが、無理っぽい。
「……出して、ください」
 泣きそうになってたので、慌てて布団から解放する。
「……アキくんのいじわる」
「いや全く。ごめんな、ちなねえ」
「……ちゅーしてくれたら、許します」
「俺のことは永久に許さなくていいです」
「がーん。……選択肢を誤りました。やはり、『許せねえ。絶対殺す』という選択肢の方がよかったのでしょうか?」
 それだけは絶対に違うと断言できるが、もう朝から疲れ果てたのでちなねえを放って部屋を出る。
「……お姉ちゃんもー」
 ふらふらしながらちなねえもついてきた。そしてそのまま俺を抜き、一人で台所に入ってしまった。
「もふもふ。……おいしい」
 続いて俺も台所に入ると、さっき台所に入ったはずのちなねえがまだ湯気の立ってるパンをぱくついていた。
「おはよ。母さん、俺のパンは?」
「ちなちゃんが食べてるわよ」
 皿洗いしてる母さんがこともなげに言った。幸せそうに人のパンを食べてるちなねえを見る。
「むしゃむしゃむしゃむしゃ、ごくん。……食べてないです」
 口周りにむちゃくちゃパンくずをつけながら、ぷるぷると首を振るちなねえ。隠す気ゼロだな、この人。
「母さん、まだパンある?」
「ないわよ」
「…………」
「……げふー」
 ちなねえの満足そうなゲップを聞いてると、朝からなんだか泣きそうになる。
「……アキくん、可哀想。……お姉ちゃんのゲップでよかったら、いくらでも吸っていいですよ? ……お姉ちゃんの思いやりに、アキくんにっこり」
 そんな許可では、とてもじゃないがにっこりできない。
「よかったわね、彰人」
「どこによかったと思える要素があるか挙げてくれないか、母さん」
「こーんな可愛い幼馴染がいて」
 母さんの言葉に、ちなねえの顔がほころんだ。
「可愛くなくても、人の朝食を勝手に食わない幼馴染の方がいい」
 ちなねえがしょぼーんな感じになった。
「ほらほら、いーから二人とも行った行った。早くしないと遅刻よ」
 母さんの言葉に時計を見る。む、結構いい時間じゃないか。
「ちょっと俺着替えてくる。ほらちなねえ、いつまでもしょぼーんとしてないで玄関行ってろ」
「うー……お姉ちゃん、挽回します。アキくんの着替え手伝います」
「嫌です」
 そう言ったのに手伝われた。
「はい、ばんざーい」
「一人でできます」
「……ばんざーい?」
 小首をちょこんと傾げ、両手を胸の前に合わせてばんざーいと言うちなねえに負け、素直に万歳する。
「……よくできました。はい、ぬぎぬぎ。……わ、裸」
「ちなねえが俺を視姦する」
「…………」(じーっ)
「ホントに視姦すなッ! いーから制服よこせっ!」
「……はい」(じーっ)
 未だ視姦を続けるちなねえから制服を受け取り、ぱぱぱっと着替える。
「……ぷよぷよ」
「腹を突つくなっ!」
 Tシャツを着てる最中に腹をつっつかれた。
「……もうちょっと鍛えた方がいいと思うお姉ちゃんです。……ぷよぷよです。……ぷよぷよ」
「つつくなっての!」
「……癖になります」
「なるな!」
 ちなねえの頭を押さえて腹を押すのを抑制し、どうにか着替え終わる。色々邪魔されたため、ちょっと時間がヤクイ感じだ。
「……もっと押したいです」
 だというのに、ちなねえはハンターの目で俺の腹を見つめ続けている。
「押すな。何か押したいのであれば、自身のつるぺたんXな胸でも押してろ」
「……アキくんの大好きな、つるぺたんX保持者です」
 どうして俺の性癖がばれているのか。
「……アキくん、えっちな本は定期的に隠す場所を変えたほうがいいですよ? ……まあ、あんなにたくさんあっては、隠すのも大変と思いますが」
「ちなねえ、俺をいじめて楽しいか(泣)」
「……よしよし」
 頭をなでられたが、ちっとも嬉しくなかった。
 姉ぱぅわーによりなんとか泣き止んだ俺は、鞄片手に明るい光溢れる外へ飛び出し……
「待って、アキくん待って~」
 姉がもたもたと靴を履いているので飛び出せなかった。
「5秒以内に履かないと、今日は学校休んでちなねえとイチャイチャする」
「…………。だ、ダメです。サボりなんて悪い子がすることです」
「ちなねえが俺を嫌う」
「……お姉ちゃん、アキくんのこと大好きですよ? 嫌うなんて、ありえませんよ?」
 極々当たり前のことのように、ちなねえはまっすぐな好意を俺に向けた。
「……は、恥ずかしいことを言う姉め。干からびてしまえ!」
「……アキくんは恥ずかしがりやさんですね。……そーゆーところも、お姉ちゃん、大好きです」
 人の手を勝手に取って、ちなねえはにっこり微笑むのだった。

 そして遅刻するのだった。
「ちなねえ、足遅すぎだッ! 俺の早歩きとちなねえの全力疾走が同じ速さってどういうことだ!」
「……お姉ちゃん、悪くないもん」
 膨れっ面のちなねえだった。

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