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2024年04月27日
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【運動会で弁当忘れた男】

2010年03月27日
 今日は運動会だ。わーいわーい。面倒だよしんどいよ逃げ出したいよ。
「だが、ウチのクラスの期待を一身に背負っているゆえ、逃げ出さない俺を褒めろ」
「ばーか」
 目の前をてこてこ歩いてたレミットに褒めるよう要請したが、罵声を浴びせられるだけだった。
「馬鹿と、馬鹿と申したか、そこなちみっこ!」
「ちみっこじゃないわよ、この馬鹿!」
「ふふ、馬鹿としか言わないとは……素晴らしい語彙力だな、ちみっこよ」
「馬鹿、愚鈍、間抜け、痴漢、異常性欲者、能無し、塵芥。まだいる?」
「うっうっ、ごめんなさい……」
「な、何も泣かなくても……」
 酷い言葉に思わず泣いてしまっていると、チャイムが鳴った。昼休みの時間のようだ。
「腹減った。レミット、一緒に飯でも食わないか?」
「……一人で食え!」
 なぜか俺の頭の上に置かれていた手を戻し、レミットは足音荒くどこかへ行ってしまった。
「難しい年頃ですなぁ」
「は、はぁ……」
 突然話を振られ、困惑顔の校長だった。
「ところで、校長はどんな弁当食うの? 豪華だったら容赦しねぇ」
「ひぃ、殺される予感!」
 慌てふためき尻を振りながら逃げる校長を追いかけてると、教頭に出て行けと言われた。仕方ないので自分の陣地に戻り、鞄を漁る。……む?
「どした別府、変な顔して」
「貴様、俺の弁当盗んだな!」
 隣で平和そうな顔して飯を食ってる友人に詰め寄る。
「盗るか。大方持ってくるの忘れたんだろ」
「……いや、そもそも用意した記憶がないな。登校途中でパンでも買うつもりが、寄るのを忘れていたようだ」
「そりゃご愁傷様で」
 それだけ言って、友人は再び栄養補給に戻った。……むぅ、腹が減った。
「あのさ、その弁当」
「絶対やらん」
「…………」
 視線を他のクラスメイトに向けるが、一斉に目を逸らされる。……いや、一人だけ呆れた目をした奴が残ってる。
「レミット。麗しく、さらに優しい貴方なら、俺に施しを与えることに何の躊躇いも」
「あげない。忘れたアンタが悪いんでしょ?」
「……いや、ちょっとくらい考えても罰は当たらないかと」
「んー……あげない」
 10人いたら10人が「考えたフリだ」と見抜くに違いない。
「お腹が減って力が出ないと、この後の競技に差し支えが出るぞ。俺の活躍が見れなくなってもいいのか?」
「午前中の競技で、アンタ何したか覚えてる?」
「ええっと、綱引きに、玉入れに、借り物競走。どれもこれも俺の活躍により、我がクラスは見事な成績を誇っていると記憶しているが」
「綱引きは相手チームの握る綱の部分に油を塗る工作をして、それがばれて反則負け」
「それぐらい構わないと思ったんだけどなぁ」
「……玉入れは相手のカゴを押さえてる女生徒にえっちなことして反則負け」
「ブルマにほお擦り。素敵なブルマでした。ナイスブルマ!」
「…………。さらに借り物競走では『帽子』という指令に、校長のカツラを奪って反則負け。アンタが絡むと全部反則負けになんのよ!」
「ヅラも頭に被るという意味では帽子と一緒だし、いいかなーって」
「校長、泣いてたわよ……」
 今は嬉しそうに弁当食ってるけどな。む、美味そうな弁当食ってるな。……盗むか?
「とにかく! アンタのせいでうちのクラスの成績はガタガタよ。アンタが何もしない方がまだ勝てる見込みあるんだから、アンタは午後はじっとしてなさい。それだったら、弁当もいらないでしょ?」
「しかし、それでは餓死するぞ?」
「世界のためよ」
 世界と来たか。そこまで俺の存在は有害ですか?
「しゃーねえ。じゃ、ちょっくら食料を調達してくる」
 軽く腰を上げながら校長の飯を奪う作戦を練ってると、レミットに手を掴まれた。
「……まさかとは思うけど、校長先生のお弁当盗るつもりじゃないでしょうね?」
「お、さすがはレミット。俺の考えがよく分かったな」
「校長先生の方じっと見てたじゃない。とにかく、盗むなんてダメよ! そんなことしたら、アンタ停学よ?」
「や、でも、お腹空いたし」
「……ああもうっ、ホントに馬鹿! ちょっとそこに座りなさい!」
「え、でも弁当……」
「いいからっ!」
 これ以上断ると殴られそうだったので、素直に座る。
「……はい」
 そう言って差し出されたのは、女の子らしい小さな弁当箱。
「……いいの?」
「アンタみたいのでも、いなくなったらつまんないからね。……そっ、それだけなんだから!」
 何を怒ってるのか知らないが、ありがたい話だ。
「レミット」
「何よっ!」
「ありがとな」
「……っ!! うっ、うるさいっ! 黙って食べろ!」
 ご所望どおり黙って食べた。すごい美味しかった。
「午後からは俺に任せろ! レミットの弁当パワーで一騎当千の活躍を見せる予定!」
「……反則負けなんかしたら、許さないからね」
「体育委員を抱きこむから大丈夫だ」
「ダメに決まってるでしょ!」
 じゃあ、真面目にしてかっこいいところ見せるか。よし、頑張れ俺!

