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2024年04月25日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉17】

2010年02月07日
 テストが返って来たので点数を見たら驚いた。
「カナカナカナ! あ、別に急にDNAの野郎が突然変異を起こしヒグラシになったのではなく、妹の名を呼んでいるだけですから皆さんご安心を!」
 妹がつかつかと僕の席まで来て殴打します。
「誰もそんな心配してないわよ! で、何? くだらない用件だと殴るわよ」
「もう既に殴られていますが」
「それとは別で殴るの」
 妹が常に怖い。
「まあ、殴るのはとにかく、これを見てくれ」
 先ほど受け取ったテスト用紙をカナに見せる。
「……うわ、何コレ」
「そんなことも知らないのか? やれやれ、お兄ちゃんが教えてやろう。これはテスト用紙と言い、テストを受ける際に必要になる紙でげふっ」
 また殴られた。
「そんなことは知ってる! 点数の事を言ってるの!」
「俺はテスト用紙のことを言った。そして殴られた」
「うっさい! 何よこの点数! 赤点ギリギリじゃないの!」
「一点差って凄くないか? 額に入れて飾りたいよな。よしカナ、今日は帰りに額買いに行こう」
「行くかッ! あーもう、勉強よ!」
「性の?」
 殴られたので、違うみたい。

「教室から所変わって自宅へと移行したのですが、これは俺の隠されたテレポーテーション能力が発動したと考えていいのかな、お姉ちゃん」
「その通りだよタカくん! タカくんは超能力が使えてすごいねー。お姉ちゃん鼻高々だよ!」
「はい、そこの馬鹿姉弟黙る」
「「ぶーぶー」」
「ぶーぶーうるさい!」
 お姉ちゃんと二人でブーイングしたのに、やっぱり俺だけ殴られた。
「じゃ、馬鹿兄貴のために、勉強を始めます」
「そうか、頑張ってくれ。俺はみんなのために何か甘いものでも買って来よう」
「兄貴のためにやってんの!」
 そそくさと逃げようとしたら捕まった。
「お姉ちゃんねー、あんまんが食べたいなぁ♪」
 そしてお姉ちゃんはワンテンポ遅れている。こんなとろいくせに、テストは500点満点で498点とかありえない数字なので羨ましい。
「なあカナ、『あんまんならそこにあるじゃないか。胸にたわわに実っている二つの美味しそうなあんまんが!』という台詞を思いついたのだけど、そんなこと言ったらカナの貧乳を前に失礼かな?」
「失礼よッ!」
 貧乳に殴られた。
「お姉ちゃんのおっぱいは、あんまんじゃないよ?」
 そしてお姉ちゃんはずれている。
「あーもーいいから勉強するわよ!」
「めんどい。お姉ちゃん、膝枕して」
「いいよ。おいで、タカくん♪」
 ふらふらとお姉ちゃんのふとももに引き寄せられていたら、カナに阻まれた。
「勉強するの! このままじゃ兄貴留年しちゃうよ? いいの、あたしより学年下になって」
「……! それは非常にいけない! そうなったらカナと一緒の授業もカナと一緒の修学旅行もなくなってしまう!」
「え、あ、そ、そなんだ……。あ、あは、あたしは妹より下の学年は嫌なのかなーって思ったんだけど……そっか、あたしと一緒がよかったんだ。……あは」
「むー! お姉ちゃん、むー!」
 カナが嬉しそうに頬をかくと、お姉ちゃんの機嫌が悪くなって俺のほっぺが引っ張られます。
「あと、カナと一緒の体育とかカナと一緒の水泳とかカナと一緒の着替えとかなくなるのも嫌だ」
「そんなのは今もないっ!」
「じゃあ、やろうよ」
「やんないッ!」
「そうだよタカくん! タカくんはお姉ちゃんと一緒の体育でお姉ちゃんと一緒の水泳でお姉ちゃんと一緒の着替えをしないとダメなのに!」
「学年が違うからできないんだ、お姉ちゃん」
「お姉ちゃん、しょんぼり……」
 お姉ちゃんがいじけた。
「だー! もう、いーから勉強するの!」
 カナが切れたので、勉強を開始する。学園きっての秀才と天才がいるので、はかどること間違いなし。

