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2024年04月25日
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【ツンデレの鼻を押してみたら】

2010年01月22日
 俺の調査によると、大谷先生はコピーロボットらしい。真相を確かめるべく、放課後、俺は職員室へと走った。
「はぁはぁ……せ、先生! 大谷先生!」
「はい? なんですか、別府くん?」
 息も絶え絶えな俺に、中学生の見た目を持つ自称大人の大谷先生は笑いかけた。そんな先生の鼻をすかさず押す。
「ふぎゅっ!」
「……? おや、どういうことだ?」
「それは先生の超台詞ですっ! いきなり鼻を押すとは何事ですか!」
「回数が足りないのか?」
 むぎゅむぎゅむぎゅ。
「ふきゅっ、きゅっ、きゅーっ!」
「……むぅ、ダメか。やはり本人の認証がなければ元に戻らないのか? なかなか優れた防犯機能ではないか」
「意味が分かりませんっ! 先生に説明しなさいっ!」
「ええとだな」
 事細かに説明すると、先生の顔が次第にげんなりしたものへと変化していった。
「……一体誰がそんなデマを流したんですか?」
「ソースは俺の脳内」
「それはただの思い付きって言うんですっ! むしろ妄想の域に達していますっ!」
「まあそう言うな、ひょっとしたら神の悪戯か何かでコピーロボットになったかもしれないじゃないか。というわけで、えい」
「むぎゅーっ! 鼻、押さないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うるさいですっ! ていうかですねっ、先生は先生ですよっ!? もうちょっと、こう、敬ってください!」
「何を言うか。俺はいつだって先生を敬ってるぞ?」
 言いながらも先生の鼻をむぎゅーっと押す。
「きゅふー! もーっ、先生の鼻をむぎゅむぎゅ押してながら言う台詞じゃないですっ! 尊敬のその字も感じられませんっ!」
「幼女のよの字を感じてくれ」
「よーっ!? 何を言いますか! 先生は幼女じゃないですっ! 立派な大人ですっ!」
「……そうだね、そうだといいね」
「なんで憐憫のまなざしで見られてるんですかっ!?」
「……ふむ、鼻じゃないのか? 別の箇所を押してみるか」
「な、なんで先生の胸を見てるんですか?」
「この布地の奥に、スイッチがふたつあります」
「スイッチじゃないですっ! 絶対、絶対押しちゃダメです、ダメですっ!」
「じゃあどこを押せと言うのだ!?」
「逆切れですよ!?」
「ええい、もうこうなったらここを押してやる!」
「ふぎゃーっ! ……へ?」
 先生のほっぺをふにふに押す。いやまあ流石に胸はアレですよ。職員室だから電話あるし。通報されちゃうし。
「あ、あの、別府くん。……あの、あの?」
「ほう、ここはあのあのスイッチか。変なスイッチ」
「変とは何ですか! ていうかそんなスイッチじゃないです! ふにふにされてびっくりしただけですっ!」
「つまり、びっくりスイッチなのだな?」(ふにふに)
「違いますっ! ……あ、あの、別府くん」
「うん?」(ふにふに)
「……あ、あのですね。……ふにふに押すだけじゃなくて、さすさすとかしてもいーですよ?」
「…………」
「ちちちち違いますよ!? 別に気持ちいーとか嬉しーとかじゃないですよ!? 何を言うですか! まったくもう、先生びっくりです!」
 何も言った覚えはない。が、その提案には何ら反対する理由はない。
「先生のほっぺはやーらかいな」(さすさす)
「あっ……う、うー」
「唸るな」
「うなってませんっ! ……て、ていうかですね、別府くんは優しい顔禁止ですっ!」
「してねえ」
「いーえ、しましたっ! なんかもーくらくらーってなっちゃう顔です! ダメです、禁止ですっ! 先生は大人なのでちっとも全然利きませんが、普通の人はくらくらーってなります!」
「…………」
「な、なんですかその目は。ほ、本当ですよ? 先生はすっごく大人なので平気なのですよ? 一般論を言ってるだけで、先生がどうこうという話ではありませんよ?」
「……ふう。ええと、先生」
「は、はい。なんですか?」
「鼻とほっぺ、触られるのどっちが好き?」
「ほっぺー♪ ……ちちちち違いますっ! 好きとか意味わかんないですよっ!?」
「正直な先生にご褒美ー」
「う、うー……違うって言ってますのにぃ……」
 先生のほっぺを両手で包み込むようにさする。先生は困ったような、それでいてちょっと嬉しそうな顔をしながら俺を見ていた。
「それでだな、先生」
「う? なんですか?」
「もう放課後だけど、まだ職員室には他の先生が残ってることに気づいてるか」
「う? ……うーっ!?」
 先生は視線だけで周囲をきょろきょろ見た。すると、顔が赤くなったり青くなったりするので大変愉快。
「べべべべ別府くん、別府くん、別府くん!」
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「そんな心配ちっとも全然してませんっ! て、手を離してくだたいっ! み、見てます、みんな見てますよ!」
「それなんだが……実は、突然手が痺れて動かないんだ」
「信憑性ぜろの発言が出ましたよ!? なぜなら今こうしている瞬間も先生のほっぺをさすさすしているから!」
「ははははは。先生かわいー」(ぐにー)
「うー! ほ、ほっぺ引っ張らないでくださいっ!」
 半泣きで困る先生だった。

 結局、先生はコピーロボットではなく、ただの人間だということが分かった。あと、思う存分ほっぺをふにふにできたので個人的には大変満足。また次もしよう。
「超お断りですっ! ていうかなんで先生の机で感想書いてるんですか!?」
「次は先生の小さなおっぱいをいじくりたいので頑張る……と」
「MAXでお断りですっ! ていうか小さいは余計ですっ!」
 後ろからぎゃんぎゃん吠えられる俺だった。

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