「……全然だったわね」
「ははははは」
 大差で負けました。卑怯技を使わないとこんなもんです。
「……でも、反則しなかったのは褒めてあげる。反則しないのが普通なんだけどね」
「では、努力賞ということで、ほっぺにキスなどいかが?」
「そーゆーことは勝ってから言いなさい、ばーか!」
 夕日を背に、レミットは俺にあっかんべーをした。

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【胸を大きくするにはキャベツがいいと聞いたツンデレ】

2010年03月25日
「……ホントにぃ?」
 放課後、なんとなく部室棟を冷やかしていると、聞き覚えのある声が耳に届いた。
「ホントだって。あたしのお姉ちゃんなんだけどさ、実際に胸おっきくなったんだから」
 窓からそっと中を覗くと、半裸のブルマな娘さんが何やら熱弁をふるっていた。相手は……ありゃ、レミットじゃん。
「……ホントかなぁ? 聞いたことないんだけど、キャベツ食べたら胸おっきくなるなんて」
 そう言って、レミットは自分の悲しいほどにぺたんこな胸を見下ろした。
「ホントホント! レミットちゃんもキャベツ食べたらぼいーんってなるって!」
「ん、んー……でも、アイツは胸が小さい方が……」
「なな何を言うかこのばかちーん! 乳を大きくするだと!? まるで宝石のような輝きを秘めた貧乳を捨て脂肪を付けようなんてなんたる愚、なんたる……あ、こんにちは」
 激昂するあまり、気がついたら部室の中に突入していた。とりあえず挨拶。
「な、な、なんでアンタがここにいるのよ!?」
「レミットのちっちゃな胸をおびやかす存在がある限り、俺はどこにでも存在する! ところでブルマさん、早く服を着たほうがいいかと。や、俺は嬉しいのですがねウヒヒヒヒ」
 ブルマさんが悲鳴をあげるのとレミットに叩き出されたのは、ほぼ同時でした。

「なー、なに怒ってんだ?」
「うっさい! ついてくるな、莫迦!」
 ブルマさんにきちんと謝罪した後、一人で先に帰ってしまったレミットを追い、商店街でなんとか捕まえたはいいが、なんか怒ってる。
「確かにレミットの乳に注視するのでなく、ブルマさんのぶらじゃあを視姦したのは悪いと思う。だが俺も男なので、下着を見ればどうしてもそっちに目がいってしまうのだ!」
「んなこと怒ってないわよ! 女子が着替え中の部室に突入した事と、盗み聞きしたこと怒ってんの!」
「じゃあ今度は俺が着替え中に部屋に入ってきていいし、俺のレミットへの思慕を秘めた独り言を盗み聞きしてもいいぞ?」
「んなことであいこにならないッ! ……ぜぃぜぃ」
「まぁまぁ、落ち着け」
 肩で荒く息をするレミットの頭をなでる。
「頭なでるなぁっ!」
「それはつまり、乳はなでてもいいと? むしろ乳をなでろと、揉めと? ……う、うむ、ちょっとドキドキ」
「アンタの頭どうなってるのよ!?」
 揉もうと伸ばした手をレミットにがぶがぶ噛まれてると、八百屋の前を通りがかった。
「あ……」
 レミットの向ける視線の先に、まるまるとしたキャベツが転がっていた。
「なんだか急にレミットが愛しくなったので抱っこするけどいいか!? いいな!」
 キャベツから目を離させるため、ぎぅっとレミットを抱きしめる。
「んにゃ、にゃーっ!?」
 よし、このまま移動して……
「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ!?」
 移動したいが、レミットがじたばた暴れ、運ぶのがとても難しい。なんで猫っぽくなってんだ。
「にゃーっ!」
「いたたたた!」
 腕を思い切り噛み、レミットは俺から離れた。
「いきなり何すんのよ、この莫迦!」
「えーとえーとえーと、抱っこしたくなった! 決してキャベツから離そうとか思ってない! あと柔らかかった!」
 すねを蹴られた。すげー痛い。
「はぁ……別にキャベツなんか欲しくないわよ」
「え? だって、ブルマさんの話によると、キャベツを摂取したら乳がぼーん! だぞ?」
「(……アンタは小さい方が好きなんでしょうが!)」
「ん? なんて?」
「……キャベツ食べると死ぬの!」
「子供でも使わないような嘘を平気でつくとは……流石はレミットだな」
「莫迦にしてるでしょ? 莫迦にしてるんでしょ!?」
 憤怒の表情で俺の背中に飛び乗り、レミットは俺の頭に噛み付いた。
「がうがうがうっ!」
「うーん、血が出る出る出まくる。死にそうなのでやめてレミットたん」
「たんとか言うなぁっ!」
 血まみれで夕暮れの商店街を歩くと、道行く人全部こっち見るので愉快です。