「飽きた」
 はかどりはしたが、俺の忍耐力が根をあげた。
「まだ10分しか経ってないわよ? もっと頑張らないと」
「一問解くごとにカナとお姉ちゃんの服が一枚脱げるって方式なら頑張れる」
「そんな親父臭い方式やんないわよっ! こらそこっ、いそいそと脱がない!」
 嬉しそうに服を脱いでたお姉ちゃんがカナに叱られ、泣きそうになってた。
「まったく……自分のことなんだから、ご褒美がある方がおかしいわよ」
「正論だが、それだけで動けるほど真っ当な人間じゃないぞ、俺は」
「何を偉そうに言ってんだか……」
 カナが俺のほっぺをうにーと引っ張った。
「まめでんきう! 服を脱ぐのがダメなら、一問クリアするごとに、すりすりしていいか?」
「タカくん、まめでんきうってなぁに?」
「閃いた事を明示化したんだよ、お姉ちゃん」
「んなことはどうでもいい! すりすりって、そんなのダメに決まってるじゃない!」
「そう? お姉ちゃんは平気だよ? むしろすりすりしたい、したいよ、タカくん!」
 言いながらもすりすりするお姉ちゃん。しかし、カナは抵抗があるようで、ぶつぶつと何か呟いている。
「(ど、どうしよ……すりすりは恥ずかしいけど、ご褒美ってことならあたしからって訳じゃないから抵抗なくできるような……ああでも兄貴とすりすりなんて……あうううっ)」
「あー、あの、嫌なら別にどうしてもって訳じゃないので、その」
「いっ、嫌とは言ってないでしょ、嫌とは! 兄貴がどうしてもって言うなら、その、……やってあげてもいいわよ、……その、すりすりってのを」
 ちょっと照れたような拗ねたような口ぶりに、胸がどきりとする。
「むー! お姉ちゃん、むー!」
 それを敏感に察したお姉ちゃんが俺のほっぺを引っ張るので痛い。
「ま、まあとにかく、そういうことなら頑張ってみる」
 ……勉強中……
「……と、解けた、よ?」
 数分の格闘の後、どうにか一問解くことに成功。
「しゅーがちゃーんしゅー!」
 すかさずお姉ちゃんが俺に飛びつき、口で機械音を立てながらすりすりしまくった。
「はふー。お姉ちゃん、ちょびっと満足」
「じゃ、じゃあ、あたしも……」
 おずおずとカナもやってきて、俺の隣に座ると、ちらりと俺を見た。
「し、失礼するわよ……」
「お、おう」
 カナは俺の膝にちょこんと座り、正面から軽く抱きしめるような形で俺のくっつき、頬と頬を合わせた。
「ぷにぷにする」
「うううるさいっ! 感想言うなっ! 好きでやってるんじゃないわよ!」
 真っ赤な顔でそう言いながらも、カナは俺から離れようとしなかった。
「も、もういい? もういいわよね? 充分よね?」
「まだ。あー、至福」
 なんだか和んでしまい、思わずカナの背中に片手を回し、空いた手で頭をなでなでしてしまう。
「ひゃっ!?」
「あ、ごめん」
「……べ、別にいいケド」
 許可が出たので、ゆっくり頭をなでてみる。
「……もっと」
 ……ちょっと驚いた。まさか、さらに欲求されるとは。
「早く」
「あ、う、うん」
 ゆっくり、優しくカナの頭をなでる。気持ちいいのか、カナは猫のように目を細めた。
「んー」
「おかしい。俺へのご褒美のはずが、カナへのご褒美になっているような」
「喋る暇があったら、もっとなでなで」
「あ、はい」
 いかん、なでなで機械になっている。そして、それがちっとも悪い気がしないのがまた。
「……うー、お姉ちゃんの存在が無視されてるぅぅぅ……」
「きゃああああ!?」
 地の底から響くような恨めしそうな声に、カナが至近距離で大声を出すので鼓膜破れそう。
「お姉ちゃんは、ここにいますか……?」
「いないよ」
「やっぱりだー!!! お姉ちゃん、知らない間に死んでたー! だからお姉ちゃんほっぽいてタカくんとカナちゃんがイチャイチャイチャイチャしてたんだあああああ! うえええん!」
「姉ちゃんを騙して泣かせるな、この馬鹿兄貴!」
 カナにショートアッパーされた。
「いや、まさか騙されるとは思わなくて。ごめんね、お姉ちゃん。お姉ちゃんは生きてるよ。ただ、あえて無視したんだ」
「うえええん!!!」
 お姉ちゃんの泣きが強まった。
「だから、泣かすなって言ってるでしょうが!」
 また殴られた。いい加減頭ぐらんぐらんする。
「ぐすん。……カナちゃんも、お姉ちゃんがいるって分かってて無視したの?」
「え、あ、えーと、いや、あたしは、その、……な、なでなでに夢中になってて、気づかなかったっていうか」
「それはそれでうえええん!!!」
 お姉ちゃんがやかましい。
「お姉ちゃんもー! お姉ちゃんも前後不覚になるくらいタカくんになでなでされる!」
「ぜ、前後不覚って、そこまでされてたわけじゃ……」
「してたよ! お姉ちゃんアイでじーって見てたもん! すっごくなでなでされてたもん!」
「ちょ、ちょっと兄貴、どうにかしてよ」
 カナの困ったような視線と、お姉ちゃんの怒ったような視線が俺に突き刺さる。
「えーーーーーっと、じゃあこうしよう」

