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2019年10月15日
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【好き嫌いの激しいボクっ娘】

2010年05月15日
 ボクっ娘を脅してラーメンを食べに行った。店の親父にラーメンを二つ頼み待つことしばし、やってきたラーメンに舌鼓を打つ。
「ずるずるずる……ボクっ娘のおごりラーメンはうまいなぁ」
「ボクっ娘じゃなくて梓……ええっ! そんなのボク聞いてないよ! どうしよう、お金足りるかなぁ……」
 財布を取り出して計算しだした梓のほっぺを引っ張る。
「冗談だ。いちいち真に受けるな」
「ほっへひっはははひへほ~!」
「あんちゃん、彼女をいじめるのは関心しないねぇ」
 店の親父がそう言うと、梓は顔を真っ赤にして否定した。
「かっ、かかか彼女なんかじゃないです!」
「そうだ、こいつはただの肉奴隷だ」
「違うよぉ! ボクはただの友達だよぉ!」
「最近の学生さんはハイカラだねぇ……」
 親父さんは何か納得したようにうんうんと頷きながら厨房に戻っていった。
「……誤解されちゃったじゃないか! どうしてくれるんだよぉ! もうこの店に来れないよぉ!」
「いいじゃん。友達も肉奴隷も似たようなもんだろ」
「全然違うよぉ! 何考えてんだよぉ!」
「ラーメンうまいなぁと考えてる」
「そうじゃなくて、いやそうだけど……もういいよ。はぁ……タカシといると疲れるよ」
「飽きなくていいだろ。あ、そのチャーシューくれ。代わりにメンマやる」
 梓が何か言う前に彼女のラーメンから焼き豚を奪い、代わりにメンマを渡す。
「あああああ! なにすんだよぉ! ボクのチャーシュー!」
「むぐむぐむぐ……いいじゃん、代わりにメンマやったろ」
「メンマは嫌いなんだよぉ! ボクのチャーシュー返せ!」
「なんだ、メンマ嫌いなのか? 仕方ないなぁ」
 俺は梓のラーメンに残ったメンマを全部入れた。
「あああああ! なにすんだよぉ! ボクの話聞いてたの!?」
「将来はお姫様になりたいとか言ってた気がする」
「全然聞いてない!?」
「うるさいなぁ、食事は静かにするもんだぞ」
「誰のせいでうるさくしてると思ってるんだよぉ!」
「えーと、……この人?」
 梓の剣幕に怯えてる隣席の人が善さそうなおっさんを指差す。
「なんでそうなるんだよぉ!」
「自分のせいにするのが嫌なんじゃないか?」
「なに他人事みたいに言ってるんだよぉ! いーから、チャーシュー返して! そしたら許してあげるから」
「そうしたいのは山々だが、もう食っちゃったからなぁ」
 そう言ってるまさに今、チャーシューを掴み口に放り込む。
「むぐむぐ……な?」
「なにやってんだよぉ! それ食べなかったらボクが食べれたんじゃないの!?」
「つまり、吐けと言うのだな。どうしてもと言うならやるが……」
 ノドに指を突っ込もうとしたら、慌てて止められた。
「そんなことされても食べれないよぉ。……もういいよ」
 元気をなくしてしまった梓に、俺は笑って言った。
「ま、そう気を落とすな。考え方を変えれば、苦手なメンマを克服するチャンスだぞ」
「いいよ、そんなの。残すから」
「ふむ……それもつまらんな。よし、メンマを食えたら一つだけ言うこと聞いてやる」
「……え? ホントに?」
「ああ。ただ、『徹底的に死ね』とか『今すぐ1億よこせ』とかは勘弁な。俺にできる範囲で頼む」
「そんなことは頼まないけど……ホントにいいの?」
「ああ。俺に二言はそれほどない」
「それほどって言葉が気になるけど……でも分かった、ボク頑張るよ!」
 梓は気合を入れてメンマを掴み、震える箸をどうにかコントロールして自分の口に入れた。
「むぐむぐ……あぅ、まずいよぅ……」
「頑張れ、梓! ファイトだ、ラーメンうまいな、ずるずる」
「むぐむぐ……元気づけるなら最後までやってよぉ……ごくん」
 なんとか梓はメンマを食うことが出きたようだ。
「おお、やったな」
「うん、ボクやったよ! ……それで、お願いだけど」
「お、おう」
「……えっと、えーっと、店を出てからお願いするね」
 そう言って、梓は猛然とラーメンを食いだした。その脇から、メンマを取り出し食う。
「あ……」
「ちょっと腹が物足りないから取っただけだからな。他意はない」
 自分でもバレバレだなと思う言い訳をしてメンマを頬張る。……ま、梓も頑張ったしこれくらいいいだろう。
「……えへへ、うん♪」
 店員に金を払って店を出、しばらく歩いてから梓に訊ねる。
「で、お願いってのは?」
「……えっと、えーっと、ね、……メンマ食べれたから、『よくやった』って言って頭なでてほしい……」
 梓は顔を真っ赤にしてそう言った。
「……はぁ。んなもんお願い使わなくてもやってやるのに……欲がないっつーかなんつーか」
 俺はため息をついて梓の頭をなでた。
「……よくやったな、梓。えらいぞ」
「え、えへへへ」
「すごいぞ、がんばったな、……好きだぞ(ボソッ)」
「えへへ……え!? い、今なんて!?」
「なんでもない」
「もう一回言って! もう一回!」
「饅頭みたいなぷくぷくした顔だな」
「そんなこと言ってないよ! ほら、もう一回言ってよ!」
「……あーもう知るか! ほれ、とっとと帰るぞ!」
「あー、待ってよタカシ! ねー、お願いだからもう一回言ってよー♪」
 絶対聞き取ってたな、と思いながら俺は幸せそうに腕に絡みつく梓を振り払えずにいた。

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