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【一人マックをツンデレに見られたら】

2010年03月22日
 帰宅途中、小腹が空いたのでマックに寄った。
「いらっしゃいませ、こんにちは。こちらでお召し上がりでしょうか」
「ん。牛の死肉を二つ」
 店員さんが嫌そうな顔をしたので、普通にハンバーガー二個とコーラを注文する。
 窓際の席に座り、むしゃむしゃ食ってたらなんかちっこいのが窓の外を通った。見覚えあるなーとか思ってたら、ちっこいのと目が合った。
「うわ、アンタ一人でマックいるの? 寂しい奴ねー」
 ちっこいの──レミットは、わざわざ店内に入ってきて俺に軽口を叩いた。
「レミットも一緒に死肉を貪らないか?」
 レミットはすごく嫌そうな顔をした。近くで食べてた人も迷惑そうに俺を見た。
「いや、美味しい死肉だから安心だぞ? レミットも死肉好きか? 俺は牛乳を腐乱させたモノと死肉を一緒に食うのも好きなんだけど、ちょい高いからなぁ」
 チーズバーガーを食べてた隣の客が自分の食べてるものを嫌そうに見た後、席を移っていった。
「死肉死肉ゆーなっ! 普通にハンバーガーって言いなさいよっ! ほら、アンタのせいでお客さんも他所行っちゃったじゃない!」
「まぁまぁ。これでも食って落ち着け」
 ぎゃーぎゃー騒いでるレミットの口に、食いかけのハンバーガーを突っ込む。
「むが!?」
「んむ、変な顔」
「もがもが……ぷはー。ちょっと、いきなり何すんのよ!」
「間接キス」
「間接キスぅ? ったく、くだんないことばっか……かんせつ、キス……って、えええええ!?」
 すごくうるさい。
「知らないのか? 間接キスとは、関節を極めるあまり脱臼してしまい」
「う……うう、ううぅーっ! な、なんてコトすんのよっ!」
 人が折角即興ネタを披露している最中だというのに、レミットときたら顔を真っ赤にして俺を睨むばかり。
「照れてます?」
「てっ、照れてないっ! 怒ってるの!」
「あー……まぁアレだ。直接じゃなかったんだしいいじゃん、別に」
「よくないわよっ! なんでアンタなんかと間接とは言え、キスなんかしなくちゃいけないのよっ!」
「その言い振りだと、直接ならよかったってことだな?」
「ちーがーうっ! アンタ頭の中綿か何か詰まってんじゃないの!?」
「ま、ま。とりあえず落ち着いて。一緒にハンバーガー食おう。な?」
 レミットの頭を撫でてなだめすかし、もう一度間接キスにlet'sトライ!
「頭なでんなぁ!」
 注意:レミットは頭を撫でられるのを大変嫌います。忘れてた代償に手を噛まれた。
「あいたた……あのさ、なでないから一緒に食べよ? 一人で食っててもつまんないし。な?」
「嫌! いい? なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど、あたし、アンタなんか大っ嫌いなんだからっ!」
 なんとなく分かっていたけど、面と向かって言われるとかなり堪える。だがしかし、自分の気持ちだけははっきりと伝えておく。
「しかし、俺はレミットが大好きだぞ?」
「そ、そーいうあけすけな所が嫌いなの! 嫌い嫌い、大嫌い!」
 これは困った。困ったが、なんと言われても嫌えないのがまた困る。
「そ、そんな困った顔しても謝んないからね! 悪いとも思ってないし!」
「はあ」
 しかし、誰より困った顔をしているのが目の前のちっちゃいのだと、本人は気づいてるのだろうか。
「……ぅ、そ、その……ばーか!」
 どうしたもんかと思ってると、レミットは突然店から出て行った。
「んーむ。難しい年頃だと思いませんが、店員さん。ところでこの死肉うまいですね死肉」
「お願いですから、店内で危険な言葉を連呼しないでくださいぃ……」
 側にいた店員さんに同意を求めたのに、なんか泣かれた。

「……はぁ」
 マックから飛び出した後、あたしは一目散に自宅に逃げ帰った。ベットに腰掛けていると、あたしの口から勝手にため息がこぼれる。
 ……折角一緒にご飯食べる機会だったのに、逃げちゃった。しかも、酷いこと言っちゃったし。……嫌われたかなぁ?
「……って、違う違う違う! あたし、元々あんな奴好きじゃないし? もっと……えと、じゃ、じゃにーず系? とか好きだし?」
 ……全然知んないけど。友達とするテレビの話とか、あんまりついてけないし。アイツと話してるのが一番楽しいし。
「……いやいや、楽しくない。楽しくないもん」
 ぼふりとベットに寝そべり、なんとなく口元に手をやる。
「……間接、キス……」
 口にして、顔から火が出るかと思った。クッションに顔を埋め、ベットの上を跳ね回る。
「……うぅぅぅぅ~。違うもん。好きじゃないもん。嫌いだもん」
 頭に浮かんでくるアイツの顔を必死で振り払いながら、あたしは何度も何度も『嫌い』と呪文のように唱え続けた。

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