「ふにゃー……お姉ちゃん、とろけそー……」
「んー……」
 二人ともを抱っこしてなでなでする、というとても受け入れられないであろう案を出したら通ってしまい、30分以上なでりんぐなのでとても手がだるい。
「おふた方、俺の手が限界なので終了してよろしいか」
 ふたつの頭が同時にぷるぷると首を横に振った。ダメらしい。
「いや、しかし勉強もしないといけないし、その」
「ふぁいとだよー……タカくんー……」
「んー……」
 二人とも半分以上違う世界に行ってるくせに、俺を解放してくれない。しょうがないので、なでなで続行。

「はふはふはふ~。お姉ちゃん、幸福の刑に処された~」
「んー。んー。んー」
 なでられまくってぐにゃぐにゃになってるお姉ちゃんと、猫のように俺にすりすりしまくってるカナと、腕がもう動かない俺がいます。
「超疲れたのでもう寝たい俺」
「んー……?」
 カナが視線だけで悲しさを訴えてきた。
「あ、いや、もうちょっとだけなら別に構わないケド、その」
「んー♪」
 すりすり続行らしい。

 明けて翌日。いつものようにみんなで朝食を食べているのだけど、何故かカナがこっちに顔を向けてくれません。
「カナ、どした?」
「(あああああ……なんで、なんでなんでなんであんな甘えちゃったかなあ! あーもう、恥ずかしくって兄貴の顔見れないじゃないの!)」
「カナ?」
「う……うっさい、馬鹿兄貴! あたしを騙して勉強しなかった罪、受けてもらうからね!」
「えええええ!? いや俺は勉強しないとって言ったよ!?」
「う、うるさいっ! 今日こそちゃんと勉強してもらうからねっ! パンもらいっ!」
 食べてる最中のパンをもぎ取られた。
「あああああ! 俺の、俺のパンが! お姉ちゃん、カナが俺のパン取った!」
「タカくん可哀想! 代わりにお姉ちゃんとちゅーしていいよ?」
「いいえ、結構です」
「がーん!? お姉ちゃん、しょんぼり……」
 ショックを受けてるお姉ちゃんの横で、真っ赤な顔をしたままがつがつパンをむさぼるカナだった。

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